私はSamと申します。以前は、あるNoble -samaの下で馬番とCouch Drivingをしておりました。

　NobleのServantとは平民の方々(まあ、私も平民ですが)が思う程、裕福な暮らしをしている訳ではございません。ですが、Servantとして恥ずかしくない格好をさせなければmasterの格が問われますので、きちんとした制服を支給して頂け、日々の食事も保障されております。

　そういった点では、確かに恵まれておりました。

　特に私はmansionでMaidをしていた妻と出会い、当時のmasterの勧めもあって結ばれ、娘を二人授かりました。

　上の娘のSalireは淑やかで、下のRitaは元気で明るい娘に育ちました。

　そして娘達も同じNoble 家にServantとして仕える事に成り、あの頃は本当に幸せでした。

　ですが、ある冬に妻がepidemic diseaseにかかり、数日で逝ってしまいました。その悲しみから立ち直る時間も無く、今度は当時のmasterが階段を踏み外してお亡くなりに成り、代替わりとなりました。

　新しくそのNoble 家を継いだ方は先代と確執があり、我々Servantも一新すると宣言され、私と娘達は解雇されてしまったのです。

　生まれてこの方馬の世話とCouch Driving しかした事の無い私は、大きな町でなら乗合馬車のCouch Drivingをして生活できるのではないかと、思い切って新天地を目指す事と致しました。

　娘達も、都市部なら良い縁談や就職先があるだろうと。

　しかしその旅の途中で私達はmountain bandit団に襲われ、娘達は私の前であの獣共に辱められ、そして私共々殺されてしまいました。遺体は獣やmonstersを呼び寄せないようにと燃やされ、打ち捨てられました。それが余程辛かったのでしょう、SalireとRitaの姿は今も焼かれた時のままです。

　私達は当然mountain bandit団を恨みました。地上に留まり、奴らの破滅をこの目で見るまではと。もし周囲にDevil Nestsがあれば、そのManaで悪霊と化していたかもしれません。

　しかし現実ではただただ奴らを憎むだけで、何もできない日々が続いていました。

　そんなある日、今のごmaster -samaであるVandalieu -samaとその配下の方々が奴らのhideoutを襲撃し、皆殺しにしてくださったのです。

　そして今では私自身もごmaster -samaの配下に加わる事となりました。まさか死後に新しい、第二の人生が始まるとは分からないものです。

　そしてただの馬番兼Couch Drivingだった私が今、Dungeonの中にいるというのも驚きです。

『ごmaster -sama、Dungeonの中では外よりも強力なmonstersが数多く出現すると聞いております。もし危ないと思いましたら、すぐに私にお言いつけください』

　私の新しいbody partは、mountain bandit団が奪った馬車のcarriageです。ただ、三頭立てで広く頑丈な事だけが取り柄で、幌が付いている以外荷馬車と変わりません。

　ですが私が憑りついて直接動かしているため、馬車なのに後ろに真っ直ぐ下がる事が出来ます。なのですぐ逃げる事が出来るのです。

「わかった。

　ところで前から思っている事だけど……ごmaster -samaってどうにかなりませんか？」

　masterのVandalieu -samaはcarriageから空のCouch Driving台に話しかけますが、どうにかとはどういう事でしょうか？

『おBocchanの方が宜しいですか？』

　確かに、ごmaster -samaはまだ一ageと三か月なのでこの方が似合うかもしれません。

「いや、そうじゃなくて……」

『Vandalieuは照れているのよ。Sam -sanみたいに話しかけてくれる霊は少ないから』

『なるほど、そうでしたか』

　Vandalieu -samaのお母上、Darcia -samaの言う通りVandalieu -samaの配下は私以外言葉を発しません。これは愛想や礼儀の問題では無く、単純に話せないのです。

　Bone ManやBone Monkey達は人では無く小動物の霊なので、大まかなemotionsを伝える事はあっても言葉は話せません。

「ギャァァァァ！」

　他にもVandalieu -sama以外には見えませんが、私の娘達のようにcountlessの霊を引きつれています。ですが、Vandalieu -samaから話しかければ答える事もありますが、自分から話しかけるような事は出来ません。

　霊になると一つのemotionsに支配されやすく、何かなければ延々同じ行動を繰り返しているものだからです。私の娘達も、例外ではありません。

「ゲヒィィィィ！」

『ですが、私はBocchanのTamed Monsterでございますから、敬うのは当然かと。それに……私がBone Man達のように振る舞っても、嬉しくないでしょう？』

