VandalieuはSauron Duchyに対する対応を、いくつか想定して用意していた。しかし、それを決める要因はElizabethがSauron Duchyを望むか、望まないかである。
望むとは、Sauron Duchyを守りたいとか、無事でいてほしいとか、そうした事をElizabethが願っている事を意味する。望まないとは、「どうなっても構わない」と無関心だった場合だ。
仮に望まない場合だったとしても、Vandalieu達はSauron Duchyを積極的に滅ぼすような事や、破滅するよう誘導する事はしない。当然だ。Vandalieuは愛を是とするVida believerなのだから、罪もない人々を故意に追い詰め踏みにじるようなことはしない。
旧Scylla Autonomous Territoryを完全に隔離した後は、他のDuchyと同-samaにKanako達のlive performance活動やDarciaの訪問、Vandalieu自身も徘徊して人々をGuidingだけだっただろう。他のDuchyと違い、Sauron Duchyは敵国であるAmid Sacred Empireの属国、Mirg Shield Nationと国境を接しているという事情を無視して。
その後、Mirg Shield NationからAmid Sacred Empireの軍勢が攻め込んで来て戦争になっても、普通の対応しかしない。Orbaum Elective Kingdomから援助を要請されれば同盟国として動く。普通の同盟国と同じ程度には物資を援助しよう、Adventurer’s Guildを通して援軍も手配しよう。しかし、それだけだ。
Knochenを移動要塞として派遣したり、BorkusやVigaroが前線で暴れまわったり、Samが物資輸送で活躍する事はない。
もちろん、導いた人々を助けるために手を尽くすし、Amid Sacred Empireに占領された領土を奪還するのにも力を貸す。だが、その時にはSauron Duchy政府は壊滅しているはずだ。
『Liberating Princess Knight』のIris達Resistanceを切り捨てたRudel・Sauron達に、Vandalieuは価値を感じていない。【Teleportation Gate】を開くことができるGufadgarnや、空を往くCuatroやSamを従えている彼にとって、Amid Sacred Empire……『God of Law and Life』AldaとそのHeroであるHeinzと殺しあうのに、Sauron Duchyは必要ではないのだ。
仲間の中にはKasim達Sauron Duchy出身の者もいるが、彼らの故郷である村はAmid Empireが攻め込んできたときに滅ぼされていて残っていない。
IrisやResistanceの面々の帰るべき故郷も、Sauron Duchyには残っていない。
それでもRudel・Sauron達を今まで殺さなかったのは、殺す価値を感じなかったから。そして殺す理由も思いつかなかったからである。
それにIrisやElizabethがRudel達の死を望んでいないのに自分が必要もなく彼を殺すのは、何か違う気がした。
Amid Sacred Empire側としても、Sauron Duchyを攻め落としたとしてもBoundary Mountain Rangeで隔たれたVidal Magic Empireに攻め込めるわけではないので放置される可能性もある。ただ、Vida believerが多いのでVandalieu達が救援のため戦力を分断するかもしれないと、結局攻め込まれていたかもしれないが。
この考えに、Darcia達は誰一人反対しなかった。それはAmid Sacred Empireの兵が一般人に対する虐殺を始めれば結局止めるだろうというVandalieuに対する信頼と、Amid Sacred Empireがどれほどの戦力をSauron Duchy侵攻に割くとしても、VandalieuとAldaとの戦いに決着が付けば戦争はすぐに終わるはずだという予想があるからだ。
それと同時に、一般人が虐殺されずに多少のbloodが流れる程度なら、そして戦争になっても短期間なら構わないと思っていることを意味する。
こうした考えがある事を、VandalieuはElizabethにbarelyまで教えなかった。それは、Elizabethの下す判断が彼女にとって重要であるが故に、その判断に余人からの無用なimpactを与えるのを避けるためだった。
Vandalieuとしては、Elizabethに宿命があるとは思っていない。彼女がDukeになるべきだとも感じていない。ただただ安穏に生きるのが一番だとも、考えていない。
