VandalieuがAldaの魂を加工しAlda's Factionが瓦解した事で、Vida's FactionのGodsはようやく自身のDivine Realmに戻る事が出来た。
『……死ぬほどきつい』
『RodcorteにCircle of Reincarnationを委託していた各another worldのGodsと交渉していた時よりきつい』
『十万年以上詰みあがっていた仕事の量がエグイ……』
『それもこれもGuduranisに負けたZuruwarnって奴が悪いんだ……』
『それだと、自業自得って事になるけど……いいの?』
『Goddess of Life and Love』Vidaは、自身のDivine Realmを訪ねて来た途端倒れて愚痴をこぼすZuruwarnに戸惑いながら声をかけた。
『まあ、自業自得なのは分かってるから』
『でもキツイ。以前と同じようにworldの維持管理に携わる事が出来るのは嬉しい、でもキツイ』
『残しておいたSubordinate God達も。任せて置いた仕事はきっちりやってくれていたけど……』
『さて、問題です。我は何度きついと言ったでしょう? 答えは我も知らん』
Zuruwarnだけではなく、Divine Realmから離れていたGreat God達が本来やるべき仕事……『Lambda』worldの維持管理は、VidaとAldaの戦いに加わらなかった神や、Alda's FactionがReignしていた時代に神に加わった新しいSubordinate God達によって行われてきた。
そうして水、土、space、時のattributeは今まで保たれて……いや、誤魔化してきた。しかし、Great Godが不在のままSubordinate Godだけで出来る事は限られている。
企業で例えると、社長不在で代理もいないまま部長達だけで何十年も会社を運営するようなものだ。
attributeによって細かな状況は異なるが、Zuruwarnが司るspace attributeは最も仕事が溜まっている部類だった。
originally space attributeの神は少ない。少ないのにDemon King Army、その後のVidaとAldaの戦いの結果、行動可能な神の数を更に減らしてしまった。その後、Alda's FactionがworldにReignしている間にラーバン等新しい神が数柱加わったが、失った数を補えるほどではなかった。
もちろん、仕事が溜まっていると言っても、それだけでLambda worldが滅びに瀕するほどではない。危機と評するほどではないが、対処しなければならない仕事が山のようにあるだけだ。
大雑把に表現すると、判子を押さなければならない書類でDivine Realmが満ちているようなconditionである。
つまり、Zuruwarnは書類を確認して判子を押す仕事に疲れて、VidaのDivine Realmに愚痴を零しに来たのである。
『ううっ、もうColaを飲みながらPizzaを食べる仕事だけして生きていきたい』
『そんな仕事は無いわ。『Evil God of Degenerate Corpulence』Mububujengeだって、生命attributeの維持管理に加わっているのよ。それとも飽食と肥満の神にでもなるつもり?』
そう言いながらも、Vidaは横たわるZuruwarnの腹を撫でてやる。彼が愚痴を零す相手にVidaを選んだのは、彼女にはそれなりに余裕があるからだった。
十万年以上己のDivine Realmから離れていたのはVidaも同じだが、生命attributeの管理は『God of Law and Life』と名乗っていたAldaが行っていた。
そのため、溜まっている仕事は殆どない。
尚、他のattributeの状況は……Aldaが健在だったLight Attribute、十万年前に滅びた『God of Wind and Art』Shizarionの代理としてSemi Great GodのNineroadがいるWind-AttributeはVidaの生命attributeと同じく仕事が溜まっていない。
Fire-Attributeの本来Great Godである『War-God of Fire and Destruction』Zantarkは、Demon King Armyの邪悪な神とFusionして変異してしまった。そのため以前のDivine Realmには戻れなくなっている。しかし、Semi Great GodとなったFarmoun Goldが五万年前まで代理をしていたのと、炎attributeの神はspace attributeの神よりだいぶ多いので状況はかなりマシだ。
そしてGreat Godの『Mother God of the Earth and Craftsmanship』Botinと主だった神がDemon King Armyとの戦いの最中にsealedされてしまった土attributeは、space attributeの次に仕事が溜まっている。