　Bone Manの見かけは動く人boneです。ですが、その中身は実は小動物の霊ですから暇なときはBocchanに撫でてと甘える時もあります。

「ギギャガガガガ！」

　Bocchanは霊が見えるので違和感を全く覚えていないようですが、私の場合それが問題に成ります。

『髪の薄い四十代の中年男の私が、Bocchan撫でて♪　等とせがむのは大変躊躇いを覚える次第でして』

「あー……確かに。じゃあ、Bocchanで良いです」

　Slightly不満そうではありますが、納得していただけました。

「グゲェェェェ！」

　因みに、先程から上がっている聞き苦しい断末魔のscreechは、私が轢き潰しているGoblin Soldierのものです。

　Goblin SoldierはRank２のmonstersで、Goblinが知能をやや発達させWeapon Equipmentの扱いを覚えたmonstersです。

　Rank１のGoblinも棍棒ぐらいは持っている者もいますが、あれは適当な木の枝を振り回しているだけでClub Techniqueとはとても言えないものです。

　もしGoblinがFortuneにも剣や槍を手に入れたとしても、木の枝と同じように振り回す事しか出来ないでしょう。

　Goblin Soldierは剣なら剣の、槍なら槍の、棍棒なら棍棒の使い方が出来るGoblinです。ただしその技量は素人に毛が生えた程度で、一対一なら経験を積んでskillを習得したadventurerやSoldierならまず勝てる程度だそうですが。

　ただし見た目が普通のGoblinとほぼ変わらないので、油断して追い払おうとしたFarmerやHunterが痛い目を見る事が時折あるそうです。

　そんなGoblin Soldierですが、既にRank３のSkeleton SoldierやBone Beast、Phantom Birdに達しているBone ManやBone Wolf、Bone Birdの敵ではありません。

　現れる度に剣で頭を叩き割られ、fangsに切り裂かれ、Projectile FireされたSpirit Formのfeatherに撃たれて、次々に倒れて行きます。

　そしてその中でまだ微かに息がある者を、Bone Man達が私の車輪の前に放るのです。お蔭で私でもExperience Pointを得る事が出来るという訳です。

「げぎっ、ギギギギギゲェ！」

　ミシミシと内臓を押し潰し、ボギバギとboneを車輪で踏み砕くこの感触。なんと――素晴らしい。

『恥ずかしながら、癖に成りそうです』

「癖にはならないで欲しいな、人身事故が多発するのは困るし。あ、でもmountain banditは轢いていいよ」

『ありがとうございます』

　mountain bandit共を私の車輪で轢き潰す。その光景を思い浮かべるだけで、胸が躍りますな。

　因みに、馬車の後方はBone MonkeyとBone Bearが守っており、私が轢き潰したGoblinの死体にMagic Stoneが発生していないか抜け目なく調べております。Rank２だと五匹に一匹はMagic Stoneを出すそうですので。

『しかし、まだ一階だというのにGoblin SoldierやGoblin Archerが出て来るとは、中々危険なDungeonですな』

　因みに、Goblin ArcherはSoldierが近接Weapon Equipmentの代わりに弓矢の扱いを覚えたmonstersで、Rankは同じく２です。

「……危険には思えないけど」

『そりゃあ、Bone Man達が出て来た端から倒しているからそう見えるけど、Dungeonに入ったばっかりなのに十匹以上のmonstersと遭遇するのは、そう無いのよ。

　まあ、私もDungeonに潜るのはこれが初めてなんだけど』

　Darcia -samaは生前adventurerだったそうですが、基本的にソロで活動されていたそうでDungeon攻略の経験は無いそうです。

『monstersの数に関しては、このDungeonの攻略をadventurerがあまりやってないからかもしれないけど』

『そんな事があるのですか？』

『偶にね。adventurerが戦争にmercenaryとして大量に雇われたり、大規模な緊急依頼で人手が足りなくなったり、後はDungeonに旨味が無くて攻略に消極的なadventurerばかりの時とか』

