その日もThomas Palpapek Earlは私室で苦い顔をしながら紅茶を飲んでいた。

　Marshallを辞してから約二年、日々の職務は随分減った。領地を持たない法衣Earlであるため、要職に付いていない時期はこうして紅茶を楽しむ時間的余裕がある。

　無いのはpsychological余裕だ。

「Vampire共め」

　忌々しげに漏らすのは、彼が繋がっているEvil God (M)派のVampire達の事だ。

　彼らはallyでは無い。Thomas個人のでも、Mirg Shield Nationのでも無く。単に利害が一致する間はお互いに利用し合うだけの関係である事は百も承知だ。

　しかし、あからさまに不利益になる事をされて腹が立たない訳は無い。

　大体一年ほど前から、Amid Empireである動きが始まった。

　Boundary Mountain Range遠征だ。それをMirg Shield Nationに命じようとしている。いや、命じられるのはもう確実だ。

　二百年前のTalosheim遠征に失敗した汚名を返上する機会を与えようと言うのだ。

　大方、Amid EmpireはBalchesse Viscountの開拓事業でMirg Shield Nationが予想以上に国力を増しそうなので、その分を適度に削り取るつもりだろう。

　しかし、普通なら幾ら宗主国の発案でもこの遠征は実現しないはずだった。幾ら属国でも、「意味も無く全員死んで来い」と命じられてnodはずが無い。

　だがAmid EmpireのGeneralの一人、Mauvid Generalが十万年以上前に造られたtunnelを……軍の進軍が可能な程大きなtunnelが存在する証拠と、その位置が書かれた古文書を発表した。

　tunnelの発掘はまだだが、整備されればBoundary Mountain Rangeを越えるのは容易に成る。軍なら数日程で向こう側に着く事が出来るだろう。

　しかも、tunnelを超えるまではmonstersに襲われる事も無く、安全に。

　これで遠征に反対する表向きの理由が無くなってしまった。

　しかも頭が痛い事に、現MarshallのLegston EarlとMirg Shield Nation王がこの遠征に乗り気だ。

　恐らく、Boundary Mountain Rangeの間に在る土地を開拓したら領土に加える事を許可する、開拓の補助金も出そう。そんな条件を提示されたのだろう。

「idiotが」

　自国の国王と同じ伯peerageに在るNobleを、Thomasはidiotだと断言した。

　何故なら、彼にはこの遠征の裏が想像できたからだ。

　二年前、Ghoulの群を引きつれてBoundary Mountain Rangeを越えて姿を消したDhampir。

　そのDhampirを逃がした事を知って焦っていた、連絡係のVampire。

　そして、何故か新しい連絡係がやって来て「前任者は他の任を任された」と言った。

　それから一年ほど経って現在、Vampire達からは「大人しくしていた方が賢明だ」と指示とも忠告ともつかない言葉だけが届けられただけだ。

　つまり、この遠征はあのDhampirを殺すための物で、Vampire達はそのためにMirg Shield Nation軍を利用するつもりなのだ。

　そうでなければ十万年以上存在すら不明だったtunnelを、Mountain Rangeに接するMirg Shield Nationでは無くAmid EmpireのGeneralが発見できるはずが無い。あの古文書は、Vampire達によって与えられたのだ。

　そしてVampire達は、遠征の表向きの目的にあのDhampirを絡めるに違いない。Dhampirが隠れ住む地点に希少な魔導金属の鉱床が在るだの、十万年前の戦いで失われたはずのArtifactが転がっているだの何だのと名目を謳って。

　もしあのDhampirがTalosheimの跡地に住みついているのなら、最悪だ。あれはMirg Shield Nationにとって屈辱的な、忘れられない勝ち戦だ。

　莫大な戦費と一万人以上の兵、国民的なHeroとそのparty、そしてArtifactを犠牲にして勝ったと言うのに、得られたのは細やかな財宝と飯のタネにもならない勝利だけだったのだから。

　だから今までMirg Shield NationはBoundary Mountain Rangeを恐れて来た。あそこは鬼門だ、触れてはならないと。

　しかし、そのMountain Rangeを簡単に越える手段が存在するとはっきりした今、Mirg Shield NationのNobleたちの間には再びTalosheimに遠征し、亡きHeroの愛槍、God of Ice YupeonのArtifactを取り返し屈辱を勝利で拭おうと言う熱気が漂っている。

