Vandalieuが城の地下に向かっている事を【Target Radar】で知ったKanataは、clicking tongueした。
spaceが限られる地下では、Kanataは自分の力を存分に発揮できないからだ。
全力でmagicを放つと、崩落などで自分も危うくなる。土砂は【Gungnir】で透過できても、酸欠はどうにもならない。
それに、彼が得意な銃……Lambdaでは【Archery】に成ったが、射撃は地下だと障害物が多い等使い辛い事が予想される。【Gungnir】でKanataが放つ矢は障害物を「透過」するが、Kanataの目は障害物を「透視」出来ないからだ。
だからOriginでは赤外線スコープや探知magicでtargetの位置を特定していたのだが……Lambdaに赤外線スコープは存在せず、探知magicを唱えるとVandalieuにそれを察知され、逆に自分の位置を知られる可能性があった。
仕方ないと、Kanataは遠距離からの狙撃を諦め近距離での暗殺に思考を切り替えた。
この時Kanataがここで仕掛けるのを諦め、後日暗殺の好条件が揃うのを待つ、若しくは揃う-samaに策を巡らせる事を選ばなかったのは、Vandalieuが自分より機動力に優れているため逃げられるかもしれないという理由もあったが、一番大きかったのはさっさと仕事を終えて四度目の人生を始めたいという理由だった。
そして憑いている霊を浄化するために、(この時点で霊達はVandalieuの所に向かうために離れていたのだが)凌辱した女adventurerの一人から手に入れた聖水を被った。
それから【Target Radar】を頼りに【Gungnir】で壁や床を透過して地下spaceに辿りついて早々、Vandalieuに気がつかれたのが解った。
skillではなく、Kanataが腐っても命をやり取りする修羅場を何度も潜り抜けて来た経験者の勘だ。
「待ってくれっ! 話を聞いてくれっ! あの時は悪かった、赦してくれっ!」
頭の中で描いていた予定より早く姿を現し、そして土下座した。
(Kami-samaの情報よりも多少は大きくなってるな。それに情報に無いバケモノを大量に引き連れやがって。何だ、あの炎の人型?)
内心では何時の間にかminionsを増やしているVandalieuを「ゲテモノ趣味が」と吐き捨てながら、表面では必死に見える謝罪を行う。
「……どう言うつもりですか?」
Vandalieuが攻撃ではなく会話を選んだ事に、Kanataは胸の内で喝采を上げた。やはりこいつは甘-chanだと。
「お、Originでの事を覚えてないか? 俺はKaidou Kanata、あんたと同じ高校の生徒だった男だ」
霊からKaidou Kanataのnameを聞いたVandalieuは、当然既に見当がついている。LambdaでKaidouなんて苗字の奴は居ないだろう。
そうでなくてもKanataの言動全てが奇妙過ぎて、逆にReincarnatorだろうとしか思えないのだ。
「俺はあの時、研究所であんたを倒してしまった一人なんだ」
「……あー、そう言えば、居たような気がしないでもないです」
それは初めて聞く情報だった。あの時はNaruse Narumiや、見覚えのある元classmateばかりに目が行っていて、Kanataの-samaにoriginally覚えていない者の事は、Memoryに殆ど残っていなかったのだ。
思っていた以上にVandalieuのreactionが薄いので、Kanataは若干戸惑ったがtongueは滑らかに動いていた。
「あの時はあんたが俺達と同じだって知らなかったんだ、本当にすまない、赦してくれ。許せないなら俺は殺しても構わない。でも、どうか他の奴らを殺すのは止めてくれないか」
「いいですよ」
「お願い――え?」
「だから、Originで俺を殺した事に対する謝罪を受け入れると言っています」
思わず顔を上げたKanataを、Vandalieuは無感動な瞳で見ていた。
「悪いのはRodcorteですし、そうやって謝ってくれればもういいです。俺や俺の仲間の邪魔をしなければ、関わろうとは思いません。こっちはやりたい事もやらないといけない事も山積みなので、そんな暇はありません」
今だってSlave鉱山で働かされているGiant race達を助けに行かなくてはならないのだ。無害ならKanata以外のReincarnatorはどうでもいい。それは本音だ。
寧ろ仲間にしてくれとか、逆に仲間になってくれと言われた方が迷惑だ。どう考えても価値観が合わない。Reincarnator達がZombieやSkeleton等のUndeadに一人の人格を認め、敬意を払えるのなら考えなくもないが。
無理だろうけど。EarthやOriginでは、基本的に死者をUndeadにするのは「死者を冒涜する行為」で、各宗教の逸話を含めた多くの物語で、不死者は速やかに葬らなければならない、そうでなければ悲劇的な結末を迎えるのがお約束だ。
Earthの映画やgameなどで頻繁にある、「こいつはもう彼、彼女じゃない」とsorrowながらもZombieの頭部に銃弾を撃ちこむ展開を現実でもやりかねない。
良くて、兵器として使う事を認める程度ではないだろうか?
