山を消し飛ばすのはそう難しくないが、山を動かすのは……それも動かした後で-sama々な問題が起きないようにするのはやや難しい。
それが単一の山ではなく、Mountain Rangeならその難易度も跳ね上がる。
「しっかり準備してきてよかった。俺だけだったら、途中で孤独とFatigue感で辛い作業になっていたでしょう」
杖を片手にしみじみとそう言ったVandalieuに、彼をcarriageに乗せているSamは言い返した。
『たしかに砦のSoldierやadventurer等に国境沿いに通達するよう、Adventurer’s GuildやSauron Duchyの軍に話を通して三日ほど待ちましたが、Bocchanがした準備は一時間ほどで終わったような気がしますが?』
「しっかりとした準備が一時間でできただけですよ。それにSam、こうして乗っている事も含めて『俺だけだったら途中でばてていた』という事です」
VandalieuのManaは、無尽蔵に果てしなく近い。しかも、Manaを使う瞬間でも【Constant Mana Super Recovery】skillの効果によって、大量に回復し続けている。
しかし、本当に無限ではない。一人でGolem TransformationさせたMountain Rangeを動かし、広範囲の地面に強固で分厚い岩盤を創り、さらには地下水脈まで調整するとなると至難の業だ。
さらに自力で【Flight】し、Mountain Rangeやその上空から飛び出してくるmonstersが逃げ散らないよう駆除するなんて、考えたくもない。
……もしかしたら可能かもしれないが、そんな孤独で辛い作業に挑戦するつもりはVandalieuにはなかった。
『はっはっは、そう言っていただけると光栄ですな! しかし、この光景を何も知らない者が見たら誤解する事間違いなしですぞ』
Vandalieuの周りには、TareaとKatia、PrivelにGizania、Myuze、そしてYuumaがどこか気怠そうな-sama子で侍っていた。
たしかに事情を何も知らない者が見たら、情事の後か美女を侍らせているように見えるだろう。彼女達が揃って肩が見える服装をしている事もその印象を強めている。
「Sam -sanのcarriageの中を、事情を知らない人が見るなんてことはないから、私達を好きなだけ侍らせて大丈夫よ。ねえ、Van」
「然り。偉大なるVandalieuが気にする事は何もない」
そして、【Metamorph】にして【Black Maria】のMariと『Evil God of Labyrinths』GufadgarnもVandalieuの後ろに控えていた。
「いかがわしい事は本当にしていないのですが」
「そうですわ、Van -sama」
Tareaが抱き着きながら、そうVandalieuの耳元で甘く囁く。
「だから……私の事をもっと吸って、私に食べさせてくださいませ」
「Tarea……これ以上bloodを吸うとanemiaで倒れますよ? 後、いくら俺の一部を食べてもEnduranceとbloodが回復するまでには多少の時間がかかります」
Vandalieuは本当に如何わしい事はしていない。ただManaを回復させてAbility ValuesをEnhanced (1)する【Bloodrule】skillを使うために、Tarea達のbloodを飲んだだけ。そして、Tareaたちが早く回復するよう自分の一部を食べさせているだけだ。
食べさせているのは、Vandalieuのbloodから創られるBlood potionを改良したものだ。彼が【Demon World Binding Technique】に変化した【Plant Binding Technique】で生やした薬草やキノコと【Demon King's bones髄】で作った高濃度の【Demon King's Blood】を合わせ、【Demon Kingのfallopian tubes】から卵の形にした物で、仮にBlood Eggと名付けている。
見た目はゼリー状の物質に包まれた赤黒い球体……Giantなカエルの卵で、味はBlood potionを煮詰めたような濃厚さで慣れないとややきつい。……あと、導かれていない者が口にするとBodyに急激な変異が起きる可能性が高いという劇物である。
しかし、既に導かれている者が口にする分には効き目の強い栄養剤と回復薬でしかない。しかし、単に傷を治すだけではなく造bloodを促して失った分のbloodを取り戻すには、若干の時間が必要だ。
なお、Vandalieu自身もBlood Eggと使いDemon King Fragmentを摘まんでいる。【Augmented Attribute Values: Cannibalism】と、【Self-Regeneration: Cannibalism】のskillのActivate条件を満たすためだが、これがいわゆるオートファジー、自食というものかもしれない。