　Nobleでこれなのだ、平民にtunnelの事が知れ渡ればより熱狂的な動きに成るだろう。

「Mirg Shield NationのEarlである自分がVampireと繋がっているのだ。当然Amid Empireにも同じVampireと繋がっているNobleが居ると思ったが……Generalの職にある者が繋がっているとはな」

　それも、失敗すると解っている遠征をCommandingするGeneralと。

　そう、これから始まる遠征は失敗する。Vampire達がDhampirを始末するまでは、上手く進むだろう。しかし、その後は確実に頓挫する。

　何故なら、Vampire達がBoundary Mountain Rangeを越えてContinent南部にHumanが踏み入る事を黙認する訳がないからだ。彼らが何よりも恐れるのが、Continent南部でsleeps Vida's FactionのPure-breed Vampire達なのだから。

　特にAlda templeの関係者は『Vidaを奉じるVampire共を一掃するための聖戦を開始する』と言い出しかねない。あそこのPopeは代々過激なVida排斥を訴えている。Popeに成る前は穏健派でも、Popeに就任した途端過激派に成るのだ。

　これまでもそうだったのだから、これからもそうだろう。

　だからEvil God (M)派のVampire達は遠征を頓挫させるのだ。

　恐らく、tunnelを崩落させる等して使えない-samaにして。

　二百年前、Orbaum Elective Kingdom側のtunnelも崩落し、今も使い物にならないと聞く。それまでVampire達の仕業とは限らないが、奴等なら同じ事が出来るだろう。

「Mauvid Generalに用意された見返りは多額の金か、若しくは自らVampireに成る事か。Unaging不死を手に入れ、その後は出来が良くないと聞く跡継ぎ息子を傀儡に、表の権力も維持する。そんな所か」

　どうせ遠征が失敗しても、その頃には健康上の理由でもでっち上げてGeneral職を辞した後だろうから責任を追及される立場では無い。

　何ともお気楽な立場だ。Mirg Shield Nationはcertainly Amid Empireだってこの遠征では損しかないのに、一人勝ち馬に乗れるのだから。

　出来る事ならVampireとMauvid Generalの企みを叩き潰したい所だが、Thomasには出来ない事だ。

　動き出した途端に、Vampire達に最悪始末されかねない。あの「動かない方が賢明だ」と言う言葉は、そう言う意味だ。

　もしVampireの裏をかいて動ける独自の戦力や有能な諜報員、工作員が居れば違ったかもしれないが……。

　実際、動かなければThomas個人も、Palpapek Earl 家もほぼ無事で済む。領地が無いから遠征に領民を取られる事は無いし、Marshallの職にも無いから責任を取らされる事も無い。

　ただ、哀れなLegston Marshallが辞職するか吊られるかした後に、激しく国力が減した祖国の立て直しのために、粉bone砕身働く事になるだけで。

「どうにかして、少しでも我が国の損失を抑えなくては。どうすれば……そう言えば、奴がいたな」

　新進気鋭のadventurer groupの元memberで、期待して囲い込んでみたら性格的な問題が地味に大きくて折角の高いAbilityを活かせず、何時か周りを撒き込んで自滅しかねないadventurerが。

　丁度良い、Cardの切時だろう。

　Thomasは執務机の上に置かれたベルを鳴らして、Vampireとの事以外は全て話している己の腹心である家令を呼んだ。

　暫くして入って来た、まるで『Butlerの教本』に書かれている挿絵から抜け出してきたような、本物のButlerよりもButlerらしい家令は「何かご用でしょうか？」と一礼する。

