Asagi・Minamiがひとまず納得して穏便に事が治まったのに安堵しているのは、地上の人々だけではなかった。
『ああ、よかった』
『全くだ。こっちからは干渉できないし、Asagiはこういう時に限って【Familiar Spirit Advent】を使わないし』
『使ったとしても、結局私達のいう事に耳を傾けるか分からないけれどね』
RodcorteのDivine RealmでCircle of Reincarnation systemを必死に回しながら何かを企んでいる、Endou Kouya、Machida Aran、Shimada Izumiの三人だった。
彼らはRodcorteのDivine RealmからAsagi達を、事が穏便に済むよう祈るような気持ちで見守っていた。何故なら、今の彼らには見守る以外できる事がなかったからだ。
神ではなくFamiliar Spiritでしかない彼らは、自身の判断でOracleを下す事は出来ない。そのため、AsagiやTendou、Shoukoに彼等からmessageを送る事は出来ない。
Asagi達が【Familiar Spirit Advent】を使えば、彼らの体に降りて意思を伝える事は可能だ。しかし、Asagi達は大事件が終わったばかりで平和なOrbaumに滞在しているためその機会はなかった。
それならRodcorteがAldaに行動不能にされる前に、Asagiをどうにかするべきだったという意見もあるだろう。しかし、それが可能だったらとっくにTendouとShoukoが彼を更生させている。どうにもならなかったから今の状況になっているのだ。
もっとも、結果的には穏便に事は収まった。
『ただただMariやVandalieuに感謝だ。Asagiがもし殺されていたら、霊になった彼はVandalieuに導かれていただろうから……ウザいって理由だけで魂を砕かれる事はないだろうけど、適当なGolemに入れられて数千年単位で放置される事は十分考えられたから』
Vandalieuの行動に何かと文句をつけてきたAsagiだが、死んで霊になれば彼のGuidanceのimpactからは逃れられない。何せ彼はVandalieuの事を仲間だと思っているのだ。Vandalieuが認めていなかろうと、Guidanceには関係ない。あっさりと導かれるだろう。
Rodcorteも行動不能になっているから、地上から魂を回収する事も出来ない。もしかしたら、死んだ次の瞬間にはCircle of Reincarnation systemに還る可能性もないわけではないが、まず無理だろう。
だが、VandalieuがそんなAsagiの霊をどう感じるかというと……考えるまでもない。
『AldaのFamiliar Spiritはどうだ?』
『さあ、from hereは動きが見えないけど、騒いでいる-sama子はないから大丈夫だと思うわよ』
AldaがAran達を見張るためにRodcorteのDivine Realmに配置している彼のFamiliar Spiritは、Divine Realmの出入り口にあたる場所で彼らがAsagi達にVandalieuに協力するよう吹き込まないか、警戒して見張っていた。
皮肉なことに、Vandalieuの敵であるAldaには、AsagiはVandalieuの仲間だと思われている。accurateには、何かきっかけがあれば協力し合う関係だと思われているのだ。
『あの-sama子じゃ先は分からないが……少なくとも事が済むまでは大人しいだろう』
『じゃあ、憂いもなくなった事だし作業を進めますか』
そして、三人は安堵して作業に戻った。
【Noah】のMaoと【Super Sense】のGotoudaがいるLaberta Archipelagoでは、revived GuduranisがVandalieuによって倒され、Amid EmpireがAmid Sacred Empireと国名と体制を変え、Boundary Mountain Rangeが動いても特段変化のない時間が過ぎていた。
Bahn Gaia continentとLaberta Archipelagoの間には船で一月以上かかる距離があり、船での行き来も頻繁にあるわけではないためだ。後一カ月もすれば船の乗組員や船長が酒場でGuduranisがDark Avalonという奴のせいでrevivedが、討伐されたらしいと土産話をし、交易商人が情報を交換する事で話が伝わり、ちょっとした騒ぎになるだろう。
そして一月と半月もすれば、Boundary Mountain Rangeが動いた事……それ以上にDuke Farzon領が鎖国した事で島の商業guildは大騒ぎになるだろう。
