Stepfatherに裏切られてSlave商に売られたMarieは、despairに打ちひしがれていた。
実の父はMarieが幼い頃に死に、母は彼女を連れて再婚するもDisease死。そして義理の父は、bloodの繋がらない娘を育てる事は出来ないと、母の最期の願いも無視して彼女を売った。
彼女は実の父同然に慕っていた人物に裏切られた事で、人生にdespairしていた。
彼女の-samaな十代前半の年頃のShoujoは、余程容姿に恵まれていなければ娼館も買い取りたがらない。安値で買いたたかれ、鉱山で厳しいBody労働の末使い潰されるのが多い。
Marieがdespairするのも無理もない。
「ふふ、美しい花嫁よ。-kunの名を聞かせておくれ……」
だから自分がVampireへの上納品にされた事を知った時は、寧ろ安堵を覚えた。すぐに終れると。
奇跡的に良い買い手に恵まれ、何時か解放される事があったとしても、もう彼女を想ってくれるfamilyは居ない。
そんな悲しみの中何十年も生きるのは彼女にとって苦痛でしかなかった。
「口がきけないか……構わんとも。すぐに、-kunの全てをこのfangsとtongueで味わう事が出来るのだからね」
Vampireの整った顔が、伸びたfangsが露わに成った事で獣の容貌に変わる。
そのfangsがMarieの首筋に近づいたその時だった。
Niarkiの町では領主の館以外では珍しいglassの窓が砕け散った。
「何!? ぐあっ!」
黒いshadowがVampireの背後や横を駆け抜ける度に、彼のbody partからbloodが噴き出す。
Marieはそんな信じられない光景を、ただ茫然と眺めていた。目の前に居るのはVampire、ChampionやHeroが倒す悪の権化だ。それが目の前で、何者かに一方的に切り刻まれている。
「おのれっ、卑怯なぁ! この程度の傷、すぐに……!」
『治らねぇよ。Mikoの【Healing Negation】が付与されたクナイだ』
「後、Vampireにも効くDeadly Poison、塗ってある」
「な、何だと!? そんな、idiot……ごぶ!っ」
口から噴水の-samaにbloodを吐くと、Vampireは動かなくなった。
Marieの人生を終わらせてくれるはずのVampireが、死んでしまった。
死体すら、覆面のGiant raceが何処かに持って行ってしまった。
これから自分はどうなるのだろうと、漠然と考えているとMarieは恐ろしくてたまらなくなった。そして、反射的に尖ったglassの破片を手に取っていた。
「待てっ」
しかし、その破片を喉に当てる前に彼女は腕を小柄なAssassinに掴まれてしまった。
「何で止めるの!? お願いだから、死なせてっ」
「ダメ! お前に死なれると困る!」
「何でよっ、どうせわたしの代わりなんて幾らでも居るわ!」
「お前の代わり、何処にも居ない!」
「――え?」
力強く断言された言葉に、Marieは反射的に腕の力を緩めていた。その隙にBragaはglassの破片を奪って投げ捨てる。
そして、破片で切れた彼女の手を手当てする。
「皆、お前の事を気にかけてる。簡単に死ぬな」
彼らの王であるVandalieuから、「Vampireの被害者や監禁されている人達が居たら、出来るだけ保護してください」とBraga達は頼まれていた。
だからBraga達はMarieの-samaな被害者を無事保護できるようにと、注意していた。
ウソは言っていない。
だが心が弱っていたMarieにとって、この瞬間Bragaは白馬の王子-samaに成ったのだった。
「そう言う訳でKing、俺のlover Marie」
「わたし達の結婚を認めてください、お願いします」
誇らしげなBragaと、その横に居る十二か十三ぐらいの女の子を前に、Vandalieuは「出会いって、本当に何処にあるか分からないんだなー」と思っていた。
「認めるのは別に良いのですが……BragaはBlack Goblinですが、それで良いんですか?」
Black Goblinは通常のGoblinよりもHumanに近い容姿をしているし、Bragaの-samaに性格も良い。だが、友人はin any case伴侶に選ぶことは普通の人にとって障害が大きいのではないだろうか?
