首都OrbaumでDemon King Guduranisがrevivalし、壊滅的被害を受けた。その情報はOrbaumで再建と復興のために働く者達には、緩慢と評するしかない速度で各DuchyやElected King領の他の都市や村落に伝わった。

　当事者達にとっては、昨日までと何も変わらない朝を迎えた数時間後に、街中にcountlessのmonstersが出現。Elected King城の真上でDark Avalonが現れ、Vandalieu Zakkartと『Five-colored blades』、そして『True』RandolphやVandalieuのTamed Monster達と激しい戦闘を展開し、Demon Kingがrevival。

　Shelterに逃げ込んでしばらくしたら、Demon KingはVandalieuによって討ち取られたと『Goddess of Life and Love』VidaがOrbaum中に宣言し、事態は収束。

　そして数時間前までHumanだったDemon達や、空を飛ぶGiantなUndead、monstersやVida's New Racesの集団が現れ、堂々とした態度で炊き出しや瓦礫の撤去、警備等の仕事をしていた。

　そうした事件や変化が一日の間に起きたのに比べれば、首都以外の人々の動きが悠長に感じても仕方がないだろう。

　しかし、外のHumanの対応が遅れるのも仕方がない。

　Orbaumの城壁が遠目に見える村では、その城壁が所々崩れ、空にGiantな何かが出現した事から「何かとんでもない事が起きている」事に気がつけるだろうが、そうでない者は気がつくのが遅れた。……ほかならぬVandalieuが、崩れた城壁をその日の内に【Golem Genesis】skillで直したからだ。

　もちろん大国の首都であるOrbaumには、毎日大勢の人々が出入りしている。peddler、adventurer、Bard、mercenary等々。そうした者達が事件の終わった後の街に入り、情報を外に持ち帰った。

　また、Corbit Elected Kingや他のDuke達も自分達が治めるDuchyに早馬を飛ばした。Orbaumの復興を援助するための物資を送らせるためだ。

　だが、もっとも早く情報を得たのは各地のtemple関係者だった。

「Demon Kingが、倒された！？　都でDemon King Guduranisが倒されたと、Oracleがあったぞ！」

　Oracleの情報は短く断片的で、何が起きたのか全てを知る事はとてもできない。しかし、遅れて届いた「OrbaumでDemon Kingがrevival。街は壊滅conditionになるも、Demon King Guduranisを討伐した」という報せの信頼度を増す効果があった。……何もなければ、そんなBAKANA事が起きるものかと、すぐに信じない者が続出する事になっただろう。

　ただ、Oracleを受けた者の……religionが厚いtemple関係者のその後の行動はtempleごとに異なっていた。VidaやRicklent、Zuruwarn、PeriaやBotinのtemple関係者は、「今日という日は、world共通の祝祭日になる！　十万年後の今も歴史に刻まれた、記念すべき日となるだろう！」とHeroを称え、believer達と盛大に祝う者が多かった。

　しかし、『Goddess of the Holy Spear』ElkのPriestなどはDemon Kingの討伐自体は祝いながらも、思い悩むことが多くなった。そして、Alda believer達の中でも地位のある者や高い実力を持つ者が、次々に姿を消した。

　しかし、そうした問題はさておくとして……Orbaum Elective Kingdomにとって重要なのは、各Duchyの今後のpolicyだ。『Demon King Slayer』の『Savior』、VandalieuがVidal Magic Empire Emperorとしての正体と、Empireの存在を明らかにしたことで、各Duke達は今後Vidal Magic Empireとどう付き合うかを早急に決めなくてはならなくなった。

　Orbaum Elective Kingdomでは、外交権はElected KingとCenter領のNoble達に在り、各Duchyが独自に外国と外交をする事は出来ないと定められている。

　しかし、今はそのCenterが壊滅conditionで機能不全に陥っており、しかもそうなった原因の一人がPrime Ministerを務めていたUrgen・Telkatanis Marquis……Centerの有力Nobleだ。そのため、CenterのNoble達の権威と統率力は地に落ちていた。

