Job changeを済ませたVandalieuは、第七cultivation villageから【Flight】して先行したEleonora達を追いかけていた。
ただ今日はやけに大鴉が多く、木の上を飛ぶとぶつかりそうで面倒なので、木の枝よりも低い高さを縫うように飛んでいた。
すると、ぽとりと後頭部に違和感を覚えた。
「ん?」
鳥の糞か木の実でも落ちて来たのかと思ってその場で止まり、髪を手で払うが何も無い。しかし、何かが這い回るような感触がする。その感触を指で追っても、【Out-of-body Experience】して自分の後頭部を目視で探しても、落ちてきた何かの姿は無い。
「……まあ、いいか」
【Danger Sense: Death】に反応は無いし、こそばゆいがあまり気に成らない。放っておこう。
Kaidou Kanataの魂の消滅を、RodcorteはCircle of Reincarnation systemが警報を上げるよりも早く確認していた。
何故ならKanataがUndeadにされる事は無いにしても、Vandalieuに魂を砕かれたりVida's New Racesにされたりする可能性がある事に彼は気が付いていたからだ。
certainly、それはKanataがVandalieuを始末できれば要らぬ心配だったのだが、結果は敗北。しかもただの敗北ではない。
『状況は最悪一歩手前か』
魂が砕かれた事は残念だが、KanataのCircle of Reincarnationは彼がVandalieuを始末した場合渡す報酬……Earthに似たmagicもmonstersも無いworldの、富豪の元に絶世の美少年としてreincarnationさせる準備のため、systemから外していたので大きな障害にはなっていない。
問題なのは、KanataがVandalieuに対してReincarnator全員がこれから彼を殺しに行くような事を口走った事、更にLambdaで殺されてもすぐに再びreincarnationできると宣言した事だ。
お蔭でVandalieuの警戒心を煽り、更にReincarnatorは魂を砕かなければ際限なく向かってくると思わせてしまった。
『実際には、そう上手くいっていないのだが』
KanataがLambdaにreincarnationした後も、三人のReincarnatorがOriginで死亡している。どうやらOriginでは、Shihouin MariがKanataを殺した事と、そしてその動機、Kanataが裏でやっていた悪事が明らかに成り、その結果Rodcorteの予想より犠牲者の数は少ないが、Reincarnator同士の仲違いが起きたようだ。
同じEarthからのReincarnatorで、同じ船に乗っていたとはいえ、共通の思想を持っていた訳では無い集団だ。それにOriginにreincarnationしてから三十年近くたてば、価値観にも変化が出る。
今まで纏まっていたのは、他のReincarnatorから抜きんでた実力を持つAmemiya Hirotoの存在が大きかったからだろう。
問題なのは、三人のReincarnatorはRodcorteの依頼に良い顔はしなかった事だ。
あのUndeadの正体が自分と同じReincarnatorである事には驚いていたが、Lambdaでも殺して欲しいと言われると首を横に振ったのだ。Kanataがdemandしたような報酬も提示してみたが、それでも良い返事は聞けなかった。
成人のbody partでreincarnationして今すぐKanataに協力する事はcertainly、通常通りchildからやり直してもVandalieuを殺すつもりは無いと答えたのだ。
『もう、殺し合いには疲れたの。普通の人生を生きたいのよ』
『あいつから俺達を見分ける手段は無いんだろ? だったら、関わりたくないな』
『Kanataに協力? 冗談じゃない、元はと言えばあいつがしでかした事のせいで、あんな目にあったんだぞ』
一人目は戦いその物を拒否し、二人目は自分には関係無いと関わりを拒否し、三人目はVandalieuと言うよりも、Kanata憎しで協力を拒否された。
Origin同-sama、同じReincarnator同士生きていれば再会する-samaにDestinyを与えたが、彼らがVandalieuに対してどう出るかは不明だ。
宣言通り関わらない-samaにするかもしれないし、逆もあり得る。Vandalieuが彼等のreincarnationした先の国や町に大きな不利益を及ぼす存在と成れば、彼らも無視はできないだろうが。
逆に仲間に成ろうとするかもしれないが、Originで死んだ直後の狂態を思えば、Vandalieuが彼らを受け入れる可能性は低いはずだとRodcorteは考えた。
