「儂は一体……どうなったのだ?」
Gordanは困惑していた。
目も見えず、耳も聞こえず、body partは冷たい。何も分からない。
「儂は、重要な使命を……そう、神から賜った使命があったはず……」
『その通りです、我が僕Gordanよ』
「っ!? 貴方はっ……!」
突然聞こえた声。その声から感じるGodsしさに、Gordanは声の主が神であると瞬時に確信する。
『しかし、お前は使命を果たす事が出来なかった』
そして次の言葉に、Gordanは崩れ落ちそうになった。偉大な神から下された使命を果たす事が出来なかった。その悔しさと申し訳無さに、胸が痛んだ。
『だがGordanよ、お前に再び戦う機会を与えましょう』
「何とっ! それは真ですか!?」
『ええ、certainly。そして俺の期待通りに戦ってくれたら、【今回の】罪は不問にしましょう』
「畏まりました、主よ! このBormack Gordan! 命ある限り主の神意代行者として戦って御覧に入れます!」
そう誓うと、Gordanのworldは色を取り戻した。
温もりは感じないが、body partの調子は寧ろ良くなった気さえする。
「High Priestっ! ご無事でしたか!?」
「目を覚まされたぞ! 早くpotionをかけろ!」
それと同時に、自分に群がる神の敵を確認する。
『離れんか汚らわしい!』
手近な一人に拳を叩きつけ、跳ね起きる。
「High Priestっ、何を!?」
『何をじゃと!? 貴-sama等を殺すために決まっているじゃろうが!』
好都合にも愛用の戦棍が近くに落ちていたので、それを足で蹴り上げ手で掴みとり、間抜けな敵に叩きつける。
「ごげぇっ!?」
濁った鶏の-samaな声を出し、鎧ごとlungを潰されたCleric-warriorが吹き飛ぶ。
「High Priestっ! 俺ですっ、アルジェンです!」
『おおそうかっ! ならば死ねぃ、神の敵アルジェンよ!』
ごしゃりと、Gordanは次々に生前自分が教え、導いてきたCleric-warrior団の生き残りを次々に撲殺して行く。
『フハハハハハ! 神よぉぉぉっ! ご覧くださいぃ!』
Zombie Priestと化したGordanによって、遠征軍は遂に壊滅。
もうダメだと逃走した者もDiseaseに倒れ止めを刺され、誰一人生き残らなかった。
《【Mysterious Strength】、【Bloodsucking】、【Spirit Form】、【Long-distance Control】、【Parallel Thought Processing】、【High-speed Thought Processing】、【Unarmed Fighting Technique】、【-Surpass Limits-】、【Multi-Cast】、【Chant Revocation】、【Soul Break】、【Death-Attribute Charm】skillのlevelが上がりました!》
《【Commanding】skillを獲得しました!》
《100levelに到達しました!》
やはり完全勝利だったなと、Vandalieuは結果に満足した。
originally負ける要素の無い防衛戦だったので、当然だが。
Vandalieu達はEleonoraが仲間に成った直後から動き出していた。切り札をこれでもかと揃えに揃え、準備した。
敵が使うだろうtunnelを先んじて発見し、監視体制を整えた。
Golemで城壁を作り、crossbowを揃え、投石機を開発して設置した。
遠征軍しか感染発DiseaseしないDiseaseを開発した。Dragon GolemをDismantlingして、Orichalcum製のDefense EquipmentやWeapon Equipmentを作って配った。対Vampire用に、破壊されていたMercury Mirrorを修理してGolem Transformationした。
そして個々の戦力を、各員の努力で向上してもらった。Rankが低い者でも4であり、しかもそこに【Strengthen Follower】と【Strengthen Subordinates】skillの効果が乗る。実質的な戦闘力はRank5相当だ。
対して遠征軍は負ける要素しかなかった。
本陣はEmpireと盾国の確執で何かあればすぐに分裂する状況で、しかも総司令官が意志薄弱でVampireと繋がっている国賊。副司令官も、奇跡が起こせる程有能では無かった。
何より、情報収集を怠り、Talosheimの状況を調べようとしなかった。
彼らはRank3のmonstersなら一人で倒せる精鋭兵で構成された軍隊だったが、目的地にはRank5未満の戦闘Abilityの者は居なかったと言うのに。
結果、Vandalieu達はinjure人は居ても死人はnoneと言う奇跡的な戦果を挙げたのだった。
城壁の内、全てをGolem Transformation済みの王城に避難していたPauvina達の無事も確認した。
「じゃあ、戦後処理に入りますね」
っとGordanのbloodを飲んでFatigueを回復したVandalieuは遠征軍の死体を次々にZombieにした。
