先の会議では、-sama々な事が発表された。Vandalieuがanother worldからのReincarnatorである事、Reincarnatorは彼だけではなくKanako Tsuchiyaを含めて複数存在する事。そして十万年前にGuduranisに砕かれたZakkart達四人のChampionのsoul fragmentが数えきれない程のreincarnationを経て生まれたのが、Vandalieuだという事。そして、その他諸々の隠してきた正体や真実。
それを聞いたOrbaum Elective Kingdomを動かすDuke達に、激震が走った。
今はSacred Empireと名を変えたAmid Empire初代Emperorは、自らがBellwoodの子孫であると名乗ってEmpireを興した。それからも分かるように、Championの子孫であると信じさせることができれば、一国を興す事ができる程の大義名分を手に入れる事ができる。
しかも、Vandalieuの場合はDarciaを介して『Goddess of Life and Love』Vidaからお墨付きが得られる。必要なら、それこそ何度でも。
Amidの皇族は現代では本当にBellwoodの子孫か、怪しむ者も多く存在する。敵国であるOrbaum Elective KingdomがSpyを通じて流している流言飛語や、皇族に対するただのやっかみを差し引いたとしても。
しかし、Vandalieuの場合はChampionの生まれ変わりである事を否定する者が……それがどんなに社会的地位が高く弁が立ち、疑う根拠と証拠を示すことができても、「VandalieuはChampionの生まれ変わりである」という事実を揺るがすことはできない。
疑いがあると訴える人物が誰だったとしても、Great Godの保証には敵わないからだ。まだ中立を宣言したままのAlsabah Dukeや、日和見故に親Vidal Magic Empireを表明するのが遅れたRext Dukeは、Vandalieuが Bahn Gaia continent……いや、world統一の野望すら掲げる事ができる大義を持っている事に戦慄を覚えた。
……もっとも、既にVidal Magic Empireの国民から自主的にGiant像を建造されるほど支持されている【Guidance Master】Vandalieuにとって、「Championの生まれ変わり」として新たに得られる支持などオマケに過ぎないのだが。
それに比べれば、KanakoもReincarnatorである事や、彼女達はDark ElfではなくChaos Elfという新しいVida's New Racesである事、VCreamを使用し続けるとHell raceというraceに変異する可能性がある事、『Storm of Tyranny』のZorcodrioがPure-breed Vampireである事、Vidal Magic Empireの領土がlegendのDemon continentやMythのDemon KingのContinentにも及んでいる事は小さな……全く小さなことではないが、後半はもうスケールが大きすぎてDuke達がすぐに理解できる枠を超えてしまっていた。
ちなみに、Katie・Hartner達がReincarnatorである事、Zorcodrioの義理の息子であるSiegの実の父親がMashkzarである事は伏せられたままだ。前者はVidal Magic Empireの国民ではないKatieの秘密を勝手に明らかにして何かあったら責任が取れないから、後者は明かしても良い事がなさそうなのと親であるZorcodrioの意向が優先されたからである。
また、DarciaがMirg Shield Nationで処刑されて一度死んだ後生き返っている事も明らかにしていない。HadrosやTakkardならともかく、他のDuke達が完全な死者のrevivalという奇跡が起こりうることを知って欲望に駆られないかどうか信じる事ができなかったからだ。
……Hell race等への変異や、Undead TransformationやDemon、monstersへのPseudo- reincarnationが既に知れ渡っているので、杞憂かもしれないが。
そのようにVandalieu達が打ち明けていない真実があるだろうことは、会議に参加した全てのDukeが察していたが、誰もその場で追及はしなかった。興味はあるが、Vidal Magic Empireが圧倒的な強者である真実の方を重視したからだ。
情報とは強大な力の持ち主によって握られ秘されるもので、いつか必ず真実が白日の下にさらされるが、それは百年後や千年後、考古学者が研究の末に発見する場合もある。
人権の概念もあやふやなこのworldで、知る権利について考える者はほぼ存在しない。
