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Chapter 363: Chaosは秋まで居残る模-sama

 Guduranisが倒されてから一週間の時が流れた。Orbaumでは信じられない早さで街の再建が進み、街を守る城壁や城門、各guild施設は元通り再建され人々の間に安堵の表情が戻り、活気が出始めている。

 しかし、住宅事情は大きく変わった。


『おいおい、ここに住みたいって本気かぁ?』

「はい! お願いします!」

『クソガキ共、ここに住み続けるってことはもうお客-sanじゃねぇ。ここで働くって事だぜ? 分かってんのか?』

「分かっています! 甲板掃除でも何でもします! どうか置いてください!」

『俺からもよろしくお願いします』


 Cuatroの甲板で、十代から二十代の若者達を前に『Four Captains of the Dead Sea』達は腕を組んで考えこんでいた。彼等は、Cuatrorescueした者達の一部だ。

 話を聞くと、彼らは商人の下働きやServant Apprentice、そしてチンピラの下っ端等をしており、職場での扱いがかなり酷くまるでSlaveのようにいびられていたらしい。


 そしてrescueされた事で酷いmasterから離れる事ができた彼らは、この機会を活かしてmasterの元から逃げ出して新しい人生を掴もうとしているのだ。

 しかし、前の職場より楽そうだから、という理由で転職を希望してくるものを易々と受け入れられるほど『Four Captains of the Dead Sea』達は甘くない。


『ここでの仕事もそんなに楽じゃありませんよ。なにせVandalieu -samaは、強権を振るう事に躊躇を覚えないお方です。そして、このCuatroは軍船でもあります。いざとなれば船と命運を共にする覚悟は当然必要です』

「もちろんです!」


『一応戦闘訓練も受けてもらうが、下働きから始めるお前達に活躍の場はないと思え。さらに、Vandalieu -samaの命により平時は一日八時間勤務が強制されている! しかも週一日は休日を取り、それ以上働いた場合残業や休日出勤手当を受け取ってもらう! 嫌とは言わせん!』


『ククク、今回のような非常時にかぎり制限は免除されるが、それでも後日手当を受け取る事になる。我々のように無制限に働くのは、managementの特権だ! 貴-samaらには十年早いと思え!

 代わりに保証できるのは、一日三食の飯と四人一roomの寝床だけだ! 女だろうと特別扱いはしない! どうだ、これでもここで働きたいのか!?』


「「「はい、よろしくお願いします!」」」

 Orbaum Elective Kingdomの、それも酷い部類の商人の下働きやNobleServantの労働条件は、一日十二時間以上の労働は珍しくなく、休日は基本none。手当なんて出るはずもない。

 そして一日二食が普通で、寝床も複数のHumanで同じroomを使うのは常識だ。


 そしてチンピラの下っ端などは、その日の食べ物に苦労する事も珍しくない。

 そんな生活を送ってきた彼らにとって、『Four Captains of the Dead Sea』が提示した条件は、天国のようなものだった。

『ならよし! 早速今日から働いてもらうぞ! てめぇらの前の雇い主の所には、俺達から連絡を入れておいてやる』

『さあ、甲板に出なさい! 早速甲板掃除をしてもらいますよ!』


 はい! と元気よく新船員達が甲板に上がっていく。その後ろ姿を見送ったDemon King Familiarは、首……はないので、Gianteyeballを回転させて尋ねた。

『思っていたよりも簡単に許可を出したようですが、良いのですか?』


『いや、良いもなにも、『俺からもよろしくお願いします』ってボスに言われて断れるわけがないでしょう』

 Demon King Familiarmain bodyVandalieuは彼らにとって絶対の主であり、CuatroにとってCreatorである。『よろしく』と言われたら、よろしくしないといけないのだ。


