《【Unarmed Fighting Technique】、【Venom Secretion(tongue fangs爪)】、【Bloodsucking】skillのlevelが上がりました!》
「なるほど。既に町はGoblin Kingの根城になっていたと」
『しかし、やるもんだな。一人で災害指定種を相手にするとは』
「俺も見たかったぞ、Kingの大暴れ」
「いやー、それほどでも」
その日のnight、VandalieuはEleonoraや合流したninja部隊のBragaやZranと一緒に鍋をつついていた。
あの後、Vandalieuは只管Goblinと戦った。【Out-of-body Experience】や【Spirit Form Transformation】で分裂し、【Materialization】skillでMaterializationして、【Death Bullet】を撃ちまくったり、clawsで屠ったりしながら、延々Goblinを走り回りながら一方的に虐殺したのだった。
【Golem Transmutation】で町の壁からStone Golemを作ってallyを増やしたので、Goblinは一匹残らず物言わぬ骸と化したのだった。
尚、Goblinの雌をBraga達の相手にする事は最初から考慮されていない。まずBraga達はGoblinの言葉が分からないし、Black GoblinはGoblinよりもずっとHumanに近い見た目をしているため、美醜の感覚が合わないからだ。
「大した事ありませんよ。Goblinが千匹くらい」
『普通は大した事だぜ。CClass adventurerだって一人じゃ逃げ出す数だぞ』
「ほら、俺って普通じゃないですし」
「うん、King凄いぞ」
Goblin Kingに率いられた千匹のGoblin。まだKingがReignする群にしては小規模だが、普通のadventurerなら単独で、数人のpartyを組んでいたとしても挑みはしない。
levelはまだ低いだろうが【Strengthen Follower】skillのimpactで通常よりもEnhanced (1)されているだろうし、KingがReignするだけでcowardなGoblinは命を惜しまぬ蛮勇な兵と化す。
しかし、Vandalieuにとっては一人で相手をして、一方的に勝てる相手だ。
彼は一点突破で自身が張る【Impact-Negating Barrier】や【Magic Absorption Barrier】を破れる力のある相手にweakが、逆に何をしてもBarrierを破れない相手に対しては無敵に等しい。
Barrierの中でmain bodyであるBodyと魂を守り、外で戦うのを【Materialization】したSpirit FormのCloneに任せる。すると、錆の浮いたWeapon EquipmentしかないGoblin SoldierやGeneralは、彼に致命傷を与える事が出来ない。
Goblin KingやMageが頑張ってCloneを倒しても、Vandalieuからしてみればenduranceできる程度の痛みでしか無く、またすぐCloneを作ればそれで済む。
更に町の周囲に残っている石の壁をStone Golemにしてallyを増やせば、逃げ出す事すら難しい。
結果、Goblin King達はVandalieuのManaを一千万程削っただけで壊滅したのだった。その削った一千万も、【Automatic Mana Recovery】skillと、Goblin Kingのbloodを【Bloodsucking】した事で大分回復しつつあるが。
「でもVandalieu -sama、diseaseを使えばもっと早く倒せたのではないの?」
去年Mirg Shield Nation軍との防衛戦で使用したDiseaseは、Vandalieuがその気になればすぐにDisease原菌を作成可能だ。それを使えば、Blackでは無い通常のGoblin達は一気に行動不能になる。すぐに死ぬ訳ではないが、まるで作業のように倒れているGoblinに止めを刺すだけになるので、戦いにすらならない。
しかしその手段には欠点があった。
「そうですけど、もしGoblinに捕まっている人がいたら大変ですから。まあ、居ませんでしたけど」
GoblinはOrc同-samaに時折女を攫い、子を産む道具にする。その可能性を考慮したVandalieuだったが、幸いこの群に今掴まっている女は居ないようだった。一応、それらしい生命反応は在ったのだが、ただの雌Goblinだった。
「居るかどうかも分からない女の事を考えるなんて、思慮深いのね」
「普通の配慮だと思いますよ。でも褒めるのは止めないで」
美味しい食事と人からの賞賛は、人生の潤いである。skinshipがつけば尚良し。
『おう、偉いぞ』
