『Evil God of Sinful Chains』Jyarodeepsにとって、彼のFirst印象は奇妙奇天烈だった。
短い時間でもはっきりわかった。signはGuduranisに近いのに、言動が全く異なる。自分の感覚がおかしくなったのかと思ったほどだ。
(なるほど。だから、AldaはあのHumanをここへ寄越してBellwoodを目覚めさせたのか)
しかし、同時にひどく腑に落ちた。
AldaのDivine Realmに造られたこの暗いroomに閉じ込められたJyarodeepsは、外の情報を知る手段がない。
その名はBellwoodと相打ちになったEvil God (P)としてMythに残り、畏怖はされていても彼を奉じる教団は途絶え、その教義を知る者は存在しない。そのため、Jyarodeepsは神でありながらbelieverを見る事で外の-sama子を知る事は出来ない。
体中を杭だらけにされたまま五万年以上の時を過ごすしかなかった。
だからHeinz達『Five-colored blades』がここに現れた時、内心では驚きを覚えていた。AldaがHumanをDivine Realmに入れてまでBellwoodを起こそうとする、何が起きたのかと。
Aldaのただの失態かDemon King ArmyのRemnantsに裏をかかれたのかはともかく、何らかの原因でGuduranisの魂とBodyのsealedが解けてrevivalしてしまったのか。
はたまた、another worldから別のDemon Kingが侵略にやって来たのか。
それとも、sealedからrevivedのはVidaの方か。
もしくは、目覚めた他のGreat GodがVidaと同-samaにAldaと対決姿勢をとったのか。
少し考えるだけで、いくらでもconjectureする事が出来た。そして、少し考えただけではどのconjectureが正しいのか確信できなかったので、Heinzごと目覚めたBellwoodに攻撃を仕掛け……今度は完全にsealedされ意識が途切れた。
そして、Jyarodeepsの感覚ではつい先ほど不意にsealedが緩んで目が覚めた。訳が分からなかった。Aldaの目の届かないところで何万年も放置されていれば、【Pile of Law】が緩む可能性もあったかもしれない。しかし、ここはそのAldaのDivine Realmだ。時間の経過で杭が緩むなんてことは起こりえない。
考えられるとしたら、Alda自身の身に何か起きた……それこそsealedされるか、消滅したかだ。しかし、だとしたら彼のDivine Realmの一部であるはずのここが無事であるわけがない。
とりあえず、sealedの隙間から出せる程度のか細い鎖を出して-sama子を見ていたら、Zuruwarn達Great GodとVandalieuが現れたのだ。
(あの時のconjectureは、どれも正しかった訳か)
Vidaがsealedからrevivalし、他のGreat Godも目覚めてAldaではなく彼女の側に付いた。そして、Guduranisの魂とBodyのfragmentのsealedが解けた。後者の方は、Guduranisとしてrevivedのではなく、何かにAbsorptionされてしまったようだが。
GuduranisがAbsorptionされた事は信じ難いが、それよりも驚くべきなのはGuduranisをAbsorptionした何かが、Great God達と共にいる事だ。
『初めまして。俺はVandalieuと申します』
『……『Evil God of Sinful Chains』……Jyarodeepsだ』
こうしてGuduranisをAbsorptionしたらしい存在、Vandalieuと言葉を交わすだけでもJyarodeepsにとっては驚愕に値した。
「初めまして」と名乗った以上、Jyarodeepsとは初めて会うのだろう。つまり、Demon King Armyに所属していない、Human出身の存在という事だが……Infestされれば例外無く正気を失う【Demon King Fragment】をAbsorptionしておいて、何故正気を保てているのか。
もしや、このVandalieuとは神をも超越した強靭なMental力の持ち主なのか? とも思うが、それとは何か雰囲気が違う気がする。
『ここには話し合いのために来たのですが、そのままのconditionで話せますか?』
『……声を出すのも苦しい。感覚も制限されている』
『Pile of Law』が緩んで僅かな隙間が出来たおかげで、Jyarodeepsはこうして目覚めている。しかし、『Pile of Law』が緩んで目覚めたせいで苦痛を感じるようにもなっていた。
五万年以上体中杭だらけにされていたので、痛みにもある程度慣れたが……今はHeinz達と遭遇した時よりも刺さっている杭の数が増えている。
しかし、『Pile of Law』を抜くにしてもAlda自身でもない限り時間がかかるだろう。
『では、何本か抜きますね。痛かったら言ってくださいね』
しかし、Vandalieuはそう言うと、杭の一本を五本のtentacle……指で掴むと、引き抜いて握り砕いた。遠くから、微かにscreechのような叫び声が聞こえた気がする。
『Vandalieu……痛いと言っているようだが?』