『尤も、どうなるかは-sama子を見なければ分からんが。Vandalieuは本当に何を考えているのか、予測が出来ん。まさか、Demon Kingのsealedの一部を解き、しかも Absorptionするとは』
Lambdaでも何人かはDemon King Fragmentを利用している者は存在する……しかしいくらManaが多くても、普通なら体内からDemon Kingの一部に乗っ取られ徐々に正気を失うはずなのだが。
『まあ、良い。これもReincarnator達の説得材料に使えるだろう』
VandalieuはDemon Kingのsealedを解く危険な存在だと説く訳だ。尤も、この情報をLambdaのGodsに教える訳にはいかないが。
Alda達に知られると、Vandalieuだけでは無く他のReincarnatorも狩りだされかねない。
Kanataの無思慮な行いのせいで嗅ぎつけられたのではないかと肝を冷やしたが、どうやらまだAlda達はReincarnatorの存在に気が付いていないらしい。
KanataをただのUnique skill持ちの犯罪者だと思ったのか、Rodcorteが思っている以上にAlda達には余裕が無く、believer数名のrecordを見る暇も無いのかもしれない。
『何はともあれ、次のReincarnatorからはVandalieuが魂を砕ける事、更にOriginでの力を取り戻し、一部は超えつつある事を告げるべきか』
怖気づかれては困ると考えてKanataには黙っていたが、その結果KanataはVandalieuを過小評価し過ぎて緊張感も無く、無策に攻撃した結果敗北してしまった。
魂を砕かれる危険性について告げておけば、Reincarnator達も警戒するだろう。告げた結果、依頼を断られる事も多いだろうが、無駄にReincarnatorの数を減らされるよりはまだ良い。
『Originでの仲違いは表面上は収まったか。では、また暫く待つとしよう』
Goblin Kingに占拠されていた廃墟は、すっかり-sama変わりしていた。城壁の外側は同じだが、内側は幾つもの建造物が立ち並び、見張り櫓も建てられている。
まるで町が復興したかのようだ。
しかし、その町に集まった者達の姿を見たらとても町が復興したとは思わないだろう。
『ああ、皆……無事では無いけれど、また皆に会えるなんて……』
中心で感動に声を詰まらせているのは、一見すると炎のような色の髪と瞳をした、起伏に富んだ褐色の肌をやはり炎を思わせるLeotardの-samaな物で包んでいるGiant raceの美女だ。
だが膝のやや上あたりで足が途切れて、midairに浮かんでいる。炎を思わせる髪やLeotardは、実際に炎で出来ている。
Talosheimの元First Princess Levia、彼女はKaidou Kanataを倒した事でRank upし、Rank5のBlaze GhostにRank upしていた。
『Princess -samaっ!』
『Levia -sama、俺達はっ……!』
『オノレ、Hartner Duke 家メ!』
そしてPrincess Leviaを囲む数百人のUndead Giant達。
『すまない、お前達っ! 俺達はお前達に託された者を、誰一人守れなかった!』
『言うな、悪いのはDuke 家の裏切り者共だ! お前達を殺し、Levia -samaを焼いた畜生共だ!』
『ウオオオッ! 坊主っ、今すぐSlave鉱山に殴り込んであいつらを助けたら、このDuchyを蹂躙しようぜ!』
「まあまあ、落ち着きましょう。前にも言ったけれど、Heinz達が居るからDuchyを蹂躙するのは危険です」
怒り狂うBorkus達をVandalieuは宥めた。実際、ここにある戦力だけでこのHartner Duchyに甚大なDamageを負わせる事は出来る。
Rank10の上位UndeadであるBorkusが剣を一振りすれば、どんな城壁でも打ち崩せる。SoldierもKnightも、肉の壁にすらならない。
そこに他のUndead達と、Vandalieuが加わるのだ。
Incurable Disease Deadly Poisonをばら撒いて老若男女を殺し尽くし、犠牲者をUndeadにして殺戮を繰り返す。殺した分だけallyを増やして行進する、死の軍勢だ。
だが実質SClass adventurerと同等の実力を持つHeinz達【Five-colored blades】に、他にもAClassやBClassの上Class adventurerが居るはずだ。それに、大事に成ればElective Kingdomの他のDuchyからも応援が駆けつけて来るだろう。
そうなると負ける。
