Vandalieuが、多大なstressと引き換えに『Five-colored blades』一行にRokudou Hijiriの情報を伝えた事で『God of Law and Life』Aldaもその存在を知る事ができた。
事態を知ったAldaは、当然激怒した。
それまで、AldaはHeinz達と同じように、Urgen・Telkatanisの背後にいるのはVandalieuだと誤解していた。自身のbelieverであるはずのTelkatanisを気がつけば見る事ができなくなっていて、彼が【Demon King Fragment】からとった素材から作ったWeapon Equipmentを軍に採用するという、前代未聞の提案をしたのは、Vandalieuに導かれて指示を受けたからだと考えていたのだ。
だが、それが自身に黙ってRodcorteがreincarnationさせた、Rokudou HijiriというReincarnatorによる陰謀だったというのだ。黙っていられるはずがない。
すぐさまRodcorteに使者を出し、説明を求めた。
『いったい何のことやら、私には全く分からないな』
しかし、返ってきたのはこの太々しい言葉と態度だった。
『白を切るつもりか?』
『白を切るもなにも、まさかVandalieuの言葉を信用するつもりか?』
『……Vandalieuがわざわざ嘘をつく必要はないはずだ。それに、実際『Origin』ではRokudou HijiriというReincarnatorが死んでいるはずだ』
『我々を仲たがいさせるために、偽情報を流す可能性があるだろう。それと、たしかにRokudou HijiriというReincarnatorは『Origin』で死んだ。だが、それを私がreincarnationさせた証拠がどこにある?』
『そこまで言うのなら、そのRokudou Hijiriの魂を見せて潔白を証明できるはずだ。reincarnationさせていないのなら、貴-samaのDivine Realmにまだ魂があるはずだ!』
新たにreincarnationするReincarnatorを対Vandalieuのための戦力として利用……活用する事をRodcorteは約束している。そのため、Reincarnatorをreincarnationさせる場合はAldaに連絡する必要があった。
だが、RodcorteはRokudouをreincarnationさせたことをAlda達に一切話していなかった。当然だろう、『another worldでDemi-GodになってDeath-Attribute Magicを習得したReincarnatorを、【Demon King Fragment】をBody代わりにしてreincarnationさせた』などと連絡したら、その瞬間Aldaとの協力関係が破綻してしまう。
RodcorteはAldaをまだ利用したいので、それはできるだけ先送りにしたい。できれば、Vandalieuを確実に倒せると確信できるまで。
さらに言えば、Vandalieuによって『Lambda』worldのGodsとして彼の国の民に認知されているRodcorteは、以前と違いAldaのDivine Authorityである『Pile of Law』が有効になってしまっている。
Godsに罰を与えるAldaのDivine Authorityは厄介極まりなく、神の力の総量としてはAldaを上回るRodcorteだが、効果対象として有効になってしまった以上、強引に解除できるとは限らない。
強大な力を持つGod of Reincarnationと、それよりも数段下の力しか持たない法秩序の神。ただ戦うだけならGod of Reincarnationが勝つ。しかし、法によって裁かれる場合は法秩序の神にGod of Reincarnationは逆らえないのだ。
それが神の権能というものである。
なら、大人しく……Rokudou Hijiriのような劇物には手を出さず、Heinz達とHero Candidateが育つのを待てばいいだろうにと思うかもしれないが、Rodcorteには別の意見があった。
Rodcorteの目から見て、Hero Candidateの成長速度は遅い。Vandalieu本人どころか、その取り巻きを相手にするのがやっとにしか見えない。そのVandalieuの取り巻きは、短期間で恐ろしいほど腕を上げているというのに。
そしてHeinz達『Five-colored blades』は、Vandalieuに対して戦う気があまりないようだ。これまでRodcorteは半信半疑だったが、つい先ほど起きたVandalieu……Demon King Familiarとの遭遇と会談の-sama子を見ると、どうやら本当らしい。
Heinzの言動がVandalieuにとって気に食わなかろうが、偽善に過ぎなかろうが、Rodcorteにとってはどうでもいい。問題なのは、最大戦力のはずのHeinzにVandalieuを殺す気がない事だ。