「なら、ボクのbloodを吸ってよ! この中じゃ体積は一、二を争うぐらいあるから、bloodもまだまだあるはずだよ!」
「た、体積なら拙者もloseはいないぞ! それにVitalityにも自信がある!」
Tareaに代わって前に出たのは、PrivelとGizaniaだった。Scylla OriginであるPrivelのlower bodyは先端がDragonの頭になっているoctopusのtentacleで、Gizaniaのlower bodyは蜘蛛である。上半身はfemaleのものだが、lower bodyを含めればたしかに平均的なfemale数人分の体積がありそうだ。
「最初にその体積を参考に失っても問題ないbloodの量を計って吸ったので、ダメです。体積が多いという事は、必要なbloodの量も多いという事を自覚してください」
しかし、Vandalieuはそのあたりも計算してbloodを吸ったらしい。もちろん、実際には不測の事態を避けるために必要最低限な量からかなり余裕を持たせている。
限界barelyまで吸っているように偽っているのは、彼女らの健康を気遣った結果である。
「そうでござるな。某はまだ倦怠感が抜けないのでゆっくり休ませていただくでござるよ」
「うんうん、まだちょっと怠いから仕方ないわよね」
そう言いながらMyuzeとKatiaが、Tareaとは逆側からVandalieuにもたれかかった。
「そんなにきついなら、Bellmond達と交代する? ねえ、Gufadgarn」
「偉大なるVandalieuのため、すぐにでも【Teleportation Gate】を開こう」
「「いやいや、大丈夫だからお気遣いなく!」」
しかし、MariとGufadgarnがそう言うと二人とも急に元気になって首を横に振った。
彼女達がここに居るのはもちろんVandalieuがbloodを吸うためだが、それなら【Offering】のUnique skillを持つBellmondや、originally再生Abilityが高いEleonora、そしてVida’s IncarnationであるDarciaが適任だ。そして当初は、彼女達がSamのcarriageに乗り込むはずだった。
しかし、それにTareaが異議を唱えたのだ。
Bellmond達だけズルい、たまには自分達のbloodも飲んでほしい。それに、Darcia達には地上でKanako達と一緒にやる事があるはずだと。
その主張にDarciaが「それもそうね。じゃあ、Vandalieuをお願いね」とあっさり譲った事で、Tarea達がここに居るのである。
「俺としてはうれしいですが、TareaはGhoulの皆を纏めなくていいのですか? PrivelもScyllaの人達をCommandingするとかあるのでは?」
だが、Tareaはoriginally Ghoulの長の一人で、PrivelはScylla族のElderの娘。GizaniaやYuumaも、それぞれのraceの国の姫だ。
「良いのですわ、Van -sama」
しかし、Vandalieuの傍で侍っていて問題ないようだ。
「Human社会では私の事を知る者はほとんどいませんもの。それにZadiris -sanやBasdiaがいれば、Ghoulの代表としては十分ですわ」
Transformation Equipment等のArtifactを創る手伝いなど、Tareaは普段から重要な役割を果たしている。それだけにHuman社会で存在をappealするのは危険なので、TareaはKanakoのStageにHuman社会ではほとんど立っていない。
そのため、彼女とは逆にHuman社会でも存在を知られたZadirisとBasdiaがいればVida's New RacesとしてのGhoulの象徴や纏め役は十分だと考えたのだろう。
「私も同じ理由。そもそも私はそんな大した立場じゃないし、Vanにキスしてもらいたかったし」
「Katia、たしかに口をつけていますがキスではなくBloodsuckingです。強くは否定できませんが。
Privelはどうですか?」
「ボクも問題ないよ。皆の纏め役はkaa-sanがしてくれてるし……そのkaa-sanが、Van -kunの近くにいる方が重要だからって」
そしてPrivelは、Sauron Duchyでは母親であるPeriveilが現役の長である事と、その母がこちらの方が重要だと判断したためここに居るらしい。
実際、Mountain Rangeを動かしているVandalieuの補助の方が重要と言えばその通りではあるが。
「私……俺の国は今回参加していないから、ここに居ていいだろ?」
「拙者も同じく」
「某もでござる。それに一説によると、stealthとは目立ってはいけないらしいでござるし。あと、某は姫ではないでござるし」
そしてKijin nationの王の一人娘であるYuumaに、Zanalpadnaの姫であるGizaniaと、姫ではないが今ではEmpusaの中で最も腕利きとなったMyuzeがそう口々に言う。
