worldとworldの狭間、そこにEarthやOrigin、Lambdaを含めた複数のworldのCircle of Reincarnationを司る神、Rodcorteは『Divine Realm』と言うべきspaceを作り出し、そこに座していた。
かつてEarthで死んだ約百人の魂が一時的に集められたのもここだ。
そのRodcorteは今、Originの-sama子を眺めていた。神である彼はそのworldの外から、多くの事を視る事が出来る。全知には程遠いが、大体の事は分かる。
「Originが乱れるのは避けられない。Amamiya Hirotoの存在と、その消滅が原因か」
Earthと同程度にdevelopmentしているとRodcorteが見なすworld、magicと科学がFusionしVandalieuが二度目の人生を生き、今もAmemiya Hiroto達Reincarnatorが生きているanother worldは、大きく乱れようとしていた。
その原因は、Vandalieu……Amamiya Hirotoのdeath attributeにあった。彼を実験動物にしていた軍事国家は、death attributeのManaを彼から搾り取って、それまでの常識を覆すような数々のmagic itemをProductionしていた。
一瞬で発酵食材を作り、食材を最適なconditionでMaturationさせるCooking器具。
半永久的に食品の鮮度を保つ保管庫。
どんな毒やDiseaseでも人体に悪impactを一切与えずに消す医療器具。
Agingや疾患、injureで機能が低下した臓器をrevivalさせる錠剤。
万民の毛根を確実にrevivalさせる毛生え薬。
それまでのattribute magicや化学では不可能……若しくは理論上は可能でも実際に作る事は不可能に限りなく近い物ばかりを、信じられない程low costで。
他にも夢のような作物や家畜を創りだし、治療法の無いvirusやDisease原菌、遺伝Diseaseの治療法を発表し、cold sleepまで可能とした。
そして研究はUnaging不死にまで届きかけていた。
そんな事が、death attributeのManaだけで可能なのかと言うと、可能なのだ。
death attributeは一見生命attributeのただの裏返しに思える。確かに出来る事は似通っているし、生命attributeを極め限界を超越すれば限りなく近い事が可能に成る。
しかし、完全に同じ事は出来ない。何故なら、生命とはenergyだからだ。energyをどんなに継ぎ足そうと、消費を極限まで抑えようと、何時かenergyは無くなってしまう。つまり、死ぬ。
そしてdeath attributeは死を司るattributeだ。そのため、生き物から【死ぬ】と言う現象を無くす事が可能だ。Decompositionを進めるも止めるも自由自在、毒やDiseaseを消す事等作るのと同-samaに容易い事。機能が低下した臓器や細胞を健全なconditionに戻す事も難しくない。
だがdeath attributeを発見した軍事国家は、Amamiya Hirotoを無茶な実験のせいで死なせてしまった。そしてUndead Transformationした彼は、他のReincarnatorに完膚なきまでに消滅させられてしまった。Manaのfragmentすら残さずに。
だから、もうdeath attributeのmagic itemは誰も作れない。研究も続けられない。作物や家畜は残ったが、それだけでは人類は満足できない。
軍事国家は人権を無視した非合法な研究機関の存在を国際的に非難され、大統領や研究所に関わっていた高官が辞任したが、そんな物は始まりに過ぎない。
それまで軍事国家が製造し販売していた夢のmagic itemが、一切作れなくなってしまったのだから。
軍事国家の行いを責めた国際社会を形成する主要国家がまず行った事は、death attributeの研究だった。研究所でAmamiya Hirotoが研究者を殆ど殺していて、その霊をかなり喰っている。辛うじて魂だけは無事だったが、Memoryや人格は使い物にならないので、Spirit Communication術の類も無駄だ。
だから数少ない生き残りや、残った研究資料、各国が保有するdeath attributeのmagic itemを掻き集めて解析し、再現しようと躍起に成った。
産業や医学はまだしも、実現しかけていたUnaging不死と言う言葉に権力者達は魅了されてしまったのだ。
問題の軍事国家は力を大きく減じたが、このまま権力者たちがUnaging不死を求め続けるならUnited Statesと連邦国、共和国に新興国家、それらの国々の暗闘が表で、それも大きく現れるだろう。
戦争にdevelopmentし何百万、何千万もの人命が失われるかもしれない。
「それは別にどうでもいいが……」
Rodcorteは、その試算に興味が無い。寧ろ、戦死者が出るのは結構な事だと、大いに歓迎すると言った-sama子だ。何故なら彼はCircle of Reincarnationを司る神だ。
だから人が死んで、新しく生まれてもらわなければ困るのだ。
一度に数千万の死人が出ても、RodcorteのCircle of Reincarnation systemはビクともしない。理論上、最大一兆人の魂を処理できる。問題無い。
Originの総人口は百億人だ。その内一%にも満たない数が減った所で、すぐに増えるだろう。百年もせずに元通りだ。
