六度目のBorkus’s Sub-Dragon Savannah攻略で【Death-Attribute Mage】がlevel100に達したので、Vandalieuは一年以上ぶりにAdventurer’s Guild跡のJob change roomに向かった。
「これで魚醤をくれ。味噌もだ」
「俺は鰹節と昆布だ」
『蜂蜜は在るか? ワサビも欲しい』
『ドングリ粉をくれえっ!』
「Giga Birdの卵は売り切れか。なら、せめてエビと交換してくれっ Ammoniteでも良い!」
現在、Adventurer’s GuildはVandalieuが作った調味料や昆布を含めた食品の配給&Place of Exchangeに成っている。
ここで配給を受け取り、それ以上に欲しい物があればDevil Nestsから持ち帰った素材と交換するのだ。
品薄の商品を補充するためにボードに依頼が張り出されるため、まるでAdventurer’s Guildの運営が再開されたように見えるだろう。
「本物のAdventurer’s Guildも、こんな風にGhoulやUndeadで一杯だったら出入りしやすいだろうな」
そんなVandalieuの妄想は置いておくとして、調味料はin any caseドングリ粉等は交換に来なくても自力で作れるだろうに。
なのに何故交換に頼るのかと聞いてみたら、こんな答えが返ってきた。
『オイオイ、ただで味噌や魚醤、昆布や寒天の配給が貰える上に、もっと欲しけりゃmonstersの素材やMagic Stone、材料の団栗やらを拾って来れば交換して貰えるんだぜ。なのに何で時間をかけて自力で作らなきゃならねぇんだよ』
「ドングリ粉って、ドングリを荒く砕いて、水に三日晒して、Dryingさせて、粉にすんだろ? それよりmonstersと殺し合いしてきた方が楽だぞ」
どうもUndead GiantやGhoul達の労働の価値観は、Earth人類とはかけ離れているらしい。
「まあ豚を一から育ててeating meatにするよりも、Devil NestsでOrcを一匹狩ってきた方が明らかに楽だから気持ちは分かるけど」
そんなVandalieuも随分狩猟民族に染まってきたようだ。
因みに、最近は作る物が増えて来たのでドングリ粉と胡桃sauce等は専用の製造施設を建造した。
Dryingさせる【Wither】や果肉をDecompositionさせる【Decomposition】等を込めたmagic itemを【Alchemy】skillで製造し、粗砕きや灰汁抜き、粉引き等を行う専用Golemを並べたドングリ粉製造Golemレーンや、胡桃sauce製造Golemレーンだ。
石臼型等のGolemが連なる-sama子は、Earthの製造工場を思わせる。
燃料はManaだけなのでとても経済的で自然にも優しい。その上いざという時は変形して戦ってくれる。
maintenanceフリーで自然に優しい素晴らしい工場だ。
「海苔と寒天も工業化かな。もう少し人の手も必要にした方が、将来の雇用を……でも皆狩猟民族だから気にしなくて良いか? でも後数十年もすれば戦えないageに成ったBlack GoblinやAnubis達が出て来るだろうし」
実に悩ましい。
まあ、社会制度に関しては後で考えよう。
「それでJob changeだけど、今度は【Golem Transmuter】だったな」
【Cannot learn existing jobs】のCurseで未発見のJobにしか就けないVandalieuだが、以前のJob changeでは【Death-Attribute Mage】と同時に【Golem Transmuter】がJob change可能なJobとして表示されていた。
だから今回は確実にJob changeする事が出来るはずだ。
落ち着いて、冷静にJob change roomの水晶に触れた。
《選択可能Job 【Golem Transmuter】 【Undead Tamer】(NEW!) 【Soul Breaker】(NEW!) 【Venom Fist User】(NEW!) 【Insect User】(NEW!)》
「凄く増えた……」
脳内に表示された五つのJobに、Vandalieuは驚きを通り越して呆れた。Rodcorteがかけた三つのCurseの内、このCurseが最も意味が無いようだ。
まあ、将来的には障害になるのだろうが。
【Undead Tamer】は、以前表示されなかったのは、EleonoraからUndeadは普通Tamerできないと知り、自覚したからだろう。
自覚の有無で表示されないと言うのも変な話だが、そんな物なのだろう。
読んで字の如くUndeadに関するskillに補正がかかるだろうが、Tamer系のJobは本人のAbility Valuesの伸びが少ない事が多いらしい。
【Soul Breaker】は、明らかにSercrentの魂を砕いたのと【Soul Break】skillを獲得したから現れたJobだ。
【Soul Break】は全ての攻撃手段にskill効果を乗せられるので、maybe magic系と武術系のskill両方に幅広くskill補正が得られるのではないだろうか?