「それはもちろんですが、bloodが回復するまではBloodsuckingしません」
そう言って、Demon King Familiarの残骸の一部であるArthropod Legsのfragmentを口に入れて噛み砕く。口の中に広がる自分の肉の味。……やはり美味いとは思えない。
(やはり何故皆が食べたがるのか分からない。potionやCreamとしての効果があるならともかく、これは本当にただの残骸ですし。
もっとも、自分自身の一部だからそう感じるだけだと思いますが)
自分のbloodを吸って過ごしているVampireがいるという話は聞かないので、そういう事だろうとVandalieuは納得した。
「ところでVan、追加のDemon King Familiarを作らなくていいの?」
そうMariに問われて、Vandalieuは思考を切り替えた。
『今のところは十分だと思いますよ』
そうMariに応えたのはVandalieu本人ではない。彼のCloneであるDemon King Familiar……Arthropod Legsの一本もついていない、Giantな脳だけのDemon King Familiarである。
これはmagicの制御を補助するためにVandalieuが創った、脳型Demon King Familiarである。なお、大脳の内部に存在を維持するための内臓やManaを発生させるjewel等が詰め込まれている。
普通ならmonstersでも高さ二meter強の脳なんて自重で自壊しそうだが、【Demon King's Brain】なので豆腐よりもずっと硬く強靭である。
しかし、乗っているのがstability性抜群のSamでなければ硬い殻に包むなどして、Manaを余計に消費していただろう。
その脳型Demon King FamiliarとVandalieu main bodyを接続する事で、処理Abilityを上げているのである。機械の代わりに脳を繋いだsuper computerと言える。
そして、Demon King Familiarは他にも作っている。Samの周りを何十匹と飛んでいる、直径一meterほどのeyeballに翼やfeatherだけが生えた視覚補助用のDemon King Familiarだ。
これでmonstersが逃げていないか、Mountain Rangeに崩れた個所はないか、地面に陥没している場所や逆に隆起している場所はないか確かめているのだ。
これはSamの周り以外にも、旧Scylla Autonomous TerritoryからMountain Rangeを設置する場所の予定地、そして最終的にMountain Rangeをくっつける Bahn Gaia continentの北を海から隔てている岩山地帯の上空に、数え切れない程飛んでいる。
『Papa、食べていい?』
そして、Bakunawaのおやつ用のDemon King Familiarだ。これは必要なDemon King FamiliarをBakunawaに食べられるのを防ぐために、必要不可欠なDemon King Familiarである。
ちなみに、Bakunawaが好きなDemon King Familiarは、eyeballと脳が大きなDemon King Familiarである。eyeballは口の中で弾けるのが、脳はtongueの上で蕩けるクリーミーさが好きなのだという。
『おやつ用のDemon King Familiarなら食べていいですよ』
『さあ、そっちの俺ではなくこっちの俺を食べなさい』
『でも、monstersも食べてくれると助かります』
『うん、でもここのmonsters、そんなに強くなくて味が薄くて歯ごたえがないよ』
どうやらDemon continentやDemon KingのContinentのmonstersと違い、Boundary Mountain Rangeのmonstersは口に合わないようだ。Demon continentなどにもRankの低い……とは言っても並みのadventurerでは倒すのもやっとだが……monstersはいるので、おそらくDevil Nestsを汚染したmiasmaの濃度が関係しているのだろう。
なお、Bakunawaがmonstersを食べない間は、Peteが頑張ってmonstersを喰い殺している。originally Rankの高いmonstersは少ないため、大物は【Dragon God Devourer】skillを持つPeteがいれば十分だった。
ではなぜBakunawaがここに居るのかというと、それはBakunawa自身が『お姉-chanの手伝いがしたい』と言い出したからだ。
childは親や年上のbrothersの手伝いをしたがるものだ。Bakunawaが早くもその成長過程に進んだのだと思ったVandalieuに、躊躇いはなかった。……Bakunawaを見る事になるだろう、Sauron Duchyの国境沿いの砦に詰めている将兵達のMentalがどうなるか一瞬気になったが。しかし、「遠目に見るだけなら、きっと大丈夫なはず」と思い直すことにした。
