『Eclipse King's Orchard』攻略後、Immortal Entの森は一層賑やかに成った。一年中、-sama々な果物がたわわに実るその-sama子は、果物の宝石箱の-samaだ。
他にも、Talosheimでは大きな改革がなされた。Dungeonへの行き来が楽に成り、城壁を出なくても通えるようになったのだ。
『Garan’s Valley』、『Doran’s Aquatic Cavern』、『Borkus’s Sub-Dragon Savannah』、『Barigen減命山』を町の内側まで移築したのである。
Vandalieuの【Labyrinth Creation】skillは、何と彼が過去攻略した事のあるDungeonなら、移動させる事が可能だったのだ。
「人が早足で歩く程度の速度で、一分毎にManaが一万程必要ですが……【Automatic Mana Recovery】skillで一秒ごとに一万ぐらい回復するので、時間さえあれば何処までもDungeonを移動できます」
Vandalieuの背後をDungeonの入り口が「ズズズ」と音を立てて着いていき、それでいて内部には何の変化も無い。
これは流石にLucilianoだけではなく、全員が愕然とした。
更に、驚くべきことにVandalieuは過去攻略したDungeonの入り口から他の攻略済みDungeonの入り口にteleportする事が出来た。こちらは階層間のTeleportationと違って、彼一人だけだったが……彼に憑いているLevia達Ghostや、装備している蟲は彼の一部と見なされるため、一緒にTeleportationする事が出来た。
何年も前に、Zadiris達と会う前に攻略したMirg Shield Nationの小さなDungeonにもteleport出来たので、一度攻略したDungeonなら何処でも行けるようだ。
「Niarkiの町に作ったDungeon、今度攻略しに行こうかな」
「それより師Artisan、極小規模のDungeonをそこかしこに作れば良いのではないかね? 作れるのだろう?」
「まあ、結構Manaを使いますけどね」
一つだけ試しに小さなDungeonを作ってみたのだが、移築と比べると中々の重労働だった。たった一つの事に一時間以上集中し、Manaも一億以上使っている。
それで出来たのは階層が一階だけの、Horn RabbitやBigフロッグ等のRank1しか出て来ないDungeonだ。
「どうやら、Dungeonの出来はskill levelに消費したManaの量と時間、俺自身のMental conditionにも左右されるようです」
『Eclipse King's Orchard』は、過去に複数回億単位のManaを時間をかけて大地に注いでいる。Vandalieu自身は作った後の事は一切知らないが、三十階層のCClass Dungeon『Heinz Skeleton洞』では、Memoryが飛ぶようなMental conditionでManaが空になるまで振り搾った。
今は自由自在に望んだ難易度のDungeonを作る事は出来ないようだ。内装も、大体最初にDungeonを作った場所の周囲の環境に合わせて作られるらしい。『Eclipse King's Orchard』が、森という環境に拘った仕-samaに成っているのはそのためだ。
ただ、難易度や階層はDungeonを作った後でも変化させる事が出来た。一階層だけのDungeonに後日時間をかけてManaを注いだら、二階層までのDungeonに変化していたからだ。階層を増やすのと同じ要領で、難易度も高くする事が出来るだろう。
後、skill levelが上がればもっと自由に作れるようになるのではないだろうか。別に急いで高難易度のDungeonを作らなければならない理由も無いので、今はこれで十分だろうけど。
【Labyrinth Creation】skillで出来る事は、以下のようになる。
・Dungeonを作る事が出来る。ただし、階層や難易度、内装の操作は現時点では不自由。
・一歩足を踏み入れただけでその階層の構造が解る。
・Dungeon内で出現するmonstersには、魂が無い。そのためVandalieuが限定的だがcontrol可能。Tamerするためには、適当な霊をPossessionさせなければならない。
・Dungeon内のVandalieuが攻略した階層には、仲間と一緒にteleportする事が出来る。
・攻略済みの階層の構造を変更可能。壁や扉、Trapの設置及び解除、他の階層に繋がる階段も設置可能。
・攻略済みのDungeonを移動させ、移築できる。その際、内部には一切impactは出ない。
・攻略済みのDungeonの入り口から、他の攻略済みのDungeonの入り口にteleportする事が出来る。ただし、この場合teleport出来るのはVandalieuと、彼が装備している蟲と憑いている霊及びAstral系のUndeadのみ。
