「やってくれたね、Dhampir！」
激高したTerneciaは、appearance以上に頑丈なtableに拳を叩きつけそのまま破壊した。
「よくも、よくもよくも！」
「落ち着きたまえよ。私が発作を起こした時よりは冷静そうだが」
「そうじゃのぅ。ここで吠えておっても、Talosheimには届かんぞ」
飄々とした-sama子のBirkyneとGubamonの言葉にTerneciaはclicking tongueをするが、振り上げた拳を再び叩きつける事無く、降ろした。
「それで、今日は何の話だ？ 敗戦の反省会でもするのかい？」
Balcheburgに押し寄せたUndead遠征軍が討伐されて約一か月。【Evil God of Joyful Life】Hihiryushukakaを奉じるPure-breed Vampire達は同じtableを囲んでいた。
「certainlyそれもするが……これからどうやってあのDhampirを殺すのかを相談するのさ」
「ヒヒ、情報は共有せんとなぁ」
そう、彼らは負けた。Amid Empireを裏から操ってMirg Shield Nationに軍を出させ、圧倒的な数でVandalieuを殺すというtacticsは、見事なまでの大失敗で終わったのだ。
だと言うのにTerneciaが荒れているのに対してBirkyneとGubamonの態度に余裕があるのは、今回のtacticsを立案したのも、最も大きな損害を出したのもTerneciaだからという分かり易い理由だ。
Mirg Shield Nationの精鋭だとか、Balcheburgの警備兵だとか、開拓地の村人のpropertyと今後の行く末だとか、そんな事は彼女達にとって些末な問題だ。
だがEmpireに深く食い込むための協力者が居なくなるのは、良い気分では無い。
Undead Transformationして戻ってきたMauvid Earl以外にもTerneciaが押さえている協力者は複数存在したが、どうやら今回の一件でEmpire側にtailを掴まれたらしい。全員ではないが、かなり始末されてしまった。
どうやらMauvid Earlは保身のために、他の協力者について調べていたようで、その情報が漏れたらしい。
TerneciaだけではなくBirkyneやGubamonの派閥と通じていた者もEmperorの手の者や【Thunderclap】のSchneiderに何人か消されたらしいが、それでも失った数は彼女が一番多い。
そして遠征軍に派遣した配下のNoble-born Vampire達だ。BirkyneやGubamonから十人ずつ、そしてTerneciaは部隊のCommanderとしてIslaと、その部下十人を派遣した。
これを全て失ったのが、痛い。
IslaはEarlの位を持つNoble-born Vampireであり、【Terneciaの猟犬】とのsecondary nameを持つ事からも分かるように数万年もの間彼女の派閥を支え続けた忠臣だ。
実は彼女は側近の中では一番の小者、Watchdogの-samaな存在――などではなく、派閥の中でも重要な役割を果たしていた。戦闘AbilityでもTernecia配下のVampireの中で、三本の指に入る実力者だった。
十万年以上も闇にReignしていた割には部下の練度が低いと思うかもしれないが、そんな事は無い。
下の者は上の者に服従しながらも、上を追い落とす機会を狙う。
上の者は下の者に追い抜かれないよう、踏み躙る。
そんな価値観の集団で有能な新世代が育つ可能性は、悪い意味で奇跡的だ。しかも、全員寿命の無いVampireなので世代交代が起こらない。
RitterやBaron程度までなら珍しくないが、Viscountから蹴落とし合いが苛烈になり数百年以上生き残る者が極端に少なくなる。
certainly、Ternecia達の癇癪や気まぐれで命じる無理難題で命を落とす場合も多い。
その環境でカウント以上まで生き残ったIslaの-samaな部下は、貴重なのだ。……Noble-born Vampireはそれ以上のMarquisやDukeと呼ばれるraceにまでRank up可能なのだが、逆にそこまで力をつけられると邪魔なので寧ろ排除の対象になる。
in any case Ternecia派の勢力が大きく削られたのは間違いない。
「くっくっく、儂も無念じゃわい。Heroの再来-donoの死体を狙っておったのじゃがのぉ、現地で徹底的に破壊された上灰になるまで焼かれたとか。これではUndeadにもならん」
そう言葉だけで嘆くGubamonだが、彼がRileyの-samaな作られたHeroに本気で興味を持つとは誰も考えなかった。