　それに、法で外国と独自の外交を禁じられていても、それは建前。やろうと思えばいくらでも抜け道はある。……これまでは Bahn Gaia continentに存在する外国は、建国以来の敵国であるAmid Empireとその属国だけという認識だった。しかも国境を面しているのがSauron Duchyだけだったため、態々危ない橋を渡って抜け道を潜る者がいなかっただけだ。

　しかも、Vidal Magic Empireの勢力は既にOrbaum Elective Kingdom内に入り込み、食い込んでいるのだ。首都のslumsはZakkart街としていち早く復興している。それは喜ばしい事だが、本来なら外国から最も厳重に守られるべき首都に、外国の一大拠点が出来てしまっているのだからElective Kingdom側からすれば大ごとである。

　その上、Rank１３を超えるUndeadやVida's New Racesが複数駐留している。この情報が真実だと理解した時、武力はもちろん法の力でVidal Magic Empire側をどうにかする事は不可能だと、各Dukeとそれに仕えるNoble達は理解した。そして、その状況で何もできないCenterのNoble達は何の役にも立たない事も。

　これでVidal Magic Empireが普通の……つまりAmid EmpireやOrbaum Elective KingdomのようなHuman主体の国なら、各Duke達も普通に取り入る事を考えただろう。

　使者を送り、Vandalieuやその仲間たちのachievementを称え、復興事業に協力し、partyを開き、顔を繋いでconnectionを構築。友好的な関係を維持しながら互いの都に大使館を設置する事や、政略結婚を打診。それによって両国の国民に交流と理解を促す。

　そして期が熟したら、国力に適した関係を目指す。Vidal Magic Empireと各Duchyの国力の差を考えれば属国化、もしくはもっと進んでMagic Empireの一部となるのが望ましいと多くのDukeは考えるだろう。

　Vandalieuがどれだけ温和で友好的でも、その気になれば一日で征服されるほど国力に差がある隣国との付き合いは恐ろしすぎる。Vidal Magic Empire側が今の姿勢を千年後も保ったとしても、Duke達の曾孫や玄孫が道を絶対に誤らないと信じる事はできない。

　Urgen・Telkatanisも、以前はやや保守的である事を除けば有能で切れ者なPrime Ministerであると知られていた。自分の子孫が同じように、ある日突然身に過ぎた野心に憑りつかれないとも限らないからだ。

　しかし、Vidal Magic Empireは普通の国ではない。Emperorが少年でDhampirである事はともかく、危険であるとされるMajin RaceやVampireを含めたすべてのVida's New Races、そしてUndeadやDemon等のmonstersまで民とするHuman社会の常識からかけ離れた大Empireだ。

　Boundary Mountain Rangeに隔てられた Bahn Gaia continent南部に首都が存在し、legendに記される恐ろしいNoble OrcのKingdomや、強大なMajin RaceのKingdomを属国としている。さらにはAmid EmpireのＳClass adventurerだった『Storm of Tyranny』が存在を確認したDemon continent、そして十万年前にDemon KingがReignしたDemon KingのContinentにも領土を持つという。

　そんな信じがたい情報がOrbaumから早馬やmagicで伝えられたため、各Duke達はどうするか迷い、policyが割れ、石橋を叩いて渡るように慎重な対応を迫られる事になった。何故なら、Orbaum Elective KingdomではVidaへの信仰が認められているとはいえ、その勢力の大きさは各Duchyによって大小の違いがある。それに、Vida believerだったとしてもUndeadやDemonを含めたmonstersの存在を許容するとは限らない。

　Human社会のVida信仰と、Vidal Magic EmpireのVida信仰とは大きな違いがあるのだ。

　そして、Vida信仰が盛んなDuchyにも、AldaやそのSubordinate Godを信仰するbelieverがいる。迂闊にVidal Magic Empireとの友好関係を目指せば国内のAlda believerが騒ぎ出し、下手をすれば過激派と化して紛争conditionになりかねない。

　事実、Alsabah DuchyではAlda templeのPriestが「Vidal Magic Empireとself-proclaimedしているmonstersの巣窟に国を開けば、男は食料に、女はmonstersの苗床に、そしてchildは悪魔や邪悪なGodsの生贄にされてしまう！　そして死体はboneの一fragmentでもUndeadに、魂はGhostにされ、永遠に弄ばれる事になるだろう！」とbelieverを集めて騒ぎ立てた事件があった。

