Vandalieu達はまず城壁を築き、防御を固め、Weapon Equipmentを揃えた。VampireやHumanがBoundary Mountain Rangeを越えて来るだろうルートにも、無事監視用のUndeadやGolemを置く事に成功した。
Eleonora達が使ったルートと、Orbaum Elective Kingdom側のMountain RangeにあるHartner Duchyに続くtunnel跡には監視用Golemを配置した後、Vandalieu自身入口までだが足を運んで-sama子を見てみた。
Eleonora達のルートは、特に問題無かった。奇妙だったのはtunnelの方だ。
tunnelの入り口を見た限りではただ崩れて塞がっているだけのように見えたが、Vandalieuが【Golem Transmutation】で瓦礫をGolemにし、【Spirit Form Transformation】で中に入り内部がどうなっているのか調べてみると完全に壊され過ぎている事が分かった。
Nuaza達から聞いた話では、二百年前このtunnelを使って逃げたFirst Princess Levia達が秘密の装置で塞いだ事に成っているが、tunnelの内部はまるで難解なpuzzleのようになっていた。
崩れた瓦礫の上には大きな石が一つも無く柔らかい土や砂が大量に重なっていて、再建のために瓦礫を取り除こうとすると次から次に土砂が崩れて来る。そんなconditionだ。
流石に出口までは調べられなかったが、数百meterはずっとそんな感じだ。tunnelの上は雲がかかる程大きな山々だと言うのに。
まるで誰かがtunnelを再建出来ないよう、高度なEarth-Attribute Magicで岩や硬い岩盤を細かい砂に変えたかのようだ。
確かにこれなら当時のMirg Shield Nation軍どころか、【Golem Transmutation】skillを持つVandalieuが居なければ未来永劫このtunnelは再建する事は出来ないだろう。
Princess Leviaがどんな方法でtunnelを崩したのか誰も知らないので、ただTalosheim王家に伝わる秘密の装置かmagicが凄かっただけかもしれないが……Vandalieuは猜疑心を刺激された。
これもVampireが関わっているのではないか、と。
考えてみれば、Boundary Mountain Rangeによって隔てられた Bahn Gaia continent南部に存在するVida's FactionのPure-breed Vampireを恐れるEvil God (M)派のPure-breed Vampire達にとって、TalosheimとHartner Duchyの交易は目障りでしか無かったはずだ。
交易が盛んに成ればTalosheimを拠点に、Continent南部を調べようと言う動きが何時か必ず出て来る。それに刺激されVida's FactionのVampire達が動き出すかもしれない。
だったらその前に自分は動かずAmid EmpireとMirg Shield Nationを動かしてと言う事だ。丁度良く宗主国のAmid Empireも属国の国力を削りたかっただろうし、EmpireにもVampireの手先が居るなら戦争を促すのは簡単だっただろう。
Eleonoraはそれについて何も知らなかった。彼女は将来有望な出世頭だったようだが、community全体から見れば重要な立場には無く、そもそもまだVampireに成って十年と経っていない。
それにEvil God (M)派は同じ派閥同士でも仲が良い訳ではないようだから、知らなくても仕方がない。
ここでVandalieuは推理を止めた。幾ら調べても結局事の真偽は当時を知る人物か霊から話を聞かないとはっきりしないだろうから。今はEvil God (M)派のVampire達へのKilling Intentを高めるだけに止めて置く。
そして残り一つ、Mirg Shield Nation側のMountain Rangeにあるtunnelも見つかった。
大きな岩に蓋をされているが。やはり十万年以上前にこちら側のMountain Rangeにもtunnelを造っていたらしい。
