戦後処理の問題や『Evil God of Sinful Chains』Jyarodeepsとの対話など、Vandalieuにとって優先度の高い問題は片付いた。
他にもNineroadとそのbeliever達の動向や、生き残ったAlda's FactionのGods、そしてsealedしたDemon King Army Remnantsの邪悪なGods等、-sama々な諸問題がある。
しかし、そうした問題にばかり目を向けていたあまり、Vandalieuはanother worldで大きな試練に直面する事になった。
『な、なんと言う事でしょう。今からでもどうにか出来ませんか?』
「不可能です、主よ」
『国家権力とか、諜報organizationによる工作とか、プロパガンダとか』
「無理です、主よ」
United States大統領Sergeiは、縋りつくVandalieuの肩に手を置いて答えた。
「残念ながら……我が国は民主主義国家なのです。国民の、Vandalieu教のsymbolが欲しいという要望を否定する事は出来ません。
それにぶっちゃけ、大統領である私もがっつり関わっています」
Vandalieuが直面した試練。それは、『Origin』worldの人々がVandalieu教のsymbolとなる施設を欲している事だった。
AldaとBellwoodをその身に降ろしたHeinzとの戦いにおいて、勝敗を決める大きな要因になったVandalieuへの『Origin』worldの人々からの祈り。
その祈りに応えるため、Vandalieuは戦いが終わった後『Origin』worldの神となっている自分を通して人々に夢で「あなた達のお陰で勝つことが出来ました」とお礼のmessageを送った。
その結果、『Origin』worldの人々のVandalieuに対するreligionが爆発的に高まり、国境やHumanを超えてAccelerationした。
そして、人々はVandalieuを信仰するためのsymbol……いわゆる聖地やIdol Statue等の信仰の中心となる物を欲したのだ。
そして、Sergeiが大統領をしているUnited StatesではVandalieu教をthemeにしたtheme Parkの建設が決定した。
『Sergei、大統領のあなたが何故関わるのですか? theme Park建設を主導しているのは、俺を信仰する宗教法人でしょう? 政教分離は何処に行ったのですか?』
『Origin』worldに何時の間にかできていた、Vandalieu教の宗教法人。Vandalieu’s Divine Protectionを得た人々がnetなどを介して繋がっていく事で結成された団体である。
当然、『Origin』worldのUnited Statesにも大統領が議会を通さず、勝手に便宜を図るような事は法律で禁止されている。
「各州にバラバラに点在されるよりは、一か所に纏まってくれた方が良いと考えました。それに、religionの無い利益を得る事にしか興味のない輩が主の名を利用するより、社会のためかと。
それに、行っているのは私個人の寄付なので議会を通さなくても問題ありません」
そのため、Sergeiは法の許す範囲内で関わっていた。
それにVandalieu教の宗教法人を運営しているのは、Vandalieuがblessingsを与えた人々だ。そのため、Vandalieuを知っているSergeiにとっては、他のHumanに任せるよりも信用に値する。
『うう、やはり民意には勝てない』
Sergeiを説得する言葉が見つからなかったのか、Vandalieuはばったりと床に倒れ込む。Sergeiは反射的に支えようとしたが、脱力したVandalieuの体はSlimeのように掴みどころがなく指の間をすり抜けてしまった。
「主よ、我が国以外にも主を信仰するための施設の建設に動いている国やorganizationはworld中にあります。その中には民主主義国家ではない国もある。そちらに向かうべきではないでしょうか?」
「そうした国があるのは知っています。しかし、俺はそうした国の為政者とは直接知り合いではありません」
倒れ伏したまま述べたVandalieuの答えに、Sergeiは目が眩むほどの優越感と陶酔を覚えた。
主は選んだ結果この国にAdventし、自分の前でくつろぎ、願いに沿う事は出来ないが頼っている。おお、United Statesに栄光あれ。
そして実際、VandalieuはSergeiなら自分のselfishnessより大統領としての立場を選んで断ると信頼しているから、彼にselfishnessを言っている。