　そんな中、真っ先に動いたのはTakkard・Alcrem Dukeだった。

　彼はこの時に以前から備えていたかのように自Duchyの都Alcremで演説を行い、Vidal Magic Empireとの同盟と友好関係樹立を宣言。また、Sauron Duchyの旧Scylla Autonomous Territory奪還tacticsで死亡したと思われていた『Alcrem Five Knights』の一人である『Knight of Roaring Flames』Brabatieuが生存していた事も公にした。

　つまり、前々からVidal Magic Empireと密約を結んでいた事を自ら告白したのだ。

　前々からVandalieuと組んでいた事は、Alcrem Dukeに仕えるNobleや民だけではなく、多くのNobleや商人がだいたい察していた。何故なら、Vandalieu Zakkartの母親であるDarcia・ZakkartにHonorary Earlの位を与え、以後何かと便宜を図ってきたのは周知の事実だったからだ。

　これでもし仮に「私は何も知らなかった」と言ったとしても、誰も信じなかっただろう。

　早期に真実を告白した事で、「やはりそうだったのか」と納得した者も多かった。……Brabatieuの生存と両腕を喪ったはずのValdiriaが実は無傷だったことは、多くの者に驚かれたが。

「なるほど。当時は先代同-sama女好きのbloodが目覚め、名を上げてHeroとなったDarcia -donoを囲おうとしているのだとばかり思っていたが……」

「まさか、あの当時からVidal Magic Empireと密約を結んでいたとは。さすがはDuke閣下だ」

「Noble位ではなくHonorary Noble位だったのも、それが理由か。密約があったとしても、他国の太后をNobleにするのは後々問題になる」

「そうなると、あのCreamやTransformation Equipment、義肢とその使用法の出どころはやはり……」

「うむ、そういう事だろう。それに、あのmusicもVidal Magic Empireでdevelopmentしてきた文化に違いない」

「Vidal Magic Empireは軍事力だけの国にあらず、という事ですな。Alchemy等の高い技術を誇り、文化でも侮れない」

「そんな事より、近々Vidal Magic Empireでは既にdebutしているmemberを加えた、full member Concertが開催されるという噂は本当なのか！？」

　そう納得する者達も多かったが、一部の国民は「騙された」と感じてそれに不満を覚えた。しかし、それもAlcrem Dukeが演説の後半で述べた事情によって抑えられた。

「今まで秘密にしてきたことを責める者もいるだろう。だが、理解してほしい。我がOrbaum Elective Kingdomの中枢に巣くうDemon King Guduranisの使徒を倒すまでは、『Savior』Vandalieuの正体とその真の力を明らかにすることはできなかったのだ！」

　そう、全ての責任をRokudou HijiriとDemon King Guduranis、そしてUrgen・Telkatanis元Prime Ministerに被せたのである！

　Takkard・AlcremがVandalieuと通じた当時はRokudou Hijiriは『Origin』で生きており、Telkatanisはまだ正常なconditionで国を裏切ってはいなかった。

　しかし、Demon Kingをrevivalさせた謎の邪悪な神Dark Avalonと、国を裏切り首都に壊滅的な被害を与える原因になったTelkatanisを弁護する者は、この国には一人もいない。CenterのNobleに至っては、「すべてはUrgen・Telkatanisが原因だ！」と、元Prime Minister一人を悪者にして自分達の保身を図る者も少なくない。

　そして、なによりVandalieuがGuduranisを倒した『Savior』である事……そしてAlcremを過去に一度救っている事が大きかった。

　不満を覚えた者も、「まあ、そういう事なら仕方ない」と納得した。

　Brabatieuの生存やValdiriaが無傷だった事を隠していたのも、Guduranisを倒すために必要だったのだろう。さすが我らが『Alcrem Five Knights』！　さすが『Knight of Roaring Flames』と『Thousand BladesのKnight』！　と、やはり納得された。真実はまったく異なるのだが。