『それはそうでしたね。……それより船長、俺はmanagementの残業は制限をつけないと言いましたが、休日は取る規則のはずですが?』

『はっ!? しまった……!』


『今週から交代で休みを取ってもらいますからねー』

 Demon King Familiartentacleを伸ばすと、『Four Captains of the Dead Sea』達を拘束して引きずっていく。

『ア、Undeadに休めとは殺生なぁぁぁー!』


 Cuatro以外のShelterでも、外に出たがらない人々は意外に多かった。Silkie Zakkart Mansionでは、扱いが酷かったNoble 家からの転職を希望する者が続出し、「必要なら今すぐUndeadになります!」と言い出すMaidまでいて、慌てて止める騒ぎになった。

 ……「の者を引き抜くつもりか!」と怒鳴り込むNobleには、慌てることなく対処したが。


 避難用Dungeonも、空がない事などを除けば内装が建造物風で必要最低限だが具まで揃っているので、貧しい生活をしていた者には、外よりも暮らしやすい。そのため出たがらない者や、出た後もここで暮らしたいと希望する者も少なくなかった。しかし、やはりDungeonなので長期間住むには、monstersの間引きを行わなければならない。Vandalieu製のDungeonでも、魂が宿っていないmonstersは発生する。そして、それを駆除しないまま放置すると外にあふれ出てしまう。するとDungeonから出た途端外を漂う霊が宿って、monsters本来の凶暴性を発揮して暴れだしてしまうのだ。


 そのため、希望者には悪いShelterから出てもらい、急ごしらえの仮設集合住宅Knochen Houseに住んでもらっている。備え付けの具もbone製で、時々何処からともなく『おぉぉん』という鳴き声が聞こえる事以外は快適で、白一色であるため清潔感もある仮設住宅である。


 上ClassClass両方のNoble街では、Noble達によるpropertyの発掘作業が急ピッチで進んでいる。Heirloomの品や絵画などの芸術作品、そしてNobleとしての地位を保証するpropertyや、後ろめたい隠しpropertyもあるので彼らも必死である。

 もっとも、UrgenTelkatanis Prime MinistermansionGuard達によって発掘され、具の残骸すら残さず国庫の足しにされる事になった。


 他にも、Corbit Elected Kingは実であるCorbit Duke 家の別邸の残骸から発掘したpropertyと土地を復興のための資金にすると発表し、他のDuke 家の別邸やDolmad Marquis 家や他のCenterNobleもそれに倣ってそれなりのpropertyを寄付している。


 そして開発計画が進む旧Slum街は既に建造物が完成し、内装工事も完了。originally Orbaumで営業していた各Chamber of Commerceが、貸店舗に熱い視線を送っている。

 districtnameは計画の立案者が強固に抵抗した事と、政治的な理由でVandalieu街と名付けられることは避けられた。結果、Zakkart街と名付けられた新商業区は、事件と共にDecayしたOrbaumの経済を立て直す柱になるだろう。


 なお、ここにVidal Magic EmpireのアンテナShopが配置される。複数のFood Stallが並び、Food Stall Cookingが食べられるOpen Plazaには、DemonUndead、そしてVida's New Racesの店主や店員が営業するFood Stallが並ぶ予定である。

 このZakkart街がOrbaumにおけるVidal Magic Empire街となり、Elective Kingdomに国交流を促す一大施設となるのだ。


 そして、Selenと彼女の護衛を頼まれていたAClass adventurer partyRoaring Swordsmen』達は、Duke Farzon領へ一旦戻る事になった。

 Nineroadによって何処かへ去った『Five-colored blades』からの連絡がなくなったため、Heinz達個人とAlda Reconciliation Factionともに関係の深いDuke Farzon領に戻り、連絡を待つそうだ。


 それを聞いたVandalieuは、「それは良かった」と正直に言い、安堵した。何故なら、Aldaや『Five-colored blades』のreputationを落とすよう、Corbit Elected Kingを始めとした主だったNobletemple関係者に依頼している。そのため、『Five-colored blades』の縁者であるSelen達がOrbaumに留まり続けると、嫌な思いをする事になるからだ。