それにBakunawaはHumanにはともかく、Alda's FactionのGodsにはBotinを解放する時の戦いで姿と力を見られている事と、Bakunawa自身も強く自衛が可能であるのも大きな判断材料だった。
なお、Alda's Factionに存在を知られておらずまだ戦えないAradiaは母であるDianaと留守番である。
『ギシャアアアアア!』
そして、Bakunawaがappetiteの矛先をmonstersからDemon King Familiarへ変えても、Peteがその分食べている。
Rank upしてDivine Steel Roaring Lightning Centipede Hell Beast KingになったPeteの全長は百meterを優に超える巨体になり、Godsしい……もしくは禍々しい雰囲気を放っている。
PeteがDivine Steel Roaring Lightning Centipede Hell Beast Kingになった時、Pete本人以外は大いに驚いた。Beast KingとはDemi-Godであり、本来は『Beast God』Ganpaplioが生み出した獣の王達の事を意味する。そのBeast KingにmonstersがRank upによって至るとは、LucilianoやGufadgarn、そして『Goddess of Water and Knowledge』Periaも考えた事もない新事実だった。
race名にBeast Kingとあるだけで、実際にBeast Kingになった訳ではないのではないかとも考えられたが、習得した【Strengthen Follower】skillの対象にmonstersではない普通のCentipedeも入っているようなので、本当に『CentipedeのBeast King』になっていると思われた。
そしてDemon continentにいる『Bird Beast King』Lafazに、monstersがBeast Kingになる事があり得るのか尋ねてみたら、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。どうやら、聞いたこともなければ考えた事もなかったらしい。
Lafazによれば、新しいBeast Kingが誕生する事はあり得る。しかしそれは、先代のBeast Kingが何らかの要因で死んだ後、そのBeast Kingの子が引き継ぐ形でBeast Kingとなるそうだ。
だからoriginally存在しなかった蟲のBeast Kingが、しかも monstersから誕生するとは夢にも思わなかったそうだ。ただDemon continentに籠っていた自分が知らないだけで、このworldのどこかではmonstersからBeast KingやTrue giant、龍になる場合もあったのかもしれない。
LafazはVandalieuを見つめながら、そう述べた。……Dhampirが生きたまま神に至ったうえに【Demon King Fragment】をAbsorptionしてGuduranisから奪うなんて事も起きたのだから、monstersがBeast Kingになるくらい十分あり得ると考えたのかもしれない。
「どうしましたの、Van -sama?」
「いえ、これからPeteのようにRank upしてBeast Kingや龍になる仲間も出てくるのかなと思っただけです。どんな理由でmonstersからBeast Kingになれるのか、まだわかりませんが」
Tareaにそう答えると、誰も否定しなかった。
「another worldからreincarnationした偉大なるVandalieuがこのworldの地に足をつけ、偉業を為している。なら、偉大なるVandalieuに仕える者がそれに続くのは当然かと」
むしろ、GufadgarnはVandalieu自身にはよく分からない理由で積極的に同意した。
「Peteって、Beast KingじゃなくてHell Beast KingっていうBeast Kingに似た何かになっているだけだったりして。Vandalieuのbloodを繰り返し飲んだ人も、Hell raceに変化するし」
「……あり得ますね」
Katiaの意見に思わず目が遠くなるVandalieuだったが、反論が全く思いつかなかった。
「TadanoがmouseのBeast Kingになるのか?」
「それならMaroll達の方が先だと思うよ。ボクとしては、同じtentacle仲間のTamaとGyokuを応援したいね」
「YamataとRapiéçageも何かになりそうでござるな」
Yuuma達は口々に新Beast King Candidateをあげた。
『主!』
そこに頭蓋boneだけのBone Manが飛んで来た。
