謎の外壁Golem Transformation事件でEvbejiaが復興のための大型公共工事に青息吐息で取り掛かり、Adventurer’s Guildでは町の警備をEClass adventurerの人海戦術で回し、盾国政府が高名なMageやadventurerに指名依頼を出して事件の捜査を進めようとする中、真犯人は馬車の旅を楽しんでいた。
carriageでクッション代わりに敷いた獣の皮の上で、虫の鳴き声を聞きながらそろそろ秋かなんて呟く。
「そういえば、旅って初めてだ」
accurateに言えば、Earthでは修学旅行に行ったが途中でferryが爆破されて溺死したので、ノーカンだ。それに、いまいち楽しくなかったのを覚えている。
旅と言えば――。
「日常生活とは違うspace、新しい体験、珍しい風景、美味しい食べ物、familyや友人との語らい。
……いや、それは旅じゃなくて旅行か」
『旅と旅行って、何処が違うの?』
「行楽が目的なのが旅行、そうじゃないのが旅」
Earthの辞書には、別の事が載っているだろう。
『そうだったんだ。Vandalieuはおkaa-sanより物知りだね』
うふふと嬉しそうなDarcia。このやり取りだけを聞いたら、楽しげな母子の旅の一ページかもしれない。
しかし母は仄かに光るSpirit Formに惨たらしいTortureの痕が残る、Dark Elfの霊。
そして子は真っ暗なcarriageで真紅と紫紺の瞳を輝かせる、霊よりも存在感が薄い一ageのDhampir。
二人が乗る馬車は引く馬もCouch Drivingも無く車輪を回す、Rank2のUndead Monster、Curse・Carriage。
上空を旋回しながら警戒するのは、boneだけに成ったbody partを青白く輝くSpirit Formで包んだRank3のPhantom Bird。
そして馬車の前後左右で護衛しているのは、何れもRank3のSkeleton Warrior、熊と大猿と狼のBone Beast。
そんな集団がmidnightに進む光景は、どう見てもmonstersの行進であり、小規模だが百鬼night行であった。
近くにadventurerが居たら切りかかるか逃げるかのどちらかしかしないだろう。
「そろそろ寝ようかな……空が白み始める前に、適当な所に隠れてね」
それが分かっているので、Vandalieu達はnight間に街道を移動していた。
Amid Empireと数百年もの間戦争を繰り返しているOrbaum Elective Kingdomを目指して。
当初はDarciaが生きていた時のように、彼女が生まれ育ったDark Elfの里に行く予定だったが、それはDarcia本人に止められてしまった。
『kaa-sanの生まれ故郷には、行かない方が良いかも。私が死んでしまったから、Vandalieuが私のchildだって証明できないし、今の私の言葉を皆が信じてくれるか分からないの』
Vandalieuの肌の色は死人のように白い。耳は尖っているが、肌の色のせいで片親がDark Elfには見えないのだ。
Darciaによると、このLambdaでもElfとDark Elfの仲はあまり良好ではないらしい。中にはDark Elfに友好的なElfの部族もいるそうだがそれは少数派で、多くのElfは『Vidaによって生まれた穢れたElf』として嫌っているそうだ。
そして自分達を嫌っている連中にDark Elfがどんなemotionsを持つかと言えば、考えるまでも無いだろう。
Darcia本人が居ればDark Elf達も信じただろうが、残念ながら死んでいる。霊としては存在しているが、その霊の姿を見る事が出来るのはVandalieuを除けばSpiritualist等希少なJobに就いている者だけだ。
『それに、お父-sanの事を許してくれるか分からないのよ。お父-sanは、Evil God (M)を信仰していたVampireのSubordinate-bornだったから』
Dark ElfはGoddess Vidaによって生み出されたraceなので、その多くはVidaとAnimaを信仰して暮らしている。同じくVidaが生み出したnew-racesと交流しながら。
なので、当然VampireとDhampirにも友好的なのだが、それはAldaやEvil God (M) Evil God (P)の類以外のGodsを信じる者にはという前提が付く。