ギリィっとTerneciaが歯軋りをしながらGubamonを睨み付ける。
「それに、一番痛いのは情報を秘匿された事だ。Dhampir……Vandalieuが我々と同じようにUndeadを使役できるのは分かったが、ね」
そこにBirkyneが口を挟んだ。今回のtacticsでは多大な犠牲と損失を出したというのに、彼の言う通り得られた情報はとても少ない。
VandalieuがUndeadを使役できるのは、Undead Transformationして戻ってきた遠征軍を見れば嫌でも分かる。
しかし、どうやってUndeadを作っているのかが不明のままだ。
「Vida's FactionのPure-bornが協力してるのさ。奴らがこの十万年の間に新しい術を開発したんだろ」
「ふむ、それにしてもUndeadの数が多すぎやせんかの？ tunnelから出て来たのは数千匹と聞いておる。儂らでもそれだけの数のUndeadを作るのは、かなりの手間じゃぞ」
「Rank１の、最下Class Undeadならin any caseね。Undead Transformationした遠征軍には、全てではないがRank３や４のUndeadも混じっていたそうじゃないか。死体をそのまま使ったとしても、一匹に一時間として一年はかかりそうだ」
「ああ、生きて帰って来た方の見張りがそう報告したよ。まったく、とんでもない話さ。これじゃあ、もうHuman共を唆すのは無理だろうね」
「何より厄介なのは、Isla達がUndeadの中に居なかった事じゃな」
Undead Transformationして戻ってきた遠征軍の中には、CommanderだったIslaや派遣したはずのNoble-born Vampireは含まれていない。
「十中八九、我々の情報が抜かれているだろうね」
Undead Transformationさせて手元に置き、情報を聞き出しているのだろう。VandalieuがRank３以上のUndeadを作れる以上、それは確実だ。これはTerneciaだけでは無く、全員にとって頭の痛い問題だった。
Isla程ではないが、それなりの配下を派遣する必要があったため幾つかの拠点や集Venueの場所、他の配下の情報がばれてしまった。
彼等にとって幸いだったのは、派遣したのはEmpireやその属国など、originally Vandalieuが自由に動けない地域で活動していた配下だけだった事だが。
それに対して、【Evil God of Joyful Life】派のPure-breed Vampireはこれ以上情報を手に入れる事は難しい。残しておいた見張りは全て狩り取られてしまったし、死んだNoble-born VampireをUndead Transformationさせてrevivalさせる儀式を使ってもIsla達をrevivalさせる事が出来ない。
Vandalieuの手元で既にUndead Transformationしているからだ。
何かの拍子にIsla達が破壊されたとしても、あの儀式は既に一度Undead TransformationしているVampireは対象に含まれない。そうでなくても、何か細工ぐらいはしているだろうとBirkyneは踏んでいたが。
「幸いな事に、Vida's Factionの者達と繋がっているのか、それとも他のEvil God (M)やEvil God (P)と組んだのかは不明だが、彼らは暫くの間Continent南部に籠るつもりのようだ」
「だろうね。そうでなきゃtunnelを自分から崩したりしないよ」
「その間に儂らは策を練らねばのぅ。やれやれ、面倒じゃわい」
情報に戦力にと、集めなければならないものが山ほどある。
これからの数十年は忙しくなるだろう。そう思うTerneciaやGubamon、そして控えるNoble-born Vampire達。
その中でBirkyneだけが違う意見を持っていた。
(六千の軍を返り討ちにして、数千のUndeadを作る……これはHihiryushukakaのOracleに逆らってでも懐柔し、minionsとして取り込むべきかもしれないな。
幸い彼の両親を殺したのはGubamonの配下と手の者、今回の遠征軍だって黒幕はTerneciaだ。条件によっては、可能だろう。
これからの数十年、楽しくなりそうだ)
Undead Transformationした遠征軍がBalcheburgを襲い、討伐されてから二ヶ月が経った。
「つくづくやってくれたものだ」
Thomas Palpapek Earlは執務室で一枚の書類を見下ろしながら、そう呟いた。
