ポタリと、冷たい液体が兜に落ちて滴った。

　それをSoldierはあまり気にしなかった。ここは戦場だ。bloodが流れ飛び散るのが普通の場所だ。数滴液体がかかったくらいで気にしていたら、命を失う。

「ゴホッ！」

　だが、そのSoldierはすぐにせき込み始めた。さらに前触れの無い頭痛、酷い吐き気、眩暈、関節痛、腹痛……それに熱が出て来たようにも思える。

「ゲホっ！　ゴホ！　ど、毒か……」

　喉が痛み、とても大声を出す事は出来ない。そしてSoldierのように突然体調を崩す者は、戦場で至る所に……いや、accurateには、体調を崩さないのはIsla達だけだった。

(上手く行った)

　Disease原菌を含んだ水をたっぷり詰めたvirus弾を投石機で撒いたVandalieuは、第二城壁で満足げに頷いた。

　何とか体勢を立て直しかけていたSoldierやKnight達が、今や歩くのもままならない-sama子で地面に膝を着け、ゲホゲホと咳き込み苦しんでいる。

　岩を撃ち落としていたGordanやRileyだって例外ではない。mercenaryらしい連中が立ったまま狼狽えているが、あれがVampireだろう。纏まっていてくれるとは都合が良い。

　Vandalieuが作ったDiseaseは、「【Death-Attribute Charm】が生まれつき効かない生物」しか感染しないと言うDiseaseだった。

　GhoulやCemetery Bee、Pauvina、そしてVampireは何ともないが、Mirg Shield Nation遠征軍を主に構成するHumanはあらゆる感染経路で感染し、数秒で発Diseaseする。

　そんなDiseaseだ。

「ぐっ……解毒potionが、効かないっ」

「盾を下げるなっ、この程度の毒でやられては、盾国の名が泣くぞ！」

「なんでだ、俺は毒resistance skillを持っているのにっ」

　Soldier達の多くは、Vandalieuが作り出したDiseaseが発Diseaseしても、それを毒だと勘違いしていた。前触れも何も無く突然体調を崩したのだから、そう思うのも無理は無い。

　だが兵達が支給された解毒用potionを飲んでも、体調が良くなるのは一瞬だけ。体内の毒素が解毒されても、それを出すDisease原菌が活動を続けているのだから当然だ。

「【Disease治癒】！　これは毒では無いっ、Diseaseじゃ！　お前達は周囲の者を癒してやれ、magic兵はさっさと立ち直らんか！」

　その中でいち早く立ち直ったのは、やはりGordan High Priestだった。自前のLife-Attribute MagicでDiseaseから回復すると、自身も呪文を唱えなら周囲を叱咤する。

「Messara、はっ、早く、じろ゛っ！」

「げほごほごほっごほっ！　ま、待って、喉がっ……っ！」

　しかし、そう簡単にはいかない。【Chant Revocation】skillでも持っていない限り、普通に話すのも苦しい体調で呪文を唱えるのは、すぐには出来ない。

　それに――。

「待っておれっ、いっごほっ！　げっほごふっ！　な、何故じゃ、もうDiseaseは……ごほっ！」

　完治したはずのGordanは、再び酷く咳き込みながらよろめく。それを見ながら、Vandalieuは呟く。

「それに、Diseaseと言うのは毒と違って周りの人から感染する。当たり前ですけどね」

　確かにGordanはmagicでDiseaseを完治させた。しかし、彼の周囲は何千人ものsickが咳やくしゃみをマスクもせずに繰り返しているconditionだ。

　一度の咳やくしゃみで菌やvirusは大量に、そして何meterも飛び散る。それでGordanは再び感染してしまったのだ。

　diseaseの中には一度感染したら免疫が出来て二度と発Diseaseしない種類も存在するが、そんな軟なDiseaseをVandalieuが態々作るはずが無い。

「インfullエンザ以上の速さで変異を繰り返す、特性のDiseaseだ。何度でも、繰り返し、死ぬまで味わえ」

　この感染源の巣窟でdiseaseから逃れるためには、持続的に効果のある対Disease用magic itemを身に着けるか、それとも最低でも自分の周囲に居るsick全てを完治させるか、全力で戦場から離脱しその後magicで完治させるしかない。