もっとも、外交が本格的に始まれば各Duchyの諜報機関が調査する事になるだろうが。
また、そうした秘密を打ち明ける前に宣言したVida FundamentalismからVida信仰へ名称を改める件は、衝撃ではなく若干の納得をもってDuke達に受け止められた。
『Earth』と違い、現在の『Lambda』worldではFundamentalism者がテロなど過激な行動を起こして事件や紛争を起こしてはいない。しかし、かつてあまりに過激で残虐な行動に出たためAldaがDivine Punishmentを下すまでに至ったというBellwood過激派の事はNobleやtemple関係者なら知っている。
Bellwood過激派はBellwoodの主張をFirstにした、いわゆる過激なFundamentalism者だった。そのため、Nobleやtemple関係者にとって「Fundamentalism」とは漠然とした警戒感を覚えやすい名称なのだ。それを改める事は、十分納得できることだった。
逆に衝撃的だったのは、設置する予定のVidal Magic Empireの大使館に赴任させる予定の人員についてだった。
大使館とはお互いの国に設置する外交の窓口なので、Orbaum Elective KingdomのDuchyの大使館がVidal Magic Empireに置かれるという事は、Vidal Magic Empireの大使館が各Duchyに置かれるという事だ。
その大使館にVidal Magic Empireから派遣される人物について、Vandalieuは「とりあえず、Demon King Familiarを数体派遣する予定です」と語った。
「あの発言にはたまげた。思わずマジかよって言葉が口から出そうになった」
この会議で最も成果をあげたのは、そう側近に本音をぶちまけるGerald・Birgit Dukeだっただろう。
「まさかAllegiance testに二枚目があったとは。目的が大使に任命する人材を選出するまでの代理と、大使館員のstressを抑える事だと説明されなきゃ、各DuchyをOrbaumのように内部から浸食するつもりかと勘違いするところだった」
精悍な顔つきのWolf-species Beast raceであるDukeは、まるで予期していたかのようにVandalieuが提示したAllegiance test……Duke Farzon領への対決姿勢をとる事を誓って見せた。
Hartner Duchyの南に位置し、Duke Farzon領と近いというのに動揺した-sama子もなく判を押して見せた。そして何より、Alcrem DukeやJahan Duke、そして新Sauron DukeのようにVandalieuと通じているわけでもないのに。
「まあ、Vida's New RacesはもちろんですがDemonやUndeadを国民として認めている国と外交しようってんですから、大使館に為政者のCloneを設置される覚悟くらいしないといけないんでしょうな」
「Bombarde、お前は俺より肝が据わっているようじゃないか。俺はそんな覚悟、言われるまで持っていなかったぞ」
大使は国の代表として国交のある国へ赴任する。しかし、まさか為政者のCloneが赴任するとは想定していなかった。
想定していなかったが、結局いつかは国賓として本人を招く事になるのだろうからと、Geraldは第二のAllegiance testも表面上は躊躇いも動揺も見せずに踏んで見せた。それに対して他のDuke、そしてVandalieuも若干驚いていたが……。
「俺もまだまだimmatureだな。ただ、Allegiance testを踏む以外の条件は想定していたよりも軽かった。そのAllegiance testについても、考えてみれば、踏まない意味はそれほどない。色々と用意してきたが、無駄になっちまったな」
Gerald・Birgit Dukeは、この会議でVandalieuから何らかの証を立てる事を求められると予想していた。その中でDuke Farzon領やAmid Sacred Empireとの対決姿勢を明確にすることは、必要最低限……会議に出席する必須条件程度にしか考えていなかった。
他にも通商条約で有利な条件を譲る、領内にVandalieu templeを建立する、Vidal Magic Empireの要人に自分の親類を含めた領内の綺麗どころの嫁入りや花嫁修業という名目でのLover奉公、Heirloomの献上を想定して事前にそれとなく手を回していたのだが……。
「他にもVidal Magic Empire側の要人のyoung childを婿養子に迎える政略結婚、そして我が領の将来的な併合まで見据えていたのに……意外に慎ましいというか、遠慮深かったな。
俺から言い出していたら、強い者にすぐ靡く程度の軽いDukeとみられていたかもしれない。いやはや、言わなくてよかった」
