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Chapter 51: お前は敵だ

 Dragon Golemの胴体の罅割れから、氷柱が爆発的な勢いで伸びた。

 VandalieuEleonoraは離れていたが、近くに居たVigaro達は逃げる間も無く巻き込まれた。

『ガアアアアア!』

『ゲエエエエエ!?』


 氷柱に貫かれたBone WolfBone Bird達のscreechが響き、boneや鎧のpartsVandalieuの横にまで転がって来る。

 カンっと音を立てて落ちてきた頭蓋boneと、目があった。

Bone Man……他のpartsは?」


『ヂュッ! lower bodyが反対側に、Right Armは氷に飲み込まれました。他はこの周りに!』

 カタカタと元気にchinと歯を鳴らしてBone Manが答えた。どうやら、自分からバラバラになって氷柱から脱出したらしい。


「さ、流石Undeadじゃな」

「自分の不死性に自信が無くなって来るわね」

 安堵しつつも苦笑いを浮かべるZadirisEleonoraが改めて見てみると、RitaSalirepartsが足りないが再結合して立ち上がっていたり、Vigaroが無傷だったり、Borkusは本当に頭が半分に成ったまま跳ね起きたりと、思いの外損害は少なかったようだ。


「あの氷柱……Curseの氷が内側からDragon Golemの破片を鎧のように纏って動いている。Orichalcumfragmentが氷柱の表面に含まれているから、俺の【Energy Absorption】もZadirisの【Arrow Evasion】もNullificationにしてしまう」

 その上、Curseの氷自体がOrichalcumVandalieudeath attributemagic以外では壊せない特殊な物だ。


 咄嗟にバラバラになって回避したBone Man達はin any case、反射的に氷を受け止めようとしたBone MonkeyBone Bearは一溜りも無かっただろう。

『ゲエエエ……』

 足が一本無いBone Birdが、悲しげに鳴く。Vandalieuの目には、紅いBone Monkeyの大腿boneから色が抜け、元の白に戻るのが見えた。


『主……っ!』

「分かってる」

 右手を【Spirit Form Transformation】して、Bone MonkeyBone BearBone Wolfの霊に接続してManaを注ぎ、傷ついたSpirit Formを維持する。OrichalcumのせいでSpirit Formが傷つき、修復は可能だがすぐに戦線復帰するのは難しい。


「無事か!?」

『チィ! 色男が台noneだぜ!』

 VigaroBorkusは、手に柄以外は辛うじてWeapon Equipmentの形をしているだけの粗製とは言え、OrichalcumWeapon Equipmentを持っていた。

 彼らはそれで自分に迫るOrichalcumが混じった氷柱を迎撃し、身を守ったのだ。


 なのにVigaroが無傷なのに対して、Borkusboneだけに成った頭の右半分を砕かれたのかと言うと……。

『おらよ、Ritaの嬢-chan

『ありがとうございます』

 RitaBikini Armorのブラの部分のpartsを咄嗟に掴んだからだった。


『皆の前で胸が裸のまま戦うのは恥ずかしいなって思ってたんですよー』

『胸って……何もネェじゃねぇか』

 鎧以外は相変わらず靄のようなSpirit FormだけのRitaに、何処となくがっかりした-sama子のBorkusがそう言うが彼女は取り合うつもりは無いらしい。


『父-sanみたいに【Spirit Formskilllevelが上がれば見える-samaになります。Bocchan、これからどうしますか?』

「そうですね……この状況を説明できる人はいますか?」

conjectureなら」

 爆発的に伸びた後は、一転してギシギシミヂミヂと氷が軋む音を立てながら蠢く氷とGolemが混じった物の一点を指差して、Eleonoraが口を開く。


 彼女が指差したのは、変わらずDragon Golemの胸部にthrust刺さったままのMagic Spearだった。

maybe、あのMagic SpearIce Agerunawayしているのよ。きっと、機能を停止したDragon Golemの核からManaを得て、あの氷を発生させたのね。まさか防衛機能が生きているだけじゃなく、こんな真似まで出来るなんて」

