『Evil God of Joyful Life』Hihiryushukakaを奉じるVampires serving Evil Gods。 Bahn Gaia continentの歴史の裏で暗躍し続けてきた彼らは、重大な危機に陥っていた。
『あれだけ強固だった……中枢にいた私でも全貌を把握できない程大きかったorganizationが見るshadowもないわね』
BirkyneやGubamon、そしてTerneciaの三人のPure-breed Vampireとその腹心の全滅。さらに、organizationのイデオロギーの核であった信仰対象であるHihiryushukakaの消滅。
「いずれは消滅するだろうと思っていましたが、想定よりも追いつめられているようですね」
最後に残ったBirkyneのもとに集まったNoble-born Vampire達は、そのBirkyneの死後Vandalieuを恐れて逃げ散った。そして、逃れた先で再びorganizationを結成しようと試みた。
生き残ったNoble-born Vampire達の中に抜きんでた実力者はおらず、organizationを作らなければ生き残れない……いずれadventurerやtempleのVampire Hunter、そしてVandalieuに狩り出されるのが関の山だと誰もが分かっていた。
何より、彼らはVampireになった瞬間からorganizationの一員だった。太陽から身を隠す安全な拠点、情報の収集、bloodを吸うためのHumanの確保……Vampireとして生きていくために必要な事をorganizationの一員となる事でclearしてきた者達だ。
逆に言えば、彼らは一人で生きていく術に疎い。できないわけではないが、adventurer達にtailを掴まれ百年と持たず狩り出される事になるだろう。
それを自覚していた彼らは、一旦は散り散りになったが集結して再びorganizationを結成しようとした。
しかし、彼らは以前と同じような強固なorganizationを作る事ができなかった。
Orbaum Elective Kingdomの中でもVandalieuが継続的に手を出していたAlcrem Duchyや、Boundary Mountain Range沿いのSauron DuchyやHartner Duchy、Birgit Duchyを避けたというのはわかる。しかし、Boundary Mountain Rangeから離れたJahan Duchy等にもorganizationの大規模な拠点はなかった。
もちろん、Amid Empire側にも大規模な拠点はない。
なぜそこまでVampires serving Evil Gods達が弱体化したのかというと、原因は大きく分けて二つ。どちらもorganizationを形作る上で必要不可欠なものだ。
『どうせお互いを信用できなかったのでしょう。仲良しゴッコではorganizationは機能しませんが……いつ相手がこちらを裏切るかわからないと自分以外の全員を常に警戒しあうような者同士でも、機能しませんからな』
一つは、生き残ったNoble-born Vampire達はお互いに信頼関係を構築できなかったことだ。Evil God (M)を信仰する邪悪な集団なのだから、お互いに仲が良くないのは珍しい事ではない。むしろ、organizationの構成員同士では上司と部下、もしくは競争相手以外の関係を持たない事の方が普通だろう。
しかし、それでも最低限の信頼関係は必要だ。背中を向けた瞬間、この上司はfangsを剥いて襲い掛かってくるのではないか、この同僚は情報を漏らしているのではないか、隙を見せたら部下達が徒党を組んで自分を殺すつもりではないか、そんな事を常に疑い警戒する関係ではorganizationが形成できるはずがない。
『originally、Hihiryushukakaの教義はそうだったから仕方ないとはいえ……』
「強力な力を持つleaderでもいれば別だったでしょうけれど、あいにくPure-breed Vampireは皆殺しにされ、生き残ったNoble-bornにも大した実力者はいない。哀れね」
上を妬んで引きずり落とし、同僚は騙しあいや殺し合いで争う敵、そして部下は服従させ搾取するための存在。そんなHihiryushukakaの教えに従ってきたVampires serving Evil Godsがそうなっても無理はない。
Pure-breed Vampireや、その腹心のような強力な実力者がiniciativeを握れば、それを中心に纏まる事も可能だっただろうが……生き残ったNoble-bornは殆どドングリの背比べで、高くてもRank9のVampire Viscount、Noble-born Vampire Viscountでしかなかった。