「なので、今回はSlave鉱山を襲撃するだけで抑えましょう」
『それでも良いっ、早速行こうぜ!』
「だからダメですってば」
そうBorkus達を止めるVandalieuだが、それは失敗を恐れての事ではない。Borkus達の戦闘Abilityなら、ForefrontでもないSlave鉱山を守るSoldierや砦くらい、苦も無く残骸に変えてしまえる。
「巻き込まれてSlaveの皆が死んじゃったら、悔やみきれないじゃないですか」
しかし強引に攻め込むと、それで発生したpanicで何が起こるか分からない。混乱したSoldierがSlaveを盾にしようとしたり、どうせ死ぬならその前にと女のSlaveを襲ったりするかもしれない。
それに、Slave達がBorkus達を自分達を助けに来たのではなく、殺しに来たただのmonstersだと勘違いしてしまうかもしれない。
それで、「どうせ助からない、生きたまま喰われるよりは」とsuicideでもされたら事だ。流石にBorkus達にはそこまでは言えないが。
「っと、言う訳でまず潜入して、大人しく助けられるようにと理解を求めます」
『ぬぅ~……仕方ねぇ。だがDuke 家はどうする?』
「そっちは、scandalを公にしたり城を物理的に傾けたり、奪われた宝物の一部を取り返したりしてきたので、今回はそれぐらいにしましょうよ」
Vandalieuは【Golem Transmutation】で簡単に建物を建て、若しくは直し、更には移動させる事も出来るのであまり実感は無いが、Demon Kingのsealedが解けた事を偽装するために地下墓地を潰して城を傾けた事は、誰もが青ざめる-samaな損害だ。
すぐに崩れるという事は無いだろうが、城はHartner Duchyにとっての国の象徴で、いざという時の守りでもある。
だから新しく建造しなければならないが、莫大な費用がかかるだろう。それこそVandalieuが助力でもしない限り。
『ところでBocchan、取り返した国宝ですが……』
「はい、とりあえず今は俺が持っています」
城から取り返した国宝は、奪われた内の半分程度だ。残りは褒美として他のNoble 家に下賜されたり、potion等は使用された後だったり、CenterのElected King領へ寄付(という名目で援助を受けるために売った)等して、散逸していた。
残っていたのはitemボックスの-samaな高価で貴重なmagic itemではなく、殆どが宝飾品だった。最近までDukeに憑いていた霊によると実際にはitemボックスもまだあるらしいが、旧Sauron領と接している軍事拠点に物資の輸送をするために使用している最中らしい。
それに二百年前の戦争でBorkusがMikhailに砕かれたMagic SwordもTalosheim王に下賜された国宝だったので、Talosheimの国宝はoriginally magic item類が少なくなっていたらしい。
Giant raceは第二PrincessのZandia等の一部の例外を除きmagicに向いていないraceなので、約十万年も孤立していたTalosheimはZakkartの遺産を除けばmagicの後進国だったのだ。
「でもBraga達に持って行ってもらいましょう」
Braga達Black Goblin部隊は、Marie達loverを連れて先にTalosheimに戻る予定に成っている。Marie達には一応最終的な意思確認をしておいたが、彼女達の意思は変わらなかった。
「大変だと思うけど、生まれ変わったつもりでこの人と生きていきます」
「きっと大丈夫よ。だってこの人ったら、Humanじゃないのにあたしが今まで会ったどの男よりも優しいのよ」
「俺っ、二人を大切にする」
二人の夫に成ったBragaが、急に大人びて見えた。これがモテる男の貫録か。
そんな事を考えているVandalieuを、Bragaは一転して半眼で見つめ返す。
「King……何考えてるか分からないけど、俺よりKingの方がモテてる」
「……自覚が無い訳じゃないです」
両サイドからむぎゅっと抱きしめられているVandalieuは、豊かな谷間に埋もれる-samaな恰好のまま言った。
『ふぅ……久々のBocchanは効きますねぇ~』
『うう、本当に。ダメなのに離れられない~』
Ritaは恍惚とした顔で、Salireは若干恥じらいつつも欲求に逆らえない-sama子でVandalieuを抱きしめていた。そろそろ異性を意識し始める微妙なageなので、人前では止めて欲しいのだが。
「二人とも、いい加減にVandalieu -samaを離しなさい」
『Eleonora -sanは今まで一緒だったから良いじゃないですかっ! 私達は留守番だったんですよ!』