そう思うVandalieuに、Marieは「certainlyです」と答えた。
「わたしなんかの事をこんなに想ってくれたのは、死んだkaa-sanだけでした。Vampireに殺される前にBraga -san達に助けられたのは、きっとDestinyです!」
「そ、そうですか。短くても十年はこの国に戻って来られませんが、それでも?」
「構いません!」
「では、俺から言う事は『おめでとう』という祝福以外何もありません」
本人が納得しているなら、別に良いだろう。実際、ninja部隊の副隊長であるBragaはBlack Goblinの出世頭で、優良物件だ。反対するような事では無い。
それに、Talosheimに来た方がMarieも豊かな生活をおくる事が出来るだろう。
『あー、Mikoよぉ、悪党連中が囲ってた情婦や働かされてた女なんだが……』
何故か歯切れの悪い口調のZranの方を振り返ると、覆面の上からでも分かるほど彼が困っている事が解った。
「どうしました? とりあえず彼女達は俺の【Mind Encroachment】skillで軽く口止めして、お金を渡して解放する予定ですけど」
乗っ取った【Dark nightのfangs】は、長くても数か月の間使うだけなのでProstitute館の経営などの商売をさせるつもりは無い。さっさと手を引く予定なので、どっぷりと悪事に嵌っていた女幹部気取りの情婦は始末したが、それ以外の人は口止めして解放するつもりだった。
『それがだな、そのMarie嬢-chanを見て俺達に取り入れば殺されずに済むと誤解したみたいで……あっちでBlack Goblin達相手にお見合い大会やってるぜ』
「……うへぁ」
『しかも、女慣れしてないのばっかり連れて来たもんだから、あいつら面白いように引っかかってなぁ』
「……女の人って、逞しいですね」
「それでVandalieu -sama、あの女達をどうします?」
そうEleonoraに問われるが、どうすれば良いのだろうか?
「とりあえず、面接と健康診断はしましょうか」
「あなた、Linda -sanの事も言わないと」
「そうだ、King。俺、loverもう一人いる」
「……おめでとー」
その頃、領主の館の離れでHartner Duke 家の次期当主、次男のBeltonが主導で行っている開拓事業を潰す為、陰謀を企んでいる者達が集まって報告を上げていた。
「では、そのDhampirの少年によって、俺達の策が水泡に帰したと言うのか?」
「その通りです、Karcan -dono!」
AldaのClericを装っていたFrotoの報告を、Hartner Duke 家の長男Lucas派のKnight、Karcanは疑わしげに聞いていた。
「そうは言うが……いや、certainlyお前達を信用していない訳ではない。しかし、流石に……」
Karcanがchin髭を撫でながら胡乱気な目をするのも無理は無い。何せFroto達の報告の内容が、常識から逸脱し過ぎているのだ。
第五cultivation villageに盛った毒を、空を飛んで駆けつけ解毒して全員を助けた。
空から現れて村を襲うOrcを全て殴り殺した上に、瞬く間に井戸を掘り水不足の村に豊かな水源をもたらした。
Karcan自ら毒入り肥料を配下のKnight達に運ばせるなどして、来年の春には廃村に追い込めるはずだった第二cultivation villageでは、何とGoblinを非常食に変える方法を伝えたそうだ。
それに町の工作員が手を回して送り込んだmountain bandit団が行方不明である事にも、関わっているに違いないとFrotoは主張している。
っで、肝心の関わっている者はDhampirの少年だと彼らは報告しているのだ。
ここまで聞いたKarcanが「疑わしい」と思っても無理は無いだろう。
「Karcan -dono、少なくともOrcの件は私も見ました。私が放したOrcが、瞬く間にそのDhampirに倒されたのを、この目で!」
だが、Froto以外にもOrcをTamerしていた獣magic士――magicでmonstersとpsychological絆を作り使役するmagicを扱うJob――の男もそう主張する以上、嘘とも言い難い。
「それに、私が盛った毒を解毒するとなると……あれはdiseaseに似せるため死ぬまで時間がかかるが、通常の解毒の術やpotionでは解毒不能の毒です。そのDhampirは、生半可な腕ではありません」