それをBorkus達はEARTH DragonやRock Dragonを屠り、Goblin Kingの大集落を蹴散らしながら見つけてくれた。
土産のDragonの素材は現在Tareaの手で武具に加工中である。
こうして監視網は整った。
そして戦力も流石にPure-breed Vampireを相手に出来る程ではないが、全体個人共に向上している。
BorkusやEleonora、Vigaroと言った上位の仲間は流石に数か月程度の時間ではlevelは上がったがRank upにまで至らなかった。
でもVigaroはこの前、WarriorからAxe Techniqueに特化したJobの【Axe Warrior】にJob changeした。何故か【Deforestation】skillまで身に付いたらしい。tunnel探しの最中、邪魔な木を斧でSlash倒していたら獲得したのだとか。
NuazaはRank5のLichにRank upした。「やっとLesserが取れました。これで貧弱な若造とはBorkus -donoにも言わせません!」とboneと皮だけの顔で笑っていた。
他にもBragaはRank4のBlack Goblin Assassinに、彼以外のBlack GoblinもBlack Goblin ScoutにRank upした。中々のscout職集団だ。
特にBragaはVandalieuから聞き出したninjaへの道を順調に歩んでいるようだ。
ZemedoとMemedigaもそれぞれRank upし、Anubis RiderとAnubisモンクに成っている。ZemedoはDungeonで捕まえたmonstersをTamerする事に成功し、Mountして戦うようになったら。Memedigaはmagicと武術を同時に修業しつつ、BergとChurch of Vidaでデートする-samaになって暫くしたら、Rank upしたらしい。
これもGoddessの祝福だろうか。
OrcusのGorbaはまだRank upしていないが、身長も三meterのBorkusと並び一層強く逞しくなった。
何より、森で見つけたGiga Birdを生け捕りにしてきてくれた。これによりTalosheimには新鮮な卵が供給されつつある。
他にもRank upしたり、levelを上げたり、skillを磨いたりと、皆強くなってきている。
これで密林Devil Nestsから逃げ出さなければならなかった時とは違い、戦う事が出来るだろう。
欲を言えば対Vampire用のWeapon Equipmentや備えがもう少し欲しい所だが、それを整えるにはまだ時間と、何よりskill、技術が足りない。
だが幸いな事にPure-breed Vampireや長く生きたNoble-born Vampireは、時間に対しての感覚が非常にゆっくりした物に成るらしく、彼らが動く時は普通年単位、早くても数か月程の時間をかけるtacticsに成るらしい。
何せVampireは寿命が無く、しかも同族同士で固まっているため時間の感覚が人とはかけ離れているのだ。
「ちょっと前」が十年以上前の出来事を指しているなんて事が、往々にある。
流石に十年は放置されないだろうが何か特別な理由でも発生しない限り、Vampire達が次の動きを見せるまで二年から五年はかかるだろうと言うのがEleonoraのconjectureだ。
だからVandalieuはそろそろ自分自身の目的達成のためにも、動く事にした。
Talosheimの王城地下にあるGoddess Vidaの遺産であるResurrection Deviceを手に入れ、Darciaを蘇生させる。
「そのためにも、俺は強くならなくてはいけない」
そのために必要なのが、遺産を今も守る半壊したDragon Golemの破壊だ。それだけなら、Vandalieuが強くなる必要はない。
BorkusやEleonora、VigaroやZadiris達の後ろで援護に徹していればそれで良い。Darciaの蘇生がかかっているが、何も彼が前に立たなければならない理由は無いのだから。
しかし、Dragon Golemが守っている広間を塞ぐCurseの氷はVandalieuにしか溶かせず、そしてそれを溶かそうとすると、常時Activateしている【Danger Sense: Death】に強い反応を覚えたのだ。