Elizabeth自身が望むように生きる事を、ただただ望んでいる。それはMaheriaも、Zohnaも、MactやJozéfやTaurusに対しても同-samaだ。
しかし、Elizabethは実に彼女らしくDukeになる事を選んだ。卒業式が終わっても「卒業したくない」と弱音を吐いていたが、本心ではSauron Dukeになる事を選んでいたはずである。
その証拠に、「Dukeになりたくない」とは言わなかった。言えば、Vandalieuがどうにかしてしまえる事を……それこそRudelを洗脳して操り人形にすることや、Veedalを傀儡にする事も可能である事を知っているというのに。
なので、Vandalieuは、彼女の後押しをするためにあの場で打ち明けたのだ。
そしてVandalieuは今、Sauron Duchyの城にいた。「重要な話があるので、この時刻には居ろ」という友好国の為政者にあるまじきappointmentを取り、数名の部下を連れて城の会議室を占拠してRudelやその側近を逃げないよう拘束したのである。
「Amid Sacred Empireやその属国に潜り込ませているSpyがいたら、至急呼び戻してください」
「と、突然何を!?」
「待ってくれっ! 話が見えない!」
両手は自由だが足環を嵌められ逃げる事が出来ないRudel達は、demandをthrust付けられ困惑しhorrorした。
「そもそも私は、公peerageから降りたはずだ!」
「これからはcivil officialとしてElizabeth -samaを支えてください。生死は問いませんが、どうします?」
「生きたまま仕えさせていただきます!」
「私も生きたままで!」
「儂も是非生きたままで!」
断ったらUndeadにされる。そうIntuitionしたRudel達は、我先にとcivil officialに再就職して仕える意思を示した。なお、Elizabethには当然彼らとは別に裏切らないUndeadのcivil officialを派遣する予定である。今では顔を完全に変えた、生前Prime Ministerを務めていたUndead等を。
「たしかにSpyは派遣していますが、全員を帰還させると……彼らが構築した偽の身分や情報網にimpactが出ます。それによって工作員である事がばれ、命が危険になる可能性も……」
Rudelの元側近で諜報担当のNobleがそう言って渋るが、副GeneralのKurtが彼の声を遮った。
「それだが、陛下がSauron DuchyとAmid Sacred Empireの国境を完全封鎖するから、今のうちに帰還させたいらしい」
「……は?」
国境の封鎖。それはこのworldの環境と、人類が持ちえる技術では現実的ではない。
一口に国境と言っても広い。平原ばかりではなく川や森、山の中に引かれた国境線もあるし、何より危険なmonstersの巣窟であるDevil Nestsも存在する。
砦や街道に置かれた関所を封鎖する事はできる。しかし、国境全体を隔てる壁を建設し監視の兵を配置するのは現実的ではない。
だからRudelと元諜報organization担当のNobleは自分が聞き間違えたのだと思った。
「いや、国境の警備をより厳重にして封鎖した程度なら、Spyや工作員達だけが知っている抜け道があります。問題にはならないはずです」
「違法に密貿易を行っている連中ならともかく、我がDuchyの諜報organizationに属する者達は国境の警備が厳しい時期でも出入りできるよう、訓練と準備を欠かしていませんので」
そう言ったのは諜報organizationの長と彼に近しいNobleだったが、事は彼らの想定を大きく超えていた。
「だから、Boundary Mountain Rangeの形を変えて国境を完全封鎖するそうだ。AClass以上のadventurerなら行き来できるかもしれないが、そこまで腕の立つSpyや工作員はいないだろう?」
国境の完全封鎖とは、文字通りの意味だった。
「時間がかかる場合は、私が【Teleportation Gate】を開く。現在位置と連絡を取るための合言葉や符丁を教えてもらおう」
そしてGufadgarnがいる事から分かるように、Vandalieuは長い時間をかけるつもりはなかった。
大地が震え、唸り声をあげているのを眺めて、『Kiss』のsecondary nameで知られるVampireであり現在ではHungry Wolf警備会社の社長であるMiles Rougeは、かつて自分が言っていた言葉を思い出していた。
ボスなら、Boundary Mountain Rangeも動かせるようになる。彼は確信をもってそう言った。