 念のためだが、暴動やAlda believerを狙った襲撃事件にdevelopmentしないように調整するようdemandしているし、Vandalieuへの得点稼ぎのつもりでSelen達への攻撃や暗殺を企む事のないようにとは言ってある。後者の場合は、「実行した場合、whole bodyboneKnochenに生きたまま抜かせる」とまで明言した。

 Vandalieu自身も、目を光らせるつもりだ。ただ完全に思うようにならないのが世論であり、人である。


「今までお世話になりました」

 緊張か、emotionsを隠すためか、幼さを硬い表情で覆い隠して挨拶するSelenに対して、Vandalieuは普段通りの-sama子で応じた。


「いえいえ、あなた達が避難したShelterを運営していたのはJahan Dukeです。俺は特別な事は何もしていません」

 心穏やかに応答出来ている事に、Vandalieuは内心驚いていた。『Five-colored blades』が近くにいないというだけで、SelenにもHeinzの仲間に対しても何の怒りも嫌悪も、そして苛立ちすら沸いてこない。


 もっとも、虚ろな無表情で平坦な口調のままのVandalieuの心情はSelen達に読み取れるわけがなく、冷たく拒絶されているのか、ただ事務的に対応されているだけなのか判断する事はできないのだが。

「差し出がましいかもしれませんが、餞別を用意しました。受け取ってください」

 そうVandalieuが言ったのを合図に、【Teleportation Gate】が開いてspaceに開いた穴から四頭立ての馬車が出てくる。


 もちろんSamではない。ただの馬車と、四頭のごく普通の馬車馬だ。

carriageには生活必需品なども入れてあります。よろしければどうぞ」

「これはありがたい。がこの-sama子で、旅に必要な物を何処で手に入れるか悩んでいたんだ」

 『Roaring Swordsmen』のleaderであるRembrandが、驚いた-sama子で感謝の言葉を述べる。今のOrbaumでは馬車はもちろん、旅に必要な物資を調達するのは難しく、近隣の街や村でもOrbaumの復興に使うために買い集められているので品薄になっている。


 Vandalieuも、【Teleportation】を利用してMoksiの街で用意した程だ。……それだけSelen達にスムーズにOrbaumから旅立ってほしいのだが。

「っ!? これは……棺?」

 幌に覆われたcarriageを覗き込んだ『Roaring Swordsmen』のmemberが、旅の荷物が纏められている場所とは別に置かれた棺に気がついた。


「『Ash Blade』のEdgarの遺体です。magicで保存してありますから、Duke Farzon領かどこかで葬るといいと思います」

 Rokudouに胸を貫かれ、頭部をVandalieumagicで吹き飛ばされ、地面に落下したEdgarの死体。Vandalieuはそれを戦いが終わった後回収していた。

 そしてmagicEdgar本人の死体だと分かる程度に修復し、棺に納めて保存していたのである。


Edgarお兄-chan!」

 Edgarの名を聞いたSelenが、走り出して馬車のcarriageに飛び乗るように入って行った。

「……ご厚意、痛み入る」

 RembrandSelenの代わりにそう言って頭を下げるが、Vandalieuは「いいえ」と首を横に振った。


「大した手間でもないので、気にしないでください」

 Edgarの死を確実にすることで、『Five-colored blades』に対する人々の期待を盛り下げたり、出てきたら面倒な偽物が発生するのを防いだり、そして関係が悪い人物でも遺体は丁重に扱い無差別にUndeadを作るわけではないという美談にする目的もある。Selenなど、Edgarの友人知人の事を哀れんだからだけではない。


 それに何より、Edgarの魂はもうVandalieu自身が喰らって滅ぼしている。死体だけあってもrevivalの可能性は無い。

 Undeadにするとしても、中身は別人の霊を使わなければならないので性能は格段に落ちる。なにより、Jane DoeHeinz達に見せているので、Martinaの二番煎じは通用しないだろう。


「だとしても、感謝する。……こういっては何だが、あんたは我々の事も憎んでいると思っていた」

 Rokudouが出現し、Guduranisrevived事件の時はShelterを利用し、Vandalieuの仲間と共に戦ったRembrandだったが、それは状況が混迷していたから可能だった事だと思っていた。


