突然心に響いた、厳かでありながら母のように慈しみと温かみのあるfemaleの声。それをSmithはBotinの声であり、神から受けたOracleだと信じて疑わなかった。
そして、Botin templeに仕える彼はすぐ上役のPriestにOracleを受けた事を報告した。そして、その日のうちに彼はTemple Headに呼び出されてOracleについて詳しい話をすることになった。
それはそうだろう。ここはOrbaum Elective KingdomのZectoir DuchyにあるBotin templeの中でも大きいtempleだが、Oracleの内容はすぐには信じられないほど大きなものだったからだ。彼にも、『もしかしたら、Oracleを間違えて解釈してはいないか』という不安があった。
そのため経験豊かなClergymanであるTemple Headから話を聞きたいという呼び出しは、彼にとって渡りに船だった。
だが、その席で出された紅茶を飲んだ途端眠気に襲われ、気が付いたら何処かの地下室に閉じ込められていた。
「これはいったいどういう事です!? 話を聞いてください! 私は、私はこのような扱いを受けるいわれはありません!」
そう訴えたが、それを聞く者がいたのかも彼には分からなかった。
そして監禁生活はSmithにとって耐えられない程長く続いた。
「私がOracleを受けた事が、Oracleの内容が、もしくは両方が気にくわなかったのですか!? だからといって神の言葉をないがしろにする事が、信仰の道に生きる者のする事ですか!?」
閉じ込められてから毎日、彼は扉の向こうにいるかもしれない相手に向かって訴え続けた。それは彼の自分に薬を盛って閉じ込めたTemple Headに対する反抗や、Oracleを闇に葬ろうとする事をよしとするtemple上層部への義憤からだった。
しかし、Smith自身も気が付いていなかったが脱出できず監禁され続けている自分への無力感や、このまま死ぬまで閉じ込められるのではないかという不安とhorrorから目を逸らすためでもあった。
『Lambda』worldでtempleに身を置く者は、非常時に……巡礼の旅の途中でmonstersやmountain banditの襲撃を受けた時や、templeのある町や村がmonstersの群れに襲われた時に備えて、戦う訓練を受けている。
それはこのSmithも例外ではなく、また彼はmagicの素質にもそれなりに恵まれていたためmagicも習得していた。
適性があったのはBotinが司る土attributeではなくFire-Attributeのmagicだったが、土attributeに適性がない者はBotin templeに仕えてはならないという教義はない。Alda templeでもLight Attributeに適性のないClergymanはいくらでもいる。……権威主義が蔓延っているtempleでは、奉じる神と同じattributeの適性がなければ出世できないという悪習がまかり通っているらしいが。
しかし、そんな彼のFire-Attribute Magicも鍛えた武術の腕も扉には全く通じなかった。扉はただの鉄ではなく、Obsidian Ironで作られていたからだ。
鉄に微量のMythrilやAdamantiteを混ぜて作る合金で、ダマスカス鋼と並んで人が作り出せる魔導金属であるObsidian Ironは、MythrilやAdamantiteの下位互換だ。しかし、平均的なClericの域を出ない彼を閉じ込めておくための扉としては十分すぎる。
扉ではなく壁を掘って脱出する事も考えた。しかし、扉に接している壁はObsidian Ironの裏側にレンガを張り付けたもので掘っても無駄だった。反対側なら掘れただろうが、地上に繋がるtunnelを掘り終わる前に気がつかれてしまうだろう。
それなら食事が提供される際、世話係を攻撃し、扉を開けさせるしかないと思ったが、それは彼を監禁している者達も分かっていたらしい。食事を供給していたのは、よく見ればStone Golemだった。人の見張りは彼に食事を提供する際にGolemへ食事をトレイごと手渡して、受け取ったGolemがさらに扉のシャッターを開けて彼に食事を渡していたのだ。
まさか直接の見張りがGolemだったとは。おそらく、食事などを渡す事以外は大した行動はできないと思うが、これで彼が脱出する望みはなくなった。