　それに、Vidal Magic Empire側の主張が穏当であったのも大きかった。

　GhoulやVampire、Majin Raceを含めた全Vida's New Racesの人権を認めよ、Vidal Magic Empireで民と認められたUndead、Demon、monstersの権利を認めよ。たしかにそう求めているが、逆に言えば権利を認めるだけだ。GhoulやVampire、Majin Raceの中で罪を犯した者は、Human同-samaにAlcrem Duchyの法で裁くことを制限するものではない。

　それに、DungeonやDevil Nestsで発生した野良UndeadやDemon、monstersを倒す事を止めろと言っているわけではないのだ。

　つまり、一部を除けば以前とあまり変わらないのだ。そう人々は思い込み、安心した。……将来的には大きな変化が起きているはずだが、日々の生活に追われる『Lambda』の人々はそこまで深く考えない。

　しかし、他のDukeからすればAlcrem Dukeは以前からVandalieuと組んでいたDuke。いち早くVandalieuの真実を知り、しかし協力を申し出る事で自分達の地位を保証させたのかもしれない。そう考えると、自分達と同じ立場だとは考えられない。

　そう二の足を踏むDuke達の中で、素早く行動に出たDuchyが二つあった。Birgit DuchyとDuke Farzon領である。

　Orbaum Elective Kingdom建国以前はBeast raceの王が治める、HumanよりBeast raceの人口が多いVida's New Racesの国だった。それはBirgit王がBirgit Dukeになってからも変わらず、Orbaum Elective Kingdomの中では、最もChurch of Vidaの勢力が大きい事で知られている。

　そのBirgit Dukeは、Vidal Magic Empireを全面的に支持し、国交の樹立と通商や軍事を含めた同盟条約の締結を目指す事を発表した。それも自領の都だけではなくGeneral Officerを通じてOrbaumでも大々的に。

　現Birgit Dukeは有用な者なら出自を厭わず登用するAbility主義者であり、同時に現実主義者でもあった。そのため、Vidal Magic Empireの情報が一端でも真実ならいち早く友好関係を築かなければならないと思い切った行動をとったようだ。

　Birgit DuchyのAlda believerは少数派で、そのbeliever達も「Guduranisを倒した『Savior』の治める国なら」と殆どが納得していた。

　その逆に、Duke Farzon領はVidal Magic Empireに対して自領を閉ざす事を宣言。Orbaum Elective KingdomでVidal Magic Empireと国交を結んだDuchyとは、交流を控える事も発表した。

　Duke Farzonは『Five-colored blades』のHeinzを強く支持し、領内のMajin RaceやVampire勢力の排除に力を入れていた事から分かるように熱心なAlda believerであり、領内の民はAlda believerが圧倒的に多い。

　そのため、Vidal Magic Empireのdemandを受け入れる事はできなかったようだ。

　それを聞いたLucas Hartner Dukeは、反射的にDuke Farzonと同盟を結び、Orbaum Elective Kingdomに反Vidal Magic Empire派を立ち上げて対抗するべきだと思いかけたが、才女で知られている娘のKatie・Hartnerと、かつて公peerageを巡って争った弟のBelton Hartnerがexpressionを変えて反対した。

「お父-sama！　Duke Farzonとの同盟は何の意味もありません！　私達Hartner DuchyとDuke Farzon領が接しているのは狭い範囲だけなんですよ！？」

「その通りです兄上！　そもそも同盟を結んだからといってどうなるんです！？　武力で敵わないのは分かっていますよね！？　反対派を立ち上げて仲間が増えればどうにかなるとか、そういった類の相手だとお考えならそれは間違いです！」

「お父-sama、北のSauron Duchyは旧Scylla Autonomous Territoryを占領され、南は岩山に隔てられ、それを越えたとしてもその先はBirgit Duchyです！　地勢的にVidal Magic Empireと友好関係を築く以外の選択肢はありません！」

「兄上、相手はUndeadやDemonを従えた何を考えているか不明の存在です！　だからこそ、交渉を諦めてはなりません！　幸い相手は人です！　another worldから現れたDemon Kingでも、その配下でもない！　辛抱強く交渉を続ければ、何を望んでいるか分かるはずだ！」