とはいえ、交易に直接関係ない列島の住人にとって Bahn Gaia continentでの出来事は、遠く離れたworldの出来事でしかない。交易に関わる者達は商売に差し支えるのではないかと頭を悩ませ、船乗りのfamilyは夫や息子が無事に帰ってこられるか不安を覚える。その程度である。
「いやー、今日も商売日和ね。あ、今日は商業guildに顔を出しに行くから、その間店番よろしく」
「はいはい、店長」
Maoの店はGotoudaが住み込みで働きだしてから、Dwarfの店長とElfの店員がいる店として珍しがられていた。
二人とも元adventurerなのも、注目される理由だった。
二人が Bahn Gaia continentで起こっている事を知るのも、約半月後になる。adventurer稼業から離れた二人は【Familiar Spirit Advent】を使う必要が無いし、Aran達も逐一情報を伝える必要を感じなかったからだ。むしろ、頻繁に情報をやり取りすると、危険を呼び込むことになるかもしれないとしばらく前からAran達には考えられていた。
実は二人のいるLaberta Archipelagoから何人かのHero Candidateが船で Bahn Gaia continentへ旅立っていたが、MaoとGotoudaはそれを知らなかった。
Hero Candidate達が、blessingsを得た事はpartyを組んでいる仲間以外には黙っていた事。そして普段から船の護衛を兼ねて、島を出て Bahn Gaia continentや他の島へ向かうadventurerはいるので、彼らもそうした者達だろうとしか思わなかったからだ。
知っていたとしても、MaoとGotoudaには彼らを止める事は出来なかっただろう。
一方、『God of Law and Life』Aldaは二人のReincarnatorが島にいる事を知っていたが、今はまだ放置しておいて構わないと考えていた。というか、手を出す余裕と意味が無いと考えていた。
二人はVandalieuに協力している訳ではなく、逆に敵対している訳でもない。自分達の勢力の神を信仰している訳でもない。
そんな二人に対してEileekにOracleを出してAssassinや、逆に勧誘するための人員を送り込むにしても、彼女達がいるのは Bahn Gaia continentから離れた位置にある島で、行き来に時間がかかる。
Assassinを送り込むにしても、【Super Sense】のCheat Abilityを持つGotoudaを暗殺できるAssassinは少ない。そして暗殺が成功したとして、二人はVandalieuの仲間ではないのでVandalieuの戦力が低下する訳ではない。もしAssassinが返り討ちにされれば、こちらの戦力が低下する。
むしろ、RodcorteのDivine RealmでCircle of Reincarnation systemを動かしているFamiliar Spirit達が二人の死をきっかけに反発し、systemを止めたら危険だ。
勧誘する場合でも、成功したとしても手に入るのはCClass adventurer相当が二人だけ。Cheat Abilityはあるが、それも含めてAldaにとって何を考えているのか分からないReincarnator二人をminionsに加えるよりも、指示を聞くHero Candidateの育成に手間をかけるべきだと判断していた。
そして、VandalieuもMao達に関わっている暇はないと考えて……accurateには、興味関心がなかった。
Maoの【Noah】以上のtransportation Abilityを持つSamやCuatroが仲間にいるし、Gotoudaの【Super Sense】はVandalieu自身の感覚が【Demon King Fragment】でEnhanced (1)できるため、必要というには程遠い。
二人がAlda's Factionに加わるなら敵として対処しなければならないが、島から動いていないのでその必要もない。
二人が暮らしている島にも、Vida's New Racesの復権やVida信仰の布教のために将来的には訪れる事になるだろう。何事もなければ、それは近い未来だったかもしれない。だが、Amid Sacred EmpireやDuke Farzon領が動いた事で状況は変わった。
島でVida's New Racesに対して酷い迫害が行われているならその限りではないが、そんな事もない。
つまり結局は、Vandalieuにとって優先順位が低いのだ。