Great Godの『Goddess of Water and Knowledge』Periaが最近まで眠っているふりを続けていたWater-Attributeも、似たようなconditionだ。
そして時attributeは言うまでもない。space attributeと同じくらい神が少ないため、Ricklentは無心で書類に判を押す(のに相当する)仕事をしているだろう。
だが、Vidaも楽をしている訳ではない。
『そう言えば、VidaのCircle of Reincarnation systemとRodcorteのCircle of Reincarnation systemとの合一は上手くいっている?』
『Zuruwarn、本当はそれを聞きに来たのね』
Vidaは自身が組み立てたVida's New RacesのCircle of Reincarnationを司るsystemと、滅びたRodcorteのHumanやmonsters以外の全ての動植物のCircle of Reincarnationを司るsystemを一つにしようとしていた。
これは元RodcorteのFamiliar SpiritであるAran達も手伝っている。
『っで、具体的にどんな感じ?』
『ウフフ、全く進んでないわ』
そして、Great GodであるVidaの力をもってしても、それは難行だった。
『あ、やっぱり。我も難しそうだなーとは思ってたんだよね』
『そーなの。ただくっつけるだけなら簡単なんだけど、ただくっつけるだけだとダメなのよ。system的には問題無くても、Goddessとしてのprideと矜持が地に堕ちるわ』
二つのsystemをただ一つにするだけならすぐできる。しかし、その結果できるのは、reincarnation先がランダムなままのsystemだ。
輝かしいHeroやSage、聖人でも来世は虫や植物かもしれない。逆に、歴史に残るような大罪を犯して何一つ反省することなく死んだ悪党や外道でも、またVida's New Racesを含めたHumanにreincarnationするかもしれない。
現世での行いが全く考慮されないままになってしまう。
『それにHumanやElf、DwarfからVida's New Racesに変わったり、monstersがVandalieuに導かれた時にBugやerrorが出ないようにしたいし』
VampireやGhoul、Majin Race等のVida's New Racesへの変異は、VidaがRodcorteのCircle of Reincarnation systemから『Lambda』worldのHuman達を自分のCircle of Reincarnation systemへ移管するため施した仕組みだった。
そのため今は当初の目的は果たされているのだが、当時はRodcorteが消滅する可能性を全く想定していなかったため、Vida's New Racesへの変異を止められるようにしていなかったのだ。
だから、今もVampireを始めとしたVida's New Races達はHumanやElf、Dwarfを同族に変異させられるままだ。
また、Vandalieuはmonstersを導いてVida式Circle of Reincarnation systemへ魂を移管させる事が出来る。今までは問題なかったが、Rodcorteのsystemと合一した後に問題が起きるかもしれない。それを事前に防ぐためにも、Vidaは難しい作業に取り組み続けていた。
『Vandalieuも手伝ってくれているけど、大変なのよ』
『えっ、もう手伝ってるの?』
『ええ、今も手伝ってくれてるわよ。ほら』
ZuruwarnはVidaが手で指した方に視線を向けた。すると、Ammoniteのような生物が何匹もVidaのDivine Realmを漂うように泳いでいるのが見えた。
よく見ると被っている殻にいくつか目があり、tentacleを伸ばしてVida式Circle of Reincarnation systemで何か作業をしているようだ。
『……うわ、本当に手伝ってる。って、言うかやっぱり手伝えるんだ』
視線に気が付いたのか、tentacleを振って挨拶してくるAmmoniteモドキのVandalieuのsoul fragmentを眺めながら、しみじみと四つの頭でnod Zuruwarn。
Divine RealmでCircle of Reincarnationを司るsystemを操作できるなんて、Vandalieuってやっぱり神なんだなぁと改めて思う。
『death attributeの神だもの。Circle of Reincarnationに関わる概念を司るからか、作業する事は可能みたい。……あまり得意じゃなさそうだけれど、数でカバーするって』
『なるほど。ところで、このworldにとってのdeath attributeってどうなったのかな?』
