予想よりも移民政策が順調だったので、Vandalieuは予定よりも早くImmortal Entの森のDungeon攻略と、skillの検証を行う事になった。
『今回はおkaa-sanも憑いて行きますからね!』
Darciaを憑けて。
『おkaa-sanも寂しかったのに、Vandalieuったら……親離れには早いと思うのよ』
「いや、帰って来た時kaa-sanはまだ寝ていたじゃないですか」
weak霊のDarciaは、宿っている小さなbone片の中で眠っている時間の方が長い。Vandalieuが帰って来た時、偶々そうだったのだ。
ただ、あの場にDarciaが居るのは少し違うのではないだろうかと思わなくもない。
『それでkaa-san思ったんだけど、私もLevia -sanみたいにFire Ghostに成るのってどうかしら? 私も火炙りの刑で死んだんだし、きっと適性があると思うのよ』
「待って、Homunculusの作り方を手に入れて来たからもうちょっと待って」
『でも、Ghostに成ったらkaa-sanもVandalieuの力に成れるし、ずっと一緒に居られるわ』
「お願いだからもうちょっと待ってください。後Evil God (M)かEvil God (P)が居ればどうにかなるから」
これは急がねばなるまいと、Vandalieuは思った。
「悪い神はいねーか、邪な神はいねーか」
「……坊や、何故片手に鉈を持っておる? あと、流石にEvil God (P)やEvil God (M)は出来たばかりのDungeonには居ないじゃろ」
「いや、一縷の希望があるかなと」
Vandalieuしか知らないナマハゲの真似を止めて、VandalieuはImmortal Entの森に出現したDungeonを見上げる。
今回の探索memberは、Pauvina達年少組やEleonoraを除いたfemale陣+Bone Man、Vigaro、Cemetery Bee十匹、そして荷物持ちのLucilianoである。
「私は頭脳労働者なのだがね、師Artisan」
「本当に荷物を持たなくて良いです。後ろで俺達のmagicを見て、何か助言があればお願いします」
Lucilianoはadventurerとしては特殊でCClassでも戦闘力は低い。しかし、半ば破門されているそうだが正規のMage guildで師Artisanについて学んだMageだ。ほぼ我流のVandalieu達には無い知識や、違う発想があるかもしれない。
「それに一応俺のpupilsでしょう? 俺のmagicを見て、応用できそうなところがあったら言ってください」
「そうさせてもらおう、師Artisan」
その結果、これは無理だと諦めてくれないかなーとVandalieuはうっすら期待している。
「でも中が狭いか、出て来るmonstersが強かったら一旦戻って仕切り直しますからね」
「解ってるって。でも大丈夫、あの時よりもずっと強くなったんだから!」
「泣きません?」
「泣かないっ! 絶対泣かない!」
Katiaをからかいつつ、Dungeonの中に入るとそこは森に成っていた。密林やTalosheim周辺の広葉樹森、Borkus’s Sub-Dragon SavannahのGiantシダの森ではなく、松や杉等のneedle葉樹林だ。
『主が留守の間、monstersのrunawayが起こらないよう-sama子を見るために一階までは降りたのですが、中はこのように成っておりまして。
monstersの方は……あのように』
Bone Manが指差した先では、needle葉樹林の雰囲気をぶち壊す極彩色なGiant茸……Rank3のPoison Mushだ。
Giant茸に手足が生えたようなappearanceで、その愛嬌がある見た目に反して生き物を襲って殺し、死体に胞子をかけて子孫を残す、凶暴なmonstersだ。
それが三体ほど突っ立っている。
「立っていますね」
「……この距離なら普通に弓矢が届くが、何故あのmonstersは立ったままなんだ?」
『私達の数が多いから、警戒しているんじゃないかしら?』
「いや、それなら逃げるじゃろう。まあ、試しに攻撃してみるか」
とりあえずと、BasdiaとZadiris、Katiaがそれぞれmagicで攻撃してみる。どれも-sama子を見るための攻撃で、それほどAttack Powerは無さそうだ。
それらをPoison Mushは不動のまま真面に受けた。茸が風の刃で切れ、熱で焦げる香ばしい匂いが漂う。
「動きませんね」
「うーん、不気味じゃ」
『このような-sama子で。因みに、私も何匹か弓矢で倒しましたでヂュウ』
「我も何度か斧を投げて倒したぞ。今居るのとは違うmonstersだが」
「倒したんですか……ちょっと気になる事があるので、あのPoison Mushを倒してみてください」
「よし、任せるのじゃ」
