激痛のあまりfaintedする事すらできない生きHELLを、Bodyを持たない神も味わう事ができる。身をもってそれを証明したRodcorteは、まだ起き上がる事もできず、倒れ伏したまま考えていた。
Rokudou Hijiriだけではなく、Ghostと化したMoriya達、計七名のReincarnatorの魂を一度に食われた激痛はRodcorteを打ちのめしていた。
(Guduranisは、結局Vandalieuに食われてしまった。こうなるのだったら奴の言う通りにするべきだったか?)
それは自分が襲われる危険性を考えて、自身が管理しているsealedをGuduranisの元に届けなかったことだ。
のど元過ぎれば熱さを忘れるという言葉通りだ。しかし、実際あのGuduranisはVandalieuを倒す可能性があるという意味では、貴重な存在であった。【soul fragment】もそうだが、AbsorptionしたRokudou Hijiriと狂った彼の配下のGhost達、そしてEdgarのStatus。さらに【Demon King Fragment】で構成されたBody。問題点もあったが、それらが合わさって力を発揮していたのも事実だ。
同じ戦力を創りだそうとしても、難しい……いや不可能だ。【soul fragment】とReincarnatorの魂だけではない。【Demon King Fragment】に関してもそうだ。
Orbaum Elective Kingdomの【Demon King Fragment】は、ほとんどVandalieuにAbsorptionされてしまった。残っているのは、Telkatanis Prime Ministerが集められなかったfragmentだけだ。
【Demon King's Arm】は、【右手親指】や【左手小指】、【左手の掌】等がintegrationした結果【Demon King's Arm】となったもの。【Demon King's Brain】も【Demon Kingの小脳】や【大脳】、【前頭葉】等がintegrationして【Demon King's Brain】になったものだ。
まだ腕や脳の【fragment】は存在するかもしれないが、なくても他の【fragment】が補える程度のものでしかないはずだ。
GuduranisのBodyは、Mythでは千々に引き裂かれたと記されている。しかし、それは当然だがBodyの【fragment】が千ある事を意味しているわけではない。千々とは、細かく分かれた事を意味する形容詞に過ぎないのだ。
Demon King Army RemnantsがGuduranisのrevivalを企てる可能性があると、当時のBellwood達は真剣に警戒していたので、accurateな【fragment】の数をrecordして広めるわけがないのだ。
そして、Lambda worldでもっとも繁栄しているのが Bahn Gaia continentである。そのContinentの三分の一を治めるOrbaum Elective Kingdomには、それだけ多くのfragmentが存在していた。しかし、今やほとんどVandalieuにAbsorptionされている。そしてVida側が管理していたfragmentは、既にAbsorptionされているだろう。
つまり残っているのは、 Bahn Gaia continentの残り三分の一を支配するAmid Empireとその属国に存在する【fragment】だ。
十分なBodyを【Demon King Fragment】で構成するには、Amid Empireに存在する【fragment】を殆どかき集めなければならないだろう。
(もっとも、それを行ったところで【Instinct】と【Memory】もなく、Statusの恩恵を受けていないGuduranisに勝ち目があるのか否かが問題だ。
まさか、Vandalieuが【fragment】を完全に自分の一部にするとは……何故十万年前に現れなかった!?)
