長らく行われなかった伝統的な戦争のetiquetteが実施されていた、Hartner DuchyとDuke Farzon領の境界線での戦いは、そのどこか間の抜けた雰囲気が乱入者によって一瞬で破壊された。
『Championは何処だぁああ! 殺してやる! Bellwoodも、Farmounも、Nineroadも、八つ裂きにしてバラバラにしてくれる!』
その乱入者の姿は、一見すると柳に似ていた。ただ、垂れているのは枝や葉ではなく、countlessのtentacle。そして幹に当たる部分は肉色でmucusに包まれており、さらに鋭い棘と口がいくつも生えている。
その姿に『Raging Evil Dragon God』Luvezfolは覚えがあった。
『あれは『Evil God of Ruinous Greed』Zobyubelogia! BAKANA、奴は十万年前に……Zakkart達がGuduranisに殺されるよりも前にBellwood達によってsealedされたはずだ!』
「そのsealedが解けたって事?」
『はい、Pauvina -sama。しかし、奴のsealedはGreat God達が管理していたと聞いています。故に、今は『God of Law and Life』Aldaの手元に他の邪悪なGodsやVida's FactionのGodsのsealedと共に在ったはず。それが何故このtimingで……? まさか!』
Luvezfolは大きく息を吸い、後ろ足で立ち上がって叫んだ。
『Aldaがsealedを解いたのか! 奴め、何を考えている!? 我々と同士討ちさせるつもりだったとしても、ここにはDuke Farzon領軍もいるのだぞ! 自分達のbelieverを巻き添えにするつもりか!?』
「Luvez、なんでそんな大きな声で叫ぶの? そんな大声を出さなくても聞こえるし、別に怒っても焦ってもないよね?」
『これには訳があるのです、Pauvina -sama』
驚愕と怒りの演技を止めたLuvezfolは、元通り前足を地面に着けて説明を始めた。
『Hartner Duchy軍に情報を行きわたらせるためと、奴がBellwood達の事を叫び出したので、Duke Farzon領の連中が奴を我々と同じVida's Factionだと誤解しないよう釘を刺すためです』
体長約百meterもあるDemi-God本来の姿を取り戻しているLuvezfolの声は、よく通る。大声を出せば、十キロ以上離れた人物にも言葉として認識されるほどだ。
それを利用して、自軍に情報を共有させると同時に、敵軍へ情報をaccurateに伝え士気を低下させようと試みたのである。
実際、Luvezfolの眼には動揺するDuke Farzon領軍のSoldier達の姿が映っていた。
『なので、動きの鈍くなったDuke Farzon領軍をZobyubelogiaに相手をさせ、双方が疲弊するのを待つというのはどうでしょうか? そうすれば我々は最小の危険で勝利できるかと』
なお、こうしたLuvezfolの囁き声やPauvinaの声は、当然だがDuke Farzon領軍には届いていない。
「うーん、まあそうだよね」
「それは……なんだか卑怯な気がしましたけど、仕方ないですよね」
「ええ、まあ敵軍ですし。哀れだとは思いますが」
Luvezfolの姑息な提案に、PauvinaとReinhardtは若干抵抗を覚えたが、Duke Farzon領軍は無力な一般人でもなければ、ただ巻き込まれた人々でもなく、自分達の敵である事を思い出して納得した。
Duke Farzon領軍にとって予期せぬ事態だが、Pauvina達にとっては彼らと殺し合う相手が自分達からZobyubelogiaに変わるだけだ。
『そうですね。俺個人としてはこちらに投降して保護を求めてきた場合は考慮したいところですが……ここはVidal Magic Empire軍じゃありませんからね』
JulianaにMountされている馬型Demon King FamiliarがそうVandalieuの意思を述べる。
『彼等の生死に関しては当人達の選択と努力、そしてこちらの軍のCommanderの決定に任せましょう』
どうやら、VandalieuにとってもDuke Farzon領軍の命を守る優先度は低いようだ。彼が『Goddess of Life and Love』のbelieverでも、友好国の軍のCommanderに口をきいてまで助けたいとは思わなかった。
彼らはこの戦争は聖戦だと宣言していたのだから、相手が改心していないまっとうなEvil God (P)になっただけ本望だろうと思わなくもない。
『ただ、あの『Evil God of Ruinous Greed』ですが、どうやらAldaにGuduranisのsoul fragmentを埋め込まれているようなので、放置はできません』