『おや、どうしました? 地上で何かtroubleでも?』
『ヂュウ! Mountain Rangeから溢れ出てくるmonstersの数は思いのほか少ないため、順調に進んでいます。……国境沿いの砦や城塞都市のSoldierや住民が奇行に走り、それを落ち着かせるためにDarcia -sama達が飛び回っていますが』
どうやら地上はあふれ出たmonstersではなく、動くMountain RangeやBakunawaとPeteを目にした人々によってやや大変なことになっているようだ。
「Bone Man、奇行とは?」
『はっ! 泣き叫びながら神に慈悲を求めていたようです!』
どうやらこの世の終わりか何かのように思われたようだ。
これはまずいかもしれない。一旦作業を止めるべきだろうか? そう考えたVandalieuだったが、既に人々はpanicから立ち直っているようだ。
『しかし、VidaやBotin、PeriaがOracleを発したようで、Darcia -sama達が行く前に混乱が鎮まった都市や砦もあり、既に解決したかと』
複雑な内容をaccurateに伝えるには優秀なaptitudeを持つ限られたClergymanが必要になるが、『落ち着け』と伝えるだけなら必要な条件はそう難しくはない。
後は、Oracleを受けた各地のClergymanが普段から培った人望をfull活用して人々を落ち着かせてくれる。
「なんだか悪い事をしたような気がしますが、これでAmid Sacred Empireとの戦争で矢面に立たなくて済むようになるので、それで許してもらえるといいな?と思います」
「なんで疑問形? 戦争は起きない方がいいんじゃないの?」
「Katia、戦争がなくなると軍縮……軍に配分される予算が下がるので、国境沿いの砦や城塞都市には良い事とは言えないのです」
国境が敵国と接していたからこそ、国境近くに砦をいくつも構え、その砦に勤める将兵のfamilyが暮らし、砦に必要な物資を届けるための中継地点として城塞都市が築かれ、維持されてきたのだ。
その敵国と高いMountain Rangeで隔てられるようになったら、ただの金食い虫に成り下がりかねない。
「しばらくはMountain RangeのDevil Nestsからmonstersがrunawayしないようmonstersを間引くadventurerの拠点や、monstersが万が一runawayした時の防衛拠点として残ると思いますけど」
「そういえば、ここって他のDuchyから『対Amid EmpireのForefrontだから』って言う理由で援助してもらってたけど、それも無くなるんじゃない?」
「Privel、その分はうちの国との貿易で利益を出してもらえば大丈夫です。大丈夫じゃなくなった場合は、俺がポケットマネーを出して大丈夫なようにします」
「……もういっそ併合したほうがいいのでは?」
PrivelがSauron Duchyの将来の暗さを指摘するが、Vandalieuという強力な後ろ盾に憑かれたElizabethが治める限り、強制的に明るくされるようだ。……そう、Elizabethは後ろ盾を得たのではない。憑かれているのである。
憑かれているので、Elizabethの意志でやめてもらう事はできないのだ。
『それで主よ、報告したい事が二つ。まず一つ、私がRank upしてRank15のHell's Divine EmperorのSkeleton Knightとなりました!』
そしてBone Manの報告は、先ほどのVandalieuの予想を裏付けるものだった。
Hell's Divine EmperorのSkeleton Knight。今までのBone Manのraceと比べると、かなり異なる名称だ。Demi-Godとは違うが、全く異なるとは思えない。
「race名から考えると、Hell's Divine Emperorに仕えるKnightという事なのでしょうが、そのHell's Divine Emperorとは………………きっとmaybeおそらくは、俺の事を指しているのでしょうね」
Hell's Divine Emperorが何者なのか、Vandalieuはできれば自分だとは認めたくなかった。しかし、「そのHell's Divine Emperorとは誰なのでしょうね」と言いかけた瞬間、Bone Manが『ぢゅおおおお! 主よ、私が主以外に仕えるとお思いか!?』と泣きわめきだす未来が予想された。
ので、かなり渋々だが認める事にした。
『おおっ、ありがとうございます、主よ! もし自分はHell's Divine Emperorではないと言われたらどうしようかと、不安で不安で!』
どうやら予想は当たっていたらしい。
「あのVan -samaが自分から認めるなんて……成長しましたのね。あまり姿が変わらないので、つい昔のままかと思っていましたけど」
「Tarea、身長が伸びないのはrace的な問題です。これから百年から二百年ぐらいかけて、二meter強まで伸びる予定なのです」