 つまり、全部Mikhail悪いらしい。


「じゃあ、これからどうなるか分ります?」

「あのMagic Spearが何でrunawayしているのか、何故Golemの核からManaを得られるのかも分からないけど、無目的にrunawayしているなら、Manaが無くなるまで滅茶苦茶に暴れまわるでしょうね。手当たり次第に」

「なるほど、手当たり次第に」


 壁も床も、もしかしたら扉の向こうのResurrection Deviceまで。


 頭の無い、足に所々Orichalcumが生えた氷のoctopusSquidのような形に変わりつつあるDragon Golem……Magic Spear Ice Ageは、そんな嫌な予感をあっさり超えた。

 真っ直ぐ真後ろに向かって、Resurrection Deviceに向かって動き出したのだ。


「あの腐れ槍を止めます」

 もうそれ以外の選択肢は無くなった。態勢を立て直して出直してきても、Resurrection Deviceが破壊されたら意味が無い。


『おおっ! 任せとけ!』

 粗製Orichalcum Weapon Equipmentを持って、BorkusVigaroが走る。氷がCurseの氷である以上、Ice Ageに有効打を与えられるのは彼等か、Vandalieuだけだからだ。


 そして二人の攻撃は面白いように当たる。氷の脚は、避ける素振りも見せず砕けて破片を撒き散らした。

 だが、幾ら砕かれても氷が減らない。

「ヌウウウ! きりが無い!」

Manaだっ! Golemの核のManaがある限り、あの槍が氷を増やしやがる!』


 Ice Ageの氷はGolem-samabody partでも無いため、幾ら砕かれてもIce Age main bodyに被害は無い。手足の代わりに使っているため砕かれればその分移動が遅くなるが、それでは文字通り時間稼ぎ以上の意味は無い。

 Vandalieuも床をGolemにして止めようとするが、氷はそれを易々と踏み潰しゆっくりと、しかし確実に進んで行く。


『なら槍そのものを圧し折ってやるっ! 【Instant Response】!』

 Borkusがその巨体からは想像しがたい速さで氷の脚を駆け上がり、Ice Age main bodyに間合いを詰める。

 しかし彼が剣の間合いにIce Ageを納める前に、countlessの氷柱が生え、Projectile Fireされた。


『クソ! 槍の近くの氷は糞速いぞ!』

 一発一発が一抱えほどもある氷柱のマシンガンに、流石のBorkusも脚を止め下がるしかない。

 だが、Refiningした直後に打ちだされるため、Orichalcumfragmentが含まれていない。だから、氷柱だけなら別に当たってもZombieであるBorkusには痛手では無い。

 しかし、槍からProjectile Fireされた氷柱も暫くはIce Ageの支配下にあるようで、剣で弾いた氷が不気味に蠢くのに彼は気が付いていた。


 氷柱に当たった後その場に縫い留められたら、Vandalieuに氷を融かしてもらうまで動きが取れなくなってしまう。


『畜生! 持ち主だけじゃなくて槍まで俺じゃあ勝てねぇってのか!』

Vandalieuっ、手が足りない!」

 Borkusは吠えながらも諦めずに機会を伺い、Vigaroは槍から離れた足を砕き続けて時間を稼ぐ。二人とも、Mana切れを狙っているのだろう。


 しかしIce Ageから氷が発生する勢いが衰える-sama子は無い。


「見てられないわねっ」

 大きなOrichalcumの破片を持って、Eleonoraが飛び出して行った。

Ritaっ、私達も!』

 落ちていたOrichalcumの破片の内、比較的マシな形をしていた破片を掴んでSalireRitaもそれを追う。


 そしてその破片でIce Ageの脚を攻撃し始めた。あの破片の形状ではMartial Artsはとても使えないが、都合が良い事に二人ともかなりの腕力の持ち主だ。力任せにOrichalcumを叩きつければ、十分氷を砕ける。