Ability Values補正は、分からない。maybe力とIntelligenceが上がりそうだが。
【Venom Fist User】は……何だろう? maybe、【Unarmed Fighting Technique】skillが一定以上のlevelを超えたDeath-Attribute Magicの使い手で、一定数の敵を毒殺している者に表示されるJobだろうか。
skillとAbility Valuesは、【Unarmed Fighting Technique】や力、Agility、Enduranceに補正がかかりそうだが……握手を拒否されそうなJobだな。
握手を求めたら拒否されたり、した直後に手をハンカチで拭われたりしたら、心が砕けそうだ。
【Insect User】はCemetery BeeをTamerしたから表示されるようになったに違いない。skillやAbility Valuesの補正は、Undead Tamerを蟲系のmonstersに変えた物と同じだろう。
蜂蜜の産出量が増えるのなら、良いJobだ。Rhinoceros Beetleやstag beetleムシのmonstersをTamerして、Earthでは成れなかったムシの王-samaを名乗るのも面白いかもしれない。
「でも、今回は【Golem Transmuter】だ」
何故なら、戦う相手がDragon Golemだからだ。
どんな鉱物で出来ているか伝わっておらず、氷越しでは【Appraisal】も使えないため材質不明のあのGolemに対して、【Golem Transmutation】のskillが役立つ可能性がある。
直接操るのは不可能だが、戦うのは王城地下にあるGiantだが閉ざされたspaceだ。床もあれば壁もあり、何より天井がある。しかもあのGolemは翼が破損している。万が一にも自由自在に飛ぶなんて事は出来ないだろう。
床や壁をGolemにして操れば、Dragon Golemの自由を奪う事が、最悪でも動きを鈍らせる事が出来るはず。
以前Sercrent達を殺した時も、【Golem Transmutation】が役立った。石臼Golemからdevelopmentしたドングリ粉や胡桃sauce製造Golemの開発、Talosheimの城壁や王城の修理等、Dragon Golem戦以降もこのskillはこれからの人生を生き延び、豊かにするのに役立つはずだ。
《【Golem Transmuter】を選択しました!》
《【Strengthen Follower】、【Golem Transmutation】のlevelが上がりました!》
・Name: Vandalieu
・Race: Dhampir(Dark Elf)
・Age: 4age
・Title: 【Ghoul King】
・Job: Golem Transmuter
・Level: 0
・Job History: Death-Attribute Mage
・Ability Values
Vitality: 90
Mana: 204,506,933
Strength: 67
Agility :46
Endurance :71
Intelligence :238
・Passive skills
Mysterious Strength:1Lv
Rapid Healing:3Lv
Death-Attribute Magic:5Lv
Abnormal Condition Resistance:5Lv
Magic Resistance:1Lv
Dark Vision
Mental Corruption:10Lv
Death-Attribute Charm:5Lv
Chant Revocation:3Lv
Strengthen Follower:7Lv(UP!)
Automatic Mana Recovery:3Lv
・Active skills
Bloodsucking:3Lv
-Surpass Limits-:4Lv
Golem Transmutation:5Lv(UP!)