　若しくは、VandalieuがあらかじめDisease原菌が活動を止めるよう設定してある半日後まで生き延びるかだが、実際は不可能だろう。

　そしてEvil God (M)に鞍替えしてもこのDisease原菌に感染しないIsla達Vampireは、決断を迫られていた。

「なんて事だ！」

　Terneciaが手を回して動かし、Isla達が態々Humanの演技までして潜り込んでいたHumanの軍が、一瞬で哀れなsickの群れにされてしまった。

　半日で全員完治する事、そしてこのDiseaseだけでは死に至る事が無い事を知らないIsla達にとっては、もう遠征軍は戦力どころか隠れ蓑にもならない、役立たずになってしまった。

　これでは当初のtacticsは破棄しなければならない。

「チィ！　全員続け！　FlightしてあのDhampirを殺し、裏切り者を狩り出す！」

「宜しいのですか？　そんな事をすれば我々がVampireだとばれますが？」

「既にばれたも同じだ！　【Abnormal Condition Resistance】持ちのHumanがこんなにいると、誰が思う？」

　Isla達は、これが毒では無くDiseaseである事に気が付いていた。しかし Vandalieuが作ったDiseaseの効果をaccurateに知らない。そのため自分達だけが発DiseaseしないのはVampireが持つ【Abnormal Condition Resistance】skillの効果だと考えていた。

　だから今は遠征軍も余裕が無く気が付いていないようだが、後で考える余裕を取り戻せば自分達を疑うだろうと既に確信している。

「後始末はどうとでもなる！　まずは使命を果たす事を考えろ！　それとも貴-sama等も裏切るのかい！？」

　上面を取り繕うのを止め、masterであるTerneciaが乗り移ったかのような荒々しさを見せるIslaに問われたVampireは、首を千切れんばかりに横に振る。

　一瞬でも返答が遅れれば、【Terneciaの猟犬】のsecondary nameで呼ばれるIslaに殺される事が解っているからだ。

「ならさっさと行くよっ！」

　固有skillによる変装を解くと、Isla達は空に飛びあがった。【Bloodsucking】を使う時に邪魔になるfull faceの兜を脱ぎ棄て、mercenaryらしく見える-samaに揃えた彼女達から見て粗末で柔い鎧を、仕掛けを利用して一瞬で脱ぎ捨てる。

　そして愛用の切っ先の無い剣、Earthではエクスキューショナーズswordと呼称される形状の処刑剣を抜き、一直線に第二城壁を目指す。

　そして見えた、こちらを見上げる表情の無い白い顔をIslaは嘲笑しながら飛びかかろうとした。

「色々驚かせてくれたがここまでだ！　さあ、あたしの剣の錆になりな、混blood児！」

　だが、その途中で視界がホワイトアウトした。

「ぎっ！？　ぎやああああああああ！？」

「ぐあああああああああ！」

「あ゛づい゛ぃぃぃぃぃっ！　あ゛っ、あいラざまっ、太陽が、太陽があああああっ！」

　既に陰り、Vampireでも問題無い程度の薄明るさになっていたはずのTalosheimに、春の暖かな日差しが降り注いでいた。

　Sunlightに焼かれ、生きたまま煮えたぎる油で満たされた鍋に放り込まれた食材のように悶えるIsla達Vampireを見ながら、Vandalieuは呟いた。

「では前半終了、後半開始」

　Mountain Rangeの西側でLight-Attribute Magicを使える者達を率いて、Zadirisは待機していた。

　彼女の頭上には、フワフワと一抱え程の大きさの髑髏が浮かんでいる。Vandalieuの使い魔、Lemureだ。

　本来ならLemureはほぼ透明なのだが、Vandalieuが【Visualization】のmagicをかけると普通に見えるようになる。

「そろそろじゃと思うのじゃが……お、来たようじゃな」

　カチカチと、Lemureが歯を鳴らした。

　それに合わせてZadiris達は近くに佇む、Mercury Mirrorに向き直った。

　Mercury Mirror、それはZakkartが残したanother worldの知識とこのworldのmagicがFusionした遺産。このmagic装置が太陽の光を反射しTalosheimに向ける事によって、本来日照時間が短いMountain Rangeに挟まれた地に在ってTalosheimは【Capital of the Sun】と呼ばれ、豊かな農地を手に入れたのだ。