そう内心の苛立ちをDivine Realmの床に拳を何度も叩きつける事で表すRodcorteだが……そもそも時系列的にVandalieuが十万年前に現れるのは無理がある。
Guduranisに砕かれたZakkart、Ark、Solder、Hillwillowの四人のsoul fragmentを、ほかならぬRodcorteが一つに纏め、十万年の間EarthでCircle of Reincarnationを繰り返させる等の経緯の末に誕生したのがVandalieuなのだから。
『っ! そうだ、今はそんな事を考えている場合ではない……!』
我に返ったRodcorteは、理不尽なventを止め立ち上がろうと足掻きだした。
『この件を、どうにか誤魔化さなければならん! Aldaが追及に来る前に何か手を考えなければ!』
いや、無理だろ。そう遠くでFamiliar SpiritとなったAran達が呟いたのも耳に入らない程、Rodcorteは焦っていた。
Edgarに【Demon King's Powder】を施した件は、まだ何とかできるだろう。魂が傷ついたEdgarの治療をRodcorteに任せたのはAldaであるし、現役に復帰できるように……しかもできるだけ早くなんて無理な注文をしてきたのもAldaだ。
自分はそれに応えただけ。だが、【粉】とはいえGuduranisの魂の一部を使った事を黙っていたのはたしかに悪かった。そう謝罪する余地はある。そう、Rodcorteは思った。
しかし、Rokudou HijiriにGuduranisの【Instinct】と【Memory】を施し、わざわざ【Demon King Fragment】のBodyを用意するのに協力までして、それを詰問に来たAldaに嘘をついて騙したことには弁解の余地がない。
Rokudouが……GuduranisがVandalieuを殺し、そして彼が治める国の民を殺し尽くしてくれていれば、Rodcorteは『Lambda』worldの住人に殆ど認知されていない存在に戻り、『Lambda』から高跳びする事ができた。もしそうだったらAldaがどう思おうが、『Lambda』worldがどうなろうが……結果的に滅亡したとしても知った事ではなかった。
Circle of Reincarnation systemが担当するworldの一つが消えるだけ。一度は『Earth』や『Origin』ごと切り離す事を決めたworldだ。失わないで済むならラッキーだが、失う事になっても惜しくはない。
だが、その未来は絵に描いた餅のまま。今のconditionで形ばかりとはいえ、Aldaとの協力関係が崩れるのは不味い。
(もはやminionsになりえるReincarnatorは、Rokudouが消滅した事で茫然自失になったままのDa Longただ一人。私だけではVandalieuを殺すための戦力を集められない。AldaとそのSubordinate Godに全て任せる事になる。
Guduranisの口から、私がVandalieuの命だけではなく奴の民の命まで狙っている事を知られた! Vandalieuは、いつか必ず私を殺しにやってくる!)
VandalieuがRodcorteのDivine Realmに侵入する事ができるのか、できたとしても複数のworldのCircle of Reincarnation systemを管理するRodcorteを滅ぼすような暴挙を犯すのかは不明だが、否定する材料もない。そもそも、Vandalieuが暴挙を犯そうが、Rodcorteが消滅しても問題が起きないよう何らかの工夫をしてから彼を滅ぼそうが、Rodcorte本人にとっては関係ない。滅ぼされる事に変わりはないのだから。
Rodcorteが生き残るには、生き残ったHeinz達をさらにEnhanced (1)してVandalieuを倒させる事がもっとも現実的で可能性のあるpolicyなのだ。
『Rodcorteよ……』
その時、Divine Realmに威厳のある声が響きAldaが姿を現した。
(もう来たのか!?)
まだ何も思いついていないRodcorteは狼狽えたが、何とか口先で時間を稼ぎその間に策を考えようと顔を上げた。
『Aldaよ、まずは私の話を――』
顔を上げたRodcorteの視界に入ってきたのは、青白い顔をしたAldaと彼の腕。そして自分の顔面に振り下ろされる杭だった。
耳を劈くようなscreechをあげていたRodcorteが、Divine Realmの床で痙攣するだけになるのを見てAldaはようやく振り上げていた腕を降ろした。
『怒りのままにthrust刺したが……まさか、『Lambda』のGodsにしか効果の無いはずの我がDivine Authority『Pile of Law』がRodcorteに効くとは……』
AldaはRodcorteに騙されていた事に気がつき、しかも Guduranisがrevivalしてしまった事で激怒した。そして、そのままRodcorteに杭を振り下ろした。Divine Authorityが効くとは思っていなかった。ただ、怒りをぶつけずにはいられなかったのだ。
『そういえばGuduranisが言っていた……Vandalieuを殺すだけではなく、奴の国を亡ぼすと。なるほど、RodcorteはVida's New Racesに認知され、このworldの神となっていたのか。
だから、追い詰められ焦っていたのか?』
何本も杭が刺さっているRodcorteに、問いに答える余裕はない。しかし、そういう事だろうとAldaは納得した。