その数およそ五千。数が減っているのは、倒し方のせいで死体が原型を保っていなかったり、脚が潰れて使いにくかったりするからだ。
そういった死体もVandalieuが【Corpse Healing】で治したり、他の死体と【Surgery】skillで縫い合わせたりすれば使えなくはないが、そこまで捨石に手間をかけるつもりは無い。
そもそも五千もあれば十分なのだ。なので残りの千はUndead達のExperience PointやCemetery Beeの食料に、残ったboneはKnochenにAbsorptionさせるかImmortal Entの肥料になってもらう。霊の方は、Living Armorにでもなってもらう。
その作業と並行して、霊からの情報取集を行う。一番の目玉はPure-breed Vampireの側近だったIslaだ。【Death-Attribute Charm】に抵抗できない彼女は、Vandalieuの機嫌を取ろうとどんな事でも教えてくれた。
「なるほど、やっぱりOrbaum Elective Kingdom側のtunnelを崩したのはPure-breed Vampireだったと。まあ、Princess -sama達がHartner Duchyに抜けた後だったからいいけど。
それより、そのTerneciaはtunnelを直せますか?」
『いいえ、Ternecia -sama……Terneciaでも不可能だと聞きました』
なら、後でMirg Shield Nation側のtunnelも同じように壊せばPure-breed Vampire達もあのtunnelを使えなくなる。一安心だ。
他にもIslaからはTernecia達は【Evil God of Joyful Life】に寝返り、Loyaltyを誓いblessingsを得る代わりにJobを失ったらしい事が分かった。本格的にmonstersと化したようだ。
Zombie Makerが新Jobで出る訳だ。
後、現時点でEvil God (M)派に通じているHuman、特にOrbaum Elective Kingdom側のname等有用な情報を聞き出す。
そして、すぐZombieにした。Ternecia達は死んだNoble-born Vampireの魂を呼び出し、Undead Transformationさせる事が出来る儀式を行えるそうなので、先にこちらでUndeadにしておかないと情報が洩れる恐れがある。
「Vandalieu -sama、そんな事をしなくてもSercrentのように魂を砕いてしまえばいいのに」
Eleonoraが恐ろしい事を言うが、Vandalieuは首を横に振った。
「別にそこまで憎くないですし」
Vandalieuはtraumaのせいでfemaleが痛めつけられ嬲られているのを見ると、反射的にKilling Intentを覚える癖がある。しかし、彼にとってIslaは女ではなかった。
Eleonoraを殺そうとした【敵】でしかない。
しかし、敵だからって簡単に魂を砕くのは良くないのではないだろうかと言う意識も働いている。無残に殺すだけで憎むのを止めておこう。
「あ、でもこいつ等はEleonoraの下に付けるので、嫌だったら言って。砕くから」
しかし、憎むのを止めたからと言って情が湧く訳ではない。マイナスからZeroに戻っても、plusに成る訳ではないのだ。
『っ! わ゛だじがっ……こ……いつのっ!?』
「畏まりました、Vandalieu -sama。
分かったわね、Isla?」
『…………はい゛、え゛れおのうら……さま……』
がっくりと項垂れるVampire Zombieに視線も向けず、Vandalieuは死者からの聞き取りを続けた。
へらへらと媚び諂うRileyに耐えながら、Orbaum Elective Kingdomに渡ったHeinz達の事を聞いた。【Five-colored blades】だった時の各員の顔とname、Job、分かっているskillを聞き出す。ただし、この内一人に関しては無駄になった。
Elfの女Spiritual Mage、MartinaがとあるDungeonで死亡したらしい。
HeinzがElective Kingdomに渡ってから挑戦したChampion Zakkartに縁のある特殊なDungeonに挑戦し、敗れたらしい。
お蔭で仇の数が三人になってしまった。
「霊も期待できないだろうし……Dungeon内でUndead Transformationしていたら面白いけど」
やれやれとため息をついて、続けた。
後はAmid Empire側に居るSClass adventurer、【Thunderclap】のSchneiderについて知る事が出来た。
何でもAldaから何度も危険を知らせるOracleが出される程愛される聖人で、幾多の町や村を救いRank10越えのmonstersを何十匹と討伐した大Heroらしい。
ただ本人は常に女を周りに侍らし、褒美に貰った島でNobleすら羨むluxuryな暮らしをしているとか。
今回の遠征ではIsla達Vampireが裏に居る事に感づかれると拙いので、参加しないよう裏工作をする予定だったが、するまでも無く「俺は酒と女の居ない所に行く気は無い」と依頼を蹴られたらしい。