　しかし二百年前、それらはMirg Shield Nation軍によって破壊されてしまった。液体金属で出来た鏡は破られ、鏡を支えていた柱は罅割れていた。

　それをVandalieuが【Golem Transmutation】skillを使って修復した。どうやらZakkartは後々のmaintenanceの事まで考えてMercury Mirrorを作ったらしく、元通りの形に直せばVandalieuの【Alchemy】skillでも元通りにする事が出来た。

「照準合わせ！」

　そしてそのMercury Mirrorを、VandalieuはGolem Transformationしたままにした。こうして命じれば、その通りに動くように。

「皆よ、合わせよ！　……【Extreme Sunlight】！」

　Rank７のGhoul Elder MageにRank upしたZadirisの手から、目を焼くような鮮烈な光が放たれる。

「【Sunlight】！」「【Sunlight】！」「【Extreme Sunlight】っ！」

　他の女GhoulやUndead Giant、AnubisのMageからも、同系統の術が放たれた。

　【Sunlight】は太陽の輝きを放つ術。

　【Extreme Sunlight】は肌が焦げるような真夏の強い太陽の輝きを放つ術。

　どちらも対Vampire用にAldaのCleric達がその昔開発した術だ。それをDhampirであるVandalieuの指図でGhoulやUndeadが使うのだから、皮肉な物だ。

「全員Manaが尽きるまで放ち続けよ！　Evil God (M)派のVampire共を黒焦げにしてやるのじゃ！」

　戦場からは離れていたが、突然入ってくるExperience PointのsignにZadirisは自分達の術が敵を焼いているのを確信していた。

「BAKANAっ！　Zakkartの遺産はっ、既に破壊し尽くされたはず！　なのに何故っ！？」

　銀も同-samaだが、太陽に焼かれる苦しみはVampireにとって耐えがたい痛みだ。首を落されるかheartを完全に破壊されるかしなければ死なないはずのVampireの不死性を、あっさりと超えて命に届いてしまう。

　【Abnormal Condition Resistance】skillも高い再生AbilityもFormlessだ。

　実際、既に部隊の中でも実力の低いVampire Ritter達は、堪らず地上に降りようとしていた。這うようにして草のshadowに隠れようとしているのだ。

「Isla -sama、我々も一旦降りて体勢を……」

「idiot者っ！　あれが見えないか！？」

　Islaが指差した先では、降りたVampire達が次々に倒されていた。

「Vampireめ！」

「ぐぞっ、はっくしょいっ！　敵の援軍だ！　ご、合流させるな！」

　背の高い草のshadowに隠れてSunlightをやり過ごそうとするVampire達を、周囲のSoldier達が気力を振り絞って槍や剣で攻撃し始めている。

　遠征軍の将兵達にとって、空を飛び太陽に焼かれて正体が露わになったIsla達Vampire達は、敵でしかない。Vandalieuに向かって行ったのも、彼を殺そうとしたのではなく合流しようとしたようにしか見えなかったのだろう。

　最早役に立たないsickの群れと切り捨てたHuman達でも、whole bodyを焼かれて弱った今では十分厄介だ。今も、運悪くGordanの近くに落ちてしまったVampireが、彼の戦棍によって頭を肉片に変えられたところだ。

　Mauvid GeneralやRileyはなんて事をと目を剥くが、まさか止めろとは言えないので顔をこわばらせる事しか出来ない。

「分かったかっ！？　分ったらさっさと城壁を越えるんだよ！」

　Islaは自分のbody partに、Water-Attribute Magicで白い氷を生じさせて少しでもSunlightを屈折させて防ぎながら部下に命じる。

　部下達も彼女に倣い、暗闇や霧をmagicで作りだしてSunlightから身を守り、進もうとした。

「ぎゃぁぁぁぁっ！？」

　そこに一際眩い光が横殴りに走り、軌道上に居たVampireがscreechを上げて落下した。

　Zadirisの放った【Extreme Sunlight】のmagicの光を、Mercury Mirror Golemが鏡面を調整し一点に集中させて作ったSunlight砲だ。これ程の光だと、ただの肉や野菜もホットに焼ける温度になる。certainly、多少の闇や霧などほぼ意味が無い。