「エライ、King」
三人に撫でられて初めての人里訪問が失敗した落胆から立ち直ったVandalieuは、殺したGoblin本人をZombie化して死体の処理をしつつ、皆で野営の準備を始めた。
Goblinが使っていた住処を使う気にはなれなかったので、適当な木材や石材で懐かしい竪穴式住居を【Golem Transmutation】でArchitectureする。
夏だからこれを十棟も建てれば十分だろう。
因みに、両手足を砕いて虫の息にしたGoblin KingはBragaに止めを刺してもらった。Experience Pointは多少入ったが、Kingでも所詮Rankは4。levelが上がる程では無かった。
『しかし惜しいな。Goblin Kingを倒したのがadventurerになった後なら、一気に等Classが上がったろうに』
「そんなに凄いんですか? Goblin King」
『そりゃあな。もし登録したての新人が一人で倒したってなれば、GClassから一気にEClassに昇Classして、DClassへの昇Class試験もすぐ受けられると思うぜ』
「おー、見た目より凄いな。流石Kingと同じだけある」
「……うわ、凄い損をした気がしてきた」
感心するBragaの横で、Vandalieuは地味に肩を落とした。
登録したばかりの新人が、Goblin Kingを単独で討伐。凄いBig newsだし、adventurerでは無い人々のMemoryにも残る偉業だ。
VandalieuがEarthでみたサブカルチャー作品でも、protagonistがいきなり大偉業を成し遂げて鮮烈なdebutを飾る展開があったが、まさにそれが可能だったわけだ。
adventurer登録をした後なら。
『いや、そもそも今回はすぐ町を出る予定だったんだろ? どの道昇格試験を受ける時間なんて無いだろ』
「そうよ。それに登録する前にこんな大物を倒したのだもの、Vandalieu -samaならすぐ同じようなachievementを上げられるわっ」
そう慰められたVandalieuは、「それもそうですね」とすぐに気を取り直した。
「でも、町が寂れるどころかGoblinの住処になっているのは何故でしょう? Hartner Duchyは今も存在しているんですよね?」
「ええ、それは間違いないわ。私もOrbaum Elective Kingdomに来たのは初めてだけど、流石にDuchyが一つ滅んだらContinent西部でも情報は伝わるでしょうし。
それに、この廃墟の-sama子を見ると町が無くなったのはずっと前よ」
『俺もこの町に来たのは二回だけだが……やっぱり俺達との交易が無くなったからか? それでも北にここより大きな町が、南には鉱山がある。中継地としてやっていけると思うんだがなぁ?』
「じゃあ、monstersのrunawayで町を維持できなくなったとか」
「ああ、それが原因かもしれませんね。Mirg Shield Nation側でも同じ事があったそうですし」
TalosheimがMirg Shield Nation軍に滅ぼされた後、Giant raceのadventurerによるmonstersの間引きが行われなくなったせいで、monstersがBoundary Mountain Rangeを越えてMirg Shield Nationに害を成すようになったと、元Mirg Shield NationのadventurerのKatiaから聞いた事がある。
それと同じ事がHartner Duchyでも起こったのだろう。そしてBragaの言うように、Dukeは町が維持できなくなり放棄したのではないだろうか。
『そうか、道理で町の周りが準Devil Nests化していると思ったぜ。monstersの間引きが出来てねぇのか』
因みに、Devil Nestsと準Devil Nestsの違いはその土地を汚染しているManaの度合いだ。
通常の動植物が生息しているだけでManaに汚染されてmonsters化し、自然にmonstersが発生する程Manaの汚染が深刻な土地をDevil Nestsと呼ぶ。Kobolの実等Devil Nests由来の採取物が生息するのもDevil Nestsである条件だ。
Devil Nestsをmonstersが発生しない普通の土地にするには、森なら木を切り開き沼なら埋め立て、Manaが宿りやすい物を除去してから、templeのClergymanに浄化して貰わなければならない。
対して準Devil Nestsとは、他のDevil Nestsから何らかの理由で出て来た複数のmonstersが棲み付いているだけの土地。その土地を利用する者にとってはDevil Nestsと同じだが、monstersを狩り尽くせばそれ以上monstersは発生しなくなる。普通の森や沼地として使う事が出来る。