地下牢と評するには、roomは整えられていた。窓がない事を除けば、広さも十分で浴室とお湯を出すためのmagic itemがある分、二人で一室を使っていた宿舎のroomよりもいいかもしれない。
食事も三食、普段と同じものが外側からしか開かない扉のシャッターから供給されている。
しかし、閉塞感は徐々に彼を追い詰めていった。
だが、そんな彼をGoddessは見捨てなかった。【Botin’s Divine Protection】を得たのだ。
「我がGoddessよ、感謝いたします! この恩寵に報いるためにも、一刻も早くここを出なくては」
そう決意を新たにするSmithだったが、残念なことにこの状況でblessingsを得ても何にもならなかった。
Botinからblessingsを得た事を叫んでも、出された食事の一部をink代わりにしてトレイに書いて伝えても、彼を監禁している者達からは何の反応もなかったからだ。
「くっ、Oracleを闇に葬ろうとする輩にとって、Botinが私にblessingsを与えた事など些事だというのか……!」
Godsから与えられるblessingsとは、簡単に言えば成長の伸び代の追加である。blessingsを与えるDivinityによって、成長限界の壁が低くなり、level upに必要なExperience Pointが少なくなるだけだ。blessingsを与える神によって、特定の分野に関するskillの習得やlevel upがしやすくなる等の効果もあるが、主な効果はそれだ。
監禁されているconditionでblessingsを得ても、level upやJob changeの機会がないので意味がない。しかし、blessingsを与えたGoddessの事を思えば自暴自棄になり自ら命を絶つような真似はできなかった。
今はpatienceの時。諦めず機会を待ち、いつか必ず神の言葉を伝えるのだ。彼はそう自分に言い聞かせ、監禁生活に耐える日々を過ごしていた。
そんなSmithは知らなかったが、Botinからblessingsを得た事を、自分を監禁している者達へ伝えた事は現状を維持させる役に立っていた。
彼が属するBotin templeのTemple Headは、一見敬虔なClergymanに見えるが実際はAlda templeや権力者と繋がって私腹を肥やすfake-believerだった。政治を商売にする者を政治屋と揶揄するのに倣うなら、聖職屋と呼ばれるのがふさわしい人物だ。
そんな男だから、口先だけならともかく心からBotinを信仰している訳ではない。当然Oracleを受ける事なんて絶対に不可能。Botin本人からすれば、「自分のbelieverを名乗ってはいるが、自分のbelieverではない輩」である。
信仰に純粋で政治を知らず、「神の意志を蔑ろにするのか!?」と喚くだけの若者なんて怖くもなんともない。
だが、religionはなくても神を恐れる心はある。BotinがSmithにblessingsを与えた事で、Botinが彼を見守っていると理解したTemple Headは彼に手出しする事で自分の身にDivine Punishmentが下るのではないかと恐れた。
実際には、今の時代の神は過ちを犯したbelieverならまだしも、Temple Headのような根っからのfake-believer、もしくは偽believerを罰する手段をほぼ持っていない。
blessingsを与え、Familiar Spiritをその身に降ろす事ができる敬虔なbelieverが道を踏み外し堕落したのなら、blessingsの剥奪や求められてもFamiliar Spiritを派遣しないなどの罰を下すことができる。Oracleで直接語り掛ける事も、人によっては可能だ。
しかし、Temple Headのように元からblessingsも【Familiar Spirit Advent】skillも持っていない者には、どれも実行できない。彼のようなfake-believerを罰するには、直接神が地上にAdventして手を下す必要がある。
ただのfake-believerを罰する度に莫大な力を消費していては、いかにGreat Godとはいえやっていけない。それこそ邪悪な神と契約を交わして人類絶滅のための計画を練っているとか、それぐらいでなければGodsが直接罰する事はない。……最近で言えばUrgen・Telkatanisがそれだが、あれはAldaが気づく前にVandalieuが動いていた。