 何故なら、以前VandalieuDemon King Familiarを通してHeinz達に「Orbaumに来るな」と警告した時に、その場に居合わせていたからだ。

 蟹に似たDemon King Familiarから放たれる冷たい拒絶の意志。そして意識が飛び、体が勝手に動くほどの激怒。それらは彼の心に、VandalieuHeinzの仲間である自分達も憎まれていると思い込ませるのに十分な衝撃だった。


 そんな彼は、VandalieuHeinz達のreputationを落とすようCorbit Elected King達にdemandしている事を知らない。しかし、知ったところで苦笑いを浮かべるだけだっただろう。何故なら、Heinz達のreputationは何もしなくてもこれから落ちていくからだ。


 Vandalieuと『Five-colored blades』がrevived Guduranisと戦い、Edgarが犠牲になるもDemon Kingを倒す事に成功した。あの戦いで何が起きたのか、Orbaumの多くの人々はその程度しか知らない。

 しかしDemon Kingが倒された時祝福したのは『God of Law and LifeAldaではなく『Goddess of Life and LoveVidaであり、祝福されたのはHeinzではなくVandalieuである事は誰もが知っている。


 そして、Heinzを含めた『Five-colored blades』は戦いが終わった後Orbaumから姿を消したが、Vandalieuは残って再建と復興に惜しみなく(実際には全力というほどではないが)力を尽くしている。Vida's New RacesUndeadDemonと共に。


 ここまで差があれば、人々は自然とVandalieu側に傾く。Heinz達がSClass adventurerであったとしても。templeの力関係は、建国以前から続いてきた信仰が簡単に変わる事はないだろう。しかし、今回の事件は「簡単に変わらない」事を変えるには十分すぎる衝撃を人々に与え続けているはずだ。


 そして、これからVandalieu達のinfluenceOrbaumに残り続けるならそれは確固たる流れになり、留まろうとする者達を押し流すだろう。

 去ったHeroと何もしない神よりも、留まったHeroと力を貸してくれる神の方を人々がありがたがるのは当たり前だからだ。


「俺も、あなた達を憎んでいると思っていましたが、実際はそうでもないようです」

 『Roaring Swordsmen』達やSelenは、仇の縁者や仲間であっても、仇ではない。それをVandalieuは再確認していた。

 Gordan High Priestや元『Five-colored blades』の『Green Wind Spear』のRileyの時は、彼を殺した後も徹底的に彼の社会的評価を貶めた。しかし、今はEdgarに対して同じことをする気にならない。


 それは自身が社会的立場を手に入れた事で、他人を貶める行為を外聞が悪いと思うようになったからという理由もある。過度に敵対関係を演出して、Orbaum Elective KingdomAlda believerの反発を煽らないようにしたいという理由もある。

 しかし、一番の理由は、Selfの幸福のためだ。


「奴本人や、俺達にした事を『achievement』と評価している奴らならともかく、それとは関係なく奴の死を悼む親類縁者や友人知人にまで何か感じるのは、疲れますから。

 それよりやりたいことが、ほどあります」


「ああ、うん、そうだろうな」

「それと、憎んでいないだけで、他には何もないので誤解しないでくださいね。困っているのを見かけたら、他愛もない人助け……Shelterへの誘導や余裕のある物資を融通する程度ならしますが、気にかけてわざわざ-sama子を見に行くような事はしません」

「いや、それで十分すぎる程ありがたいが……あんたは自分で思っているよりお人好しだと思う」


 そう言われたVandalieuは瞼を何度か開け閉めした後、答えた。

「俺の良識に沿って行動しているだけです」




 そんな事が午前中にあったその日の昼下がり、VandalieuZakkart街のFood Stall Open Plazaで相談会を開いていた。復興事業に関する相談事や、工事の陳情、Zakkart街の貸店舗を借りたいChamber of Commerceの売り込み、Vandalieu像を建立したいDemon達の訴え、彼氏がDemonになったのをどう受け止めればいいのかなどの人生相談等、Orbaum人々の悩みは多岐にわたる。