「まあ、出て来るmonstersがGoblinだけなら、苦労する甲斐も無いだろうし。人は利益が無いと動かない生き物だから」

『Bocchanは賢いですね、とても一age児には見えませんので他人の前ではご注意ください』

『その通りだけど、相変わらず大人びた言葉ばっかり。前世もその前も大人に成れなかったって言っていたのに、誰が教えたのかしら。

　あ、そろそろ今日は限界のようだから後はSam -sanよろしくね。お休み、Vandalieu』

『畏まりました』

「お休み、kaa-san」

　Darcia -samaが宿っているremainsの中で眠りについた後も、Dungeonの探索は続きました。

　ですが、特に激闘が繰り広げられるといった波乱の無い、順調すぎる探索でした。

　地下一階は壁や床が石で作られた遺跡風の内装で、出て来たのはGoblin SoldierやArcherだけでした。数は合計で数十匹と多かったですが、被害はBone Manの剣が刃毀れしたぐらいです。

　収穫はRank２のMagic Stoneが六つ程。

　地下二階は自然の洞窟風になっていて、地下一階は仄かに天井が光っていたのですが、真っ暗になっていました。

　普通のadventurer partyなら松明やランタン、[Torch]のmagicを使ったでしょうが我々はBocchanを含めて【Dark Vision】skill持ちばかりです。中途半端な照明よりも、闇の方が鮮明に見えるぐらいなので逆に快適に進めます。

　出現するmonstersはGIANTバットやGIANTモール、GIANT worm、GIANT Spider等、体長一meter以上にGrowした動物や虫系のmonstersが増え、代わりにGoblinは出なくなりました。Giant蜘蛛以外はRank１で、Rank２のGiant蜘蛛も巣にかからなければ楽に倒せるmonstersであるため、やはり苦戦しませんでした。

　その代わり採れる素材も無く、食用には特に適さないmonstersばかりでしたが。

　収穫はGiant蜘蛛のMagic Stoneが一個手に入った程度でした。

　そして降りた地下三階は、何と湿地帯になっていました。Bocchanと驚いて呆然としていても、風景も水と泥の臭いも消えません。空を見上げると、太陽の-samaな光まである始末。

　ここは本当に地下なのかと驚いていると、目を覚ましたDarcia -samaに「Dungeonっていうのはそういう物らしいわよ」と教えて頂きました。

　そういう事ならそうなのでしょうと私は思いましたが、Bocchanは暫く首を傾げていました。

　それはin any case、三階で出て来たmonstersはGIANTスラッグ、Bigフロッグ、GIANTリーチ、GIANTリザード等のRank１の湿地帯に出る虫や動物系の物ばかりで、これも二階に続いて快勝かと思いました。

　しかし奥に進むとRank２のmonstersが出てきました。酸性のmucusを出す大ナメクジ、アシッドスラッグ。tongueからneurotoxinを分泌するPoison Frog。素早い動きと人体に容易にthrust刺さる鋭い嘴をもつ小鳥、ダガーフィンチ。

　どのmonstersもRank１や同じRank２でもGoblin Soldier等と比べれば、ずっと危険なmonstersです。ですが、やはりRank３に達しているBone Man達の敵ではありませんでした。

　被害はアシッドスラッグをただのGIANTスラッグと間違えて剣を振ったBone Manの剣が、ボロボロに成った事ぐらいでしょうか。

　Slashつける度にWeapon Equipmentが摩耗するのでは勿体ないので、アシッドスラッグはBocchanが泥から作ったMad Golemで生き埋めにして出て来られない間に進みましたが、他は完勝でした。originally boneしかないUndeadに毒は効きませんし、ダガーフィンチに刺されてboneに何か所か穴が空いても、替えのpartsと交換すればなんともありません。

　certainly、body partが馬車の私も同-samaです。ちょっと幌に穴が空いただけで、何のimpactもありません。

「後で縫うのは俺ですけどね」

『申し訳ありません、Bocchan』

　収穫はRank２のMagic Stoneが七個と、Giant FrogとPoison Frogの後ろ足と内臓。そしてダガーフィンチの嘴です。嘴はそのまま柄を付ければknifeや槍の穂先に成ります。

　そして二種類のフロッグの後ろ足は大変美味で、内臓は薬の材料に成ります。

　尚、monstersのDismantlingはBone MonkeyとBone Manが行いました。幾つか内臓を潰したり嘴を砕いたりしてしまいましたが、おおむね上手くいったようです。