そのためorganizationを一つに纏める事は不可能だったのだ。
『そして、Hihiryushukakaに代わる信仰対象を手に入れる事もできなかったか』
もう一つが、奉じるEvil God (M)の存在だ。彼らは犯罪organizationであると同時に、Evil God (M)を奉じる危険な宗教organizationでもある。
しかし、HihiryushukakaはVandalieuに食われて消滅してしまった。
そのため、逃げ延びたNoble-born Vampire達は新たな信仰対象を必要とした。organizationを纏める強力なleaderが存在しないなら、代わりに構成員に共通のイデオロギーを持たせて纏めなければならないからだ。
しかし、Noble-born Vampire達がHihiryushukakaに代わる新たな邪悪な神を奉じても、邪悪なGodsは無視を決め込んだのである。それどころか、Oracleで「関わるな!」と拒絶される事まであった。
これもDemon King Army Remnantsである邪悪なGodsからすれば無理もない判断だ。Hihiryushukakaに代わって、Vampires serving Evil Gods達の信仰を得られるのなら欲しい。しかし、Vandalieuと敵対するのはごめんだ。
どれだけ祈られても、どんな生贄を捧げられても、Vandalieuと敵対する事になっては割に合わない。
そのためVampires serving Evil Gods達はorganizationの中核である信仰対象すら確保できず、数人から十数人の小さいgroupに分裂して活動する事を余儀なくされた。
そしてgroup同士で情報交換等の緩い協力をしながら、息をひそめて-sama子をうかがっていた。
そうして手に入れた情報の一つに、ついに自分達の信仰を受け入れる神が現れたというものがあったので、いくつかのgroupが集まってきていた。
だが、そこに待っていたのは、彼らがAlda believerのVampire Hunterよりも恐れる相手。
「なるほど。そう考えると、いっそ Bahn Gaia continentの外まで逃げた方が良かったかもしれませんね」
Pure-breed VampireとHihiryushukakaの魂を食らい、彼らのorganizationをDecayに至らしめたVandalieu Zakkartとその配下達だった。
『いえ、Vandalieu -sama。 Bahn Gaia continentの外には他のDemon King Army Remnantsの神を奉じるVampire達のorganizationがあり、こいつらはそのorganizationの恨みを買っているので……逃げ込んでも嬲り殺しにされて終わりだったかと』
「……裏社会は殺伐としていますね。もうちょっと、表社会で生きられない日陰者同士の助け合いとか、そういうのがfragmentでもあってもいいと思いますが」
Vampires serving Evil Gods達のorganizationのあまりの酷さに、Vandalieuは彼らをfollowできる点はないかと思わず探していた。
犯罪organizationを弁護する訳ではないが、社会においては全く利がないわけではない事がある。意外と地域社会に貢献している場合もあるからだ。
『Vandalieu -sama、残念ながらfragmentもありません。たしかに犯罪organizationを統率し、結果的に裏社会に一定の秩序をもたらしてはいましたが……それは別にVampires serving Evil Godsの下の地元の犯罪organizationでも十分可能です』
『むしろ、上納金やbloodを絞るために孤児を献上させたりするなど、余計な犠牲と手間が増えたかと』
『ウオオオオオ! ウォレ達は、社会のゴミだあああああ! おおっ、おおおおおっ!』
しかし、生前はPure-breed Vampire Terneciaの腹心で今はLight AttributeのGhostと化しているChipurasとDarockに、「社会に貢献したと言えなくもないが、与えた害に対して細やかすぎる」、「むしろ、存在しなくても問題なかった」と言われてしまった。
そして、それはBellquertが大声で泣き出すしかないほど言い訳のできない真実だった。