Vandalieuを殺してその魂を回収しsealedするか、それが無理ならRodcorteがCircle of Reincarnationを管理していない遥か遠くのworldに放り捨てるかしなければならない。そして、Vandalieuが治める国を殲滅出来なければ困るのだ。
億が一にも和解するとか、Heinzが戦わずに殺されては困るのだ。
RodcorteもHeinzには、あのBellwood……Vida's New Races殺しではworld一の実績があるHeroic Godをrevivalさせたから期待していたのだが……。
『潔白を証明しろ、か。それを私にdemandするのならAldaよ、-kunはHeinzが本当にVandalieuを倒すつもりがあるのか、まずそれを私に証明するべきではないか?』
『唐突に何を言う!?』
『先ほどの使い魔を通してのVandalieuとの会談、結局は和解のsignもなさそうだったが、『Five-colored blades』には奴と戦う気があるようには見えなかったが?』
『……それは、現れたのがVandalieu本人ではなく、使い魔だったからだ。戦って倒したところで使い魔では、Vandalieuには痛くも痒くもない。それどころか、Heinz達の情報を与えるだけだ。
戦いを避けようとするのは当然だろう』
そうRodcorteに返答したAldaだが、彼はHeinzがVandalieuに条件付きで自身の首を差し出すつもりである事を、Rodcorteには伝えないようにしていた。
それをRodcorteが知れば、どんな極端な手段に出るか分からなかったからだ。それを知られる前に、AldaはHeinzを説得して翻意させるつもりだった。
Heinzの仲間達も彼を説得しようとしていたから、可能だと考えていた。
Aldaにとって最も恐ろしいのは、Rodcorteがこのworldに見切りをつけ、Circle of Reincarnationの管理から手を引く事だ。それをされると、このworldに残るのはDemon King式Circle of Reincarnation systemと、Vida式Circle of Reincarnation systemのみ。そうなればHumanも動物も植物すらも息絶え、monstersとVida's New Racesだけが存在する未来しか残らない。
Aldaが目指す理想のworldは、過去にしか存在しなくなってしまう。
実際には、Rodcorteは既に一度『Earth』や『Origin』ごと、『Lambda』から手を引こうと試みて、失敗しているのだが。Aldaが倒そうとしているVandalieuと、彼が治める国でRodcorteが認知されているのが原因で。
このようにAldaとRodcorteの間に信頼や、お互いに助け合うteam workは存在しなかった。
だからAldaはHeinzについてRodcorteに報告も相談もしないし、Rodcorteも陰謀を進めるのだ。
『……だが、-kunの言う通りたしかにRokudou HijiriというReincarnatorは既にreincarnationしている』
しかし、知らぬ存ぜぬで押し通すのは難しいとRodcorteは考え、そうAldaに告白した。
『やはりか! Death-Attribute Magicの使い手を増やす事が、worldにどれほどの悪impactを与えるのか理解していない訳ではあるまい! Vandalieuを倒すためとはいえ、何を考えている!?』
『勘違いしないでもらおう、たしかにreincarnationさせたがそれは普通の意味でのreincarnationだ』
だが、真実を告白するつもりはなかった。Rodcorteがするのは、Aldaを騙すために一部だけ真実を含ませた虚偽の告白だ。
『なんだと?』
『Rokudou Hijiriは、通常のCircle of Reincarnationと同じように前世のMemoryや人格を消し、Cheat Abilityを回収してreincarnationさせた。それも、『Lambda』ではなく『Origin』に。
今頃はまだ母親の腹の中だろう』
Rokudouは【Demon King Fragment】で作ったBodyにreincarnationしているので、RodcorteのDivine Realmにはいない。だからAldaに魂を見せる事はできないので、既にanother worldに普通のHumanと同じようにreincarnationした事にする。
『……本当か?』
Aldaはすぐには信じない。今までのRodcorteの言動が言動だから、当然だ。
『まさか、証拠を見せろとでも? 見せても構わないが……Circle of Reincarnationに関する権能をもたない-kunがCircle of Reincarnation systemを見ても、理解できるとは思えないが』
だが、Rokudou Hijiriをanother worldにreincarnationさせた証拠をAldaは確認する事ができない。Rodcorteが組み上げたCircle of Reincarnation systemは、Circle of Reincarnation systemを模倣した事がある神か、Rodcorteと同じくCircle of Reincarnationを司る神でなければ、見ただけで理解するのは至難の業だ。