「なんだかなぁ。まあ、助かったけど」
上位のadventurerが何人も遠征軍に加わっていたら、こんな楽勝には成らなかっただろう。Mikhailより強そうなSClassなんてとんでもない。
後は、levelが100に到達したので、早速Job changeしておく。今回の戦争は、Experience Point的にもskill的にも美味しかった。
《選択可能Job 【Venom Fist User】 【Insect User】 【Archenemy】 【Zombie Maker】 【Tree Caster】 【Corpse Demon Commander】(NEW!) 【Disease Demon】(NEW!) 【Spirit Warrior】(NEW!)》
「イエェェイ、また増えたー」
嬉しいのに感動を覚えないこの新Job発見の頻度の高さ。Adventurer’s Guildに報告したら、暫く賞金だけで食っていける気がする。
【Corpse Demon Commander】は、maybe【Commanding】skillを獲得したから生えたJobだろう。maybe、【Coordination】とか【Commanding】とか、後軍団をEnhanced (1)するskillが手に入りそうだ。
【Disease Demon】は……これはJobか? monstersのnameではないだろうか? まあ、Jobなんだろうけど。
明らかに今回の件が切掛けか。たった十二時間で無害化するdiseaseを一つ作ったくらいで大袈裟な。
【Spirit Warrior】は、maybe【Unarmed Fighting Technique】skillと、【Soul Breaker】を経験したから生えたのかな? maybe、今度こそ【Unarmed Fighting Technique】を代表する戦闘系skillに補正がかかりそうなJobだ。
でもこのJobを選ぶと、星座を模した鎧を着ないとダメなのだろうか?
「とりあえず、【Venom Fist User】でいってみましょう」
来年にはElective Kingdomにちょっと行って-sama子を調べ、Adventurer's School校について情報を聞きに行くつもりなので個人戦闘Abilityを上げたい。
前は「握手を拒否されそう」と思ったが、最近色々思いついた事があるので、それを試してみようと思う。【Spirit Warrior】はまた機会があったらにしよう。
《【Abnormal Condition Resistance】skillのlevelが上がりました!》
《【Venom Secretion (Claws, Fangs, Tongue)】skillを獲得しました!》
・Name: Vandalieu
・Race: Dhampir(Dark Elf)
・Age: 5age
・Title: 【Ghoul King】 【Eclipse King】
・Job: Venom Fist User
・Level: 0
・Job History: Death-Attribute Mage、Golem Transmuter、Undead Tamer、Soul Breaker
・Ability Values
Vitality: 160
Mana: 328,116,728
Strength: 108
Agility :105
Endurance :105
Intelligence :757
・Passive skills
Mysterious Strength:2Lv(UP!)
Rapid Healing:3Lv
Death-Attribute Magic:5Lv
Abnormal Condition Resistance:6Lv(UP!)
Magic Resistance:1Lv
Dark Vision
Mental Corruption:10Lv
Death-Attribute Charm:6Lv(UP!)
Chant Revocation:4Lv(UP!)
Strengthen Follower:7Lv
Automatic Mana Recovery:3Lv
Strengthen Subordinates:4Lv
Venom Secretion (Claws, Fangs, Tongue):1Lv(NEW!)
・Active skills
Bloodsucking:6Lv(UP!)
-Surpass Limits-:5Lv(UP!)
Golem Transmutation:6Lv
No-Attribute Magic:4Lv
Mana Control:4Lv
Spirit Form:5Lv(UP!)
Carpentry:4Lv
Engineering:3Lv
Cooking:3Lv
Alchemy:3Lv
Unarmed Fighting Technique:4Lv(UP!)
Soul Break:4Lv(UP!)
Multi-Cast:4Lv(UP!)
Long-distance Control:4Lv(UP!)