「私はSlaveになった後買い手がつかずに鉱山に売り飛ばされて、そこをBirkyneの手の者に拾われてVampireになったので恩もあると言えばあるけれど……麻薬を蔓延させたり、政治工作を働いたりした事を考えると弁護はしにくいのよね」
「私も拾われた身なので言いにくいですが……少なくとも社会にとって有益なorganizationではなかったでしょう。普通の犯罪organizationならともかく、『Evil God of Joyful Life』を信仰するorganizationでしたので」
命を弄ぶことを教義とするHihiryushukakaを信仰する以上、慈善事業をやったとしてもそれは哀れな獲物を騙すための手口に過ぎない。
「き、貴-samaら! 黙って聞いていればいい気になりおって!」
「そのorganizationの中核だったのを忘れたか!」
元幹部に言いたい放題されて激高したNoble-born Vampireが、fangsを剥きだしにして怒鳴り返した。
『吠えるな、wormが!』
Vandalieuの隣にいたはずのIslaが、瞬間移動でもしたかのような速さでその二人に近づき、剣を振るう。
「ギヤアアアア!?」
「あ、脚がぁっ!?」
両脚を腿の半ばから切断された二人のNoble-born Vampireが、地面に転がる。自分のbloodと土に塗れながら、二人はIslaの太刀筋すら見えなかったことに愕然とした。
しかし、彼らもNoble-born Vampire。Subordinate-bornとは違い、magicを使わなくても空を飛ぶことができるnightのNobleだ。だから咄嗟にFlightして体勢を維持しようとした。
「げはぁっ!?」
だが、Islaはそれを許さず一人の背中を踏みつけ、もう一人の首元に剣の刃を当てる。
『逆らっても逃げても構わないわよ。どちらも私が首を刎ねてVandalieu -samaの元に持ち帰るだけだから。それが嫌なら黙って聞きなさい』
その声を聴いた二人のNoble-born Vampireは、怒りはもちろん気力まで萎え体の芯から震えあがった。何もできずそれを見ていた他のNoble-born Vampire達も同-samaだ。
自分達では絶対にかなわないと理解したからだ。
「それであなた達へのdemandですが、生き残っている他のVampires serving Evil Godsのgroupの居場所を知りたい。後、お前達自身です」
以前のVandalieu達は、Vampires serving Evil GodsのRemnantsを逃げ散るに任せていた。追いきれなかったし、organizationという核を失った以上大したことはできないと考えたからだ。散り散りになり、それでも悪事を続けるならadventurerやKnight、templeのVampire Hunterに追われていつか狩られるだろう。悪事をExtreme Strength抑えてひっそりと隠れ住むなら数百年以上生き延びるだろう。
そのどちらでも構わないと思っていた。よりaccurateに述べるなら、彼らがどうなるとしても関心はなかった。
彼らが散り散りになったのはOrbaum Elective Kingdomで、Vidal Magic Empireではない。Orbaum Elective Kingdomの治安を守る義務があるのは、Orbaum Elective KingdomのRoyal Nobilityとそれに仕えるKnightだからだ。
当時、活動する場所をAlcrem Duchyに限っていたVandalieuとしては、「organizationの中核は倒したのだから、残りの始末くらいは自分達でしてほしい」という気分だったのである。
それに、あの当時はOrbaum Elective Kingdom内のAlda's Factionが健在であり、『True』Randolphの正体もVandalieu達にとっては不明だったので、Vampires serving Evil GodsのRemnantsよりも警戒するべき対象が存在した。
ただ、今はあれから大きく事情が変わっている。
Duke Farzon領以外のOrbaum Elective KingdomがVida's Factionに大きく傾き、Vidal Magic Empireと交流を持つことになった。主だったAlda's Factionの構成員はDuke Farzon領に集中しており、Randolphは腕利きのドラマーとして協力してくれている。
そのため、散り散りになった元Vampires serving Evil Gods達が各Duchyで騒ぎを起こすと不都合が起こるようになった。
