目立たず行動する事を諦めて村人のIvanの命を救った結果、Vandalieuは村唯一の商店、何でも屋で大歓迎されていた。
「坊主、お前のお蔭で助かった。もう少しでつまらない死に方をした挙句、二人目のchildに顔も見せてやれないところだったぜ。
さあ、食ってくれ、俺の奢りだ!」
「偉そうにするんじゃないよ、大したものじゃないだろうが!」
『いえいえ。丁度お腹が空いていましたから』
そう食べながらVandalieuはIvan coupleに返事をする。今彼が食べているのは、お粥だ。
Earthのインディカ米に似た長い粒の米に、独特の臭いを消すためか食べられる野草と嵩を増すために豆を加え、塩を少々加えた物だ。
本当に大した物ではない。味は素材の味が生かされて……ほぼ素材の味しかしない。
ただ、今は夏で丁度米の収穫前の時期だ。そのためこの程度のCookingしか出せないのだろう。米のお粥が出るだけ、この第七cultivation villageは恵まれているのだ。
(荷物の中に在る干し肉や干し魚を入れたら、塩味が強くなって美味しくなりそうだな)
そう思っても、Vandalieuはそれを実行せずお粥を食べる。このworldには『燻製』の概念が無いらしいので、燻製の干し肉や干し魚は将来Talosheimの特産品に成るからだ。なので、秘密は保持するに限る。
因みに、何でも屋の酒場spaceにmenuは無い。酒は店主自作の濁り酒(雑穀がベース)、肴は炒り豆や煮豆、偶に野菜。
そして食事は常に経営者familyと同じ物しか出ない。経営者familyが多目に作ったCookingを出しているのだから当然だ。
そんな事で商売が成り立つのかとVandalieuは思ったが、逆にこうでなければ商売がこの村では成り立たないのだ。
各家庭で酒は自家用酒が作られているし、Cookingの腕も何でも屋夫婦と違いは無い。なので、ここで金を払ってまで飲み食いする客は、二ヶ月に一度街道を通ってSlave鉱山に行く途中の商人やその護衛、Soldier、そしてKasim達三人ぐらいだ。
そのため複数のCookingを出せる体制を整えると、逆にcostが増えてしまう。結果、このお粥である。
「あんまり美味くないだろう」
やはり自覚しているのか、店主がしみじみとした口調で言う。
『……そんな事ありませんよ』
「いや、良いって。俺もIvanの恩人に少しは美味いもんを食わせてやりたいが、この村で栽培してる米じゃなぁ」
「親父-san、それは言わない約束だろ。でも、確かにSauron Duchyで育てていた米の方が美味かったなぁ。臭いも無かったし」
何でも、彼らはHartner Duchyの北にあるSauron領ではジャポニカ米に近い種類の米、通称Sauron米を栽培していたらしい。
しかし、逃げ延びたこのHartner Duchyの気候と土ではSauron米の栽培に適さなかったのだ。
それで仕方なくHartner Duchyで一般的に栽培されているインディカ米……Elective Kingdomでは南部米と呼ばれる米を栽培しているそうだ。
『つまり、全てEmpireが悪いと』
今日、食べ慣れたジャポニカ米に近い米が食べられないのは、全てEmpireのせいなのかと口にするVandalieu。
「ああ、全てあの糞ったれなEmpireのせいだ!」
「そうだそうだっ、全部Empireが悪いんだ!」
そしてここはAmid Empireに故郷を追われた難民達が集められたcultivation villageなので、誰もが口々にVandalieuの言葉に賛同するのだった。
「しかし、まさかmagicが使えるなんてな」
「確かに驚いたな。てっきり【Warrior】か【Unarmed Fighter】かと思っていたよ」
そう言いながらVandalieuと同じお粥を食べているKasim達に、AldaのClericも頷いた。
「ええ、まさか-kunがあれほどVidaに愛されていたとは驚きました」
彼はVandalieuに微笑むと、胸に手を当てて言った。
「あなたがKasim達とIvanに危機が訪れた今日という日に現れたのも、きっとGodsの思し召しでしょう。
AldaとVida、Mythでは袂を分かってしまった神に祈りを捧げる私達ですが、共に手を取り合い善行に励みましょう」
相変わらずVandalieuには薄っぺらに見える笑みだったが、言っている事は真面なように思えた。少なくとも、Gordan High Priestよりは、余程Clergymanらしいと。
意外と善人なのかもしれない。
『そう言っていただけると幸いです。俺は聖職に就いている訳ではありませんけど』
そう言えば、Hartner DuchyのChurch of Vidaはどうなっているのだろう? 町に行ったら、それとなく見に行ってみよう。