そしてVandalieuは『Doran’s Aquatic Cavern』を改築して海水を引くための石のpipeを設置して、Dungeonの外に塩田を造ったのだった。
「俺以外も自由にDungeonをteleport出来たら便利なんですが……そんなmagic itemを作れないかな?」
バリボリと硬いが美味いリンゴに似たFruitを齧りながら、Vandalieuは考えていた。
《【Labyrinth Creation】、【Strengthen Follower】、【Death-Attribute Charm】skillのlevelが上がりました!》
その頃、Rodcorteはerrorを頻発させるCircle of Reincarnation systemにかかりきりに成っていた。
『これは一体何事だ!? Lambdaで大量の魂が私のsystemを離れただと? Vida's New Racesが何かしたのか!?』
一度に数百数千の魂が、Rodcorteの管理下を離れたのだ。
これまでも、他raceを自分のraceに変化させる事が出来るVampireやGhoul、Majin Race等によってRodcorteが管理する魂がVidaのsystemに取り込まれる事は数え切れない程起きていた。
ただ、その頻度自体は低い。少なくとも、一日で数百数千の魂が管理下を離れる事は無かった。
その原因は、Vandalieuが『Eclipse King's Orchard』で魂の無いmonstersをTamerするために、自分に憑いていた霊をmonstersに宿らせた事だ。
Vandalieu自身はこれまでUndeadやGolemを作るのと同じ程度の感覚で行った事だが、それはLucilianoが指摘した通りCircle of Reincarnationに等しい行為だ。Life-deadの中の胎児に霊を宿らせてPauvinaを創り出したように、霊を宿らせたのは死体や鉱物ではなくmonstersではあるが生物なのだから。
Vandalieuは人の身でありながら、まさしく神の御業に手を出していたのだ。
全て彼自身が動かさなければならない等仕組みは全て手動で行わなければならないが、Vandalieuは自前のCircle of Reincarnation systemを運行しているに等しい。
しかも、Vida's New Racesの場合は基本的に相手の同意が必要だが、Vandalieuの場合は彼に完全に魅了されている霊達が相手なので、彼の指示があれば植物型だろうと蟲型だろうと霊達は喜んでmonstersにreincarnationする。
Rodcorteにとって自分の権能を侵しかねない、そしてAldaが危惧するVida式Circle of Reincarnation systemより不stabilityでより恣意的な運用をされる、新たなCircle of Reincarnation systemがLambdaに誕生したのだ。
『一体何が起きているのだ……っ!』
だがerrorの処理に追われるRodcorteが真実を知るのはまだ先だった。
因みに、【Evil God of Joyful Life】Hihiryushukakaを含めるDemon King Army Remnantsと呼ばれる、Demon King式Circle of Reincarnation systemも同時期にerrorを頻発させたが、originally日常的にerrorを起こし、errorを起こすのが普通と言うconditionで動き続けるsystemであるため、VandalieuがNoble-born VampireのSercrentの魂を砕いた時とは違い、特に問題視はされなかった。
もうそろそろ各地で収穫祭が行われるだろう時期に、Heinz達【Five-colored blades】も収穫の時を迎えようとしていた。
「ぐあああああっ! おのれっ、Human共がぁぁぁぁ!」
ただそれは作物やFruitではなく、人々のbloodを啜り肥え太ったDark nightのNoble、Vampireの首だったが。
「ぐうぅっ、何故この場所が、我々の存在が分かった!?」
過去商業guildのサブMasterを十年務め、現在では老齢を理由に隠居したが、若い意欲的な商人たちの良き相談役と成っている好々爺、Chipuras。
だが、今の紅い目を見開き獣の如きfangsを剥き出しにする彼を見て、好々爺だと思う者は皆無だろう。
「善意の情報提供者のお蔭さ」
「チィッ! あの裏切り者共か! Ternecia -samaから恩恵を受けながら、儂らを売ったか!」
既に商人としての立ち振る舞いを無くしたChipurasは、肥満体に似つかわしくない素早い挙動でclawsを伸ばし構える。
既に彼の配下のSubordinate Vampireや、Noble-born VampireはほぼHeinzの仲間達に討伐されている。残っているallyは僅かだ。しかし、Chipurasの目には憎悪は浮かんでいてもdespairは浮かんでいなかった。