「お前達がOrbaum Elective Kingdomで騒ぎを起こし、捕まってお前達が統制を失った原因が俺だと情報を吐くと、それを理由に俺達の責任だと責める人が出てくるかもしれません。
俺は責められる道理はないと思っていますが、この場合重要なのは『道理』ではなく『口実』です」
各Duchyには、政治力や勢力の大小の違いはあっても自DuchyがVidal Magic Empireと同盟を組むことが気に入らない者達が存在するはずだ。政治的に大きな変化なのだから、それによって割を食う者や利権を失う者がいるのは当然だ。
そうした者の中には、状況を自分達にとって好転させようと悪足掻きをしようとする者がいるかもしれない。
そうした者達にとっては、Vidal Magic Empireを非難する口実があれば何でもいいのだ。
「ま、待て! 全て仮定の話じゃないか! 貴-samaらは我々を後々悪い芽になるかもしれないから、念のために摘んでおこう、そう言っているのか!?」
「そうです」
Islaに踏まれたままのNoble-born Vampireがそう叫ぶが、Vandalieuに即答されて一瞬言葉を失った。
「それでは、貴-samaらは口実があれば道理を無視して非難するHuman共と同じではないか!」
「そうです」
しかし、めげずに再び叫んでもVandalieuは即座に頷いた。
「もっと言うなら、別にお前達をどうにかしても反Vidal Magic Empireの人達が何かしら口実を捻りだす可能性は高いので、念のためでしかありません。
やらないよりやった方がいいと思いますし、今では大した手間ではありませんから」
そこまで言われたNoble-born Vampireの瞳から、完全に光が消えた。
「それでお前たちの今後ですが、これまでやった事を償うため、そして職業訓練の意味も兼ねて労役についてもらいます」
「わ、我々にSlaveになれと?」
「ハハハハ! Slaveだと!?」
Noble-born Vampireが恐る恐る尋ねると、突然笑い声が響いたかと思ったらVandalieuの陰から何かが現れた。
「き、貴-samaはAndrew!?」
「Bagnioに、Felpo、Citrine……Subordinate Vampire共だ!」
「お前達、生きていたの!?」
Vandalieuの陰から現れたのは、Noble-born Vampire達が逃げるとき自力でFlightできないため足手まといになると判断して置き去りにした、Subordinate Vampire達だった。
殺されてUndeadにでもされたのだろうと思っていた彼らが生きたままVandalieuに従っている事にNoble-born Vampire達はやや驚いたが、それ以上に驚かされる事があった。
「それより、貴-samaらその恰好は!?」
Andrew達の格好が、自分たちの配下だったときとは大きく変わっていたからだ。
「労役とはいっても、労働時間は食事と休憩も込みで一日だいたい十時間! 首輪を嵌められ監視もされるが個室を与えられ十分な食事に週一日の休日を与えられる!」
「意味もなく痛めつけられたり、上役の機嫌を損ねたからと言ってなぶり殺しにされたり、癇癪に巻き込まれて殺される事もない! お前達の下にいた頃と比べたら天国のような場所よ! 一生労役についていたいくらいだわ!」
Vampires serving Evil Godsのorganizationで最も下の存在はHuman達だ。Vampireに支配されている事すら知らされておらず、すぐに切り捨てられる下部organizationの構成員や、bloodを搾り取るための家畜として飼われているHumanの扱いがいいはずがない。
しかし organizationとしての最底辺は、そのHuman達の上の立場のはずのSubordinate Vampire達だ。彼らはNoble-born Vampireにとっては、Noble-bornにするほど素質や見どころがなかった者達であり、限度はあるが補充が効く存在だ。Birkyne達Pure-breed Vampireにとっては、ほぼ有象無象である。
そのため、癇癪を起こしたBirkyneから逃げ遅れたり、Terneciaのstress発散の犠牲になったり、adventurerとの戦いや陰謀のForefrontに立たされて敗れたり、失態を犯して処刑されたりするのは、主にSubordinate Vampire達だ。
しかも、Subordinate-bornであってもVitalityとRegenerative Powerに優れておりHumanよりもずっと頑丈であるので過酷な扱いをされてもすぐにはつぶれない。