　愛娘と小賢しくていけ好かない腹違いの弟が、そろって顔を真っ赤にして怒鳴りつけてくる姿は、どこか似ていた。これが一族のbloodか。

「い、いや、しかし Alda templeがなんというか。それに、将兵の意志も無視できん」

　そんなBAKANA事をチラリと考えながらも、執務椅子に腰かけたままのLucasはそう答えた。普段の彼なら、そして怒鳴り込んできたのが愛娘か腹違いの弟の片方なら、「お前が関わる事ではない」と追い返したはずだ。それがとっさにできない程二人の迫力が凄まじく、そしてLucas自身の迷いが深い証拠だった。

「Alda templeは無視していいはずです。Temple Headを始めとした主だった人達は出奔して、残っているのは声が大きいだけで実際には人徳も力もない人ばかりだと聞きました」

「Katie！？　いったいどこでそんな情報を……！」

「兄上、Knight達の本当の意見が聞きたいなら、一人一人この執務室に呼び出して聞けばよろしい。そうすれば見栄を張らず話してくれるでしょう」

「Belton、civil official肌の貴-samaにKnight達の何が分かると……はぁ。分かった。Duke Farzon領との同盟に意味がないのも、対決姿勢を取る無益さも良くわかった。一先ず出ていけ。それとKatie、親戚同士仲が良いのは結構だが、Belton叔父-sanも何かと忙しいはずだ、あまり構わぬように」

　そう言ってLucasの執務室から追い出されたKatieとBeltonだが、二人は仲が良い訳でも組んでいる訳でもない。今日偶然遭遇して、LucasにDuke Farzon領との同盟を思いとどまるよう進言しようとしているというお互いの目標に気がついたので、一時的に協力しあっただけだ。

「今頃兄上は私と-kunがいつ接近したのかと、悩んでいる頃だろう。-kunはageにそぐわない賢い子のようだ。どうだろう、このままBelton叔父-sanと手を組むというのは？」

「いえ、結構です」

「……私は別に-kunのお父-sanを追い落とそうと思っているわけではないのだが？」

「叔父-samaが狙っているのは、ご子息をHartner Dukeにする事ですものね。でも結構です。それと、そのご子息……私にとってyounger cousinに当たる子との婚約も結構です」

「それは残念だ」

　そうBeltonと会話しながら、【Urðr​】のCheat Abilityを持つReincarnatorであるKatieはこのまま父がとち狂わなければVidal Magic EmpireとTalosheimの事を結び付けさせ、「Hartner Duchyのために」という名目でTalosheimにした過去の行いを公にして謝罪させる事ができそうだと考えていた。

　父親が自滅の道を選ばないよう誘導するのは大変だが、今回の事件のお陰でVandalieuに……accurateにはTalosheimのGiant race達に謝罪しやすい情勢になりつつあるのは、助かった。特に、謝罪を実行するのを妨害しただろうAlda templeの関係者の中で発言力がある人物たちが出奔したのも大きい。おかげで、邪魔されずに話を進める事ができる。

　そして、Vandalieuの正体とかつての自分が仕組んだcultivation villageの事件に関係がある事にまだ気がついていないLucasは、後に真実を知った時に膝から崩れ落ちる事になるがそれはまだ暫く先の事だった。

　そしてDuke Farzon領と同じく、民の多くがAlda believerであり保守的な考えが強いJahan DuchyもVidal Magic Empireとは距離を置くと思われた。

　しかし、Hadros・Jahan Dukeは驚くべき事にVandalieu Zakkartと共に自領に戻ると、Nobleや大商人などが集まった議場でVidal Magic Empireとの交易を主張した。

　多くのNobleやtemple関係者、そして商人までもが、Hadrosの主張に反対した。Jahan Duke 家の人々の中には、Hadrosに気が狂ったのかと罵倒までした。