「Bandaのまねっ!」
そんなVandalieuの横で、冥がペタリと床に寝転ぶ。ちなみに、彼女に憑いているBandaも倒れ伏したまま動かない。
「冥っ、床に寝転んじゃダメだろ」
そんな冥を叱るのは母親のAmemiya Narumiではなく、兄のHiroshiである。彼らは今、『Origin』のUnited StatesのSergeiが用意した郊外の家に滞在していた。
「地面じゃないよ? 床だよ?」
「床でもダメなの。この国は家の中でも靴を脱がないのが普通なんだから」
「畏まりました。我が国も家の中では靴を脱ぐよう義務付けましょう。-kun、今日中に大統領令に署名をしたい。書類の作成とスピーチの原稿を頼む。報道官にも連絡を」
即座に動き出そうとするSergei。彼はどういう訳か、Vandalieu(神)よりも冥(Shrine Maiden)に忠実だった。
もしかしたら、冥を自身の息子を助けてくれたPlutoと同一視しているのかもしれない。
「うわあああっ!? ごめんなさいっ、待って!」
「大統領! 急すぎます! 署名するのは三日後にしましょう!」
「署名しなくていい! BandaでもVandalieuでもどっちでもいいから止めてくれ!」
そしてSergeiが連れてきた秘書も、熱狂的な冥believerだった。慌てるHiroshiは常識人が周りにいない事に気が付き、頭を抱えたくなった。
『Sergei、落ち着いてください。大統領令に署名して室内で靴を履くのを禁止したら、絶対議会が紛糾します』
「ご安心ください、主よ。議員の過半数が主を奉じ、残り半分も口先だけですが信仰しています」
『しまった、そうでした』
しかも、熱狂的な冥believerがいるのはここだけではない。United States政府の議会を構成する議員の過半数もそうだった。彼らは与党と野党に関係なく存在し、冥に関する事では日頃の利害関係を棚上げして団結する。団結した後、該当する問題が片付くと、棚の上に置いた利害関係を手元に戻すが。
残り半分の議員は、選挙活動中の演説でVandalieuやPlutoに感謝している、祈っている等と口にし、実際に寄付を行った者達だ。明らかに選挙のためのfashion信仰だが、ある意味彼らの方がreason的で頼れる政治家だ。
なお、彼らを当選させた有権者の中にVandalieu Believerは数割しかいない。意外な事に、そうでない有権者の方が多いのだ。
しかし、前大統領や前副大統領、そして政府高官が国民をRokudou Hijiriに売り渡した売国奴だった事が明らかになっていた。そのため、既存の政党は有権者からの支持をほぼ失っていた。
逆に、United Statesを含めたこのworldを守るためにAdventしたVandalieuを信仰し、夢で神と交信したと称する立Candidate者を有権者は支持したのだ。
もっとも、world的な政治不信の中で行われた選挙だったからこうなっただけで、次回以降の選挙では有権者は公約や政策、今までの実績などを重視して投票先を選んでくれるだろうと、Vandalieuは祈っている。
「大統領-sanも止めようよ。議会は通っても、絶対反対する人が出るだろ」
そして、Hiroshiが言うように反Sergei……反Vandalieu教派は早くもworld中で生まれている。今のところはそれぞれの国の、それぞれの場所で議論を戦わせているだけで暴力沙汰にはdevelopmentしていない。しかし、Sergeiが冥のためだと言って強権を振るえば、その限りではないだろう。
「大統領-san、ごめんね」
「いいえ、冥。-kunは何も悪くない。私がついjokeを言ってお兄-sanを困らせてしまったのがいけないんだ。そうだろう、-kun?」
「はい、大統領。私も先ほどの大統領のjokeに乗ってしまい、申し訳ありませんでした」
そして、冥にUnited Statesの文化を強引に変えるつもりは全くないので、すぐに事態は沈静化した。
「BandaもVandalieuもしっかりしろよな。父-sanとkaa-sanもお前には強く意見できないんだから」
「『以後気をつけます』」
しかし、Vandalieuの問題は沈静化も解決もしていない。むしろ、これからしばらくの間……おそらく十年程は沈静化しないだろう。
United Statesだけではなく、他の国にもVandalieu教関連の施設が次々に建つのは止められない。Vandalieuにできるのは、時が過ぎるのを待つだけだ。