 Eleonoraは大きな破片を盾代わりにして、Borkusの援護に回った。氷柱の弾丸を引き受けて、少しでもchanceを得ようと。

『ゲエエエ!』

 片足の無いBone Birdすら、Spirit FormfeatherProjectile Fireし続けている。氷を砕けないのは解っているが、少しでも時間を稼ごうとしているのだ。


 全員VandalieuResurrection Deviceを手に入れるために、懸命に戦っている。だが、Vandalieuはこれ以上何もできそうにない。

 既にmagic同時に六つ維持している。

 Ice Ageの足元のGolem Transformationは効果が無きに等しかったので止めたが二振りのOrichalcumの粗製Weapon Equipmentの維持、そして右手の【Spirit Form Transformation】とBone Monkey達の霊の保護で六つだ。


 【Multi-Castskillがあっても、限度を超えている。もう【-Surpass Limits-】は起動済みで、【Rapid Healing】も稼働中。その上ZadirisLight Attributeの治癒magicを唱えてくれているが、それでも脳が沸騰しそうだ。

 大きな湖があっても、一度に汲める水の量は手に持った桶の分だけ。それと同じでどんなに大量のManaを持っていても、一度に唱えられるmagicの量は限られる。


(どうすれば良い?)

 今行われているのは、殺し合いじゃない。今のままなら、誰も死なない。Resurrection Deviceが破壊されるだけだ。

 あの槍には、明らかに何らかの意図があって動いている。runawayしているのなら、Resurrection Deviceがあるだろう場所に一直線に向かっていくのは不自然だ。


 あれは【Divine Spear of Ice】のMikhailが携えた、Goddess of Water and Knowledge Periaに仕えたGod of IceChampionのために鍛えたMagic Spearだ。間違いなくlegend Class、もしかしたらMyth ClassArtifactかもしれない。

 なら独自の意思を持っていても不思議はない。そしてその意思は、Mikhailを……Champion BellwoodGod of Law and Life Aldaの正義を是とする物だろう。


 何時developmentするとも知れないこのworld独自の文化文明のために、another worldの物を認めず今ある繁栄を否定し破壊するChampion

 自らの敷いた法に背く命を認めず、十万年以上経っていてもVidaraceに差別的な教えを是とする神。

 それらを大義にGiant raceの国に止めを刺した国のHero


 そのHeroMagic Spearが狂ったように暴れながら、Vandalieuが求めるResurrection Deviceを壊そうとしている。

 彼らの主張は、一理あるだろう。完全に間違っているとは言えない。

 では自分達は間違っているのか? 殺された母親を生き返そうとするのは、一理も無く害悪なのか?


 違うだろう。injure人を癒す、sickを治す、何時か例外無く死ぬ生き物の命を長らえさせるのが良い行いなのに、何故死者の蘇生だけが悪なのか。


(でも奴らは認めない。なら勝つしかない。どうすれば勝てる? 俺にはManaがある。Manaがあるのに、このままじゃ勝てない。脳が足りない、脳細胞が少なすぎる。どうすれば良い?)


「坊やっ、もう限界じゃ!」

 Zadirisが悲痛な声を上げる。もう限界、もう無理、もう負けるのを、取り戻す希望を奪われるのを見ているしかない?


 方法は、一応は在る。Bone Monkey達の霊を諦める、すると脳にかかる負担が少なくなる。

 でもダメだ。Resurrection Deviceは取り戻す希望だ、それを手に入れるのにまた失ってどうする。Bone Monkey達は、最初はただの手足だった。だがここまで育てた大事な駒だ。boneは幾ら壊れても変えられるが、霊は替えが無い。


(そうだ、霊は――ああ、なんだ。脳があるじゃないか)