Surgery:1Lv
Parallel Thought Processing:3Lv(UP!)
Materialization:2Lv
Coordination:1Lv
High-speed Thought Processing:2Lv(UP!)
Commanding:1Lv(NEW!)
・Unique skill
God Slayer:1Lv
・Curse
Experience gained in previous life not carried over
Cannot learn existing jobs
Unable to gain experience independently
「え? 毒手なのにfangsとtongueも?」
色々な所から毒を出せるようになった。まさか文字通り「毒tongue」に成るとは……
『Bocchan、遠征軍の物資は全て手に入れました!』
「じゃあ、そろそろ行きましょうか」
「Vandalieu -sama、私も付いて行っても……?」
「基本馬車の中だけど、それで良いなら」
「あたしも!」
「Pauvinaは……まあいいか」
「やったーっ!」
「ではEclipse King軍進軍開始」
Boundary Mountain Rangeのtunnelを守る急造の砦を見張る平Soldierは、partnerと共にnightの荒野を見ていた。
時折聞こえる恐ろしい咆哮や、遠くから聞こえる爆発音、前触れなく上がる火柱や落ちる雷と言った現象にはここ数か月ですっかり慣れてしまった。
最初は怯えていたが、monsters同士が争って数を減らしているだけだと開き直る事にした。
この辺りのmonstersは、軍で雇ったCClass adventurer達が狩りつく-sanばかりに討伐してくれた。どうやら、余程金になるmonstersがいたらしい。monsters化したhedgehogの腹の毛が、上質な毛織物の材料になるのだと話しているのを耳に挟んだ事がある。
しかし、砦の空気は妙な緊張を孕んでいた。
「なあ、噂だと……」
「Shut Up」
「何だよ、まだ言ってないだろ」
「遠征軍に何かあったんじゃないかって言うつもりだろ」
「何だ、分かってるじゃないか」
遠征軍がこの砦を出発してから既に十日以上過ぎている。予定ではとっくにTalosheimに着いている筈なのに、伝令隊は来ないし、狼煙の類も上がらない。
他にも平Soldier達には知らされていない合図や連絡手段があるらしいが、それも無いようだ。
砦の空気が緊張しているのは、そのせいだ。
「tunnelの向こうにはそろそろ補給物資を満載した補給部隊が着く頃だろ? それなのに何も無いって、おかしくないか?」
「おかしいとは思うが……そんな事隊長に聞かれてみろ、大目玉だぞ」
士気が下がるような噂を囁いたのがばれれば、当然叱責を受ける。興味が無い訳ではないが、強面の上司から受ける説教と懲罰を受けてまで話したい話題では無い。
もし上司が妙齢の美女なら考えるのだが。
「でもよぉ……ん? あれなんだ?」
「あれ?」
「ほら、あれだよ。何か光ってないか?」
partnerが指差す先に視線を走らせると、確かに何かが光っている。ゆらゆらと、青白い何かが。
「maybe、monstersの目か何かだろ。距離も遠いし、無視しろ」
Humanが珍しいのか、monstersが遠くからこちらを観察している事はEven now頻繁にあった。最初は遠くに光るmonstersの眼光を見つける度に生きた心地がしなかったものだが、そういった行動をするmonstersは頭が良いので砦に居る限り襲っては来ない事が既に周知されている。
partnerが見つけた光もそれだと思った平Soldierだったが――。
「なあ、でもあの光、増えてくぜ。しかも、気のせいか近づいて来てないか?」
そう言われて視線を戻すと、確かに光が増えていた。
一つから二つ、三つから五、十から数十。どんどん増えていく!
