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Side Chapter 67: 「Empire」の終焉と「Sacred Empire」の誕生

「愛すべき民よ、余はAmid Empire Emperorの名において宣言する。ここに我がEmpireの帝位を偉大なる『God of Law and LifeAldaに還し、その御言葉をもって汝らを統治して頂く事を」

 magic itemで拡声されたSalazarの宣言が都に響き渡っても、民からの拍手や歓声はなかった。


「帝位を神に還すって、どういうことだ?」

Pope -samaEmperorを兼任するって事か? そんな事ができるのか?」

templeが国を治めるの!?」


 その代わりに、小波のように戸惑いと不安が込められた囁きが広まった。

「親愛なる民達よ、何も心配する事はない。これは間違いを正し、神の御心に沿うために……そしてこのworldの未来のために必要な事なのです」

 そして元EmperorとなったSalazarに代わって口を開いたのは、EileekMarme Popeだ。まだ十代半ばの幼さの抜けきっていない少年だが、彼にはSalazar以上のcharisma性があった。


 神のOracleを受けてPopeに就任したという、前例のない背景。そしてAldaに選ばれたという彼自身の自負が、charismaとなって人々には感じられるのだ。


Amid Empireは今日この時より、Amid Sacred Empireと名を変える事になります。ですが、Godsの教えに忠実な良き人々である皆-sanは、昨日までと同じように教えに忠実であればよいのです。

 もしかしたら、不利益を被る方も出るかもしれません。しかし、我々Alda Grand Templeが寄り添います。必ず、試練を乗り越える力となる事を神に誓いましょう」


 だが、そんなcharismaを持つEileekの言葉を聞いても、民の不安は収まらなかった。


 このworldの多くの国の一般人は、政治に関わる機会がない。他国に故郷が征服されるか、為政者がよほどの圧政を敷いた場合は、暴動やゲリラ戦等の過激な手段に出るが、そうでない場合は「政治は俺達一般市民には関係のない事だ」と、自分達の仕事や懐に直結する事以外には無関心なのが普通だ。

 政治に関わる者の情報を報じるmediaが体制側にしかなく、選挙制度のない国。民ならそれで何の不自由も覚えない。


 そして、Amid Empireの大部分の民は生活に深刻な問題を抱えていない。前EmperorMashkzarが数十年以上善政を敷いており、現EmperorSalazarは傀儡であるため、そしてまだEmperorとなってそれほど時間が経っていないため前任者の政策の多くがそのまま引き継がれていたからだ。


 Amid Empireや各属国のNobletempleSlave商からは、暴れまわる『Storm of Tyranny』を止める事ができず実質野放しになっているため高まっている不満がSalazarに向けられているが、まだ退位を求める程ではない。


 ……迫害されているVida's New Races達は不満を抱えているが、それはMashkzarの先代以前、Amid Empire建国当時やさらにその前からなので、彼らの中では既に日常と化している。それに、これからはAlda Grand Templeが政治を司ると聞いて、暮らしが良くなると期待するVida's New Racesは存在しない。


 そもそも、organization的に反政府運動をするようなrebel心と行動力に溢れるVida's New Racesの多くはSchneiderが国外へ連れ出した後だ。


 そんな民達が、「体制が今日から大きく変わる」と宣言された事に対して反射的に覚えるのは期待感ではなく不安感だ。現状で大した不満もないのだから、変化に対して「生活が改善するかもしれない」という希望を覚えるよりも、「悪い方へ変わるかもしれない」という不安を覚えるのは当然だろう。


 それに、templeが説く教義を厳守する正しい生活をするのは世俗では難しい事が多々ある。

 一切の妥協をせず、例外も作らず、greyzoneを全て排除して法を厳守するのも至難の業だ。


 それに強制的に挑戦させられ、できなければ司法権力を持つようになったClergyman達に取り締まられるのではないか。そんな不安が民達の脳裏によぎる。


 しかし Grand Templeの、それも神の寵愛を受けている事で知られるPopeが相手なので、表立って不安を訴えるのは憚られる。より神の意志に沿った、より正しい治世を不安に思うという事は、神の意志に沿って正しく治められることに不満があると思われるのではないかと躊躇うのは当然だろう。