 はっと気が付いたVandalieuは、ずるりと分裂した。

「ぼっ――!?」

 少なくとも、Zadirisにはそう見えた。しかし、そうではないと直ぐに気が付いた。


Spirit Form!?」

 そう、VandalieuBodyから抜け出た……Out-of-body Experienceしたのだ。

 普通なら魂の無いBodyは朽木のように倒れ動く事は無い。しかしVandalieuBodymagicを行使し続けている。


 Vandalieuが習得した【Long-distance Controlskillで、Spirit FormVandalieuBodyVandalieuを操作しているのだ。

『これで脳が二つ。Zadirisは俺のBodyの方をお願いします』

「う、うむっ、任せるのじゃ」

 Spirit FormBody両方からの声にはっとしてZadirisが回復magicに集中する。


 これでbarely維持していた六つのmagicを、三つずつに分けられる。だがまだ足りない。あの見苦しく悶える神が作ったstickを止めるには、もっと必要だ。

 しかしこれ以上どうすれば良いだろうか?


(脳が……ん? 今の俺はSpirit Formだ。じゃあ、形に拘る意味があるのか?)

 Bodyの方を見ると、【Spirit Form Transformation】したRight Armが三つに枝分かれして傷ついたBone Monkey達のSpirit Formを維持するために、Manaを供給している。


 Bodyを【Spirit Form Transformation】させた場合は、今のRight Armのように自由に形を変えられる。なら、完全にSpirit Formだけに成った今形を変えられない訳が無い。

 ずるりと、視界が増えた。

 【Spirit FormskillSpirit Formを操って、頭が首からずれて二つに成った。これで脳が三つ。


 まだ足りない。ずるりと、更に増やす。これで脳が五つ。

 増えた脳で、Golemを作る。作る、創る、造る。作ったGolemに、Orichalcumfragmentを取り込ませる。

 要はあのstickと同じだ。氷では無く床や壁で作ったGolemOrichalcumを混ぜて、Weapon Equipmentにする。


『うおおおおおおおおおん』

 body partから黒い金属片がthrust出た石人形が、氷のoctopusに次々と体当たりして行く。

Bocchanっ!? 何ですその姿は! 頭がいっぱいあるし二人に成ってる!?』

「我は何も見ていないぞーっ!」

「ああっ! なんて悍ましくも美しいの!」


『皆、主の姿に構わず戦うのです!』

『テメェら口より手を動かさねぇか!!』


 壁を無くし床に穴を空ける勢いで次から次に現れる援軍のGolemに、驚いて視線を走らせるとVandalieuが二人に増えて、しかも片方が異形に成っていた。

 それに驚き……何故かEleonoraは瞳に畏怖と感動を浮かべたが、Vandalieuの足元に転がるBone Manの声と、Borkusの叱責で我に返って氷を破壊する作業に戻る。


 そう、既に作業だ。

 Magic Spearは確かにlegend Class以上のArtifactだ。しかし、本来なら自立して戦闘を行う力は無い。Dragon Golemの核に込められた、莫大なManaを何らかの方法で得て氷を産み出し操って、無理矢理足掻いているだけだ。

 だからCurseの氷の動きは鈍く、硬い。もしOrichalcumでなくても砕ける普通の氷だったら、一分と持たずにBorkus達だけで砕きつくされて終わっていた。


 そしてそのCurseの氷も、countlessOrichalcum片付けGolemに集られ、VigaroRita達に砕かれ、その上にVandalieuDeath-Attribute Magicを直接溶かして行く。Borkus達を退けるどころか、氷の弾丸の生成を止めても氷の維持が出来なくなって行く。


『忌々しいぜ! この糞槍が!』

 そして抵抗虚しくBorkusに刺さっていた胸部から弾き飛ばされ、回転しながら床に落ちた。その瞬間、氷は動きを止めた。


 終わったかと、VandalieuはすっとBodyに戻った。その瞬間減った視界の数に眩暈を覚えるが、Zadirisのお蔭で膝を着かずに済んだ。

「とと……助かりましたけど、何でこんなガッチリ俺の頭を抱えてるんですか?」

「いや、こっちの頭まで増えたら大変じゃろうなと思ったのじゃ」

 Zadirisは彼の頭部を、左右の腕で抱きかかえるようにして抑えていた。Spirit Formの頭部分裂は衝撃が強かったらしい。


 腕を【Spirit Form Transformation】してtentacle状に枝分かれさせる事は、Even now頻繁にしていたのだが。やはり腕と頭部ではimpactが違うのか。