それに――。
「何の音……いや、声だ、声が聞こえる」
「隊長に報告だ! あれはただのmonstersじゃない!」
screech染みた声を出し、非常事態を知らせる笛を吹く。すると、飛び起きたらしい隊長と、night番のadventurer partyのleaderがやって来る。
「どうし……あれはなんだ!?」
その頃には平Soldier達が報告するまでも無く、青白い光は増えていた。既に百は超えている。音も、確実に大きくなっていた。
「貴-donoはたしかLight-Attribute Magicが使えたな!?」
「分かった、あの青白いのが何か見える-samaにすればいいんだろ?」
adventurerの男は呪文を唱え、【照明弾】のmagicを放った。手の中に生じた光る球体を、思い切り空に向かって投げる。
カッ! night空に太陽が生じた-samaに、その瞬間荒野から闇が払われた。
そこに見えたのは、彼らが便りを待っていた相手の遠征軍だった。
「あ゛ぁぁぁぁ……」
「ぎいいいっ! お゛う゛え゛あ゛~!」
白目を剥き、tongueを垂らし、惨たらしい傷口を晒し、臓物を引きずり、それでも尚行軍を止めない、Mirg Shield Nationの精鋭達の姿だった。
「ひっ、ひぃぃぃっ!?」
screechを上げて後ずさった平Soldierだったが、それを咎める余裕がある者は一人もいなかった。
「あれは遠征軍の旗、か? それでは遠征軍は、全滅?」
「だろうな。数千はいるぞ、生き残りが居るとは思えないな」
光によって姿を現したUndead Transformationした遠征軍は、その数数千。六千人規模だった遠征軍の内これだけの数がUndead Transformationしているのに生き残りが居ると考える程、何よりUndeadがこうして姿を現した後にまだ生きていると思う程、adventurerの男は楽天家では無かった。
しかも……。
『砦ダ! 奪エ! 殺セ!』
『俺達を……よくも……こんな所に……ゴロジデヤルゥゥゥ!』
originallyは人だったとは思えない形相で怨嗟の叫びを上げている。
それを確認したadventurerの男は叫んだ。
「隊長-sanっ、撤退開始だ!」
その言葉に腰を抜かしかけていた平Soldierすらギョッとした。
「て、撤退だと!? BAKANA、敵と刃も交えずそんな事が出来るか!」
「刃を交えたら全滅だ! 隊長-sanよ、この砦には俺達を入れても四百も居ないんだぜ!」
砦に居る兵は三百。そこにCClass adventurerが九パーティ。
CClass adventurer達は一人一人がRank5、若しくは6のmonstersを倒し、party全員でかかればRank7のmonstersだって相手に出来る。
だが砦に居るSoldierは精鋭とは言い難い。一人ではRank2のmonstersの相手が精々で、Rank3相手には数人でかかれば何とかと言った程度だ。
「だが、相手はZombie程度だろう? -kun達CClass adventurerならどうにか出来るはずだ!」
「確かにRank2のZombie程度なら、数千匹居ても何とかなる。俺達全員でかかって、この砦が半壊しても構わないならな。
だが、聞いただろ、あいつらの声を」
「声? 聞いたが、それがどうしたのだ?」
「下ClassのZombieは、意味のある言葉を話さない。獣みたいなもんだ、吠え声や金切り声だけだ。偶に単語が一つ二つ混じる程度で。
だけどあいつ等の中には、こっちを見て『砦だ』って認識したり、意味の分かる恨み言を言ったり、明らかにZombieより頭の良いUndeadが混じってる」
その言葉の意味を理解した隊長の顔色は蒼白に成った。
数千のZombieの中に、Rank3以上の上位のUndeadが交じっている。
「Rank3以上が何百匹も混じっていたら、俺達でも手に負えない。Rank3以上は生前使えたMartial Artsを使ってくる事があるからな。しかも、UndeadだからEnduranceに限りが無い。
数が違い過ぎるんだよ」
隊長の脳裏に、成す術も無く押し潰され皆殺しにされる未来が過ぎった。そして彼は叫んだ。
「総員撤退準備! ありったけのTrapをtunnelに仕掛け、油を撒いて砦に火を放つ! 弓兵とMageは準備が出来るまで敵を攻撃して時間を稼げ!
-kun達adventurerにも協力してもらうぞ!」
「ああ、任せとけ!」
「総員撤退準備、総員撤退準備!」
彼等は慌ただしく動き出した。
tunnel前の小規模な砦を守るSoldier達は、撤退に成功した。
犠牲者も無く、その上で敵Undeadを少しでも減らす事に成功して撤退した彼等は、tunnelを必死に進んだ。
Undead達に追いつかれたら、無残な最期を迎える事が解っていたからだ。
そして必死にtunnelを抜け、既に出してあった早馬で事態を知ったMirg Shield Nation側の砦の隊長と共に万が一の事態のために雇っていたMage達の術でtunnelをDecayさせた。
これでUndeadは出て来られまい。
そう安堵したが、何とUndead達が入口から百meter程にかけて崩れたtunnelを掘り返しながら進んでいる事をMageが感知した。
「ダメだ! この砦を放棄、町まで引くぞ!」
この砦は許可を得ずにBoundary Mountain Rangeを越えようとするadventurerや犯罪者を取り締まるための物で、tunnelから出て来るmonstersに対抗できる作りではなかった。
「もう一度tunnelを崩落させられないのか!?」
「もう崩れている物をこれ以上どうしろと!? 言っておくが、百meter以上先にこの術は届かんし。同じ事をもう一度しろと言われても無理じゃ!