寧ろ、科学だけでは無くmagicも存在するOriginは最近平均寿命がEarthよりも延びすぎていたので丁度良いぐらいだ。
確かにRodcorteはworldのdevelopmentを願っているが、それは滅亡せずに人類が数十億人規模で生存可能な社会が維持されていれば良いと言った程度でしかない。
七十億人だった総人口が五十億人に減っても、「やや減ったな」としか思わない。ましてや人類の霊的な進化だとか、次のStageだとか、そこまで行くと逆に手に余る。
space (UCHUU)進出くらいなら構わないが。
そんな事を言っても、Rodcorteにはworldに直接干渉するつもりが無いし、するAbilityも限られるので何もできない訳だが。
それでもOriginの紛争や戦争を止めようと思えば、Reincarnator達に『Oracle』を下して促したり情報を渡したりと言った事は出来る。しかし、それもするつもりは無かった。
originally Reincarnator達に経験を積ませるために、まずLambdaでは無くOriginに送り込んだのだ。Cheat AbilityにFortuneやDestinyの助けも授けたのだし、そこは自力でやりたいようにやってもらおう。止めるのでも、参加するのでも、関わらないのでも。
戦争に成ったら何人か、もしかしたら数十人死ぬかもしれないがそれも経験だ。百人も居るのだし、何人か失敗しても困らない。
人々に直接信仰されないRodcorteにとって、人々はただのビットでしかない。systemを流れる、ただの情報だ。善悪も、悲劇も喜劇も関係が無い。ただ、systemが問題無く動くならそれで良い。
「問題はUnaging不死か」
Rodcorteに取って困るのは、Unaging不死だ。死なない生き物は、魂のCircle of Reincarnationを司る彼にとって己の権能を否定し、systemに障害をもたらすだけの存在だ。
死んだまま動き出すUndeadや、死者の蘇生よりも厄介だ。
Undeadは死んだのにreincarnationせずworldを彷徨い続ける魂だが、それでもいつかはsystemの元に還る。死者の蘇生も厄介だが、魂が来世にReincarnationしてしまえばBodyが生き返るだけで魂は戻らないので、軽度のerrorで済む。
だがUnaging不死は永遠に還らない。
Undeadをすぐに修正可能、若しくはしばらく放っておいても問題無い小さなerror、死者の蘇生をそれよりもやや修正が面倒なBugだとするなら、Unaging不死は一度systemを落してmaintenanceをしなければ修正できない、致命的なBugと言った所だろうか。
「この点を考えても、Amamiya Hirotoが死んでくれて助かった」
もし存命のまま研究が続き、Unaging不死が実現してしまったら対処に苦慮するところだった。Reincarnator達にOracleを下しても、そのOracleを強制的に守らせる手段をRodcorteは持たないからだ。
Reincarnator以外のHumanには、そのOracleすら下せない。
それもRodcorteが各worldの住人に存在を知らせず、信仰の対象となっていないからだ。一つのworldで深刻な事態が起こっても、他のworldのCircle of Reincarnationにimpactを与えないようにするためだが……せめて他の神のようにSubordinate Godだとか協力神だとか、そう呼ばれる存在の一つも用意しておくべきだったかと今更ながら悔いる。
神は全知全能では無く、自らの権能が及ぶ範囲と奉じるbeliever達にしか直接的なinfluenceを持たない。
いや、とりあえずOriginはもう良いだろう。なるようになる。人類が滅亡するとか、減り過ぎるとか、そう言った事態にはなるまい。
そう考え、RodcorteはOriginから目を離した。そしてふと気が付く。
「Amamiya HirotoがLambdaにreincarnationして五年か。そろそろMemoryが戻っているかもしれない」
乳幼児期の自由に動けないconditionで前世のMemoryを取り戻すのは、psychological負担が大きい。ReincarnatorのMentalを守るため、Rodcorteはreincarnationして五age以降にMemoryが戻る-samaに仕組んでいた。
余程のtroubleや想定外の事態が起こらなければ、乳幼児期にMemoryが戻る事は無い。
「まだAmamiya Hirotoの魂が来ていないと言う事は、運悪く五年で死ななかったという事か。Memoryが戻るのはまだ先かもしれないが確認しておこう」
もしMemoryが戻っているのなら、Unaging不死等を実現できる可能性があると知られる前に死んでもらうために、自殺するよう促さなければならない。
三つのCurseを彼にかけたが、彼の魂にまで染み込み一体となったdeath attributeを消す事はRodcorteにも出来なかった。彼が往生際悪く足掻けば、LambdaでもDeath-Attribute Magicを習得するだろう。出来ればそれは防ぎたい。
そのために、Rodcorteはsystemを使ってAmamiya Hirotoのreincarnation先を調べた。このsystemを介して、RodcorteはCircle of Reincarnationした魂の過去と現在を知る事が出来る。