LamiaやScylla等monstersを片親に持つ新raceも存在するが、monstersは当時からTamerがTamed Monsterにする等すれば共存できる存在だったので問題視されない。しかし、Demon KingのFollowersだったEvil God (M)やEvil God (P)は現在進行形で敵だ。それをworshiperは、たとえVidaによって生み出されたraceでも裏切り者という事だ。
「……世知辛い世の中だね、kaa-san」
『うん、だからOrbaum Elective Kingdomに向かうのが良いと思うのよ』
Orbaum Elective Kingdomは、この Bahn Gaia continentをAmid Empireと二分する大国である。
Bahn Gaia continentは『Warhammer of Zantark』と評される形、つまりTの字型をしている。その内、戦鎚の柄の部分はFallen Champion Zakkartが二度目の最期を迎えた場所とされ、高いMountain RangeとcountlessのDevil Nestsによってその殆どがadventurerでも足を踏み入れた事の無い、人跡未踏の地と化している。
対して鎚の部分は西をAmid Empire、東をOrbaum Elective Kingdomに別れて何百年もお互いにContinent統一を巡って争っていた。
これから向かうOrbaum Elective Kingdomは、五百年前台頭するAmid Empireに対抗する為に当時まだ中小の国の集まりだった東部の国々が組んだ同盟から生まれた国だ。
ただ元は複数の国の集まりだったので、それを纏めるためにElected King制という選挙制度を作り、Kingdomに加盟した国の王族をDukeとしその中から国王を決めるようになった。
国王の任期は十年で、再任は一回まで可能。尤も、殆どの場合再任されるので、実際の任期は二十年という事になる。
そのため選挙で選ばれた国王の性格やpolicyによって政治が変わるが、敵国であるAmid Empireの国教であるGod of Law and Life Aldaの力はweakはずだ。
『Dukeの中にはBeastmenやGiant raceの人もいるそうだから、DhampirのVandalieuでもきっと大丈夫よ』
DarciaもOrbaum Elective Kingdomに行った事が無いので確かな事は言えないが、王CandidateのDukeにBeastmenやGiant raceが居るのだから、Vidaのraceの扱いがAmid Empireと違うのは確実だろう。
それでOrbaum Elective Kingdomに向かっているのだが、真っ直ぐ最短courseという訳では無かった。timing悪くもうすぐAmid EmpireとOrbaum Elective Kingdomの戦争が近いらしいという情報が入ったのだ。
『うへへ、これは秘密なんですけどねぇ、特別な国家機密情報なんですけどねぇ~』
っと、死んでから数か月たって良い感じに壊れてきたAmid EmpireのSpyの霊が教えてくれた。
正直信用して良いかVandalieuも迷ったが、信用しないでMirg Shield NationとOrbaum Elective Kingdomの国境まで行ったら戦争が始まっていましたでは堪らない。当然警備は厳しいだろうし、それを掻い潜って密出国出来ても密入国できるか分からない。
Mentalが高ぶっているSoldierに敵のSpyではないと証明するのはboneだ。そもそもSoldierから見たら自分達一行はUndeadの小集団だ。一目でそれと分かるMonster Tamerは居ないし、「とりあえず話を聞こう」ではなく、「とりあえず討伐しよう」という対応を取られる事は間違いない。
「運が良ければ俺は保護してもらえるだろうけど、せっかく育てたBone Man達が破壊されるのは嫌だし、kaa-sanも見つかったら何をされるか分からない」
Vandalieu自身は一age二か月のchildなので、遠くから馬車ごと攻撃magicで吹き飛ばされたりしなければ保護してもらえるだろうが、Undead達は無理だろう。
Darciaの場合はSpiritualist JobのSoldierなんていないだろうから見つかる事は無いだろうが、宿っているremainsを取り上げられて葬られたら、今度こそ消滅してしまうかもしれない。
そういう訳でOrbaum Elective Kingdomの国境に最も近いMirg Shield Nation北東部では無く、Continent南部のMountain RangeやDevil Nestsと接している南東部に向かっていた。