「あの時も別に冗談を言っているつもりはなかったし、それどころか本気だったけど……実際にMountain Rangeを動かしているところを見ると背筋がゾクゾクするわね」
Milesの視線の先では、Boundary Mountain Rangeの一部が動いていた。まるでGiantな蛇のように蠢き、ゆっくりとだが南から北へと進んでいく。
その標高は数千meter。離れているため全体像を見る事ができるが、もし近くだったら感慨に耽る余裕もなく逃げ出さなければならなかっただろう。
実際、Mountain Rangeの上空では何かが飛び回っている。距離があるため確証はないが、おそらくWyvernやHurricane Dragonだろう。
Boundary Mountain RangeはDevil Nestsで埋め尽くされている。それはMountain Rangeに隔てられた土地だけではなく、Mountain Rangeそのものも当てはまる。そのMountain Rangeが急に動きだした事にmonsters達は驚き、狂乱しているはずだ。並みのadventurerやKnightが巻き込まれたら、ひとたまりもないだろう。
しかし、BakunawaとPete、そしてSamに乗ったVandalieuがいるので、迂闊に飛び回っているmonstersは次々に食われていく。
ちなみに、midairではなく地上へ逃げ散ろうとするmonsters達に対してはSauron Duchyへlive performanceに来ていたMiriam達が率いるKasimやHendricksen達の戦力が国境線沿いの各地へ配置済みだ。大量のDemonやUndead、さらにはPrivel達Scyllaも加わっているので、Devil Nestsから飛び出したmonstersは人里に近づく前に狩りつくされるだろう。
もうすぐMountain Rangeで完全に隔てられるMirg Shield Nation側は……自国でどうにかするだろう。自慢の砦もあるのだし。
少なくとも、敵国であるOrbaum Elective Kingdom側から、そしてVidal Magic Empire側から心配する事ではない。
「それにしても、from here見てもDevil Nestsから飛び出すmonstersが多いわね。やっぱり、自分の足元が動いて移動し続けているからかしら? それとも……」
……もしかしたら、monsters達はMountain Rangeが動いているから狂乱しているのではなく、BakunawaやPete、そして莫大なManaを使い続けているVandalieuを恐れるあまりpanicに陥り、狂乱しているのかもしれない。
「だとするとmonstersも哀れね。あなた達はどう思う? って、言うかさっきからしゃべっているのがワタシだけなんだけど?」
「Miles、Elizabeth -sama達はその……目を見開いたままfaintedしているようだ」
『無理もない……』
ここ……Sauron DuchyとMirg Shield Nationの国境が見える高台にいるのは、Milesだけではなかった。Irisとその剣に宿る実の父親のNemesis George。そして、Elizabeth達もいた。
しかし、Elizabeth達はMountain Rangeが動いている光景を前に硬直したまま、ピクリとも動かない。もしかしたら、本当にfaintedしているのかもしれない。
「私はmonstersより、巻き込まれた人がいないのかが気になるな。陛下の事だから、そのあたりの事は確認してからやっていると思うが」
「Mountain Rangeの方には、人はいないはずよ。そもそも、Boundary Mountain Rangeを登ろうって命知らずはそうそういないし……あれは旧Scylla Autonomous Territoryの奥にあったMountain Rangeだもの。adventurerは『Neck-Hunting Demon』から逃げ切りでもしないと、Mountain Rangeにたどり着けないはずよ」
「なるほど。なら、巻き込まれる可能性があるのは国境付近にいる者か」
『それも、少なくともSauron側にはないはずだ、Iris』
「しっかり通知を出していたし……Mountain Rangeの先頭にはボスがいるから、万が一逃げ遅れていたとしても大丈夫でしょ」
今Mountain Rangeが横切っている地域は、Sauron Duchyの砦とMirg Shield Nationの砦の間だった。国境といっても敵国同士。約五百年の歴史では幾度か休戦条約を結んだ事はあるが、停戦条約は一度も結んでいない。つまり、「今は戦争するのを休みましょう」と約束した事はあっても、「もう争いは終わりだ」とはっきり約束した事は一度もない関係だ。