なお、Gerald同-samaに政略結婚として親類や家臣の子女を妾やLoverとして供する事を考えていたDukeもいたのだが、結局は誰も口にしていない。
Elizabeth Sauron Dukeの戴冠式で、VandalieuのFirst子としてintroductionされたBakunawaの姿を見た者達からの報告を受けたからだ。
あの姿と大きさは、規格外過ぎた。衝撃のあまり、もう少し情報を収集してVidal Magic Empireの要人について調べた後で考えた方がいいのではないかと、冷静になってしまう程に。
逆にGeraldはその他のDuke達が躊躇している隙を突こうとしたわけだが……そうする必要はなかった。
「General、併合以外は全部恭順に見せかけた関係Enhanced (1)の手段じゃないですか。それと、併合されるプランについては、俺は何も聞いてないんですけどね」
「当たり前だ。そんな事を前もって口にできる訳がないだろ」
側近のBear-species Beast raceのKnightのBombardeが呆れたようにため息を吐く。
「Vida -samaがついているといっても、まだ得体の知れない国なんですから、自国を売るような真似をしないでくださいよ。Elder衆が卒倒しますよ」
「既にAlcremとJahan、Sauronに出遅れている。他の連中が二の足を踏んでいる間に売り込まないでどうする? あいつらはたしかにまだ得体は知れないが、それはまだ俺達が知らないだけで、大使館ができれば得られる情報量の桁が変わるから、得体も知れる。
それに、Vidal Magic EmpireはTelkatanisの爺みたいなCenterの胡散臭い古狸共よりはマシだ。それにもう手遅れだ。Orbaum Elective Kingdomは半分奴らの傘下みたいなものだからな」
Elective Kingdomの独立性やイデオロギーや文化を守るため、踏み留まってVidal Magic Empireと対峙する。それを考える時期はもう過ぎ去ってしまったとGeraldは分析していた。
「ただ、もちろん故郷を捨て値で叩き売るつもりはない。最低でも自治権を認めさせるつもりだったさ」
Birgit DuchyはOrbaum Elective Kingdomの南西に位置する、地形的に東隣のDuke Farzon領と北東が少し接しているRext Duchy以外の他のDuchyとは行き来しにくいDuchyだ。西はBoundary Mountain Range、北のHartner Duchyとは険しい岩山、そして南の海とも岩山で隔てられている。先祖が苦労してtunnelを掘って海まで繋げたが、大規模な貿易に使える程ではない。
だが、そんな土地だからこそOrbaum Elective Kingdomが建国されBirgit Duchyと名を改める前から、あの土地には-sama々なBeast raceが集まり集落を構えて部族連合を形成していた。
HumanやElfよりもmagicの適性は低いが、強靭なBodyや優れた感覚に恵まれているBeast race達にとって、Birgitの土地はMountain Rangeと岩山に囲まれた天然の要塞だったのだ。
それはOrbaum建国後も続いたが……ここ数か月で劇的に変わってしまった。
もうSauron Duchyに対Amid Empire用の戦力を送りながら、隣のいけ好かないDuke Farzon領との関係に悩みつつ、CenterのNoble達が余計な事をしないか気にするだけでよかった時代は終わったのだ。
「だって、Mountain Rangeを動かせるんだぞ、あの魔Emperor。勝てる訳ないだろうが」
Birgit Duchyを守ってきた天然の要塞は、VandalieuがBoundary Mountain Rangeを動かしたことで何の意味もなさなくなった。不動だった天然の城壁は、Vandalieuがその気になればあっさり形を変えられる不確かな物になってしまったのだ。
一応、Birgit DuchyにもMountain Rangeや岩山側に砦や城塞都市などの防衛拠点が存在する。しかし、それはrunawayしてDevil NestsやDungeonから溢れだしたmonsters用であって、tacticsを立てて行動する敵軍用ではない。人並みに頭を使う事ができる軍なら、容易く防衛拠点をすり抜けて街に攻め込むことができるだろう。
いや、なんなら、動かしたMountain Rangeや岩山をそのまま砦や城塞都市にぶつけるだけでもいいはずだ。鈍重な、しかし確実に迫ってくる超Giantな質量は、Dragonの一撃よりも容易く城壁を破壊するだろう。
西のBoundary Mountain Rangeと南北の岩山が同時に動き出したら、それだけでBirgit Duchyは刃を交える機会も与えられず圧殺されてしまう。
