Edgarは『AldaのTrial's Dungeon』での戦いで、Vandalieuに魂を著しく傷つけられていた。その治療を『God of Law and Life』Aldaに依頼された『God of Reincarnation』Rodcorteは、EdgarにDemon King Guduranisの魂の一部を使った。
Rodcorteが何故そんな恐ろしい事をしたのかというと、彼にとってEdgarに使用したGuduranisの魂の一部は、脅威や危険を覚えるような存在ではなかったからだ。
Guduranisの魂をいくつものfragmentに分ける際に出た、意味の無い微細な断片。いうなら、【Demon King Guduranisの魂の粉】だったからだ。
魂を金属や木材に例えるなら、裁断する際に出る細かな金属屑やおが屑のようなものだ。当然、そんなものにたいした力はなく、Edgarの魂に施したのも傷口を塞ぐ接着剤代わりに使っただけだった。
その結果は、魂の専門家であるRodcorteの施術はたしかであるため、Edgarは廃人になるか回復してもadventurerとして復帰するのは難しいという見立てに反して、しかも短期間で復帰する事ができた。
その後、Demi-GodとなったRokudou HijiriをreincarnationさせるためのBodyとして、Demon King GuduranisのBodyのfragmentを使った。Rokudouの魂にGuduranisの【Instinct】と【Memory】を移植し、他者の魂を砕かないようCurseをかけて。
その際も、Rokudouを『Lambda』にreincarnationさせた時は上手くいっていた。
しかし魂の専門家だと見込んだAldaも、そしてRodcorte自身も誤っている事があった。それは、Rodcorteは通常の魂……Humanや動植物の魂の扱いには熟練していても、Guduranisのような通常の生物とは異なる存在の、異形の魂の専門家ではないという事だ。
Rokudouの経験の補強や、Death-Attribute Magicを開発する助けになるだろうという程度にしか思わなかった【Memory】には、その当時のGuduranisの思考やemotionsが克明に刻まれており、それはRokudouが【Memory】から情報を引き出した時も変わらなかった。
Rokudouの戦闘の勘を補助し、【Demon King Fragment】でできたBodyを操るために必要な潤滑油程度にしか考えられていなかった【Instinct】は、生き残るために狡猾にRokudouを誘導し、動かした。Rokudou Hijiriの【Instinct】ではなく、あくまでもGuduranisの【Instinct】として、生き延びるために。
そして、Rodcorteにとってもっとも計算外だったのは、Rokudouに施した【Instinct】と【Memory】が、Edgarに施した【粉】とお互いの存在を感知してCoordinationしていた事だ。originallyは一つの魂だったとはいえ、裁断され別々の存在の魂に宿したそれが通じ合うなど、Rodcorteにとって想像の埒外だった。
そしてGuduranisはRodcorteやAldaに気が付かれることなく、RokudouとEdgarを一つの戦場に集める事に成功した。それからは幾度か失敗したが、RokudouにEdgarを殺させる事に成功したのだ。
(なんだ、俺から何かが抜けて……俺? 俺は、誰だ? Edgar? Luke? 何故こんなところで胸に風穴を開けられている? ……ああ、そうだ。俺はadventurerで、今日はHeinzと、Delizahと、Rileyと、Martinaとguildに……)
Edgarの魂の傷を埋めていた【粉】が、Rokudouの魂にAbsorptionされていく。残ったのは深く傷ついたEdgarの魂と、Heroic spiritであるLukeのsoul fragmentだけ。
それも、EdgarのBodyが死を迎えつつあることにより、意識を急速に混濁させていく。
【戻ってくる! 我が意志が、emotionsが、思考が! わずかだが戻ってきた!】
【粉】をAbsorptionし、FusionしたGuduranisの【Memory】と【Instinct】は歓喜に打ち震えた。【粉】はたしかに魂を裁断した時に出た屑のようなものだった。だが、その屑は魂の各部分……【意志】や【emotions】、そして【思考】、そのほかの-sama々な部分の一部だったのだ。
【粉】だけなら、Rodcorteが考えていた通り何の力もない……それこそEdgarを微かにEnhanced (1)し、その人格にimpactを与えるだけだった。だが、他のsoul fragmentとFusionする事でそれぞれの部分としての機能を取り戻した。だが、やはり元に戻るには圧倒的に量が足りない。
しかし、それを補う存在は既に用意されている。
『な、なん……だだだあ?』
(なんだっ!? 何が起きている!?)