(もう、俺には『Earth』しか残されていないのかもしれません)
Earth。Vandalieuが一度目の人生を生きたworld。各種recipeや知識を得た今では、全く心残りの無いworldだったが、『Earth』の人々はまだVandalieuの事を認知していない。そう言う意味で、『Earth』はVandalieuにとって重要な場所になりつつある。
しかし、『Earth』にVandalieuが行けば最後だ。
無意識に波長の合う人物を導いてしまうVandalieuが『Earth』に降り立てば、彼がそこで何もしなくても、指一本動かさず静止したままだったとしても、『Earth』のHumanを導いてしまうかもしれない。
そしてmaybe、この『Origin』と同じような状況になるだろう。
『EarthのGods』も『来ないでくれ!』と一致団結して訴えるだろうし。
「社会的名声のあるHonorary Nobleになりたかっただけなのに、何故いつの間にKami-samaをする事になったのでしょう?」
「う~ん、よくわからないけど凄い有名になってるじゃん」
「うんうん、皆Banda達の事知ってるよ」
遠い目をするVandalieuがHiroshiと冥の言葉を聞きながらこれまでの事を顧みると……だいたいほぼRodcorteのせいのように思えるが、もうRodcorteは存在しないので不毛な事は止めようと思ったのだった。
Vandalieuの復讐が終わってから更に十日ほど経ち、Orbaum Elective Kingdom側ではDuke Farzon領が正式に降伏した。
その前に、あるfemaleSClass adventurer二名とAClass adventurer groupが一つ、そしてDhampirのShoujoが姿を消した。
「船でContinentから出るつもりのようだ。行き先は聞かなかったが、誰も追うどころじゃないだろし、追う気も無いだろうからそのままだろうな」
まるで見てきたように報告する『True』Randolphだが、実は実際に『Five-colored blades』の生き残りのDaianaとJennifer、そしてDhampirのSelenにContinentから出るよう説得し、手引きしたのは彼だ。
「それは良かった。二度と彼女達に会いたくなかったので、助かりました」
彼女達にある目的のために接触するよう、Randolphに依頼したのはVandalieuだ。しかし、Continentから出るよう促したのは、Randolphの独自の判断である。
だが、VandalieuはRandolphならそうすると期待したうえで依頼したのだが。
何故そうしたのかというと、SelenがこのままDuke Farzon領のAlda templeに残っていると、Duke Farzon 家の戦争の責任を取らせるという名目で処刑されたり、逆恨みで殺されたりするかもしれないからだ。それはVandalieuにとって、面白くない展開だ。
VandalieuはSelen達と二度と会いたくないだけで、Selen達に死んでほしいわけじゃない。それどころか、神になってしまった今では、彼女達に未来永劫生き続けてほしいとすら思っている。数万年……いや何億何兆もの永い時があったとしても、現世に留まり続けてほしい。
なぜなら……死んだら魂が自分の前に来てしまうかもしれないから。
ちなみに、戦争……聖戦を起こした責任者は、Vandalieuから見れば『God of Law and Life』Alda本人以外にない。AldaがOracleを下して自らとそのSubordinate Godのbeliever達を扇動し、戦争を起こさせたのだから。
もっとも、そう言ったところで現Duke Farzonは公開処刑から、引退後に(毒入りの盃を煽って)Disease死ぐらいにしかならないだろうけれど。
「それはともかく、頼んだものは渡してきてくれましたか?」
「ああ。二人の遺髪は確かに渡した」
そして、VandalieuがRandolphに依頼したのは、HeinzとDelizahの遺髪をSelenに届ける事だ。こうする事で、Selen達の自分に対する恨みが減る事を期待したのである。
幸い、Delizahの脳を内側から喰らってBodyを乗っ取り、Heinzを攻撃した事は彼女達に知られていない。
「では、此方が依頼料になります」
「確かに受け取った。ただ、もうしばらく依頼は受けないからな。俺はadventurerを本格的に引退して、ドラマーになる」
「それはそれでしょっちゅう顔を会わせる事になりそうですね」