なお、二meter強というのはVandalieuの理想のSelf身長であるだけで、特に何の根拠もない。
「それで、報告したいもう一つの事とは?」
『ぢゅっ! 国境沿いの砦や城塞都市、村では人々が主を神として崇めています』
「え、何故?」
VandalieuはBone Manの報告に、思わず聞き返していた。何故なら、本気で心当たりがなかったからだ。
「まあ……そうなりますわよね」
「むしろ、そうならないとおかしいっていうか……」
「もしかしたら、Vanは気が付いていないのではないかと思っていたが、やはりか」
「拙者はてっきり、最初から覚悟の上だったのかと」
しかし、Tarea達は最初からこうなる事を予想していたようだ。
「Tarea、皆、もしや未来を予知していたと?」
「いや、そうではないでござる。自分のしている事を顧みるでござるよ」
「俺がしている事を? Myuze、俺はMountain Rangeの形を変えてSauron DuchyとMirg Shield Nationの国境を隔てているだけですよ」
「主にそれが理由だと思う」
Mariの言葉に、Vandalieuは思わず周囲を見回すが、首を何周させてもMariに同意する者ばかりだった。
Vandalieuとしては、Mountain Rangeを動かすのは大事業ではあっても自分がManaを振り絞れば可能な事でしかなかった。かつて、TareaやKatia、Zadiris達Ghoulと共にBoundary Mountain Rangeを越える時に崖の形を変えて登りやすくした。そしてHartner Duchyに潜入した時は、崩落していたMountain Range内部を通るtunnelを直した。
Mountain Rangeを動かすのは、その延長線上にある行為としか思っていなかったのだ。
こうしてみんなの協力を得ているし、それなりに凄い事だとは思っていた。だが、まさか尊敬を通り越して神として信仰されるほどの大偉業だとは本当に思っていなかったのだ。
(このままではMountain Rangeを動かした神として、国境沿いだけでなくSauron Duchy全土から信仰されてしまう。助けてください、Borgadon)
Vandalieuは咄嗟に、Sauron Duchyの隣で信仰されている『God of Mountains』Borgadonに救いを求めた。しかし、何故か脳裏に『え、無理無理、今からじゃとても辻褄を合わせられない』と首を横に振るBorgadonの姿がよぎったので、諦める事にする。
急遽開かれた脳内会議で、多くの人が姿を見ているはずのBakunawaのachievementにするという案が出るが、それをするとMountain Rangeを動かしたことで何かtroubleが発生した場合、矛先が彼に向かってしまう。それに、幼い我が子を身代わりにするなど、人として最低の行為であるので却下。
結果……achievementを分散させることで人々の信仰が自分以外にも向くことを期待する事にした。
「とりあえず、新しくできたMountain Rangeの部分は、『Ark Mountain Range』と名付けましょう。そして、Ricklent templeとZuruwarn temple、あとBotin templeを建立。湧き水かhot springを発生させ、そこにPeria templeを中心としたhot spring街『Solder』を造る政策を、Elizabeth -samaに頼み込みましょう」
こうして、Sauron Duchyの経済復興策が始動したのだった。
「Van、そういえば、bloodとその他諸々を分けたsistersを創っていい? 体が欲しいから協力してって言われているんだけど」
「Mariが信頼できると思った人ならいいですよ。……というか、そんなことできるんですか?」
「分からないから、まあ、やってみようかなって思って。大丈夫、とても信頼できる人だから」
なお、その頃、Mirg Shield Nation側では、Sauron Duchy側の国境沿いよりも大きなpanicが起きていた。
事態を前もって知っていた神はおらず、Clergyman達も今すぐ逃げろと言うべきか落ち着かせるべきか分からず、人々はうめき声のような音を響かせて動くMountain Rangeと、上空を飛ぶGiantな龍とCentipedeの姿に恐れ戦いていた。
そして、Mirg Shield Nation自慢の堅牢な砦は、Boundary Mountain Rangeから『Ark Mountain Range』と名を変えたMountain Rangeから溢れ出たmonstersへの対処に追われる事になった。
準備を万端に整えた強力なGhoulやScylla、DemonやUndeadの軍勢にとっては少ない数でも、不意を突かれたMirg Shield Nation軍にとっては少ないとはとても言えない数だったのだ。