この理屈だと、作物がMonster Plant化するTalosheimの町と周辺は立派なDevil Nestsなのだが、誰も気にしていない。
「それで、これからどうするの? Talosheimに帰る?」
「いや、北にある町まで行ってみましょう」
『南の鉱山よりは望みがありそうだな。二百年も経てば、鉱脈が枯れて閉山になってるかもしれねえ』
「え? このworldの鉱脈って枯れるんですか?」
「King、枯れない鉱脈はDungeonの鉱脈だけ」
どうやら、Talosheimは本当に恵まれた立地に存在したようだ。
翌日、Vandalieuは町をEleonora達が待機する拠点にするため井戸の水をアクアGolem(見た目はSlimeっぽい)にして入れ替え、後はBlack Goblin達に掃除して貰う。そして壁や見張り櫓、あとTrapを幾つか【Golem Transmutation】で手早く設置すると、Goblinの霊から場所を聞き出した街道に向かって歩き出した。
途中、歩くのが面倒に成ったがこれもEndurance作りのためだと昨日とは違い、四足走行に切り替えてclawsで地面を掴みながら走る。
「ぎるどーとうろくしーて、ぼうけんしゃーになったらー」
そんな音程の無い歌を歌いながら両手足で走る事三十分程。やっと道を発見する。普通の馬車で移動したら上下に揺れそうな粗末な道だが、明らかに人の手が入っている道だ。
これがOrbaum Elective Kingdomの街道かと暫し見つめ、街道に足を踏み入れ記念すべき一歩に両手を上げて万age。そのまま硬直し……呟く。
「一人旅って、虚しい」
歌を歌ってみたり無意味に盛り上がってみたりしたが、間が持たない。気分が持続しないのだ。
前世と前々世では孤独だったVandalieuだったが、Lambdaでは常に自分以外の誰かが存在していた。そのため、彼はすっかり孤独感へのResistanceを喪っていたのだ。
尤も、今も千を超える霊がVandalieuの周囲に存在しているのだが。ただの霊のconditionでは人格が徐々に崩れていく。なのでVandalieuが周囲に引きつれている霊は昨日自分で殺したGoblinも含め、仲間と言うよりも【Golem Transmutation】等に使うただの道具に過ぎない。
「早く町に辿りつかないと、話し相手にするためだけにUndeadを作りそうだ。それで北は……こっちか」
太陽から大体の方角を判断して、Vandalieuは走り出した。
そのまま暫く走り続けていくと、ふとappetiteの湧く香りが風に混じっているのに気がついた。
「これはbloodの香り。この臭みはGoblin……いや、人のbloodも混じっている?」
どうやら、この先でGoblinと人が争っているらしい。
「よし、助けに行こう」
【Flight】でふわりと宙に浮くと、そのまま猛Speedで飛んでいく。
戦っているadventurerやSoldierが苦戦しているかどうかは不明だが、たとえ優勢でも助けに入れば友好的に接してくれるのではないだろうか? そうVandalieuは考えた。
彼は相変わらず【Death-Attribute Charm】が効かない相手とのcommunicationに自信が無かったのだった。
棍棒を受け止めた盾を、Kasimはそのまま棍棒の主に叩きつけた。
「くらえ! Shield Bash!」
「げべぇ!?」
顔面を盾で殴られたGoblin Soldierが、後ろに吹っ飛ぶ。しかし、すぐに他のGoblin Soldierが開いた位置を埋めてしまう。
「おい、Kasim! お前何時の間に【Shield Bash】が使える-samaになったんだ!?」
「いや、口で言っただけでMartial Artsが使える訳じゃない」
「だと思ったよ!」
盾職志望のKasimとSwordsman志望のFester、scout職志望のZenoの三人のadventurer partyは、最近村から鉱山までの街道にGoblinが頻繁に出現するようになったため、間引くためにGoblin狩りを行っていた。
三人ともAdventurer's School校を卒業しEClass adventurerになったばかりだが、それでもGoblinの数匹、Goblin Soldierも三~四匹なら一度に出て来ても、退治できる自信があった。
しかし Devil Nestsでも何でもない街道で、Goblin Soldierが一度に十匹以上出て来るとは思わなかった。
「ギギェギギャ」
その上、厄介なGoblinがCommandingを執っていた。あれはAdventurer's School校で習った新人Killerの一種、Rank3のGoblin Barbarianだ。
「何だってGoblin Barbarianがこんな所に出るんだよ! 聞いてないぞ、そんな話!」