なお、Randolphはこの後、Kanakoから何故かvoice Trainingやdanceのlessonを受け、渋いmale Idolへの道を歩むことになるのだった。
一方その頃、Amid Sacred Empire側では、Sacred Empireはまだ正式に降伏していないが……Mirg Shield Nation以外の三国の属国それぞれにMashkzarとそのfamilyを引き渡したので、これから独立運動が激化するだろう。
そんな外のworldから隔離されたVandalieuのBody Worldの一つで、『Evil God of Cursed Poison』ドポペゼパルオは困惑していた。
『何のつもりだ? 何故我を見逃す? しかも、我が魂に巣くっていたGuduranisのsoul fragmentまで除去して』
「見逃したつもりはありません。ここは外とは隔離された場所です。Space-Attribute Magicでも使わなければ、外に出る事は出来ません」
そうVandalieuに告げられたドポペゼパルオは改めて周囲を見回した。辺り一面、草木一本生えていない荒野というより岩石が転がる砂漠のような地形が広がり、空には灰色の雲が垂れ込めている。風は殆ど吹かず、まるで価値を感じない場所だ。
唯一の特徴は、辺り一帯がPseudo-Divine Realmとなっているため力を消費せずに地上に留まる事が出来るようになっている事ぐらいだ。
『……』
なので、ドポペゼパルオはとりあえずDeadly Poisonを分泌した。ビチャビチャと明るい緑色や紫色のcolorfulな毒液が地面に降り注ぎ、毒々しい紫色の霧が空に立ち上る。
Vandalieuは半眼になると、無言のまま後ろに下がってドポペゼパルオから距離をとった。
『ふぅ……これで少しはマシになった。それで、結局我に何をするつもりだ? 先ほどの答えは、ここがどんな場所なのかに関する事だけで、態々我を滅ぼさずにこうしてsealedを解いた答えになっていない』
ドポペゼパルオは、Vandalieuを攻撃しようとしたつもりはなかった。ただ単に、毒にも薬にもならない無害で無味Dryingとした場所が、気に食わなかっただけだ。
殺風景なroomに観葉植物やインテリアを飾る感覚に近い。……そんな感覚で常人が無防備に吸ったり浴びたりしたら即死するようなDeadly Poisonを出した事から、ドポペゼパルオがどれほど危険な存在か分かるだろう。
「要件を聞く気はあるのですか? さっきのは俺への攻撃とみなされてもおかしくないと思いますが」
Vandalieuがそう抗議をしても、ドポペゼパルオはまったく気にした-sama子はない。
『Guduranisの魂やBodyのfragmentを喰らった貴公にとって、この程度の毒はただの水や湯気に等しいはず。それとも、脆弱なwormを扱うように愚弄した方が適切だったか?』
しかも、Vandalieuの前でDeadly Poisonを分泌したのは、ドポペゼパルオにとってそれなりの敬意を表した結果だった。これにはVandalieuも驚き、思わず後ろを振り返る。
一見すると、ここには彼とドポペゼパルオ以外誰もいないように見えたが……。
「偉大なるVandalieuよ、早々に打ち切ってもいいのではないかと愚考します」
彼の背後に音もなくEvil God in the back、Gufadgarnが出現した。
『自分も見限った方が良いと思うっスけど……でもまあ、面会の趣旨を考慮すればまだ早いとは思うッス』
『同意する。まだ話を始めてもいないのだ。要件を話してからでもいいだろう』
さらに、彼女に続いて『Evil Dragon God of Five Sins』Fidirg、『Magic God of Time and Arts』Ricklentが現れた。
ドポペゼパルオはFidirgの事は殆ど覚えていなかったが、Great GodであるRicklentの事はMemoryにしっかり留めていた。そんな大物が、何故Demon King Guduranisに仕えた邪悪なGodsの中でも有数の力を持ち、sealedから解かれた後も敵対した自分の前に現れたのか、理解できず困惑した。
「ドポペゼパルオ、これから行うのは面接です。これから、お前がこのworldの神としてやっていく事が出来るのか、それとも無理か、判断します」
そして、Vandalieuが態々この場を用意した理由はドポペゼパルオを始めとした、sealedされていたDemon King Army Remnantsの神の面接を行うためだった。