ではこうしたfake-believerが出た時Godsはどうするのかというと、直接手を出すことはない。自身のbelieverの自浄Abilityを信じつつ、自身の教えから正しいと見込んだbelieverを応援し見守るのだ。
だから、通常ならTemple Headは恐れからSmithの殺害ができず、そしてSmithはそのreligionと使命感からTemple Headに屈する事やsuicideを選ばず、事態が膠着したまま時間が流れていたはずだ。
そんな悠長で良いのかとか、時間がかかっている間に犠牲になる人々の事はどうでも良いのかという意見もあるかもしれないが……どうしようもないのだから、どうしようもない。
毎日worldのどこかで、いずれかの神のbelieverであるHumanがpropertyや愛する者を奪われたり、犯されたり、殺されたりしているのと同じだ。
しかし、今のOrbaum Elective KingdomにはGodsの住まいであるDivine Realmへ行き来し、不自由なOracleとは比べ物にならない程自由に大量の情報や意見を交換できる、今までの歴史上類を見ない存在が滞在している。
食事が終わり、運動不足とやる事がない虚しさを解消するために腕立て伏せを始めたClericの前に、その存在は前触れもなく現れた。
「突然失礼します。あなたを助けるよう神から遣わされた者で、Vandalieuと申します」
「えっ? はっ? か、神の?」
「はい、神です。この場合はBotinから」
「い、いったいどこからどうやって!? それにこのroomはSpace-Attribute Magicで入ってこられないよう、Barrierが張り巡らされているはずでは!?」
「Orbaumの自宅から、友人のSpace-Attribute Magicで【Teleportation】してきました。なお、【Teleportation】する場所を割り出すのを手伝ってくれたのは、このTadano -sanです」
「チュー」
最近roomの隅や換気口で見かけたmouseが、Vandalieuの髪の中から顔を出した。
「Barrierについては、『この程度の障害を越えること等、赤子の手を捻るより簡単です』という事らしいです」
人であるBotin Temple Headが準備した【Teleportation】対策は、space attributeのEvil God (M)であるGufadgarnにとって藁で作った家に等しかったようだ。
そう説明されても理解が追い付かない-sama子のSmithだったが、驚きから立ち直りつつあった。
「あなたが、Vandalieuなのか? Botinを封じていたDemon Kingのsealedを解いた、Saviorの!?」
「ええ、そのVandalieuです。確認しますが、あなたはSmith Willow -sanですね?」
自身の名を呼ばれたSmith Willow……Smithは、感極まった-sama子で天を仰いだ。
「おお、やはり神は私を見放してはいなかった!」
実際、Botinはblessingsまで与えたSmithの事を他's Divine Protectionを与えたbeliever達と同-samaに気にかけていた。しかし、同時に助ける事を躊躇ってもいた。
Age of Gods Eraのように、ちょっと手を伸ばしてひょいと助けられるような気軽に解決できる問題ではない。それに、神である己が軽々しく動き、Human達自身に解決させる努力をさせなくていいのかとも悩んでいた。
そこでVandalieuが「じゃあ、Humanである俺が動けば問題解決では?」と尋ね、Botinが「ソウダッタネ、アンタハHumanダッタネ」と、Smith達の救出を依頼したのだ。
ちなみに、ならついでにとPeriaからも同-samaの依頼を受けている。
「では、さっそくここを出ましょう」
「待ってください、私にはOracleを人々に伝える義務があります!」
そうSmithは瞳に情熱の炎を燃やして主張した。
「その意思は尊重しますが、別にこのtempleから伝えなくてもいいのでは? いったん脱出して、安全な場所から伝えた方がいいのではないでしょうか?