化粧で中年のpeddlerに扮していた、若いSpyの男もそう主張する。
工作が失敗した事の言い訳に口裏を合わせていると考えるには、内容が不自然すぎる。だからKarcanは彼らの報告は事実だろうと判断する事にした。
彼もKnight団で一隊を預かる身だ。長くKnightに身を置いていれば、見た目やageからは信じられない事を実行して成果を上げる者達が存在する事を、自分の目で知る事もある。
「そのchildはDhampirだったな。信じがたいが、それならあり得る話か。
だが、つまりDClass adventurer並の力を持つ、腕利きのHealing Mageが村に居た。それだけの話だ」
Orc三匹を倒したのは見事だが、一匹目は不意打ちに近かったようだし、そのまま勢いで二匹目三匹目と倒せば、DClass相当の力でも可能だっただろう。
「何より、難民出身のadventurerの-samaに村を拠点に活動している訳では無く、町でadventurerになるために人里に出て来た通りすがりらしいではないか。
つまり、そのchildが村に居ない間に事を成せば良いだけの話だ」
「それで大丈夫でしょうか?」
「はっはっはっ、心配が過ぎるぞ。まさかそのDhampirも、村の周囲に見張りを仕込むような真似はするまい」
「それもそうですな」
実際には見張りに使い魔のLemureが、更に防衛戦力のStone Golemがcultivation village一つ毎にダース単位で配置されている。
「Dhampirのchildがadventurerに成るつもりなら、これから最低でも一年はAdventurer's School校に所属するはずだ。その間にcultivation villageをmountain banditの仕業に見せかけて壊滅させる。……私自ら部下を率いてな」
Karcanとその一隊自らmountain bandit役を行うと告げられ、Froto達に衝撃が走った。
「宜しいのですか? もし事が露見したら、難民共相手にした事とは言え、縛り首かSlave堕ちですぞ!」
「それくらいの危険は負わねばなるまい。全ては、おめおめと生き恥を晒し我らがHartner Duchyをparasitesの-samaに蝕むSauron領の者共を一掃するため、そして民とLucas公子のため!」
Vandalieuが考えていた通り、Karcan達はKasim達cultivation villageに住む者も含めてSauron領から逃げてきた難民を、自国民だとは認識していなかった。
彼らの言う民とはHartner Duchy人であり、Sauron Duchyを含めた他のDuchy人は外国人に等しいのだ。
尤もKarcanの本音は、まだ自分がLucas公子に対して特に成果を上げていないため、このままではLucas公子がDuke 家の家督を継いでも望んだ地位には就けないだろうと焦っているからだったが。
「私の隊は来月演習を行う予定になっている。その時に、まず第七cultivation villageを、そのまま全てのcultivation villageを襲撃する。Froto -dono、貴-donoも加わってもらうぞ」
「わ、私もですか?」
「生き残りを出さないようにするためには、cultivation villageを巡教と装って出入りしていたFroto -donoの協力が要る。これが成功すれば貴-donoもDuke 家の家臣だ、頼んだぞ」
「は、はい」
当初の予想以上に陰謀劇に深く関わる事になった事に嫌な予感を覚えながらも、今更後戻りは出来ないFrotoだった。
その頃、知らずにKarcan達の企みを尽く防いできたVandalieuは、市場を通ってAdventurer’s Guildに向かっていた。
目的は、certainly adventurer登録である。
(色々解って事情は変わって来ましたけど、登録するなら今が絶好の好機なんですよね)
Hartner Duke 家がTalosheimを裏切っていた事が明らかに成ったので、Slave鉱山で今も搾取されているGiant raceのSlave達を奪還すると言う目的が出来た。
既にTalosheimにこの事は連絡済みで、Borkusは今すぐDuchyに攻め込まんばかりに激怒しているらしい。
頼もしい事である。
それでもadventurer登録を行うのは、この機会を逃すと次の機会が年単位で先になりかねないからだ。