「散れっ！　固まるな、当たれば命が無いぞ！」

　光を避けろなんて無茶な事を言いながら、それでも進もうとするIsla達の前に、第二城壁のshadowや第三城壁の向こうから現れ飛び上がるcountlessの敵shadowが映った。

　その先頭には……。

「ごきげんよう、絶好のSunlight浴日和ね」

　Vampire達の第二の標的、Eleonoraが微笑んでいた。

　その頃地上では、遠征軍の右側面の地面から、突然GhoulやUndead達が現れた。

　VandalieuはTalosheimの堅牢な城壁や投石機等に任せて籠城戦を仕掛けようなんて考えを持っていなかった。

　確かにこちらの守りは堅牢だが、援軍の当て無く城塞に籠ってどうなるものでも無いと思ったからだ。

　それに時間をかければ遠征軍は盾国に援軍を求めるだろうし、業を煮やして思い切ったPure-breed Vampireが乗り込んで来たら目も当てられない。

　だから、向こうがこちらを舐めている内に短期殲滅戦を行う。

　そのため、Vandalieuは地下にTalosheimから伸びるtunnelと自軍が待機できる大空洞を【Golem Transmutation】で作り上げたのだ。

「うおおおおおおっ！」

『殺せぇええええええっ！』

「childを守れっ！　侵略者を皆殺しにしろ！」

『二度と俺達の国を焼かせるな！』

　そして数時間くらい地下で待機していたのに、GhoulやUndead達の士気は高かった。originally暗闇を苦にしない者達で構成されているし、何より彼らにとってこれは防衛戦だ。

　士気が下がるはずも無い。

「て、敵だっ！」

「迎えうげほっ！　おぐっ、うげええええっ」

　遠征軍も精鋭らしく対応しようとするが、Disease Demonは順調に彼らのbody partを蝕みEnduranceを奪っている。立ち上がって隊列を組み直そうにも、猛烈な吐き気に蹲ってstomach液を吐き出す者が出る始末だ。

「起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ――」

　そして第二城壁にいるVandalieuが、遠征軍が破壊したはずのGolemを再起動させていた。

『う゛ごお゛おおおおおおっ！』

「BAKANAっ、またGolemが動き出したっ！」

「がへっ！？」

　立ち上がった石giantが、先程のお返しだと言わんばかりに遠征軍を踏み潰す。

　確かに遠征軍の将兵によって、第三城壁だったGolem達は破壊された。だがGolemの材料だった石材が、彼らの剣や槍で物理的に消滅した訳では無い。切断されたり砕かれたりしているが、そのまま地面に転がっている。

　Vandalieuにとって、その石材を再びGolemにするのは簡単な事だった。

　そこにVigaro達が殺到した。同時にcrossbowと投石機が止まるが、遠征軍にとってそれが無意味に思える程の殺戮が始まった。

「我に続け、Warrior達よ！」

　diseaseとGolemで隊列を組む事も出来ない遠征軍のKnightが、Vigaroの斧で首を刎ね飛ばされた。

「おのれっ、卑きょ――！」

『黙ッテ死ネエイ゛！』

　戦友の死に激高したKnightも、Undead Giantが振るうGiantな棍棒に薙ぎ払われる。

　Diseaseに苦しむ敵を殺す。誇り高いKnightなら、もしかしたらただのSoldierでも躊躇うかもしれない。だがVigaro達GhoulやUndead達にその手の躊躇いは無い。

　Humanとは価値観が違うし、そもそも情報を集めて対策を練って来なかった遠征軍がただただ間抜けなのだという認識だからだ。

「くっ、【Spiral thrust】！」

　だが遠征軍も流石に大人しくはやられない。Diseaseを押して立ち上がり、Martial Artsを放つ者も少なくない。

　そんなSoldierの一人が放った、回転を加える事で貫通力を増した槍の穂先がVigaroの腹を突く。Enduranceが削り取られた今、これを耐えられたら後が無いとwhole body全霊を込めた槍は確かに命中し……ばきぃぃぃぃん！