VandalieuがMage guildのGuild Masterのmansionから持ってきた杖を貰ったZadirisは、【Light Blade】の術を使って瞬く間にPoison Mushを倒していく。
そして人型茸が倒れた後も暫く-sama子を見ていたVandalieuは、首を傾げた。
「あのPoison Mush、魂がありません。何故でしょう」
『確かに見えないわね』
「魂が無いって、そりゃあ一応植物だからじゃないの?」
「Bilde、植物でも魂は在りますよ」
他のworldではどうか知らないが、Lambdaでは植物にも魂は存在する。accurateに言えば、生物とされる存在には全て魂が宿っている。
流石に電子顕微鏡が無ければ見えない極小の微生物やvirusに魂が存在するかまでは、Vandalieuにも見えないので分からない。しかし、植物にも魂があるのにmonstersのPoison Mushに魂が無いとは考えにくい。
「それに、他の場所で倒したPoison Mushには魂がありましたから」
『じゃあ、いったい何で無いのかしら?』
「まだ中に入っているだけではないのか?」
「いや、あれは死んでます。でも確認のためにMagic Stoneがあるか確認してみましょう」
Magic Stoneは、monstersのheartがある部分にその死後発生する。だからMagic Stoneが体内に在れば、それはmonstersが死んでいる証拠だ。
Poison Mushのbody partを裂いてみると、Magic Stoneが発生している事が確認できた。このPoison Mushは、間違いなく死んでいる。
「うーん、分からない。砕いた訳でもないのに、何故魂が無いまま存在できるのか。Luciliano、何か心当たりは?」
「師Artisan、私はMageであって【Spiritualist】ではないので分かりかねる」
『ヂュ~、私は気にしませんでしたが、改めて考えるとやはり奇妙。主が作ったDungeonだからではないでしょうか?』
「そうじゃな、今まで人為的に創られたDungeonと言うのを儂は知らんから何とも言い難いが……そもそも魂の在るnoneなんて、Undead以外では坊やか【Spiritualist】でなければ見えんからの」
何とも言い難い。そもそも、Dungeonがどう言った原理や仕組みで内部にmonstersを発生させるのか解明されていないので、全く分からない。
「まあ、何故魂が無いのかはKami-samaに会う機会があったら聞いてみましょう」
そうVandalieuは言うが、聞いても教えてくれるかどうかは不明だ。質問が定命の存在には教えられない領域に踏み込んでいるからだ。
Dungeonにmonstersが次々に発生するのは、Demon King Guduranisが作り上げたDemon King式Circle of Reincarnation systemの恩恵だ。systemに流れるcountlessの魂を、そのままDungeonで発生するmonstersに使っているからだ。
他のEvil God (M)やEvil God (P)が出現させたDungeonも同-samaである。
ただ、Vandalieuは自前のCircle of Reincarnation systemを持っていないし、他のsystemを利用する術も知らない。
そのため、Vandalieuが作ったDungeonで発生するmonstersは、魂が存在しないまま動く生身のrobotのような存在なのである。例外は、Dungeonの外から入ったmonstersか、魂が空のconditionのmonstersに憑りついて後天的に魂が宿った場合だけだ。
これはNiarkiの町の近くの『Heinz Skeleton洞』も同-samaで、Vandalieuの憎しみを代弁するために動くようプログラミングされており、誕生した瞬間からprogramに従って活動しているだけで、最初期に大runawayの先頭に居た個体以外は魂を持っていない。
しかし、それ等の知識はGodsしか知らない事なのでVandalieu達はconjectureも出来ない。とりあえず棚上げして、先に進むしかなかった。
『まあ、良いじゃない。Experience Pointは稼げるんでしょう?』
Darciaの言葉にVandalieuは首を横に振って応えた。
「稼げますけど、案山子みたいに立っているだけじゃあskillの練習に成りません。勘も鈍りますし。
普通に襲い掛かって来てくれた方が助かります」
Vandalieuがそう言った瞬間、まるでswitchでも入ったかのようにPoison Mush同-samaに硬直したまま動かなかった唾液に毒を持つ猿のmonsters、poison Apeが「キキィー!」と雄叫びを上げて襲い掛かって来た。