 Eileekは「昨日までと同じように生活できる」、そして「不利益を被る者がいても、templeが寄り添って支えていく」と保証している。だが、いくら彼がAldaOracleを受けてPopeになった聖人だとしても、Empireが今日からSacred Empireに変わる大変化が起きたばかりで不安を払拭する事はできない。


「より神の意志に沿った、より正しい在り方とは、Vida's New Racesとの融和……BeastmengiantDark ElfMerfolk等のraceの者達を我々と同じ人として認めるOrbaum Elective Kingdomで広まったAlda Reconciliation Factionの思想を実践する事です。

 我々Alda Grand Templeは今日この時よりAlda Reconciliation Factionを新たな教義とし、Amid Sacred Empireの全ての民を守る法であり模範とする事をここに宣言します」


 そして、実際に民達の不安は的中した。Amid Sacred Empireで過ごす生活は、昨日まで過ごしてきたAmid Empireでの生活とは全くの別物になる事がはっきりしたからだ。


 建国以来の敵国であるOrbaum Elective Kingdomで生まれたAlda Reconciliation Factionの思想について、名称や簡単な概要だけならともかく、詳しく知る民はほとんどいない。

 しかしVida's New Racesの存在を認め同じ人としての権利を認めているというだけで充分だ。


 Amid Empireとその属国ではVida's New Racesの権利を著しく制限してきた。官僚や軍人になる事はもちろん、自分を経営者とするChamber of Commerceを立ち上げる事も出来ないように法で定められている。adventurermercenaryになるのは自由だが、その結果achievementをあげてもNoble位を得る事はまずなく、Knightやお抱えMageとして仕官する事もまず不可能。

 職人やFarmer、労働者としてや村で暮らすことはできるが、突然攫われてSlaveとして売買されても法によって守られない。Amid Empireで取引されるSlaveの半数以上は、Vida's New Racesの者で占められている。


 Rankを持つrace……VampireMajin Raceだけでなく、ScyllaHarpyCentaurLamiaArachne等のraceまでmonstersと見なされ人里に現れればGuardadventurerによって狩られ、住み処が見つかればmonstersを皆殺しにするために兵が派遣される。

 そして、それはVampireと他raceの混bloodであるDhampirも含まれる。


 そんな国が、突然Alda Reconciliation Factionの思想を是とする。昨日までと同じ生活ができるはずがない。

 特に、Slave商人とその客達の状況は深刻だ。商品やpropertyを無償で手放さなければならなくなるどころか、昨日までに行った事を理由に投獄されるのでないかというhorrorを覚えた。


 たとえPopeであっても、黙ってはいられない。民が拳をthrust上げながら叫ぼうとしたその時、異変が起こった。

「ね、ねえ、月が……」

 時刻は昼下がりから、徐々に夕方になりつつある。夏であるため、昼が長くなり太陽が沈むまでまだまだ時間はあるが、月がうっすら見えてもそうおかしくないだろう。


「月が、大きくなっている!」

 だが、それに最初に気が付いた女が指さす空では、目を凝らしてもなかなか見えないはずの月がはっきりとその姿を現し、徐々に大きくなりつつあった。


 不安と困惑、そして苛立ちで頭にbloodが上りかけていた民の多くはこの異変に気を逸らされた。EileekOracleの正しさを証明するためにAldaが日食を起こした時のように、これも神の力によって引き起こされた奇跡ではないかと考え、祈りだす者も現れた。


 バルコニーでも、何事かと護衛のKnight達が周囲を警戒している。

「これは、幻術の類か!? Mageは何をしている!? 『Fifteen Evil-Breaking Swords』は何処だ!?」

 騒ぎ出すSalazarとは対照的に、Heinzは落ち着いた-sama子でEileekに問いかけた。


Eileek -dono、もしやあれも?」

「いえ、あれはAldaDivine Authorityではありません。しかし、何らかの神のsignを感じます。おそらくは――」

 Eileekが言い終える前に、青空に浮かぶGiantな満月の中心に音もなく亀裂が生じた。そして、開いた。


 なんと月に生じた亀裂が開くと、Gianteyeballが姿を現したのだ。その-sama子は、月がeyeballだけのMonstrosityにすり替えられてしまったかのようだった。