「はっ？」

　穂先が砕け散りただの棒になった槍に目を丸くしたSoldierの頭に対して、Vigaroの四本の腕の内一本が持つ盾が振るわれる。ごっ！　彼は跳ね飛ばされて動かなくなった。

　Vigaroの腹には、Orichalcum製の胴巻きが付けられていたのだ。

「良い腕だった」

　いくらあのSoldierが良い腕をしていても、持っているのは支給された鉄の槍だ。型に溶けた金属を流し込んで作る鋳物では無く、Blacksmithingが一本一本手作りした鍛造Weapon Equipmentだが、流石にあらゆる魔導金属の上位互換であるOrichalcumには歯が立たない。

　一矢報いるどころか、Soldierが力を込め過ぎた事もあって砕け散ってしまった。certainly、VigaroにはDamageどころか胴巻きにも傷一つ付いていない。

「むぅっ……まあ、挑んできたのはお前らだ」

　Vigaroも流石にSoldier達を気の毒に思ったが、自業自得だと思い直して斧を振るう。

『ふははははっ！　それ、挽肉にして差し上げましょう！』

　Samが恐ろしい哄笑を上げながら、向かってくる者も倒れている者も逃げる者も差別せずSoldierを跳ね飛ばして行く。彼はRank４のBlood Carriageのままだったが、Diseaseに苦しむ遠征軍には強敵だ。

「我がManaを糧に炎よ、敵を討て！　【Flame Bullet】！」

　そこに青い顔をしたmagic兵の【Flame Bullet】のmagicが打たれる。SamをUndeadだと見抜いた上での炎のmagicは、悪手では無い。

『おっとっ！』

　しかし、赤い炎の弾丸はSamがひょいと振った槍に掠ったと思ったら、ぱっと拡散して消えてしまった。

「それは、もしやアイスエび！？」

　ごめ゛べぎ！

　形容しがたい音を立てて、magic兵が轢き殺される。それを成したSamは、晴れやかに笑った。

『Bocchanから頂いたこの槍、中々の使い心地ですな。これは後でお礼申し上げなければ』

　Artifactとしての機能をYupeonのCloneごとVandalieuに砕かれたIce Ageだが、Mythril以上の対magic Defense Powerを持つOrichalcumの槍の前に、幾ら精鋭でも一兵卒に過ぎないmagic兵が放った【Flame Bullet】が通用する訳が無い。

『ヂュウ！　流石は主の策、精鋭の筈の敵をまるで雑草の如く刈り取れる！』

「同意します！　二百年前は私を一太刀でSlash倒したMirg Shield Nationの兵が、まるで泥で出来た人形も同然！」

　Skeleton ViscountにRank upしたBone Manと、LichのNuazaがそれぞれのWeapon Equipmentを振るって遠征軍をslaughter、若しくは撲殺して行く。

「しかしこうも敵の頭が低いと、腰が悪くなりそうですね！」

『ふはははっ、確かに！　どれ、適当な獲物から新しい腰boneを頂くとしましょう！』

「おのれっ！　舐めるな！」

　Bone ManとNuazaの前に、Soldier達が立ち塞がった。彼らはVandalieuのDiseaseを完治させた訳では無く、【-Surpass Limits-】skillをActivateさせてEnduranceや免疫力をAugmented (2)させ、一時的にrevivedだけだ。

　そんな事をすればskillが切れた時に一気にDiseaseの進行が進み、運が悪ければ死んでしまうのだが、このまま黙っていても殺されるだけと決断を下したのだ。

「行くぞ！　撤退するための時間を稼ぐんだ！」

　既に遠征軍の将兵達はこれが負け戦だと気が付いていた。生きている数はまだ自分達が勝っているが、全員がsickであり戦力としてはloseいる。

　出来るのは何とかして敵を足止めし、仲間が撤退する為の時間を少しでも稼ぐ事だけだ。

「うおおっ！　【Shield Bash】！」

　盾を構えて横一列に並んだ兵達が、Bone ManとNuazaにそのままChargeする。

「【Rock Crush】！」

『ヂュオォ！　【Slicing Moon】！』

　それをNuazaが振るうOrichalcum Maceが盾ごと粉砕し、Bone ManのMagic SwordがBisectionする。二人は別に舐めている訳でも油断している訳でも無い。