そんな国同士が関所や砦が隣接していては、四六時中小競り合いが発生してしまい消耗が激しくなるし、小競り合いから事態が大きくなって予期せぬ戦争にdevelopmentしかねない。
そのため、両国がmapに引いている国境線の間には、どちらの国の領土かはっきり明記されていない緩衝地帯が設けられている。
Mountain Rangeが通っているのは、その緩衝地帯だ。そこに居るのは素材の収集を行っているadventurerか、違法な密貿易に従事している犯罪者ぐらいだろう。
前者の方にはAdventurer’s Guildを通じて、緩衝地帯に近づかないようにと通達を出させている。
もちろん、通達を見る前に出発してそのまま緩衝地帯で活動し続けているadventurerがいる可能性もある。それに、可能性は低いがHunterやPharmacistが獲物や薬草を得るために、緩衝地帯に侵入している可能性がある。
そうした者達が動くMountain Rangeに巻き込まれないよう、Vandalieu達がMountain Rangeの先頭で確認をしているため、心配はいらないだろう。
なお、密貿易をしている商人に関しては、最初から心配していない。
「それにしても、やはり圧巻だな。私自身も地形を変える事ができる力が身についたと思っていたが、陛下のそれはスケールのdimensionが違う」
「そりゃそうよ」
周囲の地形を変える程の力。このworldにそれを持つHumanはそれなりに多い。周囲に存在する木々や岩、建物を破壊するだけでいいなら、BClass adventurerやRank7以上のmonstersなら可能だ。標高数百meter程の小山を割る程度でいいなら、AClass adventurerならできる。
今のIrisなら、全力を振り絞ってNemesis Georgeを振るえば標高千meterを超える山を割る事が可能だろう。大地を深く穿ち、直径数百meterのcraterを造る事が可能だろう。それはこの場にいるMilesも同じだ。
そしてSClass adventurerの『True』Randolphや、『Thunderclap』のSchneider、そしてSClass adventurerに相当する『Sword King』Borkusや『Roaring Flame Slayer』のBone Man、『元Majin King』Godwin達、そして神であるLuvezfolやFidirgならそれ以上の規模で地形を変える事ができる。
だが、それらは全て破壊による地形の変化だ。標高数千meterの山が連なるMountain Rangeの形を変え、伸ばして長大な壁にするような、変化によって地形を変えられるのはVandalieuぐらいだろうとIrisやMilesは思っていた。
実際、優れたMageならある程度地形を変える事は可能だが、これほどの規模は不可能だ。
「ちょ、ちょっと待って! こんなことして大丈夫なの!?」
「Boundary Mountain RangeにはBarrierが張られていると、以前教えてもらいましたが動かしていいのでしょうか!?」
「それに地盤とか地下水脈がえらい事になると思うんだけど!?」
すると、我に返ったらしいElizabeth達がMilesとIrisに早口で捲し立てた。
「いい質問ね」
そう応えながら、問いかけてこなかったMact達にMilesが視線を向けると、彼らは慌てた-sama子でお互い顔を見合わせて相談した後、Jozéfが口を開いた。
「あれほど高いMountain Rangeが動くと、気候も変化すると思うのですが問題は起きないのでしょうか?」
やはり良い質問だとMilesは思った。地形は地表からは見えない地下や遥か高い空の天候にもimpactを与えている。それらは、このworldでは専門的な学者やMageしか知らない高度な知識とされており、一般人はもちろん学者やMageでも他の分野を研究しているなら知らない者が多い。
Miles自身もVandalieuの部下になってから、彼から雑談として聞き、Boundary Mountain Range内に残されたProduction related Champion達の知識を纏めた文献を読んで身に着けた知識だ。
「じゃあ、答えるけど問題ないわ。まずBarrierだけど、動かしているのはBarrierが張られていない部分だそうだから」
Alda's FactionのGodsとRodcorteの目を防ぐためにVida's FactionのGodsが張ったBarrier。それはBoundary Mountain Rangeを構成する全ての山に張られているわけではない。