『God of Ice』Yupeonや『God of Judgement』Niltarkなど、Alda's FactionのGodsで滅ぼした方が良いとVandalieuが考える神が複数存在する。そして、sealedから目覚めたばかりで力が回復していないVida's FactionのGodsは大勢いる。そして人が新しく神になるには時間がかかる。
そのため、VandalieuやRicklent達Great Godは、Zakkartに倣って元Demon King Armyの邪悪な神でもこのworldで新たに、まっとうな神としてやっていく意思があるなら受け入れるべきだという考えに至ったのだった。
もっとも、九割九分無理だろうなとも思っているが。
全柱失格で当然。一柱でも合格すれば、ラッキー。その程度の認識だ。
魂を喰らって滅ぼす事はいつでもできるのだから、滅ぼす前にダメ元で試してみようという訳だ。
そうしたNuanceは、ドポペゼパルオにも伝わっていた。Vandalieu達に、自分を配下として欲する-sama子や、自分のAbilityを必要としている熱意のようなものは全くなかったからだ。
この面会とは、いわば死刑執行の前に念のために行う確認のようなもの。この、目の前に垂れてきた蜘蛛の糸を逃せばGuduranisのように魂を食われ滅ぼされてしまう。
『神としてやっていく? このworldでか。笑……いや……』
それを理解したうえで、笑止と言って嘲笑いかけたドポペゼパルオだったが、ふと自身が本気で出した業毒を全て飲み干し、「美味しい」と言ってのけた存在がいた事を思い出した。
十万年以上前、Demon King Guduranisに率いられ『Lambda』worldに現れたドポペゼパルオは、このworldに生息しているのは、自分が分泌する中で最もweak毒にも耐えられない、生きる価値のない脆弱な生物ばかりだと思っていた。
その認識は、Champion Bellwood達によってsealedされても変わらなかった。
毒に毒されないよう工夫を凝らすような醜悪な小賢しさは認められない。道具に頼って毒を防ぐのは、種としての、生命体として毒に耐えられない証拠でしかない。
だがあの異形の龍は、道具はもちろんmagicすら使わずにドポペゼパルオが全力で分泌した、最も強い毒を全て飲み干した。
あれほど強力な、そして大量の毒を飲み干す事は、ドポペゼパルオをDemon Kingのworldで奉じていたraceすら不可能だっただろう。
(もしかしたら、このworldの生物に生存の価値noneと断じた我が判断は間違っていたのか?)
そんなBAKANAと、動揺のあまり冷や汗……の代わりに毒が流れる。
「とりあえず、黙り込んだまま反応しなくなってしまったので俺達は俺達で勝手に話し合いましょう」
一方、Vandalieu達はドポペゼパルオが何をしても無反応……Vandalieuが目の前で分裂し、Fidirgと奇怪なdanceを踊ってもピクリとも動かなくなったので、勝手に話し合う事にした。
「では、ドポペゼパルオについて意見がある人。まずはGufadgarn」
「御意に、偉大なるVandalieuよ」
Demon King Armyから離反して十万年以上昔から『Lambda』worldの神として……よりもVandalieu's Closest Evil Godとしての在り方に重きを置いているが、貴重な意見が聞けるはずだ。
「ドポペゼパルオが分泌する毒は、このworldのHumanや生物やmonstersはもちろん、Demi-God等にも脅威となりえます。【Poison Resistance】や【Abnormal Condition Resistance】どころか、【Poison Nullification】や【Status Effect Immunity】skillの持ち主にも何らかの悪impactを与えます」
「え、そんなにですか?」
『ドポペゼパルオが本気で出した毒を【Nullification】skillでDetoxificationできる程度なら、奴はDemon King Armyの大幹部にはなっていなかっただろう』
『Champion達を召喚する前の我々の主力は、Demi-Godを除けばBodyを持たない我々のような神とSpirit CloneやFamiliar Spirit、Heroic spirit達だ』
『そんな、本来なら毒せない存在をも毒すことができるから、奴はGuduranisに大幹部を任されたのだ。流石にMardukeやZerno、Ganpaplioは奴が全力で放った毒にも耐える事が出来たが』