そんな連中、危なっかしくてTalosheimに近付けられない。
「そう、なのか? 分かった。他の皆にも-chanと伝える。あんたの邪魔はBarrier」
Kanataは【Gungnir】で床を透過させたまま隠していたcrossbowの引き金を、素早く引いた。彼はVandalieuがどう答えたところで、隙をついて射殺するつもりだったのだ。
矢はVandalieuが反射的に張ったBarrierを透過して、そのまま彼の耳を掠めて後ろの壁に音を立てて弾かれた。
矢が外れたのではない。Vandalieuが避けたのだ。
「なるほど。お前のCheat Abilityは透過……物質だけでは無く、俺の張ったBarrierも透過する事が出来ると」
上手く行くと確信していた不意打ちをあっさり回避されKanataの顔が強張るが、【Danger Sense: Death】は彼が土下座する前からずっと反応していたのだ。
だからVandalieuはじっとKanataを見続けていた。隙がある-samaにKanataが思ったのは、彼の無表情を読み切れなかっただけに過ぎない。
それに、実はKanataのCheat Abilityが透過Abilityである事は、霊からの話を聞いて大体察しがついていた。
少なくとも、障害物やBarrierを盾にして安心できる相手ではないだろうなと思っていた。
「チィっ! 炎の帯よっ、踊れっ!」
衝撃から立ち直ったKanataが、magicで起こした炎でVandalieu達の視線を遮る。
『bastardっ!』
「Zran、Eleonora、言った通り俺に任せてください。……他のReincarnatorの力がどの程度か知りたいので。後、新しいskillも試さないと」
Vandalieuは【Heat Leech】で荒れ狂う炎の帯を瞬時に消して、tongueと爪からUndeadのZranや【Abnormal Condition Resistance】を持つEleonoraには効かない、揮発性の高い毒を分泌しながらKanataを追う。
「床っ、地面っ」
想定していたよりも素早いVandalieuに対して、Kanataは【Gungnir】で床を透過して隠れる。
「退け、【Death Bullet】」
だが、やはりVandalieuが瞬時にKanataの周りの床やその下の地面をGolem Transformationさせ、【Detect Life】で割り出したKanataの位置に【Death Bullet】を撃ちこむ。
「ぐあっ!? は、速い!」
盾にしようとした地面が動き出して、Vandalieuに姿を晒したKanataは驚愕しながらも【Death Bullet】の直撃を避け、掠るだけに止めた。本来なら掠るだけでも即死しかねないManaを込めたのに、まだ素早く動くKanataにVandalieuも若干驚く。
それに、毒も効いていないようだ。
「動きの速さやmagicのAttack Powerからconjectureすると、Ability Valuesは俺と同じか若干高い程度で、想像を絶するVitalityの持ち主には見えない。Rodcorteにresistance skillでも貰いましたか?」
「【大焼失】、Mana!」
Vandalieuの質問に答えないまま、Kanataは大規模なFire-Attribute Magicを唱える。高温で広範囲内に存在するすべてを燃やし尽くす術だ。
(本来ならあのBarrierや、熱を奪う術で防げるだろうが、術をActivateした後【Gungnir】も使った! この灼熱は防げないぜっ、大人しく後ろのゲテモノ共々灰に成りな!)
