『平民に堕とされたら生きていけません! 陛下、どうかご慈悲をっ! せめて、せめていっそ一思いに死罪にしてください!』
重罪を犯し、それに目を瞑る価値がないと彼が判断したNobleから、このようなセリフを彼は何度となく聞いてきた。そして、ほとんどの場合無視してpeerageとpropertyを没収して平民に堕としてきた。
何故なら、そうした方が民からの受けが良かったからだ。結果的には同じでも、Emperor自らの決定で一族郎党死罪では民にまでbloodも涙もないと恐れられるが、peerageとpropertyを没収するだけで済ませると慈悲深いと評価される。
よほど悪辣な事をしていた場合は逆に死罪にしないと、「弱腰だ」とか「甘い」と侮られる事になるのでその境界線を見極めないとならないが。
考えていたのはそんな事ばかりだったので、当然だがpeerageとpropertyを失った当のNobleが生き延びられるとは考えていなかった。
「しかし、存外どうにでもなってしまうものだな。余が野垂れ死んだと思っていた連中も、意外と今でも生き延びているのかもしれない。
だとしたらあの『生きていけない』だとか『一思いに死罪に』という言葉と顔は、演技か? なら、余はしてやられたことになるな」
そう言いながら、前Amid Empire Emperor Mashkzarは自分で淹れた茶で喉を潤した。
今、彼が生活しているのは粗末な小屋だ。roomは三つで、木にペンキを塗って劣化を防ぎ、内側は土壁にして断熱にも気を使ってある本格的な小屋だ。
その小屋に備えられたWoodデッキに置いた椅子に腰かけ、Mashkzarは午前中の一服を入れていた。
小屋の近くには-sama々な農作物が蠢く畑があり、その向こうには果樹園と鶏小屋があり、その向こうにはヤギや豚だった存在が飼われている。
そして小屋の周りには、風とは関係なく揺れる花々が咲き乱れており、ミツバチだったものの巣箱がいくつか置かれている。
「いや、余がどうにかなっているように、連中もどうにかやれたと思うのは早計か」
「まったくもってその通りです。そもそも、お前がどうにかやれていると考えるのは間違いだと思います」
「やあ、今日も余の-sama子を見に来てくれたのかね?」
Mashkzarはいつの間にか現れたVandalieuに、そう言って笑いかけ、自分の向かいの椅子を勧めた。
「たしかに地位もpropertyもなくした余がこうして生活できるのも、貴-kunのおかげだ」
Emperorの座を追われたMashkzarは、公には療養のためとか適当な口実でImperial Capitalから離れた場所にあるmansionに囚われていた。
臣下ではなく監視役と世話係としてのServantと、彼を捕らえておくための警備としてのKnightに守られたmansionでの生活は、いつか食事や飲み物に毒を混ぜられて毒殺される未来が待っている可能性が高いこと以外は、不自由のない生活だった。
そこから『Storm of Tyranny』のSchneiderによって助け出されたMashkzarはVandalieuに引き渡され、ここで仮初だが自由な生活を与えられた。
ただ、VandalieuはMashkzarを生かしておく気はあっても、世話をするつもりはなかった。
彼の前にCarpentry道具などの-sama々な道具類、そして材木や釘等の材料を並べた後は一切の世話を放棄したのだ。
よりaccurateに言うなら、毎日生きているか確認しに来て、必要な食料や水を渡してくれるがそれだけだ。
なんとMashkzarは、自分が生活するための場所すら自分で建てなければならなくなったのだ。
逃げ出そうとは思わなかったし、実行しても成功する可能性はないと確信していた。何故なら、MashkzarがいるのはVandalieuの【Body World】の一つなのだから。
空には天井があり、地には壁がある。何故か風が吹いているが、これがVandalieuの呼吸によるものなのか、それとも【Body World】に空気を循環させる仕組みがあるからなのかは分からない。
そして基本的に雨は降らず、天候は常に晴れ。しかし、何故か昼nightの区別はある。
そんな不思議なspaceに囚われたMashkzarの生活は、かなり難儀した。高い教養を持つ彼でも、日曜Carpentryの経験はほぼなかったからだ。これが都市開発計画だとか、大規模な治水やEngineering工事ならそれなりに知識はあった。しかし実際に自分の手で釘を打ち、柱や梁を組み立てた経験はなかった。