Rokudou Hijiriは混乱の極致にいた。体が勝手に動き、言葉が思うように紡げず、emotionsが入り乱れ強烈な吐き気と不気味な高揚感、そしてwhole bodyが端から欠けていくようなゾッとするLost感が彼のMentalを満たしていた。
『こおれええええはああああああっ!?』
(か、体が……体が遠い!?)
感覚がBodyから切り離されていく。視界が、まるで映像を映し出されているスクリーンを見ながら後ろに下がっているように、遠のいていく。
(どういう事だ!? 私は、Demon King Guduranisの力を手に入れたのではなかったのか!? そしてこのworldで唯一の神に――)
【そうだ! お前は我の力を手に入れ、このworldで唯一頂点に立つ最強の神となるのだ!】
(この声は、まさか――!?)
遠くなっていくBodyの感覚とは逆にこれまで以上に大きく響いた声に、Rokudouは覚えがあった。Vandalieuとの戦いの中で目覚め、しかし自身のreasonによって完全に抑えられていると考えていた……思い込んでいた声。
(まさか、貴-samaはGuduranis!? BAKANA、何故だ、私はGuduranisのsoul fragmentを完全に制御できていたはずだ!)
【そう、我は貴-samaに制御された……されたと偽っていたのだ】
(なんだと!? BAKANA、思考やreasonを伴わないただの原始的な【Instinct】にそんな狡猾な真似ができるはずがない!)
【何故そう考えるのだ? 貴-samaが生まれたworldにも、原始的な生物にもかかわらず生存のための小賢しいwisdomを持つ存在は腐る程いるだろう? 例えば、天敵を前にして自身の死を装うなど。
それに、貴-samaの魂には【Memory】も埋め込まれていた。我の遥か過去の【Memory】にある行動を行った事に何の不思議がある?】
RokudouはGuduranisの言葉に寒気を覚えつつも、納得していた。今まで彼は、Rodcorteから教えられた【Demon King Fragment】の知識から、全てのfragmentはrunawayするしか能のない存在だと思い込んでいた。それこそ、【思考】だとか【知性】だとかそうしたsoul fragment以外は、知性らしい知性を持てないconditionだと思い込んでいた。
【Instinct】のfragmentが、runawayしているのにrunawayしていると気がつかれないように……まるで偽死でもしているように、静かにじっとしている事ができるなんて考えもしなかった。
(わ、私を利用していたのかっ!)
【はははははは! 盗人猛々しいとはこの事だ! 我が魂とBodyを利用しようとしたのは貴-samaとRodcorteではないか! 恨むなら、我を御せなかった自身の無力さ、そしてRodcorteの見通しの甘さを恨むがいい!】
(お、おのれ! このままrevivalできると思うな! Bodyの主導権を必ず取り戻してやる!)
despairの予感が這い上がって来るのを感じながらも、Rokudouはその頭脳でGuduranisからBodyの主導権を取り戻す方法を模索していた。
(Edgarの魂に仕込まれていた微細なsoul fragmentを取り戻した程度がどうしたというのだ!? そんな塵のようなものを加えた程度で、私から主導権を奪い取り、封じ込める事ができるとでも思っているのか!?)