「ところで……-kunは何故お粥を食べながら明瞭に話せるのですか?」
『……特技です』
本当は、Slightly【Out-of-body Experience】を使っていて服の下にSpirit Formの顔があり、その口で喋っているのだが。
「あ、お代わりお願いします」
「まだ食うのか!? いや、良いけど、もう三杯目だぞ」
「お腹が空いていまして。すみません」
Vandalieuは同じ年頃のchildと比べても小さく細いが、その見た目からは想像できない程食べる。それは、彼が必要とするenergyが既に平均的な成人maleの倍以上であるからだ。
「強さとmagicに加えて、食べっぷりまでadventurerだな」
ただ、Production related Jobに就く一般人よりもbody part Abilityがincreaseする戦闘系Jobに就くadventurerの間では、痩せの大食いは珍しくない。町のAdventurer's School校に通っていたKasim達は、店主程には驚かなかった。
「村長! 隣の第五cultivation villageのCainが、Cleric -samaにってうわっ!?」
「Cleric -samaっ! うちの村に来てくれ! うちの村でDiseaseがっ、epidemic diseaseが、それでみんな次々に倒れてる! 早く来てくれっ!」
何でも屋に駈け込んで来た男をthrust飛ばすようにして、擦り傷だらけの男が駈け込んでくる。きっと何度も転びながらここまで来たのだろう。
「epidemic disease!?」
「何と! しかし、既に日も暮れた。今から第五cultivation villageに行くのは……」
この第七cultivation villageと第五cultivation villageを直接繋げる道はBeast Path同然の有-samaだ。そのBeast Path同然の道を進んでも、歩いて四時間はかかる。しかも nightは狼やmonstersが活発に活動する時間帯だ。整備されていないBeast Pathがどれ程危険になるかは、述べるまでもないだろう。
一度街道に出て第五cultivation villageに進む方法もあるが、それだと丸一日はかかってしまう。
「Cain、明日の朝一番で出ましょう。それまで貴方はbody partを休めなさい」
「そんなっ!? それじゃあ村の皆が、女房と娘がっ!」
「分かってください、Cain。危険なnight道を進む訳にはいかないのです。最近Goblinの数も増えていますし、村に辿りつく前に私達が倒れては、何の意味も――」
「ああぁ、そんな……そんな……」
肩を落とし、啜り泣くCain。村の仲間と、そして妻と娘のために危険を冒してここまでやって来たこの平凡な男の行動に胸打たれ、手を上げた者達が居た。
「よし、俺達が護衛を――」
「じゃあ、俺がそのCain -sanを乗せて飛んでいきましょう」
者達が居たが、一緒に行けるとは限らないのだった。
「星が綺麗ですねー」
「ひぃぃぃぃぃぃっ!」
「tonightは良いmoonlit nightですよ」
「のうぉぉぉぉぉぉっ!」
このLambda worldで、空を飛ぶ事が出来るのは一部のMageか高価なmagic itemを持つ富裕層、竜Knight等Flight可能なmonstersをTamerしている者、後翼を持つVida's New Racesくらいだ。
なので、一般人にとっては空を飛ぶなんて夢か妄想でしかない。
そんな貴重な経験を、Cainはしていた。
VandalieuはCainのbody partを命綱でしっかり結んで背負い、荷物を手に持って【Flight】のmagicで空を飛んで第五cultivation villageに進んでいる。ただ、Cainは落下のhorrorからscreechを上げながらVandalieuに抱きつくのに必死で、この貴重な経験を楽しむ余裕は無さそうだが。
「ところで、真っ直ぐで良いんですよね?」
「あ、ああっ! 途中で小さな沼があって、それが目印になると思う!」
「沼はさっき通り越したので、このままでいいみたいですね」
上空三十meter程の高さを、VandalieuとCainは飛んでいた。早さは精々馬が走る程度なのだが、Cainにとっては目も開けられないhorrorらしい。尤も、目を開けていたとしても【Dark Vision】skillが無いCainの目では見えないだろうが。
「もう沼を通り過ぎたのか!?」
「はい。ところで首がSlightly絞まるんですけど」
Vandalieuの【Flight】の速度が人の脚と比べて早い事もあるが、空を飛ぶことで地形を無視して目的地まで直線距離を移動できるのが大きい。
恐らく、十分もしないで村まで着くだろう。