基本的に、worldに存在するattributeは増えない。しかし、Guduranisの侵略とVandalieuのreincarnationによって、このworldには新たにdeath attributeが増えた。
そのため、管理しなければならないattributeが一つ増えた事になる。そのため、いずれdeath attributeの神がdeath attributeを管理する事になる。
『それもやっているみたい。『Origin』で神の一部になったVandalieuがいるから、やり方も分かるって』
『やっているって、何処で? VandalieuのDivine Realmなんてあったっけ?』
『Body Worldの一つでやっているみたいよ』
『うわぁ、Divine Realmが体内にあるのか……異例過ぎて何が凄いのかよくわからない』
なんと、VandalieuのDivine Realmは彼の体内に形成されていたのだった。
『しかし、Vandalieuも手伝っているのに進まないとは……我々が想定していたより難しいようだね』
『ええ。完成したとしても、Rodcorteのsystemのように時々maintenanceだけしていればいい全自動じゃなくて、私達が直接動かす手動のsystemになると思うわ。……本来は、そうであるべきなのでしょうね』
多くの動植物に比べて複雑で長い人生を生きるHumanを死後、来世に送るためのsystemだ。生前の行いを評価してreincarnation先を変えるのなら、完全に自立したsystemなんて神でも不可能だ。
『そう考えると、Rodcorteが生前の行いを一切評価せず、reincarnation先を完全にsystem任せに決める方式のsystemを作った理由も予想できる』
『複数のworldのCircle of Reincarnationを司っていたから、手動でsystemを動かすにはRodcorteだけでは手が足りないはずだ』
『複数のworldのGod of Reincarnationとして在り続けるためには、Circle of Reincarnation systemの自動化と効率化をthrust詰めるしかなかった』
『故に、手間を徹底的に排除した結果、あのsystemが出来上がったのだろう』
『なるほど。そうとも考えられるわね』
『ただのconjectureだけどね』
何せRodcorte本人は消滅しているし、元Familiar Spiritの三人もRodcorteの心情や過去なんて聞いたことがないため、今となっては知る由もない事だ。
Zuruwarnのconjectureは合っていて、RodcorteもGod of Reincarnationとして在り続けるためにsystemを動かしていたが、いつの間にsystemを動かす事自体が目的になっていたのかもしれない。
ただ、彼のconjectureは全くの的外れで、Rodcorteは最初から楽にsystemを動かすために、余計なものを最初からそぎ落として効率化を推し進めたのかもしれない。
当人が存在しない以上、どっちでも構わないが。
『ところで、仕事が進まないのは単に難しい作業が多いから?』
『それもあるけど、他にも『HELL』と呼ばれる場所を作るのと、死者を裁く裁判官役の勧誘が中々上手く行かないのが問題みたい』
『……HELL?』
死者の生前の行いを評価してreincarnation先を決めるなら、当然評価する存在が必要になる。
そして、reincarnation先を変えるなら死後即座に生まれ変わる事は出来ない。ある程度の、待ち時間が発生する。
そして、Vandalieuは死後のworldとしてHELLが必要であると考えていた。そして、HELLを作るなら天国も無ければならない。
「その振り分けを決める裁判官をあなたにやって欲しいと考えているのです、Jyarodeeps」
『正気とは思えない提案だ。以前から正気だとは思っていないが』
Vandalieuの提案を、Jyarodeepsは二つの首を傾げながら拒否した。
『我より適任である者はいくらでもいるだろう』
『元侵略者に、このworldに生きとし生ける知的生命体の人生の良し悪しを裁かせる等、Insanityの沙汰だ』
『Evil God of Sinful Chains』Jyarodeepsは、罪を司る神だ。そのため、知的生命体が生前犯した罪を暴く事は容易い。しかし、何を『罪』と定義するのかの基準が公平なものであるとは彼自身思っていない。
盗みは罪か? 罪ならば、どこまでが罪か? 誰かの懐や家から物をStealのは罪だ。しかし、鳥の巣から卵を奪うのは盗みではないのか? 鳥が家畜なら所有者の権利だと認められるが、野生の鳥の場合はどうだ?
人でない存在から奪うのは盗みではないとするなら、何をもって人とする? Jobに就ける事か? 高い知能を持つ事か? それとも姿かたちが人型である事か?
では、Jobに就けない者や、injureやdiseaseで障害を負って著しく知能が欠けたconditionであるHumanや、姿形が人型でない知的生命体は、Humanと定義されないのか?