「皆Goblinと見間違えたんだ。だから新人Killerなんだよ」
Goblin Barbarianは、近くで見れば首回りや四肢のmuscleが他のGoblinよりも明らかに発達しているのが分かるが、遠目には若干横に太いだけのGoblinに見える。そして多くの場合Weapon Equipmentは、他のGoblinの物より大きいだけの、木の枝をそのまま使った棍棒だ。
そのため、多くの新人がRank1の通常のGoblinだと勘違いして近付き、そのMysterious Strengthで撲殺されてきた。
「同じ新人KillerのGoblin Mageよりもマシだろ」
Goblin Barbarianの頭の中は、通常のGoblinと変わりない。そのため、Commandingを執っている今も「逃げるな」と「戦え」以外の指示は出していなさそうだ。
「Zeno、それはそうだけど厄介は厄介だぞ。何と言っても、逃げてくれっ、ない!」
Festerが剣でGoblin Soldierを一体やっとSlash伏せるが、やはりすぐ次のGoblin Soldierが前に出て来る。
既にSlash伏せた数は三匹。Goblin Soldierくらい頭が良ければ勝ち目が薄い、若しくは勝っても割に合わないと思えば逃げる。
だがGoblin Barbarianの頭の中は戦う事以外入っていない。そしてSoldierはKasim達よりもBarbarianが怖いので逃げられずにいるのだ。
「おいっ、Manaは残ってるか? 俺は【Provocation】と、【Stone Wall】か【石体】を使ったら無くなる」
「俺は、Martial Artsを三回使える。Fester、お前は?」
「……【Single Flash】二回分だけだ」
EClass adventurerの、それもMage以外のManaは潤沢とは言い難い。残りのManaと自力でこの急場を凌ぐのは、難しいとKasimは覚悟した。
せめてもの幸いは、自分達が男ばかりである事か。どんなに悪くても、この場で殺されるだけで済む。……その後食料にされるだろうが、死んだ後なら痛くはない。
「Zeno、Fester、俺が【Provocation】でGoblinの注意を引く。その間にお前らは逃げろ」
「Kasimっ、お前何を――」
「街道にBarbarianが出て来ているんだぞ、近くにGoblinの大きな集落があるに違いない。それを村の皆に知らせろ!」
そう言いながら盾を構え、攻めあぐねているが逃げられないGoblin Soldier達に【Shield Technique】のMartial Arts、【Provocation】を使おうとした瞬間だった。
Goblin Barbarianのずっと後ろに、大きな荷物を背負ったchildが浮かんでいた。
「えっ?」
そしてそのchildは音も無く、しかし風の-samaに速く近づいてくる。
「――【鉄裂】」
そして、clawsを横薙ぎに振って簡単にGoblin Barbarianの首を刎ねた。
「えぇ?」
「ゲ?」
「な、何?」
「ギャゲ?」
断末魔の叫びも無く首を刎ね飛ばされたGoblin Barbarianの首none死体から、bloodが噴水のように吹き上がる。
KasimとGoblin Soldier達は、そのbloodの噴水の向こうで現実感のfragmentも漂わせず宙に浮かんでいる白髪のchildを、ぽかんと見ていた。
「あのー、Goblin達に攻撃するなら今の内だと思いますよ」
数秒後、child……VandalieuはまだぽかんとしているKasim達に忠告した。
「ゲギュ?」
「え? お、おう」
「げぎゃぁ!?」
とりあえず、Kasim達は手に持っていたMaceや剣やknifeで呆然としていたGoblin Soldierを殴り倒した。我に返って逃亡を試みたGoblinも居たが、Vandalieuが無造作に振るうclawsの前に倒され、Goblinは無事全滅したのだった。
「申し遅れました。俺はVandalieuと申します」
「あ、ああ。お蔭で助かったよ」
礼儀正しく挨拶するVandalieu相手に、Kasim達EClass adventurerはまだ困惑していた。
白髪に蠟を固めたような白い肌、人形のように整った顔立ちに澄んだ声。そのどれもが人形染みた存在感の無さ……まるで、触れようとすれば消えてしまう幻のような雰囲気を纏っている。
唯一生々しいのが、bloodで汚れた細い指から生えているknifeのようなclawsだが、Kasim達にとってはそれが最も信じ難かった。
muscleで覆われた太いGoblin Barbarianの首を、Vandalieuはあの爪で刎ねたのだ。Rank3、Adventurer's School校で新人Killerと恐れられる、自分達よりも確実に強いmonstersの首を。
(こいつは何者だ?)