『Bocchan、薬を作るのですか？』

「作り方知らないから、無理です。とりあえず【Preservation】のmagicをかけて袋に仕舞っておく」

　Death-Attribute Magicを使えば痛みやすい内臓も、数年は鮮度を保つ事が出来るそうです。何とも便利な事です。

「今日のご飯はカエルの後ろ足の塩焼きにしよう。まず火を起こしましょう」

『Bocchan、【Demon Fire】の術は使わないので？』

「残念だけど、【Demon Fire】の炎は熱くならない。寧ろ、熱を奪うから逆に冷える」

　Death-Attribute Magicも万能では無いようですな。夏は涼しそうですが。

　因みに、Bone Monkeyに焼いてもらった後ろ足の塩焼きは、焼きすぎて一本ダメにしましたがとても美味しかったと、Bocchanのtongueを楽しませました。

「野兎のbloodより美味しい」

　Bocchan、その感想ではいまいち美味しさが解りません。

　地下四階は再び洞窟のようになっていて、そこで出て来たのは何とUndeadばかりでした。それもRank１のLiving-DeadやLiving Boneではなく、Bone Man達と同じRank３のSkeleton SoldierやZombie Warrior、Bone Beast、それに物理攻撃が効かないレイス等、強敵ばかりでした。

『おお、なんと恐ろしい不死のMonstrosityでしょう』

「Sam、-kunもUndeadなんだけど」

『そういえばそうでした』

　今回ばかりは苦戦必至、一度上の階に戻ってtacticsを考えましょうと私が提案しようとしたその時、驚くべきことが起こりました。

　何と、SkeletonやZombie達が我々に道を開けたのです。

「……通っていいの？」

　眼窩に青い炎を宿すSkeletonや、どろりと濁った瞳のZombieは「う゛あ゛ぁぁ……」と呻き声を上げながら、Bocchanの問いに同意するように、Weapon Equipmentをその場に落としました。

　ガシャンと錆びたWeapon Equipmentが床に落ちる音を響かせ、それ以上Undead達の反応は何もありません。

「Sam、皆、前進」

『宜しいのですか？　何かのTrapでは？』

「bloodthirstが無いから大丈夫だと思う」

　Bocchanの【Danger Sense: Death】のmagicを信じてUndead達が開けた道を進みますと、本当に彼らは我々に手出しをしませんでした。

　我々が通り過ぎて暫くしてから、ゆっくりと落したWeapon Equipmentを拾う以上の動きは何も見せませんでした。

『きっとあの人達もVandalieuの事が好きになったのよ』

『流石Bocchanです』

「いや、普通に【Death-Attribute Charm】のskill効果じゃないかな？　まさか、既に発生しているUndeadにまで効くとは思わなかったけど」

　この四階にはUndead系のmonstersしか出現しないようで、そのUndeadはBocchanに対して戦意を全く見せないので、私達の探索は何の障害も無く進みました。certainly Magic Stone等の収穫もありませんが、Rank３のmonstersと戦闘になるriskを考えれば歓迎すべき展開です。

『Vandalieu、Treasure Chestよ。でも本当にDungeonにTreasure Chestが出るのねー』

『そうですな。一体誰が置いたのでしょう？』

『それが分からないのよね。Humanを危険なDungeonに誘うために仕掛けたDemon KingのTrapとか、Magic God RicklentがHumanのやる気を鼓舞し、修練の褒賞として与えるために出現するようにしたとか、色々言われているけど』

　Dungeonには階層によってTreasure Chestが出現する事があるそうです。何故出現するのかは不明ですが、Treasure Chestの中には価値のある物品が入っており、adventurerの懐を温める燃料となっています。

　certainly Treasure Chestには鍵がかかっており、場合によってはTrapも仕掛けてあります。それを解くのはThiefの役目なのですが、我々の中にThiefはおりません。

「じゃあ、とりあえず開けようか。……起きろ」

　されど流石Bocchan。Thiefが居なくても、Treasure Chestそのものに霊を憑りつかせてUndead Transformationさせ、Treasure Chest自身に鍵やTrapを解除させる事が出来るのです。

　Treasure Chestを一つ開ける度にManaを一万も使うそうなので、莫大なManaを持つBocchanだからこそ出来る方法でしょう。

「中身は……何だこれ？　一見毒っぽいけど」

　Treasure Chestの中身は、高価なglass瓶に入った青色の液体でした。おお、これはpotion、それもかなりの高Class品ではありませんか！

『Bocchan、これは毒などではありません。potionです！』

「potionって、injureが治るitemの事？」

『そうよ、飲んだり傷にかけたりすると直ぐに傷が治るadventurerの必需品のpotionよ。でも、このpotionかなりの高Class品ね』

『はい、Darcia -sama。以前私が仕えていたNoble 家でも、これほどの品は見た事がありません！』

　potionには幾つか等Classがありまして、Vitalityが三十回復する五Class品が一般的に流通している物です。この程度なら少々裕福なpeddlerやSoldierなら一本ぐらい持っていますし、adventurerやmercenaryなら必ずと言って良い程荷物に入っています。