　Soldier達を嬲りProvocationしているのだ。彼らが最後の力を逃走では無く、一矢報いようと振り絞らせるために。

「ま、幻か？　それとも俺は頭がどうにかなっちまったのか？　こんな所に裸の女だ――」

　ザシュ！

『いえ現実です、あと誰が裸ですか！』

「ふ、戯けるな！　そんな恰好をした頭のcrazyた女に――」

　ズバン！

『大人しく殺されてください！　後、別に私は変じゃありません！』

　GlaiveとHalberdを振り回し、次々にSoldierに止めを刺して行くRitaとSalire。彼女達は何処か不満そうだった。

『姉-san、私達の姿reputation良くないんだけど、何でかな？』

『うーん、Bocchanは可愛いって褒めてくれたのに……言われた通りマントも付けたのに』

　悩みながらもズバンザシュドズっとslaughter死体を量産しつつ。首を傾げる二人。

　magic itemのマントをHaoriった事で二人の刺激的な後ろ姿は隠れたが、やはり胴体部分の露出度が高いままだ。寧ろ、マントを着た事で逆に胴体部分の露出度が強調されたような気さえする。

『でも私達以外にも露出が多い人いますよね？　KatiaとかBildeとか』

『Basdiaも結構出してるわよね』

「そこまでじゃないわよ！」

　やや離れたところからKatiaの抗議の声が上がる。事実その通りなのだが、sistersが取り合う事は無かった。

「くっ、monstersの類が！　死ねっ！」

　生き残っていた弓兵が、矢を放って来たからだ。それは狙い違わず彼女達の剥き出しの腹や胸元にthrust刺さり、そのまま貫通する。

『あ、姉-sanあっちに元気な敵が』

『じゃあ、私が弓で援護するからRitaがPierceして』

『はーいっ』

　しかし、二人は特に気にせず反撃に移る。SalireがHalberdから弓に持ち替え、Ritaが見た目を遥かに上回る俊敏な動きで弓兵達に向かってPierceして行く。

「ば、BAKANA！？」

『いや、ただの鉄の鏃でSpirit Form部分を射られても』

　ヒュンッと飛んだSalireの矢が、弓兵の胸を鎧ごとthrust破る。

『鎧の部分に当たっても、あの程度なら弾いちゃいますけどね』

　そんな事を言いながら、RitaがGlaiveで弓兵達の命を狩り取って行く。

　Islaは信じられないと言う顔でEleonoraを見つめた。

　自分達と同じNoble-born Vampireの彼女が、何故Sunlightを浴びて平気な顔をしていられるのかと。

「ふふっ、偉大なるお方の力よ」

　Eleonoraはそう言いながら、握った剣……刀身が黒い棒状になっている物を振り下ろした。

『お゛お゛ぉぉぉぉぉんっ！』

　ヴヴヴヴヴヴヴヴウヴヴヴヴヴ！

「あ゛あ゛あ゛あ゛っ！」

　そして動きのとれないNoble-born Vampire達に、KnochenとCemetery Bee、Rapiéçageが襲い掛かった。

「BAKANAっ、蟲型のmonstersをTamerしただと！？」

「ぎゃああああああっ！」

　鉄板も切り取るchinと貫通できる"poisonous needle"を持つCemetery Beeに纏わりつかれ、Noble-born Vampire達がweak順に落ちて行く。

「この私がっ、Undead如きに！　【斬鉄】！　【乱れSlash】！　【百烈Slash】ィィィィィイ゛ゲェ！？」

　Sword Techniqueに長けたVampire Viscount、Gubamonから派遣された子peerageのVampireが必死にMartial Artsを繰り出し、何本何十本とboneを切断するが、Knochenを止めきれずcountlessのfangsや角に貫かれる。

『おぉおぉぉぉん！』

　Rank７のBone ChimeraだったKnochenは、Undead GiantやGhoulが狩ってくる大量のboneをbody partにFusionさせ、Rank８のUnion of BonesにRank upしていた。