「退屈でしたら、すぐにでもご予定を用意しますが」

「見合いのセッティングなら結構だ。爺は私を腹上死させるつもりかね？」

「はっはっは、Palpapek Earl 家の当主ともあろうお方が情けない。側室を娶るのはNobleの義務ですぞ」

「もう第三夫人までいるはずだが」

「何の、まだ先代の三分の一ではありませんか。せめて後二人は娶っていただかないと」

「では上品で清楚な七十より上の令嬢をintroductionしてくれ。親類は少ない程、そして一年以内に死にそうなら尚良い」

「Thomas -sama、私より年上のfemaleを好む趣味は程々にして頂きませんと」

「私は次の代に禍根を残したくないだけだ。

　爺、見合いの話はこれまでだ。Rileyの事だが、奴をそれとなくLegston Marshallの元に向かうように仕向けられるか？」

　主-kunの言葉に皺と眉と髭に表情が埋もれてemotionsが読み取り難い家令は、驚いたようなジェスチャーを見せたが眉はピクリとも動かなかった。

「【Green Wind Spear】のRiley -donoを。可能でしょうが……宜しいのですか？　あの者はお館-samaが【Blue-flame Sword】のHeinzの代わりに、苦労して囲い込んだＢClass adventurerの筈。幾らHeinzには比べるまでも無く劣っているとしても、Legston Marshallの元に向かわせて。

　しかも、introduction状も持たせず自分から向かうように仕向けてはMarshallに恩を着せる事も出来ませんぞ？」

　家令から見てもRileyの資質は、はっきりと劣っていたようだ。

　実力に……戦闘Abilityに不満は無い。等Class通りの実力を持っているし、aptitudeもある。磨けばＡClassぐらいになら届くだろうと思える程度には。

　では何が劣っているのかと言うと、戦闘Ability以外のほぼ全てだ。adventurerとしても、Nobleの家臣としても、人としても。

　特に拙いのは、その人格だ。最初はただ出世欲が強いだけかと思ったが、実際にはcomplexからSelf顕示欲が強く、最近では選民思想……自分は選ばれたHeroだと思い込んでいる-samaな言動がしばしばみられるようにまで成って来た。

　過去のHeroに倣ってSlaveを買い、それをadventurerに仕込んで悦に入っているのだから救い難い。

　後々、大きく転ぶだろう事は確実な優良物件に見える不良物件だ。もう引っかかった後だが、なら処分に出すには良い頃だろう。

「構わない。寧ろ、introduction状を書いては彼が何かしでかした時私の顔が潰れる。Legstonには、『悲劇のHero Mikhailの再来』とでも吹き込んでやれ。都合が良い事に彼もSpear Userだ、国民の受けも良いだろう。

　ああ、Adventurer’s GuildでＡClassに昇格させるのを忘れずに」

「畏まりました。彼もHeroに成れて満足でしょう。まずAdventurer’s GuildのGuild Masterに彼をＡClassに昇格させるように命じ、その後はお館-samaの元に居ては手柄を上げられずHeroに成りそこなうとそれとなく囁いておきます」

　一礼して家令はroomから出て行った。彼がこれから行う事は、囁くなんて生易しい事でないのは明らかだが、そう言う事が出来るからこそ、Earl 家の家令が務まっている。

　彼がVampire達に既にmarkされていなければ、もう少し動きようもあったのだが。

「考えても仕方がないか。これでRileyがLegstonの下に組み込まれれば、動員する戦力を多少は減らせるだろう」

　偉大なHeroが居るから、過剰な戦力は必要無いと言う訳だ。

　これでもし百人でも二百人でも参加するSoldierを減らせるなら、御の字だ。

「幸いなのは、我が軍ではmonstersの討伐では無い軍事的な遠征時に、adventurerの参加をほぼ認めない風潮がある事だな。最悪の場合でも、国内のadventurerが減って、monstersのrunawayが頻発する事態にはならない」

　後は、RileyがLegstonに上手く取り入ってくれることを祈るのみだ。間違っても、怒らせてくれるなよと。

　DarciaにResurrection Deviceはまだ修理できないと報告した次の日、Vandalieuは三度目のJob changeを行うためにAdventurer’s Guild跡に向かった。

　相変わらずPlace of Exchangeは盛況で、盛況過ぎて魚醤が不足気味らしい。TalosheimのFishingはDoran’s Aquatic Cavernに依存している。

　Fishingの方法はFishing師が歩いて行って、網を投じ銛でthrust釣竿で釣って魚を持ち帰ると言うものだが、そのため船に魚を積んで戻って来るよりも、一度に獲って来られる量が少ない。