勝利を確信しながら息を止め、炎が一段落したら【Gungnir】を解除してWind-Attribute Magicで呼吸するための空気を作るKanata。Vandalieuさえ殺せれば仕事は完了し、その後は報酬の四度目の人生を生きるためにsuicideするつもりの彼だが、流石に仕事の完遂を確かめないまま死を選ぶほど考えnoneではない。
「自分ごととは大胆な手段を使いますね」
だが、Vandalieuは平気な顔で立っていた。炎に包まれたままで。
「ジーザスッ! 何のmagicだ!?」
「いえ、彼女達に守ってもらっただけです」
「彼女達だぁ!?」
訳が分からない-sama子のKanataの前で、Vandalieuを包んでいた炎が解けて幾つかの女のシルエットを取る。
その女達の顔にKanataは見覚えがあった。
「そいつらはっ! クソっ、聖水なんて被って損したぜ!」
炎で体が出来た女達はHannaを始め、KanataがLambdaにreincarnationして殺してきた女達だった。
「そんなUndead、Originでもこっちでも作ってなかっただろうが!」
「ついさっき出来るように成ったばかりです。とりあえず、【炎霊の抱擁】と名付けましょう」
Vandalieuの背後で、同じようにFire Ghost達に護られていたZranとEleonoraが姿を現す。
二人の顔には、納得の表情が浮かんでいた。
「この程度なら、Vandalieu -samaの敵じゃないわね」
『全くだな。慌てて損したぜ』
二人が言う-samaにVandalieuとKanataの-sama子は既に殺し合いと呼べるものではなく、一方的にKanataが追い詰められるばかりになっていた。
「こういう風に出来ます?」
『任せて!』
Vandalieuが渡したManaと意思に従って、Fire Ghost達が……炎の死霊達がKanataを攻撃する。ある者は炎の槍となって、ある者は蛇の-samaに這い寄って、またある者はGiantな髑髏に姿を変えて、Kanataをその赤黒い炎で焼こうとする。
先ほどVandalieuが習得した【Dead Spirit Magic】の効果だ。【Dead Spirit Magic】と聞けば、今までVandalieuがしてきたような、死体を操りZombieやSkeletonにするような術だと思うかもしれない。しかし、実態は【Spirit Magic】に似て非なるskillだった。
【Spiritual Mage】がAnimaにManaと意思を伝えて、通常のattribute magicよりも効率良く術を行使するのと同じで、Vandalieuは死霊にManaと意思を伝えて、術を行使して貰っているのだ。
【Death-Attribute Charm】で魅了されたFire Ghost達は、自分達の仇であるKanataに対して容赦無く攻撃を続ける。
「ほ、炎っ、【風じ――】ぐああああ!? なんで透過出来ねぇっ!?」
最初は避けようとしたKanataだが、炎の槍や蛇や髑髏は全て姿を変えたFire Ghostだ。避けても逃げても執拗に追ってくる。
堪らず【Gungnir】で透過し、Wind-Attribute Magicで反撃しようとしたが、彼の思惑とは裏腹に赤黒い炎は彼の身を通り過ぎずに包んで焼き始め、screechで呪文の詠唱が途切れてしまう。
「地面っ!」
今度は地面の下に逃げようとするKanataだったが、彼の足は全く沈みこまない。
「な、何でだ!? なんで俺の【Gungnir】がActivateしねぇっ!?」
「Activateしてますよ。ただ、貴方のそのGungnirですか? その透過Abilityで『Spirit Form』が透過できないだけで」
Kanataの【Gungnir】は、指定した存在全てを透過してしまうAbilityだ。Weapon Equipmentを指定すれば、敵のWeapon Equipmentだけではなく、自分が持つWeapon Equipmentも彼の指をすり抜けて落ちてしまう。
それは霊達から聞いた話で大体予想していた。「Weapon Equipment」を指定した時は素手で戦っていたそうだし、他にも例は幾つもある。
だからKanataが透過できない存在をVandalieuは使った。それが「Spirit Form」だ。
Spirit FormはHumanを初めとした生命体が生きている内から、body partの中に宿っている。それを【Gungnir】で透過すると言う事は、KanataにとってBodyから自分の霊と魂を放り捨てるに等しい行為だ。自殺と何も変わらない、Instinct的に出来る訳が無い。