その代わりManaの消費が大きいのだが。
(【Automatic Mana Recovery】skillのお蔭で、俺と荷物だけなら消費量と回復量がトントンなんですけど、Cain -sanの体重分が……俺も修行が足りないなぁ
いや、それよりdiseaseについて聞いておこう)
「それで、epidemic diseaseですけど……どんなdiseaseなのか、もう一度聞かせてください」
Vandalieuが気になっていたのが、Cainの言うepidemic diseaseについてだ。既に簡単に話は聞いていたのだが、それがどうにも不自然に思えたのだ。
「それは、俺が猟から戻ると皆がバタバタと倒れていて、熱があって、吐き気もあって、それで朦朧と……後bloodを吐いた奴も……」
「Cain -san以外に、元気な人は居ましたか?」
「俺以外には……いや、確かJoseph爺-sanはまだマシだったな。あと、赤ん坊はまだdiseaseには成っていなかった」
「そのJoseph -sanっていうのは?」
「木こりの爺-sanだ。昨日から風邪が酷くて、俺が帰るまで寝込んでいたらしい。今は、村の皆の看Diseaseのために無理をさせちまってる」
「その人はepidemic diseaseでは無い?」
「ああ、maybeな。熱はあるし鼻も出てたが、吐き気は無かったし、bloodも吐かなかった。だから看Diseaseを頼んだ。幾ら動けても風邪の爺-sanを隣村まで走らせるわけにはいかなかったし、Diseaseじゃなくても赤ん坊を半日も放っておけないからな」
(つまり、猟に出ていて村を留守にしていたCain -san以外ずっと寝ていた老人と赤ん坊を残して村人全員が同じ症状のdiseaseで倒れていた。そして……Cain -sanは健康体と)
何でも屋に飛び込んで来た時から、Cainには死相は見えなかった。とても危険なepidemic diseaseに感染しているとは思えない。
念のために、彼がpanicを起こし自分を抱きしめている間にこっそり彼のbody partを【Spirit Form Transformation】で調べたが、Cainは健康体だ。Ivanよりもずっと長生きしそう。
一応epidemic diseaseと聞いて第七cultivation villageを出る前に、村から有害な菌やvirusを【Sterilization】してきたのだが……これはdiseaseではなく毒ではないだろうか?
しかし、一人二人ならin any case、ほぼ全員の村人に毒を盛る手段とは? そもそも動機は?
「今日、何か変わった事ってありました?」
そう尋ねると、Cainは「いや、何時も通りで、精々peddlerが来る日だったくらいだな」と答えた。
「peddler?」
「ああ、何でも自分の店を潰しちまって、行商からやり直して再起しようって頑張ってる見上げた奴さ。何にしても、街道から離れたこんな小さな村まで来てくれて助かっていたんだが……そう言えば、村に居なかったな。
村を出た後で倒れてなけりゃあいいが……」
(その人が犯人だろうなー。まあ、動機は不明だけど)
しかし、今は推理よりlifesavingだ。
「あれが村かな?」
nightの闇も真昼のように見通す事が出来る【Dark Vision】skill持ちのVandalieuは、開けた土地に建つ複数の木の家を見つけた。
「た、maybeそうだ! 頼む、sickは――」
「じゃあ、from here一気に治療しますね」
「えっ?」
「村があそこからここまでか。まあ、三千万も使えば良いかな? 【Detoxification】【Disinfect】」
黒い霞の波のようなものが、村に広がった。
「あんたぁぁぁっ 生きてたんだねぇ!」
「父ちゃぁぁぁんっ!」
「良かったっ! 治ったんだなっ、良かった!」
Vandalieuにとっては若干既視感を覚える光景だが、村中でCain達の-samaな喜びと感動のシーンが起こっていた。
村人達が苦しんでいると、前触れも無く熱も吐き気も無くなり、朦朧としていた意識もはっきりとした。
そしてfamilyも同時にdiseaseが治っていた。喜んでいると、外から声がする。そこには、青白い炎に照らされたCainが居た。
最初、Cainの亡霊が奇跡を起してくれたのだと思い込んだ村人達だったが、誤解はすぐ解けてこの感動の渦となった。
「……ふぅ、これで一安心か」
大人一人を抱えて(抱えられて)の【Flight】は、やはりManaを大量に消費した。originally効率の悪い術なので仕方がないが。
お蔭でManaを七千万近く使った。しかも night遅いので眠い。健康的な児童としてそろそろ眠りたいのだが、今から第七cultivation villageに戻らなければダメだろうか?