そして、そうした扱いに耐えてachievementを立ててもNoble-bornになれる訳ではない。Subordinate-bornは、Rank upしてもSubordinate-bornのままなのだ。
そのためVandalieuがAndrew達に課した労役は、本人たちにとって苦行でも何でもないのだった。
「いや、それよりもその恰好は……?」
「「「「我々の仕事着だが?(ですが?)」」」」
Andrewは剣ではなく鍬を肩に担いだ野良着姿、Bagnioは掃除夫の格好でモップとバケツを持っている。FelpoとCitrineはMaid服姿だ。
元Vampires serving Evil Gods organizationのSubordinate-bornたちは、被害者のchildたちと別れた後はそれぞれ仕事を与えられ労役についていた。
「俺は畑で農作業をしている! 植物はいいぞぉ……俺が迷ったとき常に道を示してくれる。植物の指示通り土を耕し、肥料を撒き、歌い、踊る! 最初は意味が分からなかった……だが今じゃあ俺もsenpai方のように植物の声が聞こえるようになったぁ! 田植えや収穫では、Scyllaのお嬢-sama方にはまだまだ及ばないがな……」
AndrewはAbyss Subordinate-bornに変異してから、Talosheimの周りにある畑や大MarshlandsのRice fieldsで農作業をしている。
歌うZombie Farmerになった『Green Wind Spear』のRileyの犯罪SlaveだったFlarkの指導の下、歌って踊れるVampire Farmerとして活躍している。
「俺は掃除夫だ! 皆-samaの住まいや街を、無限に広がるSam -samaのcarriageを、次々に増えていく建物を! そしてVandalieu -samaの像をピカピカにしている! Vandalieu -samaのCloneと一緒に!」
Bagnioは掃除夫である。Demon King Familiarと一緒に日々-sama々な場所を掃除している。Vandalieuはそんなに力を入れなくていいと言っているのに、Giant Vandalieu像等もピカピカにしている。
「私たちはMaid Apprenticeよ。大丈夫、Noble-bornの皆-samaでもすぐにMaidになれるわ。必要なのはMaid服、そして過ぎたprideを捨てればいいだけだもの」
「まずは全てにお辞儀して、敬語を使う事から始めましょう。Undead、Vampire、Human、植物、蟲、生きとし生ける全ての存在に!」
そしてFelpoとCitrineはMaidである。
なお、この場にいないRyckert達Subordinate Vampireは、それぞれ仕事中だったので連れてきてないだけでそれぞれ働いている。
そして新しい生き方を見つけたAndrew達の姿を目にしたNoble-born Vampire達は、一-samaに思った。「やばい、狂っている」と。
Vandalieu達からすると、甚だ遺憾な評価である。Vampires serving Evil Gods organizationの価値観で染められたSubordinate Vampire達を、短期間で社会性のある(raceではなくHuman性的な意味で)真Humanにしたのだから、ちょっとくらい言動が奇妙になっても仕方がない。
これから経験を積んでいけば、奇妙な言動もなくなり普通になっていくはずだ。……maybe。
「も、もしそれが嫌だと言ったら?」
『もちろん、それ以外の道を選んでもらうわ。Zombieがいい?』
Islaの声に応えて、生前はBirkyneの側近だったMagisaがMaid服姿で一礼する。
『それともGhostがいいのかしら?』
『くくく、我々のように輝きたいのかね?』
『ところで儂、なんでここに居るのかのぅ? 早くmasterのもとに帰りたいのじゃが』
Chipuras達が含み笑いをしながらNoble-born Vampire達を見回し、彼らに殺されGhost系最下ClassのWispになったBirkyneの腹心だった老Vampireが、ふよふよと頼りなさそうに彷徨う。
『なんなら、Vampireを辞めるという選択肢もあるわね。死んだ後Vandalieu -samaにDemonや他のmonstersとしてPseudo- reincarnationさせてもらえば、それも可能よ。
さあ、選びなさい。あなた達の後にもRemnantsを探さなければならないのだから、時間を無駄に使わせないでほしいわね』
迫られた選択肢が、生きたまま服従するか殺されてから服従するかの二択である事に、Noble-born Vampire達は青ざめた顔で視線を交わす。彼らはどうすればこの窮地を脱する事ができるのか、力を合わせて協力するか、それとも仲間を利用するか必死に考えていた。