　しかし四Class品以上potionは一気に高くなり、生半可なNobleでは常備しているのは三Class品程度です。certainly値段に相応しい効果があるのですが。

『potionの品質は色で見分ける事が出来るのよ。明るい青色になる程高くて、暗くなるほど低くなるの。この色なら、二Class品ぐらいかな』

『二Class品ともなれば、手に入れるにはAmid EmpireのImperial Capital等の大都会の店か、腕の良いalchemistに直接依頼しなければなりません。値段もこれ一本で十万Amidは下りますまい』

「十万……効果は？」

『流石に切り落とされた手足を新しく生やすなんて事は出来ないけど、傷口にかければ大抵の傷は治ると思うわ』

『飲めば傷だけでなくFatigueや、Manaも若干回復するそうです。多少の毒やdiseaseなら完治させてしまうとか』

「それで味は？」

『……品質が高くなればなるほど、不味いわ』

『ええ、その昔特Class potionを飲んだlegendのadventurerはあまりの不味さに意識を失い、目覚めた後素直に死んだ方がマシだったと語ったそうです』

　そういう意味では、最初にBocchanが毒と間違えたのも無理はありません。

「良薬は口に苦しって言うけど、苦すぎじゃないだろうか？」

　私は生前potionを飲んだ経験は有りませんし、今は飲む事が出来ないのである意味幸いですが。

　Bocchanもpotionは飲み物ではないと認識したようです。

　その後、いくつかのTreasure Chestを発見して中身の宝物を手に入れました。その全てが結構な高Class品だったと思います。ただの馬番兼Couch Drivingだった私には価値の分からない物も多かったので、確かではありませんが。

「これは……maybe magic item。これも、maybe magic item。あ、これはただの宝石……じゃなくてmagic itemかな？」

『Bocchan、maybeが多いような気が致しますが』

「一age少々の俺にAppraisal眼を期待しないでほしい」

『しかし、前世とその前を含めると四十age近いのでは？』

　因みに、数日前にBocchanからBocchanの抱える事情はDarcia -samaや娘達と一緒に聞かせて頂きました。驚くべき事でしたが、Dhampirとはいえ一age少々のBocchanが莫大なManaをその身に宿し、しかも誰に教わった訳でも無いのに未知のmagicを使いこなしている事も十分以上に驚くべき事です。

　なので、話を聞いた時は逆になるほどと思ってしまいました。

　certainly、Bocchanが抱える将来のriskも説明されましたが、Darcia -samaも私もBocchanから離れる気はfragmentも湧きませんでした。

　私にとってBocchanは命の恩人であり、masterです。Bocchanが私の馬車を必要としているのに、Servantがお暇を頂いてどうします。

　そもそもBocchanから離れた私は、ただの野良Undead Monsterでしかないという事情もありますが。

「確かにそうだけどEarthにはmagicが無いし、Originではmagicはあってもmagic itemに触れた事が無い。accurateには、実験器具以外のだけど」

　だから、Appraisal眼やManaの感知Abilityは磨く機会が無かったとBocchanは言いました。

　knife、ダガー、ブLord sword、銀製のaccessory、宝石の嵌った指輪等を次々と発見しましたが、Manaが込められているという以上のAppraisalが出来なかったため、結局価値は分りませんでした。

　後でDarcia -samaに聞いたところ、「外れだとただのknifeとか石で出来たネックレスとかが入っている事があるから、magic itemってだけで十分当たりらしいのよ」と教えて頂きました。

　そして地下五階に降りますと、そこもUndeadの巣窟となっておりました。

「……コォォォォォ」

「ブモォォォォォ……」

　ただ地下四階で現れたRank３のUndeadより更に強力な、Rank４のUndeadでした。

　whole bodyを返りbloodで赤く染めたSkeleton Warrior、レッドスカル。生前以上の突進力を誇るOrc Zombie。Undead Transformationしてもmagicの行使が可能なMageのZombie、Lesser Lich。