「それよりも、まずBone Bear達のbody partを用意しないと」

 本当はResurrection Deviceに今すぐ飛びつきたい。しかし、それは最後で良い。


 まずはBone Bear達のrevivalが先だ。Spirit Formの傷はbody partに入れてから直せばそれで良い。大した手間でもなければ、時間がかかる訳じゃない。

『グルルル』

『ガルルル』

 しかし、元通りにしようとするとBone Monkey達には異議が出た。


 自分達のせいでVandalieuに負担をかけた、それはweakからだ。だから、もっと強くなるために元には戻りたくないと言う。

『ゲエエエエ』

 Bone Birdも同意見で、Bone Monkey達と混じるつもりらしい。


「……可能だとは思いますけど、それで良いんですか? 一度なったら、戻れるか分りませんよ」

『ガアアアア』

 既に生前の形を失い、boneの形をしているBone Wolf達の霊とBone Birdは頷いた。


 彼らはoriginally彷徨っていた雑多な動物や蟲の霊だ。生前の形は覚えておらず、そもそもUndead TransformationするまでのMemoryもほぼ無い。そんな彼らが重視するのは、body partを与えたVandalieuへのLoyaltyだ。寿命も無く、eating preyも生殖も必要無い、Instinctの楔の無い不死者なのだから。


「分りました」

 Bone Birdbody partから霊が抜け、Bone Monkey達の霊が形を失い、混ざり合う。

 そして散らばっていたBone Bear達のbonefragmentがガラガラと転がりながら一つの場所に集まる。

 そして混ざり合って形を失ったSpirit Formがそこに入った。


『お゛ぉぉぉぉぉおぉぉぉん』

 咆哮を上げながら誕生したのは、boneMonstrosityだった。別のpuzzlepiece同士を無理矢理くっつけたような造形で、熊と猿と狼と鳥のboneが入り混じっている。

 良く言えばbone合成獣(Chimera)だ。Japan人なら、boneだけの鵺(ぬえ)だと思うかもしれない。


「これはBone Chimeraか。複数の動物やHumanmonstersboneが一つの怨念に囚われて生まれると言う……儂も初めて見た。

 Bone BirdBone MonkeyBone WolfBone BearBone Man。見事な忠義じゃ」


『あの……私はここに居るのですが』

「あ、そうじゃったな」

 Bone Manはまだ頭蓋boneだけで転がっていた。Magic Spearrunawayが終わったので、徐々に集まりつつあるが。


Bone Man、足りないboneがあったら言ってくださいね」

『御意』

 Bone Chimeraを連れて、Vandalieuは床に転がるMagic Spearに向かった。


Vandalieu -samaっ、その槍に近づくのは危険よっ!」

 Eleonoraが止めるが、大丈夫と手を振って応える。

 流石Artifactと言うべきか、傷一つないMagic Spearをどす黒いdeath attributeManaで包み、その上で触れる。


『私に触れるな!』

 すると、頭に声が響いた。このMagic Spearには、想像していたよりもはっきりとしたegoを持っているようだ。知識と意思を持つWeapon Equipment、インテリジェンス・Weaponと言う物だろうか?