Rokudouはこの事態をdespair的だと思っていても、まだ詰んではいないと考えていた。何故なら、GuduranisにBodyを乗っ取られただけだと思い込んでいたからだ。
あくまでもGuduranisはInfestしているだけで、主は自分であるという認識は揺るがなかったからだ。
【取り戻す? 主導権を? くくくっ、何を言っているのだ? まさか、我の声がどこからするのかまだ気がついていないのか?】
(何を言って……まさかっ!?)
破滅的な寒気を覚えながらRokudouはGuduranisの、あの不快な笑い声がどこからするのか周囲を見回そうとした。
すると、気がついてしまった。笑い声はすぐ近く……自分の真後ろ……いや、Rokudou自身の後頭部からする事に。
(BAKANAっ!? そんなBAKANA!? 私がっ、私の魂がっ、貴-samaに同化Absorptionされつつあるというのか!?)
【そうだとも、Rokudou……いや、我よ!】
Rokudouの後頭部には、Guduranisの顔が張り付いていた。いや、そうRokudouが認識した途端、彼はそれまでの認識が間違っている事に気がついた。
(そんなっ! これはどういう事だ!?)
Rokudouがeyeballを動かして自身を見下ろすと、そこには自分の背中があった。そう、後頭部に顔面だけが張り付いているconditionなのはGuduranisではなく、彼自身だったのだ。
(BAKANAっ! 貴-samaはっ、貴-samaは魂を喰らってAbsorptionする事はできないはず! それに、RodcorteのCurseもまだ機能しているはずだ!)
【然り! その通りだ! 我はBellwood達に敗れる前から、魂を砕く事は可能でも喰らう事は不可能だった! そして今は煩わしいCurseが我を縛っている! 力を取り戻す前の魂に直接かけられたCurseを解くことができないのは、我も憎きVandalieuと同じだ!】
だがしかしと、Guduranisは続けた。
【しかし、Rokudou Hijiriの魂は別だ! 貴-samaの魂を砕いている訳でも、喰らっているわけでもない! 我はな!】
その言葉で、Rokudouは全ての原因を理解した。
(ロド……コルテ……Rodcorteぇぇぇぇ!!)
Rokudou Hijiriの魂には、RodcorteによってDemon King Guduranisの【Instinct】と【Memory】が埋め込まれた。そう、埋め込まれたのだ。Guduranisの【Instinct】や【Memory】が、Rokudouの助けになるように。まさに、一体となるように。
だからGuduranisは、RodcorteのCurseのimpactを受けている今でも、Rokudouの魂に干渉する事ができる。何故なら、GuduranisとRokudouは同じ一つの魂なのだから。
もしBodyのfragmentが宿主であるHumanなどにするように、Infestしているだけの場合だったらこうはならなかっただろう。
【そうとも、魂の専門家であるRodcorteのお陰で貴-samaは我と一つになる栄誉を得たのだ! だが、貴-samaも我を利用しようとした以上、同罪だと思うがな?】
(私は、私は神だ! 神に……!)
【そう、貴-samaは神だ! 脆弱なHumanの魂ではなく、我の一部として機能する事に耐える事ができる、神の魂だ! 貴-samaのwisdomが、emotionsが、reasonが、我のsoul fragmentを繋ぐのだ!】
(そんな事が、認められるかぁぁぁ! Guduranisッ、私は、私は貴-samaの踏み台にはならない!)
Rokudouは魂の主導権を取り戻すべく、全力で立ち向かった。短い間に魂での戦い方を学び取り、Guduranisに抵抗しようとする。
【おっと】
それに対してGuduranisは大きく引いた。魂の主導権を一気に半ば以上取り戻したRokudouは大きく安堵した。
(やっ……ぐぎゃあああああああああっ!?)