こうして二人のReincarnatorは、当人達の望み通りworldの未来を賭けた戦いの蚊帳の外に置かれ続けている。
その頃、Amid Sacred EmpireとDuke Farzon領では、神による奇跡が連日起きていた。
「Dungeonが出現したぞ! 今度は『God of soldiers』のDungeonだ!」
「もう『God of soldiers』's Divine Protectionを受けたHeroが攻略に向かっているらしい。俺達も行くか?」
「いや、まずはblessingsを受けている連中に譲ろう。あのDungeonの本来の役目は、blessingsを与えたHeroを鍛える事だからな」
かつて『God of Thunderclouds』Fitunが自身のHeroic spiritをPossessionさせた急造のHero達を鍛えるのに、自身の『Trial's Dungeon』を使ったように、Alda's FactionのGodsが自身の『Trial's Dungeon』の入り口を地上に降ろしているのだ。
それにより、Hero Candidate達を更に鍛えるために。
地上に『Trial's Dungeon』を降ろすのは、本来なら禁じ手だ。降ろすために力を使うし、地上に降ろしたDungeonがもしrunawayしてしまったら、ただでさえmonstersが大量発生している地上へさらにmonstersをばらまく事になる。
そして事が済んだ後、『Trial's Dungeon』を回収するのにも力を使う。
それにこうした『Trial's Dungeon』は選ばれたごく一握りの存在のみが挑戦できるから、有難味が出るのだ。誰でも歩いて挑戦できるのでは、ただ普通より難易度が高いだけのDungeonでしかない。
それでも一つならありがたがられるかもしれないが、Alda's FactionのGodsが次々に『Trial's Dungeon』を降ろすので、信仰に熱心なAmid Sacred Empireの人々の認識から早くも神秘性が消え始めている。
人々もGodsがそこまでしなければならない非常事態である事は分かっているが、次々に出現する本来なら選ばれた者のみが挑戦できる試練に対して、興味関心を個別の『Trial's Dungeon』に持てなくなっているのだ。
Alda's FactionのGodsもそれを感じ取っている。感じ取っているが、「今は非常時故、仕方がない」と考えている。「worldの存亡をかけた戦いの前なのだから」と。
そう、神である彼らの頭の中にも、Vandalieuを倒すことでworldは救われるという考えが詰まっている。Vandalieuを倒せばBotinやPeria、RicklentにZuruwarnも正気に返り、Vidaは今度こそ零落して神の座から消え失せ、worldはより良い方向に向かうはずだと、それが正しいのだと認識している。
彼らは独立した神であると同時に、生前はAldaを頂点としたAlda教のbelieverだった。『God of Law and Life』AldaをGodsの長と崇め、信じてきた者達だ。
神となった今でも、彼らはAldaを信じ崇めている。
冷静に考えればVandalieuを倒したところで、Aldaとそれ以外のGreat Godとの間にある溝は深まる事はあっても浅くなることはないと分かるはずだ。
十万年前と同じ事を繰り返す事で、何が変わるというのか。彼らは誰一人としてそれを考えない。
そもそも、Vandalieu達を相手にAlda's Factionが勝てる見込みはそう多くない。戦いが終わった後、このworldの総人口が数千人以下になっても構わないと、総力を結集したとしても。
そして、Vandalieuを倒したとしてもこのworldに広がるDevil Nestsが直接消えるわけではない。そして、Circle of Reincarnation systemの問題もAldaがRodcorteにPile of Lawを打った以上、Vida式Circle of Reincarnation systemを破壊しても解決しない。
Vidaのsystemを破壊するだけでは、既にそのsystemに取り込まれている魂は行き場を失うだけだからだ。その後、Rodcorteが魂を回収しなければならない。
本来の予定では、Vida式のCircle of Reincarnation systemに取り込まれている魂の内、Rankを持たない者の魂はRodcorte式Circle of Reincarnation systemにAbsorptionするはずだった。