Barrierは、張る範囲を狭くした方が必要な力を少なくすることができる。そのため、Vida's FactionのGodsは最も内側の山々からBarrierを張っている。
そのため、それ以外の山々を動かしてもBarrierにはimpactしない。
「そして地盤の問題だけど、ボスはただMountain RangeをGolem Transformationして形を変えて伸ばしている訳じゃないのよ。同時に、これからMountain Rangeを乗せる地面に【Golem Genesis】で山を支える岩盤を創りながら進んでいるの」
Mountain Rangeを動かした後、山を支えきれずに大きな地盤沈下が起きて山の標高が下がって超えやすくなってしまったら、意味がない。地下水脈を圧迫して、Sauron Duchyの村や都市で使っている井戸が枯れるのも困る。
そのためVandalieuは、山々が沈まないよう岩盤を創りだすなどして工夫しながらMountain Rangeを動かしているのだ。細かい事は説明しなかったが、ただ岩盤を地面に敷いているだけではなく、地下水脈を避けて岩盤の柱のようなものを作っているらしい。
「なるほど。さすが陛下だ。よく分からないがきっと大丈夫だな」
なお、Irisは良くわからなかったらしい。
「Iris -chan、あなたって……」
『違う、全てはGodwinが悪い』
Irisはこんな残念な子だったかしらと内心首をかしげるMilesと、娘はMajin nationのQueenとしてのデスクworkに時間を取られているだけで、不勉強なわけではないのだと弁護するNemesis George。
「天候に関しても、まあ何とかするでしょうから大丈夫よ。雨が減りすぎたり増えすぎたりして、災害が増える事はないようにしてくれるはずだから。
なんたってあなたの領土になるんだし」
Amid Sacred Empireの属国であるMirg Shield NationとOrbaum Elective Kingdomが地続きである事が面倒で、Mountain Rangeで隔てたいだけならVandalieuはここまで凝らない。
MilesやIrisは知っているが、Vandalieuはnameも顔も知らない人々も余裕があれば助けようとする。しかし、そのためにnameも顔も知っている親しい者を犠牲にする事はない。
全ては、ここがElizabethの治める領土になる土地だからしている事だ。
「そ、それは感謝してるし嬉しいけど……私が聞きたいのはもう一つあるのよ」
嬉しそうに頬を赤くしたElizabethに、Milesはまだあるのと思いつつ先を促した。
「こんな事をしたら余計にHuman扱いされなくなりそうだけど、それはどうするつもりなのかって思って。ほら、VandalieuってKami-sama扱いされるのを嫌がるでしょう?」
それを聞いたMilesは思わずハッとして、ゆっくり動き続けるMountain Rangeに改めて視線を向けた。
おおよそHumanには不可能な偉業が現在進行形で、それも誰の目から見ても明らかな環境で行われている。
しかも、それによって後々起きたかもしれない不都合は実行者が前もって防いでいる。
まさに神の御業。そう思っても無理は……いや、普通ならそう思うだろう。Miles自身も、Vandalieuに出会う前なら何らかの神の力が働いていると思い込んだだろう。
「き、きっと色々考えているはずよ」
BakunawaやPeteを連れているのは、飛び出してきたmonstersの駆除だけではなく人々にその姿を見せ、Sacred視される対象を彼らにすり替えるつもりだとか。
そんな事を考えているMilesに、Irisはきっぱり答えた。
「Miles、賭けてもいい。陛下は、何も考えていない」
その瞳には、Vandalieuに対する強固な信頼と絆の輝きがあった。
「あ、やっぱり」
「でも、今はまだ伝えるべきではないかと」
「そうだよねー。いまVanがshockで制御をmissったら、Mountain Rangeの形が変わりそうだし」
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Name: Pete
Rank: 15
Race: Divine Steel Roaring Lightning Centipede Hell Beast King
Level: 1
・Passive skills
Hunger Resistance:3Lv
Super Self-Enhancement: Dependent:3Lv(UP!)
