「……しらない……ほんとうに……ひらなひ……」
死んだ魚のような目をしたmountain banditの首領が、口の端から涎を垂らしながら呟く答えを聞きながら、Vandalieuは小さく唸った。
「本当に知らないのか。それにしては、timingが妙なんですよね」
peddlerによる村人毒殺未遂事件の翌日、他のcultivation villageをmountain banditが襲おうとしていた。偶然と考えるにしては奇妙過ぎる。
しかし、mountain banditの頭も手下達も、手掛かりらしい情報は誰も持っていなかった。
縄張りを変えるため移動してきたmountain bandit達は、from here一番近いNiarkiと言う町でcultivation villageの場所を情報屋から格安で仕入れ、第七cultivation village以外にはadventurerも居ないので簡単に襲えると知り、ここまで来たらしい。
例のpeddlerも含めた一部のHumanしか行き来の無いcultivation villageの内情を知っている、その情報屋が怪しいがmountain bandit達は誰もnameも知らないし、顔も目から下を布で隠していたらしい。
これでは追いようがない。
「念のためにもう少し注入してみますか」
「や……やめ……て……く……」
「あなたが、そう懇願する人達を殺したり犯したり売ったりするのを止めた事があったら考慮しますけど、あります?」
「な、なぁ……い……」
「知っていました」
とろりと液体が滴るclawsの先端を、Vandalieuは首領の開きっぱなしの口に入れる。そして爪から分泌される液体を垂らして行く。
その液体は、【Venom Secretion (Claws, Fangs, Tongue)】で分泌した俗に言う自白剤だ。
【Venom Fist User】のJobで獲得した【Venom Secretion (Claws, Fangs, Tongue)】skillは、文字通り毒を分泌できるようになるskillだが、Ghoulのskillと違い、分泌できる毒物に麻痺毒等の指定が無かった。
それで、【Venom Fist User】に就く前から考えていた「このJobに就いたら、毒物や薬物の扱いが上手くなるのではないか?」と言うideaを試してみると、Death-Attribute Magicだけで毒物を作るよりも毒性そのものはweakが、-sama々な効果の薬毒を爪やfangs、tongueから分泌できるようになった。
そしてVandalieuは自白剤やDisinfect液、麻酔やstomach腸薬に日焼け止め、点眼薬、更にはビタミン剤まで分泌できる生きた薬局と化したのだった。
……代償がManaでは無くVandalieuが体内に持つ栄養素なので、magic程乱発は出来ないのが欠点だが。
そして首領に今までしたのと同じ質問をもう一度繰り返すが、答える前に首領は痙攣を始めると、そのまま死んでしまった。
「それで、さっきの質問の答えは?」
『知らない……本当に……知らない……』
何事も無かったかのように首領の霊に答えを促し、それが今までと同じ内容だった事に落胆もせず、Vandalieuは死んだばかりの首領のbody partを掴むと、首筋に噛みつく。
そして【Bloodsucking】を行う。首領の体内に残っていた自白剤の成分も一緒に吸うが、彼の【Abnormal Condition Resistance】skillの前には、何のimpactも無い。
「ふぅ、昨日から動物性蛋白質に飢えていたので、丁度良かった。後は……」
手早くmountain banditの懐を探り、そこそこの現金を手に入れ、ついでに彼らのWeapon Equipmentも回収して行く。そして死体は【Golem Transmutation】で作った穴に放り捨て、【Decomposition】で白boneになるまで腐らせてから埋める。
「これで良し」
そしてVandalieuは再び【Flight】して、第六cultivation villageに向かった。
村では特に何事も無い-sama子だったので、空から降りてきた白髪のDhampirに驚き集まって来た村人達から話を聞いて、何人か治療したらそのまま次の村に向かう事にした。
「お待ちくださいFamiliar Spirit -sama! 親父の目を治して頂いたお礼をしない訳には参りません!」
「いや、大したことはしてませんよ?」
簡単な【Spirit Form Transformation】Surgeryをした後、点眼薬を分泌して、薬を入れる小瓶を【Golem Transmutation】で作っただけなのだが。
「息子の火傷を治して頂き、ありがとうございます! お蔭で息子の指が、指がっ」
やはり簡単な【Spirit Form Transformation】Surgeryと、同化して【Rapid Healing】skillで傷を治して指を元通りにしただけだ。
まあ、無医村(無Healing Mage村)の村では大きな事なのだろう。しかし、やはり代価をお金で貰うのは気が引ける。このcultivation villageは、第七cultivation villageよりはcertainly、そして第五cultivation villageと比べてもやや貧しそうだし。