更に、Eleonoraも危惧していた【Evil God of Joyful Life】に従うPure-breed Vampire達が送り込んだVampireも、既に始末してallyになっている。Niarkiの町を牛耳る犯罪organizationも、傀儡に落とした。
(パッと登録だけして、サッと町を出て、それからEleonora達と合流。nightを待ってFlightしてDuchyの都に向かう)
どうせ飛んで移動するにはnightまで待たなければならないのだ。問題は無い。
テンプレ展開通り、チンピラadventurerに絡まれたらちょっと面倒だが。
「しかし、adventurerとして活動するにしても必要な物が多い事が解ったのは収穫でした。
まさか、最低でも家が必要とは」
普通のadventurerが活動するのに家は必要無い。新米は木賃宿、veteranはそれぞれ馴染みの宿を拠点にする事が多い。
しかし、VandalieuにはBorkusやZadiris、SamやEleonoraが居るという普通のadventurerには無い事情がある。
Borkus達は扱いとして「Human」では無く、VandalieuにTamerされた「monsters」である。そのため、宿屋を利用する事が出来ないのだ。
EarthでもPet同伴不可の飲食店や宿泊施設があるのと同じだ。しかも、この場合連れ込むのはPetでは無く、猛獣よりも恐れられるmonstersである。
これが小さなピクシーならまだいいだろうし、EleonoraやZadirisの-samaな一見Humanに見えるraceなら店によっては何とかなるかもしれない。でも流石にKnochenやBone Manは無理だろう。
certainly adventurerにはTamerも居るのだが、彼らは宿を利用する場合は厩舎にmonstersを預けている。GoblinだろうがKoboldだろうが、そしてきっとGhoulも厩舎である。
そのためVandalieuも普通の宿を利用する時は、BorkusやBone Man、客室の利用を断られた場合はEleonoraやZadiris達も馬と同じで厩舎に預けなければならない。
(まさに鬼畜の所業)
それに昨night気がついたEleonoraは「Vandalieu -sama以外にそんな屈辱的な姿を見られるなんて……でも、Vandalieu -samaの為ならっ」と間違った覚悟を決めかけていたが。
「adventurerとして活動するためにAdventurer's School校に入る必要があり、更にその前にmountain banditや犯罪organizationから金を強奪して、Dungeonに潜って宝物を手に入れて、大きな家を買わないといけない。
あれ? 普通逆では?」
妙な話だ。adventurerに成ってachievementを上げるためには、金持ちに成って家を手に入れなければならないなんて。しかし、一人で活動してもExperience PointはCurseのせいで得られないし、寂しさに耐えられない。
ついでに、Adventurer's School校でpartyを組む仲間を作れる自信が無い。
やはり家は必須である。
「金で家を手に入れた後も、皆をTamerした証明になる首輪や首飾りを貰わないと、町で大っぴらに連れ歩けないのだけど。
adventurerに成るって、大変だなぁ」
そう思いながら、寂れたChurch of Vidaの前を通り過ぎてAdventurer’s Guildの建物に着く。
第七cultivation villageに在る出張所が、何でも屋ごとダース単位で入りそうな大きな敷地に建つ、二階建ての建物だ。このNiarkiの町では、領主の館を除けば五本の指に入る大きさである。
やはり町にあるguildのbranchと成れば建物も大きくなるのだなと、Talosheimの王城に住むVandalieuは感心した。
そしてそのまま、チンピラadventurerに絡まれませんように短く祈る。
「行こう」
覚悟を決めてAdventurer’s Guildの扉を開く。中は、依頼を求めるadventurer達で混み合う時間帯が終わっている事もあって、adventurerの姿は疎らだ。受付Counterでは受付嬢達が、その奥では職員が、書類仕事をしている。
その中をVandalieuは音も無く進み、Counterまで行く事が出来た。誰に絡まれる事も無く。
(祈りが通じた)