ちょっと驚きつつも危なげなくpoison Apeを倒した後、Vandalieu達は何故突然あのmonstersが動き出したのか、他のmonstersで検証していた。
「止まれ、伏せ、お手、待て、かかってこい、やっぱり止まれ。……うん、有効なのは『止まれ』と『来い』だけですね」
Vandalieuは、彼が指示する度に人形の-samaに佇んだり、枝の腕を振り乱して襲い掛かったり、忙しく-sama子を変えるRank4のpoison Entの-sama子を確かめて、言った。
「驚いた……Tamerしているのとは違うの?」
「ええ、違います。他に言う事を聞きませんし。例えば、俺を三回回してください」
ヴヴヴヴヴヴ。
Cemetery Bee達はVandalieuを足で掴んで飛ぶと、そのままクルクルと三回周囲を旋回してから地面に降ろした。
「対して……俺を三回回してください」
同じ事をpoison Entに頼んでみるが、固まったまま微動だにしない。
「このように、俺の言葉に反応もしません」
「普通は、三回回れでは?」
「確かに、Tamerしているのとは違うようだな」
Lucilianoの呟きは聞き流され、皆この奇妙なmonsters達に首を傾げる。
「やっぱり、魂が無いからじゃない? 魂が無い生き物って言うのが、良く分からないけど」
『Vandalieuの言う事を少しだけ聞くのは、このDungeonを作ったのがVandalieuだからじゃないかしら?』
「確かに、考えてみればGolemに近いな」
「Golemにですか?」
今度は聞き流されなかった事に安堵しつつ、Lucilianoは説明した。
「Golemはalchemistが作る人形で、方法は-sama々だが共通しているのは魂が無い事だ。なので、動かすにはmasterであるalchemistが逐次命令を出すか、あらかじめ命令を入力したPseudo-人格を埋め込まなければならない。
Age of Gods EraにはHumanと変わらない判断力と応用力を持ったGolemも存在したらしいが、現代ではmasterの声に反応して簡単な命令を幾つか実行する程度でも高Class品なのだよ、師Artisanよ」
「Vanが作ったGolemとは随分違うな」
「……師Artisanが作ったGolemと同じ性能の物は、どんなalchemistでも作れんよ。作れたら、worldは変革を避けられないだろう」
Talosheimに来て、機械の代わりにGolemが動くGolem工場やらGolem監視網やらを見て、何度目かの「今までの常識が破壊される驚き」を味わったLucilianoは、口元を引きつらせた。
Slave鉱山では美しくも恐ろしいGhostを数多く使役し、それを用いた標高五百meter程とは言え岩山一つをhollowに変えてしまうmagicを、呪文の詠唱を用いずに行使する凄まじさに感服しpupils入りしたLucilianoだったが、Talosheimに来てまだ数日と経っていないのに、何度Mage業界の常識がひっくり返されたか。もう数える気にもならない。
「変革はin any case、やはりmonstersの行動が奇妙なのは魂が無いからみたいですね」
そのMage業界の常識にSlightly疎いVandalieuは、そんな物かと思いながらnod。そしてとりあえず、目の前のpoison EntをclawsでSlash倒す。
「とりあえず、このままだと修行に成らないので普通に襲い掛かって来てもらいましょう」
Vandalieuがそう言って以降、monstersは他のDungeon同-samaに普通に襲い掛かって来た。どういう仕組みかは知らないが、別の階層に降りてもそうだったのでDungeonのmonsters全体がそうなっているのだろう。
「後でVandalieuが居ないconditionで入ってもこのままか、確かめなければいけないな」
「そうじゃな。いちいち坊やに命令して貰わないといけないなら、修業には使えんし」
「……安全に素材とExperience Pointが手に入るのに、何故態々難易度を上げるのか」
戦闘民族なVigaroとZadirisがそう言い合うのに、Lucilianoが理解できんと首を傾げる。安全にRank4以上のmonstersを狩れるDungeonなんて、存在を知ったら何処の国でも欲しがるのにと。
「何を言っておる、adventurerじゃろ、お主」
「adventurerだが、別にAdventureが好きな者ばかりではないのだよ」
「うん、これ以外で稼げないから続けてる人も多いしね。それにskillのlevelは上がらなくても、levelは上がるし……Ghoulに成る前の私だったら喜ぶかも」
Lucilianoに同意するKatia。どうやらadventurerは戦闘民族ばかりではないらしい。その事実は二人以外を驚かせた。
「何じゃとっ!? あいつ等いつも戦意を滾らせておるのではないのか!?」