そうした判断基準が、another worldからこのworldにやってきたEvil God (P)であるJyarodeepsは一般的なHumanとはかけ離れている。そして、それを彼は自覚している。
『我は野鳥から卵を採集しただけの者を罪人とは呼びたくない』
『我は、Humanではないからと人と同-samaに心を持つ存在を虐げた者の罪が問われない事に、耐えられそうもない』
「だからこそあなたに頼みたいと、俺とVidaは考えています」
そして、Vandalieuはそこまで考えるJyarodeepsだからこそ裁判官に相応しい神材だと考えていた。
「俺だと基準が偏りますし、判決も苛烈になるか逆に甘すぎるかのどちらかになるでしょう」
『『そうだろうな』』
そして、Vandalieuは自分が裁判官に向いていない自覚がある。数年前にHartner DuchyのSlave鉱山で犯罪Slaveを選別するなどしたが、彼は自分が気に入った方に肩入れしてしまう。
相手が過去に人を何人殺していようが、気に入れば気にしない。気にならなくなってしまう性分だ。
「自分で言った事ですが、そんなハッキリと言わなくても……」
『貴-donoの性格の問題ではなく、死者に対して著しい効果を発揮する魅了……Guidanceが問題だ』
『貴-donoを前にすれば、どんな死者でも貴-donoに夢中になる。改心するだけならともかく、狂ってしまうかもしれん』
『例えば、少しでも貴-donoの近くに居られるなら、自ら進んでHELLに落ちようとしたらどうなる?』
「それは困りますね」
生前の功罪を判断するための仕組み……必要なmagic item等はこれから作るのだが、そうした物があったとしても死者が自らの罪を進んで告白するか否かなども判決を下す材料になる。
それが不accurateになるのは歓迎できない。
やはり、自分が裁判官役に就任するのは無いなと思った。
『本来なら、こうした役目は法を司る神が適任だと思うが……あれだからな』
『仕方がない。適任の神が新たに生まれるまで、微力を尽くそう』
二つの頭でそれぞれため息を吐くと、Jyarodeepsは裁判官になる事に同意した。
おそらく、法を司る神の筆頭であるはずのAldaの体たらくを思い出し、「適任ではないから拒否する」のではなく、「適任でなくても、協力できることはやろう」と考え直したのだろう。
『しかし、やるのなら裁判の仕組みから考えねばならない。Vandalieu、貴-donoはどんな体制の裁判を想定している?』
「そう言えば、『Lambda』の裁判は俺が知っている物とは違いましたね」
『Lambda』worldでの刑事裁判は、基本的に為政者、もしくは為政者が定めた代理人が裁判官を務め、検察の役割は罪人を取り調べたGuardや法律に詳しいcivil officialが行う場合が多い。そして、弁護士は存在せず、多くの場合一審制である。
そして実は制度的には、Sacred EmpireになるまえのAmid Empireの方が『Earth』の法治国家に近い司法制度を採用している。
裁判は二審制……都市裁判所と高等裁判所で判決が争われ、体勢側から独立しているAlda Grand TempleのPriestの一人が選ばれ罪人の弁護を行う。
……もちろん、当時のAmid Empireで公平な裁判を受けられるのはEmpireがHumanと定義するHuman、Elf、Dwarfの三raceのみ。また、弁護人はついてもそれによって無罪が証明されるという事も滅多になかった。それどころか、罪人が犯した罪と担当するPriestの性格によっては、「せめてもの慈悲に、犯罪Slaveにするのではなく斬首刑に処していただきたい」と、減刑を希望しない場合もあったそうだ。
Alda templeのPriestは弁護士と違い依頼人に雇われている訳ではない。それどころか、Aldaの教えと自身の心情に沿って行動するので、容疑者の利益を優先するとは限らないのだ。
「一度の裁判で決めるのではなく何回かに分けて審議して判決を下す制度を考えています。また、死者を弁護する役割も設置しようと思います。
判決まで時間はかかる事になりますが、急ぐことは無いでしょう」
もちろん、裁判官をJyarodeepsだけがするわけでは無い、JyarodeepsのFamiliar SpiritやSpirit Cloneに仕事を割り振る事で、毎日出る大量の死者の裁きに対応するのだ。
今後加わる神も同-samaに。
『一先ずそれでいいだろう。神も間違いを犯す以上、一度の判断で判決を下すのは危険だ』
『侵略者だった我然り、Alda然り、Guduranis然り。全知全能の存在がいれば楽だったのだがな』
「そんなKami-samaがいたら、俺達は存在しませんよ」
全知全能の神が存在したら、そもそもDemon King Guduranisと配下だった邪悪なGodsは敗北し、どうにかされている。劣勢となりChampionをanother worldから召喚する事も無かっただろうから、ZakkartもBellwoodもこのworldに召喚される事は無かった。
