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Chapter 59: Eclipse KingMarshallに呪われる

 Talosheimの総戦力は、Vandalieuが三ageの誕生日を迎えた当時と今ではかなりの差がある。

 Vandalieu自身も強くなったが、それ以上に彼の周囲の者達が全体的に強くなったことが大きい。


 Ghoulは既にBildeKatiaといった者も含めて、Rank3に留まっている者はTarea達職能班と新しく生まれた世代ぐらいだ。ほぼ全員がRank4のWarriorGrapplerArcherLittle Mage等にRank upしている。

 中にはGhoul BarbarianGhoul Heavy WarriorGhoul Grappler Adeptのような、Rank5にまで至った者も少なくない。


 通常のGhoulと比べると驚異の成長率だ。


 Undead Giantも、二百年間微々たる成長しかしなかった彼等が日night Dungeonに通い、殆どの者がRankを1以上上げている。Braga達新種の成長も目まぐるしい。

 更に第三城壁のStone Golemに、数が倍に増えたCemetery Bee。そして機動力の問題から防衛戦力としてしか使えないが、Immortal Entが百本程。


 そしてVandalieuの親衛隊ともいうべき者達は、言うまでもない。


 あたしもloseはいられないと、彼女は愛用のMaceを手に取った。

「ダメですからね」

「えっ……!?」


「そんな信じられないみたいな顔しても、ダメ」

 練習用にとせがまれて作った石製のMaceを手に持ったPauvinaに、Vandalieuは告げた。

「あ、あたしもうchildじゃないもん!」

「いや、まだ二ageでしょう」

Vanだってまだ五ageだし、あたしより小さいもん!」


「……agebody partの大きさは問題じゃありません」

 二ageになったPauvinaは、もうbody partの大きさならVandalieuを完全に越えている。横ではなく縦で。

 しかもただ大きいだけでは無くAbility Valuesも高く、特に力では一般人では彼女のMysterious Strengthに太刀打ちできない。本気で腕相撲でもしようものなら、boneを圧し折られるか手を握り潰されかねないのだ。


 その辺りの力加減は、Vandalieuがその身を張って教育したので問題無く出来るようだが。


「じゃあ、何でダメなの!?」

skillです。Pauvinaはまだ覚えてないでしょう?」

 腕相撲ならin any case、戦闘で重要なのはAbility Valuesよりもskillだ。skillが有るか無いかでは、戦闘力がだいぶ変わってくる。


「あたしも【Club Technique】覚えたもん!」

「まだ1levelだからダメです」

Rapiéçageも1levelだもん!」


「う゛あ゛?」

 ぎょろんとeyeballを動かしてPauvinaを見るRapiéçageは、この前【Unarmed Fighting Techniqueskillをやっと1levelで獲得した。

 一応人の霊を憑けたし、Spirit Formも漂っているのを適当に千切って追加した。だがどういう訳か彼女は【Physical Resistance】や【Mysterious Strength】等のskilllevelが上がりやすい代わりに、武術系のskillが獲得しにくいようだ。


 しかし、一応skillincreaseしているので戦闘力はincreaseしているはずだ。まだRankは4だが。それに――

Rapiéçageは傷ついてもpartsを替えれば良いけど、Pauvinaは替えられないじゃないですか」

 そう、Rapiéçageは複数の死体を繋ぎ合わせてVandalieuが作った、継ぎ接ぎZombieだ。手足が欠けて首を落されても、適当な死体から欠損した部位を切り落として代わりに縫い合わせれば元通りに出来る。


「う゛ぅ……」

「あ゛う゛ぅ……」

 Vandalieuにそう言われると、何故かPauvinaだけではなくRapiéçageも落ち込んでいた。お前は傷ついても良いのだと言われていると思って、傷ついたのかもしれない。

 こうして人は無自覚に他人を傷つけるのかと自分の言動を反省しつつ、この後mayonnaiseで機嫌を取ろうと思うVandalieuだった。しかし、今はPauvinaだ。


 PauvinaVandalieuにとって、娘……と呼んでいいかは微妙だが、少なくとも実のImoutoのような存在だ。その彼女を命がけの戦場に連れて行くのには躊躇われた。だってまだ二ageだし。