Mauvid Generalが総司令官を務める遠征は、彼の想像を遥かに上回る大失敗で終わり、想定を遥かに超える大損害を出した。
去年の自分を「idiotめ」と罵ってやりたい気分だ。
まず、Mirg Shield Nationが誇る軍の最精鋭九千人の内六千人で構成された遠征軍が、一人も生きて帰って来なかった。これがかなり痛い。同じ練度のSoldierを同数育てるのに何年もかかるだろうし、Knightに至っては実質的に世襲Nobleの端くれなので、そう簡単に数を増やせない。
優秀な当主が戦死したので、替わりに優秀なadventurerをKnightに任命するから跡取り息子にはKnight叙勲はnone、そのまま平民になってくれ。そんな事が言えるわけがない。
他にも遠征軍の将兵が身に着けていた装備品に、遠征にかかった戦費、tunnelの出入り口に建てた砦の建造費……人的被害も大きいが、経済的被害も小さくない。
次に、Balchesse Viscount領の開拓事業が頓挫したのが激痛だ。
tunnelから出て来たUndead達は直接Balcheburgの町を目指さず、何故か開拓地の村に向かってゆっくりと進んだ。……行軍速度としては普通だったが、本来休憩や睡眠の必要が無く昼night関係無く進めるはずのUndeadの速度としては、遅かったのだ。
そのため開拓地の住民は全員避難する事に成功した。そしてBalcheburgでUndeadが全て倒され、疫Diseaseが発生しないよう全て燃やす等の作業が終わったら、開拓地に戻るはずだった。
この時点で畑がUndeadに踏み荒らされていたり、家が壊されていたり、もしかしたらUndeadが何匹か残っているかもしれない事は、村人もBalchesse Viscountも覚悟していただろう。
しかし、誰が約千匹もUndeadが残っていると思うだろうか？
お蔭で再びSoldierやadventurerを掻き集めて討伐隊をorganizationして送る事になった。幸い、Undeadの討伐自体は問題無く終わった。
Zombieの中に口から毒を吐くpoison Zombieが何匹か含まれていたため、念のためにと畑の土や井戸や用水路の水に毒が含まれていないか、Mageが調査した。
すると、何故か畑の土は全てDeadly Poisonに侵されており、溜池や用水路も汚染されていて使えないという、最悪の結果が出た。
毒の浄化は、Mage guildの高名な導師すら匙を投げる程難しく、自然に任せると数十年から百年はかかる。
開拓地の全ての村で、そんな状況だった。これでは開拓事業など続けられるはずが無い。
開拓事業そのものはBalchesse Viscount 家の事業ではあるが、国からも無視できない補助金が出ており、事業で発生する利権を得られるはずだったNobleも多い。そう大きい利権ではないが、Palpapek Earl 家もその一つだ。
それが立ち消えた衝撃は、Balchesse Viscount領だけに留まらず国全体に及ぶ。
極め付きが、Balcheburgを襲ったUndeadの先頭にGordanやRileyが居た事だ。
自分達がHeroだと称えた者達が、見るも無残な姿のまま動き回り、自分達を殺そうと襲い掛かって来る。悪夢以外の何だと言うのだ。
それが今もMirg Shield Nationに棘となってthrust刺さって、傷口からはジクジクとbloodが滲んで止まらない。
「二百年前は、何とか勝ち戦だと強がることも出来た。だが、今回は負け戦と認める以外にない。
死人の癖に姦しく謳った連中のせいで、軍、adventurer、Alda temple、全ての顔に泥が付いた」
情報を封じ込めようにも、Balcheburgを守るために他の町からもSoldierやadventurerを集めていたため、ほぼ不可能だ。
偽情報を混ぜる等して火消は行っているが、暫くは人々の話題に昇り続けるだろう。
お蔭で今Mirg Shield Nationの空気は、暗くなり続けている。
そして悪い事に、盾国の王都や軍では今回の件で報復すべきだと気炎を上げている連中が少なくない。
その対象が宗主国であるAmid Empireなら、Thomasの悲願であるMirg Shield Nationの独立に一歩近づいたと言えなくもない。
だが、彼らが恨みの矛先を向けているのはBoundary Mountain Rangeの向こうにあるTalosheimだ。
「冗談ではない。Dhampir……Vandalieuはやってくれたな。全て、あのHalf-Vampireの掌の上で、誰も彼もが踊っていたに過ぎないのだろう」