しかし、Amamiya Hirotoの情報が無い。
「……何だと?」
もう一度検索をかけるが、やはり情報が無い。EarthからOriginにreincarnationしたrecordはあるが、Originで死んだ後のrecordがぷっつりと消えていた。
「まさかreincarnationしていない? そんな訳は無い。確かにAmamiya Hirotoはreincarnationしている。だが、systemにrecordが無いと言う事は――しまった。systemから零れ落ち、私が司る物とは別のReincarnationに呑まれたか!」
Rodcorteにとって、Lambdaには三つのirregularがある。一つはOriginでも度々発生するUndead。
残りの二つは、古にDemon King達が創りだしたmonstersと、Goddess Vidaが産み出したVida's New Racesだ。
この二つは、RodcorteのCircle of Reincarnationのsystemには含まれていない。
もしDemon King達がmonstersを創りだした当時、そのCircle of ReincarnationがRodcorteのsystemの範疇なら彼が細工するだけでmonstersの魂はreincarnationできず、新たに産まれる事が出来なくなる。そのため、Demon KingはRodcorteのsystemを何らかの方法で模倣し、独自のCircle of Reincarnation systemを立ち上げていた。
だから現在に至るまでmonstersはLambda worldで猛威を振るっている。DungeonでボスMonsterや中ボスが不自然に生成されるのはそのためだ。
今ではEvil God (M)やEvil God (P)を奉じるHumanや他のrace達はRodcorteのsystemから外れ、今は滅びたDemon Kingのsystemに組み込まれるようになっている。これがまたRodcorteのsystemにerrorを引き起こして小さな問題を起こしている。
そしてVida's New Racesの方だが、これはVidaと……LambdaのGodsとRodcorteの確執が原因だ。
Demon Kingが現れた当時、RodcorteはVidaやAldaと言ったLambdaのGodsから救援を求められた。それを彼は全て断り、静観に徹した。
自分が関わる事でDemon Kingに魂を砕かれる事、それによりRodcorteが管理するLambda以外のworldのCircle of Reincarnationにimpactが出る事を防ぐためだ。
Rodcorteにとって、Lambdaは幾つかあるworldの一つでしかない。滅ぼされればboneを何本か折られるのと同じくらい痛いが、致命傷には程遠い。bone折が嫌だからと、即死する危険は犯せない。
その後LambdaのGodsが逆転の手段としてanother worldからChampionを召喚した事にも、Rodcorteは文句を付けた。彼がCircle of Reincarnationを管理するworld以外からChampion達が召喚されたため、systemにerrorが出たからだ。
さっさと送り帰すか、それが出来なければ早急に使い潰して殺してしまえとdemandした。
あの時RodcorteはLambdaの滅びは避けられないと思っていたので、無駄な足掻きで面倒を起こされたくなかったのだ。
結果、RodcorteとLambdaのGodsとの間に深い溝が出来た。Rodcorteは特になんとも思っていないが、特にVidaからは深い不信感を持たれてしまった。
それもあって、VidaはDemon Kingが創りだしたsystemを更に模倣し、独自の工夫なども加えたVida式Circle of Reincarnation systemを立ち上げ、Vampireに代表される新raceを産み出したのだ。生命attributeを司る彼女は、Rodcorteにやや近いDivinityを持っていた。流石に複数のworldのCircle of Reincarnationを司るのは無理だが、systemさえ作れば一つのworldだけなら可能だと考えたのだろう。
恐らく、Vidaは自分が産み出した新raceだけでは無く、将来的にはLambdaに存在する全てのHuman raceのCircle of Reincarnationを自分のsystemで管理するつもりだったのだろう。
だが彼女と同じくRodcorteとの確執はあっても、何よりも秩序と法の維持を頑なに優先するAldaがVidaとそのFollowersを倒した。
結果的に新raceだけが今もVidaのsystemでCircle of Reincarnationしている。
Amamiya Hirotoの魂は、Demon KingかGoddessのsystemに飲み込まれ、monstersかVampire等のVida's New Racesにreincarnationしてしまった可能性が高い。
「むっ……やはり居ないか」
systemを辿って、Amamiya Hirotoが二度目のreincarnationをした時期に産まれた者全員を調べるが、やはりHirotoの情報は無い。
「しかし、一体何故こんな事が? 確率上、こんな事が起こるのは京分の一以下の確率だ。余程運が悪くなければ……しまった。あれのせいか」