No-Attribute Magic:4Lv
Mana Control:4Lv
Spirit Form:2Lv
Carpentry:4Lv
Engineering:3Lv
Cooking:2Lv
Alchemy:3Lv
Unarmed Fighting Technique:2Lv
Soul Break:1Lv
Multi-Cast:1Lv
Long-distance Control:1Lv
・Curse
Experience gained in previous life not carried over
Cannot learn existing jobs
Unable to gain experience independently
Statusを確認したところ、【Death-Attribute Mage】にJob changeした時ほどAbility Valuesは伸びなかった。
まあ、初めてのJob changeと二回目の差だろうか。
「さて、じゃあ早速王城の地下に……行く前にlevelの上がった【Golem Transmutation】skillを試して、後【Strengthen Follower】も上がったから、皆の具合も聞いてからにしよう」
検証の結果、【Golem Transmutation】で以前より少ないManaでGolemを作れるようになっていた。今ならBoundary Mountain Rangeを越えるための道を、以前の倍のpaceで作れるだろう。
将来的には道を作るとかtunnelを掘るとかでは無く、邪魔な山を動かして道を作る事が出来るようになるかもしれない。……万が一magmaが出てきたら大変だから、簡単にはやらないが。このworldの地質がどうなっているのか、まだ分からないし。
後、Golemが強くなっていた。どうやら、Golemにも【Strengthen Follower】の効果が出る-samaになったらしい。Dragon Golemの相手には成らないだろうが、将来役に立つだろう。
『本当に無茶しちゃダメよ、危ないと思ったらすぐに逃げるのよ』
「そのつもりだよ、kaa-san」
『Bocchan、御武運を。ですがいざとなったら逃げるのも勇気ですぞ』
「いざと成ったら壁に穴を空けてでも逃げて来るよ、Sam」
Darcia達の見送りを受けて、Vandalieuは厳選したmemberと王城地下に向かった。
相手はSClass昇格が確実視され、生前のBorkusを一撃で殺したHero Mikhailが勝てなかったDragon Golemだ。
頭部とRight Arm、翼とtailが破壊され体中に罅が入っていて、その上胸にMagic Spearがthrust刺さったままだが、それでも今Vandalieu達が挑むには強敵だ。
そのためRank6以上か、body partが全損してもすぐに別のbody partを用意すればrevivalできる者か、最初から損傷する事を前提にした捨石に参加者を厳選した。
まずRank9のBorkus、Rank8のEleonoraは当然。次にRank6のZadirisとVigaro。
そしてBone Man、Bone Wolf、Bone Monkey、Bone Bear、Bone Bird、Salire、Rita。彼らはまだRank5だが、その体はboneと鎧だ。木端微塵に壊されても代わりのbone、代わりの鎧を用意すればすぐrevivalする事が出来る。
そして、肉壁成らぬStone Wallにするために連れて行くStone Golemが十体。Dragon Golemが居る広間の材質が脆かった場合や、magic的な処置が施されていてGolemにし難くなっている場合に備えての予備だ。彼らはbody partを張ってGolemの脚を止め、盾になるのが役目である。
元はBugoganの集落に居たOrcやGoblinの霊なので、遠慮無く使い潰すつもりである。
「ただ、Dragon Golemの材質次第ではSpirit Formを傷つける恐れがあるので十分に注意してください」
Curseの氷で出来た壁越しなので、未だにDragon Golemが何で出来ているのか分からない。まさかただの鉄と言う事は無いだろうが。
「対magic Defense Powerが高いMythrilなら、俺やZadirisのmagicは効き難いでしょうね。Spirit Formも傷つけるし。Borkus達の物理攻撃頼みになる」
『Adamantiteなら、Spirit Formを傷つける心配は無いから安心だけどな。ただもしそうなら俺の剣じゃ斬れねえ。逆に、坊主達のmagicが主力になるな』
BorkusはVandalieuから受け取った、BugoganのMagic Swordの柄を指で叩いて言う。ただ切れ味と硬度がEnhanced (1)されているだけのMagic Swordだが、その分Attack Powerはかなりの物でBorkusが振るえばEARTH Dragonのscaleも易々と切り裂く。そのMagic Swordでは斬れないと聞き、Vigaroは息を飲んだ。
「そんなに硬いのか?」
『おおよ、下Classの竜種のscaleやboneなんざ比べ物に成らない程硬い魔導金属だ。鉄なんざ、Adamantiteに比べればSlimeも同然だぜ』