しかも、その場合故郷の土地はMountain Rangeにかき混ぜられて、元の姿は永遠に失われる。一旦逃げて雌伏の時を耐え捲土重来を狙う、なんて希望も何もない。国を失った流浪の民になってしまう。
「それを考えなかったとしても、戦争になったら勝てると思うか? Bombarde、お前には悪いが俺には惨敗するか蹂躙されるかのどちらかとしか思えない」
そんな状況なので勝ちようがないのだが、Vidal Magic EmpireとBirgit Duke軍の戦力を考えても勝ちようがない。
Orbaumで目にしたVandalieu本人や、KnochenやDarcia、Cuatroや『Sword King』BorkusやBoundary Mountain Rangeの内側から来た元『Majin King』……誰もかれもが圧倒的に強い。しかも、これでまだ本国に戦力を残しているというのだから、総戦力はどれ程なのかGeraldには想像もつかない。
それでも戦った場合、Birgit Duchyは孤立する。何故なら、Birgit Duchyは天然の要塞……監獄に囲まれているからだ。行き来しやすい隣のDuke Farzon領は敵対的で、援軍は期待できない。……もし来たとしても、後ろから刺される心配をしなければならないので、頼りにならない。
そしてCenterはVandalieuを信仰するDemon達が闊歩しているconditionで、援軍を出せるはずがない。暴動が起きてOrbaumが再び瓦礫の山になってしまう。
さらに言えば、Geraldに……Birgit Duchyの領民にとって、Vandalieuと敵対する意味がなさすぎるのだ。こちらに対する侵略の意思も、経済的に搾り取ってやろうという陰謀も、今のところは何もない。Duke Farzon領に対してAllegiance testを迫られはしたが、それを理由に反発する民が自領に存在するとはGeraldには思えなかった。
ここまで不利な要因が並び戦う必要性がないのだから、Geraldが恭順から共存共栄の道を探るpolicyをとるのは当然だろう。
しかし Bombardeには言いたい事があるらしい。
「General、口調が余所行きから完全に戻ってますぜ。馬車の中とはいえ、一応口調には気を付けた方が……」
「そっちか。もっと『俺達の実力を甘く見ないでください』とかなんとか言わないのか?」
「General、俺だって相手は選びます」
Birgit DuchyはOrbaum Elective Kingdomが建国された当時、Beast raceの国の中でも主導的な立場にいたWolf-species Beast raceの部族の長をDukeとして担ぎ上げ、他のDuchyに合わせてNobleによる統治体制をとっているように見せているDuchyだ。
そのため、実際にはbloodlineより強い者を尊ぶBeast race……Vida's New Racesらしい社会となっている。Noble 家現当主……つまり各部族の長の跡取りより強く性格的にも問題のない者が現れれば、婿養子や養女として迎えてSuccessorに指名するという事が当たり前のように起きている。
強さには知識や技術も含まれているため、戦いに向かない者が一概に迫害されるわけではないが。
それはともかく、そんな実力主義な社会でDuke直属にまで成り上がったBombardeもかなりの実力者だ。もしAClass adventurer相当の襲撃者がGeraldを襲撃しても、守り切って見せるという自負もある。
しかし、Dark Avalonが現れDemon King Guduranisがrevivedあの戦いで目にした、規格外の強者達……その中でも空で戦うGuduranisとVandalieu。Bombardeは、自分では足を踏み入れる事もできない戦場が存在する事を知った。
あれはHumanが戦ってはいけない相手だ。それこそ神か神をその身に降ろしたChampionでもない限り、挑むべきではない存在だ。
その存在の仲間達の内一人ぐらいなら、善戦はできるかもしれない。一合ぐらいなら打ち合って、決死の覚悟で一矢報いる事も可能かもしれない。
だが、戦いになった時点でBirgit Dukeの側近としては敗北が決定される。
Vandalieu率いるVidal Magic Empireと本格的な戦闘になれば、その戦闘の余波でどれほどの被害がBirgit Duchyに出るか、考えたくもない。
「他のDuchyも、それが分かっているからVidal Magic Empireの前でAllegiance testを踏んで見せる事になるでしょうぜ。それなのに、Farzonの連中はなんでそれが分からないのか……正直、俺には理解できませんね」
もし奇跡が立て続けに起きてVidal Magic Empireに勝つことができたとして、Bombardeは「でも、勝てたからってそれがどうした?」と考える。