「うわぁあああああ!?」

「ば、monsterだぁあああああ!」

 かつてない不気味な光景に民の多くが叫び声をあげてpanicに陥り、逃げまどい始める。だが異形の月を見てHeinzは確信した。


「これはVandalieuか、それに深く関わる神の仕業だ!」

 Heinzは儀礼用の剣を抜き、バルコニーの手すりに足をかけてそのまま跳躍した。

「【Heroic God Advent】!」

 そしてHeinzに『Heroic GodBellwoodが宿り、輝きとSacredさを感じさせる気が周囲を満たした。


「おおっ!?」

「あれは……Kami-sama?」

 そのGodsしい姿は、panicに陥っていた人々にもhorrorを忘れさせた。


 magic itemを使うことで月に向かって飛んだHeinzはその人々の上空で剣を上段に振りかぶった。

「【Evil Breaking Holy Radiant Extreme Flash】!」

 Heinzの奥義によって放たれた斬撃は、月の単眼を正面からBisectionした。


 その瞬間、glassが砕けるような音が響き異形の月は消え去った。後には、元通りの大きさになった月がうっすらと青空に浮かんでいるだけだ。

「手応えはなかったが……退いたのか?」

 Heinzはそういぶかしげな-sama子で月をしばらく見上げていたが、Amid Empireの民達は歓声をあげて彼を称えた。


 Alda believerだけでなく、PeriaBotinRicklentZuruwarnbelieverもその例外ではなかった。VidaAdventしたDarciaの姿を見たOrbaum Elective Kingdom人々と同じように。




 その頃、Demon continentではAradiaが短くscreechを上げて尻餅をついた。

『どうしたの、Aradia? 溶岩を踏んでしまったの? それともmonstersにでも噛まれた? injureはない?』

 『Giant of the MoonDianaは、大人しく物静かな娘に何かあったのかと槍を片手にすぐ駆けつける。


『大丈夫です、母上。ただ父上の敵がどんなのか知りたいなと思っていたら、『視れ』そうだったので『視て』いたら、破られてしまいました』

 Aradiaは尻餅をついたまま、額の目を何度も瞬かせながら要領を得ない答えを口にした。


『そうか。それはともかくinjureはないか? 目や頭は痛くないか? 気持ち悪くなってはいないか?』

 しかしDianaはそれでだいたい何が起きたのか分かったようだ。だが、まずは彼女の体調に変化がないか確認する事を優先した。


『どうした? Aradiaに何かあったようじゃが?』

『大丈夫?』

 異変に気が付いたTiamatBakunawaが心配そうに声をかける。ここはDemon continentの『街』やZantarkの聖域からも離れた場所なので、安全地帯とは程遠い場所だ。


 しかしDemi-GodであるDianaたちにとってはそれほどの脅威ではない。Humanに例えれば、自然豊かな草原にピクニックに来たようなものだ。childが虫に刺されたり、走り回って転んで膝を擦りむくかもしれないが親が見ていれば問題ない範囲だ。だから、それほど深刻そうな-sama子はない。


『大丈夫だ。念のためにしっかり確認したが、injureはない』

『はい、痛みはありません。ただピカッとして眩しくて驚きました』

 そして、実際深刻な事はAradiaの身に起きていなかった。それを確認してから、DianaAradiaに何が起きたのか……彼女が何をしたのかを、TiamatBakunawaに説明しだした。


『額のMagic Eyeの力が発現したのだろう。額の目はMagic Eyeだろうと察していたが、こんなに早く力を発揮できるとは思わなかった』

『それは、透視やClairvoyanceの事かの?』


Clairvoyanceほどではないな。おそらく、月を媒介にして遠くの風景を見たのだろう。Vandalieuの敵というから、話に聞いたAmid EmpireDuke Farzon領のどちらか。