それに、ここのtempleでBotinのOracleを公表するには、Temple Headやそれに与する人達をどうにかする必要があるでしょうし」
しかし、Vandalieuにそう諭されると、「たしかにその通りです」と言って肩を落とした。
「それに、今のところTemple Headは公に手配されているわけではないので叩きのめす事は憚られます。証拠を揃えて説得材料を確保して、他のtemple関係者やDukeを説得すればどうにでもなる気がしますが」
「それは……たしかに。私も、己の修行ばかり気にして周囲の人々と繋がる努力を……allyを増やす努力を怠ったつけが回ってきたのでしょう」
Vandalieuに諭され、Smithは自分の失敗に気が付いた。上役であるPriestやTemple Headを純粋に信じていたという理由もあるが、純粋に信じた結果薬を盛られて監禁されている。
もしSmithが本当に信頼に値する同僚や、temple内で力のあるPriestやHigh Priest、temple外で頼れる知人友人を作っていれば、もっと他の選択肢があったはずだ。
「それは結果論ですし、あなたのように若い方に完璧である事をdemandするのは厳しいと思いますから、そう自分を責めずにいきましょう」
「……私よりも若い未成年の少年に言われると、立場がないのですが」
「俺はEmperorですがSmith -sanはCleric。こう言っては悪いですが、立場の違いですよ」
なお、多くのtempleでのいわゆる「Cleric」の地位とはtempleに住み込み、もしくは家から通って仕える者達がなる最初の立場、つまり平社員である。
神に仕えるClergymanである事から社会的立場や信用は高く「Cleric -sama」と呼ばれるが、templeというorganization内では下の立場なのだ。
その上はtempleごとに異なるが、Clericの下にCleric ApprenticeというApprentice期間を設けている場合や、Acolyteが主任や係長、Priestが課長から部長、High Priestが専務や支社長に相当する。Cardinalは、Amid EmpireのAlda Grand Templeのように複数のtempleを束ねるGrand Templeに存在する役職で、Earthの企業で言えば大企業の重役に相当する。
ちなみに、adventurerやtempleに属さず辺境を巡回する「Cleric」は、便宜上呼ばれているだけで特定のtempleに勤務していない者達である。adventurerや巡回のCleric達は社会的信用や、ある程度のtempleの援助を得る事が出来る。そしてtempleは援助と引き換えに、monstersとの戦いや村々の巡回で同じ神を奉じる者達が上げたachievementにあやかる事ができる。
そんな持ちつ持たれつの関係なのだ。
そうした立場から考えれば、若い平社員でしかないSmithが幅広く多彩で緊急事態に頼れるconnectionを構築していない事を責めるのは、酷としか言えないだろう。
「あなたが受けたOracleの内容を俺が保証すると言っても、疑ってかかる人には逆効果でしょうし、kaa-sanがVidaの名を出して保証すると言っても……やりすぎると揉める事になるでしょうし」
Vida’s IncarnationであるDarciaの発言力と信用は、Orbaum Elective Kingdomでは絶大だ。同じGreat GodであるVidaがBotinの意志を伝えれば、公に否定できる者はいないだろう。
ただ、その場合Botin believer達の顔を潰す事になるのであまりやりたくはないが。
「そういう訳で、とりあえず脱出しましょう。さ、手を」
「はい」
これから【Teleportation】して脱出するのだろうと思ってVandalieuの手を握ったSmithは、次の瞬間草原に立っていた。
「っ!?」
それまで監禁されていた地下室では望めなかった解放感だが、驚愕に目を見開くSmithはそれに気が付く余裕もなかった。
「ここは俺のUnique skillで作られた、特殊なspaceです。ここでしばらく待っていてください」
手を握ったままのVandalieuがそう言って視線を巡らせると、そちらには城のような巨木があり、周りにはtableや椅子が用意されている。その椅子に腰かけたり、何故か巨木を拝んでいたりと、思い思いの事をして過ごしている数人の人shadowが見えた。
「あの人達は……?」
「信仰する神はそれぞれ異なりますが、あなたと同じような目に遭っていた人達です」
Oracleを闇に葬るために監禁や幽閉をされていたのは、自分だけではなかったのかとSmithは驚きとtempleに対する義憤を改めて覚える。
そして自分達を救出したVandalieuに対して、BotinがallyするようOracleで指示するのにふさわしい人物だと確信した。
「用意してある軽食をとりながら、彼らと話してみてください。彼らもSmith -sanと話したがるでしょうから」