　数千のboneがFusionして出来たmonstersであるUnion of Bonesには、急所が存在しない。物理攻撃で倒すなら、全てのboneを破壊しなければ不可能だ。

　しかし Knochenのbody partを構成するboneは、Tarea達職能班が使いきれなかったmonstersのboneだ。本来Weapon EquipmentやDefense Equipmentに加工できる物なので、物によっては鉄より硬い。

　そんなKnochenを倒すなら、どう考えてもmagicの方がいいのだが……。

(こんな状況でmagicが使えるはずが無い！)

　Sunlightに焼かれつつ、【Extreme Sunlight】砲を避けるために回避行動をとりながら、こちらに向かってくる敵の相手をしながら呪文を唱える。そんな真似が出来るはずが無い。出来るのは【Chant Revocation】や【High-speed Thought Processing】skillを持つ者ぐらいだ。

　そうこうしている間にも、動きが鈍ったNoble-born VampireがRapiéçageのtailに付いた"poisonous needle"でsolar plexusを貫かれ、screechを上げた瞬間拳で殴り殺されている。

　明らかにNoble-born VampireよりRapiéçageの方が格下なのだが、Sunlightという致命的な環境がVampire達の力を削いでいた。

「ちいっ！　貴-samaの首だけでもっ！」

　Islaはこうなれば、Eleonoraの首でこの場は引こうと考えた。そう考えざるを得ない程、計算外の出来事が連続して起こっている。

　今は、使命を果たせず戻って処刑される危険を冒してでも、この情報を持ち帰る事を考えなければならない。

　そう判断したが、情報を持ち帰る事の重要性を理解しつつもEleonoraの首を狙い続けたのはIslaの失策だった。

　magicが使えなくても、何故か相手はSunlightを苦にしていなくても、自分の腕ならEleonoraを殺せるという自負。そしてTerneciaに対するLoyalty心とそれを超えるhorror心によって、Islaの判断は中途半端な物になってしまった。

「死にな！」

　【-Surpass Limits-】skillを起動。Sunlightの痛みを無理矢理意識のわきに追いやり、High-SpeedでEleonoraに接近するIsla。彼女が構える金属の棒にしか見えない剣をみて、焼けた顔に嘲笑を浮かべる。

(大方攻撃よりも防御を優先してそんな得物を持って来たんだろうが、持っているのがあんたみたいなヘボじゃあ、あたしの処刑剣の前には無意味だよっ！)

　一方Eleonoraは、余裕を保って【Acceleration】の術を自分にかけると、自分より遥かに格上のIslaを迎え撃った。

　IslaはTerneciaの下で裏切り者や失敗して逃げるVampireを今まで何人も狩って来た女Vampireで、既に数万年を生きている。その生涯で処刑したのは千人を超えると恐れられ、【Slaughtering Executioner】という特殊なJobに就いている。

　その【Sword Technique】skillは１０levelで、他のskillのlevelも高い。

　しかし、EleonoraにはIslaの飼い主よりも圧倒的に恐ろしいmasterが存在する。

(首、左から)

「分かったわ、Vandalieu -sama」

　Eleonoraは首を守る-samaに、剣を左に構えて全力で支えた。

「【Dark night Beheading】！」

　Islaが独自に編み出し、過去には同格のNoble-born Vampireの首すら刎ねて見せた必殺のMartial Artsが振るわれる、それはEleonoraが構えた剣に触れて……がぎぃぃぃっ！

　剣をBisectionする事無く止まった。

「なっ？　ぐあっ！」

　必殺の筈のIslaの剣は、EleonoraのOrichalcum製の剣を切断する事が出来なかった。

　Islaは信じられないと目を見開き、反動を受けて手を痺れさせ剣を取りこぼしてしまった。だが驚くような事は何も無い。

　【Sword King】BorkusがSuperior Skillの【Sword King Technique】のMartial Artsを使っても、Orichalcum製だという理由だけで、罅だらけのDragon Golemに傷一つつけられなかったのだ。