「でも、もしそうならVandalieu -sama達のmagicが通用するわ。あの槍を抜いて使うと言う手もあるし」
「後は、罅を狙うしかあるまい。まあ、動きが鈍ければ坊やがGolemを床に埋めてしまえば良い」
「まだ手はありますよ。転がっているDragon Golemの破片を使うとか。同じ材料で出来ているなら、最低でも盾にはなる筈」
そんな事を言いながら、Vandalieu達は地下の道を歩く。相変わらず所々に氷のfragmentが落ちていて、このTalosheimで二百年間一人もUndeadが居ない唯一の場所なのに、最も不気味だ。
ただ、進む障害に成っていた氷の壁は全てVandalieuが溶かした後だ。障害は何も無い。
そしてDragon Golemが居る広間の前に着いた。分厚い氷越しに、黒い金属の竜の姿が見える。
「……前よりは死の危険が低くなっているけど……まだあるな」
『どうします? 延期しますか?』
「いえ、このまま決行します。ほぼSClassの実力を持っていたadventurerを退けたGolemだ、壊れかけでも危険も無く倒せる訳が無い」
あのGoddess謹製のGolemを安全に倒すには、それこそVandalieuがSClass adventurer以上の力を手に入れるか、Borkus達を全員SClass並の強さにするかしなくてはならないだろう。
Manaが多いだけの無力な赤ん坊から四年と半ば以上過ぎでここまで強くなったが、そこまでとなると後何年、何十年かかるか分からない。
Darciaには無茶はしないと言ったが、そこまで待てるほど気は長くない。
(今年の誕生日は、body partの在るkaa-sanと祝いたい)
そう思いながら、VandalieuはGolem以外の参加memberに付与magicをかけていく。それにZadirisとEleonoraも続いた。
全員にVandalieuの【Energy Absorption】で対物理対magic防御をincrease。
Weapon EquipmentにはZadirisの【Blade of Wind Enchantment】でAttack Powerをincrease。更に【Blessing of Wind】でAgilityをEnhanced (1)。念のための【Arrow Evasion】で飛び道具や攻撃magicなどから回避し易くしておく。memberにUndeadが多く、Light Attributeの付与magicが使えないのがやや悔やまれる。
そしてEleonoraのTime-Attribute Magic、【Acceleration】で更に素早く動けるようにする。
最後にVandalieuがZadirisとEleonoraにManaを最大値に戻るまで譲渡して準備完了。
memberの装備はBorkusのMagic SwordやVigaroの斧以外は、今まで倒したmonstersや攻略したDungeonの宝物庫から手に入れた素材やitemでEnhanced (1)している。
中にはEARTH DragonやRock Dragonの素材を使用した物や、魔導金属の中では価値が低い方とは言え黒鋼製のitemも多い。
『グルルル』
特にluxuryな使い方をしたのはBone Wolf達boneのbody partを持つUndeadだろう。whole bodyの主なboneを、同じ形に加工したDragonの物に入れ替えてある。
既にOgreでも彼らのboneを折る事は出来ない。
「じゃあ、行きます」
手をかざして、氷の壁からManaを抜き取って行く。既に解除した他の壁よりも分厚いが、違いはそれだけで徐々に氷が溶け始めた。
それを感知したDragon Golemが、のしりと鈍重な動作で動く。横に。
一歩、二歩、三歩。下がるでも前に出るでもなく、真横に進み、丁度落され転がっている自分の頭部の前で立ち止まった。
(まさか拾ってくっつけ――拙い!)
「全員左右に別れて退避!」
瞬間的に鳴り響いた警報に逆らわず、Vandalieuは術を中断して逃げた。全員がそれに習って左右に別れる。
そこに黒光りするDragonの頭部が突っ込んできた。
何と、あのDragon Golemは転がっていた自分の頭部を蹴って、飛び道具にしたのだ!
『随分思い切りと頭の良いGolemだぜ!』
脆いglassのように魔氷を砕き、肉壁用のStone Golemを全て砕き、そのままかっ飛んでいくDragonの頭部をやり過ごしたBorkusが吐き捨てる。
「しかもあれは神の鉄、Orichalcum! Vandalieu -samaしか溶かせないはずのCurseの氷を砕いたのがその証拠よ!」
動揺が滲んだEleonoraの声で、Dragon Golemが何で出来ているのかが判明した。
Orichalcum。Mythril、Adamantite、ダマスカス、黒鋼、全ての魔導金属の上位互換であり、神しか扱えないと謳われるworldで最も貴重なlegendの金属。
それがこの全長三十meter程のDragon Golemのwhole bodyに使われているのだ。
「Weapon EquipmentやDefense Equipmentなら分かるけど、恐竜以上に大きいGolemに使うなんて飛んだGoddessね!」