「Mountain RangeやDevil Nestsを越えるのは大変だろうけど、Humanの目を掻い潜るよりはマシ」
Earthでもよく在った。一番怖いのは、生きているHumanだという話が。きっと今の自分が置かれている状況もそうだろう。
因みに、今までVandalieuがGolemやZombie系のmonstersを育てようとしなかったのも、この旅を見据えていたからだ。
Golemは動きが鈍いし、それをカバーするために大きく作るとnight間でも目立つ。Zombieもやはり同-samaに動きが鈍いからだ。Earthの映画では陸上選手並みのダッシュ力を持つZombieもいたが、フィクションをリアルに求めてはいけない。そう、このworldはfantasyだが同時にリアルなのだ。
それに、Zombieの場合mountain banditやOrbieの死体を材料にする事になるが、四六時中見ていたい顔じゃないという切実な理由もあった。
そんな訳でVandalieuの一行はboneだらけなのだ。
Vandalieu達の旅は、昼間動けない事を除けば順調に進んだ。
日の在る内は街道を外れた森の中などに潜み、暗くなってから移動する。nightに野営しているpeddlerやadventurerの一団が居た時は、nightでも街道を外れて進み、街道警備隊の詰所や砦があった場合もやはり街道を外れて進み……。
順調に進んでも普通の旅人の半分以下のpaceだったが、それは仕方のない事だ。
「早く堂々と街道を旅できる身分に成りたい」
何も悪い事はしていない(復讐は除く)のに、理不尽な世の中だ。
街道を外れると獣やmonsters、mountain banditの襲撃が心配だが、それも少なかった。
獣やmountain banditは馬車を守るBone ManやBone Monkeyの姿を遠目に見たら、それだけで近づかないからだ。
野生の狼や熊などの獣はInstinct的に、明らかに自分よりweak場合を除いてmonstersを恐れる。mountain banditだって同-samaだ。彼らが狙うのは商人や旅人であって、monstersでは無い。
certainly monstersを倒せば素材や、RankによってはMagic Stoneが手に入るので収入を期待できる。しかし、そもそもmonstersに勝てる腕があるならmountain banditでは無くてadventurerになって稼いでいる。
そしてBone Man達と同じmonstersの場合だが、Undead、それもboneだけしかないSkeleton系のUndeadを好んで襲うmonstersはほぼ存在しない。
monstersが他のmonstersを襲う理由はまずeating preyするためだが、Skeletonには食べる所が無いからだ。
他にも縄張り争いや自衛のため等の理由も存在するが、Vandalieu達が自分の生息域や縄張りの奥まで入って来ないので-sama子見ぐらいで済んでしまう。
「ぎぎゃぁぁぁ!」
まあ、時折判断力の低いmonstersがChargeをかまして来るのだが。
Bone Wolfは虫の息で痙攣しているGoblinを、ぽいっと馬車の車輪の前に放り出す。
するとボキバキと音を立てて、Goblinが潰されていった。
「最近、Goblin程度じゃlevelが上がらなくなって来たな」
VandalieuもすぐにGoblinの事は忘れて、そのまま放置だ。討伐証明の右耳はcertainly、Magic Stoneを探しもしない。
Darciaに聞いたところ、Rank1のmonstersからMagic Stoneが見つかる可能性は百分の一らしいので、ある程度上ClassのadventurerはGoblinを倒しても放置する事が多いらしい。なので、どうせ換金の当ても無いので先達に倣う事にする。
それよりも関心があるのは、Undead達のlevelの上がり難さだ。
Rank1の時はGoblin一匹をみんなで殺しただけでlevelが上がったが、今では一人で何匹殺しても1levelも上がらない。
Rank2の馬車はまだGoblinを何匹が轢き殺せば上がるが、Rank3のBone Wolf達は全く上がらない。
「やっぱりmountain banditじゃないとダメかな? Mountain Range越えの前に馬車もRank3ぐらいになって欲しいんだけど」
『Vandalieu、普通の人達の間ではRank3って結構強いのよ? Rank2でも普通の人は何人も集まって、やっと一匹追い払えるぐらいなんだから』