驚くVandalieuに、現在過去未来を表す三人の姿を持つRicklentが、それぞれの口で説明する。
言われてみれば確かに、Guduranisが神に対して有効な攻撃手段を持たない邪悪な神を大幹部に据えるとは思えない。
ドポペゼパルオが直接Manaを込めて分泌する、本気の業毒の前には【Resistance】skill程度では気休めにしかならず、【Nullification】skillでも長時間、もしくは大量に毒を取り込めば、防ぎきれず死に至る危険性がある。
そんなドポペゼパルオを当時のChampion達はどうやってsealedしたのかというと……Zakkart達Production related Champion達が作った防護服を鎧の下に着て、酸素ボンベを装着して外部の全てを遮断したBellwood達戦闘系Championが、防護服が溶ける前に攻撃して倒してsealedしたらしい。
ドポペゼパルオの毒は、あくまでも毒。呪と違って物理的な接触や吸引を防げば防げるのだ。
「ところで、Bakunawaはその毒を全て飲み干し続けても平気でしたよ? それに、俺もmaybe平気です」
『『『汝らは特別、もしくは例外だ』』』
と言う事らしい。
そんなVandalieuやBakunawa以外に危険な毒を作れる存在だから危険だと主張しているのかと思ったが、そうではなかった。
「しかし、奴が分泌する毒は問題ではありません。私が問題視しているのは、奴からこのworldの神になる意思が感じ取れない事です。
偉大なるVandalieuよ、意志さえあれば何とでもなります。逆に、意志がなければどうにもなりません」
Gufadgarnがドポペゼパルオを見込みなしと判断した理由は、彼にこのworldで共存していく意思が見られない事だった。
Mental論だけで現実は変わらない。しかし、意志もないのではそもそも現実が変わるはずがない。特に、神は。
このworldに適応する意志さえあれば、another worldから来た邪悪なGodsであっても意外とどうにかなる。それはGufadgarn自身やFidirg、そしてこの場にはいないが『Evil God of Sinful Chains』Jyarodeepsが証明している。
性質を変え、新たなbelieverに寄り添い、新しい在り方を見出せばいいのだ。そこに至るまでの間に、変化に伴って耐えがたい苦痛を味わうかもしれないが、生まれたworldとは全く異なるanother worldに適応するのだから、それぐらいは当然だろう。
そのため、ドポペゼパルオ本人に意志がないのでは仕方がない。脅して無理やり、と言う事も可能だろうがそれでは意志が長続きしない。隙を見て逃げ出そうとするだろう。
『たしかに一理ある』
『しかし、早々に見限ってはこの面会を行う意味は最初からない』
『ダメでoriginallyとはいえ、新たなbrothersとなりえるか、より時間をかけて判断するべきだ』
そして、RicklentはGufadgarnの主張に対してそう意見を述べた。
Gufadgarnの意見も正しいが、面接するのはこの前Aldaがsealedを解く間で眠ったままだったDemon King Armyの大幹部やその配下。彼らの時間はついこの間までDemon King Guduranisが健在だった約十万年前で止まっていた。そして、この前はAldaによってGuduranisのsoul fragmentが埋め込まれていた。
そんなconditionから再びsealedを解かれて目覚めたばかりで、このworldに適応しようと考えるのは無理だ。ダメでoriginallyとはいえ、もっと時間をかけるべきだと主張している。
『それで、ドポペゼパルオなんスけど、maybeこいつ、美醜や善悪の判断が毒に耐えられるか否かだけで決めてるんだと思うっス』
『我々のworldには、美醜や善悪、優劣や快不快等の判断基準が一つに纏まっている神もいた』
『もっとも、そうした神の殆どはZakkartの話に耳を貸さなかったし、戦争を生き残った後もVida's Factionに転向しようとは思わなかったから、今のVida's Factionには一柱を除いていないが』
「別々の価値観の基準が一つに纏まっているとは、面妖ですね」
毒に耐えられる存在は美しい、毒に耐えられる存在は善、毒に耐えられる存在は優れており、心地よい。
逆に、毒に耐えられない存在は醜く、悪で、劣っていて不快。