Thomasは、Mirg Shield Nationが受けた数々の被害は全てVandalieuがそう仕向けたのだと確信していた。
妙に動きが遅かったUndeadに、遠征軍以外は妙に少ない人的被害、そしてpoison Zombieが含まれるUndeadに占拠されていたとしても妙に重すぎる毒のimpact。
全て偶然で片付けるには不自然すぎる。
「我が国を追い詰め、無謀な復讐戦を起こさせる。そして今回と同じように待ち受けるつもりか。遠征軍以外に死者が少ないのは、一人でも多くの者に長く復讐を遂げるべきだと訴えさせるためか。
幼子と聞いていたが、恐ろしく悪辣な奴だ」
そしてSlightly Vandalieuの意図を誤解していた。
certainly気が付かないまま、Thomasは執務机の上の書類に視線を戻す。
「そしてこれも奴の計算の内か」
紙面には-sama々な事が書いてあったが、つまりMirg Shield Nation王がこの難しい事態に際してThomasに再びMarshallに就くようにと要請したものだ。
Legston Earlは次男のChezareが遠征軍副司令官だったが、Undeadの中にはその姿が無かった事と、Amid Empireが早々に最大の責任者としてMauvid Generalを名指しで発表したため、職を辞して隠居し長男に家督を譲るだけで済んだ。
問題は、次のMarshallの椅子がThomasに回ってきたことだ。
「Vandalieu、貴-samaは私をMauvid同-samaに始末できると考えているようだが、そうはいかん。なんとしても、愚かな復讐戦など止めてみせるぞ。
そして何時かContinent南部に巣食う貴-samaに身の程を教えてやる」
Thomas PalpapekがMarshallに再び就いて暫く、そろそろ初夏から本格的な夏に変わろうとする頃。彼の執務室とはgradeが軽く三つは上のroomで、眉目秀麗な人物が手を組み、側近達の報告に耳を傾けていた。
若く線の細い顔立ちだが瞳には強い輝きが宿っており、ただならぬcharisma性を漂わせている。
そしてその耳はElf程では無かったが、長く尖っていた。
「報告は以上であるか？」
性別を超越した美声による確認に、見るからに軍人らしい容姿の男が答える。
「はい。Mashkzar Von Bellwood Amid Emperor陛下」
そう、このHalf-Elfの青年こそが現Amid Empire Emperor Mashkzarだった。
Vandalieuが知ったら驚いただろう。彼はEarthで見聞きしたfantasy作品では大体差別と迫害の対象になるHalf-Elfだが、このLambda worldの大部分ではそんな事にはならない。
何故ならこのworldではHuman、Elf、DwarfはChampionと共にDemon King Armyと戦った同士であり、Alda templeではこの三raceを指して『Human』と定めているからだ。それにChampionの何人かがElfやDwarfと真の友情で結ばれたと記された文献も残っている。
それに、差別と迫害の対象ならAmid EmpireにはVida's New Racesで十分だ。
certainlyそれでも寿命の長いHalf-Elfを帝位につける事に反対するNobleは存在したし、Human中心主義の者が居ない訳じゃない。
だがMashkzarはその実力を持って抵抗勢力を黙らせ、帝位に就いた。
その彼が聞いていた報告は、今回の遠征についてだ。
「Empire内に巣食うVampireに通じる裏切り者共をあぶり出し、始末するという当初の目的は達成できたようだが……いささか想定外の事態だな」
それを聞き終わったMashkzarは、そう評した。
今回の遠征が持ち上がった時、Mashkzarは既にLangil Mauvid GeneralがVampireに通じていると言う情報は得ていた。
そこでVampire達の注意をGeneralが言い出した遠征に向けている間に証拠を集め、Empire内に潜む裏切り者を始末するよう側近達に命じた。
内定と捜査と暗躍の結果、やはりMauvid Earl 家と縁の深いNoble 家の者が多数浮かび上がり、そこからさらに背後に居たVampireも何匹か捕縛しTortureにかけ、さらに多くのVampireと裏切り者の情報を得た。
結果、Empire内のVampire勢力をかなり縮小させる事に成功した。
それはとても喜ばしい事だ。多数のNobleがVampireに関わっていたと言う事を表沙汰に出来ないため公に誇る事は出来ないが、それが惜しいと思う程度には良い成果だ。