そしてAlda's Faction側のGodsは、Mirg Shield NationのClergymanに『これがDemon Kingの力の一端である』とOracleを出した後は、事態の推移を見守るに留めた。
Amid Sacred Empireの人々にとってはともかく、Alda's FactionのGodsにとって倒すべきなのはOrbaum Elective KingdomではなくVandalieuと彼が支配するVidal Magic Empireだ。
Sauron Duchyへの道をMountain Rangeで遮られるのは、厄介ではある。しかし少なくとも、今から戦力をかき集めて決死の覚悟で防がなければならない局面ではない。
なら、Amid Sacred Empireの敵が何者なのか知らしめるために利用するべきだとAlda達は考えたのだ。
結果、VandalieuにAmid Sacred Empireの勢力下で暮らす人々のhorrorと畏怖が向けられることになるが、それでAmid Sacred Empireが纏まるのなら構わないとAldaは考えていた。
Alda達はVandalieuについて、Demon KingをAbsorptionしたanother worldからのReincarnatorで、彼が治めるMagic EmpireやOrbaum Elective Kingdomでは神としてworshiperもいるようだが、実際に本当の神になった訳ではないと考えていたからだ。
《【Constant Mana Super Recovery】、【Super Mana Recovery Rate Increase】、【Ability Values Augmented (2):Target of Faith】、【Staff weapon equipped, then Magic Power Augmented (2)】、【Bloodrule】、【Golem Genesis】、【Augmented Attribute Values: Cannibalism】、【Self-Regeneration: Cannibalism】skillのlevelが上がりました!》
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・Name: Bone Man
・Rank: 15
・Race: Hell's Divine EmperorのSkeleton Knight
・Level: 55
・Title: 【Roaring Flame Slayer】
・Passive skills
Dark Vision
Monstrous Strength:7Lv(UP!)
Augmented Attribute Values: Loyalty:8Lv(UP!)
Spirit Form:10Lv
Strengthened Attribute Values: Mounted:8Lv
Self Super Enhanced (1):Creator:3Lv(Self-Enhancement: Creator awakened into&UP!)
Self Super Enhanced (1):Guidance:2Lv(Self-Enhancement: Guidance awakened into&UP!)
Physical Resistance:6Lv(UP!)
Murder Healing:7Lv(UP!)
Strengthened Attribute Values: Ruling:6Lv(UP!)
Enhanced Body Part : Bone:10Lv(UP!)
Strengthen Follower:3Lv(NEW!)
Strengthened Attribute Values: 主命:1Lv(NEW!)
・Active skills
Hollow Bone Swordsmanship:8Lv(UP!)
Bone Shield Technique:2Lv(UP!)
Archery:10Lv(UP!)
Silent Steps:4Lv
Coordination:10Lv
Commanding:8Lv(UP!)
Bone Armor Technique:3Lv(UP!)
Mount:7Lv
Long-distance Control:10Lv
Aura of Fear:9Lv(UP!)
Parallel Thought Processing:8Lv(UP!)
-Transcend Limits-:2Lv(-Surpass Limits- awakened into&UP!)
Familiar Spirit Demonic Advent:5Lv(UP!)
Surpass Limits: Magic Sword:5Lv(UP!)
・Unique skill
Bone Blades
Xerx’s Divine Protection
Vandalieu’s Divine Protection
Rojefifi’s Divine Protection