しかし、Rodcorteは現在杭を刺されて行動不能。Vandalieuを倒した後Aldaが彼を解放したとしても、Rodcorteが自分を杭で滅多刺しにしたAldaとの約束を反故にしない保証はない。
もし約束を反故にされれば、AldaはEileekを通じて発したVida's New Racesの存在を認めAlda Reconciliation Factionを正当とするという言葉を反故にする事になる。
それではもしVandalieuとの戦いに勝利したとしても、生き残った人々に対して小さくない不信感を持たれる事になるだろう。
だが、Alda's Factionに残っているSubordinate God達はそうした事に気が付かず、考えない。何故なら、BaciasやElkのように気が付いた神や考える事が出来る神は、既にAlda's Factionから離反するか距離を置いているからだ。
残ったGodsはそれが出来ない者か、Aldaを盲目的に支持しているかのどちらかである。
『全ては正義のために。我が子らよ、子羊たちよ、我が照らす道を行け』
そして『God of Law and Life』Alda自身も、そうした事には気が付いていない。Subordinate God達と同じように、彼もVandalieuに勝つ事だけに全てを注いでいるからだ。
Gerald・Birgit Dukeは、Duke Farzon達を評して「聖戦をしている」と評した。しかし、それはAldaと彼に従う多くのSubordinate God達にも当てはまる事だった。
そのAldaは、追い詰められている。
『Edgarを失ったが、Heinz達はより強くなりつつある。特にHeinzはBellwoodとの同調も進み、【Heroic God Advent】の効果は上がり制限時間が伸びている。HeinzがBellwoodにではなく、BellwoodがHeinzに合わせているのが気がかりだが……。
Hero Candidate達も、成長著しい。以前に選ばれた者も、新しく選ばれた者も』
『Five-colored blades』の戦力は、高まりつつある。Hero Candidate達も同-samaだ。
しかし、Aldaはまだ足りないと考えていた。そう思うのが当然なのだが。
だがしかし、新しく打てる手は少ない。追い詰められたあまり、かつて『God of Thunderclouds』Fitunが【Marionette】のHajime Inuiを使って行った禁じ手……believer達を廃人にしてHeroic spiritに仮のBodyとして使わせることも考えたが、believer達を使うのは-sama々な意味で難しいと判断したので諦めた。
Fitunがあの禁じ手を実行できたのは、Bodyを乗っ取ってYorishiroにしたReincarnatorの存在が大きい。そうでなければ、地上に干渉するのに力を大きく消耗する神が、believerを何人も廃人にはできない。それに、脳も含めてBodyに障害を残さず人を廃人にするのは、当然だが難しい。
Memoryや人格は壊さなければならないが、目や耳などの感覚器官や運動機能にまでimpactが出ては、Heroic spiritを宿らせても本領を発揮できない。
そして何より、事が露見した場合believer達のreligionが揺らぐと考えたからだ。
『その分Eileekは上手くやってくれているが……それでもまだ足りない』
そう語るAldaの前には、sealedされたGuduranisのsoul fragmentがあった。RodcorteのDivine Realmから回収したsealedもここにあるため、Vandalieuに喰われたものを除いたGuduranisの魂全てが揃っている。
『これを使えば、Vandalieuに対する大きなWeapon Equipmentになる。だが、同時に解放したGuduranisをVandalieuに喰わせなければ大きな災いになり、そうすればVandalieuをEnhanced (1)してしまう』
Vandalieuを倒さなければ、このworldは救えない……正しい理想の姿を取り戻すことは永遠にないとAldaは確信している。
しかし、同時にGuduranisをrevivalさせることの危険性も理解している。
『だが、このままではVandalieuに勝つ見込みは薄い。ならば……使い方を考えるしかあるまい』
迷った挙句、AldaはGuduranisのsoul fragmentに手を伸ばした。
その頃、Alda Sacred Empireのtopに立つPope Eileek・Marmeは、神から与えられた聖務に熱中していた。
「reincarnationの儀は進んでいますか?」
「はい、つつがなく」