『Eleonora -san、私達Maidはmasterから三日以上離れると禁断症状が出るんです!』
「……Maidってそんな職業でしたっけ?」
Vandalieuが冷静に突っ込むが、何故かEleonoraは二人の言い分に理があると認めたようだ。
「仕方ないわね。でもVandalieu -samaが疲れないようにするのよ」
仕方ないらしい。
『『はーい』』
若干力を緩めてくれたので、呼吸はしやすくなった。鎧以外の部分はSpirit Formで出来ているRitaとSalireのbody partは、夏には丁度良い冷たさなので、呼吸さえできれば抱かれ心地は良い。
『Bocchan、TalosheimにはGhoulの皆-sanやRapiéçage、Pauvina -chan、そして誰よりもDarcia -samaも待っていますので……今の内にご覚悟を』
「わー、俺ってモテモテですねー」
どうやら、Talosheimに帰ったら皆に熱烈な抱擁をされるらしい。Hartner Duchyでささくれ立った心が滑らかに研磨されそうだ。
(俺って、何かbody partから出しているのかな? VanダニウムとかビタミンVとか、Van酸とか)
Lambdaには検査機器が無いので確認は出来ないが、未知の栄養素やミネラルが存在するのかもしれない。
キチキチキチ。
『あ、Bocchan、髪の中に大Centipedeが居ますよ』
大Centipede。Rank1のmonstersで、中型の蛇と同じくらいの大きさのCentipedeである。主食は鼠や昆虫などの小動物で作物に無害な事から、益虫扱いされる事が多い。ただ、時折木に登って下を通る動物に掴まり移動する事がある。
『そう言えば【Insect User】にJob changeしたんでしたね。早速Tamerしたんですか?』
「はあ、何時の間にかしたみたいですね」
大Centipedeは暫くVandalieuの頭を這い回った後、再び髪の中に潜って行った。
「俺の髪の中は一体どうなっているんでしょう? まあ、別に害は無いようなので良いですけど」
「本当に害は無いのっ!?」
Eleonoraが慌ててVandalieuの髪の中のCentipedeを探すが、見つからないようだ。
「大丈夫ですよ、痛みも何も無いですし」
ただskinの下を蟲が這い回っている-samaな、こそばゆい感触がするが。
「Peteと名付けよう」
そう言えば、Japanに髪の中にCentipedeをendureばせたKami-samaが居た気がする。あれは何のKami-samaだったろうか?
『あ、あのー、宜しいですか?』
ふとMemoryを掘り起こしていたVandalieuに、Princess Leviaがスーッと近付いてきて遠慮がちに話しかけてきた。
『Princess -samaもですか?』
ただし話しかけたのはVandalieuではなく、Rita達だった。
『はい、今はまだ陛下とは手をつなぐ以上の事は……でも、そうなるのが自然な事だと思いますし』
炎の明度を上げてそう言うPrincess Levia。表情と仕草からconjectureすると、maybe頬が赤くなる代わりに恥じらいを表現しているのだろう。
「そうなるのが自然……まあ、そうよね」
『旧王族の姫-kunが、新国王と……歴史上珍しい話ではありませんな。大抵は悲劇か、ただの政略結婚ではありますが』
EleonoraとSamによると、VandalieuとPrincess Leviaがそうなるのは自然な成り行きらしい。
「わー、話が纏まっていきますねー」
どうやらそう言う事になるようだ。別に不満は無いし、それどころか【Dead Spirit Magic】skillを使うためにはPrincess Leviaの存在は欠かせないので、彼女が一緒に居てくれる事は好都合だ。
心情的にも美人に慕われて嬉しい。Body ageの関係でその手の欲求はまだ微妙だが、美しいと感じる人を好むのは当然だ。
それにoriginally Princess LeviaのImoutoのZandia Princessの左手も託されているし。
『おーし、娶っちまえ坊主っ! Zandiaの嬢-chanよりも先にLevia -samaを自分色に染めるとは思わなかったが、それでこそ男だぜ!』
「Borkus、さっきまでの怒りと怨念は何処に?」
『それはそれ、これはこれだ』
『分りました、一緒にBocchanを支えていきましょう』
『ありがとうございます』
『生まれも死に場所も違う私達ですが、死後は一緒です』
「私はまだ死んでないけど、Vandalieu -samaに尽くすのなら私達は同士よ」
『ところで、そのお召し物は……もしかして私達への対抗意識ですか?』
『いえ、これは私の炎で出来ていて、dressのような形にも出来るのですが面積を多くするほどManaを使うので、節約です』