「あなたはこれからどうするのですか?」
「あなたと同じような目に遭っている人達を助けに行きます。警備が厳しくて穏便に救出できないところは、皆に任せていますから。俺の担当はあと七人です」
同時刻、space attributeのGhostであるJane Doeによって【Teleportation】を繰り返しながら、覆面を被ったVandalieuの仲間達がDuke Farzon領以外の各templeやその関連施設にSmithと同じ理由で監禁されている者達を助けて回っていた。
その手口は押し込み強盗よりも強引で、事情を知らない者にとっては「不殺の信念を持った人型の災害がtempleを破壊しながら突っ込んできた」と評するほかなかったという。
立ちはだかる者を問答無用でfaintedさせたり拘束して行動不能にし、立ちはだかる壁や床を拳やmagicで破壊して、追いすがる者をやはり蹴散らして去っていく。
同時多発的に複数のDuchyのtempleが襲われる事になるが、今のところ犯人につながる有力な手掛かりは得られていないそうだ。
その催しについて、最初Jahan Duchyの人々は歓迎しなかった。
「奴らは聖歌を見世物か何かと勘違いしているようだ」
「Dark ElfやGhoulの歌とdanceなど、誰が見たがるものか。Duke -samaは、いったいどうしてしまったのだ」
「きっと長年の激務で心労が溜まったのだろう。お労しい事だ」
散々な言われようだった。彼らのほとんどはAlda believerか、AldaがGodsの長である事を前提にしたBotin believerであり、次いでNineroadやFarmounなどのbelieverなので、批判だけで済んでいるだけまだマシと言える。
「ふん、面白い。未開のBarbarian Tribe同然の連中のmusicがどんなものか、試してやろうじゃないの」
「Dark ElfやGhoulは初めて見るからな。噂じゃ、ScyllaやArachneもいるらしいぜ!」
「tonightは出てこないらしいぞ。KijinとVampireは出て来るらしいけど」
そして催し物を見に行く者も、楽しみにしているというよりは見定めに行くMusicianやBard、そして物見遊山気分の一部の若者たちだった。
だが、それで彼女たちは構わなかった。最初から歓迎されるとは誰も思っていなかったからだ。そして、一度Stageの幕が開けば状況は変わると確信していたからだ。
「今までにない変化に富んだリズム、見た事もない新しい楽器の新しい演奏法……あのmusicなら、私が表現したかったものを形にできる!」
「俺、Vidaに改宗するよ。父-sanとkaa-sanを説得して、絶対に」
「可愛い。とにかく可愛いんだ。ほかに何も言う事はない」
「あの太鼓のリズムと深い独特な歌声が、胸に響いたの。素敵……」
「あれから毎晩あのStageの夢を見るんだ。Stageの上で光っていた……Mirror Ballっていうらしいんだが、それが夢の中でキラキラって……なんだか、見られている気がする。こうしている、今も」
一度催し物を見た者達は、まるで手のひらを返したかのように夢中になった。そうなると噂を聞いて興味を持った者や、怖いもの見たさで人々は催し物に足を運ぶ。不審に思い、何か怪しげな事をしているのではないかと調べるために来た者も加わる。
一方、何度Stageを見ても変化がない者も一定数いるが、何の意味もない。何故なら彼女たちはただStageの上でmusicと歌とdanceを披露しているだけだ。
怪しげなmagicや気化した薬、DemonやUndeadによるすり替わりなどは行われておらず。何の法にも反していない。
まさか「大人気だから禁止するべきだ!」という暴論が通るはずもない。そしてStageの幕は今日も上がる。
「終わりました……私の人生……もう軌道修正は無理です」
そして幕が下りた後、出演者達がshowerを浴びて一息ついている楽屋の端で、Miriamが突っ伏していた。
「いや、別に終わった訳じゃないと思いますけど」
「うむ、そう悲観的になるな。人生はこれからじゃ。今からならどうにでもなるものじゃぞ?」
その左右からKanakoとZadirisがそう慰め、Mirror Ball……照明用Demon King Familiarも心配そうに見つめている。しかし、Miriamは落ち込んだまま立ち直る-sama子を見せない。
「私だって、これが大事な仕事だってことはわかっていますよ。だから色々悩みましたけど【Heroic Guider】のJobにも就いて、頑張りました。でも、その結果が『Heroes' Princess』ですよ!? いったいなんでそうなるんですか!?」