そのRokudouの魂に戻った部分に、Vandalieuの【God Devourer】skillの効果がのった【Death Cannon】や【Hollow Cannon】が炸裂する。
Rokudouの魂がどんなconditionなのか知らないVandalieuが、不気味な痙攣を始めたRokudouに攻撃を行ったのだ。
【はぁっははははははははは! おかげでAbsorptionしやすくなった! Rokudou Hijiriよ、貴-samaが裏切り利用した者達へしていたように感謝しよう! 我が踏み台となった貴-samaに! これほど愉快な気分にさせてくれた貴-samaに!】
思考もままならないconditionになったRokudouは、そのGuduranisの声を最期に……Guduranisの一部となった。
そして、Guduranisの意識は外界に戻った。
『わっ、たしっわれれれれぇぇえええええはあ! ふっ、revivalっ! ついにrevivedぞ! 我こそは、『Demon King』Guduranis!』
高らかに自らの名を宣言する。sealedされる前は、わざわざそんな事をしなくてもこのworldの神と人がhorrorとdespairを浮かべながら叫んだ事を。
醜く汚らしい澄んだ青空と、ぬるくて不快な初夏の大気。それですら、今は爽快な気分だった。Vidaを降ろしている女や、Edgarの仲間だったHeinzが愕然としているのもGuduranisの気分を高揚させた。
『くはははっ! 実に――』
「ファイエル」
びしゃりと、Guduranisの顔面にbloodと脳漿、そして肉とboneのfragmentが飛び散った。
「え、Edgarっ!?」
Guduranisの腕に胸を貫かれたままぶら下がっていたEdgarの頭部が、【Demon King Fragment】製の弾丸で吹き飛ばされた。Heinz達は再び悲痛な声をあげる。
『……トドメをさせて満足か? 魂の抜けた、それも後十秒程でただの死体になる体を殺したかったのか?』
そうEdgarのflesh and bloodや脳漿を拭ってGuduranisが穏やかな口調で、しかしゾッとする程のbloodthirstを放ったまま訊ねると、Vandalieuは銃口を向けたままだが素直に頷いた。
「ええ、お前に効くかどうか分からない不意打ちをするよりも、優先すべき事でした。ただ、魂がないのはどういう事でしょうか? 奴の霊は見ていない……あなたが砕きましたか?」
Vandalieuは死につつあったEdgarの頭部を吹き飛ばしたが、その魂を喰らう事はできなかった。
『魂を砕いてはいない。我が魂の微細なfragmentを取り出した後、我が魂に逆に取り込んである。Rokudou Hijiriと同じようにな』
「なるほど。……Rodcorteは、相変わらず厄介な事しかしませんね」
VandalieuはEdgarとRokudouに何があったのか、Rodcorteに何をされたのか詳しくは知らない。ただ、RokudouだけではなくEdgarにもGuduranisの何かが仕込まれていて、彼がRokudouに殺されたのをきっかけにGuduranisが何らかの理由でrevivedのだろう。そんなconjectureをした。
つまり、Rodcorteが悪い。
だが、『Five-colored blades』達には別の意見があるだろう。少なくとも、Edgarが死んだ原因は自分にあるのは明らかだとVandalieuは認識している。何故なら、RodcorteにEdgarが何をされたにしても、その原因は『AldaのTrial's Dungeon』で自分がEdgarの魂を廃人寸前になるまで傷つけた事以外にないからだ。
よって、Heinz達が自分を睨もうが罵倒しようが構わないのだが、彼らの意見は違うらしい。Vandalieuよりも、Guduranisへ意識を向けている。彼らが何を考えているのか定かではないが、VandalieuよりもGuduranisを優先しているようだ。
(Heinz達がそう出る以上、Guduranisより奴らを殺す事を優先していい理由がない。しかたない、後にしましょう。それにGuduranisもVida達の、そして遥か昔の俺自身の仇ですし)
Vandalieuはそう諦めると、Guduranisへ改めて意識を向けた。
「それでrevivedそうですが、それがおまえの本来の姿ですか?」