『うわ、あれ全部持って帰ったら国が買えますよ』
「じゃあ、持って来てください」
『えっ?』
「Rita、Salire、Bone Man、皆はGolemのfragmentを集めてください」
そう指示を出しながら、Vandalieu本人はBorkusやEleonoraに続いて広間に駆け込む。
『ギギギギギギギッ!』
金属の軋みか咆哮か判別に迷う音を立てながら、Dragon Golemは鈍重に、しかし力強く荒れ狂っていた。
『ウオオオ! 【Dragon Slayer】!』
Borkusが己の誇る最高のMartial Artsを叩き込むが、それを受けたDragon Golemの罅だらけの腕は派手な衝突音を響かせただけで、新たな傷は刻まれない。
『クソカテェ! ごはあ゛!』
悪態をついたBorkusが腕に跳ね飛ばされ、まるで毬のように吹っ飛んでいく。付与magicも、脆いglassのように砕け散って役に立たない。
「Adamantiteより硬いOrichalcumに通じる訳無いでしょ」
それに呆れながら、Eleonoraは空を飛んでDragon Golemの隙を伺った。彼女の狙いはcertainly、Golemの胸に今もthrust刺さっているMagic Spearだ。
あれを引き抜いてWeapon Equipmentとして利用する、それが出来なくても柄を叩いてより深くGolemにthrust立てればDamageを与えられるはずだ。
Vandalieu以外の者が作ったGolemには、急所が存在する。原動力であるManaが込められた核が、頭部か胴体にあり、それは例えGoddess謹製のGolemでも例外では無いはず。
既にGolemに頭部は無いので、あの胴体に核があるはずだ。それを砕ければあのGolemは停止する。狙うならそれだ。
状況は……Borkusは壁に打ち付けられる前にVandalieuの【Impact-Negating Barrier】で止められている。VigaroはBorkusの剣が通じなかった時点で攻撃を諦め、Dragon Golemの気を引いて囮に徹する事にしたようだ。
Zadirisは風や光の術で攻撃を仕掛けているが、Mythril以上の対魔Defense Powerを持つOrichalcumの塊に彼女の術は通じない。
最も活躍しているのは、Bone Wolf達だろう。
『ウオオオオンッ!』
Rotten BeastからRank up出来なかった彼らは、VandalieuのManaを浴びる事でRank5のヘルズBeast、HELL鳥にRank upし、whole bodyのboneが鮮bloodの-samaな紅に変化した。
その紅いbody partで、砕けたDragon Golemのfragmentをchinに咥え、腕で持ち上げ、爪に引っかけて集めている。Dragon Golemが頭部のように飛び道具として使わないように、そしてそれを利用するためにだ。
『Bocchanっ、Golemに出来そうですか!?』
「……Manaが弾かれる、Golemにするのは無理」
だが、直接利用するのは難しいようだ。
「Vandalieu -sama、Golemの動きを止めて!」
なら自分の出番だと、Eleonoraが叫んだ。それに応えて、Vandalieuが【Golem Transmutation】で床をGolemに変える。
『ウオオオオン』
石造りの床からcountlessの腕が伸び、Dragon Golemの脚に組みつく。
『ギギギ』
しかし、それらはDragon Golemが動くだけで小枝のように折れ砕ける。動きは鈍重だが、力の強さは異常なほど高い。
しかしやはり頭部を失ったせいで判断Abilityに欠けているのか、それとも余程うっとうしいのか足元の床製Golemを破壊する事に集中し始めた。
「今っ!」
Eleonoraは【Super Acceleration】で自身の周囲の時間をAccelerationして、Dragon Golemの懐に飛び込む。
勢いそのままにMagic Spearを掴み、そのまま押し――ドズ!
「ガ!?」
Eleonoraが掴んだMagic Spearから、Curseの氷で出来た氷柱が発生して彼女の胸元にthrust刺さったのだ。
Artifactには所有者以外が触れると撃退する機能を備えている場合が多いと、知ってはいた。
「BAKANAっ、二百年以上経っているのにっ」
しかし、所有者の死後二百年以上が経っているのにまだ反応するとは思わなかった。
氷柱はEleonoraのheartを見事なほど貫いていた。もう助からない。だがVandalieuなら彼女の死後Undead Transformationして役立ててくれるだろう。ならまだ生きている内にworldで最も恐ろしいmasterのため、このMagic SpearをGolemの内部に少しでも押し込もう。
そのために背中に【Mana Bullet】を生じさせ、自分ごとMagic Spearに放つ。Magic Spearのmain bodyがOrichalcumだろうと、何も寄せ付けないCurseの氷に覆われていようと、これなら押し込む事ぐらいは出来る。
だが、最後の力で振り絞った【Mana Bullet】が掻き消えた。