「愛玩動物代わりにDhampirを飼っているだけなら見逃してやっても良かったが、この儂にここまでの醜態をかかせた以上、貴-sama共々殺してその首をTernecia -samaへの土産にしてくれる!」
見た目からは想像できない素早さで襲い掛かって来るChipurasの動きを、しかし Heinzはすぐに見切り、Magic Swordで彼の腹を深く薙ぐ。
「【蒼光炎刃】!」
HeinzがOrbaum Elective Kingdomに活動の拠点を移し、Alda Reconciliation Factionに成ってから開眼したSuperior Skill、【Radiant God Swordsmanship】のMartial Artsだ。
Magic Sword自体のAttack Powerに、Heinzが適性を持つLight Attributeと生命attributeのManaを乗せて放つMartial Artsは、Vampireにとって掠るだけでも致命傷に成りかねない。
それで肥え太った太鼓腹の半ば以上を薙がれたのだ。これは驚異的なVitalityを誇るNoble-born Vampireも一溜りも無い。
「グフっ、ぐふふふっ、効かんなぁ~っ! 【金剛裂】!」
「何っ!?」
だが、Chipurasは倒れるどころか嘲笑を浮かべると、Unarmed Fighting Techniqueの上Class Martial Artsを使用してHeinzを引き裂こうとする。giantの如きMuscular Strengthで振るわれるclawsを、Sword TechniqueのMartial Arts【Flowing Willow】で何とか受け流したHeinzは、Chipurasが無傷である事に目を見開いた。
「くははっ! 儂は【Evil God of Joyful Life】Hihiryushukaka -sama 's Divine Protectionによって、【Light-Life Attribute Nullification】のskillを賜ったのだ! 貴-samaの剣技など効かぬ!」
そのresistance skillによるものだろう、mansionの壁が破壊されSunlightが当たってもVampireであるはずのChipurasは傷一つ負っていない。
「ははははっ! 儂はVampireのMarquis、Abyssal Vampire Marquis! Ternecia -samaの配下の中でも三本の指に入る重臣よ、如何にAClassとは言え、Human風情が勝てると思った……貴-sama、何のつもりだ?」
Heinzは嘲笑を上げるChipurasに対して、正面からMagic Swordを構えていた。
「貴-sama、儂の言葉を聞いているのか? 貴-samaが得意とする【Radiant God Swordsmanship】も、光と生命attributeのmagicも儂には通じないと言っているのだぞ?」
訝しげに顔を歪めるChipurasに答えず、HeinzはMentalを集中し、研ぎ澄ませていく。
「……【-Transcend Limits-】……【Transcend Limits – Magic Sword】……」
imageするのは、一振りの刃。
「……【Familiar Spirit Advent】!」
そして天から降りた光の柱にHeinzが包まれ、その背にAldaのFamiliar Spiritの象徴である光の翼が出現する。
「き、貴-samaっ! 無駄だと言っているのが分からんのかぁぁぁっ!」
【Light-Life Attribute Nullification】skillを持つChipurasに対して、AldaのFamiliar Spiritをその身に降ろす意味は薄い。
だが、Chipurasの口から出たのは嘲笑ではなく怒声だった。膨れ上がっていくHeinzの力に比例して大きくなるプレッシャーに耐えきれず、自身も【-Transcend Limits-】skillを起動してbody part Abilityを爆発的に高める。
「死ねぇっ! 【Endless Twin Claw-Blades】! 【Ice Beast Pack Assault】!」
両腕のclawsを連続で振るうMartial ArtsをActivateし、更にその隙間をWater-Attribute Magicで創りだした氷の獣の爪fangsが埋める。
これぞChipuras必勝の連続技。知略だけでは生き残れないVampires serving Evil Godsの歪んだ社会を、Chipurasはこの技を切り札に駆け上がって来たのだ。
その刃の群れが到達する、その瞬間HeinzはMagic Swordを振った。
「【Evil-Crushing Blue Radiant Flash】!」
Adamantiteよりも硬いChipurasのclawsや、氷獣がglass細工の-samaに砕け散り、Magic Swordの刃が彼のbody partに吸い込まれる-samaに入り、そのまま音も無く抜けた!