それはDragon GolemがVandalieuに気が付き、中に入ろうとした瞬間攻撃しようと狙っている事の証拠であり、Borkus達に戦いを任せようにも入口を開こうとした瞬間、VandalieuはDragon Golemの何らかの攻撃を受けて殺される可能性が高いと言う事だ。
certainly、初めて氷の壁越しにDragon Golemを見た時と比べてVandalieuは強くなっている。Job changeもしたし、levelも上がった。Ability Valuesもskillもincreaseしている。
特にSercrentの魂を砕いた時に獲得したskill、【Soul Break】は強力なskillだった。
慎重に検証した結果、Vandalieuが与えたDamageで減ったVitalityと同じ数字分、Manaをdecreaseさせると言うskillだった。
これでVampireにDamageを与えれば、Vitalityはすぐ回復出来てもManaは減ったままと言う事に成り、対Vampire戦にとても有効だ。Golemだって攻撃すれば動力源のManaを削り取る事が出来る。……Damageが与えられればだが。
しかし、それでもまだ【Danger Sense: Death】に強い反応がある。だからもっと強くならなければならない。
そのために延期していたDungeon探索を再開する事にした。
『今から入るのはCClass Dungeonだ。坊主、お前が今まで入ったDClass Dungeonとは格が違う。油断するんじゃねぇぞ』
精一杯厳しそうな顔を作ろうとして、残っている方のlipsの端がにやついているBorkusに、Vandalieuは突っ込まなかった。
「はい。案内よろしくお願いします」
これから攻略するのは、Borkus’s Sub-Dragon Savannah。Borkusの数える気も無くなる程昔の先祖が発見したDungeonだ。
DClassのGaran’s ValleyやDoran’s Aquatic Cavernとは違い、このDungeonには基本的にadventurer以外は入らない。何故なら如何に強靭なGiant raceとは言え、生粋のadventurer以外が入るにはこのDungeonは危険すぎるからだ。
「そうだぞ、本当にここは厳しい。階層も多いし、monstersが強い。Status Effectを起こすような攻撃をしてくるmonstersや、厄介なTrapは少ないが、とにかくmonstersが強い」
「二回繰り返しとるぞ、同じ事を。酔っ払いか」
『だけど本当に強いんですよ、monsters。私達もRank upしたけど、それでも三階からはVigaro -san達が居ないときつくて』
『ぢゅう。十一階以降ではbarelyの戦いの連続でした』
今回の探索memberはRank6のVigaroとZadiris、そしてRank5に成ったRita、Salire、Bone Man、Bone Birdだ。案内人のBorkusを除けば、CClass Dungeonの攻略には適性戦力と言ったぐらいか。
そして準備して入ったBorkus’s Sub-Dragon Savannahの内部は、その名の通り草原の地形が多いDungeonだ。
階層によっては森や川、湖の階層もあるが、基本的には草原である。その風景は――。
「まるで映画の中の-samaだ」
思わずそう呟きながら、【Mana Bullet】を放つ。
青々とした草が茂り、まるで緑の絨毯のように見える大地を恐竜が群れている。その風景はまさに白亜紀にtimeslipしたかのようだった。
本当に感動的な光景だ。
群れている恐竜が、こちらに襲い掛かって来るのに気が付いてもVandalieuの感動は消えなかった。
『おーい、早いとこそのRaptorも潰さねぇと……ああ、もうやったか』
のんびり後ろで眺めているBorkusの視線の先で、前衛を掻い潜って襲い掛かろうとしたRaptorが、Vandalieuの【Mana Bullet】でミンチ肉に一瞬でTransformする。
普通の【Mana Bullet】はそこまでのAttack Powerもないし、弾速も矢や他のattribute magicの攻撃に比べて遅く、弾道も工夫し難く単調に成りやすい。