それを聞いたPauvina達は、さすがに驚いてZobyubelogiaの異形を見上げる。AldaがGuduranisのsoul fragmentを利用するかもしれないとは聞いていたが、まさか現代でもMythにnameが残るDemon King Army大幹部にInfestさせるとは思わなかったのだろう。
『それは……よくありませんな』
Luvezfolは冷や汗を流しながら、この事態をどうするか考えた。出来ればZobyubelogiaとは戦いたくないと思っていた。何故なら、『Evil God of Ruinous Greed』ZobyubelogiaはDemon King Army大幹部の一柱であり、彼よりもずっと強い。そして、かの神は彼にとって知られたくない情報を知っているからだ。
『ここは、さっそくmain bodyに来ていただいて、奴を喰ってもらうしかないのでは……?』
現代には十万年前のようにZobyubelogiaを信仰するmonstersや狂わされた人々はいないので、徐々に弱体化して上手くいけばそのまま消滅するだろうが……それまで年単位の時間がかかるし、sealedが解けた直後である今はKilling Intentだけではなくenergyも有り余っているようだ。
できれば、すぐにVandalieuに来てもらい、Guduranisのsoul fragmentごと喰い滅ぼして欲しい。
『あ、すみません。俺の方も色々やる事があるので、ここに来るまでちょっと時間がかかります』
『そ、そんな殺生な!』
「こら、Luvez。Vanを困らせちゃダメでしょ」
「そうです。こんな時のために、私達は訓練を重ねてきたのではありませんか」
『Zakkartも、Arkも、Hillwillowも、Solderも、口から内臓を吐き出すまで締め上げてやる!』
一方、Zobyubelogiaは地上の-sama子に気が付いていないのか、その幹に当たる部分の口がKilling Intentの籠った声でChampionたちの名を吐き出し続けている。凄まじいbloodthirstが異形の姿から放たれているが、それが両軍のHuman達には有難かった。
Humanの言語で怒鳴り散らしているから、非Human的な雰囲気が損なわれてpsychological impactが和らいでいるからだ。
「General、最早戦争のetiquetteに拘っている場合ではないぞ!」
「分かっています、High Priest -dono! 精鋭で討伐部隊を編成し、『Evil God of Ruinous Greed』を攻撃する! Hartner Duchy軍へ一時休戦を申し出る、使者をだせ!」
Duke Farzon領軍は、既存のDuke Farzon領軍にAlda's FactionのGodsのOracleを直接受け、もしくは受けた者の指示によって各地から集まってきた精鋭に、Alda templeのCleric-warrior団を加え、それをHartner DuchyとBirgit Duchyを同時に攻略するために二手に分けた構成となっている。
originally存在していた軍を中核として、軍人以外の参加者も厚いreligionを持つAlda's FactionのGodsのbelieverで構成されているため、Amid Sacred EmpireのHoly Armyよりも命令系統がしっかりしており、纏まっている。
「一時休戦!? BAKANA、奴らが不意に現れたEvil God (P)に浮足立っている間に攻撃を敢行して撃滅せしめ、Boundary Mountain Rangeまでthrust進むに決まっている!」
「な、何をBAKANA事を!? High Priest -dono、気でも狂われたか!? それともあの龍の声を聞いていなかったのか!?」
だが、それは『聖戦』をしている間だけ有効なものだったらしい。
Duke Farzon領軍をCommandingするGeneralは、Alda believerであり聖戦の大義を信じ、UndeadやDemonを人と見なすVidal Magic Empireを狂っていると断じる男だが、あくまでも軍人である。軍を率いる者としてDuke Farzonの命には従うが、常識的な優先順位で判断し行動する。
それに対して軍に参加しているAlda templeのtemple Warrior長であるHigh Priestは、Aldaの意思の下で戦えるならたとえ死んでも本望であり、他のbeliever達もそうであるべきだと考えている。つまり、Eileekと大差ないfanaticだった。
「Generalたちは何をしているんだ? 指示はまだか!?」