Pauvinaskillが5levelになるか大人に成ったら戦争でもDungeonでも連れて行くから。それまでこれで鍛えるんだよ」

 そう言いながら、遅れた誕生日プレゼントを手渡す。


 今までPauvinaが使っていた練習用の石製Maceでは無く、鉄製のMaceだ。

「うわぁっ! これ使っていいの!?」

「う゛あ゛ぁっ!」

 それを見た瞬間顔を輝かせるPauvina……何故かRapiéçageまで嬉しそうにしている。


「うん、良いよ。プレゼントだから」

「ありがとう! 石のMaceは軽くて使いにくかったの!」

 嬉しそうに早速鉄のMaceで素振りを始めるPauvina。その-sama子を見て、Vandalieuも満足気にnod

 彼はPauvinaImoutoのように思っているが、だからこそ並のSoldierの十人や二十人軽く撲殺できるようにするのが務めだと思っていた。


 このworldVandalieuVida's New Racesにとって過酷であり、Pauvinaの生まれをAlda教の関係者に知られれば、Vida側だと思われる可能性が高い。だから、Pauvinaには強さが必要だ。


「ふんっ! ふんっ!」

「う゛っ、う゛っ」

 しかし何故Rapiéçageまで嬉しそうに何も握っていない拳を上下に振るのだろうか? そう内心首を傾げていたVandalieuは、ふと気が付いた。

 RapiéçagePauvinaの真似をして遊んでいるのだと。


「そういえばchildって年上のbrothers sistersの真似をしたがるっけ」

 とりあえず、mayonnaiseを頑張って作る必要はないらしい。




Goddessへの祈り方ですか? 何を言うのですMikoよ、貴方は既に十分実践しているではありませんか」

 Goddess Vidaの信仰の仕方をNuazaに尋ねたら、Vandalieuはそんな事を言われた。

 もしかして洗礼を受けたり正しい方法で祈ったりすれば、VidaからOracleの一つも受けられるのではないかと期待して聞いてみたので驚いた。


 正直、そんな事をしていた覚えは全く無いのだが。自分で再建したChurch of Vidaにも、Dungeonに潜る前みんなと一緒に短く、お詣りする以外では足を運んでいない。

「ええっと、詳しく聞かせてください。Vidaの戒律とか、教義とか」


「【Goddess of Life and LoveVidaの教義は、簡単です。生命を謳歌し、他者を愛す。細かく言えば色々ありますが、それにしても規則という訳ではありません」

 命を粗末にしてはならないとか、familyや友人、loverを大切にしろとか、そういう素朴な教えがVidaの根幹にはあるらしい。


 そこから色々派生して、生命の部分は「食べ物は残さず食べよう」とか「お腹が空いている人にはご飯を分けよう」とか、「食前食後には短くても感謝の言葉を」等が伝わっている。Vandalieuが実践しているとNuazaが言ったのはこの部分だ。


 このworldではJapan語が通じる。だからVandalieuJapan人だった習慣のまま「頂きます」と「ご馳走-sama」の挨拶を意識せずに行って来たし、基本的に何でも食べる。そして新しい調味料やCookingを皆に配給という形で分けている。

「あー、確かにしてますね」

 しかし、教義が妙にJapan的だ。originallyそういう傾向があったのだろうが、十万年前にZakkartから聞いてそれを更に取り入れたのかもしれない。


 他の「愛」の部分はあまりJapan風では無かったが。やはりGoddessは中々積極的な性質の持ち主だったらしい。

「儀式とかは?」

「特にありません。いや結婚式や離婚の報告、作付けの祈りや収穫祭の祈り、成人の儀式程度ならありますが」

 それも複雑なものではないようだ。


 何でも、「別に形式なんて何でもいいのよ。大事なのは命と愛の大切さを忘れない事でしょ?」とChampion達に語ったと伝わっているそうだ。

(なんてfrankKami-samaだ。堅苦しくないのはやり易くて良いけど、believerの人から見るとありがたみが足りないような……?)