そんな欠点だらけのmagicなのだが、Vandalieuは一発に一万程Manaを込めて自分の身長より大きい【Super Mana Cannon】とでも言いたくなるほどの大きさの弾を撃つ。その大きさ故に避けるのが難しく、しかも最近ではManaの形を歪めて弾道すら工夫している。
そのため動きの速いRaptorでも仕留める事が出来る。
『他のも、流石に何回か入ってるだけあって一階じゃあ苦戦しねぇか』
Borkusの目から見ればまだまだimmatureなVigaroやZadiris、Bone Man達も楽々とRaptor達を屠って行く。
群のボスであるRank4、通常のRaptorより一回り大きく頭も良いHuge Raptorも危なげなく相手をしている。
数がもう少し少なければ、Vandalieuの出番は無かっただろう。
『まあ、from hereだがな』
Borkus’s Sub-Dragon Savannahの表層部に出て来るmonstersは基本的にVandalieuが知る恐竜に近い物か、crocodileや亀等大型の爬虫類Typeのmonstersだ。
何でも、これらのmonstersをTalosheimでは昔竜種に似てscaleを持つが、竜種では無いmonstersとして「亜竜」と呼称していたらしい。因みに、Wyvern等も亜竜に分類されていたらしい。
確かにPteranodon等の翼竜の仲間だと思っても不自然ではないかも知れない。
一階から二階に、二階から三階にと進むにつれて当然出現するmonstersとの戦いは厳しくなっていく。
五階以下ではRank3のmonstersは全く出なくなり、出現するmonstersの中にRank5のmonstersが混じるようになった。
「GYAOOOOON!」
「おー、Tyranosaurus」
三角形のGiantなシルエット、そのまま槍の穂先に流用できそうな鋭く長いfangs、発達した逞しい後ろ足に対して短い前足。
Earthで最も有名だろう肉食恐竜、Tyranosaurus……がRank upしたArmored Tyranosaurだった。鎧竜のような堅牢なscaleとcarapaceに覆われた恐竜だが、このLambdaではRank5程度らしい。
このGiantな肉食恐竜がBugoganより弱く、Wyvernと同格であると言う事に違和感を拭えなかったVandalieuだが、そう不自然な事でも無かったようだ。
『ヂュウゥゥ! 主の糧に成るがいい! 【Flowing Water】! 【Slicing Moon】!』
Bone Manは直線的なArmored Tyranosaurusの噛みつき攻撃を流れるような動きで回避し、円を描くような軌跡の斬撃で首を半ばまで切断した。
Bone ManはVandalieuにSpirit Formを追加されてRank upに成功した後、更に研鑽を積みRank5のSkeleton Baronにまで至っていた。skillは【Sword Technique】が5、他の【Archery】や【Shield Technique】等は4にまで上がっている。
Rankの上ではArmored Tyranosaurusと互角の筈だが、Armored Tyranosaurusが旺盛すぎる闘争Instinctのせいで単調な動きしか出来ないのに対して、Bone Manは複雑で関節可動域を無視した奇怪な動きを当たり前にする。この差だろう。
『主、この死体は如何しますか?』
「もうTyranosaurusのZombieはいますから、素材と食料にしましょうか。Tyranosaurus系のmonstersって、何処が美味しいんでしたっけ?」
『腿肉だったかと』
Magic Stoneを抜き取ってArmored Tyranosaurusのscaleとcarapaceを剥ぎ取り、腿肉を食べて一息入れたのだった。
十階の中ボスは、草食恐竜だった。
ただVandalieuが期待した雷竜……ブロントサウルス等の巨体と長い首を持つ恐竜では無く、猪も逃げ出す獰猛な角竜だった。
「BOOOOO!」
やや牛に似ている-samaな咆哮を上げ、鼻先に生えた短い一本と額から伸びる長い二本の角からバチバチと稲光を輝かせ、Triceratopsが突進の構えを見せる。
「……うん、流石another world」
恐竜もfantasyな進化を辿ったようだ。