そう思うVandalieuだが、それは違う。単に大半のadventurerが彼に気が付かなかったのと、気が付いても彼の-samaなchildに絡むadventurerはそもそも居ないからだ。
Adventurer’s Guildに来るchildの殆どがadventurer登録に来た新米か、GClass adventurerかAdventurer's School校の生徒という事になる。
そして町中の日雇い仕事やguildの清掃などの下働きをするGClass adventurerに、「お前みたいなガキに、adventurerが務まると思ってんのか!?」なんて絡んでも、得られるのは失笑だけだ。
そしてAdventurer's School校の現役生徒に絡んだ場合は、更に悲惨だ。Adventurer's School校の教官は一線を退いたadventurerのポピュラーな再就職先なので、理由があって叱るならin any case、無意味に絡んで脅すような事をすれば自分のsenpaiを怒らせる事になり、しかも将来自分が再就職する時に困る事になる。
なので、「新人adventurerに絡むガラの悪い senpai adventurer」といったテンプレ展開が起こるのは、新人adventurerがAdventurer's School校を卒業して、adventurerらしいAdventureに出かける頃ぐらいだ。もしくは、絡む側もchildの場合か。
ただ、何処の業界にも常識が通用しない、どうしようもない程に程度の低い連中は一定数いるものだが……流石に全てのguild branchに常時配置されている訳ではない。
Niarkiのbranchにそんな連中が居なかったという意味では、Vandalieuの祈りが通じたのかもしれない。
「すみません、adventurer登録をしたいのですが」
「っ! は、はい。こちらの用紙にnameとage、race、後得意分野が在ったら記入してください」
話しかけた受付嬢はやはりVandalieuに今まで気が付かなかったのか、一瞬驚いた顔をしたがすぐに営業スマイルを浮かべて用紙とペンを出してくれる。
「代筆は必要ですか?」
「いいえ、問題ありません。ですが、得意分野とはどんなことを書けば良いのでしょうか?」
Borkusから二百年前の、KatiaからMirg Shield Nationの、それぞれAdventurer’s Guildの登録手順について教えてもらったが、時代と国が違えば色々変わるだろう。確認しておくに越した事は無い。
「得意分野は元adventurerの方から訓練を受けているとか、attributeの適性や素質、そして所有しているUnique skillについて記入します」
「Unique skillもですか? skillは、guild Cardを発行する際に分かるのでは?」
「はい、そうなのですが登録時に判明した事は守秘義務によって守られますので、登録を担当した職員以外が知る事はまずありません。
得意分野の欄に記入した場合は、そのUnique skillを所有している事を公にして依頼に活かしたいと言う意思表示に成るんです」
例えば、特定の種類のmonstersに対してDamageを与えやすくなる【Goblin殺し】や【Dragon殺し】等のUnique skillを持っている事を公にする場合、そのskillに即した依頼をguildが斡旋したり、依頼人にintroductionしたりすると言う事だ。
ただadventurerが秘密にする事を望む場合は、基本的にその職員の胸の中に仕舞って置く事になる。
(色々例外が……実はGuild Masterにだけは報告するとか、そんな事がありそうですけど)
Adventurer’s Guildも所詮人が運営しているので、守秘義務に関してはあまり信用し過ぎない方が良いだろう。
実際、Vandalieuは知らないがMirg Shield NationのAdventurer’s GuildのGuild Masterは、Thomas Palpapek Earlの求めに応じて【Green Wind Spear】のRileyを不正に昇Classさせている。
certainly健全な運営を維持するGuild Masterも存在するが、その逆も然りなのだ。
(そう言う事なら、得意分野の項目は空欄のままでいいな)
登録したらダッシュで町から出るのだから。Vandalieuはnameとrace、ageの欄だけを埋めて用紙を提出した。