その凄まじいSingle Flashはそのまま止まらず、mansionの天井も壁も切断し消していく。
「ばっ……」
「か……な……」
背後で、脳天から股間まで左右に別れたChipurasがそれぞれ倒れる音を聞いてから、Heinzは息を吐き、Magic Swordを鞘に納めた。
「resistance skillを超えるNullification skillを持っていても、正義を貫く意思がある限り私は負けない」
「それは結構だけど、もうちょっと上手く戦ってほしいわね」
Edgar達と他の場所からmansionに突入していた女Dwarfの盾職、Delizahは二つに成って蒼い炎に包まれて燃えていくChipurasではなく、mansionの壁があった場所を見ながら呟いた。
その向こうに在った山が割れている。問答無用で、綺麗に、真っ二つに割れている。
「いや、mansionの裏の山はChipurasの所有地で、人は居ないから大丈夫だ」
「そう言う問題じゃないでしょ」
「今回は山が割れただけで樹木はあまり切り倒していないから、Daianaも怒らないだろう」
「ああ、この正義脳筋……」
Delizahが頭を抱えている間に、【Familiar Spirit Advent】等を解除するHeinz。正義脳筋とは、仲間内での彼の仇名だった。
実際、HeinzがChipurasを倒せたのは、Nullification skillでMagic Sword main bodyのAttack Powerしか効かない敵を、出鱈目にSelf Enhanced (1)を繰り返して最大の技を使い強引にぶった切ったからだ。
お蔭で発生した余波でそう大きくはないが、山が一つ割れてしまった。
「やったなと言うか、やっちまったなと言うべきか」
「Edgar、JenniferとDaianaは?」
「倒したVampireのMagic Stoneを取ってるところだ。そっちの大物は……ダメそうだな」
残念そうな顔をしてChipurasの死体を見た後、Edgarは真面目な顔をして言った。
「しかし、これでNoble-born Vampireも何匹目だ? Kinarpって言う告発者は、きっと天国に行けるな」
元Mage guildのGuild Master、Kinarpを筆頭にした告発者によって、今Hartner Duchyでは今まで闇に潜んでいたVampire達が次々に狩り出されていた。その波は他のDuchyにも広がりつつある。
Belton公子から指名依頼を受けたHeinz達【Five-colored blades】は、一部の者にしか明らかにされていない城の地下に在ったDemon Kingのsealedが解かれた事件の調査と、Vampire狩りを並行して行っていた。
Demon Kingのsealedを解いた裏にはEvil God (M)派のVampireが存在するのではないかと見たからだが、今の所手掛かりは無い。
尤も、次々に大物を討ち獲っているのでadventurerとしての収支はかなりの黒字だが。
「天国か……どうだろうな」
しかし Heinzは顔を曇らせた。それはKinarp達のconditionに原因がある。現在彼らは、heartとlungが動いているだけの人形だ。涎を垂らしながら、虚空を眺めている。
だが、Vampireに関する情報を質問した時だけは正気に返ったように流暢に喋り出すのだ。
明らかに何者かによってKinarp達は壊され、操られている。
「同情するな、あれも奴らの自業自得だ。機会があったら俺達……Selenを攫ってさっきお前が二つに分けたデブに献上しようとしていた連中だぞ。
それよりも、Belton公子は何処まで知ってると思う? Icus Baronの件も含めて何か隠しているのは確実だと思うが」
城が傾いた時に重傷を負ったIcus Baronは、最近意識が戻らないまま息を引きとった。それをEdgarは、Belton公子の手の者に謀殺されたと考えていた。originally諜報organization紛いの事をしていて多くの秘密を知っていただろうし、今ではDemon Kingのsealedを解いた容疑者として最有力CandidateのVampireと繋がっていた、人類の裏切り者だ。
黙って死んでくれなければ困るだろう。
実際、Hartner Duchyでは当主やyoung childが急Diseaseで静養のために何処かに行ってしまったNoble 家が幾つもある。彼らはきっとそのまま出家して信仰の日々を死ぬまで過ごすか、静養の甲斐あって忘れた頃にDisease死した事に成るのだろう。