 普通、宗教とは儀式や形式に拘るものではないだろうか? まあ、Vidaが無事で地上に居て直接believerに声をかけられる十万年前は問題無かったのだろうが。

 因みに、他のGodsも大体は同じ程度だったらしい。ただShizarionの場合は歌や芸術を、Zantarkの場合はSword DanceWarriorが狩って来た獲物の首を捧げ、Ricklentの場合は一年の研究成果をIdol Statueの前で述べる等、神毎に特色があったようだ。


Aldaやかの神を支持するGodsMikoが考えているように、複雑でややこしい手順を幾つも踏む儀式を好むようですが」

 産まれた赤子に洗礼を施す儀式や、他にも長い礼拝の言葉や巡礼の義務等数多くの決まりがあるらしい。Vandalieuが想像していた宗教に近い。


 それがoriginallyAldaの性格によるものか、それともVidaと同じように十万年前から地上に居られなくなったので、地上のClergymanbelieverを繋ぎ止めるために格式ばった儀式を考え出したのかは不明だ。


「でも、それを考えるとVidaは何で俺には何もnoneなのだろう?」

 百年近く前にNuazaOracleを下した以上、その時にはVandalieuの存在を予見していたはずだ。

 なら、今までに一回くらいOracle的な物を下してくれてもいいのではないかと思うのだが。例えば『五分で出来るResurrection Deviceの修理法』とか、別のResurrection Deviceの場所とか。


Mikoよ、GoddessAldaとの戦いで深く傷ついているのです。そう頻繁にOracleを下す事等できません……っと、私は教わっています」

 十万年前の戦いでVidaは大きく傷つき、ZakkartVampirePure-bornたちも深い眠りについているらしい。VidaSubordinate God達も軒並み行動不能になっているのだとか。


 believerも少なく、Vida's New RacesAlda側の勢力によって数を減らし続けているようだ。NuazaOrbaum Elective Kingdomから研究のために来た学者の話を耳に挟んだだけだが。

 それにOracleを受ける側にもaptitudeが必要らしい。aptitudeが無いと、Oracleの一部しか受け取らなかったり、何もMemoryに残らなかったりする。


 例えば、「Aという男はEvil God (M)と繋がっていて危険だ」という内容のOracleを神が下しても、受け取る側が残念だと「A、危険」としかMemoryに残らず、Aが危険人物なのか、それともAに危険が迫っていると警告しているのか分からないという事態に陥るらしい。


「まあ、単にOracleで俺に教えるような事が無いのかもしれませんけど」

 そんなOracleResurrection Deviceの修理方法や他のResurrection Deviceの場所をOracleで教えても、伝わらないと思っているのかもしれない。


「ですがMikoなら何時かGoddess 's Divine Protectionを賜る事が出来るはずです」

「だと心強いんですけどねー」

 すっかり寒くなった真冬の日差しを見上げて、呟いた。


 春は、近い。




 SoldierKnightadventurer。個々の平均値やraceや性別の違いを無視して、一対一で戦うとどれが一番強いかというと答えはadventurerだ。

 Soldierは国の治安を守り、戦時では戦場で、monstersの大runawayではを守るために命がけで戦うのが仕事だ。


 のケンカ自慢に鎧兜を貸与しただけのEvbejiaの警備兵は論外として、一時的な徴兵では無く正式に軍に就職したSoldierはまず【Apprentice兵】に、それから【Soldier】へJob changeする。

 Jobの特性はほぼ【Apprentice Warrior】と【Warrior】の下位互換だ。勝っているのはlevelの上がり易さと、【Coordination】や【Strengthened Attribute Values: Under Command】等のskillの獲得に補正が係る事。しかし、これらのskillは一人では意味が無いskillだ。


 【Soldier】が【Warrior】の下位互換なのは、Soldieradventurerと違って頻繁に戦う訳ではないからだ。治安維持といっても毎日犯罪者と殺し合いをするはずがなく、monstersの大runawayが年に何度も起きるようならその時点で色々と終わっている。

 戦争だって、建国時から争い続けるAmid EmpireOrbaum Elective Kingdomでさえ小競り合いを含めても数年に一度程度だ。


 訓練は欠かさず毎日受けるが、adventurerとは実戦の回数が違う。だから下位互換の代わりにlevelが上がりやすいのだ。


 Knightの場合はSoldierよりも高い戦闘Abilityが求められるため、Jobも【Soldier】より強力に成る。

 まず【Apprentice Knight】から始まり、次に【Sub-Knight】に。そしてKnight叙勲を受けて【正Knight】に。ただ、誰もが【正Knight】になれるわけではない。aptitudeの問題もあるし、幾ら腕が良くても雇用主のNobleに信用されなければ雇われない。


 そしてKnightもまた治安維持要員であり、場合によっては村などの小領の領主を任される事もある。だからSoldierよりデスクworkに割かれる時間が多く、実戦より訓練でinjureをする方が多い。


 一般的な正規兵はAdventurer’s GuildadventurerではEClass相当、Sub-Knightも似たようなもので、正KnightはDClass上位相当であるといわれる。