 そんな人々の相談を受ける相談員の一人を務めていた。……なお、DemonTamed MonsterのふりをしたDemon King Familiarがこうしている間も工事に精を出している。


 【Golem Genesis】で建造物を元通り戻すのがもっとも手っ取り早いのだが、それをすると後々Architecture関係者が生活に困る可能性があるし、Orbaum人々にも自助努力をしてほしいし、そもそもここは他国なのでやりすぎはいけないと自重しているのだ。


「いったいどうしてですか、Vandalieu -san! 私が何かしましたか!」

「そうです。あんまりです、あなた」

 そんなVandalieuにまず相談を持ち寄ったのは、涙目のMiriamAmelia Sauronだった。


Miriam、むしろ俺が何をしたのですかと聞きたいのですが?」

 とりあえず一人ずつと思って、まずMiriamに声をかけると彼女はある意味おめでたい事を告白した。

Job changeしようとしたら! ……【Heroic Guider】と出たんです。Guiderですよ、なったらHeroの中のHeroにされて、歴史書とかにnameを残されて故郷に銅像が建つGuiderですよ? Arthur -sanでもSimon -sanでもなく、私が! おかしいと思いませんか!?」


 MiriamはなんとGuiderJobを獲得していた。VandalieuKanakoZadirisに続いて四人目だ。

ArthurSimonGuiderになったらおかしいと思いますが、あなたがなる分には『とうとうこの時が来たか』としか」


「なんで!? だって私なんですよ!?」

「そんなに自分を卑下しないで。あなたの活躍は私も聞き及んでいます。とても立派だったそうじゃないですか」

「うう、ありがとうございます。でも……」

 居合わせたAmeliaSelf評価の低さを嗜められ、励まされるMiriamしかしMiriamは納得できない-sama子で顔を覆って呻いている。


「最初の頃は俺も『何故俺が』と思ったものです」

「いえ、Vandalieu -sanは妥当だと思います」

「そうよ、あなた」

「……何故か同意してもらえない」

 思わず天を仰いだが、悩んでいる友人のためにVandalieuは彼なりのconjectureを述べる事にした。


「これは俺のconjectureですが、Miriamは以前からArthur達を纏めていました。そして、Orbaumに来てからはHendricksen達複数のHero Candidateleaderとして活動しました。その時に、何か説いた覚えはありませんか?」


「説くって、RodcorteについてHendricksen -san達が困惑して落ち込んでいたので、説得しましたけど……それだけで?」

「それだけで、だと思いますよ。思想を説くなんて、聞いた側次第です。話している側はたいしたことではないと思っていても、聞いた側が感銘を受ける事はいくらでもあります」


 Vandalieuも、当時Miriamが何を言ったかは知らない。だが、「神も間違いを犯す」、「神に頼り切らない事と、敬う事は両立する」という思想はこのworld人々にとって新鮮で新しいものだった。

 このworldの住人にとって神は偉大な存在だ。選ばれたHeroblessingsを与え、Familiar Spiritを遣わせる。偉大なwisdomや助言をOracleという形で与えてくれる。


 その神が間違いを犯す、失敗するというのは人々にとって想像しにくい考えだ。歴史的に考えれば、そもそもDemon Kingからこのworldを守るために自分達だけでは力が足りず、another worldからChampionを召喚しなければならない時点で、「失敗している」のだ。しかし、多くのtempleではこれを「英断」として教えている。


 普通の人々でもそうなのだから、神からblessingsOracleを受けているHendricksen達がより強く神を絶対視するのも無理はない。

 しかしMiriamVandalieuDarcia(を通じて時々見るVida)やLuvezfolTalos等を直接知っている。そのため、ごく自然と「神を敬っても頼り切らない」という思想が育っていたのだ。