　しかし、多くの人々にAlda believerだと思われたままのHadrosは穏やかな微笑を浮かべたまま、reason的に語り掛け続けた。

「たしかに、我々Alda believerの教えとVidal Magic Empireの在り方は反目しあうものだ。しかし、思い出してほしい。Vidal Magic Empire Emperor Vandalieuは、Demon King Guduranisを倒した事を。そして、Orbaumの約五百万人の罪なき人々、私と共にOrbaumに滞在していたJahanのKnightやcivil official、Servant達が彼に助けられたという事を」

　そう城の議場でHadrosが説くと、非難の声は力を失っていった。Guduranisを倒したachievementは、Alda believerでも無視できない程大きい。それにOrbaumから帰ったKnightや商人たちから話を聞けば、VandalieuがGuduranisと戦った結果、人々が助かったわけではない。人々を助けるためにVandalieuはJahan DukeやAlcrem Dukeと共に協力して動いており、Demon Kingと戦ったのも人々を守るためだった事がconjectureできる。

「もちろん、命を助けられたからdemandに従わなければならないわけではない。Demon King Guduranisが倒され、完全revivalの可能性は完全になくなった。しかし【Demon King Fragment】の脅威は消えず、このJahanの地を海から隔てる厳しいMountain Rangeは立ち並び続け、夏は短く、冬には去年と同-samaの寒さがやってくるだろう。

　だがしかし、Vandalieu Emperor陛下は我々に変化を強制しない。信じられない者もいるだろうが、聞いてほしい」

　そうHadrosが言うと、それまで黙っていたVandalieuが代わりに口を開いた。

「皆-san、俺がVidal Magic Empire Emperor Vandalieu Ark Hillwillow Solder Zakkartです。

　皆-sanは、既に我が国の在り方を知っていると思います。ですが、俺は皆-sanに……Jahan Duchyに我が国と同じになれ、変われとdemandしに来たわけではありません」

　やや驚き、ざわめく聴衆が落ち着くのを待ってVandalieuは続けた。

「昨日までと同じようにAldaに祈り、Dungeonで発生した危険なUndeadやDemonと戦う事を咎める事はありません。

　ただ、我が国の在り方を認めてほしい。そして、お互いに協力してより良い未来を築いていきたい。それだけです」

「それは詭弁ではないのか！？　どうせ最終的には我々に属国になるよう迫るつもりだろう！」

　Hadrosの政敵のMarquisがそう叫ぶが、それに応えたのはVandalieuではなくHadrosだった。

「それは違う。たしかに、新たな隣人ができた事で十年後、百年後の我々は今とは変わっているだろう。だが、それはEven nowあった事だ。

　山は少しずつ形を変え、冬は毎年雪の降る量が細かに変わる。私が生まれてから、一度も雪が降らなかった冬が二度もある。人も同じだ。代替わりや新たな家が興る度に、我々は変化を求められた。今回もそれと同じなのだ」

　そうHadrosに言われると、Marquisも顔を顰めて黙り込むしかない。atavismでGiant raceとして生まれたHadrosは、この議場にいる誰よりも長い年月を生き、経験を積んでいるからだ。

「だが、隣人の事を全く知らないまま時が流れるのに任せるのは問題がある。そこで、文化交流を目的にしたeventを行うつもりだ。

　Vidal Magic Empireの秘密を探るつもりなら、是非参加してみてほしい」

　そうHadrosが締めくくって、この日の演説は終わった。Hadrosと一緒に控室に戻ったVandalieuは、深い溜め息を吐いた。

「やはり人前に立つのは慣れないのかね？」

「ええ、Vidal Magic Empireではしょっちゅう立っていますが……親しくない人の前はやはり緊張しますね」

「国民全員と顔見知りになっている為政者は、-kunぐらいだよ」

「それと、すぐに嘘ですと言えない嘘をつくのも肩が凝りますね」

　Jahan Duchyの人々に、すぐに変えるつもりはないと言ったのは、大嘘だった。HadrosがGuiderであるVandalieuを国の中枢を担う者達の前に連れてきたのは、Nobleやその側近を導かせるためだ。