姿は異形の黒い人型のまま、しかし Rokudouだった頃と比べて目つきが鋭くなり、口の両端は耳まで裂け、より凶悪な顔つきになっている。
しかし、それがMythに語られたDemon King Guduranisの姿かというと何もかも異なっている。
『そんな訳がない。我は貴-samaらと違い特定の姿に価値を見出していない故、この形状から大きく変化する理由がないだけだ。
それと、我がsealedされている間にいくつものBodyのfragmentを奪い、弄ぶ貴-samaにそれを問われるのは虫唾が走る』
実際、今のGuduranisは真の姿とは異なるformのようだ。Rokudouの姿から大きく変化しないのは、Bodyのfragmentが不完全だからか、単に変化させる意味がないからかのどちらかだろう。
「偉大なるVandalieuよ、Guduranisには特定のformはありません。その時にもっとも都合がいいformへと、変化する事が可能です」
『Demon King Armyを率いていた時のGuduranisは、私達の前に姿を現す時は王冠のような角に鋭いfangs、硬質な殻やscaleに包まれた体をして、epidermisの翼を背中に生やして外套のように見せていたわ。でも、戦いになると姿を変えて、そのたびに腕や脚、頭の数まで変えていたの』
『今なら分かるっスけど、maybe前者はこのworldの人や神に対して、自分がDemon Kingだって分かりやすくしてIntimidationしてhorror心を煽るために作った姿だったと思うっス』
『このworldに来る前は、我が知る限りはあんな分かりやすくDemon Kingっぽい姿をしたことはなかった』
『このworldに来てから、今はDemon KingのContinentと呼ばれているContinentに当時住んでいたHumanをいくつか捕まえて調べてからとるようになった姿だ』
Gufadgarn、Vida、そしてガタガタと小刻みに震えているStaff of the Five Sinsに宿るFidirgの言葉にVandalieuはなるほどと頷いた。
どうやらGuduranisは特定の姿やformに思い入れはなく、状況や用途によって使い分けていたようだ。
「まあ、お前の姿の事は比較的どうでもいいです。それよりも、revivedようですがこれからどうするつもりですか? Rokudou Hijiriの意志を継いで、俺達との殺し合いを続けますか?」
『……まるで、我の意志次第では戦うつもりはないかのような物言いだが?』
「念のための確認です。originallyいたworldに帰るとか、そのBodyを捨ててHumanか何かにreincarnationするとか、色々選択肢もありますし」
GuduranisはVida達にとって仇だが、VandalieuとしてはGuduranis本人の意思を確認しておきたかった。……VidaにとってはGuduranisよりもAldaの方が現在進行形で仇だろうし、VandalieuとしてもDemon Kingそのものに対して直接の恨みはない。
「なっ!? 正気か!? Demon Kingを見逃すつもりなのか!?」
「確認だと!? そいつが『revivalできただけで満足だ』とか、『もう戦いは止めよう』等と言うとでも思っているのか!?」
「奴から放たれるbloodthirstは、明らかにあなたに向かっていますよ!? 気がついていないのですか!?」
Heinz、Jennifer、Daianaがそれぞれ叫ぶが、Vandalieuは視線を向けようともしない。
『Shut Up、『Five-colored blades』共! Vandalieu -samaには深いお考えがあるのだ!』
「そうかなぁ? 言葉通りただの確認だと思うけど。ねぇ、Luvez」
『我は空気、我は空気、我は空気………』
騒ぎ出すHeinz達に向かってIslaが怒鳴ったが、Pauvinaの意見が正しい。Vandalieuに深い考えはない。
ただ、時間を少しでも稼げば、Sam達が行っているrescue活動がその間に終わるかもしれないと思っているが、それぐらいである。
『ふむ……たしかに。Rokudou Hijiriの知識やwisdomを手に入れ、Bellwood達に敗れる前とは全く異なる状況に置かれている現在の我には、いくつもの選択肢があるな』