「わ、私はVampireのままお仕えします! どうか首輪をお与えください!」
「私も、Vampireのまますべてを捧げます!」
その隙をつくように、Noble-born Vampireの内三分の一……四人ほどが恭順を選んだ。彼らの目はVandalieuをまっすぐ見つめており、どこか狂信的な輝きが宿っている。
どうやら、導かれ魅了されているようだ。すぐにそれを言葉や態度に出さなかったのは、導かれていないNoble-born Vampire達に裏切り者とされ攻撃されるのを避けるためだろう。
それ以外のNoble-born Vampire達の反応は-sama々だった。
「裏切り者が!」
怒りに我を失って、Vandalieuに従う事を選んだ元仲間を攻撃しようとした者。
「ふ、ふざけるなっ! 俺はごめんだ、狂うのもUndeadにされるのも!」
彼らを無視して我先に逃げ出そうとした者。
「俺も従います! 労役でも何でも受けます!」
導かれた者達に追従する者。
「ぎゃっ!?」
「がひゅ!」
追従する事を選んだ者以外のNoble-born Vampireの首が全て切断され、地面に転がった。
『もう一度答えなさい。あなた達はどうしたいの?』
そして、Noble-born Vampire達の首を刎ねたIslaが再度尋ねると、生首達は口をパクパクと動かして答えた。
Undeadとして、Vandalieu -samaに従います、と。
『よろしい。しかし、さすがはVandalieu -sama。Noble-born VampireがもうZombieになっているわ』
「いえ、俺は何もしていませんよ」
『あら、じゃあこんなに早くUndeadになるなんて――』
「Isla、あなた、ちょっと雰囲気が変わったようだけど、まさか……」
『なんですって? これは、Rank up!?』
その時、Islaに変化が起きた事をEleonoraが気づき、Statusを確認したIslaは自身がRank upした事を知った。
後日、VandalieuはIslaがRank upしたため、申し込んでいた実習をcancelする事をMeorilithに説明するためにHero Preparatory Schoolの校長室に出頭していた。
普通なら実習の担当教官に話せばいいのだが、Vandalieuが参加する実習の教官はRandolphかMeorilithが担当する事になったそうなので、校長室まで行かなければならなかったのだ。
「よく校長室に来てくれたな。偉いぞ、ほんとに素晴らしい。だから単位を与えよう。
実習のcancelなんて言い出しにくい事をすぐ申し出るなんて、本当に素晴らしい。だから単位を授与しよう。
こう考えてはどうだろう? -kunは、実習をcancelするという実習に成功し成果を出したのだと。だから単位を受け取るべきだ」
凛々しさと美しさを併せ持つMeorilithが、満面の笑みを浮かべて猫なで声で媚びている。彼女と長い付き合いのはずのRandolphでも見た事がない光景だが、IslaとVandalieuには全く通じなかった。
『哀れね、正気を失ってしまうなんて』
「Meorilith校長sensei、しっかりしてください」
「……Demon King Slayerの大HeroでElective Kingdomを上回る超大国の支配者が生徒で、まだ教えを受けさせろとdemandしてくるのだ。少しくらいおかしくなっても責められるいわれはない」
どんな些細な理由でも単位を与えて早くVandalieuに卒業してほしいMeorilithは、深いため息を吐きながらそう言った。
「しかも、今度は実習をcancelするなんて言い出した。これでまた単位を取らせるchanceが先延ばしになるじゃないか」
「いやいや、originally受けるはずだったのはadventurerの監督下でのDungeonでの野営実習で、複数の環境を経験して初めて単位をもらえる授業じゃないですか。Elizabeth -sama達はともかく、俺はまだ三回目ですよ」
「そのあたりは校長の権限でどうにかする。
私は-kunにできるだけ早く卒業してほしい。頼むから卒業してくれ、私にできる事なら何でもするから」
『校長sensei、その言葉はKanakoに聞こえる場所で言わない方がいいわよ。でないと、Stage debutする事になるから』
「……Stage debut。なるほど、校長を辞めても何も解決はしないが、私は解放される!」
「やめてください、校長sensei。俺にできる事なら今すぐ卒業すること以外なら何でもしますから」