『Rank upしてWind-AttributeのManaを角に宿すようになったTrihornです、ここは私達に任せてください!』
『前も討伐した事がありますから!』
そう言って前に出たのは、SalireとRitaのLiving Armor sistersだ。しかし、彼女達の姿は以前とは大きく異なっている。
それぞれRank5のmagic High-leg Armorとmagic Bikini Armorに至った彼女達は、遂に【Spirit Form】のskillを獲得したのだ。
その結果、彼女達は鎧だけでは無く目に見える姿を手に入れた。……白い辛うじて人型だと分かる輪郭も無い靄に見えるbody partを。
強い風が吹けば消えてしまいそうな頼りない【Spirit Form】だが、それ以外にもskillのlevelはincreaseしている。Rankは5だが、sisters二人ならRank6でも大丈夫だと言う。
そんな頼もしい二人は突進してくるTrihornに正面から突っ込み――
『きゃああああああああっ!』
ぱーんと跳ねられてWeapon Equipmentを握ったままの手甲や、脛当て、鉄靴がばらばらに飛んでいく。
「は?」
「し、死んだ!? 死んだのか!?」
『グエ゛!? ゲエエエエエエ!?』
『おいおい、やべぇんじゃねぇのか?』
驚くVandalieuに、慌てふためくmale陣+Bone Bird。しかし Zadirisは慌てず騒がず、呆れの混じった息を吐いた。
「また性質の悪い冗談を」
そう彼女が呟き終わるか終らないかと言った時に、空に大きく舞い上がったRitaとSalireの手甲や鉄靴がグルリと翻り、それぞれHalberdとGlaiveを握り直す。
「BOOOOOOOOO!?」
そして、二人を倒したと思って勝利の咆哮を上げていたTrihornの首や腹を背後からthrust刺し、切り裂く。
そしてTrihornが息絶えると、バラバラに成っていた鎧がそれぞれ一か所で合体し、SalireもRitaも元通りに成っていた。
『終わりました。Trihornにはこの方法が有効なんです』
『私達がバラバラになるとそれでやっつけたと思うんでしょうね。それで動きが止まるし、隙だらけになるから楽ちんなんです☆』
『あ、そろそろ喉が渇きますよね、どうぞ。搾りたてですよ、Bocchan』
悪びれもしない二人から、Trihornの生きbloodで満たされた木彫りのカップを受け取る。
「理由は分りましたが、screechは必要無いのでは?」
『あ、それは……思っていたよりも角がビリビリして、つい』
『姉-sanって、ビリビリしてるのにweakもんねー』
「Rita、お主のscreechも聞こえたのじゃがな」
『そ、それはつい……ちょっとした遊び心で』
「そんな遊び心は要らん! それよりもSpirit Formを引き締めんかっ! まるで丸太の-samaじゃぞ」
『違います! これは私が生前から幼児体型とか贅肉が付いていたとかじゃなくて、まだimmatureだから――』
「immature者が実戦で遊ぶな! 我までからかったな!」
『おう、ちょっと趣味が悪いぜ、嬢-chan』
Ritaが年長者組にお説教を受けているのを見て、Vandalieuは自分からは何も言わない事にしたようだ。
「でも、Salireも気を付けてくださいね。やるにしても、次はもっと上手くしてください。でないと、俺もまた敵に肉や臓腑を斬らせるような戦い方をしますよ」
自分が無茶をしたら叱られるのに、周りはして良いと言うのは不公平だ。これくらいは言っていいはず。
『や、止めてください! 本当に止めてください! もっと上手くやれるように工夫しますからっ』
顔を青く……は成っていないが、慌てて約束するSalire。この-sama子なら大丈夫だろう。
「話は変わりますけど、さっきのバラバラに成ってから攻撃するのって、どうやったんですか?」
これまで、SalireとRitaは一見バラバラだったが、基本的には透明な人型生物が鎧を着ているだけのように、partsが纏まって動いていた。
しかし、【Spirit Form】skillを1levelとはいえ身に着けて靄の-samaなbody partを手に入れた今に成って、partsをバラバラに成ったまま動かして見せた。普通逆ではないだろうか?