だが生きるだけなら小屋を建てなくても可能なほど、【Body World】の環境は整っていた。
食事は以前の生活と比べれば簡素だが、必要な量は毎食差し入れられる。味も悪くない。【Body World】の気候は住み心地の良いconditionで保たれている。雨も降らない。だからいくらでも野宿ができるのだ。
最初に建てた小屋が瞬く間に倒壊したのを見たMashkzarの脳裏には、そんな怠惰な野宿生活でも構わないのではないかという考えがよぎった。
だが、すぐに彼は思い出した。Emperorに即位する前、Half-Elfとして生を受け継承順位も高くなかったがEmperorを目指していた頃の野心とrebel Mentalを。
何もないからこそ誇りを持ち、生きるだけで精いっぱいだからこそ野望を目指さなければならない。毒杯を呷り、首を刎ねられるその時まで。
それまで何処か覇気のない、もしくは自暴自棄な-sama子だったのがウソのように、MashkzarはVigor的に活動を再開した。
magicを利用して小屋を建て、一通り家具を仕立て、-sama子を見に来たVandalieuに対してdemandを行った。実用と気休めを兼ねて農作物を栽培したい、服を仕立てるための布がもっと欲しい、小屋の外壁に塗るペンキが欲しい……。自分に対して、生きていればそれでいい、程度の価値しか感じていない相手に対して平然と厚かましいまでのdemandをthrust付けた。
thrust付けられたVandalieuは断るかと思われたが、ほとんどのdemandに応じた。聞いた後しばらく無言のまま佇むなど、渋々ではあったが。
何故ならVandalieuにとってMashkzarは、生きていればそれでいい程度の価値しかない以上に、基本的には嫌いなHumanだ。深い恨みや憎しみがあるわけではないが、価値観が合わないためできるなら深い会話はしたくない相手だ。
しかし「生きてさえいればいい程度」の価値はあるので、死なれるのは困る。だから、この【Body World】のVandalieuは毎日-sama子を見に来て、食料を渡して世話をするしかない。
そして【Body World】のVandalieuは、人格もMemoryもfive sensesもVandalieuと共有している。そのため、Mashkzarの存在はVandalieuに地味にstressを与えていた。
そんな存在が自力で生活環境を充実させ、食料をProductionしたいとdemandしている。それが上手くいけば、毎日食料を差し入れる手間が省ける。
だからVandalieuはMashkzarのdemandに応じて生地やSewing道具、農機具や作物の苗、ペンキを渡した。Mashkzarのdemandがescarlateして、鶏やヤギ、豚などの家畜や果樹をdemandされても同じようにdemandにこたえた。
そしてMashkzarが素朴だが豊かな生活を営める環境を整えても、一日一回-sama子を見に来るだけで放置している。
「propertyとpeerageを失ったNoble達には、余と違い取引に応じる敵国のEmperorが近くにいなかった。それで、今日は何を知りたい? 主だったNobleのscandalか? それともmansionの秘密の抜け道か? はたまた『Fifteen Evil-Breaking Swords』の活動拠点の位置? いや、Mirg Shield Nationの城砦に関する情報か?」
何故ならMashkzarはペラペラと国家機密を打ち明けるからだ。代わりにdemandするのは豪華な食事であったり、絹の生地だったり、陶器のteaセットと茶葉だったりと、その価値からすると他愛のない物ばかりだった。
それはVandalieu達にとって、この程度の国家機密情報は殆ど価値がないと知ったうえで取引を持ち掛けているからだ。
Mashkzarが帝位から追われる前に目にすることができた情報からconjectureしたVandalieu達の力なら、秘密の抜け穴を知っていたとしても関係ない。正面から殴り込んでも建物ごと更地にできるし、建材をGolemにすればすぐにDecayさせられる。建物がOrichalcum製でもない限り、意味がない。