「じゃあ、Goddess Vidaの祠を、仕事の合間で良いので建立してください。石に聖印を刻んで、簡単な屋根を付けただけで十分ですので」
そして今度こそ次のcultivation villageに向かったのだった。
《【Surgery】skillのlevelが上がりました!》
その村は、貧しいながらも村人が一生懸命日々を過ごす良い村だった。
「ぶぎゅぎゅぎゅっ!」
「ぶふぅぅぅう!」
「ブギギギギギ!」
村を囲う粗末な木の壁を破って、三匹のOrcが入ってくるまでは。
「に、逃げろっ、Orcだ!」
「ひぃぃぃっ!」
村人達は我先にと駆け出す。adventurerにとっては馴染みの敵のOrcも、貧しい難民上がりの村人達にとって大きな脅威だ。
一匹だけならHunterや村の若い衆で囲んで何とか追い払う事も出来るかもしれないが、三匹纏まっているならどうしようもない。
村の男衆が総出でかかれば追い返す事は可能かと思うかもしれないが、村と言っても農地を含めればそれなりに広い。前触れも無く現れたOrcの所に、全員がWeapon Equipment代わりの農具を持って即駆けつけられるはずが無いのだ。
Orc達は逃げ惑う村人達から品定めする-samaに見回しながら、のっしのっしと軽快な足取りで進んで行く。
「きゃあっ!」
その視線の先で、逃げようとしていたShoujoが転倒した。まだ成人するまでには一年か二年かかりそうだが、Orcの穢れた欲望を満たすには十分なageだ。
「ブフッフゥ」
我先にShoujoに近づく三匹のOrc。
「ベスっ! 今行くぞ!」
そこに駆け付けるのは鍬を持ったShoujoと同じ年頃の、狼の耳とtailを生やしたBeastmenの少年だ。
「Morrisっ! もう無理だっ、助けられないっ、逃げるんだ!」
「嫌だっ! ベスをOrcなんかに渡して堪るか!」
父親らしい同じ狼のBeastmenの男の制止を振り切って幼馴染の、恐らくは好きなShoujoの下に駆け付ける。
「Morrisっ、来ちゃダメーっ!」
ベスもMorrisを止める。彼ではOrcに勝てない事が解っているからだ。certainly Morrisだってそれは解っている。
自分の-samaなchildが鍬で退治できるなら、adventurerも苦労しない。きっと数秒ベスが汚されるまでの時間を稼いだだけで、自分はOrcが持つ棍棒で殴り殺されるだろうと。
だが、それでもMorrisは自分の行動を止める事は出来なかった。
「お前等っ、俺が相手だ!」
そう啖呵を切って鍬を振り上げる少年を、Orc達は「ブキャキャ♪」と歓迎した。雌の近くに、まだ肉の柔らかそうな若い雄が来たのだから。
「ブホホっ!」
早速殺して肉にしようと、Orcが棍棒を振り上げる。
「うぉぉぉぉっ!」
一方、Morrisが振り上げた鍬はOrcの分厚いblubberとその下のmuscleに、thrust刺さる事無く弾かれてしまった。
Morrisの顔に、despairが過る。
ぱっと、bloodが飛び散る。
ベスはそれがMorrisの物だと思って、目を閉じた。Morrisも、自分は死んだのだと思った。
「まず一匹。続けて、【重拳】」
しかし、村人達は見た。空から猛Speedで降下してきた白いchildが、一撃でOrcの頭を爆砕したのだ。
「ぶぎぃぃぃ!?」
二匹目のOrcの頭に、動きが大きくて避けられやすいと言う弱点はあるが、その分高いAttack Powerの【Unarmed Fighting Technique】のMartial Artsで攻撃して殴り殺す。
「ブゴッ!?」
三匹目は我に返って棍棒を振り上げるが、Braga達に混じって修業していたVandalieuの目から見れば遅すぎる動きだ。
ザクリと、clawsで致死量を超えるneurotoxinを注入する。
Orcは大きく数度痙攣すると、膝を折りそのまま倒れ伏した。
「あ……あれ?」
そしてVandalieuはぽかんとしているMorris少年に振り返って、口を開いた。
「無謀なのはどうかと思いますが、Humanですからemotionsが先走ってついという事もあると理解できます。俺にも覚えがありますし。
何が言いたいのかと言うと、助けられて良かったです」
「あ、ああ、ありがとう」
すらすらと喋る、半身がbloodに染まり片腕が変な角度に曲がったまま宙を浮いている少年に、反射的に礼を言うMorris。
「なので、俺を怖がらないでください」
相変わらず、対人運に自信が無いVandalieuだった。襲われるところだったのを助けても、「ひぃ、別のmonsterだ!」と言われるのではないかと、不安に駆られている。
「あの、腕が……」
落下のAccelerationとOrcを撲殺した衝撃に耐えられずに折れた腕を指摘されたVandalieuは、もう片方の手で無造作に腕を真っ直ぐにして、服の下の部分だけ【Spirit Form Transformation】。boneやblood vesselを正しく配置してすぐ治るようにする。
「治りました」
「な、治ったの?」
ベスも目を開いて驚いているが、次にVandalieuに言われた言葉でMorris共々完全に我に返った。