だが……。
「それは遠征軍が壊滅し、大多数がUndead Transformationして町を襲い、盾国の開拓事業が頓挫した上Boundary Mountain Rangeのtunnelが突然崩落した事ですか？」
「無論だ。当初の予定では遠征は成功、Mauvidは打ち首、Mirg Shield Nationには詫び料として開拓事業にEmpireから援助金を出し、それで終わるはずだったではないか」
Mashkzar達の予想では、今回の遠征そのものは成功するはずだった。少なくとも、Boundary Mountain Rangeを数百匹のGhoulを率いて越えたDhampirは討ち取られ、Mirg Shield Nationの精鋭が適度に減って独立を企むPalpapek Earlらの力を削ぎ、代わりに開拓事業に精を出させて盾は強固に、しかし fangsは丸く削る予定だった。
Continent南部への足掛かりは欲しいが、tunnel一つ崩れただけで利用できなくなる足掛かりは寧ろ危うい。
それよりも、属国の独立を防ぎ将来Empireが盾国を併合しやすいように工作した方が後の利益は大きい。
そう考えていたのだ。
「だが、まさか数だけでも十倍近い戦力をひっくり返す……それどころか圧倒するとは。どんな手段を使ったのだ？ このVandalieuというDhampirは」
「それが、不明です。生存者は一人もおらず、用意した【Spiritualist】も全て【Spirit Communication術】に失敗いたしましたので」
「なるほど。唯一分かっているのは、UndeadをTamer……いや、死体をUndead Transformationさせ支配出来る事だけか」
興味深そうにMashkzarは書類に記されたVandalieuに関する僅かな情報に視線を走らせる。
「興味深いな。出来れば、手に入れたいが――」
「Alda templeが許さないのでは？」
「眼帯でもさせれば良かろう。丁度良く、Vampire Hunter -donoも地に堕ちた。そもそも、あの坊主共は喧しすぎる」
今までのEmperorはin any case、MashkzarはGod of Law and Life Aldaに対して信心深い訳ではない。自分をChampion Bellwoodの子孫だと本当に信じている訳でも無い。
彼は根っからの現実主義者であり、合理主義者だ。
だからこそEmpireに最も利のある政策を行う。
法と秩序を重視するAldaの教義は統治の道具として有効だから利用する。Bellwoodの名も、権威を維持するためには有効だ。
Dhampirを初めとしたVidaのraceへの差別も、民の不満を逸らすために非常に便利な生贄なので、今まで維持してきた。翻すにはimpactが大きく、そもそもEmpire内のVida's New Racesは少数派だからだ。
「ですが、捕獲するにしても難しいのでは？」
「当たり前だ。誰が捕獲すると言った、余は配下に欲しいと言ったのだ」
「配下にですか！？」
この現実主義で合理主義故に、色々とぶっ飛んだ事を言い出すEmperorに仕えて長い側近達も、Dhampirを配下に加えたいと言うEmperorの言葉には流石に仰天した。
「き、危険すぎます！ 露見したらEmpireがDecay致しますぞ！」
「何を大袈裟な。何処までやるかはこのVandalieuと言うDhampirがどの程度使えるかに依るが、Alda Grand TempleのPopeから『神の許しがあった』とお墨付きを出させれば済む事だ」
「絶対ありえません！」
「言う者をPopeに就ければ良い。Oracleを本当に受けているかどうかなど、我が親愛なる民には見分けが付かんだろう」
さらりと恐ろしいことを言うMashkzarに、思わず側近達の背に冷や汗が浮く。
「だが、最もやり易いのはshadowの者として仕えさせる事だが」
続けた言葉で、思わず安堵の息を漏らす。
「しかし陛下、現段階で解っているのはそのDhampirがUndeadを作り、従わせる事が出来るという事のみ。これだけでは使い難いのでは？」
Earthのフィクション作品では時折戦死者をZombieにして不死のSoldierを作り、軍事利用を企む権力者や企業が登場する。しかし Mashkzarはそれが可能だったとしても実行はしない。
何故ならAmid Empireは、あくまでも生きているHumanの国だからだ。
信仰や心理的な問題、何よりもSoldierと国民が受け入れないだろうと簡単に想像できる。