猛Venom Secretion (Neurotoxin): Jaws:7Lv(UP!)
Wind-Attribute Nullification
Body Super Enhanced (1):exoskeleton、角:7Lv(UP!)
Monstrous Strength:8Lv(UP!)
Self-Enhancement: Guidance:10Lv(UP!)
Rapid Healing:10Lv(UP!)
Strengthened Attribute Values: eating prey:10Lv(UP!)
Night Vision
Strengthen Follower:5Lv(NEW!)
・Active skills
Silent Steps:1Lv
Fierce Charge:7Lv(UP!)
-Transcend Limits-:5Lv(UP!)
Hundred Armor Technique:1Lv(Armor Technique awakened into!)
Roaring Lightning:8Lv(UP!)
Coordination:8Lv
High-Speed Running:3Lv(UP!)
Familiar Spirit Demonic Advent:4Lv(UP)
Shrink:6Lv(UP!)
・Unique skill
Dragon God Devourer:2Lv(UP!)
Zanalpadna’s Divine Blessing
Vandalieu’s Divine Protection
●Monster explanation::Divine Steel Roaring Lightning Centipede Hell Beast King Luciliano著
Rank15にRank upした事で、Beast Kingの一員に加わったPeteのrace。
monstersがBeast Kingになるなど前代未聞であり、自分で確認しなければ私も「机上の空論とはいえ妄想が過ぎる」と評していただろう。
何故ならBeast KingとはVidaやAldaと同時に誕生したGreat God、『Beast God』Ganpaplioのchild達であり、鳥や獣、魚等の王達である事を意味するからだ。monstersとは、全く関係のない存在である。
Boar Beast Kingのように、後世にDemon King Armyへ寝返り、monsters 's ancestorとなったBeast Kingも存在するが。
しかし、monstersがRank upしてBeast Kingになった例などない。いや、そもそもRank15のmonstersの資料なんて、真偽不明のlegendやMythの中にしかないのだが。GufadgarnによるとRank14以上のmonstersは、旧Demon KingであるGuduranisがDemon King Armyを率いていた当時は殆ど存在しなかったらしい。
当時のmonstersはDemon King Armyの邪悪なGodsにとって雑兵のような扱いで、Dungeon等のmonstersを大量発生させ育てるための施設を創ってはいたが、使い捨てが利く戦力としか見られていなかった。そして、Bellwood達が召喚されてからは次々に倒されたことで、monstersがCreatorである邪悪なGodsに匹敵するRank13を超えるのは難しかったようだ。
最初から目的をもって作られた個体や、masterである邪悪なGodsの趣味で育てられた場合もあるが、全体から見ればごく小規模だったらしい。
monstersにとっても、Creation者であるmaster達の支配者であった旧Demon Kingがsealedされた後の方が生きやすいとは、中々の皮肉である。
PeteのBeast King化は、新しいDemon Kingである師Artisanとその支配下のmonstersの新しい存在の仕方を示しているのかもしれない。
ちなみに、Beast Kingに加わったがBeast Kingであると同時にmonstersでもあるので今まで同-samaに地上で活動することが可能なようだ。