「それより、OrcのDismantlingをしませんか? 三匹も居れば、村人全員がお腹一杯食べられますよ」
近くにMorris達が居た事もあるが、肉を回収可能な殺し方をするためにmagicを自粛したのだから。食べないのは勿体ない。
Orcの霊から何故村を襲ったのか聞くと、ボスに「この村で好きに暴れろ」と言われたという答えが返ってきた。
『ではそのボスは?』
『オレ達を放して、何処かへ行った』
『ボスはOrc?』
『違う、Human』
『顔とnameは分かる?』
『ボスと名乗ってた。顔は、鼻が人と同じ形』
『耳は尖ってなかった。色はお前より黒かった』
『角とか翼とかは生えてなかった』
霊になっても賢くなる訳ではないので、分かったのはこの程度だった。
conjectureすると、maybe HumanのTamerが何故かこのcultivation villageにOrcを三匹も嗾けたらしい。やはりLemureを作って周辺に怪しい人shadowが無いか探すが、やはり見つからない。
土地勘って、何処かに売ってないだろうか?
そう嘆きながら、Vandalieuはclawsを使ってOrcのDismantlingを行った。
Vandalieuはソロで活動するadventurerなら大体持っている【Dismantling】skillを持っていない。しかし、彼はその代わり、【Cooking】と【Surgery】skillを持っていて、それで【Dismantling】と大体同じ事が可能だった。
それで村人達の誰よりも素早くOrcのDismantlingを済ませ、ついでだからと腐りやすい内臓でCookingを始めた。
しかし最近水が不足気味なので、Cookingに大量の水を使う事が出来ないと村人達は言う。それでは内臓の処理が出来ない。だが、Death-Attribute Magicや【Golem Transmutation】等のskillを使う所を村人達に見せたくない。
なのでVandalieuは村人達の目を盗んで誰も居ない家の裏手に行くと、素早く【Golem Transmutation】で井戸を掘った。
【Out-of-body Experience】して地面の中を探り、手掘りするには難しい深さに地下空洞と地下水脈を発見。地上から地下水脈までの間の土を材料にEARTH GolemやRock Golemを作り、地下空洞にGolemを移動させれば地下水が出る。
そして穴の側面をRock Golemで固めれば、井戸の完成だ。certainly、地下水が飲料に適する事も確認済みだ。
「あれれー、こんな所に井戸があるよー」
そして某体はchildな名探偵の真似をして村人を誘導。
「そんなBAKANA、こんな所に井戸なんて……井戸だっ! 井戸があるぞ!?」
「何だって!? こ、これは一体……!?」
「水はっ!? 水はどうなんだ!?」
殺到する村人達。既に汲んでおいた水を持ってCookingに戻るVandalieu。
そして丁寧に内臓を処理する。
「幾ら【Sterilization】や【Disinfect】があっても、物理的に内臓の中身が無くなる訳じゃないですからね」
人体に無害でも、Orcの内臓の内容物を口にしたい人はいないだろう。Vandalieuもそうだ。
「ありがとうございます、Familiar Spirit -sama! 息子達を助けてくださったばかりか、こんな豊かな井戸まで与えてくださり、何とお礼を言えば良いのか……っ!」
「お蔭で村はこの先何年、何十年も栄え続けます! ありがとう、ありがとう!」
因みに、当然井戸がVandalieuの仕業だと村人達は気がついた。
尤も、Vandalieuも完全に誤魔化せるとは思っていなかった。要は、未知のmagicとskillを使っている事を知られなければいいのだ。井戸を掘るだけなら、Earth-Attribute MagicやWater-Attribute Magicで十分できるだろう。
「あのー、ちょっとCookingの途中……ええっと、感謝はVidaの祠を作ってくれれば十分なので」
「分りました! 村が栄えた暁には、templeを建立いたします!」
「いえ、祠で十分ですよ」
ただVandalieuが想像していたよりも村の水不足は深刻だったらしい。数年の内に改善出来なければ、村の放棄も考えなければならなかったそうだ。
『それでVandalieu -sama、今は何処に向かっているの?』
「最後の第二cultivation villageです」
通信用magic itemのGoblinの干し首で、Vandalieuは【Flight】しながらEleonora達と話をしていた。
『失礼ですが、何故Vandalieu -samaはcultivation villageを助けて回っているの? 今回の目的はAdventurer’s Guildで登録する事よね?』
どうやらEleonoraはVandalieuが何故cultivation villageを助けて回っているのか、分からないらしい。
『そう言うなよ。人助けは良い事じゃねぇか』
『偉いぞ、King。ところで俺の出会い――』
『あまり目立つとHihiryushukakaを奉じるVampireに気が付かれるわ。あまり余計な事はするべきじゃないと思うのよ』