だからまだ何か裏があるのではないかとEdgarは言うが、Delizahは首を横に振った。
「どうかな? あの公子-sama、上辺は取り繕っていたけど今は自分の尻に着いた火を消すので手一杯って感じだったわよ。私達にこうして依頼して、Vampireを狩るごとに気前良くお金を弾んでくれるのも失墜した自分のimageを少しでも取り戻す為でしょ」
「確かに……あのBocchanが喧伝してくれるおかげで、町じゃ俺達公子閣下の無二の友人だって噂に成ってるぞ」
お蔭でAdventurer’s GuildのDhampir等に対する不利な制度改正は撤廃されそうだが。
「私が誰の友人でも構わない。邪悪なVampireやEvil God (M)の信奉者が倒されるなら。
問題は、Demon Kingのsealedだ。だが、あのKanataと言う男の犯行とは考えられない。だが、こうして何者かに操られたKinarpの情報を頼りに探している限り、真相には辿りつけないだろう」
Heinzの言葉に、EdgarとDelizahは頷いた。この場に居ないJenniferとDaianaも同意見だろう。
Belton公子が腹に一物抱えていてもworldは滅ばないが、sealedから逃れたDemon King Fragmentを野放しにしてはworldが滅びかねない。
これまでも幾つかのsealedが解かれているとしてもだ。
当然だが、Demon KingがsealedされたのはVampireを初めとしたVida's New Racesが産まれる前の時代。今では恐れられるPure-breed Vampire達も、当時はただのHumanでGodsやChampionと共にDemon Kingと戦っていたのだ。そのため、Pure-breed Vampire達はDemon Kingがsealedされた場所を知っていてもおかしくない。
そして今ではVidaさえ裏切りDemon KingのRemnantsに与するPure-breed Vampireを初めとするVida's New RacesがDemon Kingのsealedを解き、Demon King Fragmentを単なる力として利用するのは当然の成り行きだった。
十万年の歴史の中で語られるHeroと強大な悪の戦いの内幾つかは、その結果起こったものだ。
「Kanataという男は強力なUnique skillを持っていたようだが、何者かが背後に居たようには思えない。あまりにも行動が……何と言うか、滅茶苦茶だ」
「確かに、妙だよな。Ninelandに着くまでの間に派手で雑な犯行を繰り返して、Adventurer’s Guildに行ってnameを態々明らかにして、かと思ったら崩落した地下墓地で死体に成って埋もれてた」
前歴不明、出身地不明、Jobもskillも不明。それでいてNinelandに入るまでの行動は、強力な力を得ただけの無法者。だが、accurateな位置を秘匿されていた地下墓地に入り込んでいる。
どうにも不可解だ。
「これは勘だが、Kanataと言う男はその場に居合わせただけで、Demon Kingのsealedを解いた犯人とは関係無いのかもしれない」
Heinzが怪しいと睨んでいるのは、Kinarp達告発者以外から手に入れた情報……Pure-breed Vampireの一人Birkyneを裏切った女のNoble-born Vampireと、そのmasterが何処かに存在するらしいという情報だ。
その女Vampire……Eleonoraらしい人物が、Kinarpのmansionに出入りしていたのを見ていた乞食が居たのだ。
遠目に赤毛の美女が大量の買い物袋を持ってmansionの裏口から入って行ったのを見た。それだけの情報だ。誰も、偶々残飯を離れた他のmansionで施してもらっていた乞食本人も、見向きもしなかった。
しかしそれを聞いたEdgarは、Niarkiの町でも赤毛の美女の姿を見たと言う情報を『Dark nightのfangs』の下っ端から聞いており、引っ掛かりを覚えた。
そして調べて行けば……城が傾いたその日には姿は消えていたと言う。
「そのEleonoraのmasterは、下っ端はnameも知らないみたいだよ。何でも呼ぶ事すらPure-breed Vampireに禁じられているんだとか」