「全員命知らずだと思っていたぞ、我は」
『違うのですか? TalosheimのWarrior達は戦いこそ日々の糧と、特にBorkusは言っていましたよ』
『ヂュウ、驚きのあまりchinが……主、拾ってくだされ』
「俄かには信じがたいが、Vanはどう思う?」
遭遇するadventurerはほぼ全員自分達を狩りに来る敵だったZadiris達Ghoulだけではなく、Princess Leviaもadventurerは戦いが大好きな戦闘民族ばかりだと思っていたようだ。
そしてBone Manのchinを拾ってやりながら、Vandalieuは答えた。
「俺が知っているadventurerは、kaa-sanやKatia、Borkus達だったので……Katia達は少数派かなと」
やはりworldが狭いと正しい常識は育たないらしい。
三階、四階と降りながら、Vandalieu達は出現するmonstersやTrapの有無を確認して行った。
このDungeonの内装はneedle葉樹や広葉樹、密林、湿地帯等の違いはあったが、基本的に森だった。
そして現れるmonstersは上層の数階以外は、Rank4以上の植物系のmonstersが最も多く、後は蟲、両生類爬虫類、動物、魚の順で続く。
monstersの多くが毒やdiseaseを持っており、前もって準備していないと思わぬ不覚を取りそうだ。攻略者がUndead以外だったら。
それにTrapもそれなりに在る。落とし穴や、上から落ちてくる網、脚を釣り上げる蔦。不用意に歩いて張られた縄に足を引っかけると、Spikeが生えた丸太が横から突っ込んでくる事もある。
遺跡に仕掛けられるTypeでは無く、ゲリラ戦で仕掛けられるTypeのTrapが殆どだった。
「総合的な難易度で判断したら、CClass Dungeonぐらいですかね」
「CClassか。今まで『Borkus’s Sub-Dragon Savannah』しかCClass Dungeonは無かったからな、皆喜ぶ」
「連日混んでいたからな。monstersより挑戦者の方が多い日も、最近では珍しくないし」
「逆に今のDClass DungeonはStonemasonとHunter以外は攻略する人が少ないから空いているけどね。私も最近は行かないし」
Talosheimの近辺にはこのDungeon以外に四つのDungeonがあるが、BClassとCClassは一つずつだけなので最近BasdiaやKatiaは修行場に困っていたのだった。
「CClass Dungeonが混雑!? ……ここの連中はmonsterか」
普通、CClass以上のDungeonが混み合うなんて事はまず無い。何故なら、CClass以上からそこに至れるadventurerの数が減るからだ。
数の多いDClass adventurerが挑むDClass Dungeonなら、混み合って狩場を取り合うような事も少なくないのだが。
CClass Dungeonが混み合うのは、DClass adventurerでもveteranなら挑める事が多い一層目や二層目等の上層階か、何らかの依頼でそのDungeonで取れる産物や倒せるmonstersの素材が通常よりも高く買い取られる時ぐらいだ。
Lucilianoが驚愕するのも無理は無い。
『流石に、二百年前はそこまでじゃなかったのだけど……』
『VandalieuがLevia -san達を連れて帰って来るまで、私とchild達以外は全員adventurerみたいな国だったから』
『しかも、私やBorkus達UndeadはFatigueを覚えませんので。連日の-samaにDungeonで修行できます、ぢゅう』
「その上俺自身がDungeonで修業しますし、魚醤や味噌、醤油の材料に成る魚や塩がDungeonでしか取れませんから。
皆頑張っちゃうんですよね」
結果、Fatigueを覚えないUndeadと本来は怠惰な者が多いGhoulまでDungeonに通うようになった。そしてみんなlevelが上がり、Talosheimでは元Slaveの移民が来るまで国民の大多数がCClass adventurer並の戦闘Abilityを持つconditionに成っていた。
「Dungeon以外だと、Rank5以上のmonstersが出る場所までは町から半日程歩かないと行けないからな。あまりJadalを長く預けたくはない」
『育児も大変よね。でもここなら町の中だし、上層なら日帰り出来るんじゃないかしら?』
「後、Place of Exchangeも近いから素材を運び出すのも楽よね」
BasdiaとDarcia、Bildeの子育て中の主婦の物騒な会話である。
「やっぱり働くfemaleにとって職場までの距離や移動手段って重要ですよねー。今度Dungeon作る時は、もっと町の近くに……『Garan’s Valley』や『Doran’s Aquatic Cavern』なんかも、移築できないかな」