RodcorteはAmamiya HirotoにCheat Abilityだけでは無く、FortuneやDestinyを与えていない事を思い出した。だから彼は運が悪く、しかも Destinyが無い為Rodcorte自身にも予測がつかない道を行く危険が常にある。
その上、reincarnationする間際にCurseを三つも付けてしまった。suicideを促すための物だったが、考えてみればあれによってsystemに不具合が出た可能性は否定できない。
「仕方がない。やや時間はかかるが、reincarnationしたAmamiya Hirotoの魂と遭遇した者が居ないか調べてみるか。現状くらいは分かるはずだが……これはDhampirか」
あるpeddlerのrecordに、Dhampirの姿があった。やはり、Vida's New Racesにreincarnationしてしまったようだ。
だが問題はそんな事では無い。
「BAKANAっ、何故Memoryが戻っている? その上既にDeath-Attribute Magicを使い、Undeadを従えているのか!?」
まだ一ageになるかならないかだろうに、Dhampirはdeath attributeのmagicを使いchildらしからぬ物言いをしていた。これは明らかにMemoryが戻っている。
「これもFortuneを与えなかったからか。だとするなら、次の機会があれば改めなければならないな、この方法を」
Amamiya Hirotoを含めるReincarnatorをreincarnationさせる時の手順を、Rodcorteは誤ったと後悔した。
あの時、Rodcorteは百と数人分のCheat Ability、Fortune、Destinyを用意した。人数が多くても足りなくならない-samaに、それぞれ多めに。
そうして準備が終わった頃に、timing良くferryが沈んで悪人以外にも約百人が死んだ。その内一人を除いて全員がanother world reincarnationを選んだ。
余らせては勿体ないと、reincarnationを希望した者に用意した物を配っていたら一人見落としていて、その時には一つも残っていなかった。
その結果、最後の一人がこんな面倒な事に成るとは。
「さて、Amamiya Hiroto……Vandalieuをどうするかだが……Aldaに警告するべきか? いっそEvil God (M)共を嗾けるか」
Aldaは現在のLambdaで唯一まともに活動しているattribute神であり、最も力を持つ神だ。
だが、Rodcorteとの関係は最悪だ。Circle of Reincarnationの秩序を守るために仕方なく黙認しているだけで、AldaはRodcorteを許している訳ではない。
今回の試みをRodcorteはAldaに話さず勝手に進めていた。そのため、Vandalieuを含めたReincarnator達の事を知ったらまずRodcorteに対して激怒するだろう。
Aldaからして見れば苦しい時に助けようともせず見捨てたのに、今に成って勝手に……それもjinxと言うただの思いつきでworldの常識から外れたCheat Abilityを持たせたReincarnatorが後百人来ると言うのだから。
Vandalieuだけでは無く、これからreincarnationさせる百人の殺害までSubordinate Godやbelieverに命じられる可能性は十分にある。
しかしだからと言ってEvil God (M)共に情報を流して殺すよう促すのも悪手だろう。Evil God (M) Evil God (P)の価値観は屈折していて、Rodcorteには理解できない。Vandalieuを殺すどころか、懐柔してallyに付けようとするかもしれない。
悩みに悩んで考えた結果、Rodcorteは今しばらく静観する事にした。
「あと数年経てばOriginのReincarnatorが何人か死ぬはず。その者に殺害を依頼するとしよう」
Undeadはoriginally Lambdaには発生していたから、今更それが少々増えた所でsystemにimpactは無い。
それにCurseのせいで前世の経験をskill化できないVandalieuが、Originと違い科学の補助も無いLambdaでUnaging不死に辿りつくのは至難の業だ。数年どころか数十年や数百年、もしかしたら数千年かけても不可能かもしれない。
数年後、Originで二番目に死んだReincarnatorに情報を渡して殺すよう依頼すれば問題あるまい。Reincarnatorは我が手で作りだしたCheat Abilityを持っているのに対して、VandalieuはDeath-Attribute MagicとEmpty Frameに宿った一億程のManaだけ。peddlerのrecordを解析するとlevelを上げる事には成功したようだが、残り二つのCurseは問題無く機能している。これ以上強くなる事は無いだろう。
問題無い。
そう結論付けてRodcorteはLambdaからも視線を放した。
彼がVandalieuとLife-deadを通して遭遇したadventurer Lucilianoのrecordも見つけていれば、もう少し危機感を持ったかもしれない。
彼がEvil God (M)達と接触していれば、VandalieuがNoble-born Vampire Sercrentの魂を砕いて滅ぼした事を知らされ、自分のsystemが担当する魂を砕かれる前にと動き出しただろう。
しかし、Rodcorteは自分が犯した最も大きなmissにまだ気が付いていなかった。