『そうですか』
叫び声の主はDivine Authorityを砕かれたAldaだろうと分かっているVandalieuだったが、あっさり無視した。
『まあ、仕方ないか。ここまでする必要もないだろうに、これほど杭を打ったあいつが悪い』
『効果に関係ない、完全に私怨だろうしな。しかし、『Pile of Law』が効いているという事は……Aldaは気が付かないほど頭にbloodが上っていたのか、それとも分かっていて目をそらし続けたのか……』
『私が刺された数の何倍も刺さっているものね。凄いわ』
『……Vidaよ、光栄だとでも言うべきだろうか? ああ、『話し合い』にはもう支障はない。もう結構だ。感謝する』
Jyarodeepsは、Vandalieuがあっさり『Pile of Law』を砕いた事に驚き、やはりAldaは健在のようだが自由とは程遠い立場に置かれているようだとconjectureした。
『そうですか? では、まず話し合いの趣旨ですが……とりあえず、外で何が起きたのかを話してから、あなたの事を尋ねますね。それで、このworldで新たな神としてやっていくか否かを考えてもらいたいのです』
それからVandalieu達はJyarodeepsに彼がAldaのDivine Realmに囚われた後の大まかなLambda worldの歴史や、Vandalieuがreincarnationしてから現在に至るまでの出来事などを伝えた。
JyarodeepsはVandalieuがanother worldからreincarnationしてきたHumanである事に驚きつつも、彼がDemon King GuduranisをAbsorptionして新たな神に至った事は冷静に受け止める事が出来た。
Jyarodeeps達邪悪なGodsがoriginallyいたworldでは、raceごとに最も強大な存在が神となり、その神の中でも最も強い存在がDemon Kingを名乗っていた。
つまり、Lambda worldで猛威を振るったDemon King Guduranisも、最初はただの生物だったのだ。
それにこのLambda worldでも、生物から……Humanから神に至った例はいくらでもある。なら、originally HumanであるVandalieuがGuduranisを超える存在になったとしても……驚愕に値するが、あり得なくはない。
実際、目の前にいるのだから。another worldから召喚されたChampionでもないのに、神……それもGreat Godに準じる力があったBellwoodをその身に降ろせたHeinzといい、Humanの進歩は彼の想定を大きく超えていたようだ。
『そうか、哀れな。ここで眠り続けた方が……いや、それはこれから決まる事か』
JyarodeepsはBellwoodやHeinzとDelizahの消滅について、そう感想を述べただけで沈黙した。
Bellwoodが目覚めた事でAldaが動き出し、その結果Aldaのrunawayは止まった。なら、Bellwoodが目覚め滅びた事にも意味があるのだろう。それに、目覚めたBellwoodを再び眠らせられず、Heinzに斬られたのは、そもそも自らの非力故。それを棚に上げて憐れむべきではないと考えたのかもしれない。
『だが、我は礼を述べ汝を讃える義務がある。我が目覚めるのを止められなかったBellwoodを滅ぼし、Aldaとそのfanatic達を止め、多くの人々を守ってくれた。
汝に感謝と敬意を』
『光栄です』
VandalieuはJyarodeepsからの礼を素直に受け取った。ここまで話している間にJyarodeepsの人柄(神柄?)については分かったので、Evil God (P)らしくない……一部のGods以上に神らしい態度にも戸惑わずに対応している。
『それで、あなたのこれからの事ですが、このworldのGodsとしてworldの存続に協力してもらえませんか?』
そして、Vandalieu達はそれまでの-sama子からJyarodeepsにはDemon King Army RemnantsのGodsとは違い、危険性は無いと判断していた。
『Evil God of Sinful Chains』Jyarodeepsの教義は、簡単に言えば「全ての存在は罪と共に在る」とし、「己の罪を自覚する事」と「罪を償う事」だ。罪を犯せと唆す事でもなく、他者に罪を着せて陥れる事を推奨するものでもない。
命を弄ぶことを推奨する『Evil God of Joyful Life』Hihiryushukakaや、生贄を求める他のDemon King Army RemnantsのGodsとは大違いだ。
もちろん、「罪を償う事」を推奨するあまり自身を罰する事を勧める訳でも、日常生活や結婚や子育てなど人生において重要な事を「罪人だから」という理由で制限している訳ではない。
Jyarodeepsはそうした、believer達の人生に密接に関わる部分をどうするかは、基本的にbeliever達自身に任せていた。
よほどやり過ぎだと感じた時はOracle等で直接語り掛けるが、それだけだ。
Jyarodeepsは自身が人とは異なる存在である事を自覚していたため、自分が口を出すのは出来るだけ控えるべきだと考えていたからだ。……それ以上に、自身もこのworldにとっては元侵略者。Demon King Guduranisの配下として、多くの人々の命を奪った罪人だ。罪人が罪人に「こうするべき」等と講釈を垂れるなど噴飯ものだろうと考えていた。