「これは……っ」
しかし、用紙を受け取った受付嬢は書かれている内容を見て僅かに目を見開くと、何故か気の毒そうな顔をVandalieuに向けた。
「用紙に記入した内容によると、Vandalieu -sanは七ageのDhampirとの事ですが、間違いありませんか?」
どうせ偽ってもguild Cardを発行する際にnameやage、raceはばれてしまう。なので当然Vandalieuは用紙に嘘偽りなく記入した。
「はい。その通りです」
やはりDhampirは珍しいのだろうと思い、Vandalieuは証明するために片目を隠していた布を取る。
紅と紫紺のオッドアイを見た受付嬢は、沈痛な面持ちで言った。
「では……登録は不可能です」
信じ難い返答に困惑して、瞬きを数回。だが受付嬢の顔つきは変わらず、発言のcorrectionも無い。
「何故ですか? 十age未満の者がAdventurer’s Guildに登録する場合は簡単な試験を行い、その結果で判断するのでは?」
その試験結果で合格すれば……十ageのchild並の知識と判断Abilityがあるとされた場合は、GClass adventurerとして登録される。FClass以上に成れるかは、通常の未成年adventurerと同じように、Adventurer's School校を卒業してから判断される。
その筈だったのだが――
「それが、Belton公子とHartner Duchyのguild本部のGuild Masterの連名で、LamiaやCentaur等のVida's New Racesの内monstersにrootsを持つraceとの混bloodの方は、十age未満の場合受ける試験の受験資格が無い事に変更されました。certainly、Dhampirも含まれます」
制度が変更されVandalieuはAdventurer's School校に入れる十ageに成るまで、つまり後約三年間Hartner Duchyではadventurer登録が出来なくなっていた。
Kasim達はそんな事は言っていなかったが、別に彼らも故意に黙っていた訳ではない。Kasim達三人は全員Humanだし、この制度変更で不利益を受けるのはBeastmenやGiant race、Dark Elfやその混bloodでも無い。VampireやLamia等monstersとされている者とHumanの間に産まれHumanの方のbloodが濃く出た混blood児という、全体から見るとかなりの少数派、マイノリティの存在のみだ。
彼らが覚えていなくても仕方がない。
それに考えてみれば、VandalieuはKasim達に七ageだと告げていなかった。Goblin Barbarianの首を刎ねたり、高度なLife-Attribute Magic(だとKasim達は思い込んでいる)でIvanを治療したりしてみせたため、彼らがVandalieuを見た目以上のageだと思い込んでもおかしくない。
「そう……ですか」
「はい。それに、噂では今年中にAdventurer's School校への入学資格も認めないよう規約を変更するそうなので……」
受付嬢が言い辛そうに教えてくれたことが現実になったら、三年どころか後約八年もadventurerには成れなくなる。
「そう……ですか……」
そう言いながら、Vandalieuは受けた衝撃を捏ねるようにして考えた。
Belton公子とGuild Masterの自分を狙い撃ちにするような制度や規約の変更は、不愉快だ。TalosheimのGiant raceを裏切っている事を含めて、この扱いは決して忘れない。
だがここで抗議する事に意味は無い。諦めてこのまま町を出るべきだ。
そして今回の件が片付いたら、機会を見てHartner Duchy以外のDuchyでadventurer登録してしまえばそれで良い。
八年も待つ事は無い。来年でも、再来年でもいい。通常ならこのworldで他のDuchy(実質他の国)に行くのは、領地の境近くの交易都市でもchildには難しい事だろう。だが、今のVandalieuなら空を飛べば直ぐだ。
大した問題じゃない。そう、不愉快だが大した問題じゃない。
「ちょっと待ってくれないか」
だが、Vandalieuの後ろで声を上げる者が居た。目の前の受付嬢も、他の職員やadventurerもざわめき、声の主に注目する。
Vandalieuは、振り向かないまま目を見開いた。
その声に、聴き覚えがあった。