 以上の情報を頭の中で浮かべ終えたThomas Palpapekは、Smiling Faceを浮かべていた。この笑みを見た者は好感を覚えずにはいられないだろう柔らかで、印象に残るSmiling Faceを。

(我ながら、上っ面を取り繕うのが上手い物だ)

 内心では今すぐ反吐を吐くか、苦虫の群れを噛み潰したように顔を猛烈に顰めたいところなのだが。


 まだ明け方とnightは冷え込む時期だが、温かな春の日差しに照らされた軍団を見るThomasは、自分の細やかな企みが半分成功し、そして半分大失敗した事を認めていた。


 Mirg Shield Nationの王都、Mirg。そこで行われているのは、遠征軍の出発式だ。

 ここでMirg Shield Nation王からの演説を聞き、総CommanderAmid EmpireMauvid Generalが戦果を約束し、副Commanderを務めるLegstonMarshallの次男Chezare共々、Alda神のHigh Priestから祝福を受け、paradeのように行進して出発だ。


 Mauvid Generalの得意げな顔も、Chezareの爽やかなSmiling Faceも、そして特に国王にHeroの再来とintroductionされている【Green Wind Spear】のRileyの顔が、何よりも不愉快だ。


(だが、私に今できる事は無い)


 居並ぶKnightSoldierは、Amid EmpireからMauvid Generalが連れてきた近Guardが数十人。Vampire Hunterと名高いGordan High Priest率いるAldaCleric-warrior団が三十程。そしてMirg Shield Nationが誇る精鋭が六千。


 彼らはSoldierの中でも【Soldier】から【弓兵】や【騎兵】、【重装兵】等にJob changeしている精鋭で、adventurerならDClassRank3相当のmonstersなら一人で討伐でき、部隊で戦えばそれ以上の戦闘Abilityを発揮する。

 Knightは全員が最低でも【正Knight】、そしてほとんどが【守護Knight】や【Holy Knight】、【Senior Knight】にJob change済みだ。adventurerならCClass以上で、Rank5のmonstersなら一人で討伐できる力がある。


 彼らは本来予備兵力で、Mirg Shield Nationの切り札だった。砦に常備されている兵では対応できないOrbaum Elective Kingdomからの奇襲奇策、突発的に発生したmonstersの大runaway等から国を守る最終戦力。

 そこから六千がここに居る。Mirg Shield Nationの利益に成らない遠征に加わり、Mirg Shield Nationの利益に成らない戦いに命を賭けるために。


 彼等一人の死が大きな損失だ。とてもくだらない過去の汚点と引き換えに出来るものでもないし、Dhampirの首一つと吊り合うものでも無い。


 Thomas Palpapekの謀は、半分は成果を上げた。AClass adventurerRileyが自前のpartyを率いて参加する他、Vampire HunterGordan High Priestも加わるのでSoldierの数は予定の三分の二程に抑えられた。

 しかしHeroの参加で張り切った国王が「我が国からも精鋭を出さねば、武の国として沽券にかかわる」と最精鋭を六千も掻き集めてしまった。


「いやー、そうそうたる顔ぶれですな、Palpapek Earl

「全くですな、Balchesse Viscount

(ああ、全くだよBalchesse Viscount)

 口と内心で違う意味合いの同じ言葉を吐きながら、Thomasは冷静さを保ち続ける。


 Balchesse Viscountに落ち度は無い。自領を豊かに出来るchanceがあるのに手を伸ばさないのはただの愚物だし、彼は陰謀にも軍事にも明るくない。経済手腕以外は平均的なNobleだ。そもそも、彼は今回の遠征に直接関わる立場にない。精々物資の輸送ぐらいだ。

しかし、遠征も良いですが兵達には一人でも多く無事に帰って来て欲しいものです」

 何よりバカNobleでないのは助かる。Emotionalに。


「ええ、彼らは我が国にとって必要な人材ですから」

 何といっても最精鋭だ。末端のSoldierなら新兵を一年程鍛えれば代わりは務まる。しかし最精鋭だと新兵から鍛えれば何年かかるか分からないし、そもそも鍛えてもそこまでに至らない者の方が多い。

 Knightなら尚更だ。


(予備兵力の精鋭はまだ三千ある。monstersの大runawayの予兆は無く、Orbaum Elective Kingdomもまだ攻勢に出られるほど兵力を取り戻してはいないはず。それにElective Kingdom側もBoundary Mountain Rangeの向こう側で何が起こっているか知らないはず)