勝ったところで領の運営が破綻すれば、負けと何も変わらないだろうにと。
「Farzonは昔から気に入らない連中でしたけど、いったいどうしちまったんですかねぇ?」
「俺も連中の考えている事は共感できないが、連中はmaybe戦争ではなく聖戦をしているつもりなんだろう」
「聖戦、ですかい?」
Geraldが口にした馴染みのない言葉に、Bombardeは思わずそのまま聞き返した。
「そう、聖戦だ。村が焼け街が壊滅し国が亡ぶことになろうと、戦わなければならない。利権や領土、資源や財宝のためではなく、正義や信仰やrace全体の生存、そしてworldの存続を守るために」
「それ、別にVidal Magic Empireと敵対しなくても守れるんじゃないですかね?」
VandalieuはVida's New Racesの権利を認めるよう、Orbaum Elective Kingdomに求めた。しかし、強制ではない。圧倒的な武力を背景にしているのでされた方としては脅迫にも思えるが、実際に脅迫はしていないのだ。
受け入れられないのなら、粘り強く交渉して時間を稼ぎながらお互いの妥協点を探るという道もある。例えば、Vida's New RacesをVidal Magic Empireへ亡命させる代わりに、領内で活動している危険なMajin Raceのterroristを捕縛し、Magic Empireへ連れて行ってもらうとか。
政治の専門家ではないBombardeでも、これぐらいならすぐに気が付く。他のDuchyの者達も、とっくに気が付いているだろう。それにDuke Farzon領のNoble達が考え付かないとは思えない。
「その通りだ。百歩譲って、敵対するにしても外交や経済的な関係だけにして実際に刃を交える事は避けても問題ない。
だが、Duke Farzon達の頭の中は信仰や大義や正義で満ちていて、それができないのだろう。Bellwood過激派やAlda過激派、そして危険なMajin Raceと同じだ」
そう述べるGeraldの目に、一瞬Duke Farzon領の民に対する同情が過った。
自領の歴史に詳しい彼は、他のDuchyから孤立する厳しさを知っている。Birgit Duchyは、Orbaum Elective Kingdomが建国された当初から孤立しやすい国柄だったからだ。
Amid Empireとの戦争を繰り返す内にVidaを信仰するようになったSauron Duchyと違い、Birgit Duchyの民は根っからの、そして熱狂的なVida believerだ。そのためAlda templeが力を持つDuchyとは関係が悪い。
近年ではAlda Reconciliation Factionに急激に靡いた東隣のFarzonとは、小競り合いが起きる程仲が悪い。Alda templeと太いpipeを持つTelkatanis Prime Ministerからも、「田舎の獣が治めるDuchy」とidiotにされていた。もちろん、昔からAlda believerの多かったJahan Duchyや、二百年前からAlda信仰が多数派になっていたHartner Duchyとも関係は良くなかった。
その苦労をこれからはDuke Farzon領の民が背負うのだと思うと、多少は思うところはある。
「まあ、生まれる場所を間違えたと思って、なるようになってもらうしかないが」
しかし、多少しか思うところはないので、彼の目から同情はすぐに消え去った。
「それよりも、Allegiance testを踏む代わりに提案した条件が重要ですからね」
「分かっているじゃないか。うちの領に潜んでいたVampires serving Evil Godsは消え、Majin Raceは穏健で友好的な部族ばかりだからいいが、魔Emperor陛下とDarcia -samaの訪問は口約束だけでもしてもらわなければならん。……でないと、hot-bloodedな民と俺がMountain Range越えを企みかねない」
「民はともかくGeneralは抑えてください。あと、Asagi達の件はどうします?」
「ああ、奴等か。彼らはまあ、adventurerとして雇用する分には優秀なんだがなぁ。……会議で得た情報から鑑みると、あの三人もanother worldからのReincarnatorだろうから、何かしら因縁があるのだろう」
DukeであるGeraldは、Asagi達と直接言葉を交わした事はそれほど多くない。しかし、配下からのreputationや研究の進捗や成果は頭に入っている。
三人ともBClass adventurerに昇格しており、実力的にはAClassに匹敵する実力者。さらに、三人ともUnique skillを持っており、特にTatsuya・Tendouの【Clairvoyance】は強力で、彼が一人いれば敵国の軍事拠点の内部構造を全て丸裸にできる。Asagiも、Mageをほぼ封殺できる事から貴重な戦力として期待されている。