「ええい、俺達に棒立ちになったまま死ねとでもいうつもりか!? 俺はもう勝手にやらせてもらうぞ!」
そして軍に参加している元精鋭部隊はまだしも、adventurer出身のHero Candidate達は機能不全を起こしたorganizationに対して見切りをつけるのが早かった。
「どう考えても、あのEvil God (P)を倒すのが先じゃないか! 【Familiar Spirit Advent】!」
その判断は至極真っ当であり、さらに言えばGodsにblessingsを受けたHeroの行動としても正しいものだった。
『……そこか!』
しかし、【Familiar Spirit Advent】をActivateした彼のsignをZobyubelogiaはChampionに従う存在として認識した。
『我が糧となれ! Champion軍!』
肉の幹をしならせ、countlessのtentacleを鞭のように振るう。Duke Farzon領軍にとって不幸だったのは、そのtentacleが突然何十倍もの長さに伸びた事だ。
「うわあああっ!?」
「ひぃぃいいいっ!」
最低でもRank13とされる邪悪なGodsの中でも、Demon King Army大幹部だった『Evil God of Ruinous Greed』Zobyubelogiaの力は高く、Hero Candidateや元精鋭部隊はまだしも、並より多少強い程度のSoldierやKnight、Cleric-warriorでは太刀打ちできない。Krakenより強力なtentacleの一振りで、木の葉のように舞うしかないのだ。
Duke Farzon領軍の半分がこの攻撃に晒され、Hero Candidateや元精鋭部隊の者や運の良かった少数の者以外がtentacleの群れに打たれ、吹き飛ばされた。
「ぐうっ、助けてくれぇ……」
だが、何故か攻撃を受けた多くの者が生存しており、転がされた先の地面で助けを求めていた。
「待ってろ、すぐにpotionを飲ませてやる!」
「負傷兵をrescueし、撤退を援護するぞ!」
「Generalが、Generalがやられた!」
途端に軍としての規律がDecayしかけるDuke Farzon領軍。軍を構成する将兵の半分程が少数の死者以外は重傷者になってしまったのだから、無理もない。
「さあ、これを飲……ぐふ?」
だが、止めを刺したのはDuke Farzon領軍の将兵自身だった。
「ああ……これが戦友を裏切る背徳……!」
自分にpotionを飲ませようとしたSoldierの腹を剣で刺し殺したSoldierが恍惚とした表情でつぶやく。
「貴-sama、なっ、ぎゃあ!?」
「あははっ! 普段から偉ぶっているKnight -samaが、俺に後ろから刺されて無-samaに倒れ込んでるぜ!」
「はっははぁっ! 誰でもいいっ、殺させてくれぇ!」
「いいわっ、私っ、私を殺してぇ! いいえ、自分で死ぬわっ! 自殺を禁じる戒律を破って死ぬ!」
「殺せぇ! 儂を侮辱したHigh Priestのクソ爺をぶっ殺せぇ! General -samaの命令に従えないのか!?」
まるで常識や良心、軍の規律や法律を忘れたかのように意味もなく同士討ちを始めた。これによってDuke Farzon領軍はorganizationとしては完全にDecayした。
半分が失われただけなら、狂信によって戦闘を継続できただろう。だが、半数が生きながら敵になってしまってはどうしようもない。
それを為したZobyubelogiaは、上空に浮かんだまま胸が悪くなるような哄笑を上げている。
「皆、あれを倒そう! Reinhardt -kun達は【Abnormal Condition Resistance】と【Mental Resistance】skillか同じ効果のmagic itemを持っていない人は下がるよう、Commander -san達に言って来て!」
その-sama子を確認したPauvinaは、これ以上-sama子見はできないと攻勢に出る事にした。
放置すればVandalieuが来るまでbelieverに変えたDuke Farzon領軍から力を得つつ、本人も気づいていないようだがGuduranisのsoul fragmentに乗っ取られ、旧Demon Kingが不完全revivalしてしまう。
彼女はYamataと一緒にLuvezfolに、そしてJulianaはDemon King Familiarによって空を飛び、『Evil God of Ruinous Greed』に迫る。
『ん? 貴-samaはLuvezfol……か? 姿がSlightly違う気がするが、そうだ、貴-samaに聞きたい事がある。Champion共は今どこにいる? Guduranis -samaや他の同胞達は何処へ行った? 答えろ』