　そして死者の怨念が宿り、誰が纏っている訳でも無いのに動き出したLiving Armor。

「コォォォォォ」

「あ、どうも。失礼します」

　地下四階と同じように、Rank４のUndead達も立ちはだかるのを止めて壁際に寄り、Bocchanに道を譲るのですが。

「あ、止まれBone Man、Bone Wolf。床にTrapが仕掛けてある気がする」

　唯一の障害はDungeonに仕掛けられたTrapでした。しかしそれもBocchanの【Danger Sense: Death】によって、存在を感知出来るので対処可能でした。

「床の広い部分から死を感じるから、maybe落とし穴かな？　とりあえずGolemを作って床を覆えば大丈夫だろう」

　壁の一部をGolemにして、床を覆ってTrapをNullificationにしました。こんな解除方法はBocchanしか出来ないでしょう。

「じゃあ、進もうか」

　この地下五階では地下四階以上のTreasure Chestを発見し、幾つもの宝物を手に入れました。

　そして一際大きな扉を開けますと、中はGiantなroomになっており強力なmonstersが我々を待ち構えていたのです。

　二meterを超えるbody partを金属鎧で固め、牛もBisectionできるだろうGiantな斧と堅牢な城壁を思わせる盾を構えたSkeleton General。

　boneだけになっているとは思えない迫力に、私も無いはずの背筋に寒気が走ります。

　そしてSkeleton Generalの周囲には、Generalに従うKnightのようにLiving Armorが十体も居ました。

『きっと彼らがDungeonボスね』

　目を覚ましたDarcia -samaによりますと、Dungeonには必ずボスが出現するのだそうです。

　特に最下層に出現するボスは、Dungeonの他の場所で出現するボスとは討伐の難易度が桁違いなのだとか。

「オ゛オ゛オ゛オ゛……」

「ご丁寧にどうも。

　え？　くれるの？　それは助かるけど、良いの？」

　しかし、そのボスMonsterも今までのUndead同-samaにBocchanに道を譲るばかりか、その手に持っていた一目で業物と分かる斧と盾をBocchanに差し出す献身ぶりです。

「ただでWeapon Equipmentと盾を貰うのは悪いから、代わりにこれを」

　Bocchanは馬車の中からBattle AxeとラージShieldを出すと、Skeleton Generalに渡しました。渡したのはmountain bandit団が使っていた物やその略奪品の中でも質の良い物ですが、magic itemという訳ではありません。ただの金属製の武具です。

「これだけだとお釣りにもならないから……」

　そう言うとBocchanのbody partから膨大なManaが湧き出しました。その圧力に意識が持って行かれないよう耐えるので、精一杯です。Bone Birdなどfeatherばたくのを止めてしまい、地面に落下しました。

　その私の見ている前で、Battle AxeとラージShield、更にはSkeleton GeneralとLiving ArmorにBocchanのManaが注がれていきます。

「オ゛オ゛オ゛オ゛！！」

　見る見るうちに快感に震えるSkeleton Generalの白い髑髏が黒く染まり、Living Armorも先程までは無かった禍々しいsignを漂わせるようになりました。

『Bocchan、Rank upしているようですが……一体何を？』

「ただ【Bloodshed Enhancement】や【Energy Absorption】を、通常の一万倍ぐらいのManaを使ってかけただけなんだけど……なんでだろ？　余程death attributeのManaと相性が良かったのか、Undeadだけに。

　今度Bone Man達で試してみよう」

　Manaを十万程度使うだけでmonstersをRank upさせられるなら、Manaを一億以上持つBocchanにとっては手軽にTamed MonsterをEnhanced (1)できるという事ですから、喜ばしい事です。

「Living Armorも、良さそうな鎧を手に入れたら作ってみよう。Bone Manは金属鎧が装備できないから」

　Bone Manは体がboneなので、素材に伸縮性のある皮鎧は装備できても金属鎧は身に着ける事が出来ないのです。肉が無いのでSizeが余ってしまい、動く度に鎧が動くので邪魔になるためですね。

　そのため、金属製のDefense Equipmentは盾以外我々では持て余す事に成ります。

　すぐ近くにいるDungeonボスのSkeleton Generalは、金属で出来たfullプレートArmorを着ていますがそれは高Rank Monsterだけに、何か秘訣でもあるのでしょう。