　それで材料の小魚の供給量が需要に追い付いていないらしい。

　Vandalieuでも小魚を使わず魚醤を作る事は出来ない。

「水路で小魚を取れば良いのでは？　Flying Sharkは狩尽くしたから、Doran’s Aquatic Cavernより簡単にFishingが出来るはず」

『あー、そうなんだけどFishing師がやりたがらないのよ。刺激が少ないって』

「……戦闘民族」

　どうやら、Fishingの最中に発生する戦闘はFishing師達にとってSuper Excitingする出来事らしい。腐肉とboneだけだったのをVandalieuが【Freshness Restoration】で殺されたてのconditionに戻したUndead Giant受付嬢から、そう説明を受けた。

『鰹節や昆布が無ければ完全に魚醤不足になっていたわ。あたしが思うに、解決策は新しい商品の開発だと思うのよ』

　そう、片方しかない瞳を期待にぬめらせる。

　確かに、新しい商品を開発すれば需要が分散され魚醤の供給量はそのままでも不足を防ぐ事が出来るかもしれない。

「でも、それを作るのは俺なんですよね。一か月ほど作る量が少なくなっていましたけど」

『頑張って♪　あ、後あたしのもう片方の目の代わりも早めによろしく！』

「はーい」

　この調子で本物のAdventurer’s Guildの受付嬢とも仲良くできるようになればいいのだが。

　そんな事を考えながらJob change roomへ。

『【Undead Tamer】　【Soul Breaker】　【Venom Fist User】　【Insect User】　【Archenemy】（ＮＥＷ！）』

「……【Archenemy】って何？」

　何か増えている。何だろうか、Archenemyって。「たいてき」と読むのだろうか？　Satan的な意味だろうか？　サンタでは無く。

　maybe、この前のDragon Golem破壊とIce Ageの魂を砕いた事が関係しているのだろう。【Archenemy】……恐らく、【God Slayer】 skillに補正が係るのだろう。

　でもAdventurer’s Guildに登録するまでは成りたくないJobだ。

「後にしよう」

　今回はUndead Tamerを選択した。これでBorkusやBone Man達をよりEnhanced (1)できるだろう。

《【Strengthen Subordinates】skillを獲得しました！》

・Name: Vandalieu

・Race: Dhampir(Dark Elf)

・Age: ５age

・Title: 【Ghoul King】

・Job: Undead Tamer

・Level: ０

・Job History: Death-Attribute Mage、Golem Transmuter

・Ability Values

Vitality: １１５

Mana: ２２４,５５７,６２６

Strength: ８０

Agility　：８１

Endurance　：８７

Intelligence　：４０７

・Passive skills

Mysterious Strength：１Ｌｖ

Rapid Healing：３Ｌｖ

Death-Attribute Magic：５Ｌｖ

Abnormal Condition Resistance：５Ｌｖ

Magic Resistance：１Ｌｖ

Dark Vision

Mental Corruption：１０Ｌｖ

Death-Attribute Charm：５Ｌｖ

Chant Revocation：３Ｌｖ

Strengthen Follower：７Ｌｖ

Automatic Mana Recovery：３Ｌｖ

Strengthen Subordinates：３Ｌｖ(ＮＥＷ！)

・Active skills

Bloodsucking：３Ｌｖ

-Surpass Limits-：４Ｌｖ

Golem Transmutation：６Ｌｖ

No-Attribute Magic：４Ｌｖ

Mana Control：４Ｌｖ

Spirit Form：３Ｌｖ

Carpentry：４Ｌｖ

Engineering：３Ｌｖ

Cooking：２Ｌｖ

Alchemy：３Ｌｖ

Unarmed Fighting Technique：２Ｌｖ

Soul Break：２Ｌｖ

Multi-Cast：２Ｌｖ

Long-distance Control：２Ｌｖ

・Unique skill

God Slayer:１Ｌｖ

・Curse

　Experience gained in previous life not carried over

　Cannot learn existing jobs

　Unable to gain experience independently

　Job changeした瞬間、【Strengthen Subordinates】のskillを獲得した。これは【Strengthen Follower】のHuman側バージョンで、下位互換と言えるskillだ。

　Enhanced (1)できる対象はskill所有者が従えているTamed Monsterや、獣、Anima、家畜、Golemだけで、Enhanced (1)率は同じ程度。主にTamer系Jobやalchemist、Spirit User、牧童等が習得する。