それに対してZobyubelogiaも気が付いたが、Luvezfolを敵と認識しなかった。やや困惑した-sama子だったが、横柄な態度で向き直って質問を投げかけてくる。
『はっ! お答えします、Champion共は――貴-samaが知る必要はない! 死ねぃっ!』
質問に答えるように見せかけたLuvezfolが言葉の途中で放った『Raging StreamのBreath』が直撃し、Zobyubelogiaが声もなく地面に墜落する。
『き、貴-sama!? 気でも狂ったのか!? 我に逆らうという事はDemon King -samaに逆らうも同じなのだぞ! それに我が貴-samaらの寝返りを認めるよう、Demon King -samaに口を聞いてやった恩を忘れたのか!?』
そしてtentacleを大地に向かって振り回して地響きをたてながら、そう喚き散らす。
『ぐうっ……さっそくPauvina -samaやReinhardt -kun達には知られたくなかった我の過去を!』
そう、ZobyubelogiaはLuvezfolや『Evil Boar Beast King』Bododo、そしてこの場にいないZorzaceiba等が『Lambda』worldのGodsを裏切ってDemon King Armyに寝返るとき、Guduranisに『面白そうだから使ってやりましょう』と口添えをした大幹部だったのだ。
もっとも、Luvezfolの素性はPauvinaやReinhardtだけではなくHartner Duke軍全体に知られていたため、今更気にする者はいなかった。Pauvinaも彼の頭の上で、「ふーん」とnodだけである。
やはり、他人は「いまさら気にしなくていいのに」と思うような事でも、本人にとっては知られたくない過去だったのだろう。
『そうか! sealedから目覚めたばかりの我を謀殺し、我の地位を奪うつもりか! なんと、なんと……素晴らしい! 今、この瞬間、我は初めて貴-samaを真に我々の同胞に相応しいと心から思ったぞ!』
一方、Zobyubelogiaの頭の中は十万年以上前、『Lambda』のGodsとDemon King Armyが戦っていたMythの時代、それもChampionが七人全員健在で、自分がsealedされた時代で止まっているようだった。
彼の頭の中では、GuduranisがまだDemon King ArmyにReignしており、LuvezfolはDemon King Armyに寝返った下っ端なのである。
『ひぃっ!?』
そして称賛されたLuvezfol本人は、気色悪さのあまり思わず引き攣ったようなscreechを上げながら怯んでしまった。
『だが、いくら我と同じ価値観を共有しようとも、我に逆らう事は許-san!』
「コラッ! うちのLuvezをidiotにするな~っ! 【爆轟砕棍】!」
そのLuvezfolに向かってZobyubelogiaが振るったtentacleを、彼の頭部に立っているPauvinaの棍棒の一振りが砕いて弾く。
『もうすぐmain bodyが来ますが、援軍を置いてすぐに別の場所に移動するのでもう少し持ちこたえてください』
「援軍? いったい誰が?」
そうJulianaが馬型Demon King Familiarに尋ねるより早く、空から二本の杖が降ってきた。それはmidairで蠢くと、恐ろしい姿に変じた。
『こんな大物がいる場所に放り出されるとは聞いてないっス! でもやるしかねぇッス!』
全体的にGiantな手に似た形の、指に当たる部分に単眼の蛇の頭を生やした異形の五頭一tailの龍、『Evil Dragon God of Five Sins』Fidirg。
『しかし、せめてもう少し後方に落として欲しかったぁぁぁ!』
一見するとGiantな樹だが、Fruitの代わりにeyeballを実らせた『Evil God of the dark Forest』Zozogante。
二柱とも元Demon King Armyの下っ端であり、当時のLuvezfolとは逆にLambdaのGodsに寝返った邪悪な神である。
彼らの登場に、思わずLuvezfolは叫んだ。
『もっとマシな援軍はいなかったのか!?』
『なんだと!?』
『『『『『いくら本当の事でもひど過ぎる(ッス)!』』』』』
彼らは戦力的にLuvezfolと同程度であり、三柱合わせてもZobyubelogiaに敵わないはずである。
『くっ、下っ端共が揃いも揃ってこの我の地位を狙うとは……いいっ、いいぞっ! たまらん! だが殺す!』
そう叫ぶZobyubelogiaとの激闘が始まるのを確信しながら、『Thousand BladesのKnight』Valdiriaは思った。