Guduranisはそこまで述べて一旦言葉を切ると、自分を囲むVandalieuとその仲間、そしてHeinz達を改めて見回す。そして、選択肢について指折りながら話し始めた。
『Rokudou Hijiriに殉じて、Rodcorteとの取引通りこのまま憎たらしい貴-samaを殺し、そして目障りな貴-samaのEmpireの生きとし生けるものを殺し尽くして滅ぼし、貴-samaにtailを振る裏切り者どもを滅ぼすというのもイマイチだ。
Rodcorteも我を利用しようとした存在の一柱だからな』
それを聞いて、Vandalieu達は初めてRodcorteがVandalieuの命だけではなく、Vidal Magic Empireを滅ぼす事を狙っていた事を知ったのだった。
「……あいつはやはり滅ぼす以外にありませんね」
そう決意を新たにするVandalieuと、nod DarciaやIsla達。
『今すぐDemon King ArmyのRemnantsを纏め直し、十万年前に敗れた戦いを再び起こし、このworldを侵略するのもidiot idiotしい。下等生物の信奉者共に対して口先ではDemon King revivalと唱えながら、実際には我のrevivalを望まない虚弱な裏切り者どもに用はない』
一方、Guduranisは二本目の指を曲げながら侵略の再開を否定した。それに対してHeinz達が「本気で言っているのか?」と懐疑的な視線を向ける。
『かといって、我がoriginally存在していたworldへ帰還する事はできない。十万年前に既に滅びに瀕していたのだ、今ではworldそのものが消滅している可能性も高い。
では憎たらしい貴-samaに恭順し、配下に加わる……のもありはしない。手に入れたRokudou Hijiriの頭脳を駆使しても、貴-samaと共存の可能性は見えない』
とくに悲壮な-sama子も見せず、故郷への帰還の選択を捨てたGuduranis。十万年前に捨てたのだからoriginally未練はないのだろう。そして、このworldでVandalieuの傘下に加わる事も否定する。Demon King Army Remnantsのいくつかの邪悪なGodsと同じく、GuduranisもこのworldのHumanとは価値観と好む環境が異なりすぎているのだ。
だからこそ、monstersやmonstersを生み出すDevil Nestsを躊躇いなくこのworldに創り出す事ができたのだ。
そして、五本目の最後の指を曲げながら言った。
『ならばこのContinentから去り、カスのような無人の島でも適当に見繕ってそこに籠って時を過ごすのが、もっともriskの少ない選択と言えるだろう。
Rodcorteのarroganceと怠慢、VidaとAldaの争いが重なり、こうして運よくrevivalできたのだ。完全revivalや復讐を企み、憎たらしい貴-samaらと戦う危険を犯す事はない』
現在進行形で凄まじいManaのsignを放っているGuduranisだが、やはり全ての魂とBodyが揃っていた時程のManaはない。かつて従えたDemon King Armyも、minionsであるmonstersもなく、周りは敵だらけ。そして目の前には魂を砕き、喰らう事ができるVandalieu。
戦いを避けるのは、現実的な判断だろう。
『だから……貴-samaらをこの場で皆殺しにしてくれる!!』
しかし、そもそもGuduranisは『現実的』な判断を下す存在ではなかった。五本全ての指を曲げて作った拳に、Death-Attribute Magicを纏わせて切り離し、Vandalieuに向かって投擲する。
「だろうと思っていました……よ?」
黒い拳をclawsで受け止めたVandalieuは、Attack Powerが想定よりも大きかった事にやや戸惑いながらもそう答えた。
「あからさまに俺達に対して悪意を表していましたし、bloodthirstも強くなるばかりでしたからね」
『抜かせっ! 貴-samaらも我がどう答えようと、結局我を滅ぼすつもりだっただろう!』
拳を切り離した腕に、新たな手首が生えた。さらに、周囲に向かって体中に出現した【Demon King's Nose】からDeadly Poison空気砲を吐き出す。
『あたりまえでしょう。ここで見逃して時間を与えたら、monstersの数を増やして攻めてくるだけだもの』