AldaのSubordinate Godの中には該当する神は存在しないし、systemを模倣した存在は『Goddess of Life and Love』VidaとDemon King Guduranisだけだ。
それに、reincarnation先を『Lambda』ではなく『Origin』としたのも、『Lambda』の神であるAldaが確認できないようにするためだ。
Aldaには、赤子を見ただけでその前世を見抜くような力はないはずだが、念のためである。……もしAldaが『では、Rokudouがどこの誰の胎にいるのか教えろ』とdemandされたら、面倒だからというのが主な理由だが。
『……『God of Origin』は了解しているのか?』
『わざわざ了解を取る必要はない。通常のCircle of Reincarnationと同じなのだからな。Memoryも人格も、そしてAbilityも失ったRokudou Hijiriの魂は、他の魂と何の違いもない。もっとも、再びattribute magicの適性は与えたが。
それを与えなければ、再びDeath-Attribute Magicを習得してしまう可能性があるから、当然の処置だ』
『そうか……だが、Rokudou Hijiriは『Origin』で神に至ったそうだが、神に至ったHumanの魂を貴-samaのsystemでreincarnationさせられるのか?』
Aldaに痛いところを突かれたRodcorteは、内心でclicking tongueをした。
『私もそれは危惧していたが、通常よりも時間をかけて調整し、与えたCheat Abilityを回収した結果問題なくreincarnationさせることができた。おそらく、Cheat Abilityを剥奪した事でRokudouの魂はただのHumanの魂に戻ったのだろう。
もっとも、他のReincarnatorが神になった場合も同じことができるとは限らない。originally、Reincarnatorが生きたまま神に至る事を想定していなかったので、たしかな事は言えない』
ただ、Rodcorteとしてはそう出まかせを言うしかない。Aldaも若干だが早口になったRodcorteの態度を怪しく思ったが、本当かどうか確認できないのでそれ以上問いただす事はできなかった。
『……では、Rokudou Hijiriに協力していたReincarnator達はどうなっている?』
『彼らもRokudou Hijiri同-samaだ。Vandalieuを倒すための戦力として使えないかと、私も説得を試みたがRokudou Hijiri同-sama、私の指示に従う気はないようだった』
『……いいだろう。では、Urgen・Telkatanisの背後にいるのはRokudou Hijiriではなく、Vandalieuなのだな?』
『もちろんだ。そのHumanはVandalieuに導かれたのか、私も既に情報を得る事はできない。
VandalieuがRokudou Hijiriの名を出したのは、我々の協力関係にヒビを入れるため、もしくはただ偽情報を流して時間を稼ぐことが目的だろう』
そのRodcorteの言葉を反芻しながら考えを巡らせたAldaは、(Rodcorteは怪しいが、Vandalieuの流した偽情報というのも、ありえる)と考えた。
それだけ【Demon King Fragment】を利用するのはVandalieuであるという認識が、Aldaにも強く根付いていたのだ。
さらに言えば、Rodcorteの行動を知っている存在……彼のFamiliar SpiritであるAranや泉、Kouyaを問いただそうという発想もなかった。AldaにとってFamiliar Spiritとは、主である神のbelieverが死後にその魂を昇華されてなるものなので、Rodcorteに忠実な存在だと思い込んでいたからだ。
実際に問いただせば、「Rodcorteに不都合な事を話せない」conditionのAran達と会話する事で、その不自然な言動から事態を把握できたかもしれないが……。
(だが、Rodcorteを信じるのも危険だ。やはり、Hero Candidate達をOrbaumに引き続き留めるべきだろう)
今回、Aldaは自身の勢力に属するGodsが育てているHero Candidateの若者たちを、Vandalieuが活動しているOrbaumから退避させていなかった。
これまでの行動から、VandalieuがHero Candidate達を割り出して殺そうとすることはないと判断したからだ。
もっとも、Vandalieuとその関係者とできるだけ関わらないようにOracleで伝えるよう、Godsには指示を出したが。
Orbaum Elective Kingdomの首都であるOrbaumは広大な都市であるため、そうした事も可能だった。