 遠征の間は何とかなるだろう。それがThomasの予想だった。


(後は、例のDhampirが出来るだけ早く討伐される事、そしてVampire共がtunnelを崩す前に出来るだけ多くの兵が戻って来る事を祈るだけか)

しかし、出来れば【Thunderclap】のSchneiderも参加してくれれば心強かったのですが」

「ああ、あのSClass adventurerですか」


 このMirg Shield Nationにも何度か訪れた事のある、Rileyのような養殖では無い本物のHeroの事をThomasは当然知っていた。Rank10を超えるDragonを当然のように狩り、Noble-born Vampireを雑魚扱いして、Evil God (M)の一柱を倒し、今まで幾つものLamiaScylla等のmonstersの集落を壊滅させた超人……人外の者。


 Amid Empireでも五本の指に入る強者であり、Heroだ。彼の身を守るために、危険が迫っていると言うOracleAldaから下った事も一度や二度ではないらしい。


「彼も、あの悪癖さえなければ……」

 だが、同時に無類の女好きらしい。

「残念ですな。しかしHero色を好むと言いますし」

(こんな時に女遊びにうつつを抜かすような輩は神に愛されていようが関係無い、死んでしまえ!)

 口では弁護しつつも、内心ではそう罵るThomasだった。




 【Parallel Thought Processing】は同時に別々の事を考えられるようになるskillだった。恐らく頭を分裂させるのと同じ効果があるのだろう。

 使ってみた感想は、脳が二つに増えたように別々の事を考える事が可能に成った。思考Aが数学の問題を脳内で解きながら、思考Bがbody partを担当してBoxingの試合をするといった事が可能に成る訳だ。


 増やせる思考の数はskill levelで上限が決まっておらず、三つでも四つでも増やせるが、増やせば増やす程、複雑な事をやろうとすればするほど破綻する可能性が高くなる。skill levelが上がれば、一度により多く、より複雑な事を思考し行動できるようになるのだろう。


 因みに、【Out-of-body Experience】して頭部を増やすと、増やした頭部の分も【Parallel Thought Processingskillの効果を出す事が出来た。


「相変わらずの高性能じゃな。【Chant Revocationskillと合わせれば、一度に複数のmagicActivateできるのではないかの?」

「はい。【Multi-Castskillも使えば、一つの頭で今は六つまで使えます」

 本来なら【Parallel Thought Processing】で思考が増えても、口が一つなので一度に使える術は一つまでだ。しかし、【Chant Revocationskillがあれば呪文を唱える必要が無いので、複数のmagicを一度に使う事が出来る。

 【Multi-Cast】を使えば、更にだ。


 ここに【-Surpass Limits-】を加えれば更に増やせるだろう。


「それでManaが減ったりはしませんの?」

「特には。疲れますけどね」

 maybe、ブドウ糖をとても消費しているのではないだろうか? 莫大なManaを持つVandalieuにとっては、栄養補給がskill使用の代償なのはあまり嬉しくないが、【Out-of-body Experience】後に魂の方だけで使えば問題無い。


 そして今Vandalieuが何をしているのかというと、ZadirisTarea相手に将棋を指していた。

「単純に見えて中々奥深いgameじゃな」

「慣れれば楽しめそうですわね」

 Reversiが大体行き渡ったので、次の娯楽としてVandalieuは石材で石製将棋盤と将棋駒を作ったのだ。


 チェスも考えたが、このworldにはJapan語が通じるので将棋に適性があった。更に、既存の盤上遊戯は全て将棋よりも圧倒的に複雑で難しい物ばかりなので、すぐに馴染んでもらえそうだった。

 そして何より、Vandalieu自身がチェスにあまり馴染みが無かった。駒の形と動かし方、簡単なruleぐらいなら覚えているが。


 ただOriginで行われた知能testでやらされたものなので、Earthのチェスとはruleが異なっているかもしれない。……駒にMageなんて駒があったし。


 パチンパチンと、二つの盤上を把握して右手と左手で別の駒を指すVandalieuDungeon攻略後の余暇を過ごしている訳だが、同時に【Parallel Thought Processing】の訓練でもある。