Rank3だと、普通の人が何人集まっても一方的に蹂躙されるだけという脅威度だ。少なくとも一般市民の中でのケンカ自慢や、腕っぷしが強いという程度のEvbejiaの警備兵levelではどうしようもない。
「でもkaa-san、これから行く所に普通の人なんて居ないだろうし、現状俺自身が強くなれないのでその分皆に強くなって欲しいと思うんだ」
『それもそうだね~、でもVandalieuならすぐGolemを作れるし、大丈夫よ』
この母親、死後も結構楽天家である。
Amid Empireは遥か昔、Godsに導かれてこのworldに現れたChampion Bellwoodの子孫から始まった。
Champion BellwoodはDemon King率いるmonstersの軍勢に劣勢を強いられていた人々の先頭に立ち、果敢に戦った。このworldに降り立って十日でDragonを討伐して囚われていた姫-kun、後のFirst夫人を救出。
一月でgiantの軍勢を後の第二夫人となる女Warriorと共に退け、半年でDemon Kingが差し向けた暗黒Knight団と後の第三夫人であるHigh Priestを守りながら戦って勝ち――最終的には十年で後のFallen Champion Zakkart達を喪いつつも、Demon Kingを倒してこのworldに平和を齎し、他の生き残ったChampionと協力しそのwisdomで復興を助けたと言われる。
Championのwisdomの多くは失伝してしまったが、残った物がworldで使われる共通の文字、ひらがなやカタカナ、漢字等であり、そしてAmid Empireの前身である復興の村、Amidである。
そして何万年も経った後現れた、Amid Empireの偉大なる初代Emperor BalschmidtこそがBellwoodの直系の子孫なのだ。
「嘘臭い上に不愉快」
Vandalieuはmountain bandit達の略奪品の中に紛れ込んでいた本を閉じると、乱暴に投げた。
活版印刷の技術も無いLambdaでは、本は全て写本で作っている。そのためかなりの高Class品だ。
しかし、Amid Empireの始祖であるChampion Bellwoodと、初代Emperor Balschmidtの活躍について書かれた物語に、Vandalieuは銅貨一枚分の価値も見いだせなかった。
まず、全体的に嘘くさい。
Amid Empireの初代EmperorがChampionの子孫って、何の証拠があるのか全く不明だ。約十万年前の先祖の事が分かるはずも無いだろう。その辺りをこの本ではDestinyとか予知夢とか、Championの幻shadowが現れて話しかけてきたとか、そんな演出で誤魔化している。
次に、羨ましすぎるから不愉快だ。
Champion Bellwood……maybe、JapanではSuzukiと呼ばれていた人だろう。その人はLambdaに来た途端Cheat Abilityだか何かを発揮して、十日でDragonを倒してDragon SlayerのHeroになると同時にOhime-samaを救出。その後も一か月、半年と武勲と出会いを重ねて、十年で大Heroだ。
それに対して自分はどうだろうか? そうVandalieuは思わずにはいられない。
生後一年と三か月。話した異性はkaa-sanだけ。十年経っても大Heroに成れるとは思えない。
certainly Champion SuzukiにはSuzukiなりの苦労と苦悩があっただろうし、そもそも命がけの戦いを生き残っている。しかし、神からblessingsを貰えるのとblessingsの代わりにCurseを受けるのとでは、ここまで差があるのだと思い知らされずにはいられない。
「これも全てRodcorteが悪い」
『そうね、RodcorteってKami-samaのせいよね。でもkaa-sanは少しだけ感謝しているのよ。そのKami-samaが、Vandalieuを私のchildにしてくれたんだもの』
「kaa-san……」
ささくれ立った心が癒されていく。確かに、Darciaが母親だった事だけはRodcorteに感謝しても良いかもしれないと、Vandalieuは思い直した。
ただ、RodcorteのCurseが無ければOriginで二度目の死を迎える前と同じ水準でDeath-Attribute Magicが使えていた。数え切れないほどのGolemを自在に使役し、数多の霊を操り、湖を全てDeadly Poisonに変える事も、Deadly Poisonを清水に浄化する事も自由自在。もしそうだったら、Darciaを殺されずに済んだのではないか。そう思うとその感謝も消し飛ぶのだが。