Zranはoriginally交易があったHartner Duchyの人々に好意的だ。accurateには開拓民はSauron Duchyからの難民なのだが、区別する気は無いらしい。
しかし、Eleonoraはそんな事よりも早くAdventurer’s Guildに登録するべきだと訴えた。
Talosheimの民でも無く、何の得にもならない人助けをするために危険を冒すべきではないと言う極めて常識的な主張だ。
実際、普通の通りすがりなら「大変だな」と思いつつ、素通りするだろう。certainly、治癒magicが使えるMageなら第七cultivation villageでIvanを助ける事はしたかもしれない。
しかし、その後第五cultivation villageまで行っただろうか? 更にその後他のcultivation villageを回ろうと思うだろうか? 義務も無い、adventurerですらないただの通りすがりが。
実際、Vandalieuはcultivation villageの人々を助けても実利を得ていない。得られたのは貧しい人達からの感謝と尊敬、粗末な宿屋や食事、Vidaの祠を建立すると言う口約束。それらは、彼が目標を達成するにあたって何の役にも立たない。
adventurer登録は開拓民とは関係無く出来るし、登録前に開拓民を助けなかったからと言って登録を断られる事は無い。
Nobleに成るのに一般庶民の中でも下の方の民からの人望は特に考慮されないので、無くても問題無い。
Darciaをrevivalさせるのにも、Heinz達仇を殺すのにも、何の力にもならないだろう。
だから得どころか、敵であるEvil God (M)派のVampire達に気が付かれる危険性が増すだけだと、Eleonoraには思えるのだ。
「それはそうですけど、助けられるなら助けておいた方が良いじゃないですか」
しかし Vandalieuに言わせるとこうなる。
「情けは他人の為ならずと言います。こうして良い事をしていれば、巡り巡ってきっと良い事が返ってきます」
『そ、そうなの?』
Vandalieuの理論は、Eleonoraの価値観と半生を顧みると、愚かなお人好しの理論と言えるものだ。
「そうです」
しかし、Vandalieuはきっぱり言い切る。
何故なら彼は人の醜さ、愚かさ、悪意、邪悪、を信じているからだ。それを持つからHuman足りえるのだとすら考え、自身にもある事を否定しない。
しかし醜さは美しさが、愚かさは賢さが、悪意は善意が、邪悪は善良さが存在して初めて成立する概念だ。この世の全てが醜く愚かで悪意に満ち、邪悪ならば態々それらを表す言葉は産まれない。全ての負を「普通」、「凡庸」、「通常」、「平均」と表現すればいい。
だから、人には美しさ、賢さ、善意、善良さが存在するのは疑いようも無い真実である。
よって、VandalieuはHumanの美しさ、賢さ、善意、善良を信じていると言い換える事が出来る。
「力を持つ者の義務とか言うつもりはありません。そう言う考え方、俺は嫌いですし。俺はただ自分が幸福に成りたいので、皆を少し幸福にしているだけです」
『でも、Vampireは……?』
そこまで話を聞いたEleonoraは、Vandalieuは幼いchildが教えられる「皆をSmiling Faceにすると、自分もSmiling Faceに成れる」等の考え方を、敵や仇以外には実践しているのだと解釈した。
それなら、何とか納得できる。お人好しだなとは思うが、彼女自身元はVandalieuを殺すために送り込まれた刺客だ。そのお人好しな考え方のお蔭で今の彼女がある。
しかし、それでもVampireに気が付かれる危険性は考えて貰いたいのでそう訴えると、Vandalieuは気楽に答えた。
「まだ大丈夫でしょう。Hihiryushukakaを奉じるGubamon達がこのContinentで最も有力なVampire勢力でも、出来たばかりのcultivation villageに情報員を常在させる程、organization力は無いでしょうし。
村にpeddlerが来るのはまだ先で、俺の事が町まで知られるのはもっと先です」
『それなら、良いのだけど……』
『じゃあ、俺達もそのcultivation villageの近くに行くか?』
「んー、村の人達に見つからない-samaにしてくださいね」
『King、俺のこ――』
『それと、俺達の子孫やLevia -samaの事も出来たら聞いておいてくれよ』
「はーい。でも村の人達は知らないと思いますよ」
最後に着いた第二cultivation villageではpeddlerによる毒殺未遂事件も、stealth寄るmountain banditも、Orcを嗾けるTamerも、何も無かった。
ただ、突発的な危機の代わりに慢性的な危機がずっと前から続いていたらしい。
「最初の年は良かったのですが、何故か米の収穫高が年々下がる一方で。土地の改良などもしているのですが……このままでは三年後に税を払うどころか、今年の冬には餓死者が出かねません。AldaのFamiliar Spirit -sama、どうか村をお救い下さい」
Dwarfの村長以下、村の衆に頭を下げられるVandalieu。村を上げて豊作を願う祈祷をしていた時に空から降りてきたからって、いきなりFamiliar Spirit認定はどうなのだろうか?