なので、Kanataはmain bodyが燃えるSpirit FormであるFire Ghost達の攻撃を回避できない。そして、この地下墓地にはVandalieuの【Spirit Form Transformation】したBodyの一部が壁や床、天井の裏に伸ばされており、【Materialization】している。
「ああ、他にも透過できない攻撃は在りますよ。例えば……■■■■■っ!」
口を窄めて、Vandalieuは指向性の【Scream】を放つ。【Fire-Atribute Resistance】や【Death Attribute Resistance】で耐えつつ、何とか反撃に転じようと足掻くKanataは、その直撃を受けてscreechを上げて耳を抑えた。
「み、耳ガアアアア!」
【Mental Corruption】でVandalieuの【Mind Encroachment】はほぼ防げるが、【Scream】はmagicでは無くただのskillだ。そのため、glassを擦り合わせる-samaな耳障りな大音声がKanataの聴覚を直撃するのを防げない。
これも【Gungnir】の弱点の一つだ。音を透過してしまうと、Kanata自身も呪文を唱えられない。そのため、呪文を唱えるつもりなら、音は透過できない。
「あと、最後の弱点ですが――」
耳からbloodを流して苦しむKanataに、Vandalieuは無警戒に近づいて行く。
「グゥっ、Manaっ!」
焼け爛れた手でknifeを抜いたKanataが、起死回生を狙ってVandalieuに向かってそれを投擲する。
Vandalieuはそれを無造作にclawsで弾き飛ばした。
「あなたがどんな攻撃をしても、狙われた相手のBodyは透過できない。したら、目標を傷つけられませんからね。だから、俺は自分のBodyを使って守れば良い。certainly、claws――」
「clawsっ!」
話している途中でKanataが再び投じたknifeを、今度は伸ばしたtongueで叩き落した。
「clawsを指定しても、claws以外で防げば良いだけですし」
「……っ!?」
「まあ、その大きさのknifeでは当たっても死にませんけどね、俺」
skill levelがincreaseした事で、更に長く伸びる-samaになったtongueをくねらせながら告げると、Kanataは今度こそ絶句した。
「まあ、つまるところ……初見殺しのCheat Abilityをひけらかし過ぎたんですよ、お前は。
後、何でMartial Artsを使わないんですか? 使えばもうちょっと善戦出来たのに」
Vandalieuを殺そうとするその時まで、誰も殺さず【Gungnir】も使わずにいれば、ここまで完封される事は無かったろうに。
更にMartial Artsを使っていれば、まだVandalieuを殺せる可能性は在ったかもしれない。少なくとも、tongueでknifeを弾かれたりはしなかった。
心の底から呆れたVandalieuはLeviaと、Kanataの犠牲者達を含めた全てのFire Ghost達にManaを渡す。
「このままtongueで刺し殺しても構いませんけど……できますか?」
『はい、皆手伝って!』
赤黒い炎のdressを大きく広げ、LeviaがKanataに迫る。
「ぎっ!?」
瞬く間にLeviaの姿が変わり、Kanataがそれに縛られる。body partを十字に戒められた彼の足元から、炎の亡者たちが這い上がって行く。
Kanataの口から、醜い絶叫が上がった。
「【火刑葬々】……【Fire-Atribute Resistance】を持っているようですが、それが仇に成りましたね。凄く痛くて苦しいでしょう? でもすぐには死ねませんよ」
whole bodyをじわじわと焼かれながら、Kanataは「話が違う!」と胸中では絶叫していた。
(何故Originで軍の厳しい訓練を受けさせられてきた俺よりこいつは強い!? なんで俺のknifeをあっさり避けられる? 動揺もhorrorもしない!? こいつは二十年Originでモルモットをしていただけの奴だぞ!?
それに何が弱体化だ! Undeadだった時より厄介じゃねぇか、毒もDiseaseも効かないbody partを手に入れたのに、ここまで相手に成らないなんてよぉ!)