female陣の話は纏まったらしい。
『末永く、よろしくお願いしますね。出来れば、sisters共々』
足があれば二meter半ば以上あるGiant raceの美女の抱擁は、埋もれると表現できる抱かれ心地だった。
「俺の末は長いですよ。千年単位で生きますし」
因みに、Levia達のbody partの温度は調節が可能で、下げれば風呂ぐらいの熱さを保つ事が出来る。
触れても温まる程度で火傷しない自分の炎とSpirit Formに包まれているVandalieuに、Leviaはくすくすと笑った。
『それを言うなら、私達にはもう寿命もありませんよ。死んでいますもの』
「それは一本取られました」
和やかな二人とそれを祝福するEleonoraとUndead達の外で、危機感を覚えている者達が居た。
「あなた、もしかしてVandalieu -samaって、手当たり次第なの?」
それは移住する国の統治者の異性関係に不安を覚えたMarie達だった。政治の知識などほぼ無い彼女達だが、古来統治者の女癖の悪さは、国が乱れる原因の中でも代表的に語られている。
「そんな事無い、King、-chanと選ぶ」
そう言ってBraga達はMarieを説得するのだった。
Hartner Duchyは、Boundary Mountain Rangeに接していながら鉱物資源が限られている。それはMountain Rangeが地中でさえmonstersが跋扈する危険地帯であるため発掘事業を行う事が出来ない事と、Mountain Range以外の山から有望な鉱脈が発見されないからだ。
だからHartner Duchyでは幾つかのDungeonと、Duchy南端の鉱山に鉱物資源を頼っていた。
尤もその鉱山の産出量は、約二百年前に大きく減り、以後現在まで横ばいのままだ。Talosheimとの交易がまだ続いていた頃は金属を輸入しながら、鉱山に新しい鉱脈が無いか調査していたが、今ではそれも諦められている。
鉱山から坑夫達の姿は消え、代わりに姿を現したのは監獄の-samaな壁とSoldier達と、Slave達だ。
現在では正規の坑夫ではなく、犯罪Slaveを主に使って鉱石を掘り、製錬していた。
ただ、初期は犯罪Slaveではなく濡れ衣を着せて犯罪Slaveに落としたTalosheimの女childで運営していた事から、通常とは違った処置が取られている。
監獄の-samaな外観の内側には、Slave達の村が存在する。普通なら鉱山では牛馬以下の扱いを受ける犯罪Slaveだが、当時のDukeには「もしTalosheimに生き残りが居たら」と言う危機感があった。
特に、当時AClass adventurerだった【Sword King】Borkusや【Saintess】Jeena、【Tiny Genius】Zandiaの生死がまだ不明だった。
実際にはMikhailに三人とも殺されていたのだが、Pure-breed Vampire Gubamonの手の者がJeenaとZandiaの遺体を盗み、致命傷を負って一人撤退してきたMikhailと鉢合わせして殺し合ったため、accurateな情報が伝わらなかったのだ。
そのため万が一生き残りが居た時の為の人質が必要だった。Princess Leviaでも良かったが、彼女を生かしておくと他のDuchyの手の者が彼女を旗印にしてAmid EmpireではなくHartner Duchyを糾弾する可能性が捨てきれない。
それに、Robust HealthなBodyを持つGiant raceはchildでもHumanの大人以上のBody労働をこなす。そのため簡単に使い潰すような事はExtreme Strength避けて鉱山の運用が行われた。
そして時が流れる内にそのまま慣習と成って続き、Slave鉱山のSlave達は他の鉱山よりも生き長らえる環境が与えられていた。
生来のSlave階Classの一族を管理する、Soldierの町。そんな状況だ。
「聞いたか、次に何時新しい『物資』が入るか分からないって話」
そんなSlave鉱山で首輪を付けられた坑夫達が働くのを監視しながら二人組のSoldier達が雑談に興じていた。
「ああ、町でmonstersのrunawayが起きたって言う話だろ。その話題は聞き飽きたよ」
昨日到着し、そして今日の朝発った食料品などをtransportationする隊商から、Niarkiの町でmonstersのrunawayが起きた事は既にSlave鉱山中に広がっていた。
Niarkiの町出身のSoldierなどは、peddlerに頼んでfamilyに宛たletterなどを渡していた。このSoldier達は他の出身なので他人事だったが。