「余程の大物なのでしょう。もしかしたら、新たに目覚めたPure-breed Vampireなのかもしれません。恐らく、Kinarp達のMentalを破壊し操ったのも、その者かと」
素材の剥ぎ取りが終わったJenniferとDaianaもやって来た。そして揃ったparty memberに、Heinzは言った。
「例えPure-breed Vampireでも、sealedを破りDemon King Fragmentを解放した者を野放しには出来ない。命を弄び、魂を冒涜する者の存在を私は許さない。
Ninelandにはもう大物は残っていない、明日からはEleonoraと言うVampireを追う。……『Trial of Zakkart』は後回しに成るが」
「いいさ、worldの危機なんだろう? それにどちらも大金星には違いないからな」
「マルティも許してくれるだろうしね」
Heinzのpolicyに賛成するJenniferやDelizah達に、Edgarだけは迷いを瞳に浮かべていた。
(NiarkiにEleonoraってVampireに似た女が目撃された時期と、あのVandalieuって名のDhampirが町に現れた時期がぴったり重なる。尤も、NinelandにはVandalieuの情報は無いが……結局Vandalieuの方の足取りは……あの時のDark Elfの息子だとして、どうやってMirg Shield NationとOrbaum Elective Kingdomの国境を越え、Sauron領を越えてHartner領に入って、Niarkiの町まで来たのか……全く分からなかった。
結局、俺とHeinzの考え過ぎか?)
Edgarは、Vandalieuが僅かな例外を除けば誰も越えた事が無いBoundary Mountain Rangeを越えて来たとは夢にも思わず、自分達と同じようなルートでNiarkiの町に来たのではないかと考えていた。
だから、態々Niarkiの町の南に在るcultivation villageに足取りが無いか調べようとは、fragmentも思わなかったのだった。
バリボリゴリとVandalieuはPauvinaとRapiéçageと一緒に、リンゴに似た果物を齧っていた。
「Van -sama、最近よくその果物を齧っていますけど?」
「ええ、とても硬くて、瑞々しくて、甘い果汁の、とても硬い果物です」
大事な事なので二回言った。
「……chinが疲れそうですわね」
「でも美味しいよ?」
「あ゛、まぃ……」
このリンゴに似た果物味はとても美味しいのだが……果肉が牛の大腿boneと同じくらい硬い。【Mysterious Strength】skillを持つVandalieu達だからこそ普通に齧れているが、常人なら文字通り歯が立たないだろう。
並のGhoulやGiant raceでもすぐchinが疲れてしまうだろう硬さだ。Vandalieuが装備しているCentipedeのmonsters、Peteなど見向きもしない。
「とても硬いのだけど、何故か頻繁にこれを渡されるんですよ、『Eclipse King's Orchard』から連れてきたEntの一匹に」
Vandalieuが通りかかると、絶対にこの果物を渡してくるのだ。なので「折角くれるのだし」と受け取っていたら、毎日何個も食べる事に成ってしまった。
Pauvina達の受けは良いのだが。
「きっと前世では果物を沢山売り歩いていた、名のある商人だったのでしょう」
そんな霊が居たかはあまり覚えていないが、別に違っていても構わない。今はVandalieuがTamerしたEntでしかないのだし。
「では、そろそろ現実に戻って新通貨鋳造の為には頑張りませんと」
現実逃避兼休憩の時間は終わってしまったようだ。
はふーと息を吐いて、Vandalieuは眼の前の失敗作の数々……黒や紫色のどろりとした液体が満ちている石の入れ物を視界に入れた。
Talosheimに通貨を導入するのに問題に成ったのは、やはり材料にする金属だ。
Orbaum Elective Kingdomの通貨、Baumは一番価値がある白金貨(Royal Nobilityや大商人以外滅多に扱えない)以外はVandalieuが全て持ち帰り、Undead GiantのBlacksmith屋、Dataraによって配合された金属の量はaccurateに解明されている。
将来Hartner Duchy以外のElective Kingdom領と交易するのに、通貨の価値をBaumに合せるのは意義がある。