『それは【Long-distance Control】skillを獲得したからです』
「Long-distance Control?」
『はい。body partから離れたbody partの一部、私達の場合は手甲や鉄靴等のpartsを動かせるようになるskillです』
何でも、そう言う事が出来ないかなとRitaと一緒に練習していたら手に入ったskillらしい。
『それは中々使えそうなskillですな。是非私も習得したいヂュウ』
『グエエエエ』
話を聞いていたBone ManとBone Birdが声を上げる。
Spirit Formで再現された肉や軟bone、feather以外はboneだけの二人なら、練習すれば確かに【Long-distance Control】skillを獲得できるだろう。Spirit Formを操作すればboneを外すだけで、何のriskも負わないだろうし。
【Long-distance Control】skillはoriginally Living ArmorやSkeleton、Zombie等のUndead専用のskillなのだろう。
Vandalieuはまだこちらのworldでは見た事が無いが、Earthのhorror作品でバラバラに成っても手足が動いて襲い掛かって来るZombieやSkeletonと言った演出は、お約束だった。
蜥蜴のtailの-samaな例もあるが、あれは操作している訳じゃないから違うだろう。
「それ、俺も習得したいですね」
『『ええ゛?』』
しかし Undead専用だからと言って、自分が習得できない理由にはならないと考えたVandalieuの発言によって、空気が凍った。
『あ、あの、Bocchanがバラバラに成るのはちょっと……』
『もし元通りにくっつかなかったら、主もUndeadに成るしかなくなるのでは?』
「いや、流石に自分の手足をSlash飛ばして練習しようとは思いませんから」
実際、元通りくっ付かなかったら大事だ。事前に【Spirit Form Transformation】してからならもしかしてと思うが、もしかしなかったら取り返しがつかないかも知れないし。
Bugoganに斬られた胴体は無事繋がったが、あれは斬られてからすぐくっ付けたからだ。skillの獲得のために練習して時間が経ってからだとどうなるか分からない。
「とりあえず、髪でやってみましょう」
Vandalieuの髪は「これが男らしい髪型だ」とZadirisやBasdiaが主張する長髪だ。どうやら、男Ghoulの獅子の鬣のようにしたいらしい。
Darciaにも可愛いと好評なので、このままでいいかとVandalieuも伸びるままに放置しているのでその内腰まで届くようになるだろう。足元に着く前には切るだろうが。
『まあ、髪なら……』
『主、髪で上手く行かないから指に変更とか、そう言う事は絶対に止めてください』
心配させたようだが、Vandalieuには獲得したら色々と応用できそうな【Long-distance Control】skillを諦めるつもりは無かった。
獲得しても、Slash飛ばした腕でrocket punchとかそう言う事はしない予定だが。
十一階以降は、更に過酷さが増して行く。
出て来るmonstersは全てRank5で、時折Rank6のmonstersが単体で現れるようになる。
『だが十一階からがこのDungeonの狩場だ。monsters以外にも使える素材が多いからな』
大木の-samaなシダ植物の若葉は磨り潰すと薬に、干して煎じると苦いがbody partに良いお茶に成る。
琥珀を取る事が出来る台地や、砥石に使うとWeapon Equipmentが錆びにくくなる石が取れる崖等がある階層を目当てに、当時のadventurer達はこのDungeonに挑んだらしい。
そしてExperience Point的にも大変美味しい。
「こっちの恐竜は虫の息なので、止めお願いします」
『御意!』
『姉-sanっ、そっちにoctopusっぽいの行った!』
『Bocchan! この空飛ぶ巻貝とoctopusの親戚は何ですか!?』
「Ammoniteだと思いますよ、俺が知っているのは空を飛びませんでしたけど」
『アンモのKnight! ならば私が相手を仕る!』
「いや、別にあれはKnightでは……」
貝殻の大きさがBrown Bearよりも大きい空飛ぶAmmoniteに、雄々しく一騎打ちを挑むBone Man。
出現するmonstersはAmmoniteも含めて、全て個々の力では同格か格上の相手ばかりだ。当然倒すと大量のExperience Pointが手に入る。
「ウオオオオオ! 【Iron Slash】!」
見るからに石頭だろう草食恐竜の頭thrustに対し、Vigaroが新しく覚えたAxe TechniqueのMartial Artsで迎え撃つ。
バガンっと卵形の殆どboneでできた頭部から胸部まで真っ二つに成り、どうっと倒れる。