そう言いながら、Darciaが空気砲を攻撃magicで相殺する。
『その通りだ! だが、どう考えても準備が終わる頃には貴-samaらの戦力が今よりも大きくなっているとしか考えられなかった!』
「あたし達の事をidiotにしていた割に、やっている事はRokudouと同じですね!」
『変わるとでも思ったのか!? 貴-samaらを殺し、Vandalieuから我がBodyの【fragment】を取り戻し! Alda、そしてRodcorteから我が魂を取り戻す!』
「うおおおおっ! Edgarの魂を、解放してもらうぞ!」
Kanakoが放ったWater-Attribute MagicをGuduranisが腕の一振りで消し飛ばすと、その陰からHoly Swordを構えたHeinzが突っ込んで行った。
「【Blinking Radiant Flash】!」
HeinzはVandalieuと戦った時よりも速い剣技でGuduranisの脇腹を薙ごうとしたが、その攻撃は読まれていた。
『かはぁ! Edgarの魂を我は取り込んでいるのだぞ? 貴-samaの動きなど手に取るように分かる!』
そして、チラリと視線を走らせる。Guduranisは気がついていた。この場にHeinz達以外の、Vandalieuのallyとは言い切れない存在がいる事に。
「だったら、俺の動きはどうだ? 【Severing Hundred Flashes】」
Randolphの放つcountlessの剣戟が空を飛び、Guduranisの体に命中するが効いていないのか動きを止める事もできない。
『Human風情が! Championでもない貴-samaの剣など効くか! さあ、sealedを解いてやろう!』
Guduranisが背中に生やした腕から、黒い光線を放った。それを回避できなかった『彼』は思わず叫び声をあげた。
『ぎやああああっ……あっ? ふ、sealedが……解けるだと!?』
「Luvezっ!?」
『ギュイイイイ?』
黒い光線が命中したLuvezfolは、一瞬苦し気なscreechを叫んだと思ったら、そのGiantなWyvernだったBodyが凄まじい速さで膨張、変形していった。
そして現れたのは、蛇のように細く長い体にcrocodileを思わせる頭部、短いがclawsの生えた脚にfinのある尾、そしてepidermisの翼を供えたWater-Attributeと土attributeを併せ持つ龍、『Raging Evil Dragon God』Luvezfolの姿だった。……体中にsealedされる前にVandalieuや『Storm of Tyranny』の面々から受けた傷が完治しないまま残っており、痛々しいが。
『お、おおっ、我が真の姿に、真の体に……!?』
『さあLuvezfolよ、sealedされた怒りと恨みを晴らすがいい! その働き如何で再び我が手勢に加えてやろう!』
Guduranisは、Wyvernの姿にsealedされているLuvezfolに気がつき、彼はVandalieuに心から従っている訳ではないと見当をつけたのだ。
そしてかつてこのworldのGodsを裏切って自分に下ったLuvezfolなら、再び自分の元に下るだろうと考えた。裏切り者は、一度だけではなく二度三度と裏切るものだからと。
『……言われるまでもない!』
Luvezfolはギラリと瞳に怒りを滾らせると、Breathを吐くために息を吸った。sealedされている間は吐けなかった、竜種ではなくTrue Dragon GodのBreathだ。負傷していても、直撃すれば城だろうが街だろうが消し飛ばせる凄まじい力が収束していく。
「Luvez!」
その彼をPauvinaは愛称で呼ぶと、ピッと指さした。
「やっちゃえっ!」
『御意! 死ねっ、クソDemon Kingぉぉぉぉっ!』
そして、LuvezfolはGuduranisに向かって怒りを叩きつけたのだった。
『なっ、なんだと!?』
驚きながらも咄嗟にmagicで作りだした盾でBreathを防ごうとするGuduranisだったが、その盾はVandalieuが放った【黒雷】の黒い電撃によって砕かれた。
『き、貴-samaっ!? ぐおおおおおおおっ!!』
そして、不意を何度も突かれたGuduranisの姿はRaging Streamの中に消えていった。