『分かった。では、Heinzにはこれまで通りVandalieuに対して警戒し、奴がPrime Ministerを操って何を企んでいるか探らせ、備えさせよう』
『理解が得られてよかった』
そう言って、自身のDivine Realmへ戻るRodcorteを見送りながら、AldaはHeinzには言葉通りVandalieuを警戒させるが、Hero Candidate達はいるかもしれないRokudouに備えさせようと考えていた。
Vandalieuに『Origin』で負けたRokudouに対してなら、Death-Attribute MageとはいえHero Candidate達で倒す事もできるはずだ。
Aldaはそう考えていた。
Emotional stressから一時間ほどでrevived Vandalieuは、直後にまた倒れるかと思った。何故なら、AsagiやHeinz達の近くに残してきた情報収集用のDemon King Familiarから、彼らが引き返さずOrbaumに向かい続けている事を知ったからである。
「……なんで来るんでしょうね? Asagiの方はまだしもHeinz達の方まで。強く警告したつもりだったのですが。
でも、さすがに、もう一度警告しに行く気にはなりません」
もぐもぐと、Eleonoraに金粉を散らしたsteakを食べさせてもらいながら、VandalieuはOrbaumに近づいてくるHeinzやAsagiに、どう対応するか悩んでいた。
悩みつつも、視線はElizabeth達のStageに固定されている。目覚めるまでの一時間の間にparadeの演目が移り変わり、今はElizabeth、Maheria、Zohnaの新人三人が量産型Transformation Equipmentを着て歌っている。
「そうね。もう一度会いに行ったら、今度は丸一日寝込んじゃうかもしれないから行かない方が良いと思うわ。今度は、私達が使い魔を作ってそれにletterを持たせるのはどうかしら?」
「いっそ、街で適当な者を雇ってそれにletterを運ばせるのはどうでしょう?」
Darcia達もVandalieuが再び、特に『Five-colored blades』と接触するのは反対だった。これまでの事からconjectureすると、letterを渡すだけでも穏便に終わるはずがないからだ。originally殺し合う関係なのだから、当然と言えば当然だが……気がついたVandalieuからHeinz達と話している時何が起こったのか聞いてみれば、不自然なMemoryの空白がある。おそらく、psychological shockでMemoryが抜け落ちたのだろう。
Vandalieuは【Status Effect Immunity】skillを持っているので、何らかの攻撃を受けるなど外的要因が原因ではない。内的要因……Vandalieu自身のMentalやemotionsが原因でMemoryが飛んだのだ。おそらく、許容量を超える怒りやstressのせいで。
短期間に同じことを繰り返したら、いくらVandalieuでもどうにかなるかもしれないし、Rokudou Hijiriに関する手掛かりがないconditionで、長時間意識不明になるのは避けたい。
「Vidal Magic EmpireやDemon continent、Gartlandの方はどうにかなったようじゃ。まさか、他のDemon King Familiarにまでimpactが出るとは驚きじゃな」
「はい、倒されても痛くも痒くもないからDemon King Familiarを送ったのに、まさかこんなことになるとは思いませんでした」
Zadirisは通信機でVidal Magic Empireと連絡を取っていた。何故なら、Vandalieuが倒れた時、Vidal Magic Empire等で活動しているDemon King Familiarに、impactが出たからだ。
そのimpactは、宿っているVandalieuのCloneとの接続が数秒から数分の間切れるというものだった。ただ、Demon King Familiar達はVandalieuのCloneとの接続が切れても、単純作業はできるように作られている。
もっとも危険なExplorer(Human社会でのadventurerに相当する)達に貸し出される戦闘補助用Demon King Familiarも、戦闘中に接続が切れても問題なく動けるようにしてある。
……接続が切れた事で戦況に大きなimpactが出るほど厳しい戦いというのもあるだろうが、そもそもそれほどの強敵とは戦わず、撤退するようExplorer達に提案するようにしている。
Explorerの仕事は生死をかけたbarelyの戦いを潜り抜ける事ではなく、生きて成果を持ち帰る事だから当然だ。
ただ、数秒から数分だったからimpactが出なかっただけで、それを何度も繰り返す事はもちろんだが、接続が切れる時間が数時間や数日になったら、その限りではない。
「『Five-colored blades』の方には、もう直接かかわらない方が良いんじゃないですか? originally敵同士なんですし、一度言ってダメなら、何度言ってもダメでしょう」