それよりも、先に確認するべきことがある。場合によっては、全ての杭をすぐに抜かなければならない。
『RodcorteのFamiliar Spiritよ! 答えよ!』
『は、はいっ! 何なりと!』
『Lambda』では見ない奇妙な服を着た男のFamiliar Spirit……Endou KouyaはAldaの前に参じた。それはもしAldaが自分達にまで怒りを向けた場合、自分が犠牲になってsystemにより習熟しているAranと泉を逃がすためだったが……それは杞憂に終わった。
『Circle of Reincarnation systemは、我がDivine AuthorityがRodcorteを罰している間も問題なく作動し続けているか?』
Rodcorteに何度も杭をthrust刺した事で溜飲が下がったのか、AldaはKouya達が考えていたよりもreason的だったのだ。
『はい。問題なくというか……問題が発生した場合はRodcorteの手入れや整備が必要ですが、問題が起きなければ、このままでも暫くなら問題ありません』
RodcorteのCircle of Reincarnation systemの完成度は高い。Rodcorteが活動不能のconditionにあっても、自動的にCircle of Reincarnationを行い続ける事ができる。さらに、Familiar SpiritとなったKouya達がsystemの扱いに習熟してきたため、簡単なmaintenanceやerrorへの対処なら彼等だけでも可能だ。
ただ、今回はその完成度の高さがRodcorteの不運に繋がった。
『汝の言う問題、そして暫くとは?』
『問題とは、Vandalieuが魂を消滅させた場合です。ただ、それでも暫くの間なら誤魔化せます。
暫くとは、数年から十年ほどです』
『それは『Lambda』だけではなく、RodcorteがCircle of Reincarnationを管理する全てのworldもか?』
『はい、全てのworldのCircle of Reincarnationも同じです』
『なるほど……なら、杭を抜く必要はないか』
AldaはRodcorteがいなくても問題がない事を知って、杭を抜くのを止めそのままにすることにした。もし、Circle of Reincarnation systemがRodcorteのmaintenanceを頻繁に必要としていたら、Rodcorteが味わうのはHELLのような激痛とhorrorだけで済んだのだが……。
『では、お前達にはこれから暫くの間Circle of Reincarnation systemの管理をしてもらう。主であるRodcorteを助け出そうとしても無駄だと思え』
『分かりました! 無駄な事は考えず、Circle of Reincarnation systemの維持管理に集中します! では!』
Kouyaはそう一礼すると、systemの元に戻って行った。本来なら主であるRodcorteの身を案じる筈だが、その-sama子が全くないその態度に、Aldaは逆に戸惑いを覚えた。しかし、Rodcorteの人徳の無さ故だろうと考えた。
『Familiar Spiritとすら良好な関係を築けないとは……。だが、Circle of Reincarnationの問題は暫くの間はどうにかなった。これでRodcorteや、奴のReincarnatorに頭を悩まされる事はなくなる。
後はHeinz達とHero Candidateか……Heinzの目が覚めたのはせめてものFortuneだが、Edgarを喪ったのは痛い。それに、Orbaumを信仰的に失うかもしれないとはな』
Heinz達を育てるためにDungeonを創ったため、Aldaは地上にAdventする力の余裕を失っていた。それに、AdventしてGuduranisと戦っていれば、Vandalieuに攻撃される危険性があった。
だが、それをOrbaumの人々に理解しろというのは無理がある。彼等の目には、Vandalieuは『Savior』に見えただろう。
その実態がどれほど悍ましく、邪悪であったとしても。実際に、彼らはVandalieuに助けられたのだから。
Heinz達もAlda's FactionのGodsのbelieverとして戦ったが、その活躍はVandalieuと比べると圧倒的に小さい。幸いGuduranisがrevived経緯は、明らかになっていない。Edgarの事も、悲劇として伝わるだろう。しかし、地上で戦っていたHero Candidate達のMemoryに残るのは、「Edgarが死んだ」という悲劇だけだろう。
Hero Candidate達も、【Rodcorte’s Divine Protection】を得させていたGodsについて不信の念を抱いているようだ。Rubicanteの以前のHero Candidateのように、彼らの内何人かは切り捨てる事になるだろう。
そして、切り捨てるのはOrbaum Elective KingdomのいくつかのDuchyもだ。
『本来の予定では、Amid EmpireとOrbaum Elective KingdomをHeinzとEileekを中心に纏め、戦力を集結させて対Vandalieuに当たらせる予定だったが……Amid Empireを主に進めるしかないか』
Heinz達はNineroadが、Orbaumから離れた場所に逃がした。そのままAmid Empire側に逃げ延びるようOracleで伝えるとしよう。