『汚らわしいDhampirよ! 貴-samaがどんな目的を持っているかは知らんが、必ずやその忌むべき命はMikhailを継ぐ次代の我が所有者によって砕かれるだろう! 精々束の間の勝利に酔うがいい!』


「ああ、そう言うの要らないので事情的な物を聞かせてもらえますか? そもそも、貴方はAldaじゃなくてPeriaに仕えるGod of Iceが作った槍ですよね?」

 氷のMagic Spear Ice Ageの罵倒やら詰りやらが混じった声からconjectureしたところ、God of Ice YupeonVidaと交わりMerfolkの片親となったGod of the Seas Tristanとは違い、AldaChampion Bellwood側に近い考え方を持っていたらしい。


 そのYupeonに創られたArtifactIce Ageも、その意思に同調した。そして二百年以上前にChampionに代わる所有者として認めたのが、【Divine Spear of Ice】のMikhailだ。彼は敬虔なAlda believerで、Amid EmpireMirg Shield Nationの正義を心から信じるHeroだった。


 しかし Goddessの作ったDragon Golemにあと一歩の所で敗退し、Ice AgeGolemの胸にthrust刺さったまま所有者の手を離れてしまった。

 そして彼はMikhailが戻って来ない間、不完全とは言え喪われた命は戻らないと言うworldの秩序を乱すResurrection Deviceに誰も触れられないよう、自らが創り出すCurseの氷でsealedする事にした。


 本来ならArtifactと言えど所有者も無く出来る事ではないが、必要なManaは偶然穂先が僅かに届いたDragon Golemの核から調達する事が出来た。壁を何重に作り、Mikhail以外通れない-samaにしたのだ。

 Zandiaの手首を撒き込んで凍った壁は、MikhailではなくIce Ageが行った物だったのだ。


『だが、現れたのはMikhailでもその意思を継ぐ者でも無く貴-sama等だった。不浄なる二匹の不死者を従えた、命を弄ぶarroganceなる者! 無念だ、後一歩で貴-samaの野望を完全に潰えさせることが出来た物を!』

「それは――何だって?」

 それは残念でしたね。そのIce Ageの叫びを聞いて、Vandalieuはそう言おうとした。しかし、その奇妙な言葉に引っかかった。


(二匹……二匹って言った。今日来た時はRitaSalireを除いても、BorkusBone ManBone Bear……六だ。こいつはUndeadを人型と動物型で数え方を変えたりしないだろう。

 なら何故二匹? ここに始めて来た時、BorkusNuazaと俺の三人だった。それか)


 このMagic Spearfive sensesがどうなっているのかは分からないが、Dragon Golemの胸部にthrust刺さっている間も働いていたらしい。

 確かに、考えてみれば当然か。Ice Ageは二百年前、そのconditionで広間の入り口や、from here離れた廊下、そして地下への入り口にCurseの氷で壁を作っていたのだから。


 約二年前にVandalieu達が一度ここまで来た事に気が付いても不思議はない。

(なら、それから今までこいつは何をしていた? Mikhailを継ぐ者では無く、Undeadを連れたCurseの氷を溶かせるDhampirが現れた後、一年以上こいつは何をしていた!?)

Vandalieu、さっきからどうした? その槍と話でもしてるのか? おいっ?」

Bocchanっ、どうしたんですか!?』


 Vigaro達に声をかけられたのにも気が付かず、Vandalieuは走り出していた。Dragon Golemが守っていた扉に向かって。

 壁と同じ材質で作られた見分けがつきにくい扉は、Vandalieuが近づくと自動ドアのように開いた。番人であるGolemが敗れたら開くようになっていたのだろう。


「っ!」

 扉の向こうには、正体不明のglassに似た大きな筒や、magic陣、解読不能の文字がびっしり刻まれたmonolithEarthの薄型televisionに似た物等があった。

 それらの全てが、でたらめに生えた氷柱が刺さり、傷つけられ、壊れていた。


『ふっ……ふははははははははっ! どうやら上手く行ったようだ! Golemの核からManaは得られるが、その代わりに我は動けなかったのでな、離れたspaceに氷を生じさせても装置を壊せたか確信が無かったが、これならば安心だ!