Rodcorteから渡された情報を自分の中の常識だけでVandalieuを見切ったつもりになっていたKanataだが、それが間違いだった。
Rodcorteから受け取った情報は、あくまでも彼が手に入れた時点での情報でしかない。しかも、その情報は他人の目を通して得た物だ。解説の無いドキュメンタリー番組を見た程度で、生の情報ではない。
そしてその後もVandalieuは成長を続けていたし、Lambdaにreincarnationした後はKanata以上に厳しい経験を重ねている。
それに対してKanataはLambdaにreincarnationした後は何の努力もしていない。精々Joblessし、通称一般人Jobのlevelが0から100にincreaseしたためAbility Valuesが若干増えただけだ。
既にKanataのManaは尽きており、逃げられずただ焼死体に変わるのを待つ以外にない。それでもKanataは自らを省みて反省しようとはしなかった。彼にとって、これは最後ではまだなかったからだ。
「畜生! だが調子に乗んなよ、ネクロフィリアbastardがっ! どうせお前、俺をUndeadにして情報を吐かせようと思ってんだろう!? ひひ、生憎だったなぁ!」
「……どう言う事ですか?」
「俺達Reincarnatorはっ、死んでもUndeadに成る前にKami-samaの所に行けるのさっ! だからテメェが幾ら俺達を殺しても切りがないぜぇっ、何度でも何度でもKami-samaにreincarnationさせてもらってよぉっ、お前を殺してやるからなぁっ!」
Kanataはこのまま大人しく死んで報酬を諦めるつもりは無かった。Rodcorteに頼み込んで落ち零れの癖に自分を見下したVandalieuに仕返しし、そして今度こそ報酬の安楽な四度目の人生を手に入れるつもりだった。
「今度はもう油断しねぇっ! 一人でお前を相手しようなんて真似もnoneだ! 他の奴等と協力してっ、お前を嬲り殺してやるぜぇっ! お前を殺せば、それだけで一生luxuryに暮らせる四度目の人生をKami-samaが約束してくれたからよぉっ、お前の命を誰もが狙う! あのAmemiyaだって、Naruseだってなぁっ!」
Vandalieuの口から出たままになっていたtongueが、Kanataが喚いている内にだらりと垂れ、口の中に戻って行く。
KanataはそれをVandalieuの心が折れた証拠だと思い、body partを焼かれる痛みを忘れる程の喜悦を覚えた。
「覚悟しろぉぉぉっ! お前を殺した後には、お前の周りの女も――かへっ?」
怨嗟の声に紛れかねない小さな濡れた音と、硬質な何かに罅が入る音がした。
「――【tongue鋒】」
Kanataが見ると、自分の胸板をVandalieuのtongueが貫いていた。だが、bloodは出ていない。無意識に【Gungnir】をActivateしていたのかと困惑する彼に、Vandalieuはtongueを戻して言った。
「今、Spirit Form Transformationしたtongueで魂を砕きました。tongueでするのは初めてだったので、一撃で粉々には出来ませんでしたが深い罅が入ったので、すぐ砕けるでしょう」
「えっ? はっ? た、魂を?」
「つまりお前はここで消滅。死後も、reincarnationも、四度目もありません」
「う、嘘だっ! そんなっ――があ゛ぁっ!?」
初めて顔を青ざめさせ、喚くKanataにbody partを炎で焼かれるのとは全く別の痛みが駆け巡る。激痛なのに、何処が痛いのか分からない。
「そんなっ、があああっ! 事っ、Kami-samaは、一言も!」
Kanataのbody partはまだ炎に耐えていたが、『Kaidou Kanata』を構成する大切な何かに亀裂が走り、広がっていく。
「やっぱり知りませんでしたか。知っていたら、さっきみたいなBAKANA事言いませんもんね。まあ、言わなくても砕くつもりではありましたけど」
これまで焦ったり引きつったりはしたが、生々しいdespairを浮かべる事の無かったKanataの顔がそれで染まる。
「い、嫌だっ、止めてくれっ、何でだっ、何でそんな酷い事が出来るんだよ!? そんな、もう次が無いなんて……ま、まだやりたい事が沢山あるんだっ! 死にたくねぇっ、助けてくれよっ!」
じわじわと自分が崩れていく恐ろしい感覚に、Kanataは絶叫を上げた。そんな彼に、Vandalieuは深い溜め息をついた。
「誰だってそうだと思いますよ。お前が殺した人達も、俺が殺した人達も。
人生はリセットできるgameじゃないんですよ? もっと現実を見るべきでしたね」
四度目は要らないと、Lambdaで三度目の人生を懸命に生きているVandalieuにとって、Kanataの生き方は失笑に値するものだった。