「出来たら便利じゃが、Dungeonを移築とは聞いた事が無いぞ」
「は、ははは、師Artisanがあまりにもフリーダムなのだが、誰に相談すればよいのだろね、私は」
『ぢゅぢゅぢゅ、主のpupilsは生半可な事では務まらないとやっと気がついたようだな』
その後は、延々攻略しながらskillの検証を行ったり、Dungeonの産物やmonstersの素材を使えるか調べたりした。
まず【Bloodwork】は、単純に【Bloodsucking】の上位互換だった。
bloodを飲んで回復するEnduranceやManaの量が【Bloodsucking】よりも飛躍的にincreaseし、傷の治りも早くなり、更に数percentだがAbility Valuesもincreaseするようだ。
後、このskillはそれなりに有名らしく、Lucilianoが詳細を知っていた。
「Superior Skillに変化する程大量のbloodを飲み続けた業の深さを表したskillでもあり、所有者の多くは定期的に強いBloodsucking衝動に襲われるそうだが……師Artisanはケロリとしているね?」
skillの性質上所有者の多くは上位のVampireであり、彼らがHumanを裏で支配するのはbloodを吸うための供給源を確保するためだ。
「bloodぐらい適当にmonstersを狩れば好きなだけ飲めるじゃないですか」
しかし、VandalieuにとってBloodsucking衝動は忌避するものではなかった。EarthやOriginだったら苦労したろうけれど、自然の脅威が豊かなLambdaではすぐmonstersを狩る事が出来る。
特にVandalieuは処女のbloodを尊ぶ通常のVampireと違って、中年のmountain banditだろうがOrcだろうが構わずbloodを飲む。味の好みは、あまり無い。
ただGoblinのbloodは臭みが強い等、肉が不味い生き物のbloodは不味く感じるが。
「そう言えば、Eleonoraや配下のVampire Zombieはbloodをどうしてるのじゃ? あまり飲んでいる所を見かけんのじゃが」
「我達とDungeonで修行している時は、monstersのbloodを吸っていたぞ」
「後、時々俺のbloodを少し飲みますね。Vampire Zombie達は……生肉を食べる時に一緒に摂取しているのでは?」
「Undeadが国民の国で言う事ではなかったか……」
Human社会ではキワモノ扱いされていたLucilianoは、Talosheimでは自分が常識人枠である事に愕然とし、【Degenerate】のsecondary nameが解除されたりしないかと心配になった。
次に【Insect Binding Technique】の検証だが、これも簡単に分かった。
「入って来ますねー」
「ますねーって、それで大丈夫なの?」
「特に問題は無いようです」
Vandalieuの手に、鮮やか過ぎて毒々しい色のGiantミミズが半ばまで入り込んでいた。そのまま、ゆっくりと手の中に潜り込んで行く。
「えーっと、それってRankは1だけどwhole bodyに小さな"poisonous needle"が生えてるPainwormじゃなかった?」
「みたいですね」
「いや、何で平気なのよ」
若干声が引きつっているBildeとKatiaの前で、Painwormは完全にVandalieuの手の中に消えた。だが、蠟を塗り固めたような不健康に白い肌には、傷一つない。
「Vitalityも減っていませんし、やはり特に問題は無いようです」
『ぢゅう? それはあの蟲を食べたという事ですか?』
「いや、食べたという訳でも無いと思いますよ。ほら、勝手に出てきますし」
逆の手からPainwormがのそりと出て来た。そのままボトリと地面に落ちるが、それを追ってPeteが飛び出してPainwormを咥えると、そのまま手の中に戻って行く。
「信じがたいが、【Insect Binding Technique】は自分のbody partに蟲を装備するskillのようだな」
「蟲を装備……何か役に立つのか? 蟲で殴り掛かる訳にもいかんだろう?」
「Peteが何で俺の髪の中に収まるのかの謎も解けましたね。役には、maybe立つでしょう。Cemetery Bee、同じように俺の中に入れますか?」
そうCemetery Beeに尋ねると、蜂達は特に嫌がりもせずVandalieuの中に音も無く入って行く。大きさ的に容赦無くVandalieuの頭に突っ込んでくるので見かけはグロテスクだが、やはりVandalieuには特に痛みも違和感も無い。