「代わりに煩い新兵やボンボンも来ないし、良いんじゃないか?」
「まあ、そりゃあそうだが……Goblinを殺すのにも躊躇って、吐くような奴も偶にいるしな」
このSlave鉱山に配属されるSoldierは大きく二種類に分かれている。ageやinjureで厳しい前線では活躍できないだろうが、首にして食い詰められて犯罪に走られても困るので配属されたretire組と、土地が広くてmonstersもGoblin等weak raceしか出ないので、演習と訓練をするために新兵が派遣されてくる。
このSoldier達は前者で、新兵が派遣されてくるとその面倒を見なければならないので仕事が増えるのだ。特に、Noble 家の三男以降の家は継げないがprideが高いおBocchanは、本当に面倒なのだ。
軍の序列ではただの新兵なのだが、同時にNobleである上に将来の士官Candidateでもあるので扱いにも気を使う。
Soldier達の上官がしっかりしていれば、その辺りも楽に成るのだが……今のSlave鉱山のGeneral OfficerはBesser法衣Viscount。Lucas公子の派閥に居た軍系のNobleだったが、ヘマをやらかし左遷された、「Nobleにあらずんば人に在らず」と公言するNoble至上主義者だ。
Besser Viscountが彼等平民出身のSoldierと軟弱とは言えNobleのおBocchan、どちらのallyかは考えるまでもない。
「だが、『物資』が来ないのはなぁ……この頃狩の獲物もGoblinばっかりだしな」
「そう言えば、何故かGoblinが多いよな。最近は減って来たが。近くにKingでも出たのかね?」
「止めてくれよ、縁起でもない。俺が言いたいのは、『物資』も美味い物も食えないなんて日々の楽しみが無いって事だよ」
「まあ、こんな所だしな」
Slave鉱山はSoldier達にとって十分な職場ではなかった。美味い物を食べたければ狩に出るしかない。certainly日々の無聊を慰めるtheaterや見世物小屋、大道芸人も無い。
peddlerが運んでくる支給品と、ちょっとした買い物。そして『物資』がSoldier達の娯楽だった。
「しばらくは昨日運ばれてきた『物資』があるだろ」
「お前見てないのか? 昨日来た『物資』には上物が一人もいなくてな……」
「それはお前が欲張ってるだけだ。鉱山に回されるSlaveに、上物が居る方がおかしいだろ」
Soldier達が先ほどから言っている『物資』とは、Slaveの事だった。certainly芸をさせる等、そんな用途で日々の楽しみをSoldier達に供する訳では無い。
「犯罪Slaveの女mountain banditが回されて来た時があったじゃないか」
「まあ、顔は良かったけどあれは腕が無かっただろ。頭の中身も壊れ気味だったし。そもそも、何年前の話だよ」
鉱山に回されるSlaveは在庫と化しSlave商人の負担に成るような売れ残りか、originally誰も買いたがらないような犯罪Slaveが殆どだ。だが、その中には当然女もいる。
その女達がSoldier達の慰み者になっていた。
「Giant raceならいるだろ」
そしてTalosheimの避難民の女も、そう扱われている。
「俺は他の奴らと違って、デカい女は嫌いなんだよ。なんだか見下されたような気分になるからな。それに、やりすぎるとこっちが懲罰の対象に成るから、あんまり無茶は出来ないし。あーあ、またcultivation villageが廃村にならねぇかなぁ」
「いや、他のSlaveでもやり過ぎたら懲罰の対象だけどな。あの時も無茶やって何人か死なせて、Viscountが金切り声を上げてただろ。労働力を無暗に減らすなって」
「そうだな。仕方ない、とりあえず適当なのを見繕って……あれにするか」
Soldierの片割れが目を止めたのは、白い髪で顔にボロ布を巻いた隻眼のchildのSlaveだった。瞳が死んでいるのは鉱山で働くSlaveでは珍しくはないが、日にあたった事が無いような白い肌が気に入ったのかもしれない。
「おい、幾らなんでも小さすぎないか?」
「別に良いだろ、どうせ長くても来月まで持たないんだ。それがちょっと縮むだけで」
そう言うと、Soldierは鉱石が入ったトロッコを押している白髪のSlaveに声をかけると引きずるようにして何処かに行ってしまった。
当然勤務中なのだが、こう言う事はずっと前から行われていた事なので、Besser Viscountか新兵の見ている前でない限り見過ごされる。当然もう一人のSoldierもそうした。
だが、ほんの十数分で同僚が一人で戻って来た時は妙だなと思って話しかけた。
「おい、妙に早いがあのSlaveはどうした? 死なせたなら、-chanと死体は処分したのか?」