「この戦いを見る事になる将兵の士気……いや、正気はいつまで持つだろうか?」
しかし、Vandalieuは将兵のMentalにやさしい援軍も置いていったようだ。
「お前達、卒業後だが授業だ。科目はmusic」
「Randolph、冗談もほどほどにしてくれ」
左右の手で短剣を構えた『True』Randolphと、元Hero Preparatory School校長のMeorilithがZobyubelogiaの前に立ちはだかった。
その頃Heinz達『Five-colored blades』は、Boundary Mountain Range内をTalosheimに向かって進む途中でVandalieuが仕掛けた待ち伏せにあっていた。
「皆、warming upだと思って体を動かしておくんだ。くれぐれも、消耗しすぎないように」
Vandalieuが陽動のためのmonstersを放つためにBoundary Mountain Rangeに谷を造ったため、Vida's FactionのGodsが張ったBarrierに穴が開いた。そこを通ってHeinz達はBoundary Mountain Range内に潜入した。だが、tacticsのために故意に開けた穴の内側を無防備なまま放置するほど、Vandalieuは甘くなかった。
MythrilやAdamantite製の、-sama々な形状のGolemがHeinz達の前に立ちはだかった。
「消耗しすぎないようにって、こいつらと真面にやり合っても消耗するだけだ!」
Jenniferが言った通り、Golem達はまともに戦っていたら消耗せざるをえない嫌な構造をしていた。
使われているDemon Path金属は、主な武装をOrichalcum製で揃えている今の『Five-colored blades』の敵ではない。しかし、Golemの体内には空洞があり、そこに仕込まれた物が厄介だった。
Golemを破壊すると、着火して爆発四散する爆薬。Weapon EquipmentとGolemの残骸をくっつけてしまう接着剤。空気に触れると気化して毒ガスに変化する薬剤や、空気感染するDisease原菌。
そして稀に液体金属Golemが内部に仕込まれており、外側のGolemが破壊された瞬間襲い掛かってくることもある。
「ここは一旦引いて、後方のHoly Armyと合流し、先ほどBellwood達が語ったGuduranisのfragmentを宿した邪悪なGodsを倒す事を優先するべきではありませんか!?
Guduranisを放置すれば、Selenも、そしてworldも危険に晒されます!」
Daianaがもっともな意見を主張するが、Heinzは首を横に振った。
「すまないが、どうしても行くなら-kunとJenniferだけで行ってくれ」
「なぜです!? Vandalieuを倒す事を優先するためですか?」
「いや、私とDelizahが合流すると逆効果だからだよ」
Heinzがそう答えると、困惑するDaianaとJenniferに、Delizahが答えた。
「私達、特にHeinzが戻ってHoly Armyに合流したら、どうなると思う? Vidal Magic Empire……Vandalieuが私達と一時休戦して邪悪なGodsと戦うと思う?」
「それは……ありませんね」
「ああ、Rokudou Hijiriの時と同じように三つ巴になるだけだ」
Dark Avalon事件の事を思い出した二人に、Heinzはさらに言った。
「いや、同じじゃない。Vandalieuは邪悪なGodsより私達を倒すことを優先するだろう。Vidal Magic Empire軍を私達から守るために」
『Five-colored blades』が、もしAldaの放ったGuduranisのsoul fragment付き邪悪なGodsを倒す事を優先してきた道を戻り、Holy Armyに合流した場合、Vandalieuは戦場に存在するVidal Magic Empire軍を守る事を優先するとHeinzは考えていた。
何故なら、邪悪なGodsが暴れているのは罪もない人々がいるOrbaumではなく、allyと敵しかいない戦場だ。Vandalieuにとって守るべき存在と、守るに足らない存在ははっきりと分かれている。
「それに、おそらくAldaが放った邪悪なGodsはGuduranisのsoul fragmentを合わせても、Rokudou Hijiriよりもweakはずだ。だから、Vandalieuには以前よりも余裕がある」
Alda believerのHeinzもDemon Kingのsoul fragmentを埋め込んだGodsを放つなんて正気の沙汰とは思えないが、さすがにRokudou Hijiriよりも強力になるような存在は放っていないだろうと考えていた。