そして、完全に体の中に入ったCemetery Beeを、Vandalieuはbody partの一部の-samaにcontrolする事が出来た。手から頭だけ出したり、tongueの先端に"poisonous needle"だけ出現させるなんて事も可能だった。同-samaに、意識して命令するとPeteもbody partの何処からでも出し入れ出来た。
「なるほど、Tamerしている蟲Typeのmonstersならcontrolできると。
ところで、どうしたのですか?」
自分の頭をペタペタと触っているpupils以外の一同をVandalieuは見上げた。
「いや、さっき思いっきり頭から入っていったから、大丈夫かなと」
『主、主は平気かもしれませんが、傍で見ていると主が蟲に喰われているようにしか見えないのでヂュウ』
「……使う時は人目を避けるようにしましょう。
ところでLucilianoは?」
「そこで失神してるけど……無理も無いと思うわ」
【Insect Binding Technique】はbody partの中に蟲を装備するskillで、装備した蟲はTamer済みの蟲なら自由に出し入れでき、body partの一部だけ出すような事も可能。
ただ、数時間までならin any case長時間蟲を装備していると、蟲が必要な栄養をcostとして装備者が負担しなければらない。つまり、沢山食べるか、Vitalityを削るかしなければならない。
そんなskillの-samaだ。
【Dead Spirit Magic】に続いてVandalieuには優良なskillに成るだろう。
「これでTamerした蟲型monstersを装備したまま町に入って、Tamer guildに登録するのはどうでしょう?」
「儂はGhoulじゃからguildの事は分からんが、止めておいた方が良いじゃろうな」
『Vandalieu、おkaa-sanも止めておいた方が良いと思うの。きっと、みんなpanicするわよ』
「panicじゃすまないって。まだLuciliano起きないし」
「ピクシー等の、割と無害で大人しいmonstersって何処に生息しているんでしょう?」
少なくともこのDungeonには居ないようだが。
『ピクシーって、蟲なのかしら?』
「とりあえず、これからは使えそうな蟲型monstersが居たらTamerして装備しましょう。どれくらい入るのか確かめておいた方が良いでしょうし」
「えーっと、出来たら可愛いのにしてね?」
「善処します」
彼女の言う可愛い蟲ってどんなのだろう? 蜂とCentipedeは違うようだし、Pill Bugかな? Katiaの要望に頷きながらも、答えに中々思い至らないVandalieuだった。
そして今回の目玉、【Labyrinth Creation】skillの検証だが、これはすぐには全貌が見えなかった。調べれば調べただけ新しいskillの効果が明らかに成るからだ。
まず、Vandalieuは新しく降りた階層の構造が何となく分かった。一歩踏み込んだ瞬間、頭の中にmapが出来上がる。
次に、Vandalieuは一度攻略した階層の構造を変える事が出来た。壁を建てたり、Trapを設置したり、下の階層も攻略済みの場合だけだが、上下の階層に繋がる階段まで設置できる。
「おお、見る見るうちに樹木の壁が!」
「落とし穴や、階段まで出来るとは……」
「結構Manaを使いますけどね。小さなTrapや壁なら一万、階段なら上下両方だと一千万くらい」
「だが、Vanにかかれば安い物だろう?」
「実はそうです」
『凄いわ、Vandalieu。これで壁を四方に作ればDungeonの中でも安全に休憩できるわね』
Dungeonの壁は内装によってこのDungeonの-samaな樹木だったり、崖だったり、石やレンガ、正体不明の金属や生き物の内臓のような物だったりするが、共通して人為的に構造を変える事が出来ない。
『Garan’s Valley』の崖や『Doran’s Aquatic Cavern』の鉱物など、Dungeonの壁を一時的に削り壊す事は可能だが、長くても数日もすれば元に戻ってしまう。解除したTrapも、誰が仕掛けたのかは不明だが仕掛け直されている。
そうでなければ上ClassのDungeonは高Rankのmonstersとそれを倒す強大な攻略者が戦う内に遠からずDecayしてしまうだろうから、Self修復機能が備わっていて当然かもしれない。
逆に壁を作ったり、Trapを設置する事はより不可能だ。Dungeonに資材を持ちこむ事が難しい事もあるが、苦労して設置してもmonstersが破壊するか、いつの間にか消えてしまう。
石の壁で迷路状に仕切られているDungeonでも、戦闘の余波以外でmonstersは基本的に壁を破壊しない。だが攻略者が人為的に設置した壁等は、構わず破壊してしまう。
monstersが破壊しなくても、異物と認識されるためかDungeonの自動修復機能で損傷と同じように消えてしまう。