「まあ、やってみますけど……あと、俺はVidaのbelieverのDhampirです。AldaのFamiliar Spiritではありません」
これまでのcultivation village同-sama、この第二cultivation villageも何故かAldaの祠しかない。あの第七cultivation villageで会ったAldaのClericが、余程熱心に布教したのだろうか?
それはin any case、ただ不作なだけではVandalieuに出来る事は限られている。とりあえず、Rice fieldsの土を見てみようと、行ってみる。因みにRice fieldsは水を張っていない乾田である。
【Farming】skillによる知識や勘でざっと見ると、確かに稲が弱っているように思えた。
水は十分あるし、diseaseにかかっているようにも見えない。そこで土を舐めて味で成分を調べてみようとすると、【Danger Sense: Death】に微弱な反応があった。
「もしかして、毒かな? 【Disinfect】」
すっと、土から反応が消えた。どうやら、人体に有害な成分が土に混じっているようだ。稲に【Detoxification】をかけると効いたので、不作の原因はそれだろう。
「でもなんで土に毒が?」
おかしい。この村の土の質と、他のcultivation villageの土は同じように見える。Farming用水に毒が混じっているなら、用水路にも【Danger Sense: Death】が反応するはずだ。
特殊な肥料でも使っているのだろうか? そう思って聞いてみると村長を含めて誰もが首を横に振った。
「肥料は草木灰や、人糞から作った堆肥を使っております。ですが、他のcultivation villageも同じ事をしているはずですじゃ」
「親父、一度Knight団の方々が訓練のついでに害虫除けの薬を持って来てくれた事があったじゃろう」
「そう言えばそうじゃのう。あれは、Duke閣下の長男のLucas王子がDelegation LeaderのKnight団じゃったな。しかし、他のcultivation villageにも同じ薬を届けたそうじゃが……」
髪と髭の色が白か黒かでしか見分けがつかないDwarf村長とその息子の会話を聞いても、はっきりとした事は分からなかった。
いや、どう考えてもその害虫避けの薬が怪しいのだが、Knight団がこのcultivation villageのRice fieldsにだけ毒を盛る理由が分からない。
変なお家騒動でもしていなければ、だが。
(開拓事業は確か次男のBelton主導で、Knight団のDelegation Leaderは長男のLucas。peddlerやmountain bandit、Tamerにこの村のRice fields……嫌な予感しかしない)
お家騒動が起きているとして、何故こんな領の端の貧しいcultivation villageで陰謀劇をやっているのやら。bloodみどろのbone肉の争いは、城かmansionの中で自分達だけでやってくれれば良いのに。
「とりあえず、Rice fieldsの土と稲の毒は消しておきました」
もしかしたら証拠を消してしまったかもしれないが、もしそうなら犯人のBackには権力者が居るので保全しても無駄だろう。
村人達は歓声を上げるが、しかし Vandalieuとしては微妙な成果だった。毒が消えても冷害や害虫、diseaseなどで凶作になったら冬に餓死者が出る現状は変わらないからだ。
この村の食糧事情を改善する方法は何かないか。Rice fieldsにManaをばら撒くとあぜ道に植えてある豆がMonster Plant化しかねないので、それ以外で。
そう考えると、ふと思い出した事があった。Goblin Kingが居たimpactか、cultivation villageの周辺では今もGoblinが普通より多い。そして、Gobubu Grassは探せばすぐ手に入る。
「では皆-sanに、非常食として不味くないGoblinの食べ方をお教えします」
Ghoulの非常食、Gobu-gobuを作ろう。