　ですがその秘訣よりも、私としてはBocchanが新しくUndeadを増やす予定がある事の方が重要です。

『Bocchan、でしたら是非娘達を使ってやってください。娘達もbody partを与えられれば、生きていた時のように話せるようになると思うのです』

　何時までも焼死体の姿の霊のままでは不憫だと思っていた私は、これはchanceだとBocchanに娘達を使ってくださいとお願いしました。

『SalireとRitaはただのMaidでしたのでWeapon Equipmentの扱いは知りませんが、Houseworkは出来ますしCookingも本職のChefには遠く及びませんが、簡単な物でしたら問題ありません』

　Bocchanは目を瞬かせてしばし黙り込むと、「良いよ」と返事を下さいました。

「ただ、良さそうな鎧が手に入ったらだから、暫く待ってもらう事になると思うけど。まさか町に買いに行くわけにもいかないし、mountain banditは皮鎧が多いし」

『分っております。ありがとうございます、Bocchan』

　何か月後、何年後になるか分かりませんが、将来以前のように親子三人で話せる日が来るかもしれない。それだけで十分すぎる希望なのですから。

　しかし、私の希望は思っていたより早く叶えられそうです。Skeleton Generalの背後に在った扉の奥は宝物庫になっており、今まで手に入れた宝物の総量と同じくらいの宝物がありました。

　その中にBocchanの言う「良さそうな鎧」が、あつらえたように二つあったのです。

『おおっ、これはまたmagic itemではありませんか』

　Manaが込められた金属の鎧。designもfemale向けで、本来はrusticになるべきDefense Equipmentに優美な曲線が描かれており、装飾も凝っています。

　具体的にどんなmagicが込められ、どれほどの性能があるのかは門外漢の私には分りませんが、美しい鎧である事は分ります。

『Bocchanっ！　是非この鎧で娘達をLiving Armorにお願い致しますっ』

「……念のために確認するけど、良いの？　この鎧で？　本当に？」

　何故かBocchanは気が進まないようでした。私が『certainlyです』と答えると、もう一度鎧を見て半眼になって呟きました。

「幾らfantasyだからって、High-legとBikiniそっくりの形の鎧があるとは思わなかった」

『High-leg？　Bikini？　Earthではこういう形の鎧をそう言うのですか？』

「いや水着……このworld、水着ってあるのかな。

　まあ、いいか。考えてみれば躊躇うような事じゃなかった」

　そしてBocchanはSalireをHigh-legと評した方の鎧に、RitaをBikiniと評した方の鎧に入れると、Manaを込めて無事Living Armorにしてくれました。

　必要なManaがStone Golemを作る時の十倍以上というaccidentはあったものの、娘達が無事新しいbody partを手に入れられた事に、心から感謝です。

　ですが宝物庫の奥には地下へ続く階段等は無く行き止まりとなっており、どうやらこのDungeonは地下五階までで終わりのようです。

　私達の初Dungeon探索は終わり、Skeleton Generalに見送られて来た道を帰る事に成りました。

　帰り道、また襲ってきたGoblinを踏み潰した時に当初の目的だった私のRank upが起こりまして、Rank３のGhost Carriageに進化いたしましたのも、嬉しい出来事でした。

　尚、このDungeonで最も苦戦したのは、階段の昇り降りだったと言っておきましょう。Bocchanが階段をGolemにして変形させ、急なslowプにしたのを無理矢理昇り降りして来たのですが、中々難儀しました。Bone BearやBone Monkeyに支えてもらいながら降り、押してもらいながら登るのは。

　【Rough Road Travel】skillを獲得した今なら、平気なのですが。skillというのは、何故最も欲しいと思った時を乗り切った後で覚えるのでしょうね。