Vandalieuの【Golem Transmutation】skillでも、石材や鉱物をMiningする事は出来ても、Dungeonの構造を大きく変える事は出来なかった。
しかし、この【Labyrinth Creation】で作った壁はDungeon自体が変化した物なのでそのまま残る可能性が高い。
『monstersは【Golem Transmutation】で作った壁の方は壊したけど、【Labyrinth Creation】で作った壁は避けて通ったもの』
『本当にすごいです陛下、このskillが他のDungeonでも使えるなら、皆の生活がどれ程楽に成るか……』
「いやー、それほどでも」
DarciaとLeviaに賞賛され照れるVandalieu。ただ、もっと大きな発見がこの後在った。
何と、Vandalieuは自分と一緒に居る同行者も含めて、攻略したDungeonの階層に自由自在にteleportして行き来できたのだ。
二十三階から、一階に。一階から、十七階に。中ボスが居る階層だろうが、Dungeonボスが居る最深部だろうが、宝物庫以外には自由に行き来できた。
しかも移動できるのはその階層の入り口である階段の前だけではない。攻略した事のある階層なら、どの場所にも移動する事が出来た。
高度なAlchemyによって作られたmagic itemが設置されているDungeonでもここまでは出来ない。
「teleportって面白いですね」
「坊やはもう一度攻略したDungeonなら無敵じゃな」
「うん、Dungeonで活動するadventurerなら誰でも欲しがると思うわよ」
そして素材や手に入れた宝物、Tamerしたmonstersをゾロゾロと引きつれてVandalieu達はDungeonを後にした。
「魂が無いmonstersに、自分の周囲を漂う霊を憑けるとは……Pseudo-的なreincarnationなのでは?」
『主よ、pupilsが今にも泡を吹きそうですが、もう少し自重した方が良かったのでは?』
Lucilianoが驚愕と感動で不自然にガクガクと震えているが、Vandalieuは大袈裟だなとしか思わなかった。
主観では、GolemやUndeadを作る手間と何も変わらなかったからだ。それに、今引き連れているmonstersは彼にとって必要な存在だった。
「だって、fruitsや香辛料が欲しいのです。自重なんてしていられません」
このDungeonの中には、-sama々な植物型のmonstersが居て、中にはFruitを実らせる樹木が変化したEntや、Monster Plantが大量に含まれていた。
野イチゴやスSquid、唐辛子のMonster Plant、洋梨や梨、サクランボにラズベリーにブルーベリー、coffee、柑橘系のfruitsやバナナ、マンゴー、アボカドを実らせ、またはsyrupに成るSapを垂らすEnt。
中にはVandalieuが知らないFruitを実らせるmonstersも居た。Earthに在るかどうかは不明である。
『ぢゅう。なら、仕方ありませんな』
Bone ManはあっさりとVandalieuに倣った。彼も初めて見るFruitを食べるのを楽しみにしているのである。boneなのにグルメな奴だ。
後日、このDungeonは『Eclipse King's Orchard』と名付けられた。
・Name: Luciliano
・Race: Human
・Age: 29age
・Title: 【Degenerate】
・Job: Slave
・Level: 81
・Job History: Apprentice Mage、Mage、Life-Attribute Mage、Undead User、alchemist
・Passive skills
Mental Corruption:2Lv
Mental Resistance:3Lv
Augmented Mana:4Lv
Mana Cost Reduction:3Lv
Detect Presence:2Lv
Fatigue/Hunger Resistance:1Lv
・Active skills
Life-Attribute Magic:7Lv
Earth-Attribute Magic:3Lv
No-Attribute Magic:3Lv
Mana Control:7Lv
Alchemy:5Lv
Staff Technique:2Lv
Silent Steps:1Lv
Etiquette:1Lv
Mining:1Lv
研究者Typeの珍しいadventurer。一応CClassだが、実際の戦闘力はDClassで、levelの高いmagicもUndeadを作る事に特化している。
彼が作れるUndeadは新鮮な死体を使ったLife-dead等、死体にmagicでVitalityを付与して動かす物で、Vandalieuが作る個体とは異なる。
尚、Slaveに堕ちる時に彼のadventurer資格は失効している。