そして死者の霊から話を聞くことができるから、scandalの類は調べようと思えばたいていの情報は手に入れられる。少なくとも、Mashkzarはそうconjectureしている。
そして『Fifteen Evil-Breaking Swords』の活動拠点は、Mashkzarの身柄を奪われたと知った時点で彼の知らない新しい場所に変わっているだろう。
だから躊躇いなく安値で売り渡しているのだ。
「……Mashkzar、俺はお前ほど狸親父という言葉が相応しい人物にあった事がありません」
Vandalieuもそれに気が付いているので、そう言うがMashkzarは笑みを深くするだけだった。
「それはありがとう。しかし、だとしたらOrbaumのNoble達はまだまだだな。……それに、-kunも貧乏性が過ぎる」
Mashkzarが口にする情報は、Vandalieu達にとってあってもなくても関係ない程度のものだ。それが分かっているのに、VandalieuはMashkzarから情報を聞き、対価を渡している。
それはVandalieuが、「念のために聞いておこう」とついつい聞いてしまうから。そして聞いた以上対価を払わないと気まずいと考えるからだ。demandされる対価がたいした物ではない事も理由の一つだが。
「性分ですからね。それに、別に損をしている訳ではありませんから構いません」
「余と会話する時間はできるだけ削りたいのではなかったか?」
「Mashkzar、お前の前にいる俺はこの【Body World】の俺です。外に出すことはできません。なので、実質お前の監視以外にこの俺はやることがありません」
「つまり、その程度の理由で納得できる程、余の相手に慣れたという事か」
「はい。この俺はcountlessの俺の一つでしかありません」
「その考え方は幾度聞いても理解が追い付かない。複数の体と思考を一つの魂が操るなど、他に聞いたことがないのだから。余の知識が足りぬわけではないと思うが」
MashkzarはこのLambda worldの中でも高度な教育を受けた高い教養を持つ人物の一人だ。しかし、科学文明とは無縁である。
もし彼が現代の『Earth』でdevelopmentしている科学文明についての知識があれば、Demon King Familiarや【Body World】のVandalieuを端末、そしてmain bodyをサーバーのような存在だと理解したかもしれない。
「一つの魂? ……そう、魂は一つでしたね。分かれることができても、『俺の魂』という一つの群れであるのに違いはありません」
そして、Vandalieuには科学文明の知識があったので、自分はそれに近いと考えていた。そして、その場合は今のmain bodyを増やそうという試みが上手くいかない事に今気が付いた。
(main bodyを、多くの魂が宿っているBody。そしてCloneをあまり魂が宿っていないBodyと定義すると、そもそもmain bodyを増やすことは不可能。
俺は魂を自由に千切り、元に戻すことができる。でも、総量は変わらない。魂の量が増えない限り、main bodyを増やすことはできない)
Vandalieuの魂の総量を百……いや、万としよう。Demon King Familiarや【Familiar Spirit Demonic Advent】skillをActivateした者に派遣するFamiliar Spirit代わりのsoul fragmentは、基本的に一にも満たない。Me-kunことAmemiya Meiに憑けたBandaでようやく十ぐらいの感覚だ。
これなら幾らでも魂を分けてmain bodyを作れそうだが、百や千、そして万の魂を分けてもmain bodyにはなり得なかった。他のCloneより魂が多いだけのCloneでしかない。
では魂を二つ、それも均等に分ければmain bodyを増やせるのか? それを考えながら実行しようとしたVandalieuだったが、すぐにやめた。
実行するのに問題は感じなかったが、結果がそれぞれ魂五千のmain bodyが二つできるのではなく、魂五千のmain bodyとCloneに分かれるだけだと感覚で分かったからだ。
(つまり、main bodyは増やせない。しかし、main bodyが複数存在する利点は欲しい。では、main bodyを増やさずにmain bodyが複数あるのと変わらないconditionになる事を目指せばいい? ふむ……)