childでもSlaveの命が尊いとはfragmentも思っていないSoldierだったが、死体を放置するのは良くない事は知っていた。虫が湧くし、diseaseが発生したら彼自身の身も危ない。
確認されたSoldierは、まるで人形のような無表情のままeyeballだけを動かして話しかけてきた同僚に答えた。
「大丈夫デス、問題無イデス」
「……おい、本当に大丈夫か?」
「本当ニ、大丈夫デス。私ハ、何時モ通リダ」
「いや、どう見ても真面じゃないぞ。Cleric -donoに診て貰え」
明らかに異常な-sama子の同僚の肩を掴むと、そのままDoctorの役割も兼ねているClericの所に連れて行こうとする。他のSoldierに一言声をかけてから。
「こいつの-sama子がおかしいんだ。ちょっとCleric -donoの所に連れて行って診せて来る」
話しかけられたSoldierの一人が、手伝うつもりなのか近づいてきた。
「大丈夫デスカ、私モ手伝イマShow」
「ああ、悪いな。おい、しっかりしろ」
そのSoldierの顔を見ないまま、友人でもある同僚Soldierの-sama子を心配そうに見ながら、彼は歩いて行った。
戻ってきて何事も無かったように勤務を続ける二人のSoldierに、他の同僚が話しかけた。
「大丈夫か? 顔色が悪いようだが……」
「ハイ、大丈夫デス。Tadano寝不足デス」
「Cleric -donoニ相談シタラ、良クナリマシタ」
「アナタモCleric -donoニ、相談シテハドウデスカ。気分ガ晴レマスヨ」
「そ、そうか、俺は、遠慮しておくよ」
話しかけた同僚は二人の薄気味悪い -sama子に顔を引き攣らせて、持ち場に戻って行った。
その横を白い髪と肌のchildのSlaveがトロッコを押しながら通ったが、そんな事よりも同僚の異常が気になっているらしい。
彼の後ろ姿を、幾人かのSoldier達の虚ろな瞳が映していた。
《【Mind Encroachment】skillのlevelが上がりました!》
・Name: Levia
・Rank: 5
・Race: Blaze Ghost
・Level: 0
・Passive skills
Spirit Form:5Lv
Mental Corruption:5Lv
Heat Manipulation:6Lv
Flame Nullification
Materialization:5Lv
Augmented Mana:3Lv
・Active skills
Housework:5Lv
Projectile Fire:5Lv
Possession:3Lv
・Monster explanation::Fire Ghost Flame Ghost、Blaze Ghost
火災の犠牲者や火刑に処された罪人等、深い怨念を持ったまま死んだ霊が邪悪なManaに汚染されmonsters化した存在。
その多くは焼かれ死ぬ苦しみで狂っており、生前のMemoryどころかreasonも失い、自分の同類を増やそうと生者に襲いかかる邪悪な存在である。
火刑で処刑された罪人をいい加減に葬ると、このmonstersと化して蘇り人々を害するとされる。Fire、Flame、ブレイズの順で危険度と強さが増す。
主な攻撃方法は燃えるbody partでの体当たりや格闘戦で、多少wisdomが残っている個体はbody partを構成する燃えるSpirit FormをProjectile Fireする遠距離攻撃を行う。
ただ最も危険なのは【Possession】で、憑りつかれた者は祓うまで生きながら焼かれる苦痛を味わう事になり、最悪狂死する。
物理攻撃は【Materialization】skillを使用している時以外はほぼ効かず、Fire-Attribute以外のmagicかMartial Artsを使用しなければ倒せない。Spirit Formがmain bodyであるにもかかわらずMagic Stoneは発生するが、その他に素材が採れないためadventurerからは不人気なmonstersである。
Levia及び彼女の護衛だったTalosheimのWarrior達のGhostは、Vandalieuの【Mind Encroachment】skillにより自分達が殺された当時の負のemotionsを思い出した事でこのmonstersと化したので、生前のMemoryを殆ど持っているconditionである。
また姿も通常このmonstersは動く焼死体同然だが、Levia達は脚が膝や腿の半ばまでしかない事以外はほぼ生前の姿に、炎の衣を纏っている程度である。
彼女達の力は、Vandalieuの【Dead Spirit Magic】skillと莫大なManaによって最大限を越えて発揮される。