後はAmid Empire側にHeinz達を受け入れるよう、新PopeのEileekにもOracleを出さなければならない。Heinz達は、生まれはAmid Empireの属国であるMirg Shield Nationだが、建国以来の敵国に活動の拠点を移しHonorary Noble位まで得ている。それを知っている者の中には、彼らを国賊と呼んでいる者も多い。
だが、Bellwoodを眠りから呼び覚まし、彼のHoly Swordを携えている事を知らしめればAmid Empireの人々の彼に対する見方も変わるだろう。いや、変えなくてはならない。
Aldaは早速HeinzにOracleを下した。
《【Labyrinth Creation】skillのlevelが上がりました!》
《【Group Shadow Binding Technique】が、【Demon World Binding Technique】にAwakeningしました!》
Guduranisを倒し、Heinz達に逃げられたVandalieu達は早速事後処理に動いていた。
「……見ろ、『門』がカルガモの雛のようだ。どうやら、私はFatigueのあまり目がやられてしまったらしい」
「Hendricksen -san、しっかりしてください。あれは現実です」
『とりあえず、薬草茶でもいかがですか?』
口を半開きにしたHendricksenと、彼を気遣うArthurとDemon King Familiarの前を、Vandalieuが『門』を引き連れて歩いていく。
「できれば、こういう事はしたくなかったのですが。これもすべてRokudou……Dark Avalonが悪い」
RokudouがOrbaum中に出現させたDungeonの『門』は、Rokudouと彼を乗っ取ったGuduranisが消滅しても、そのまま残り続けた。
そして『門』の向こうのDungeonも、健在である。現時点では殆どmonstersは駆除されているが、時間が経てばまた出現するはずだ。
それをどうにかしなければ、Orbaumの再建復興は不可能。しかし、Dungeonを破壊して機能を停止させることはできない。
『AldaのTrial's Dungeon』や『Trial of Zakkart』のように、Dungeonを管理する者が存在するならそれを滅ぼせば、Dungeonの機能を停止させることができるが、そうでないならVandalieuでも階層に穴を開けるだけだ。
そのため、Vandalieuは【Labyrinth Creation】skillで『門』を一か所に集める事にした。そして、『門』を一つ残して他の『門』をDungeonの中に入れてしまう。
Dungeonの中にDungeonの出入口がcountlessに設置されるという複雑な事になるが、これで外界と繋がる出入口が一つしかない普通のAClass Dungeonになる。
Dungeonの出入口を動かせることを明らかにするのは、Vandalieuとしては抵抗があったが……既に色々やらかしているので、今更気にする事もないだろうと開き直る事にした。
そのShelterに避難した人々は、一部の例外以外はまだ外に出ていない。瓦礫だらけの外へ慌てて出すよりは、Shelterで過ごしてもらった方が安全だし、火事場泥棒などの犯罪が起きる危険性がないからだ。
ちなみに、食料はOrbaum中にあふれかえっているmonstersの死体をDismantlingして調達している。
「Hendricksen! いつまでも現実から逃げるな! 肉を捌く作業に戻れ!」
「いくらやっても終わらない……何故かboneが抜かれている死体が多いから、普段よりは楽だが」
『食材に使わない素材は纏めて買い取るので、ここに集めるように!』
「買い取れるのか、こんなにたく-sanの、しかも高Rankのmonstersの素材を。Adventurer’s Guild、破産するんじゃないか?」
Islaの声に、Dismantling作業をしているadventurerの一人が思わずそう呟いた。彼がそう心配するのも無理はない。
Rank7のmonstersの素材でも大金で売れるのに、Rank10を超えるlegendにしか存在を記されていなかったmonstersが数えきれないほど出たのだ。損傷が激しく使い物にならない死体もあるが、それでもそんなlegendのmonstersの素材の山ができている。
買い取るのに何千万……何億Baum必要になるか分からない。
「いや、国から補助金が出るだろ」
「その国もこの有-samaだぞ?」
男の言葉に隣で皮から肉を削ぎ落としている男が反論する。しかし、そう言い返されては男も「そうだな」と言うしかなかった。
今朝まで存在した街並みは半分が瓦礫に、そして残りは建物としての形は残っているが半壊conditionでそのままではとても使えないconditionだ。特にslumsは壊滅conditionになっているらしい。originally、廃屋と区別がつかない建物ばかりだったから仕方ないが……。
奇跡的に無事な一角もあるが、無傷の建物はSilkie Zakkart Mansionのような例外を除けばほんの一部しかない。その中でも不思議な事に、Elected King城は崩れることなくその威容を保っているのがfrom here見えるが……。
(いや、Elected King城ってあんな形だったっけ? 塔の数が増えた……いや、場所が変わっているような?)