 そして、Light Attributemagicの使い手か、輝くWeapon Equipmentを持つ何者かに破られたと』


 Dianaはほぼ真実を言い当てていた。ただ、Aradiaが経験不足であるため、見た光景の説明を上手くできないので見た場所で何があったのかまでは伝わらなかった。

 もしAradiaが自身のStatusを見る事ができたら、その内容を母に伝えて判断してもらう事ができただろう。だが、彼女はDemi-GodであるためStatus systemの範囲外の存在だった。


 さらに、DianaTiamatMagic Eyeを持っていないので、全ての知識は伝聞である。


『生まれてから一年も経たずに自分の力を使いこなせるなんて、母は鼻が高いぞ、Aradia

『はいっ! もっともっと頑張って今度は破られないようにしますね!』

『そんなに急がなくていい。千年でも二千年でもいくらでもかけて、大きく元気に育ってくれれば母はそれだけで満足だ』


 十万年以上生きているTrue giantであるDianaの感覚は、とても長かった。

Dianaもすっかり親idiotになったものじゃ。妾が何百何千と子を育ててきたところを見てきたろうに』

 Bakunawaの兄や姉達……龍やTrue giantBeast KingだけでなくKiryuujinMaryuujinなどのDemon continent特有のVida's New Racesを産んできたTiamatがそういうと、Dianaは軽く笑って言い返した。


『お前とは長い付き合いだが、自分が子育てするのと他人のそれを傍で見るのとでは違って当然だろう。

 っと、とりあえずDemon King FamiliarAradiaが見た事を伝えなければ……TiamatDemon King Familiarはどこにいる?』

『すまんな、近くのDemon King Familiarは坊やがすべて食べてしまった。玩具代わりのDemon King Familiarは置いてきてしまったし……坊や?』


 Tiamatが息子の方に視線を向けると、Bakunawaは自分の鬣にくっついていたノミのようなDemon King Familiarを爪の先でつまんでいた。

『はい、非常食のPapa

『全てのDemon King Familiarが食べられた時に困ると思ってこっそり隠れていましたが、ばれていましたか』


 上記の理由で隠れていたつもりのVandalieuだったが、Bakunawaに非常食として確保されていただけだったようだ。

Vandalieu、話は聞いていたか?』

『いいえ、この俺は非常時の連絡用に作ったので、稼働時間を延ばすために普段は眠らせてManaを節約していましたから聞いていません。もう一度説明してくれたら助かります』


 こうしてVandalieuは何が起きたのか知ったのだった。




 後日、Amid Sacred Empireの宮-donoでは会議が行われていた。

 Amid EmpireからSacred Empireへの移行は、Orbaum Elective KingdomDemon King Guduranisが倒された後から始まったので、何から何まで急造だった。そのため、民に発表して国名を変えた今も問題が続出している。


 ただ、急造の宗教国故に実態は看板をつけかえただけに等しい。Empire時代のcivil officialや武官にClergymanとしての位を与え、そのまま業務にあたらせているためこれでも混乱は抑えられている方だろう。

 Alda Reconciliation Factionに国全体のpolicyを変えた事以外は。


Vida's New Racesに関しては、Slaveからの解放は順調に進んでいます。相場と同じ協力金を支払っているのと、やはり神の威光が大きいかと」


同時に、Vida's New Racesを攫って以前から所有していたSlaveと偽って協力金をだまし取ろうとする者も出ております。Vida's New Racesの中にも人と組んでいる場合など、-sama々なケースがありますが現時点では対応できています」

「だいたいの不良Nobleや、大手のSlave商は既に『Storm of Tyranny』に叩き潰された後ですからね」


 Priestの位を与えられたcivil official達の報告を聞きながら、Cardinalの位を与えられたSalazarは暗い喜びに浸っていた。

 お飾りのEmperorにされたと思いきや、今はお飾りの元EmperorCardinalだ。今後、Amid Sacred Empireに問題が起きた時民の不満を一身に受けて処刑されるだろうから、立場は全く好転していない。