 さらに付け加えるなら、ArthurVida's FactionGodsHeroだけでなく、HendricksenAlda's FactionHero Candidate達にもMiriamが認められている事も重要だ。

 宗派に関わらず、思想を説き認められたからこそ、Miriamは【Heroic Guider】となったのだろう。


「でも、それだったらArthur -sanだって皆に求められていますし、Randolph -sanだって……」

ArthurHendricksen達に説いていませんし、Randolph senseiは教えを説くどころか基本的に孤高ですから、Guiderは難しいと思いますよ。

 それより、何故Guider Jobが出た事の原因が俺にあると思ったのですか?」


「いえ、Zadiris -sanみたいに妙なCurseをかけたのかと思って……」

「……皆Guiderになれー、MiriamにはさらにGuider Jobが出ろー」

「うわ~んっ! Vandalieu -sanの意地悪ーっ!」

 走り去るMiriamを、Vandalieuは親しみを持って見送った。


「ところでAmeliaはどうしました?」

Zadiris -san達はみんなあなたにキスされたそうなのに、私だけしてくれないなんてあんまりですと、抗議しに来ました」

Amelia、キスじゃなくてBloodsuckingですからね」


Eleonora -sanから、Vampireの方にとっては、同じようなものだと伺いました」

「いや、それも人によるそうですよ?」

「あなたの場合はそうなのでしょう?」

 VampireにとってBloodsucking行為は食事であると同時に、愛憎の表現でもある。ただ、その度合いは個人差がある。Vandalieuの場合は……Bloodsucking対象による。


 空腹を覚えた時にBloodsuckingした野盗に対しては、食べられる野草を摘まんだ程度の感覚だったし、DarciaBellmondbloodを飲む時は深い感謝と満足感を覚えている。

 Zadiris達のbloodを飲んだときは、必要に迫られたからだがもちろん後者である。


「たしかにその通りですが、体調に問題が出るかもしれませんよ。Zadiris達とAmeliaは、体の丈夫さが違います」

 具体的には、Vitalityの数値が圧倒的に違う。Vandalieuによってlevellingを受けているAmeliaだが、まだDClass adventurerにも及んでいない。数か月前まで個室に囚われていたも同然の入院生活をしていた事を考えれば、十分な進歩だが。


「……ほんの少しだけでもダメですか?」

 しかし、そう言われては拒否できない。Vandalieuは常備しているBlood potionを取り出してから、tongueを伸ばしてAmeliaの首筋のblood vesselに先端を刺してbloodを吸った。


「あっ……」

「ちょっとっ! 昼間から母-samaと何をしてるのよ!?」

 Ameliaが艶めかしい声をあげるのと同時に、彼女の娘にしてVandalieuが所属するpartyleaderElizabeth Sauronが駆け込んできた。


「きゃっ。ダメよ、エリ-chan。あなたが見るのは早いわっ」

「お母さまっ、そう思うなら屋外でしないでちょうだい!」

「まあまあ、屋外で男女が手を繋いだり脚や蔓で拘束したりされたりするのは、珍しくありませんし」

「脚と蔓はあんただけよ!」


 実の母と義理の父兼adventurer partymemberを叱責したElizabethは、「それより!」と強引に自分の要件を済ませる事にしたようだ。


「あのOrbaum中にmonstersを放ったあのDungeon。あれの探索をAdventurer’s Guildから指名で依頼されたんだけど、どういう事!?」

「ああ、それは俺が頼みました」

「なんで!? あたし達まだAdventurer's School校の学生で、制度的にはFClassよ!?」


 Hero Preparatory Schoolと呼ばれるaptitudeある少年Shoujoが通うAdventurer's School校だろうが、Adventurer’s Guildの制度上Apprenticeである事は変わらない。そのため、生徒は学校が管理しているDungeon以外に入る事はInstructorの引率がない限り禁止されている。