「よし、言質はとった。今すぐでなくてもいいが、留年はするな。いいな、本気だぞ。もし留年したら校長を辞めてやるからな。
それで、実習をcancelする訳とは?」
「はい、IslaがNo-Life QueenというRank14のmonstersにRank upしまして」
Vandalieuの説明と、誇らしげにしているIslaの姿にMeorilithは眩暈を覚えた。Rank14と言えば、最もweak Evil God (M) Evil God (P)や龍、True giantの強さの評価であるRank13より一段上の存在だ。
討伐するならSClass adventurerが選ばれるだろうし、選ばれたSClass adventurerも生きて帰れるとは限らない。その戦いはlegendではなくMythとして語り継がれるものになるだろう。
そんな存在である。
たしかに、そういわれるとIslaからどこかGodsしいような雰囲気を……あまり感じない。どこか妖しげなAllureのようなものや、見ているだけで背筋が寒くなるようなsignは感じるが。
「それで【Undead Activity】というskillを覚えたのですが、そのskillには自分の周りにUndeadを発生させやすくし、発生させたUndeadをEnhanced (1)する効果があります。
このskillを制御できないconditionでTamed Monsterとして彼女をDungeonに連れて行くのは危険かなと」
「Undeadを発生させやすくする、か。たしかに、monstersの死体が全てZombieになったら実習どころではないな。そのZombieが全て-kunに魅了され服従しているなら危険はないが、結局実習にはならない」
monstersを少々狩るだけで、忠実な戦闘要員を用意できる。しかも、Zombie達が倒したmonstersたちの死体もZombieになるから、際限なく戦闘要員は増えていく。見張りは万全。食料さえ用意できれば、ただ平和な森の中でキャンプするだけの実習になってしまう。
……もっとも、Vandalieuが参加している時点でHero Preparatory Schoolが管理しているDungeon程度の難易度では、平和な森でキャンプするのと何も変わらないのだが。
しかし、実習としての体裁は整えないといけないし、一緒に実習するElizabeth達のためにならない。
「まて、それなら今からでもTamed Monsterを変えればいいだけじゃないのか!?」
「いえ、規定では実習に連れていくTamed Monsterは一度申し込んだ後は変更できないと定められています」
「校長としての権限で-kunのTamed Monsterは変更可能とする!」
「そんなめちゃくちゃな」
『くっ、Vandalieu -samaと一緒にいたいけど、私がVandalieu -samaの邪魔になるのは耐えがたい! でもあの小娘に譲るのだけは嫌! ……そうだわっ、まだ【Body World】の中にCitrineやFelpoがいるでしょう! あの子達にしましょう!』
「それはちょっと。Elizabeth -sama達に『また新しい女の子を侍らしている』と誤解されそうですし」
『じゃあ、AndrewとBagnioならどう!?』
「それなら、Elizabeth -sama達も『また新しいmachoを侍らせている』と思うだけでしょうから、大丈夫だと思いますが」
なお、Vampires serving Evil GodsのRemnantsの生き残り集団は、生死を問わずVandalieu達の支配下にAbsorptionされ、organizationとして消滅する事となった。
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・Name: Isla
・Age: 約三万age
・Title: 【The Eclipse Emperor’s Hound】 【Boss' Mistress】
・Rank: 14
・Race: No-Life Queen
・Level: 0
・Passive skills
Dark Vision
Status Effect Immunity(Abnormal Condition Resistance awakened into!)
Monstrous Strength:5Lv(UP!)
Rapid Regeneration:10Lv(UP!)
Mental Corruption:8Lv
Slaughter Super Healing:1Lv(Slaughter Healing awakened into!)