そう言う意味では、Jyarodeepsは自身の教義を実践しているのかもしれない。
『是非もない申し出だ。こうしてAldaにsealedされるまでは、そうなる事を目指していた……』
このworldとHumanを彼なりに愛するようになったJyarodeepsは、過去を償う方法としてVida's Factionへの合流を目指していた。
元侵略者として裁かれ罰を受ける道もあったが、JyarodeepsにはAldaや当時のBellwoodがそれにふさわしい存在には思えなかった。
そして、それは正しかったと確信している。
『新たなるbrothersよ、当時は接触できず、すまなかった』
『偉大なるGreat God、Ricklentよ。気持ちは受け取ろう。だが、そうなって当然の事柄だ』
RicklentやZuruwarnがDemon King Guduranisにやられてから約五万年眠り続けた責任は、当時Demon King Armyの一員だったJyarodeepsにもあると、彼自身は考えていた。
そもそも、Bellwoodを眠らせる前のJyarodeepsは少数のbelieverを抱えるだけのDemon King Army RemnantsのEvil God (P)でしかなく、彼がVida's Factionへの合流を求めていると知る存在はほぼいなかった。彼がAldaのDivine Realmに囚われる前にRicklentが接触できなかったとしても、当然の成り行きだ。
それに、Jyarodeepsが五万年前の段階でVida's Factionへの転向に成功していたら、Bellwoodを眠らせる事が出来なかったかもしれない。すると、Bellwoodの不在によってFarmoun Goldが正気に戻る事もなく、Nineroadと同じようにAlda's FactionにFire-AttributeのSemi Great Godとして在ったかもしれない。
『そうなるべくしてなった。それだけだ。
しかし……これからは力を借りたい。もはや地上に残る我の名は、Bellwoodと相打ちになったEvil God (P)というだけのようだ』
今でも『Evil God of Sinful Chains』の名は残っているが、それはJyarodeepsが言ったようにHeroic God Bellwoodと相打ちになった事への畏怖や恐れが中心で、彼本来の教義は失われてしまった。
Alda教への反発や、反体制のsymbolとして『Evil God of Sinful Chains』を信仰するorganizationが存在したが、その信仰は彼本来の教義とはかけ離れており、全く届いていない。
Jyarodeepsと同じようなconditionになった元Demon King Armyの邪悪な神は、波長の合う人物を見つけてOracleでbelieverとなり布教してほしいと頼む(誘惑する)か、believerとなるmonstersをCreationするかの二択を迫られる。
前者を選んだのがDemon continentを追われた『Evil god of release』Ravovifardで、彼は当時EmpireだったNoble Orc kingdomのBugitas皇子に語り掛けてbelieverとし、布教の足掛かりを得た。
そして後者を選んだ例は『Evil Dragon God of Five Sins』Fidirgだ。彼はLizardmanをCreationし、自らを信仰するcommunityを構築した。そして、『Raging Evil Dragon God』ルフェズフォルのように、他の神のbelieverを乗っ取るという選択肢もある。
しかし、Jyarodeepsとしては目の前にそれ以外の選択肢をとれる存在……神でありながらDemon Kingであり、人でもあるVandalieuがいるので、素直に彼を頼る事にした。
『もちろんです。from here帰ったら、さっそく各地にIdol Statueを建立しましょう』
そして、VandalieuはJyarodeepsのIdol Statueの建立を最優先にするようNuaza達に話すつもりだった。そうする事で、自分のIdol Statueが作られるのを遅らせる事が出来るかもしれない。
【神】にJob changeしたので、人でもあり神でもあるという意味での現人神になるのは諦めている。しかし、色々と受け入れるための心の準備期間が欲しい。できれば永劫に等しい時間。
『Origin』worldの方ではもうかなり大々的に祈られているようだが……あそこはまだGiant Idol Statueを建造してないからいい。
『では、とりあえず残りの『Pile of Law』を解除しますね』
しかし、まずはsealedから解くのが先決だ。Vandalieuはまだ百本以上刺さっている杭を手早く砕くために、新たに手を増やした。
『待った、Vandalieu。その……Divine Authorityを一度に砕いて、彼は大丈夫だろうか?』
しかし、Botinがそう言ってVandalieuを止める。視線は明後日の方向に逸らして……いや、その方向にAldaがいるのだろう。