矛盾していて、達成は不可能なようにも思える。
しかし、以前気が付いたCloneを創る事がmain bodyの条件ではないという事と合わせて考えると、何かが引っかかる。もう少しで、形のあるideaになりそうな気がするのだが。
(もしかしたら、俺は『main body』を特別視しすぎていたのかもしれません。手足や内臓と同じように、『main body』という名称のただの部位として考えるべきなのかもしれません。
それに気が付いただけでMashkzarを【Body World】に監禁している意味はありましたが……本人にそれを告げたくないので黙っていましょう)
「それはともかく、何か要望はありますか?」
「ああ、それなら最近作物の活きが良すぎる気がするので……どうにかならないものだろうか?」
Mashkzarが視線で指した先には、すくすくと育ち活発に動き回っている作物達の姿があった。もちろん、普通の野菜ではない。全てMonster Plantである。
「この前from here見える距離に城よりも高い巨木が出現してからこうなったのだが」
そうなってしまったのは、Mashkzarが察しているとおりIggdrasilのSaplingにRank upしたEisenの樹木部分をこの【Body World】に収納し、【Ground Fertile Transformation】skillの実験を行ったのが原因である。
この【Body World】にはMashkzarしかいないし、そのMashkzarも何かあればすぐに回収して別の【Body World】に移動させればいいので、遠慮なく最大出力を試した。その結果、Mashkzarが育てていた作物は一気に実り、そのままMonster Plantに変異した。
「他にも、植えた果樹の苗が成木になって動き回っていたり、鶏がGiga Birdになったり……浅学故名称は知らないが、ヤギと豚、そしてミツバチもmonsters化しているようだ。
おかげで卵の採集や搾乳の手間が増えた。屠畜や蜜の収穫はまだしていないが、その時には以前よりも注意しなければならないだろう」
そう述べるMashkzarだが、しかし Vandalieuは自分が主導して行った実験について説明するつもりはなかった。
「身に危険を覚えましたか?」
「いや、そこまでではないな。Monster Plantは動き回るだけで、収穫にも抵抗はしない。Giga Birdや家畜の方はやや気が荒くなったが……腕は鈍っているが、余も皇族だ。今のところは問題ない」
Amid Empireは、最も強い者が上に立つBarbarian Tribeの国ではない。しかし、貴い身分にある者としてNobleや皇族には最低限の武術やmagicを修める事が求められる。
身分が高くなるにつれて、求められる『最低限』の水準は高くなる。しかも Half-Elfに生まれ、即位する前は敵の多かったMashkzarは、『最低限』以上にまで技量を高めていた。
とはいえ、『Storm of Tyranny』のSchneiderの足元にも及ばないし、Orbaum Elective Kingdomとの戦争で前線に立って軍をCommandingしながらバッタバッタと敵兵をなぎ倒せる程でもない。全盛期で、CClass adventurerと互角程度。そして、実戦的な訓練から離れて久しい今では、だいぶ勘が鈍っている。
magicの腕前は、Architecture作業や農作業でだいぶ戻ってきているが。
その程度ではあるが、Rank2のMonster PlantやGiga Bird程度では身に危険を覚えない。
「じゃあ、収穫や屠畜に使う新しい道具を渡しますね」
なので、Vandalieuは切れ味のいいknifeや、腕や顔を守るDefense Equipmentなどの道具を渡すだけで充分だと判断した。
「それはありがたい。ここに来るのはOrichalcum製でもない限り、歯が立たない存在ばかりだから、余がもし良からぬことを企んだら等という邪推はせず、本当に切れ味のいいknifeを頼む」
「分かっています。あと、近日中にまた何か起きるかもしれないので覚悟と注意をしてください」
No-Life QueenになったIslaのskillも、この【Body World】で実験する予定である。