全員のManaが回復するまで、一日かかる!」
Undead達は休みなく動いていて、こうしている今も恐ろしいpaceでtunnelを掘り返している。既に三分の一程崩落部分を掘り返しているのを、Mageは感知していた。
やはり撤退しかない。
「開拓地はどうします!?」
「早馬を走らせ、避難させる!」
「急げっ! 総員撤退!」
早馬を町と開拓地に走らせ、Soldier達は撤退した。
開拓地ではmonstersの襲来に怯えた開拓民たちが警備隊に守られながら町まで避難し、町ではAdventurer’s Guildが緊急依頼を張り出し、周辺の村や町からもadventurerを呼び集めた。
同時に町を治めるBalchesse Viscountも、ありったけのSoldierを掻き集める。
それらが間に合うかどうか微妙な所だったが、何故か間に合った。
昼もnightも無く、休憩もとらずに進むと思われていたUndead達の歩みは何故かHumanの軍隊よりも若干遅く、人々は避難した上に、充分ではなかったが備える事が出来た。
それでも三千のZombieが攻め寄せたBalchesse Viscountの町、Balcheburgの防衛戦は熾烈を極めた。
『ヒャハハハハハ! Hero -samaのご帰還だぜぇえぇーっ!』
『わ、我こそはぁっ! Amid EmpireはMauvid Generalなるぞおおおおおっ! かいもん! かいもぉおおおおおおおんんんっ!』
『ぐひひひゃえへへへははは! 邪悪なっ、クズ肉共お゛っ! 儂がっ、この神に仕えるBormack Gordanがあ゛っ、ほぉろぼしてっくれ゛え゛る゛うぅっ!』
Hero Mikhailの再来と称えられた【Green Wind Spear】のRileyが、数々のMartial Artsを放って町を守るSoldierが放つ矢を落とす。
煌びやかに着飾り威風堂々と遠征軍を率いていたMauvid Generalが、Undead Transformationした軍勢をCommandingし攻め立てる。
そして止めに、Vampire Hunterと名高きClergyman Bormack Gordanが、町を守る壁にClub Techniqueで豪快に穴を空けた。
「Undeadが入ってくぎゃあっ!!」
『ヒヒヒ! Hero -samaに肉と臓物を献上しやがれぇぇっ!』
『不浄なるるるるぅっ、者共め゛え゛! 死ねえ゛え゛!』
Undeadを押しとどめようとしたSoldierの腹をRileyの槍が串刺しにし、他のSoldierを構える盾ごとGordanが叩き潰して行く。
『ふはははは! 凱旋だぁぁっ! 凱旋だああああ゛あ゛あ゛ぎあがああああ!』
そしてその後ろに、Zombie達を引きつれたMauvidが高笑いと絶叫が混じった物を上げながら続く。
だが、Undead Transformationしていたために弱体化し、また生前程のCoordinationが出来ていなかった事もありBalchesse Viscountは犠牲を出しつつも、何とか非戦闘員を守り抜く事に成功し、城壁以外の町の損傷は軽微に抑えられた。
Rileyの槍や、Gordanの戦棍が軍の支給品に代わっていた事や、遠征軍に参加していたはずの者の内、ChezareやBlack Bull Knight団等がUndead Transformationしていなかった事も幸いした。
いや、何よりも幸いだったのはUndead達の足が遅かった事だ。
ただ遠征軍に何があったのかBalchesse Viscountは雇っていた【Spiritualist】に調べさせようとしたが、彼女は首を横に振った。
「あのUndead達の霊は、一人残らずMountain Rangeに帰って行ったよ。呼び止める私の声なんて、全く聞こえちゃいなかっただろうね」
「まあ、全部わざとなんですけどね」
その頃、Vandalieu達は無人の開拓地で火事場泥棒と環境破壊に勤しんだ帰りだった。