しかし、Talosheimでは金や銀がstabilityしてMiningできないのだ。
『Doran’s Aquatic Cavern』では、金銀がMiningできない。Dungeonの宝物庫で金塊や銀塊が出る事はあるが、流石に通貨に出来るほどの量がstabilityして手に入る訳ではない。Dungeonが何を基準に、そしてどうやって宝物庫に宝物を補充しているか分からないので、信用し過ぎる訳にはいかないのだ。
【Labyrinth Creation】skillも、宝物庫の中身は自由に操作出来なかった。
なので、主に採れる鉄や銅を中心に通貨を作る事に成るが、千Baum金貨や一万Baum金貨と同じ価値の通貨を鉄や銅で造ろうとすると大きくて重い、利便性のfragmentも無い金属塊が出来上がる。
いっそ硬貨ではなく紙幣の導入も考えたが、まだ丈夫な和紙は少量しか出来ないし、そもそも印刷技術がまだ稚拙だ。なのでやはり導入するのは硬貨が良いだろう。
「nameは早く決まったんですけどね」
通貨の名称は、Luna。【Eclipse King】が治めるCapital of the Sunの通貨が、月とは洒落ている。
更にコインの意Artisanも大体決まって、一Luna銅貨や五Luna銅貨、一Lunaの半分の価値がある半Luna鉄貨は試作品が出来上がっている。DataraがAmid銅貨やBaum銅貨と比べても遜色無い出来に仕上げてくれた。
そして十Luna以上の通貨を作るために使う金属を調達するために、Vandalieuは金属を作る事を思いついた。
『聞いた時は、相変わらずSquidれとるなと思ったわい』
「まぁっ、常識の範疇に囚われない発想と言うべきですわ!」
DataraにTareaがそう文句をつけたのにPauvinaは目を瞬かせた後呟いた。
「……二人とも同じ事言ってる」
賢い子である。
金属を作ると言っても、青銅の-samaな合金を作るという意味では無く、鉄や銅を材料に新しい魔導金属を作るとVandalieuが言い出したので、Datara達の感想はどっちも正解である。
魔導金属とは、Orichalcumを頂点にMythrilやAdamantite、ダマスカス鋼やObsidian Iron等のManaを帯びた金属の事だ。その成り立ちは、神のみが扱う事が出来るOrichalcum以外の金属は大体判明している。
MythrilやAdamantiteは、originallyは通常の銀や金がManaに何万年もの長い年月浸った事で変化して出来る、自然Refining。
ダマスカス鋼やObsidian Ironは熟練のBlacksmithingが通常の金属を加工してRefiningする。
DataraもObsidian Ironなら材料さえあれば作れるらしい。鉄を元にMythrilやAdamantiteの粉末を極少量加えながら一日がかりで鍛造してRefiningするので、『night通しやって剣を二か三振り分Refiningするのが精一杯じゃ。通貨になんぞ絶対に無理じゃわい』との事だが。
certainly、【Blacksmith】skillの無いVandalieuが【Golem Transmutation】で大量Productionするような事も不可能だ。
なので、VandalieuはMythrilやAdamantiteと同じくManaに金属を浸す方法で魔導金属を作ろうとした。
普通なら無理だが、Vandalieuの億単位のManaと対象の時間の流れを早くする【Inanimate Aging】の術を使えば可能ではないかと思ったのだ。
そして実際可能だった。数万年death attributeのManaに浸されたのと同じconditionに成った鉄や銅は、魔導金属へと変化したのだ。……液体金属に。
「うーん、確かに新しい魔導金属は出来ましたけど、これって硬貨には出来ませんよね」
『液体じゃからの』
重さと大きさは同じだが、黒や紫のMercuryの-samaな液体金属に成った鉄や銅を前に困っていた。これ、何に使えるのだろうかと。
「とりあえず鉄を『Death Iron』、銅を『Hell Copper』と名付けましょうか」
液体とは言え魔導金属だから、何かしら特殊な性質を持っているはず。なら、その性質次第では使い道があるはずだ。
硬貨に使えるかはin any case。
(液体金属の鎧とか作れたら面白いかもしれないけど、出来るだろうか?)