「ここでの生活は退屈と無縁で楽しいよ。……Empireもまだ無事なようであるし」
Vandalieuが自分を【Body World】に留め、定期的に監視に来る事からMashkzarはAmid Empireが滅びていない事を確信していた。
Empireが滅びていれば、VandalieuはMashkzarをとっとと体外へ出すはずだからだ。
Mashkzarとしては、自分が生き残るためにVandalieuに自分のAbilityをその時までにappealする必要がある。
気に入らなくても、価値観が合わなくても、Vandalieuはそれだけなら殺さないとconjectureしているからだ。
MashkzarからVandalieuに靡く事は、今までの事を考えれば難しい。そもそも、演技してもそれを何らかの方法で見抜かれそうだ。
なら、気に入らないが利用する価値はある、と思わせなければならない。
(うまくすれば、彼が占領したAmid Empireの統治に関わる事ができるだろう。……民が全てUndeadにされなければだが。
Vandalieuにはその気はないだろうが、Eileek……Aldaが民をあまり扇動しない事を祈るばかりだ)
その頃Orbaum Elective Kingdomの南方、海に面したDuke Farzon領には続々と人が集まっていた。
いち早くGodsのOracleを受け、その指示に従ったHero Candidateとその仲間達や、各地のAldaやその勢力に属する神のtempleのTemple HeadやHigh Priest、Priest、Jahan Duchyの『Seven Mountain Generals』のような精鋭部隊に属しながら国よりも神を選んだ者。
その総戦力はかなりのものだ。
「最近物々しいな。見ただけでただ者じゃなさそうな連中が次々にやってくる。でかいDungeonでも発見されたのかね?」
ある酒場で、声に張りのある老人がそう言いながらジョッキを呷っていた。
「そういうあんたも、この辺じゃ見ない面じゃないか」
するとCleric風の格好をした男が、自分が問いかけられた訳でもないのに言い返してきた。
「俺は村から仕事で来たんだよ。倅が寝込んじまったんで、代わりにな。そういうお前-sanはCleric -samaじゃないか? 良いのかい、昼間からこんなところで飲んでて」
「はっ! 良いも悪いもないね、もう俺はClericじゃない、破門にされたんだよ!」
「templeを破門たぁ、ただ事じゃねぇな。何をやらかしたんだ、若いの?」
「Prostituteをほんの数回買っただけだ。それで破門だなんて……templeに他のDuchyのtempleのPriest -samaやHigh Priest -samaがやってきたからって、それはないだろう!?」
「そいつはひどい話だな。Alda -samaだって、Prostituteは買うななんて定めてないのによぉ」
実際にはAlda templeでは姦淫……恋愛関係のない性交渉を禁じている。しかし、Humanは何事にも抜け道を設ける。
Prostituteとの関係は一night限りの恋愛。金銭を渡すのは、男からのプレゼント。いつ誰と交際し、何を贈っていつ別れるかは当人達の自由だ。だから教えには反していない、という事になるのだ。
戒律をより厳しく守る事を求められるAmid EmpireやJahan Duchyでは、客は仲介業者から花束を買ってそれをProstituteに贈り、Prostituteは仲介業者に花束を渡して金を受け取るという手法が行われていた。
「そうだそうだ! それにここはAlda Reconciliation Factionの総本山だぞ! Beast raceのラビー-chanに貢いで何が悪いってんだ!」
Prostituteのnameを叫ぶ若い元Clericに、老人は首を傾げた。
「別に悪くはないと思うが……総本山だったか?」
Alda Reconciliation Factionは、Amid Empireと戦争を繰り返すうちにOrbaum Elective KingdomのAlda believerが唱えだした宗派だ。そのためどこで発祥したのか、はっきりしたrecordは残されていない。
だから、総本山のような場所はなかったはずだ。
「うーん、『Five-colored blades』のHeinz -sama達を援助してきたし、今もSelen -samaをお預かりしてるんだから、総本山……いや、聖地と言っても過言じゃないだろ!?」