Vandalieuだってmuscleだけで美醜や善悪、優劣や快不快を判断しない。そんな彼にとってドポペゼパルオの価値基準は面妖としか言えなかった。
「ちなみに、その一柱は……?」
『もちろん彼女ッス』
なお、Vida's Factionにいるドポペゼパルオと同じTypeの神とは、Fidirgが目で指した『Evil God of Labyrinths』Gufadgarnである。
彼女の場合の基準は、毒に耐えられるか否かではなく、Vandalieuだが。もしかして、彼女がドポペゼパルオに厳しいのは、一つの基準しか持たない自分のような存在の危険性を自覚しているからかもしれない。
「では、もう少し時間をかけて話す事にしましょう」
しかし、VandalieuはGufadgarnと同じと考えるとある程度理解……共感は出来ないが、「こう考えているのか」と想像して納得する事は出来る気がしてきた。
そのため、ドポペゼパルオとの対話をもう少し続けてみようと考える。
『……あの龍はどうしている?』
しかし、それより先にドポペゼパルオの方から話しかけてきた。
「Bakunawaの事ですか?」
ドポペゼパルオが「あの龍」と指すのは、彼がsealedされるまでの間、彼の毒を飲み続けたBakunawa以外にいないだろうとconjectureしてnameを出すと、正しかったようだ。
『Bakunawaというのか。我が分泌した神をも毒す毒を、Demon King Guduranisですら耐えられはしても決して自分からは触れようとはしなかった毒を、美味であると全て飲み干したあの龍は』
そう言いながら遠い目をするドポペゼパルオ。同時に、Bakunawaの規格外さを改めて知ったRicklentとFidirgの瞳が遠くを見つめる。
「ええ、そのBakunawaがどうかしましたか?」
『あの後、意識を失ったり臓腑が腐ったり、bloodを吐いたりはしていないか?』
「いえ、元気いっぱいです」
今この時も義理の姉のElizabethと彼女のparty memberと一緒にピクニックをしている。『美味しいよ~』とおやつを勧めて、全力で拒否されているところだ。
なお、BakunawaがElizabeth達に勧めているおやつは、おやつ用Demon King Familiar……つまりVandalieuのCloneである。
『そうか……。あのBakunawaとは、どのような存在なのだ? 我がこのworldに来た頃は存在していなかったはずだが』
「俺とTiamatの息子です」
ドポペゼパルオはその答えを聞いて暫く黙っていたが、突如地面に降り立った。そして、神妙な-sama子で告げた。
『貴-sama……いや、貴-donoに服従しよう。魂を喰らって滅ぼすも、下僕に加えるも、貴-donoの自由だ。我はこのworldの住人について……判断を誤った』
急な掌返しだが、Bakunawaの事を聞かれた時からこうなるのではないかと察していたVandalieuは、驚かずに尋ねた。
「念のために聞きますが、何故そう思ったのですか?」
『むろん、貴-donoの子、Bakunawaだ。我の毒を飲み干し、美味であると言い、糧とする。かの龍は、全てを超越した至高の存在だ』
自身の毒に耐えられるか否かを全ての価値基準としているドポペゼパルオにとって、Bakunawaは至高の存在に等しかった。
今のドポペゼパルオにとって、Bakunawaはかつての主であるGuduranisを含めた全ての存在より美しく、正しく、偉大で、価値のある至高の存在だ。
そんなBakunawaを育んだこのworldの存在が、生きる価値が無いはずがない。
つまり、十万年前の自身が下した判断が間違いだったのだ。
「では、このworldの新たな神として転職ならぬ転界してもらいますが……どうしましょうか?」
『どう考えても、普通にその辺に居てもらうのは大問題っスね』
ドポペゼパルオが暴れまわった時代から約十万年が過ぎ、彼に直接恨みを持っている存在はそれこそGodsぐらいだろう。
しかし、その教義の特殊性から、Human社会でやっていけるとは考えにくい。Vida's New Racesの社会でも同-samaだ。毒を含めたStatus Effectに強いraceも存在するが、毒を好んでいる訳ではない。
そこで悩んだ結果……YorishiroとしてArtifactを作って、Bakunawaと一緒にいてもらう事にしたのだった。
なお、AldaがGuduranisのsoul fragmentを埋め込んでsealedを解いた他の邪悪なGodsは、面接の結果全て失格となったのだった。