性格面ではAsagiに若干の欠点があるようだが、Geraldは問題視していなかった。何故なら、AsagiがBirgit Duchyの人々に対しては若干の欠点程度で済まされる程度にしか絡まなかったからだ。
彼にとって本当の仲間は自分と同じReincarnatorだけなので、それ以外の人々に対しては距離をとっていた。そのため、やや熱blood漢気味の少年としか思われなかったのだ。
そして【Demon King Fragment】をsealedする研究も、現在進行形で役立っている。Vandalieuを呼べば安全にAbsorptionしてくれる事は会議で保障されたが、Geraldからすれば【Demon King Fragment】がrunawayする度に……そうそう起こる事ではないが……まだ確かな友好関係を結んだわけではない超大国の支配者を呼びつけるのは避けたいからだ。
躊躇っている内に大きな被害が出ては遅いので、そんな事は言っていられないのだが。
しかし、【Demon King Fragment】を安全にsealedする事ができるならどうだろうか? 別に百年や千年先までsealedする必要はない。Vandalieuに、「家の領で見つけた【Demon King Fragment】です」と献上するまでの間だけ安全にsealedできればいいのだ。
結果的にはVandalieuに渡すのは変わらないが、外交的な借りが貸しになる。
そして、実際にAsagi達の協力のお陰で【Demon King Fragment】を安全にsealedする技術は完成した。
今までは、runawayしている【Demon King Fragment】の宿主を破壊するなどして行動不能にして、新たな宿主にInfestしようとするところをsealedするしかなかった。sealedに失敗すれば、仲間が【Demon King Fragment】にInfestされて暴れだし、再び戦わなければならないという危険が伴う仕事だった。
しかし、Asagi達の協力で開発したsealed用magic itemを使用すれば、【Demon King Fragment】の現在の宿主を倒せばそれでsealedする事ができる。【Demon King Fragment】が新たな宿主を得る危険性は無い。
その分、magic itemの使用には高Rankのmonstersから採れるMagic Stoneが必要になるが、効果を考えれば見合ったcostだろう。
その後Vandalieuの元に持っていくことになるので、Asagiにとっては不本意な研究成果の使われ方だろう。しかし、彼らの研究成果は安全にsealedする方法であって、安全に保管し続ける方法ではない。
それにDemon King Guduranisが一部であったとしてもrevivalしてしまった以上、【Demon King Fragment】はGuduranisの手に渡らない場所……VandalieuにAbsorptionさせるのが一番だ。
とまあ、そういった経緯があるのでGeraldとしては、Asagi達をどうにかするつもりはなかった。
「そもそも彼らはAdventurer’s Guild所属のadventurerで、俺にどうにかできる権限はない。魔Emperorに出したletterも、Adventurer’s Guildを通じて渡したものだからとやかく言うべきじゃない。俺は良き隣人として振る舞えばいい。
何か起こるまではDuke Farzon領戦に送る戦力の選定や、Vidal Magic Empireとの外交について考えていればいい」
そうしてGeraldは他のDuke達も頭を悩ませているVidal Magic Empireとの外交戦略に意識を向け、Orbaumにある別邸に戻った。
なお、Pilchikov DukeやAlsabah Dukeは将来設置される大使館を利用して諜報員を潜り込ませ、Vidal Magic Empireに自Duchyの諜報organizationを送り込もうと目論んでいたが、それは確実に失敗に終わる。
何故なら、TalosheimにはDemon King Familiarが全ての通りに、しかも数十体単位で潜んでいるからである。彼らは日頃からVidal Magic Empireの国民と接している。そして、彼らとfive sensesとMemoryを共有しているVandalieuは、一度見たものを忘れない【Perfect Recording】skillの持ち主である。
見覚えのない人物がいれば、Vandalieuにとってはそれだけで目立つ人物になるのだ。
全国民の顔とnameを確認し、即座に情報を共有できる最高権力者のCloneが二十四時間三百六十五日、大通りから人気のない裏路地まで常駐している。
そんな国で彼らが今まで通りの諜報活動をできる訳もなかったのだった。