『ヌオリャアアアア! 【Dragon Slayer】ィィィィ!』
「【Iron Slash】! 【Circular Axe Whip】!」
そしてとても剣や斧とは言えない不格好な金属塊を構えたBorkusとVigaroが、Dragon Golemにそれを叩き込む。
『ギギ!』
Dragon Golemのbody partが軋み、罅が広がって行く。
その事に驚きながらも、Eleonoraの意識が遠くなり……なったまま氷柱が砕けて投げ出され、気が付いたらVandalieuに見下ろされていた。
「すみません。危険は感じたんですけど、止めるのが間に合いませんでした。でも命と引き換えにってノリは勘弁してください」
「かっ……もう゛じ……わ……ごぼっ」
bloodを吐きながら役に立てなかった事を詫びるが、「楽にはならないので、黙っていた方が良いですよ」と言い放たれた。
そして、Eleonoraの見ている前でVandalieuのclawsが伸びる。
「体が小さいので、あげられるのはこれだけです」
ぽたぽたとEleonoraの顔に、Vandalieuのbloodが滴った。濃厚なManaの香りに、Eleonoraは反射的に口を開いてbloodの滴を受け入れる。
すると見る見るうちにheartの再生が始まった。ここまで破壊されたら再生しないはずなのだが。
「死を遠ざけましたから。俺のManaがある間は、致命傷は致命傷じゃありません。痛いでしょうが、頑張って治してください」
「もう……治ったわ。あなたのbloodのお蔭でね」
まさかheartを貫かれたのに、その直後に全快するとは。lipsに残ったVandalieuのbloodをtongueで舐め取れば、それだけでwhole bodyに力が溢れて来る。
素の口調でと言う命令が無ければ、Eleonoraは今すぐに彼を我が主よと称え、足に口づけをして感謝とLoyaltyを表していただろう。
しかし今は働きでLoyaltyを表すべき時だ。
「私にも剣を」
「えーと、ちょっと待ってくださいね」
しかし、Vandalieuは彼女にすぐ剣を作る事は出来なかった。
何せ今、三つのmagicを同時進行中なのだから。
Bone Bear達が拾い集めたOrichalcumのfragmentに、何とか柄だけ着けて辛うじてAxe TechniqueやSword Techniqueが使える形状の塊に形を整え、VigaroやBorkusに渡した粗製Orichalcum Weapon Equipment。それが形状Memory合金のように元のただの破片に戻ろうとするので、それをそれぞれ【Golem Transmutation】で止めるのに二つ。
Dragon Golemの足元の床をGolem Transformationして動きを邪魔するために一つ。
EleonoraのWeapon Equipmentを作ると、四つ目になる。
特にOrichalcumの形状を維持するのにManaがかなり喰われている。
「坊や、手が焼けそうに熱いのじゃが」
Zadirisが頭に治癒magicをかけ続けてくれているので、これでもマシなのだが。
「もうちょっとenduranceしてください」
「いや、自分の身を心配せんか」
「大丈夫、まだ【-Surpass Limits-】は有効ですから」
「坊や……もしかして限界の先は無限とか思っとりゃせんじゃろうな?」
「剣はもう良いわ! 大人しくここで見てるからっ!」
最近Smiling Faceで怒るZadirisと、慌てて前言を撤回するEleonora。彼女達の意思に沿って、Vandalieuも大人しくする事にした。
それに、もう見ているだけでも良さそうだ。
バギンゴガンギヂィと、BorkusとVigaroが粗製Weapon Equipmentを振るう度にDragon Golemの罅が大きく深くなって行く。
Dragon Golemの反撃は、作り直したStone Golem達が身を挺して囮を務め、砕け落ちたOrichalcumの破片は飛び道具に利用されないよう、Bone Monkey達が拾い集めてその都度捨てている。
Mikhailに半ば以上破壊され攻撃手段を減らされ、動きが硬く鈍重になったDragon Golemは、Damageを与える手段さえ見つければ敵ではない。
今も警戒すべきは、Eleonoraのheartを貫いたMagic Spearの自衛機能だけだ。それも、うっかり触らない-samaにすれば良いだけなので、実質的に脅威ではない。
大きな音を立てて、Dragon Golemの右脚が砕けた。残っていた片腕も、半ばで落ちた。
そして、先に落ちた破片を追うように胴体も崩れる-samaに倒れた。
勝った。
全員がそれを確信した。損害はStone Golemだけ。BorkusやVigaro、Bone Wolf達が勝鬨を上げる。
Vandalieuも、それを疑わなかった。Dragon Golemのずっと後ろの壁にある扉に、視線を向ける。それまで探す余裕も無かったが、あの扉の奥にResurrection Deviceがあるのだろう。
これでDarciaを生き返す事が出来る。
しかしその確信が全て、horrorに置き換わった。
「に――」
彼の叫びを遮って、Dragon Golemからcountlessの氷柱が爆発的に伸びた。