　そして、文化交流を目的としたeventとはＶCreamやBlood potionの売り込みや、Kanako達のlive performanceである。

　centerはKanako、Zadiris、MiriamのGuider三人で、保守的なJahan Duchyの人々を全力でGuiding予定である。

　Alda信仰を止めるよう強制するつもりはない。ただただ、自分達からAldaではなくVidaを信仰するよう誘導するだけだ。なので、厳密にいえばウソではないのだが……。

「すまないね。本来ならDukeである私がどうにかすべきなのに、他国の為政者である-kunと-kunの婚約者たちに出張ってもらう事になるとは、恥ずべきことだ。Alda templeの関係者や『Seven Mountain Generals』の何人かが行方不明になっていたので、まだやりやすいが……幸いと言うべきではないな」

　Jahan Duchyでも、Alda believerの出奔が起きていた。おそらく、『God of Law and Life』AldaがOracleで何らかの指示を出した結果だろう。

　Oracleを受けられる熱心で力のあるbelieverが出奔したおかげでAlda templeの勢力が弱まり、Jahan DuchyやAlcrem DuchyではAlda templeの抵抗は弱まった。そのため、結果的には助かったと言えるのだが……。

「まあまあ、俺達は友達ではありませんか。Kanakoも新たなfanを獲得するchanceだと張り切っています。ですが、Miriamは婚約者ではないのでcorrectionしますね」

　MiriamはむしろArthurと仲が良いようにVandalieuには見えた。

「それに、Dungeonの調査も終わりましたし、Cloneとの接続が距離無制限になったのでDemon continentやDemon KingのContinentでの探し物も同時進行で行えますし」

「そう言ってもらえると嬉しいよ」

　Hadros・Jahanは、MiriamやArthur同-sama Vandalieuにとって貴重な友人である。なんといっても、彼らはVandalieuを神として信仰している訳ではなく、尊敬と敬意を示しても友人として付き合ってくれるのだ。

　間違ってもIdol Statueやtempleを建立しようとはしない、貴重な友人である。

「ところで、そんなlegendのContinentで何を探しているのかね？」

「ちょっとDianaに頼まれて、Zernoのremainsを」

「たしか、Mythにある『Giant of the Moon』だったかな？　『Giant of the Sun』TalosのImoutoの。そして探すのが『Giant God』のremainsとは……さすがだね」

「ええ、俺も何故探しているのかまでは教えてもらっていないのですが……ちょっとすみません。Elizabeth -samaが助けを求めているようなので、ちょっと行ってきます」

「分かった。eventの打ち合わせは後にしよう」

　Hadrosに見送られ、VandalieuはGufadgarnの【Teleportation Gate】によってOrbaumのSilkie Zakkart Mansionに戻った。

　するとそこには、身なりの良いmaleがElizabethに向かって土下座していた。今にも彼女の靴を舐めそうな-sama子で。

「……変質者？」

「Vandalieu、ちょっとどうにかして。こいつの相手は今のあたしの手に余るのよ」

「Elizabeth -samaが倒せないとは、俺にはそうは見えませんが、手練れの変質者のようですね」

　Silkieや庭のUndeadの守りを突破し、彼女の靴を舐めようとするとは油断ならない相手だとVandalieuはtongueを伸ばした。耳を一thrustして、大人しくさせるために。

「Vandalieu Ark Hillwillow Solder Zakkart Emperor陛下！　あなたに会えるとは、なんというFortune！　どうか、どうか我がSauron Duke 家と民にご慈悲を！」

　しかし、変質者……男のtargetはElizabethの靴だけではなかった。Vandalieuに気がついた瞬間身を翻して、彼の靴を舐めんばかりの-sama子で膝をthrust、頭を下げる。

「Veedal・Sauron。生き残っているあたしの腹違いの兄の一人で、OrbaumでSauron Duchyの別邸の大使みたいなことをしている人よ」

　Elizabethの説明を聞いて、Vandalieuは変質者の正体に気がついた。……顔は【Perfect Recording】で覚えていたのだが、土下座していたため後頭部しか見えていなかったのだ。

　なお、同時刻Sauron Duke 家ではVeedalが出した書状……今すぐ家督をElizabethに譲り、命乞いをするべきだと書かれていたのを読んだRudel・Sauron Dukeが発狂していた。