Intuition:6Lv
Augmented Attribute Values: Loyalty:Vandalieu:1Lv(Ability Values Enhanced (1) awakened into!)
Detect Presence:4Lv(UP!)
Self-Enhancement: Guidance:7Lv(UP!)
Self-Reinforcement: Henshin / Transformation:3Lv(UP!)
Transformation Equipment-type equipped, then Attack and Defense Power Enhanced (1) : Large(UP!)
Strengthened Attribute Values: Religious Faith:1Lv(NEW!)
Mana Enlargement:1Lv(NEW!)
Allure:1Lv(NEW!)
Strengthen Follower:1Lv(NEW!)
・Active skills
Bloodwork:8Lv(UP!)
Water-Attribute Magic:9Lv(UP!)
Fire-Attribute Magic:9Lv(UP!)
No-Attribute Magic:5Lv
Mana Control:8Lv(UP!)
Slaughter Sword Technique:3Lv
Moving Chains Armor Technique:3Lv(UP!)
-Transcend Limits-:4Lv(UP!)
High-Speed Flight:6Lv(UP!)
Pursuit:9Lv
Torture:7Lv
Commanding:5Lv
Housework:2Lv
Coordination:7Lv(UP!)
Mount:2Lv
Unarmed Fighting Technique:5Lv(UP!)
Familiar Spirit Demonic Advent:6Lv(UP!)
Surpass Limits: Magic Sword:1Lv(NEW!)
・Unique skill
Shape-Shift:8Lv(UP!)
Vandalieu’s Divine Protection
Vida’s Divine Protection
Undead Activity(NEW!)
●Monster explanation::No-Life Queen Luciliano著
命持たざる存在のQueen。亜人型のmonstersのKingに相当するUndeadは存在しうるのか。そんなthemeに沿って歴史上-sama々な研究者が研究とconjectureを重ねた結果出された答えの一つ。
生命無き者達の王、そのfemale版と思われる。
正直に言うと、私は師Artisanがいる限りこうしたUndeadは出現しないだろうと思い込んでいた。何せ師Artisan自身がNo-Life King、生命無き者達の王なのだから。
その私の予想を覆したIslaだが、師ArtisanにLoyaltyを誓う姿勢は全く変わらないようだ。【Status Effect Immunity】skillを持っているが、Death-Attribute CharmやGuidanceの効果はStatus Effectに含まれないようだ。
まあ、師Artisanも「自分自身のemotionsにimpactを受けないconditionを正常とは言わない」と考えているので、師ArtisanにLoyaltyを誓うfanaticであるconditionがIslaにとって正常、という事だろう。……自分でしておいてなんだが、かなり酷い分析だ。
他のUndeadからNo-Life KingやQueenにRank upする事はないのか、調べたいところである。
●Skill explanation::Undead Activity Luciliano著
周囲のUndeadのAbility ValuesやRegenerative PowerをEnhanced (1)し、死体や霊をUndead Transformationしやすくするskill。普通なら人類に限らずUndead以外のmonstersにとっても危険なskillだ。
このskillの効果範囲ではただのLiving BoneやLiving-Deadも、僅かだが再生Abilityを持つようになり、放置されている死体は数時間後にはほぼ確実にUndead Transformationする。
魚の干物や干し肉はもちろんだが、死体とは言えない加工品……leather Armorを含めた革製品やbone細工まで対象になりえる。
また、死体ではなくてもLiving ArmorやCursed Weapons等の発生率も高くなる。
そしてあらゆる死体やUndead Transformationしそうな物品を排除したとしても、土や石に霊が憑いてGolemと化し、霊が直接Ghostに変化するので、Undeadの増殖を止めるにはこのskillの持ち主をどうにかするしかないだろう。
ただし、Islaの場合はこのskillの効果を加減する事ができること、さらにUndead TransformationしたUndeadも師Artisanがいる場合は師Artisanに従うので危険性は薄い。……少なくとも、Vidal Magic Empireとその同盟国の民には。