無表情の奥に自分に対する呆れがある事に気がついたKanataは、意識が塗りつぶされる程の怒りを覚えた。
「チクショォォォォォ! テメェも道づれにしてやるっ、落ち零れの糞bastard!」
gameみたいだとidiotにしていたStatusで、【任意のActive skills】を使用して【-Surpass Limits-】skillを5levelまで習得。
それを使用して、限界を超えたKanataはVandalieuに一矢報いようとしたが。
「――あぴゅ」
滑稽な声を口から漏らすと、そのままがっくりと頭を垂らす。そして、まだheartは動いているのにピクリとも動かなくなった。
「Princess -sama」
VandalieuがManaを渡すと、それを使ってLeviaはKanataを戒めたままその首を焼き切った。
断面が炭化しているKanataの生首が転がる。
そしてExperience Pointが入り一気にlevelが上がった。Leviaだけでは無く、伸び悩んでいたVandalieuのlevelも。
《【Strengthened Attack Power while Unarmed】、【Enhanced Body Part(爪tongue fangs)】skillを獲得しました!》
《【Enhanced Agility】、【Commanding】、【Dead Spirit Magic】、【God Slayer】 skillのlevelが上がりました!》
・Name: Vandalieu
・Race: Dhampir(Dark Elf)
・Age: 7age
・Title: 【Ghoul King】 【Eclipse King】 【Second Coming of the Demon King】(NEW!) 【Taboo Name】
・Job: Venom Fist User
・Level: 100
・Job History: Death-Attribute Mage、Golem Transmuter、Undead Tamer、Soul Breaker
・Ability Values
Vitality: 344
Mana: 379,120,344
Strength: 188
Agility :251
Endurance :159
Intelligence :784
・Passive skills
Mysterious Strength:4Lv(UP!)
Rapid Healing:6Lv(UP!)
Death-Attribute Magic:7Lv(UP!)
Abnormal Condition Resistance:7Lv
Magic Resistance:4Lv(UP!)
Dark Vision
Death-Attribute Charm:7Lv
Chant Revocation:4Lv
Strengthen Follower:8Lv
Automatic Mana Recovery:6Lv(UP!)
Strengthen Subordinates:4Lv
Venom Secretion (Claws, Fangs, Tongue):4Lv(UP!)
Enhanced Agility:2Lv(UP!)
Body Expansion (Tongue):4Lv(UP!)
Strengthened Attack Power while Unarmed : Small(NEW!)
Enhanced Body Part(爪tongue fangs):1Lv(NEW!)
・Active skills
Bloodwork:2Lv(Bloodsucking awakened into!)
-Surpass Limits-:6Lv
Golem Transmutation:6Lv
No-Attribute Magic:5Lv
Mana Control:4Lv
Spirit Form:7Lv
Carpentry:4Lv
Engineering:3Lv
Cooking:4Lv
Alchemy:4Lv
Unarmed Fighting Technique:5Lv
Soul Break:6Lv
Multi-Cast:5Lv
Long-distance Control:6Lv
Surgery:3Lv
Parallel Thought Processing:5Lv
Materialization:4Lv
Coordination:3Lv
High-speed Thought Processing:3Lv
Commanding:2Lv(UP!)
Farming:3Lv
Clothing Decoration:2Lv
Throwing Technique:3Lv
Scream:3Lv
Dead Spirit Magic:2Lv(NEW!)
・Unique skill
God Slayer:4Lv(UP!)