すっかり-sama変わりしたOrbaumの風景を眺めていた男は、ふと見慣れていたはずのElected King城の形が変わっているような気がして、首を傾げた。
(いや、気のせいか。城壁も穴だらけだし、空にGiantな帆船やchunk of meat、Centipedeに龍が浮かんでいる異常事態だ。城はGuduranisとの戦いの真下にあったのだし、形が変わる被害が出ても当然だろう)
男はそう意識を逸らし、別の事を口にした。
「それにこれからどうなるんだ? 『Five-colored blades』もどこかに消えたまま帰ってこない。それに……あいつら、揉めていなかったか? 『Savior』と」
「……分からん。離れていて声は聞こえなかったし……」
男達は、Hendricksenと同じHero Candidate……Alda's FactionのGodsからblessingsを得た者や、その仲間だった。そのためRodcorteがGuduranis revivalの原因と聞いて不安を覚え、そして『Five-colored blades』と『Savior』Vandalieuが揉めていたらしい事を知って困惑していたのだ。
Alda believerのHeinzとVida believerのVandalieuが、平時なら揉めるのはおかしい事ではない。しかし、Demon King Guduranisを倒したVandalieuと、しかも倒した直後に揉めるのはどうなのか? たとえ信じる神が異なっていても、worldが救われた事を共に喜ぶべきではないのか?
そもそも、Heinz達はVida believerとVida's New Racesとの融和を主張するAlda Reconciliation Factionだ。そのHeinz達がVidaに『Savior』と称えられたDhampirのVandalieuとtroubleを起こすのはどうなのか。
考えれば考えるほど、彼等にはHeinzが何を考えているのか分からない。もっとも、GuduranisとVandalieu達が空で戦っている間、彼らは地上で……それもVandalieu達から離れたところで戦っていたので、状況を把握している訳ではないのだが。
Guduranisのrevival宣言や咆哮、そしてVidaがVandalieuを称える声は聞こえたが、状況や経緯をしっかり確認できたわけではないのだ。だから、何か事情があったのかもしれない。もしくは、自分達が誤解しているだけの可能性もある。
しかし、事情を問うべき『Five-colored blades』はどこかへ……それも、神の力でどこかへ去ってしまった。
だが、男達が奉じる神からは指示を下すOracleはない。
「Hendricksen! Arthur! お前達は何かOracleを受けてないのか!?」
不安をAcceleration度的に増した男は、堪らず近くにいた頼りになる相手にそう尋ねた。
「いや、何も受けていない。だが、こうは考えられないか? 神は、今は我々に何も語る必要はないと言っているのだと」
最初に応えたのは、Hendricksenだった。Vandalieuが、本来不動のはずのDungeonの出入口を移動させるという信じがたい光景から立ち直った彼は、すっかり冷静さを取り戻していた。
「な、何も語る必要はない!?」
「それは、どういう事だ!?」
Hendricksenの言葉をオウム返しに言い、さらに質問を飛ばすHero Candidate達。彼等に次に答えたのはArthurだった。
「revived Guduranisは、無事倒された。そして我々は街の再建と復興のために、できる事をしている。これで十分ではないでしょうか」
Arthurの強面に慣れたHero Candidateの男達は、はっとした。
「なるほど、そういう考え方もあるのか」
「確かに……今はそんな事をしている場合じゃないな。後で機会があれば、『Savior』やIsla -san達に聞けばいいし」
そう話しているのを聞き流しながら、Vandalieuは『門』を一か所に集めていく。
「旦那-sama、二つお尋ねします。一つは……『Five-colored blades』やAlda's FactionのGodsを非難しなくてよろしいのですか?」
秘書のように横について歩いているBellmondにそう尋ねられたVandalieuは、magicで自分達の声が他に届かないよう防音を施してから、「ええ、しません」と頷いた。
「accurateに言うなら、今はまだ俺達がする必要はありません。Vida believerの俺達がAldaやそのbelieverのHeinzを、積極的に非難すれば、人々の反感を買ってしまいます。