っと、人目を避けて間道を進んでいた馬車が不意に止まった。
「何だろう?」
敵に囲まれたとか、強力なmonstersが目の前にいるとか、そういった非常事態で無いのは【Danger Sense: Death】のmagicで分かる。あのmagicは毒茸や毒草だけでは無く、monstersやHumanが発するbloodthirstも感知できるからだ。
なので、危険なconditionではないはずだが……っと、carriageから顔を出すとそこには地下に通じる門があった。
「門? mountain banditが使っていたhideout……にしては、しっかり作られているような? 何かの遺跡かな?」
首を傾げるVandalieuに、門の正体を教えてくれたのはSamだった。
『ごmaster -sama、これはDungeonでは無いでしょうか』
「Dungeon?」
『はい、Dungeonです』
carriageに宿っているため姿は見えないが、Samの声はしっかりとVandalieuに聞こえていた。
Dungeon。元はDemon Kingが配下のmonsters達を短期間で数を増やし個体としての力もEnhanced (1)するために作り上げた、特殊な飼育施設であり、後にMagic God of Time and Arts Ricklentの秘術によって、Human達が修業や物資の調達に使えるようにされた物だ。
基本的に発生原理は特定の場所が長期間一定量のManaによって汚染されると、一定の確率で発生する。形状や規模、危険度はDungeon毎に千差万別であり、法則性は最初のDungeonが発生して以来十万年近くが過ぎた今でも発見されていない。
普通の洞窟と見分けがつかない形状で、Goblinのようなweak monstersばかりしか出ない地下一階で終わりのDungeonもあれば、砦のような形状でAClass adventurerでも苦戦するような上Class Monsterがうようよしている、百階以上の広大なDungeonも存在する。
そして、土地がManaで汚染される事が発生条件であるためDungeonの殆どがDevil Nestsに存在するのだが……。
「ここ、Devil Nestsだったっけ?」
『maybe、違うわね。Devil Nestsだったらもっと沢山のmonstersが出て来るはずだし。maybe、珍しいDevil Nests以外の場所に出来たDungeonなのよ』
Darciaの言うように、普通の森や草原にDungeonが出現するケースが極稀に発生する。ただ、その場合はDungeonの危険度はかなり低い物になるらしい。
しかし、あまり放置しておくとDungeon内で増えたmonstersが外に溢れだして、結局周囲がDevil Nestsと変わらない環境になってしまうらしい。
Lambdaにはそれが何度も繰り返されて、Continent全土と周辺の海域がDevil NestsになってしまったDevil Nests Continentが存在しているそうだ。
「じゃあ、この中にはそれほど強くないmonstersがいっぱいいると。門の前まで草が茂っているところを見ると、adventurerも暫く入っていないようだし……よし、寄って行こう」
Dungeon。fantasyな響きとAdventureの予感に、VandalieuはSuper Excitingしていた。
まあ、実際にAdventureするのもmonstersと戦うのもBone Man達なのだが。
仕方ないじゃないか、まだ一age三か月なのだから。
Vandalieuが初めてのDungeonに入ろうとしていたその頃、Terowの町のAdventurer’s GuildではGuild MasterのDeganが三人のadventurerの睨みあいを困り顔で見つめていた。
その三人の男女は、それぞれがTerowの町ではそれなりに名の知れたadventurer partyのleaderだ。
DClass adventurer party『Wind Chasers』のleader、Cashew。同じく『Steel Wings』のleader、Barn。同じく『White Stars』のleader、Miranda。
Mirg Shield Nation全体で見れば無名と言っても差し支えが無いし、実力の方もDClassの域を出ない程度でしかない。しかし、近くにDevil Nestsの無いただの中小商業都市のTerowでは、top classのadventurerだ。
実際、彼らの活躍でmountain bandit団を何度も撃退し、Koboldの大発生を乗り切った。Terowの町ではHeroと言っても良い者達だ。