Grotesque Mind:4Lv
Mind Encroachment:3Lv
Labyrinth Creation:4Lv
・Curse
Experience gained in previous life not carried over
Cannot learn existing jobs
Unable to gain experience independently
性根が腐っていてもGod of ReincarnationからCheat Abilityを得たReincarnator、そこらのmonstersやHumanとは比べ物にならないExperience Pointが入ったようだ。
「Vandalieu -sama、後九十九人ね」
『Mikoにかかっちゃ、Cheat Abilityってのも大した事ねェな。この調子なら、Nobleに成るよりも先に全滅出来るんじゃないか?』
『私達も新たな王の手足となって戦います!』
Vandalieuから強敵だと聞いていたCheatなReincarnatorを一方的に倒した事に皆が沸き立つ中、倒した本人は落ち着いていた。
「いやいや、残り九十九人を殺すとは限りませんよ。もしかしたら、俺と戦うのを嫌がる人も居るかもしれませんし」
「でも、この下衆は……」
「下衆の言う事なんて信用に足りません」
VandalieuはKanataが言った事の内、彼以外のReincarnatorに関する事はあまり信じていなかった。
KanataがOriginではどんな立場に居て、他のReincarnatorとどんな関係だったのかは知らない。しかし、あの言動からconjectureすると、中心的な人物だったとは思えない。親しい者が居ても、数人程度だろう。
そしてReincarnatorはKanataの消滅とそれを成したのがVandalieuである事を今頃、若しくはこれから知る事になるのだが……それで意見を変える者も少なくないのではないだろうか?
(Rodcorteは、【Soul Break】を黙っていた事以外にも俺を舐めてReincarnator達に伝えていると思う。その場合、俺がKanataを消滅させて勝った事は、他のReincarnatorが考え直す理由には十分だ)
certainly、Reincarnatorの中にはKanataの魂を滅ぼしたVandalieuを咎める者もいるだろう。Kanataがどれだけ非道な事をしていたと訴えても、「それでも同じHumanじゃないか!」と言って聞かない頭にお花畑がありそうな奴も居るかもしれない。
でも全員じゃないはずだ。
「とりあえず、Reincarnatorに対しては今までのpolicy通り対処するとして……でも、皆大人のbody partでreincarnationして来たらどうしましょー」
しがらみ完全noneでスタートされたら、これから苦労して手に入れるHonorary Noble位と社会的名声で、迂闊に手を出せない環境を作る試みが……。
『いや、無駄にはならねぇんじゃないか? Mikoの方が先に偉くなればよ、Reincarnator共がHero気取りでMikoに難癖着けても、周りがMikoのallyをしてくれるだろ』
「そうね。凄いskillを持っていても正体も生まれも分からない謎の人物と社会の名士なら、普通は名士の方を支持するんじゃないかしら」
『え? もうTalosheimを治めているのに、これ以上偉くなりたいのですか? 意外と野心家なんですね』
『我々の新たな王は、世に覇を唱えるつもりなのか……っ!』
『道理で神が刺客を送りつけるはずだ』
『既に死した我らだ、この身が王の覇道の礎となるなら本望!』
「待ってー、覇を唱えるつもりも覇道を進むつもりもありません」
盛り上げるPrincess Leviaと、その護衛のGhost達。とりあえず、彼女達とはもっと話し合う必要があるようだ。
「とりあえず、Demon King's Bloodのsealedが解けたと騒がれない-samaにここは潰して、そこに転がっている奴に濡れ衣を着て貰うとして……Princess Levia達から奪った宝物がある宝物庫に寄って帰りましょうか」
Vandalieu達が城に侵入してDemon Kingのsealedを解いた事が判明すると拙いし、だからと言って流石にHartner Duke城のHumanを皆殺しにするのも拙い。
今はこれだけでenduranceして置こう。
「じゃあ、明日のnightには飛んでBorkus達が向かっているtunnelの近くにある町跡に向かいましょうか」
Demon King's Bloodがsealedされていた棺と、鞭の残骸も回収し、Vandalieu達はHartner Dukeの城を後にしたのだった。