「戦死したらUndead Transformationして戦い続けてくれ」と言われたSoldierは、Commanderが自分の死を前提に戦術を練っているのではないかと疑心暗鬼に陥る。
民は自分達の夫や息子が死後も戦わされ続ける事に納得しない。
そもそもUndead TransformationしたSoldier達がその後もLoyaltyを誓うかどうか分からない。Vandalieuが一言呟けば、全員が反旗を翻す可能性すらあるのだから。
「何、別にUndeadをSoldierにするつもりは無い。ただ古戦場に転がるremainsがSkeletonと化し、全てOrbaum Elective Kingdomの方に向かったら面白かろうと思っただけだ」
「なるほど。我々とは関係無くUndeadが発生し、それがElective Kingdomに勝手に向かうと。それならば問題ありません」
「しかし、現実問題として接触するのは困難なのでは？ 出来たとしても、Dhampirが陛下を恨んでいる可能性もあります」
母親が殺されている件に関しては、MashkzarがAlda教とは表向きはin any case実際は異なる価値観を持っている事を知れば、軟化しうる。
しかし、MauvidはVampireと繋がっていたとはいえAmid EmpireのGeneralで、遠征はMashkzarの名で承認されたものだった。
「だとすれば……所詮このVandalieuなる者もその程度だったと言うだけの事。私怨を捨てられん者に、大事を成す事は出来ん。
だが、短くとも十年以上はBoundary Mountain Rangeの内側に籠もるつもりであろう。出て来た時に、見逃さず接触せよ」
「了解しました。監視を密に致します」
「他は……Mauvid Earl 家は取り潰し。幽閉中の長男はVampireと繋がっていた事を悔いる遺書を残してsuicideとせよ」
「畏まりました。後、【Thunderclap】のSchneiderにContinent南部の調査を依頼しようと言う動きがありますが？」
「ああ、younger cousin -donoか」
ため息を吐きながら何かと衝突するyounger cousinの顔を思い出す。目障りだが、生かしておくと反抗勢力がyounger cousinを頼って集まるので、目につきやすいと言うSlightly便利な人物だ。
しかしあの男をContinent南部にやるのは、危険すぎる。
「Schneiderならば断わるであろう……恐らくな。だが、もし引き受けるようなら止めよ。だが、絶対に敵に回すな。今はまだ時期ではない」
「御意。では、Mirg Shield Nationの方はどう致します？」
「ふむ……多少の飴が必要か」
少々の思考の末、Mashkzarはそう言った。聞けば、盾国には遠征失敗の復讐戦を企てる動きがあると言う。
流石にそんな事をされては、適度どころでは無く国力が疲弊してしまう。feeling of revengeを薄める程度に甘い飴が必要だ。
「では、陛下執心のDhampirを見張ると言う意味でも、Balchesse Viscount領にBoundary Mountain Rangeを監視するための砦を作らせては如何ですか？
無論、建造費はEmpireが持って」
「なるほど、妙案であるな」
民草の乱れた心は砦を実際の防衛力以上に評価し、落ち着きを取り戻すだろう。今回の事件を軽視していないとappealし、民の心をこちらに向ける事も出来るかもしれない。
何より、持つのは建造費だけで維持費や人件費は盾国の自腹だ。
将来に渡り、盾国が過ぎた軍事力を持たないための抑止力の一助と成るだろう。
「では、そのようにせよ」
こうして、Balchesse Viscount領はAmid Empire主導の砦のArchitecture事業によって、辛うじて持ち直したのだった。
……将来的には領内に明らかに無駄な砦を抱える事になり、苦しめられる事になるのだがそれに悩むのはViscountの子の代だろう。
Pure-breed Vampire、Thomas Palpapek Earl、Amid Empire。この三者はVandalieuの存在を認知している事以外に、二つの共通点があった。
一つは、God of Law and Life Alda達がしたように、迂闊な通称や蔑称を付けてsecondary nameをVandalieuが獲得しない-samaに注意した点。
もう一つは、Vandalieuが短くても十年以上Boundary Mountain Rangeの向こう、Continent南部に籠もって力を蓄えると思い込んでいる点だった。