とりあえず、Lemureを作って、何時の間にか消えていた犯人のpeddlerを探してみよう。この辺りの地理に詳しくないので、街道から外れて間道に入られたら見つけられない可能性が高いけど。
peddlerを犯人と決め付けているが、【Detoxification】で村人が回復した以上確実にdiseaseでは無い。そしてpeddler本人が居ないのだから、状況証拠はばっちりだ。
「ああ、皆-san。毒は消えましたけど、Enduranceは戻っていませんからあまり興奮しないで。安静にしてください」
「あんた、この子は?」
「この子がお前達のdiseaseを治してくれたんだ、村の恩人だ! ありがとうっ、ありがとう!」
うっかり口にした毒と言う言葉は聞き流されたらしい。Cainは涙と鼻水でぐしゃぐしゃに成った顔で、抱き上げる。
「何だってっ!?」
「おお、村のSaviorだ!」
「Familiar Spirit -samaだ。アル――」
「そこはVidaで」
「Vidaの、Goddess VidaのFamiliar Spirit -samaだ!」
凄まじく不愉快な事を言われそうになったので、そこだけは断固拒否する。
「いや、そうじゃなくて安静に――」
はっと我に返るが、その時にはVandalieuは村人にもみくちゃにされていた。明日動けなくても知らないぞと、Vandalieuは内心思いながら、とりあえず今日はこの村に泊まりかなと呟いた。
Lemureでの捜索は失敗し、問題のpeddlerには逃げられてしまった。死者でも出ていれば何とかなったかもしれないが、Cainの頑張りとVandalieuの治療の結果村人は誰も死なずに済んだため、手掛かりは無かった。
村人達の話によると、あの日はpeddlerが信仰している聞いた事も無い(実在するか疑わしい)神の祝日だと言うので、皆に振る舞ってくれたそうで、彼が差し入れてくれたお茶と菓子を頂いたらしい。
Cainの妻子が猟で留守の彼のためにと残しておいた菓子に毒が入っていたので、それが原因だろう。peddlerはすぐ悪くなるので今いる人達だけで食べてくださいと言っていたようだが、証拠が残った訳だ。
まあ、毒はもうmagicで消してしまったので証拠Abilityがあるか疑問だが。Vandalieu以外にDeath-Attribute Magicで毒を消した痕跡を見つけられる者が居るとは思えない。
こんな事をしたpeddlerが、ご丁寧に商業guildに登録しているとは思えないし。
まあ、村人を皆殺しにしたと思い込んで、間抜けにも一番近い町に向かった可能性もあるが。
そして信頼していたpeddlerに裏切られた事に気が付いてshockを受けた村人を宥めつつ、村に一泊したVandalieuは村の周囲に見張りのLemureを残して何をしているのかと言うと……。
「かーれーらは、ぜーんいん」
平坦な歌を歌いながら、空を飛んでいた。
昨日のpeddlerが他のcultivation villageでも何かしていないか、見て回るためだ。
certainly無視して町に行き、目的のadventurer登録を済ませる事を優先しても良いのだが、もし第五cultivation villageのように毒を盛られて死に瀕している村があったら寝覚めが悪くなる。
(袖振り合うも他生の縁と言いますし、情けは他人の為ならずとも言うし)
報酬は、お金を貰うのは気が引けたので村にVidaの祠を作ってもらう事にした。祠と言っても、Aldaの祠同-samaに、適当な大きさの石に聖印(heart mark)を刻んで、簡単な屋根を設置しただけのものだ。だが、その簡単さ故に、頼みやすい。
お蔭でますますVidaのFamiliar Spiritの化身扱いが強まったが、別にいいや。
「にくいんだー……おや?」
今は、第六cultivation villageに向かっている最中だった。その途中で、地上に十数人程の人shadowがある事に気がついた。
見てみると、使い古した革製の鎧を着て武装した薄汚れた雰囲気の男達が、第六cultivation villageに続くBeast Pathを進んでいる。
Cainに木の皮に描いてもらったmapを取り出して確認するが、間違いない。
男達の背に憑いていた霊を呼んでみて話を聞くと、男達はmountain banditであるらしい。それを何度か他の霊に繰り返しても同じ答えが返って来たので、どうやら本当にmountain banditの-samaだ。
始末しよう。
「いいかbastard共、村に着いたら男は皆殺し、女も愉しんだ後殺せっ! だが売れそうな見目の良い奴には傷一つつけるんじゃねぇぞ! いいな!?」
「悪いです」
「何だと!? テメェ、俺に逆らあっ!? 誰だこのガキ!?」