だからこそVandalieuには余裕があり、Heinzと一時休戦しようなんて考えもしないだろう。
「それなのに私達が戻ったら、Vandalieuは私達から仲間のUndeadやmonstersを守るために駆け付けてきてしまう。Aldaが他の場所にも邪悪なGodsを放っていたとしても。何故なら、Vandalieuにとって私たちの方が邪悪なGodsよりも脅威だから」
そう断言しながらも、一体ずつGolemを無力化していくHeinzにJenniferは「なんでそう断言できるんだ!?」と聞き返した。
「それは、この待ち伏せが私達を足止めするのには生ぬるいから……本来なら、ここにVandalieu自身もいるはずだっただろうに、居ないからだ!」
故意に作ったBarrierの穴を通ってくる精鋭は『Five-colored blades』か、『Five-colored blades』を中心にした精鋭部隊である可能性が高い。それなのに、倒すのがやや面倒なGolemしかおらず十分な迎撃戦力とは言えないのは、本来ならここにVandalieuかそのCloneがいてHeinz達を迎え撃つはずだからだ。
今Heinz達が戦っているGolemは、もしかしたらHeinz達について来ているかもしれないHero Candidateに対して用意した露払いのためのものでしかない。
そのVandalieuがいないという事は、彼にとってHeinz達を迎え撃つよりも優先する事があるからだ。例えば、AldaがHoly ArmyとVidal Magic Empire軍が戦っている戦場以外にも、Guduranisや邪悪なGodsを各地に放ったため、それを倒すためにworld中を飛び回っているのかもしれない。
しかし、仮にHeinzがBoundary Mountain Range外にいるHoly Armyに合流すれば、優先順位がひっくり返ってしまうかもしれない。それでVandalieuが仲間をHeinz達から守るために彼を殺すことを優先すれば、邪悪なGodsが野放しになってしまう。
「つまり、Guduranisのsoul fragmentをVandalieuに始末させるのか!? あたし達って奴がGuduranisに乗っ取られるかもしれないから倒そうとしてるんだよな!?」
「結果的に他の邪悪なGodsによる被害を防げるならそれでいい。私達の前に現れたVandalieuが、既にGuduranisに乗っ取られているのか、まだ乗っ取られていないのかは、私達が勝てば関係ない。
各地に散っているだろうGuduranisのsoul fragmentに最も早く対処できるのは、私達ではなくVandalieuなのだから」
残念ながら、Heinz達にはworld中を瞬く間に移動できるような機動力はない。
そして実際、HeinzがもしHoly Armyに合流してしまったら、Vandalieuは彼を殺すことを最優先にするだろう。Vida's Factionの龍であるZigguratを守るために。
狂乱し続けるZigguratとVidal Magic Empire軍を守りながら、Heinzを殺すために全力を出すVandalieuに対して、身を守るためにも全力を出さなければならない『Five-colored blades』。その余波でHoly Armyは消し飛び、Mirg Shield Nationは甚大な被害を受ける事になる。
Vandalieuにとって、敵国で顔も知らないMirg Shield Nationの人々の命よりもBorkusやBudarion、Schneider、そしてVigaroにZiggurat達の命の方がはるかに重要で尊いのだから。
しかも、その間Aldaが各地に放ったGodsはVandalieuの仲間達が抑え続ける事になり、失敗すればGuduranisが再び不完全revivalしてしまう。その展開はVandalieuも、そしてHeinzも望んでいない。
「でも、このまま進んだらTalosheimを守るためにVandalieuが邪悪なGodsを倒す前にやってきてしまうのではありませんか?」
「それはない。この先にTalosheimはもうないか、在っても住人のいない偽の都市だ。だから、Vandalieuは私達の事を『-sama子見』で留めていられる」
陽動のために故意に作ったBarrierの穴の先にTrapを用意してあるのに、その先に自らにとって重要な存在を置いたままにするはずがない。
Mountain Rangeを動かしたのだから、都市を動かす事も当然できるはずだ。だから、この道の先にVandalieuにとって守る価値がある存在はなにもない。
だからHeinzはVandalieuが現れるのを待ち続けていた。