今があるのは、神も間違いを犯す存在だからなのだ。
その頃Vandalieuの【Body World】では、countlessのDemon King FamiliarやDemon、Undead達が死後のworldを作るべく働いていた。
「師Artisan、あまり刑罰を細かく分けるのはお勧めできないな。師Artisanの【Body World】はMythのあの世程広くは無いのだからね」
「俺も同意見です。俺の【Body World】は円形のdome状。灼熱と極寒の地に分かれている訳でもありませんし、地下に向かって八層に分かれている訳ではありません」
VandalieuがHELLと聞いて思い浮かべるのは、『Earth』の仏教やキlist教のHELLだった。とはいってもあまり詳しくないし、それらをそのまま【Body World】で再現するのは無理がある。
参考にするために『Earthの神』に聞きに行ったら、想定していた以上に刑罰の種類が多かった。全てを再現していたら、とても面積が足りない。
「もっとも、そっくりそのまま真似するつもりはありませんでしたが。『Lambda』のMythに合わせて調整する予定でしたが……それも難しそうですね」
「あの世については、神や宗派ごとにバラバラに伝えられているからね」
『Lambda』worldでは、いわゆるあの世についてVida達Godsは詳しい事は語っていない。何せ、Rodcorteに外注していたのだから。
説明する時も、『死後はあらゆる生命が平等に扱われる』と言うように嘘はついていないが、端的な事実だけを語っている神が多かった。
しかし、VidaとAldaの戦いの後、Godsが地上に長く存在し続けられなくなると、各templeは人々の死後について-sama々なMythやlegendを創作し、人々に広めた。
『Lambda』worldであっても、死は人々にとって重大なthemeだ。神が直接教えを説く事が不可能になった時代に、人々の不安を取り除き、人生を生きる上で必要なguidelineを示すのはtempleの重要な役割だ。語らないわけにはいかない。
Alda's FactionのGodsはそれをDivine Realmから見ていたが、敢えて間違いを指摘しなかった。あの世に関する創作は、善悪のguidelineとして有用だったからだ。
それに、間違いを正そうとしてOracleを乱発するのは好ましくなかった。いずれrevivalするかもしれないVida's FactionのGodsや、Demon King Army Remnantsの邪悪なGodsとの戦いに備えなけばならないのに力を消費するし、Oracleは受け取るbeliever達の素質によって伝わり方が左右される。
『Aは間違っている。本当はB』だとOracleで伝えたとしても、受け取る者によっては『Aは――本当――』としか伝わらず、「そうか、やはりAという話は本当だったんだな!」と解釈されてしまう事が実際に珍しくなかった。
Undead Transformationした後もVidaのOracleをaccurateに受け取ったNuazaや、AldaのOracleを何度受け取っても内容を間違わなかったEileekのように、Oracleを受け取る素質に優れた者はそうそういないのだ。
ただ、Vida's New RacesがraceごとにPatron Godを奉って国を興したBoundary Mountain Range内部の国やDemon continent、Gartlandなどは王となった者は神と直接話す事が出来る機会があるため、死後のworldを含めたMythが創作される事はなかった。
「その創作されたあの世ってのは、どんなもんなんだ?」
VandalieuがどんなHELLをどうやって作るのか興味があった『元Majin King』のGodwinが尋ねる。彼は千年以上生きているが、その時間の殆どをBoundary Mountain Range内部で過ごしてきたのでHuman社会のtempleがどんな教えを広めていたのか知らないのだ。
……近年Orbaum Elective Kingdomと交流が始まったので、知る機会はあったのだが、その時は興味がなかったので知ろうとしなかったのだ。
「今は滅びたAmid Empireでは、生前に罪を裁かれなかった、裁かれても償い切れなかった罪人は死後にAldaの法廷で裁かれ、監獄で罪を償うまで刑罰を受ける事になる。というのが一般的だ。私も幼い頃、そう教わったよ。
……真実を知った後で思い返すと、創作だとしてもツッコミどころが多すぎるな」
「まあ、temple関係者がbelieverに説くのが目的ですからね。believerに、『だから悪い事はしてはいけない』と教えるのに都合がよくできています。
色々言いたくなりますが」