Divine Authorityを砕かれると、その主である神はSpirit Cloneを砕かれるほどではないがDamageを受ける。先ほど杭を一本砕いた時も、Aldaのscreechが響いていた。
本来のAldaならDivine Authorityを何百本砕かれても致命的なDamageは受けない。一晩寝込む程度で済むだろう。しかし、今のAldaはVandalieuに魂を加工されたばかりだ。Botinは、その加工されたAldaが耐えられるかどうかを心配しているのだろう。
『まあ、大丈夫でしょ』
しかし、Vandalieuの代わりにZuruwarnがそう答えた。
『Zuruwarn……また雑な事を』
『Botin、雑とは心外だ。我なりに根拠のある考えだ。Firstに、Jyarodeepsをこれ以上AldaのDivine Realmに囚われの身にしておくのは我々の心が痛む。第二に、やるならAldaのbelieverがまだ多い内にやった方が良い』
聖戦でVandalieuが勝利してから、まだ一日しか過ぎていない。Godsはともかく、Human社会にはまだ情報が知れ渡っていないのだ。VandalieuのCloneであるDemon King Familiarから直接情報を得られる者達や、その近しい人々以外は。
そのため、Amid Sacred EmpireのAldaやAlda's FactionのGodsのbelieverはまだ大きく減ってはいない。
Damageを負うなら、彼等からの信仰で回復できるうちに負った方が良い。Zuruwarnはそう考えたようだ。
『傷も勢いよく切った傷の方が、ゆっくり切られた傷よりも治りが速いという。いっそ一思いにやった方が、奴にとっても良いのだろう』
『なるほど。確かにその通りだね』
ZantarkもZuruwarnに同意し、Botinも納得した。
『では、一気に行きますね』
Vandalieuはcountlessに増えた手を伸ばし、countlessの杭を掴み……一気に引き抜き、砕いた。
Divine Realmに、Aldaの絶叫が響き渡ったという。
AldaのDivine Realmから解放されたJyarodeepsは、さっそく布教に乗り出す……ような事はせず、ひとまず-sama子を見る事を選んだ。
『解放感のあまり、何か過ちを犯すかもしれん。それに、我がsealedされてから五万年以上の時が過ぎた。さぞ人の世も変わっているだろう』
originally大多数に信仰される質の神ではないJyarodeepsは、自身の布教に関してかなり消極的だった。believer不足で消滅したい訳ではないが、自身のbelieverを多数派にしようとはfragmentも思っていない。
『教義の基本的な部分を変えるつもりはない。しかし、その細部や伝え方は変えるべきかもしれない。そのために現代の世を学び、考える時間が欲しい。
……本来なら、それも神である我ではなく人が考えるべき事なのだがな』
神がどんなに人に寄り添っても、人にはなれない。所詮は神に過ぎないから、人に教えを伝えるのは人が最も適している。しかし、Jyarodeepsを奉じるbelieverは長い時間が過ぎる間に途切れているため、Jyarodeepsがやるしかない。
『俺が伝えましょうか?』
『貴-kunの言動もだいぶ常人からは外れてきているぞ』
その例外であるVandalieuがそう提案するも、Jyarodeepsに一蹴された。
『……自覚がないわけではないです』
『それに、気持ちはありがたいが我は汝のSubordinate Godになるわけではないのだ。布教を他の神に頼るわけにはいかないだろう』
『でも、具体的にどうするの? 人の目を通して知ろうにも、believerがいないのではそれも無理でしょう?』
『GufadgarnのようにYorishiroを新たに作るには時間がかかるし、VidaとDarciaのように神の化身になれるほど波長の合うHumanはそうそう見つからないはずだよ?』
PeriaとBotinに問われたJyarodeepsは、二つの頭部で皮肉げに笑って答えた。
『Dungeonでも作り、その奥で攻略する者を待って勧誘するとしよう。Vandalieuが我の像をtempleに祀ってくれるおかげで、幸いにも時間はいくらでもある。百年でも千年でも待てばいい』
Humanは長くても百年生きるかどうかだが、Vandalieuが治めるVidal Magic Empireでは、数百年や数千年、もしくは寿命に際限がなく何万年でも生きる事が出来る住民はいくらでもいる。
『Dungeonを創るのにも、力がいるはずだ』
『まさか、ここをそのまま利用するのか?』
『汝にとってあまり気分のいい場所ではないはずだが?』
『その通りだ、Ricklent。このAldaのDivine Realmに存在するroomをそのまま頂いて行く。無人の牢獄だけ残しておいても価値はないだろう。
それに……五万年もここにいたのだ。もはや我が家も同然だ』
なんと、Jyarodeepsは彼を幽閉していたこのroomを、新たに作るDungeonに利用するつもりらしい。彼にとってここは、忌々しい場所ではないようだ。
『場所は、Vidal Magic Empireの首都の近くにしたいのだが、都合のいい場所があったら教えてほしい』
『分かりました』