Kanakoは、Darcia達の意見よりもさらに進んだ意見を提案した。
「maybe、『Five-colored blades』の人達はRokudouとの戦いにVan、つまりあたし達が負けた場合の事を考えてこっちに向かっていると思うんですよ。Vanがもし負けたら、自分がこのworldをRokudouから守らなきゃならないって」
「なるほど。俺もRokudouに絶対勝つとまでは言い切りませんでしたからね。Heinz達の印象では、Rokudouはかなり強大な存在になっているのかもしれません」
「しれません、じゃなくてなっていますよ。Vanが倒すために苦労している相手で、三つ巴になると嫌だ……つまり、簡単には倒せない相手だって解釈して」
Kanakoの説明に、Vandalieu達はなるほどと頷いた。Rokudou Hijiriに関する詳しい情報を持っていないHeinz達には、Rokudouは『Vandalieuに勝てなかったものの、魂を砕かれずに逃げおおせ、このworldで再び何かを企んでいる強敵』と考えたのだろう。
実際に戦ったのはVandalieuではなく、そのsoul fragmentを使って作られたCloneであるBandaと【Bravers】達だ。そのため、当時はVandalieuにとってはそこまで強敵ではなかった。
だが、Heinz達はVandalieuにとって真の意味での強敵だと解釈している可能性が高い。
『Bocchanが負けた場合を想定するとは、我々にとっては不愉快ですが……まあ、敵ですからね』
これがally同士なら、「Vandalieuの勝利を信じて、自分は警告に従う」という選択肢もあるが、Samの言うように『Five-colored blades』とは敵同士だ。Vandalieuを信じる、という事自体難しい判断である。
「なら警告を無視して向かってくるのも、無理はないのじゃろうなぁ。奴ら、AldaのHeroなのじゃし、SClass adventurerじゃし。儂らにとって都合は悪いが」
そしてZadirisが言うように、Heinz達は『Hero』である。Rank13以上の邪悪なGodsやDemi-God、地上にAdventした神と戦う事ができるSClass adventurerだ。
国家存亡どころかworldの行く末が左右される危機に対応するために、必要とされて当然の存在である。
だから、Heinzが『Vandalieuが負けた時は、自分がRokudou Hijiriを倒さなければならない』と使命感に燃えるのは、世間一般にとっては歓迎するべき事なのである。……特に、もう一人のSClass adventurerである『True』Randolphが世間的には引退しているOrbaum Elective Kingdomでは。
「俺も、『Five-colored blades』の立場だったら、警告を無視して向かうでしょうね。……『Five-colored blades』がworldの危機をどうにかできると信じられませんし、信じた結果知り合いが死んだり傷ついたりしたら許せませんし、戦いで消耗した『Five-colored blades』を暗殺する機会ですし。
何より放置した結果、worldがRokudouにどうにかされたら嫌ですし」
そうVandalieuは頷きながら、『Five-colored blades』が警告を無視した事に納得し、再び警告するのを無駄だと諦めた。
「仕方ない、三つ巴になる事を覚悟して、想定して備えましょう。皆、maybe俺はできないと思いますが、三つ巴になったらHeinzではなくRokudouを倒す事を優先してください。ただ、油断せず隙を見せるようなことはExtreme Strengthさけるように。
それとKanako、よくHeinz達の考えている事が分かりましたね」
感心してそう言うVandalieuに、Kanakoは苦笑いを浮かべて答えた。
「いやぁ、たいした事じゃないんですけどね。ただ……だいたいAmemiyaと似たような性格なんだろうなーって。社会的な立場も、共通点がありますし」
「なるほど」
どうやら、HeinzとAmemiyaの性格は似通っているらしい。違うのは育ったworld(国)の常識と価値観か。
「苦労していたんですね……。DougとMelissaとSiegとSalluaも、今度労っておきましょう。Katie -sanにも、次に会ったらもう少し優しく接するよう心がけましょう」
「ええ、まあ、裏切るぐらいには。
それで、『Five-colored blades』はいいとして、Asagi達はどうします? あいつの方は、何を考えているのかあたしも分かりませんよ」
「分かりませんか?」
「無理です。本人に会ったら、直接脳に聞いてみてください。もっとも、危険人物扱いされるのは無理もないと思っていますけどね」
Kanakoは前世、『Origin』でAsagi達【Bravers】を裏切っている。その時見せた言動は彼らからすれば同情する余地があるとは思えないだろうし、Kanako自身恨まれても仕方ないと思っている。……Asagi達を前世で殺したのはKanakoではなく、Legion達の前世である『The 8th Guidance』のmemberなのだが。