 Dhampirよ! 貴-samaの邪悪な企みは潰えたのだ!』


 耳障りなIce Ageの哄笑が、Vandalieuの意識に醜く響く。背後では、Bone Chimeraが哀しげに鳴き、Vigaro達も立ち尽くしていた。

 そしてVandalieuは、見開いた瞳をそのままIce Ageに向けた。

(壊れたら直せば良い、それが無理なら他の手段を探せば良い。kaa-sanの蘇生を諦める事は、無い。

だけど、その前に処理しなければならない)


『我を破壊するか、Dhampirよ。確かにGodsにしか許されないOrichalcumの操作すら行う、不遜な貴-samaなら可能だろう。

 だが意味の無い事だ。我はGod of Ice Yupeonに創られしArtifact、我はYupeonCloneに等しい。例えこの槍が破壊されても我が意思はYupeonの元に戻り、そしていつか再びMikhail-samaな大Heroと共に貴-samaの前に立ちはだかり、今度こそ汚らわしい不死者諸共その邪悪な命脈を断ってくれる!』


 自分が絶対的に正しいと確信している、醜い声に吐き気がする。

「一応聞いておきますが、本気ですか?」

 だが念のため、確認を取るために聴いておいた。

『無論だ! 後悔するならばその呪われた生まれを――』

「じゃあ、滅ぼしますね」


 Spirit Form Transformationした指を、ずぶりとMagic Spearthrust入れた。Orichalcumの抵抗と、それを無理矢理破る事で生じる激痛、生皮を剥しながら露わに成った肉とboneraspで削られるような痛みを感じる。

『がうあえあぎうう゛ぁあああああ!?』

 Ice Ageの声が、一転してノイズのように乱れる。それが痛みを忘れるほど耳に心地良い。


「偉いKami-samaCloneだそうですが、俺達の正真正銘敵で、存在する限り全力で情けも一片の例外も無く俺達を貶し否定してやると言われたら、こうするしかない」

 Ice AgeVandalieuが何故Resurrection Deviceを手に入れようとしたのかを、知らないかも知れない。しかし、関係無い。


 その場合、Ice Ageは何も知らないのに『邪悪な目的』と言い切った事に成る。だとしたら、こいつにとってDhampirは完全な悪、百害あって一利も無い害虫より下の存在で、そんな存在の目的は調べるまでも無く邪悪だと思っているという事だ。


 そりゃあそうだろう、Mikhailのした事をこのMagic Spearは是としているのだから。

 Mountain Rangeを隔てて、ただ繁栄していたGiant raceの国に宗主国の言いなりに成って攻め込んだ祖国を良しとして参加し、Giant raceの国に止めを刺したHeroを。


 そしてそのHeroが殺したせいでUndeadに成った者達を、汚らわしいと言うのだから。

 Magic Spear Ice Ageは、存在する限りVandalieu達が何をしようと悪と断じて罵り、虎視眈々と穂先で臓腑を抉る機会を狙い続ける。そう言う存在だ。


「そんな奴を野放しにしたら、落ち着いてkaa-sanを生き返す方法を探せないし、将来幸福に成る事も出来やしない。

 ああ、あった。Kami-samaCloneと言うからあるだろうなと思ったけど、良かった。俺でも無い物は滅ぼせないから」

『ぎべぺぺぺぴぶげぎぎぎぎい゛ーっ! ぎっ、-samaっ、神を敵に――』

「いや、俺達が何をしようと俺達は神の敵なのでしょう? だったら何をしても良いじゃないですか」

 自分達から交渉や休戦、和解や融和の機会を潰して置いて何を言っているのだろうか?


 まさかこれだけの事をしてあれだけの事を言って、覚悟も無く自分は無事で済むなんて思い込んでいたのだろうか? だとしたらそのnerveの太さだけは羨ましい。自分にはとても無理だ。


「無理だと思いますが、Yupeonに伝えてください。お前は敵だと」

『ぎっ、がっ、ミ、みハえエぇ――』

 パキィィィィイィン


 Ice Ageの素晴らしい歌が途切れて、神のCloneの魂が砕ける清んだ音がした。




《【Golem Transmutation】、【Spirit Form】、【Multi-Cast】、【Soul Break】、【Long-distance Controlskilllevelが上がりました!》

Unique skill【God Slayer】を獲得しました!》


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