「そんなもんか? Heinz -samaにSelen -samaねぇ。村にいたんじゃわからなかったが、世の中はずいぶん変わったもんだなぁ」
Duke Farzon領では、Dukeが援助に力を入れていたこともあって、Heinz達『Five-colored blades』は他のDuchyよりもはっきりとHeroとして扱われていた。
AldaがそのDivine AuthorityでHeinz達の前にDungeonを出現させた事や、『Heroic God』Bellwoodを目覚めさせた事。そしてDuke Farzon領に長年巣くう、邪悪な神を奉じ【Demon King Fragment】を隠し持っていたMajin RaceとMerfolkの一族を討伐した事も偉業として有名だ。
「だが、この前聞いた話じゃ、『Five-colored blades』はAmid Empireに行ったらしいじゃないか」
まだ公にはされていないが、『Five-colored blades』の姿がAmid Empire……それもAlda Grand Templeで確認されたというのはたしかな情報である。
そして、Heinzが敵国に渡っているという情報は老人達によって流され始めていた。
「え、本当か爺-san!? だ……だとしても、きっとほら、Amid EmpireにAlda Reconciliation Factionの教えを説きに行ったんだよ! 間違いない! なんといっても、『Heroic God』Bellwoodや、AldaだってReconciliation Factionを認めてるんだから!」
若い元Clericはそういうが、BellwoodがAlda Reconciliation Factionの思想を肯定したという確たる情報はない。ただHeinzに力を貸しているから、周りが勝手にそう解釈しているだけだ。
しかし、その解釈をしている者は老人の目の前で酒を飲んでいる若い元Cleric以外にも大勢いる。おそらく、Duke Farzonもその一人だろうから、この際Bellwood本人の意思は関係ないだろう。
「たしかになぁ。だが、長年援助してきたこのDuke Farzon領よりも、古巣に戻る事を優先するっていうのは筋が違うんじゃねぇか? せめてDuke -samaに一つ挨拶してからにするべきだったと俺は思うね」
「それは、まあそうかもなぁ」
そうしてHeinz達のreputationを適当に落として、老人は元Clericと酒をしばらく飲み交わしてから酒場を離れた。
そして白い髪と顔の皴の数と深さからは不自然なほど素早く動き、裏路地を進んである建物の扉を叩く。
「合言葉は?」
「……へいへい、『Self-proclaimed Old Man』だよ」
「っ! 早く入って!」
渋々気に入らない合言葉を口にして、やっと扉を開けてもらったと思ったら、老人はElfの美女と黒い肌をしたmohawkの大男に掴まれて室内に引きずり込まれてしまった。
室内では痩身の老紳士とDwarfの美女がそれぞれ油断なく身構えており、Elfの美女とmohawkは素早くmagicをActivateして辺りの-sama子を探っている。
「おかしい……尾行されてねぇ!?」
「ばれなかったの!? Schneiderの老人の仮装が!?」
「Amid Empireでしたときは、例外なく見破られたというのに……成長しましたな」
「そうかなぁ? この町の人達の目が節穴だったからじゃない?」
「お前らなぁ、Zodを見習って俺が変装術の腕前を上げた事を褒めたらどうだ?」
そう言いながら、老人……Schneiderは大きく体を左右に捻った。リズミカルな動きに合わせて、ゴキンボキンポキゴキと音が響き――。
「はあぁっ!」
そしてwhole bodyに力を漲らせてpump up。その瞬間、身長が百七十センチほどだった老人のBodyが膨らんだ。背は百九十センチほどに伸び、服の上からは痩せているように見えていたBodyは、発達したmuscleで服がはち切れんばかりになった。
そして最後に、顔のskinを引っ張る。
「それじゃあ、情報収集の成果を纏めるか」
それだけで皴一つない若々しい、野性味の強い美貌を取り戻した『Thunderclap』のSchneiderは仲間達と情報交換を始めた。