Jahan Duchyの世論をVida寄りにするための、観客を絶対にGuiding Idol live performance tactics。それに全力で協力した結果、多くの……特に高名なKnightや上Class adventurer、Mage guildの重鎮や歴戦のmercenary等のfanを獲得し、Orbaumでのreputationも合わさって『Heroes' Princess』というsecondary nameを獲得していたのだ。
「Zadiris -sanっ、これもきっとあなたのCurseのおかげです! どうしてくれるんですかありがとうございます!」
「いや、あれは口先だけのものじゃし、Miriam自身の頑張りによるものじゃから責められたり礼を言われたりしても、困る」
催し物が終わった後も、楽屋は賑やかだった。
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・Name: Miriam
・Race: Human
・Age: 16age
・Title: 【Demon King's Friend】 【Corps Leader】 【Heroes' Princess】(NEW!)
・Job: Heroic Guider
・Level: 28
・Job History: Apprentice Thief Thief Archer Magic Bow User Dark Archer Magic Archer Holy Archer Magic Holy Archer Bow Princess Magic Bow Princess Commander
・Passive skills
Detect Presence:6Lv
Bow weapon equipped, then Hit Rate Augmented (2) : Very Large
Non-metallic armor equipped, then Agility Augmented (2) : Very Large(UP!)
Mental Resistance:8Lv(UP!)
Night Vision
Strengthened Attribute Values: Guidance:7Lv(UP!)
Disease and Poison Resistance:3Lv(UP!)
Self-Reinforcement: Henshin / Transformation:3Lv(UP!)
Guidance:Heroic Path:2Lv(NEW!)
Heroic Path Enticement:1Lv(NEW!)
Strengthened Attribute Values: Commanding:1Lv(NEW!)
全Strengthened Attribute Values: 小:(NEW!)
・Active skills
Farming:1Lv
Housework:1Lv
Dagger Technique:5Lv(UP!)
Bow Princess Technique:1Lv
Lockpicking:6Lv
Trap:5Lv
-Transcend Limits-:1Lv(-Surpass Limits- awakened into!)
Armor Technique:8Lv(UP!)
Magic Bow -Surpass Limits-:9Lv(UP!)
Assassination Technique:5Lv
Familiar Spirit Demonic Advent:5Lv(UP!)
Coordination:7Lv(UP!)
Commanding:7Lv(UP!)
Dancing:4Lv(UP!)
Singing:4Lv(UP!)
Cooking:1Lv
Musical Instrument Performance:1Lv(NEW!)
・Unique skill
Vandalieu’s Divine Protection
Bacias 's Divine Protection
Zelzeria 's Divine Protection
Hamul 's Divine Protection
Vida’s Divine Protection
●Job解説:Heroic Guider Luciliano著
HeroをGuiding Guider。……Guiderに導かれた仲間達がいずれHeroとなる、というのがHero伝記によくある普通のpatternだが、このJobは既にHeroになっている者や、Heroになれる資質を持つ者、そしてHeroになる事を目指している者を対象としているようだ。
Miriam本人は、自分はこんなJobに就けるHumanではないと何度も口にしているが……今までの実績を考えれば十分あり得る事だと私でも思う。
●Title explanation::Heroes' Princess Luciliano著
【Heroic Guider】である事からつけられたsecondary name……ではなく、Stageで歌って踊っている内にいつの間にかついていたsecondary nameのようだ。
おそらく、彼女のfanに上Class adventurerや有名なKnightが多いからだろう。