そんな彼らが合同ではぐれOgreの討伐依頼を受けて町に近い森を探索していたのだが、その帰りにDungeonを発見した。
まだここに居るmemberと町の領主とその側近しか知らないが、重大事件と町がdevelopmentする大chanceが一度に起きたと、Deganは舞い上がった。
確かにDungeonは危険だ。放置すればmonstersが内部から湧き出て、町に押し寄せるかもしれない。
しかし、定期的にadventurerが内部を探索してmonstersを間引けば金の卵を無限に生む鶏だ。monstersがcountlessに湧いて出るという事は、そのmonstersから出る素材もcountlessに取れるという事で、更にDungeonでだけ取れる貴重な植物や鉱石、更にDungeon内に出現するTreasure Chestから高価なmagic itemが手に入る事もある。
そしてそのDungeonを目当てにadventurerが町に集まり、そのadventurerが落す金を目当てに商人が集まり、そして町がdevelopmentする。
このように、Dungeonは攻略さえできればriskよりreturnが大きい、資源なのだ。
尤も、素材が殆ど取れないGoblin等の外れmonstersばかり出る上、Treasure Chestの中身も貧相な、存在するだけで厄介なDungeonという物もLambdaには幾つかあるが。
そうした外れなのか、それとも当たりなのか。そして何より危険度を調べるためにまずadventurerを派遣しなければならないのだが、Dungeonの発見者がその権利を得るのが暗黙の了解となっている。
certainly Hunter等のadventurer以外の者が発見した場合や、adventurerでも実力に自信が無い者の場合はguildを通して他のadventurer party等に初探索の権利を買い取ってもらう事が出来る。
一度に複数のadventurer partyが発見した場合も金銭などで譲り合うか、いっそ合同で初探索に挑む事が多い。
「俺達『Wind Chasers』がDungeonを探索させてもらう!」
「何を言ってる! 俺達『Steel Wings』こそが適任だ!」
「私達『White Stars』に任せて、あんた達はGoblinの耳でも集めてなさい!」
しかし、彼らが譲り合いのMentalを発揮する、若しくは硬い絆で団結する事は期待できないようだ。
「困った。元から競い合う関係ではあったが……」
この三つのpartyは、以前から町一番のadventurer partyの称号を奪い合っていた。ただ、adventurerとしての倫理観はしっかりと持ち合わせていたため、Koboldの大発生など町の危機に対しては協力し合っていただけに過ぎない。
発見されたDungeonは、今のところmonstersが外に出ている形跡も無かったので急いで探索しなければならないという訳ではない。それに、Devil Nests以外の場所で出来るDungeonは総じて危険度が低く規模も小さくなりやすい。
なので、別に協力せずに自分達だけで挑戦しても問題無い。
それどころか初探索を成功させればguildからも高く評価されるので、上手くすればCClassにRank upできるかもしれない。他の二つのpartyから抜きん出るchanceだ。
「俺達『Wind Chasers』にはTrapの解除が得意なmemberがいる! お前らのpartyのThiefは、signを消してscoutするのが精々じゃないかっ、とてもDungeonの探索は務まらないな」
「何だとCashew!? 貴-samaのpartyには治癒術師が居ないじゃないか、potionだけに頼ってDungeonに潜るのは危険すぎる! その点俺達『Steel Wings』はinjureも毒もdiseaseもたちどころに治せる治癒術師が二人もいるぞ!」
「何言ってんのよ、要はbalanceが悪いだけじゃない! 言っておくけど私達『White Stars』は、attackerと盾職が一人ずつ、Archery師にThiefに、更に治癒術師に攻撃Mageが揃ったパーフェクトbalance partyなのよ。私達にこそ、初探索を任せるべきよ!」
今にも殴り合いを始めそうな権幕の三人に、Guild MasterのDeganは眉間の皺を押えた。
「-kun達……この話し合い、もう三日目なんだけど」
いっそ、殴り合いを始めてもらった方が早く結論が出るのではないだろうか。Deganはその甘美な誘惑を振り払うのに忙しかった。