　ただこのskillは従えている存在の数が増えなくてもlevelが上がるので、習得は【Strengthen Follower】より容易い。

「俺の場合は、【Strengthen Follower】と【Strengthen Subordinates】の効果がx2にかかるのか」

　手軽に確実で効果的な全体の戦力increaseに、思わずホクホクしてしまうVandalieuだった。

　因みに、その後【God Slayer】 skillの検証のために掘り起こしたYupeonのIdol Statueを壊しては直しと、何回か繰り返したが、何も起きなかった。Idol Statueでは無く、Ice Ageの-samaな神謹製のArtifactや神のFollowersその物を相手にしなければskillの効果は分からないようだ。

　何故かIdol Statueの周りの土が赤かった気がしたが、変わった事は何も無かった。

　Job changeから数日、Vandalieuは再び王城地下の広間に居た。Dragon Golemの残骸を回収するためだ。

　残骸とは言えOrichalcumで、今の【Golem Transmutation】のlevelなら形を変えたまま固定できる。

　ただ、本格的な加工が出来ないのは分っている。

『OrichalcumでWeapon Equipmentが打てるなら、儂は今頃Undeadじゃ無くて神にでもなっとるわい』

　Dataraがそう言うように、OrichalcumはBlacksmithingにとって垂涎の素材であると同時に、加工できない素材だった。

　magmaの中でも溶けず、どんなraspでも削れず、もし打たれて曲がっても、すぐに元に戻ってしまう。

　そのため一流のBlacksmithingでもWeapon Equipmentや鎧に加工する事が出来ないのだ。

　もしそれが可能なら、そのBlacksmithingは職神と称えられる事に成るだろうとまで言われている。

「でも板状にして枠に嵌め込んで盾にするとか、適当な塊にしてMaceやHammerにするとか、投石機の弾にするとか、色々使えますよね」

　world最高classの物理Defense Powerとmagic Defense Powerが得られる盾に、どんなBarrierでも紙のように砕ける鈍器。投石機の弾は冗談としても、役に立つはずだ。

　因みに、魂を砕かれただのOrichalcumの槍と化したIce AgeはSpear Techniqueに使い手が居なかったため、とりあえずSamに持たせた。馬上槍の代わりには成るだろう。

　そのため謁見の間の入り口を通れる大きさにGolemの残骸を分けていると、広間の隅で面白い物を発見した。

　Golemの残骸を、Mikhailが砕いた翼の破片を退けるとそこにはCurseの氷に包まれた死体が……maybe五人分ぐらいだろう、並んでいた。

「これは……誰の死体だ？」

　氷に包まれたため、Zandiaの手首と同-samaにDecompositionはしていないが、損傷が酷く五体揃っている死体が一つも無い。だが、maybe Giant raceではないだろう。certainly Vampireでも無いだろうし……。

「あ、そう言えばMikhailには仲間が居たんだっけ」

　Borkusの話でもZandiaの残留思念でも姿が見えず、TalosheimやMirg Shield Nationに伝わる話でもMikhailの仲間としか登場せず、nameも人数すら分からないため印象が薄かったが、そう言えば居たのだった。

　だとすると、これはIce Ageが作った墓か。masterの仲間の死体をそのままにする事が出来なかったのか、解けない氷で包み、戦いで空いた穴にGolemの細かい残骸で埋めたのだろう。

　墓石は無いが、Royal Nobilityの墓よりも豪華な墓だ。Orichalcumの価値を考えれば、Earthのピラミッドに匹敵するに違いない。

　VandalieuはOrichalcumをすべて取り除いて、死体を一つ一つ観察した。

　一人はGiant raceに迫りそうな巨漢の男。横にひしゃげた盾があるのでmaybe盾職だろう。ただ、首から下がミンチ肉に成りかけていてとてもグロテスク。

　二人目はDwarf……かな？　死体は無く、千切れた三つ編みの髪……いや、maybe髭と砕けた斧と鎧のfragmentらしい金属片しかない。中にはAldaの聖印が描かれているfragmentがあったから、熱心なbelieverかCleric-warriorだったのではないだろうか？

　三人目はMageの女だ。ローブを着て杖を持っているから間違いない。ただ、HumanなのかElfなのかは不明だ。頭が下あごまでしか残っていないため、耳の形が分からないから。maybe、Humanだと思うが。

　四人目はmonstersの皮を使ったleather Armorを纏っている、褐色の肌をした女だ。頭は無事だが、whole bodyがバラバラに切り裂かれている。まるで趣味の悪い puzzleの-samaだ。maybe、Dragon Golemの翼でバラバラに切断されたのだろう。