ギョッとしてmountain banditの頭らしい男が振り返る先に、Vandalieuは居た。音も無く宙に浮かんで。
「か、頭、こいつmonsterだ!」
「急に上から落ちて来て……きっと幽霊か何かだぜ!」
腰が引けているmountain bandit達に、Vandalieuは答える。
「いいえ、ただの通りすがりの空飛ぶ七age児です」
このworldでただの七age児は空を飛ばない。
「ちぃっ、ナメやがって! Cainっ、テメェのMysterious Strengthでこいつを始末しろ!」
そう頭が命令すると、ニヤニヤ笑いながらmountain bandit達の中で最も体格に優れたスキンHeadの男が前に出て来る。
「頭ぁ、殺す前に遊んでいいかぁ?」
「相変わらずガキが好きだな……好きにしやがれっ!」
「ひひっ、お許しが出たぜぇ!」
Cainは嬉しそうに叫ぶと、期待に目をギラつかせながら両手持ちのWar Hammerをこれ見よがしに振って見せる。
「頭、これから村を襲うんじゃ?」
「問題ねぇよ。Cainならあんなガキ、すぐ壊しちまうに決まってる」
「それもそうか」
「おいガキィ、大人しくしてるなら、手足を圧し折った後遊んでやるだけでいいぞぉ。でも、抵抗するなら手足を圧し折った後玩具にしてやるぅっ!」
「……うわ、idiotだ」
「何だとぉぉ!? 俺はidiotだって言われるのが一番嫌いなんだぞ! 知らねぇのか!?」
「知る訳ないでしょう」
「畜生っ! idiotにしやがって!」
怒りで赤くなり、茹でoctopusのようになったmountain banditのCainはWar HammerをVandalieuにthrustつけた。
「お前みたいなガキ、このWar Hammerの一振りで十分だ!」
(いや、十分じゃない奴が居たらお前じゃ何も出来ませんよね? 見るからにただ力任せに振っているだけで、【Club Technique】skillを持ってない人の動きだし)
そうツッコミを入れる代わりに、Vandalieuはtongueをチロリと出して見せた。
「お前みたいな雑魚、このtongueだけで十分です」
「このガ――」
何かCainが叫ぶ前に、Vandalieuの頬がぷくりと膨らんだ。そうすると彼の無表情にも、若干の可愛げを認める事が出来る。
しかし、何かを吐き出す「ぷっ」と言う小さな音と共に頬がflatに戻った。
そしてCainはビクリと硬直すると、そのまま後ろに向かって朽木のように倒れた。その左の眼窩にはギラギラとblood走っていた瞳は無く、ただの紅いblood溜まりと化している。
「えっ?」
「か、Cain? どうした?」
mountain bandit達が呆然としていると、Cainの左目から、ぬるりとした赤い蛇のようなものが出て来た。
「ひぃい!?」
腰を抜かすmountain banditの見ている前で、赤い蛇はCainの眼窩から這いずり出ると、bloodを滴らせながら空に浮かびあがり、そのままVandalieuの口の中に入った。
「……original Martial Arts、【tongue鋒】。Deadly Poisonを分泌させながら撃つと、中々のAttack Powerですね。欠点は、一度使うとtongueを回収するか生やすかしないと、喋れない事か」
【Venom Secretion (Claws, Fangs, Tongue)】の効果を活かし、根本だけ【Spirit Form Transformation】させて切り離したtongueを、【Long-distance Control】skillも併用しながらProjectile Fireして攻撃する、【Unarmed Fighting Technique】skillのMartial Artsだ。
certainly、こんな技を考えついて実行するHumanはVandalieuぐらいだろう。
「まあ、奥の手としてなら使えるかな?」
「な、何なんだお前はっ!?」
「とりあえず、これでCainは善良なHunterのCainだけになったので、後は普通に処理しましょう」
「に、逃げろぉっ! このガキ、本当に化けも……な、何だ、足が動かない……!?」
「お、俺も手足が震えて……な、何で、何で動かねぇんだよぉぉぉ!?」
必死にもがくmountain bandit達に、Vandalieuはmidairを滑る-samaに飛びながら近づいて行く。その小さな手の先端には、mountain bandit達の喉を掻き斬るには十分すぎるclawsが伸びつつあった。
「普通に毒を撒きました。俺が風上から声をかけたのに気が付きませんでしたか?
じゃあ、俺の質問に答えてくださいね? 殺した後にもう一度聞きますけど」