「確かにそうだが、酒を飲まずに愚痴を零しても暗くなるばかりだ。Orbaumの、特にAlda temple以外ではどうなんだ?」
「Orbaumの方は俺も詳しくないのですが――」
悪人は死後、Nineroad templeの場合はGodsの絵筆や楽器に変えられ、悪の心が美しく浄化されまるで芸術を生み出す道具となる。
FarmounのPriestは、性根が叩きなおされるまで修練場で厳しく鍛えられる。
Botin templeではGodsの金床の上に並べられ、悪の心が抜けきるまで何度でも炎で焼かれた後槌で叩かれ鍛造される。
Peria templeでは、何故罪を犯したのか全てを自ら明らかにするまで、水の無い荒野をさ迷い続ける。
そしてRicklent templeでは、Godsの研究の実験台にされ、Zuruwarn templeではGodsの玩具や素材にされる。
「……Ricklent templeとZuruwarn templeでだけ悪人の末路が、他と毛色が違うな」
「RicklentとZuruwarnの教義は特殊だからね」
Lucilianoが言うように、RicklentとZuruwarnの教義は善悪の基準を教えるというより、研究者や芸術家、発明家としての道を説くものだ。
もしかしたら、Alda templeが死後のworldについてMythを創作してしばらく経った頃、believerに我々の死後はどうなるのかについて問い合わされたRicklent templeやZuruwarn templeのPriestが、適当に捻りだしたのかもしれない。
「しかし、そのまま再現するのはたしかに無理だな」
まさか罪人とされた魂を実験台や玩具にしてもらう為に、いちいち神に来てもらうわけにはいかない。
「そもそも、魂を傷つけずに魂をいたぶる方法を研究するのが先ではないかね?」
「それもそうですね。HELLで行うのは刑罰であって処刑じゃありませんから」
魂を砕き、喰らう事が出来るVandalieuだが、悪人の魂をそうする事は出来ない。RodcorteがCircle of Reincarnation systemの管理者だった時ならともかく、今の管理者であるVidaにDamageを与える訳にはいかない。
また、魂を砕くに至らなくても傷つけすぎるのもいけない。魂が傷つくと、人は人格やMemoryを失っていく。悪人の人格やMemoryを尊ぶつもりは無いが、HELLに落として早々に廃人にして自分が何故罰を受けているのかも分からないconditionにしてしまうと、HELLの存在意義が薄れる。
「しかし、死人は魂とSpirit Formだけのconditionだ。魂を傷つけずに罰……苦痛を与えるのは難しいのだよね?」
魂はSpirit Formに包まれたconditionで存在している。なら、傷つけるのはSpirit Formだけにすればいいのではないかと思うかもしれないが、繰り返し傷つけると徐々にSpirit Formは綻び、魂にまでimpactが出てしまう。
「psychological苦痛を与える刑罰中心に考えるのは……それこそJyarodeepsのDivine Authorityのような力を使わないと難しいですし」
そして、psychological苦痛……生前の自分が行った所業を思い出させるとか、自分を責める被害者の幻を見せるとか、特定の個人にやるのならともかく、大勢の悪人に刑罰として科すのは難しい。
罪悪感に苛まれている悪人にならともかく、被害者に罵倒されても何も感じないような者も世の中には存在する。Body的な苦痛を与えるよりも、かなり難しい。
では、生きている囚人のように懲役を科すのはどうかというと、それも微妙だ。死者は老いないし、Fatigueも感じない。また、食事も睡眠も必要としない。
長く過酷な労働を劣悪な環境で過ごすのは不愉快だろうが、生きている頃に受けるのと比べるとさほど苦痛には感じないかもしれない。
「なら、悪人を専用のBodyに込めてから罰を与えればいいんじゃないか?」
その時、Godwinがそんな事を言いだした。
「ほれ、GolemやUndeadを作るのは得意技だろう? それで、悪人そっくりの仮のBodyを作って、痛みを感じるGolemなりUndeadなりにすれば、魂を傷つけずに罰を与えられるんじゃないか?」
Bodyが無い死者の魂を傷つけないよう罰を与えるのが難しいなら、Bodyを与えて罰すればいいじゃないか。Godwinの何気ない思い付きは、Vandalieuにとって衝撃的なideaだった。
「目からscaleだけではなくeyeballが落ちたような気分です」
「おい、それは大丈夫なのか?」
「まずは、俺がGod Alchemyで仮初のBodyを作って適当な極悪人の霊で試してみましょう。材料は……【Body World】の土や石、そして俺のbloodや【Demon King Fragment】を使って、【Body World】から脱走できない仕組みも作って」
こうして『Lambda』worldのHELL作りは進んでいく。