　本日の収穫

・Rank２のMagic Stone　×１４個

・Goblin Archerが持っていた矢　×４７本

・Giant Frogの後ろ足　×１６本

・Poison Frogの後ろ足　×５本

・ダガーフィンチの嘴　×９個

・二Class potion　×２瓶

・三Class potion　×７瓶

・鉄のknife(weak Mana)　×３本

・鉄のダガー(weak Mana)　×４本

・材質不明のBackラー(並のMana)　×１個

・鋼鉄のブLord sword(weak Mana)　×１振り

・材質不明のラウンドShield(並のMana)×　３個

・材質不明のタワーShield(並のMana)　×１個

・謎の金属で出来たロングsword(並のMana)　×５振り

・鋼鉄の槍(weak Mana)　×３振り

・Chain Mail(weak Mana)　×１着

・謎の金属で出来たHalf-Plate Armor　×１着

・謎の金属で出来たClayモア(並のMana)　×１振り

・謎の金属で出来たGlaive(並のMana)　×１振り

・謎の金属で出来たHalberd(並のMana)　×１振り

・鋼鉄のBattle Axe(weak Mana)　×１振り

・Skeleton Generalの業物のBattle Axe(やや強いMana)　×１振り

・Skeleton Generalの業物のカイトShield(やや強いMana)　×１個

・各種accessory　(weak～並)　×沢山

　本来ならこれにmonstersの討伐証明による収入が加算されるが、adventurerではないため収穫に含めない。

・Name: Sam

・Rank: ３

・Race: Ghost Carriage

・Level: ３

・Passive skills

Spirit Form：１Ｌｖ(ＮＥＷ！)

Mysterious Strength：１Ｌｖ(ＮＥＷ！)

Rough Road Travel：１Ｌｖ(ＮＥＷ！)

Impact Resistance：１Ｌｖ(ＮＥＷ！)

Precise Driving：３Ｌｖ

・Active skills

Silent Steps：１Ｌｖ(ＮＥＷ！)

High-Speed Running：１Ｌｖ(ＮＥＷ！)

Charge：１Ｌｖ(ＮＥＷ！)

Monster explanation:

【Ghost Carriage】

　この世に未練を残した霊が馬車に宿り、悪霊と化したUndead。白い靄で出来たような馬とCouch Drivingに操られる馬車といった姿をしているが、main bodyは馬車に宿った悪霊であり馬やCouch Drivingは悪霊のSpirit FormがMaterializationしただけの存在である。

　そのため、倒すには悪霊を浄化するか馬車main bodyを破壊するしかない。

　主な戦闘方法は馬車による体当たりで、逆に言えばそれしか攻撃方法が無い。しかし元になった馬車によってはSpike等の武装が追加されている場合がある。

　滅多な事ではcarriageに乗る事は出来ないが、もし乗る事が出来ればRough Road TravelとImpact Resistanceを持つため乗り心地は良いと言われている。

　討伐証明部位は、Magic Stoneがくっついている馬車の部品。素材はManaを帯びた馬車main body。そのまま使用する場合は殆ど無いが、Dismantlingして部品を流用する等-sama々な利用価値がある。

　ただ全て持ち帰るとなると馬か、それとも馬車が必要になる。

　基本的に希少なmonstersであり、通常のDevil Nestsには出現しない。ただDevil Nestsと化した廃墟の乗合馬車が、全てGhost Carriageに成った例等が知られている。

　Samの場合は通常のGhost Carriageが習得していないPrecise DrivingとSilent Stepsを習得しており、前者はSamが生前プロのCouch Drivingであったから、後者はUndead Transformationしてからコソコソと隠れて移動しているためだ。

　そのため通常のGhost Carriageよりも巧みな運転で、音を出来るだけ立てないように動く事が出来る。

Skill explanation:

【Spirit Form】

　魂や霊等の本来物理的に存在しない物を半Materializationさせる事が出来るskill。MaterializationしたSpirit Formは目で見る事が出来、触れる事が出来る。ただSpirit Formに対する物理的な攻撃は完全にNullificationな訳ではないが、三分の二以上Nullificationとなる。magic itemや聖別されたWeapon Equipment等による攻撃は有効。

　半MaterializationしたSpirit Formの使い方は-sama々で、低位のSkeleton等はboneを繋げる筋や軟boneの代わり程度にしかならない。ただskillを獲得すると腐り落ちたmuscleの代わりにして力をAugmented (2)したり、朽ちたfurやscaleの代わりにしてDefense PowerをEnhanced (1)したりできる。

　例を挙げると、Bone BirdはSpirit Formをbone翼に半Materializationさせ揚力を得てFlightし、また一部をProjectile Fireして飛び道具にしている。また、Ghost CarriageにRank upしたSamは、Spirit Formを馬の形にして文字通り馬力を増している。

　また、Skeleton Generalが金属鎧を着用できているのは、鎧とboneの間をSpirit Formで満たして間を埋めているからだ。

　応用として、Spirit Formを半Materializationさせないまま操作して他者のBodyに潜り込ませたり、壁を透過させる事が出来る。