「Candidate者の選定に問題はありませんか?」
「もちろんです」
Eileekが会話を交わしているのは、神の忠実な使徒たちだ。仮に、神から捧げよと言われれば躊躇わず命を……自分のものだけでなく、親brothersやloverや妻やchildのものであっても、喜んで捧げる真のClergyman達である。
「繰り返しますが、選定に問題はありませんね? 数を確保するために条件を我々の判断で緩める事は、神の意志に反する事になります」
「もちろんです」
だからこそ、彼らは聖務に厳しい。自身の意思よりも神の意志を優先するため、勝手な判断を下さない。
「該当者はSchneider達『Storm of Tyranny』にだいぶ消されましたが、十分な数があります」
「条件を緩める必要性もありません。もしもの時は、我々の身を捧げるつもりでしたが……」
「本来なら嘆かわしい事ですが、これも神の采配でしょう」
そして選ばれたCandidate者達は、鎖に繋がれ彼らによって丁寧に壊され『reincarnation』させられていく。
そして、ここにも神を熱心にworshiper達がいた。
「Bacias -samaっ! Advent、おめでとうございます!」
巌のような顔に"muscle and bones"隆々としたBodyを持つ大男が、陰のある美女の前で膝をつき、頭を下げていた。
彼の名はArthur。見た目は怖いが純粋で善良な心を持つ青年である。
「あ、ありがとう、Arthur。こ、こんなに喜んでもらえるなんて、わ、私、嬉しい……!」
そして美女は、彼が奉じる『Goddess of Rain Clouds』Baciasだ。MariによってYorishiroとなるBodyを得て、魂の何割かをAdventさせたのだ。
見る者が見れば彼女からただ者ではない雰囲気……Sacredな力を感じる事ができる。Goddessである彼女が念じれば、晴天は雨天へと変わり、彼女とその信徒に仇なす者は凶兆に襲われるだろう。
「こ、こんなに喜ばれたの、本当に初めてっ。私なんかを信仰してくれてありがとう!」
しかし、今は涙ぐんでいるただの美女である。
気象だけでなく、水害などの凶兆を報せるGoddessとして信仰され、ここ数百年はbelieverも少なくなってきていた彼女はSelf評価が低かった。
「何をおっしゃいますか! Bacias -samaよりblessingsを賜ったからこそ、今の私があるのです! おかげでImoutoと親友共々素晴らしい友を得て、この力を世のため人のために使う事が出来ます!」
「「感謝いたします!」」
Arthurと彼のImouto、Karinia。そして幼馴染のBolzofoy。彼らもBaciasに感謝していた。Baciasが『Goddess of the Dark Nights』Zelzeriaや『God of Shadows』Hamulに勧めたのをきっかけに、彼女達はblessingsを得たからだ。
「わ、私もです!」
そして偶然Arthur達と出会って仲間となり、彼らと付き合うようになったMiriamも感謝の気持ちは同じだったが……。
「ああ! Miriam、あなたには私こそ感謝しているの! ありがとう、この子達を受け入れてくれて。あなたがこの子達が暮らす村に訪れた事こそDestinyだったのよ。
『Goddess of Rain Clouds』の名にかけて、これからもずっと……私が存在する限り、永遠に……あなたの事を愛しているわ」
ごうごうと何かが激しく渦巻くようなsignに、炯々と光るくせに底の見えない暗い瞳。Goddessの自分に対する評価が、過剰にRank upを繰り返している。
「ひゃ、ひゃいっ!」
Baciasに抱き寄せられその瞳に凝視されたMiriamは、そう返事をするのが精いっぱいだった。
Vandalieuで慣れた気になっていたが、やはり本物のKami-samaの迫力は違う。それとも、彼はあれで普段から色々と加減しているのだろうか? それにGoddessの愛ってこんなに圧力を感じるものなのだろうか?
Miriamはそんな事を考えつつも、同時にArthur達とBaciasは似た者同士だと確信した。
そうなるとZelzeriaとHamulもそれぞれKariniaとBolzofoyと似ているのだろうかと、ふと思ったMiriamだったが、さすがにそれはないだろうと思い直した。
「それで、これからの事だけど、私もあなた達と一緒に――」
戦いたいというのだと、Miriamは思った。
「歌ってdanceたいのだけど、だ、大丈夫かしら?」
「もちろんです! ……えっ?」
思わず聞き返した彼女だったが、それは力強く頷いた後だった。