「それで活動に難癖をつけられるのは面白くありませんが……構う必要はないでしょう。このまま無視していいと思います」
『抗議しなくていいんですか? BocchanがJahan Dukeにちょっと言えば、締め上げる勢いで抗議してくれますよ、きっと』
『今、Jahan Dukeは初めての友達が出来て、ハイになっていますからね。Elizabeth -samaに憑いたばかりのBocchanと同じです』
「Rita、Salire、Hadrosに無茶をさせてJahan Duke 家とBirgit Duke 家の不和になるような事を提案しちゃいけません」
「あははは。確かに動いてくれそうですけど、下手に関わらない方がいいと思うんですよ。Asagiの流す風評は、普通の人には根拠が説明できないものですから」
AsagiがKanakoを危険人物、要注意人物だと警告しても、その理由を話せるのは『Five-colored blades』のようにReincarnatorについて知っている、ごく限られた人物に対してだけだ。何も知らない大多数の人々に、「前世で裏切られた」と説明するわけにはいかないからだ。
そのため、AsagiがKanakoの危険性を訴え続けても、効果は殆どないだろう。というのがKanakoのconjectureである。
「Asagiがいてもいなくても、アンチは何処にでもいるものですからね。あたし達は、Stageで最高のShowを見せるだけです」
『『Kanako -san……っ!』』
Kanakoの言葉に、SalireとRitaが感動したように息を飲む。Zadirisも、それでこそじゃと誇らしげな-sama子で頷いている。
「あ、でもJahan Dukeにも協力してもらって、mansionの中ではなくどこかのtheaterで公演できるよう手を回してもらうのは悪くありませんね。やっぱり、良くない噂を吹き飛ばすには私達のStageを実際に見てもらうのが一番ですし」
しかし、矜持だけでは世の中を渡っていくことはできないと、しっかり権力も利用するつもりのKanakoに、感動はすぐに吹き飛んだようだ。
「そうですね。人を纏めて収容できる施設は避難の助けにもなるので、theaterを貸し切る件については話を進めましょう。
あと、Asagi達は……『Five-colored blades』と合流したとしても、それほど脅威にはなりません。しかし、【Demon King Fragment】のsealedに関する研究が進んでいるなら、Rokudou Hijiriに対して何らかの形で有効かもしれませんね。
それまでは、できるだけ関わらないようにしましょう」
「ちょっと待ちなさい!」
そう声をあげたのは、Stageを終えたElizabethだ。もうVandalieuが我に返ったのなら、歌を止めてもいいのではないかと言ったのだが、Zadirisに「lessonじゃと思って、最後までやってみるのじゃ」と言われたため、今まで歌っていたのである。
「Elizabeth -sama、まだ始めたばかりなのになかなかの歌とdanceでした。しかし、少し照れが見えます。特にサビの時に」
「あら、ありがとうっ! でも私が言いたいのは感想の催促じゃないの!」
そう言うと、Elizabethはある方向に伸ばした。
「Duke Farzon 家とBirgit Duke 家の別邸が、あっちにあるわ。mansionの敷地が広いから距離は離れているけど……『Five-colored blades』やそのAsagiって人達が別邸に滞在するなら、顔を合わせないようにするのに苦労するかもしれないわね」
Silkie Zakkart Mansionは、originally Jahan Duke 家が所有するmansionであり、他のDuke 家の別邸があるUpper Class Noble Distructにある。
そしてDuke Farzon 家と関係の深い『Five-colored blades』や、Birgit Duke 家に雇われているAsagi達が、それぞれのDuke 家の別邸に滞在する可能性は十分ある。
「……宿でも取りましょうか」
『と、飛びますっ! たとえmansionが端から崩れても、飛んで見せますから捨てないでください!』
「いえ、捨てませんよ、Silkieも一緒にお泊りしましょう。どんな宿にしましょうか……」
「Vandalieu、Silkieが他の宿に泊まるのは無理だと思うわ。その、面積的に」
いつも以上に表情が死んだVandalieuはそう言うが、Darciaの言う通りmansionがmain bodyであるSilkieが外の宿に泊まるのは無理があった。
だが、HeinzやAsagi達もVandalieuの近くで寝泊まりできるほど無謀ではなかったらしく、それぞれと縁の深いDuke 家の別邸ではなく、別に宿を取る事を選んだので、VandalieuのMentalはひとまず救われたのだった。