そんな疑問で頭が占領されても無理は無いだろう。
「ええっと、Vandalieu -sanは――」
「呼び捨てで良いですよ。Kasim -san達は大人じゃありませんか」
このLambda worldではHumanはほぼ全ての地域で十五ageに成ると成人として扱われる。そしてKasim達三人は、十代半過ぎのようにVandalieuには見えた。
実際三人はAdventurer's School校を卒業した、今年十五になった少年達である。
「そ、そうか? じゃあVandalieu、貴方は、いや、お前は、何なんだ?」
「Kasim、それじゃ何を聞いているのか分からないだろ!」
「つまり、-kunは何処の誰で、人なのかって事を聞きたいんだ」
「Festerっ、お前も失礼だろっ、命の恩人に対して!」
三人が何故狼狽えているのかVandalieuには分からなかったが、とりあえず彼は聞かれた事に答える事にした。
「俺はDhampirで、母と人里離れた森の中で暮らしていました。Vampireの父が何処に居るのか、生きているのかも分かりません。最近母がDisease死したので、遺言に従ってadventurerになるためにAdventurer’s Guildのある町に向かっています」
流石に自分の身の上を正直に話すつもりは無かったので、事前に考えてあった嘘の設定を話す。
「Dhampir!?」
「あ、本当だ、瞳の色が左右で違うし、clawsが生えてる。初めて見た」
「な、なあ? fangsも生えてるのか?」
そして、その説明でKasim達はVandalieuの奇妙さに納得したようだ。
Orbaum Elective KingdomではDhampirの人権が認められているが、Vampireとの混blood児がそう頻繁に産まれる訳がないし、国が認めてもVampire達がDhampirの存在を認めるかは別の問題だ。
なので、多くの人は実際にDhampirを見た事が無い。
町のAdventurer's School校に通ったKasim達でも、オッドアイやclaws、fangs等race的な特徴を知っているだけだった。
そのため、他の奇妙な点も「Dhampirだからか」で納得したのだった。
(もしかして、Elective KingdomでのDhampirの扱いって珍獣?)
「あー、fangsは生えてますけど……それよりいいんですか? Goblinの耳とか切り取らなくて」
「「「そうだった!」」」
Kasim達ははっと我に返ると、Zeno以外はGoblin Soldier達から急いで討伐証明の耳を切り落とし、Magic Stoneが発生していないか胸部を裂いて確かめる。
更にGoblin Soldierが持っていた槍の柄や、Barbarianの棍棒まで燃料になると持って行く。Vandalieuも驚く貪欲さだが、新米EClass adventurerならこれぐらい普通である。
Kasim達の装備は一見歴戦のadventurerらしい物だが、それは単純にsenpai adventurerのお下がりであり、中古品だ。
Kasimの盾は青銅だが、Maceは石製で鎧は厚手の皮で出来たHeavy leather Armorと呼ばれるものだ。
ZenoのknifeやFesterの剣は型に金属を流し込んだ鋳造の安物で、着ているのもやはり安物のライトleather Armorだった。
これで身なりが不潔で登録証が無ければ、食い詰めたmountain banditと間違えられても無理は無い。そんな-sama子だ。
対してVandalieuの格好は目立たないよう、去年tunnelの出入り口にあったMirg Shield Nationの砦から盗んできた一般兵の服から苦労して作った服の上下に、彼の体重より重そうな大荷物を背負っている。一見して価値のありそうなものは、荷物の中身に期待するしかなさそうだ。
しかし、実は履いているサンダルだけは高Class品だ。
clawsを使うのに不自由しないようTareaが作った逸品で、靴底はOgreとEARTH Dragonの皮を縫い合わせ、Rock Dragonの腱から作った紐で作った物だ。
このサンダルを売れば、Kasim達の装備品を全て新品で揃える事が出来る。
「ええっと、Goblin BarbarianのMagic Stoneと討伐証明は、-kunが――」
「いえ、俺はまだadventurerじゃないので皆-sanでどうぞ」
「いや、そんな訳にはいかない。Rank3のMagic Stoneは百Baumもするし、討伐証明は三百Baumもするんだぞ!」
「……あれってGoblin Barbarianっていうんですか」
ようやく自分が首を刎ねたGoblinがただのGoblinではなかったと知った、Vandalieuだった。
しかし、金額の事を言われてもピンとこない。
「では、村か町まで案内してもらえませんか? 後、人里の事やAdventurer’s Guildの事を教えてもらえると助かります。何分、世間知らずなもので」
そう言うとKasim達もある程度納得したらしい。
「分かった。俺達が拠点にしている村まで案内しよう」
こうしてVandalieuは初めての人里に入る足掛かりを得たのだった。
・Name: Kasim
・Race: Human
・Age: 15
・Title: none
・Job: Apprentice Warrior
・Level: 72
・Job History: none
・Passive skills
none
・Active skills
Farming:1Lv
Club Technique:1Lv
Shield Technique:1Lv
Armor Technique:1Lv
・Name: Zeno
・Race: Human
・Age: 15
・Title: none
・Job: Apprentice Thief
・Level: 65
・Job History: none
・Passive skills
Detect Presence:1Lv
・Active skills
Dagger Technique:1Lv
Archery:2Lv
Trap:1Lv
・Name: Fester
・Race: Human
・Age: 15
・Title: none
・Job: Apprentice Warrior
・Level: 71
・Job History: none
・Passive skills
Enhanced Muscular Strength:1Lv
・Active skills
Fishing:1Lv
Sword Technique:2Lv
Dismantling:1Lv