　五人目は……おや、良く見るとHumanじゃないな。

「これ、Ogreじゃないかな？」

　それは亜人型のmonstersの一種、Ogreの死体だった。鎧を着てWeapon Equipmentを持っていたから大柄なWarriorに見えたが、兜の装飾かと思った額の角は頭から直接生えていた。

　因みに、よく混同されるがVida's New Racesの一つであるMajin Raceとは別の存在だ。Ogreは角が一本、Majin Raceは二本である。

　どうやら、このOgreは他の四人の内一人にTamerされたTamed Monsterだったらしい。ただ胴体は握り拳大の穴がcountlessに空いていて、無事なのは頭部と四肢だけだ。

　ここにMikhailを加え、五人と一匹のpartyでDragon Golemに挑み、Mikhail一人だけ致命傷を負いながらも地上へ逃げ、そしてVampireと鉢合わせをして全滅と言う事に成ったのだろう。

　名も残っていない、霊に聞こうにも既にReincarnationの環を巡っているだろう。そんなHero達の死体を前にVandalieuは祈りもせずに考えた。

「これを使って、どんなUndeadを作ろうか」

　Vandalieuには敵の死者を悼む気持ちは、全く無かった。これがGiant raceの死体なら遠慮も働いただろうが、Mirg Shield Nation側の死体なら、彼にとってはただの素材だ。

　Orcから肉を取り、Dragonからboneと皮を剥ぐ。それと同じである。そもそも、その手の忌避感を持ち合わせていたらBone Manを作ったりはしない。

「とりあえず、この巨漢のeyeballはあの受付嬢-sanに上げるとして、他はそのままじゃUndeadに出来ない程損傷が酷いな。

　うーん……バラバラにして繋ぎ合わせるか」

　Darciaのbody partを作る練習にもなるだろう。

「でも、とりあえずOrichalcumを運び出してからにしよう」

　繋ぎ合わせた後は、入れる霊も吟味しないと。【Death-Attribute Charm】があるから大丈夫だろうが、FrankensteinのMonstrosityのように、fangsを剥かれたら堪らない。

・Name: Vigaro

・Rank: ７

・Race: Ghoul Tyrant

・Level: ７

・Job: Axe Master(ふごう)

・Job Level: ０

・Job History: Apprentice Warrior、Warrior、Axe Warrior

・Age: １７１age

・Passive skills

Night Vision

Mysterious Strength：５Ｌｖ(ＵＰ！)

Pain Resistance：４Ｌｖ

Paralyzing Venom Secretion (Claws)：３Ｌｖ(ＵＰ！)

Strengthened Attribute Values when equipped with an axe (Medium)(ＮＥＷ！)

・Active skills

Axe Technique：７Ｌｖ(ＵＰ！)

Unarmed Fighting Technique：２Ｌｖ

Commanding：４Ｌｖ(ＵＰ！)

Coordination：２Ｌｖ

Deforestation：２Ｌｖ(ＮＥＷ！)

Dismantling：１Ｌｖ(ＮＥＷ！)

・Monster explanation:　Ghoul Tyrant

　今まで確認されているGhoulの中では最上位のrace。Giant raceに匹敵するBodyに、四本に増えた腕、獅子の頭部は本物の百獣の王すら戦く程だと伝わっている。

　数百匹のGhoulを束ねる王としてReignし、そのため【Strengthen Follower】skillをほぼ確実に持っている。

　ここ千年の間Ghoul Tyrantが確認された事は無く、一部の学者はこの個体は生まれながらのVariantで、GhoulがRank upした存在では無いと言う説を唱えている。

・Job解説　Axe Master

　Axe Warriorのlevelを１００まで上げ、Axe Techniqueのlevelが６以上であった場合にのみJob change可能なJob。

　斧を装備している時Ability Valuesがincreaseする【Axe weapon equipped, then Ability Values Enhanced (1)】等に代表される、斧に特化したskillを習得する事が出来る。

　このJobに就いている者は、Axe Techniqueにおいて一流以上の使い手であると言う証明書を持っているに等しく、その気に成ればNobleのお抱えや、Axe Technique師範代、流派を開きAxe Technique道場を開く事が可能。

　adventurerなら大抵は既にＢClassに達している事が多い。