「そういえば作ったvirusの方はどうだったのじゃ?」

 パチン。

「上手く行きました。皆に協力してもらった結果、生け捕りにした恐竜やGoblinにしか発Diseaseしませんでしたし」


 パチンパチン。

「じゃあ、後は幾つか【Sterilization】のmagic itemを作れば完璧ですわね」

 パチパチン


 そして駒を進め、動かしがたい結果が見えた。Vandalieuは小さく息を吐くと、言った。

「参りました。後、王手の時はそう告げるのがruleです」

「坊や……もうちょっと悔しがっても良いのじゃよ?」

Zadiris、十連敗の俺には既にprideは残っていません」


 Reversi-samaに、VandalieuEarthで誰かと将棋をやった事が無かった。経験はgameか、一人遊びぐらいで。

 そのため、Reversi-samaにメキメキと上達するZadirisにすぐ勝てなくなり、Tareaにも三回までは勝てたが以後は負け続けていた。


「ふふふ、じゃあお願いしますわ」

「まあ、勝負じゃからな」

 因みに、負けた方が勝った方をmassageするruleだ。尚、Vandalieuは知らなかったがLambdaではこのmassageと言う技術は一般的では無かった。certainly、ツボの概念も無い。


 富裕層や、高Class娼館を利用できる者には按摩という名称で知られているが、やはりツボや整体、needleや灸の概念は無いそうだ。

 なので、VandalieuPublic bathhouseに設置したmassage Golemは地味に大発明だったらしい。


「じゃあ、始めますよー」

 腕を【Spirit Form Transformation】後tentacle状に枝分かれさせ、ZadirisTareabody partに減り込ませる。そしてbody partの中からコリを解し、外からは【Materializationskillを使って揉む。

 【Soul Breaker】にJob change後に獲得したこの【Materializationskillは、何の事は無い、【Spirit Form Transformation】した部分をMaterializationさせる事が出来るskillだった。


 態々Spirit Form Transformationした物をMaterializationさせるだけのskillと聞くと、意味の無いskillのように思えるがVandalieuはこのskillは超有用だとIntuitionした。……別にtentacle playが出来ると思ったからではない。


Van -samaぁ、気がそぞろになってますわよ」

「あ、すみません」

 一度に三つ以上の事を【Parallel Thought Processing】だけでしようとすると、時々集中が乱れてimpactが出るようだ。


「坊や、Basdia達にはあれほど熱心にしているというのに儂らにはおざなりとは……shockじゃのうぅ」

「ううっ、やはり若い娘の方がお好みなのですわね」

「いや、二人とも若いですからね」

 二人とも実ageは四捨五入すると三百だが、既に【Youth Transformation】済みでappearance ageとほぼ同じくらいにBodyも若返っている。わざとらしく嘆いて見せる二人をよく見ると、口元がニヤついている。


 どうやらからかっているらしい。


「……そういえば、Zadirisは【Youth Transformation】から三年ぐらい、Tareaも一年ぐらい経ちましたっけ」

 ぞわわわと腕の数を増やすVandalieu

「ちょっ、そんなに腕を増やして何をするつもりじゃ!?」

「ちょっと二人を若い娘にしてあげようかと」

「け、けっ、結構ですわっ! 疲れもそろそろ取れましたし、massageも終わりという事で!」


 顔を青ざめさせて慌てるZadirisTareaを逃がさずに、【Youth Transformation】開始。

「いえいえ、遠慮しないでください」

「止めっ――あぁぁぁぁぁ~っ!」

「やあああっ! 前よりも多くてぇっ、ひやぁぁぁぁぁっ!」

 とりあえず、将棋で負け続けたのが気になっていたので、大人気なくZadirisTareaが赤-chanのようなツルツルスベスベの肌に成るまで【Youth Transformation】したのだった。




《【Parallel Thought Processing】、【Materializationskilllevelが上がりました!》

《【High-speed Thought Processingskillを獲得しました!》




Name: Bone Man

Rank:

Race: Skeleton Viscount

Level: 67


Passive skills

Dark Vision

Mysterious Strength:4Lv

Strengthened Attribute Values: Loyalty:4Lv(UP!)

Spirit Form:3Lv(UP!)


Active skills

Sword Technique:5Lv(UP!)

Shield Technique:4Lv(UP!)

Archery:4Lv(UP!)

Silent Steps:2Lv(UP!)

Coordination:3Lv(UP!)

Commanding:1Lv

Armor Technique:3Lv(NEW!)

Mount:1Lv(NEW!)


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