 それなのに、Empireの終わりを宣言した時とは違って清々しい気分なのは周りが同類だらけだからだろう。

 Salazarはこの強引で急な宗教国への転身が上手くいくとは、最初から思っていない。きっとDecayして自分が処刑された後か、もしくはその前にこの国はDecayするだろう。過去に栄えた大国と同じように、過去の歴史に消えるのだ。


 もっとも、神の威光によってしばらくの間は持ちそうだが。


「概ね順調のようですね。やはり『Heroic GodBellwoodの威光とGuiderであるあなたの力があれば、子羊の群れをGuiding事ができるという神の言葉は正しかった」

 そして、Amid Empireの宗教国への変革を主導したEileekMarmeは満足げに微笑んでいた。

 『God of Law and LifeAldaから、長く複雑な内容のOracleEileekは受けた。もし彼でなければ……もしくはVidal Magic EmpireChurch of Vidaの最高責任者であるNuazaでもなければ、完全に受け取る事はできなかっただろう。


 それに沿って、EileekAmid Empireを宗教国に変えるために動き出した。全ては、Aldaの意志のまま……Vandalieu、そしてVidal Magic Empireを倒すために。

 当初、AldaAmid EmpireOrbaum Elective Kingdomの力を結集してVandalieuと戦う戦力とする予定だった。

 しかしDemon King GuduranisVandalieuが倒してからのOrbaum Elective Kingdom-sama子を見て、AldaOrbaum Elective Kingdomを諦める事を決断した。


 AldaVandalieu達のGuidanceが、過去のGuider達とは異なる事に気が付いていた。Orbaum Elective Kingdomは、Duke Farzon領以外もう手遅れだ。そして、from here巻き返すのは不可能だと。

 だからAmid Empireだけでも強固にまとめ上げる必要があった。そしてDuke Farzon領とCoordinationさせようとしているのだ。


 だが、Aldaも自らの意志のままに人が動く事はないと知っている。この十万年間、そのせいでVida's New Racesを絶滅させる事ができず、ついにはVida's New Racesの存続を認める事になってしまった。

 だから、AldaVandalieu……そしてVidaと同じ手段をとる事にした。


「私は、ただAlda Reconciliation Factionとして動いただけです。それに、この展開は私の本意ではなかった」

 そしてNineroadの指示でAmid Empireへ仲間と共に向かったHeinzは、Alda Reconciliation FactionとしてEileekに協力した。


 Heinzが求められたのはGuiderとしての力を発揮しての演説と、【Heroic God Advent】の使用だった。それによって、EileekVoice of Godを聴くことができない者達を強制的にGuidingつもりだったのである。

「できれば、【Heroic God Advent】を使って人々を従わせるのではなく、話し合い、理解を深め心から賛同してもらいたかった。あの異変が起きなければ……」


「気にDiseaseむ事はありません。それに、あなたが民の支持を得られたのは大きい。これであなたはAmid Sacred EmpireHeroです」

「……何も倒さないでHeroとは、Vandalieuとやらに感謝だな」

 Eileekの言葉の直後にSalazarがそう皮肉げに言い、会議に同席している他のCardinalから鋭い視線を向けられている。


 だが揶揄された本人であるHeinzは、彼のいう事はもっともだと思った。そして、彼ではなくEileekに尋ねた。

「属国出身とはいえOrbaum Elective KingdomでSClass adventurer、そしてAlda Reconciliation Factionとして活動してきた私をHeroとする事に何か思うところはないのですか?」

 その問いに対して、Eileekは不思議そうな顔をして答えた。


「それが神の意志ですから。神の地上における代行者である私が、疑問に思うことは何もありません」

 そこには純粋なまでに透き通った、もしくは虚無的な微笑みがあった。


 今のEileekEmperorにも勝る権力を握っているはずなのだが……彼にとってはAmid Sacred Empireという国も、その民も、大した価値はないのかもしれない。



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