密林Devil Nestsでの戦いでGhoul BerserkerにRank upし、更にTalosheimでJobを得たVigaroの実力はBClass adventurerに匹敵しつつある。
【Axe Technique】や【Deforestation】にskill補正がかかる【Axe Warrior】にJob changeしたので、これからも成長が期待できるだろう。
「うおっ! Magic Stoneまで真っ二つにしてしまった!」
「何をやっておるのやら」
bone肉に混じってMagic Stoneを割ってしまった手応えを感じて声を上げるVigaroに、Zadirisは別の恐竜にmagicで攻撃しながらため息をついた。
levelは100に達していたがskillが足りずにRank upできなかったZadirisは、Talosheimに来てから行った修行によって、見事Rank6のGhoulハイMageに至った。
やはり姿は大きく変わらなかったが、額に目を連想させる紅い宝玉が出現した。magicの行使を補助するための器官であるらしい。
そうして成長したZadirisが放つLight Attributeの攻撃magicは凄まじく、熱したknifeでButterを斬るかのようにスパスパとアンキロサウルスに似た鎧竜を切り裂いていく。
「うん、【Chant Revocation】skillも調子が良い。……とと、坊や、ちょっとManaを分けてくれんかの?」
「はいはい」
Manaも増えているが、流石にVandalieu程では無い。調子に乗って使えばManaが心許なくなるのは当然だった。
そしてBorkus’s Sub-Dragon Savannahで取れる中で、Dungeonボスの素材を除けば最も貴重な産物がCemetery Beeの蜂蜜と蜜蝋だ。
体長三十センチ程の蜂のmonstersで、Rankは5。一匹一匹はそうでもないが、群全体が一つの生き物のように襲い掛かって来る恐ろしいmonstersだ。
その大chinは板金鎧を紙のように食い千切り、needleの鋭さは並の盾職では防げない。そして最も凶悪なのがDeadly Poisonだ。
強力なneurotoxinで、生半可なresistance skillでは耐えられず数分でshock死してしまう。
このmonstersの巣の周囲には蜂型のmonstersから取れる中では最高の味を誇る蜂蜜や、最高Classの蝋燭や石鹸に加工できる蜜蝋を求めるadventurer達の死体が、数え切れない程横たわっているという。
まるで墓地(セメタリー)のように。
「そう聞いていたんですが、もしかして意外と人懐っこかったりします?」
『そんな訳があるか……坊主、もしかしてその蜂、Undeadだったりするか?』
「元気に生きていると思いますよ」
Cemetery Beeにびっしり張り付かれ、蜂HumanっぽくなったVandalieuにVigaroは驚きを通り越して呆れていた。
『甘いもんを欲しがってたから、試しに探してみるかって聞いたらこれだ。坊主、Cemetery BeeはこのDungeonで一番珍しいmonstersなんだぞ』
「……その割には沢山いますね」
ブブブ。Cemetery Bee達はfeather音を立てながら、chinで噛むでもneedleで刺すでもなく、tongueでVandalieuを舐めまわしている。
蜜蜂が天敵に行う、纏わりついて体温を上げ蒸し殺す的な危険も感じないので純粋に懐いているらしい。
『凄いですねBocchan、蜂までBocchanにメロメロですよ』
『ぢゅう、本当に大丈夫ですか、主?』
「……maybe?」
虫嫌いだったら失神するところだが、Vandalieuはそれほど虫が嫌いではなかった。Earthでchildだった頃はRhinoceros Beetleやstag beetleに憧れたものだ。
そう思っていると、一際大きいCemetery Beeがcountlessの蜂を連れて飛んできた。
ギチギチchinを鳴らすと、Vandalieuの頭に着地。
「坊や、それはもしやQueen蜂と言う奴じゃないかの?」
「らしいですね」
「それで、其奴は何をしているのじゃ?」
「maybe、Tamer?」
「……坊や、もしかしてUndeadだけでは無く、nameに死とか墓地とか付くmonstersは全て魅了できるのか?」
『スゲェな、虫型のmonstersはInstinctが強すぎて誰もTamer出来なかったって聞いた事あるぜ』
「おお、凄いなVandalieu。もしかしたらworld初だぞ」
「maybe褒められているんだと思いますけど、feather音で聞こえない」
どうやら、【Death-Attribute Charm】は虫の一種にも効くらしい。それとも虫Undeadを使い過ぎて、生きている虫にも懐かれるようになったのだろうか?