避難していた人々は、何があったのか見聞きしていませんから」
Vandalieuのお陰で命を助けられたOrbaumの人々だが、だからといってVandalieu達の言葉を妄信してくれる訳じゃない。特にAlda's FactionのGodsを信仰している人々は、Vandalieu達が一方的にAlda達Godsを非難し、Heinzを糾弾しても信じるどころか疑いの眼差しを向ける者が少なくないはずだ。
彼らにしてみれば、突然今朝まで平和だった町がmonstersに襲われて命からがら避難したばかりだ。それで信仰しているGodsを非難されても、訳が分からないだろう。
Vandalieu達にとっては明白な真実でも、人々にとっては違うのだ。彼等を信用させられる証拠があるわけでもないのだし。
「ただ、俺達は穏やかに、人々に分かりやすい『事実』を話せばいい。EdgarにGuduranisの【粉】が施されていた事は、秘密にしておきましょう。
Islaが広めてくれたDark Avalon、Asagiが漏らしたRodcorte、そしてこれから再建と復興をしなければならないOrbaumから去った『Five-colored blades』……俺達が声を張り上げなくても、人々がどう思うかは明らかでしょう。それに……積極的に非難する役は、外注する予定ですし」
「なるほど。今頃Knochenの中で話し合っている彼らですか。
それに、Guduranisを倒した『Savior』である旦那-samaや我々がOrbaumの再建と復興に尽力すればするほど、人々は好意的になり、UndeadやDemonに対するimageも変わるという事ですね」
「そうです。それで、もう一つは?」
「はい……私のbloodは、いつ吸っていただけますか?」
頬を僅かに染めて尋ねたBellmondに、Vandalieuは首を傾げた。
「その、事前に採bloodしてJeenaやBorkusに注入した私のbloodを飲んでいただいた事は既に聞き及んでいますが……やはり、旦那-samaに直接吸っていただきたいので……そういえば、Zadiris達にはfangsではなくproboscisでbloodを吸ったそうですが、何か意味があるのですか?」
「いえ、ただ細いproboscisの方がfangsよりも痕が消えやすいかなと思っただけです。Zadiris達には【Rapid Regeneration】skillがありませんから。
それでBellmondのbloodを吸う機会ですが……この後、Dungeonの門を一つにして出入口の周りを整備したり、その後Orbaumの街を守る城壁を【Golem Creation】で元通りにしたり、いくらでもManaを使うのでその後にしましょう」
瓦礫をGolemにして建物を直せるVandalieuだが、Orbaumの街全体をそれで直すつもりはなかった。Architecture業者が失業しかねないし……後々面倒だからだ。
急いで整備が必要なDungeonの出入口周りや、城壁、後は各guildの建物等は行う予定だが。
「後はSlum街の整備事業ですね。では私やPauvina、GizaniaやPrivel、Myuze、Eleonoraのbloodを吸う機会も早く回ってきそうで、安心しました」
「……皆、anemiaになっても知りませんからね」
本来なら、『Savior』であってもHonorary Earlの子息でしかないVandalieuが、Royal Nobility達の許可もなく事業を進めていい訳がない。ただの修理ならともかく、Slum街の整備事業などもってのほかだ。
だが、問題にならないだろうとVandalieu達は確信していた。何故なら……もうCorbit Elected King達から了解を得ているからだ。
所々崩れたElected King城の前に聳える、白い城……変形したKnochenによる万bone宮-donoの広間に設置された、countlessのboneを組み合わせて作ったGiantな円卓を、Shelterから外に戻った一部の例外であるCorbit Elected KingやDolmad Marshall達は囲んでいた。
彼らは一-samaに顔色が悪く、中には死人のように土気色の肌をしたものや、ガタガタと小刻みに震えて用意されたお茶を飲む事もできない者もいる。……中には強い苛立ちを堪えている者や、怒りで顔が赤くなっている者もいたが、それは少数派だ。
「では……Orbaum Elective Kingdom緊急会議を行う」
Corbit Elected Kingの声にも、心労が濃く出ていた。
「願わくば、これがOrbaum Elective Kingdom最後の会議にならぬよう、各々wisdomを絞ってほしい」