「大丈夫です。Randolph senseiが引率してくれます。Adventurer’s Guildの方は俺がそれとなく頼んでおきました」

 しかし、規則はVandalieuの権力によってねじ伏せられていた。


「実はSClass adventurerだったsenseiの引率に、guildへの圧力……でもなんでこんな事するの? たしかに、あのDungeonを調査するのも必要だと思うけど、あたし達みたいなimmature者じゃなくて『[Heart Warriors]』でもあんたのTamed Monster……部下の人達でもいいじゃない」


 ElizabethHero Preparatory Schoolの生徒達の中でも優秀だが、まだCClass adventurerに匹敵する程度だ。AClass adventurerでも簡単に倒せないmonstersが出現するDungeonの調査は荷が重すぎる。……SClass adventurerであるRandolphと、Vandalieuがいるなら問題ないだろうが。

 しかし、それならRandolphVandalieuで行けばいいだけの話だ。Elizabeth達がいる必要性がない。


「いえ、Elizabeth -sama達のlevellingになりますし、中止になったDungeonの長期探索実習の代わりになります」

 長期探索実習は、Hero Preparatory Schoolで一週間程Dungeonの中で過ごす実習である。夏に予定されていたが、今回の事件のimpactで中止となっている。


「まだ暫く休校が続くそうですから、その間に力を蓄えて休校明けにAlexを追い越しましょう。休みの間こそchanceです」

「あ、あんた……もしかして、まだ学校に通うつもりなの!?」

 Elizabeth達がDungeonの調査に必要な理由というか、Elizabeth達がいなければならない理由に気がついた彼女は驚いて目を丸くした。


 Vidal Magic Empire Emperorであり、『Demon King Slayer』の『Savior』であるVandalieuはなんと現役Hero Preparatory School生を続けるつもりだったのだ。

「それはそうでしょう。単位を全てとっていたとしても卒業は秋ですし。さあ、首席卒業を目指して頑張りましょう」


Adventurer’s Guildに圧力をかけたみたいに校長senseiに言ったら、即座に主席卒業できると思うけど!?」

「エリ-chan! そんな横暴な事おkaa-sanは許しません! -chanと自分の力で卒業しなさい。エリ-chanならできるわ。ねぇ、あなた?」

「そうですよ、Elizabeth -sama


「ありがとう。でもそういう事じゃないのよ、お母さま! それと国運営とか復興事業とかはどうするのよ!? 後その他いろいろやらなきゃならない事があるんでしょう!? 学生なんてやっている暇があるの!?」

同時並行で進めるから問題ありません。そして、時間は作るので大丈夫です。……幸い、俺の数も増やせそうですし」


 おそらくMeorilith校長は今すぐにでも卒業してほしいと考えているだろうが、VandalieuElizabethが叫んでも卒業するまで在学し続けるようだ。

 Orbaumを占拠するChaosは、最短でも秋まで居残るつもりのようだ。




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Job解説:Hell World God Mage Luciliano


 【Death-Attribute Mage】、そして【Hell King Mage】の上位Jobと思われるJob。上位Jobのさらに上のJobを出現させたこと自体は、珍しくない。たとえばVigaroのような【Axe Warrior】、【Axe Master】、【Great Axe Master】等だ。

 しかしJobだけではなくskillSuperior Skillのさらに上のskillまでAwakeningさせた場合は、大変珍しい。




Job解説:Hell Demon King Luciliano


 おそらく、Undeadを大量にTamerしている【Demon KingJob経験者が就く事ができるJobと考えられる。ただ、我々はDeath-Attribute Magicを使えないDemon Kingという存在が思い浮かばないのだが……GuduranisはことさらUndeadを好んでCreationし、使役していたというrecordは残っていないので、そういうものなのだろう。




Job解説:Pandemonium Luciliano


 体内に軍勢を収納する事ができるJobか、自身のBodyから戦力として使えるCloneや僕を創り出す事ができるようになるJobだと思われる。

 どちらも師Artisan以外が就くのは難しいJobである。【Qliphoth】に就く前にこのJobに就いていたらどうなっていたのか、若干の興味がある。



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