　それをIsla程度の腕で、Adamantite以上の物理的強度とダマスカス鋼以上の弾性を持つOrichalcumの剣を切断できる筈が無い。

　Eleonoraの口元に浮かんだ微笑が大きくなった事にIslaが気づいた時には、再び視界がホワイトアウトした。

「ぐあああああああああっ！？」

　動きを止めたIslaに、状況をLight-Attribute Magicでその光景を見ていたZadiris達が、Eleonoraごと【Extreme Sunlight】砲で焼いたのだ。

　最早耐えられず、なりふり構わず逃げようとしたIslaだが、その動きは亀のように遅かった。

(これはっ、時attribute magic！？　Eleonoraかっ！　だが何時の間に呪文を唱えた！？　それに自分ごとあたしを焼くだと！？)

　どうする事でもできず、【Extreme Sunlight】砲が終わった時には、Islaは見るも無残な姿と成り果てていた。身に着けている高価なmagic itemはそのままだが、skinが露出していた部分は肉が黒く焦げboneが露わになっている。

　一見して焼死体としか思えない有-samaだ。

「おっ、おおっ、な、何故っ……」

　しかし上位のNoble-born Vampireらしい強靭なVitalityが、Islaを生かしていた。

　だがそれ以上に信じられないのは、同じSunlightに焼かれても無傷のEleonoraだ。多少肌が赤くなってはいたが、それもすぐに元の白に戻って行く。

「剣の事かしら？　それともSunlightの事？」

　そう問いながら、EleonoraはIslaの焼け焦げた頭を掴む。

「がぁっ！」

「このOrichalcumの剣も、SunlightへのResistanceも、全てVandalieu -samaが与えてくれたものよ」

　そう語りながら、Eleonoraは剣では無くclawsを伸ばした白い手を上げて見せる。

「くくっ、そうか、あたし達の、負けだ。殺すが、いい。だが、お前達は、必ず死ぬっ！　Ternecia -samaが必ず仇を取ってくださる！」

「それは恐ろしいわね。じゃあ、あなたも一緒に戦ってちょうだい」

　何をBAKANA事をとIslaが答える前に、Eleonoraは彼女の首をSlash落とした。ぶしゅうっと鮮bloodが噴き出す。

「起きろ、こっちへ」

　Islaの首から噴き出した鮮bloodは、地面に落ちる前にBlood Golemと化してVandalieuが開いた口に向かって行く。

「如何ですか？　Vandalieu -sama」

　濃厚な上位Vampireのbloodを飲むVandalieuは、Eleonoraに答える前に虚空に視線を向ける。

『貴-samaのようなDhampirに、死したとはいえ誰が……し、従います。何でも喋ります、どうかあたくしをUndeadにしてくださいませ。殺して頂いた御恩を返す為、誠心誠意働かせていただきます』

「やっぱり悪霊に成る前の無力な霊になるとチョロイ。彼女は快く協力してくれるそうです。bloodの味も濃厚で中々だったし。

　じゃあ、そろそろ俺も出ますね」

　殺戮劇はまだまだ終わらない。

《【Bloodsucking】skillのlevelが上がりました！》

・Name: Zadiris

・Rank: ７

・Race: Ghoul Elder Mage

・Level: １９

・Job: Wind-Attribute Mage

・Job Level: ３１

・Job History: Apprentice Mage、Mage、Light-Attribute Mage

・Age: ２９５age(Youth Transformation済み)

・Passive skills

Dark Vision(Night Visionから変化！)

Pain Resistance：３Ｌｖ

Mysterious Strength：１Ｌｖ

Paralyzing Venom Secretion (Claws)：２Ｌｖ

Mana Recovery Rate Increase：５Ｌｖ(ＵＰ！)

・Active skills

Light-Attribute Magic：６Ｌｖ(ＵＰ！)

Wind-Attribute Magic：４Ｌｖ(ＵＰ！)

No-Attribute Magic：２Ｌｖ

Mana Control：６Ｌｖ(ＵＰ！)

Alchemy：３Ｌｖ(ＵＰ！)

Chant Revocation：２Ｌｖ(ＵＰ！)

Multi-Cast：１Ｌｖ(ＮＥＷ！)

-Surpass Limits-：１Ｌｖ(ＮＥＷ！)