Vandalieuが退院した次の日、彼は普通に学校へ復帰した。MeorilithとRandolphも、letterに書いてあった通り入院期間が七日間だけだったので、「やっぱりこうなったか」と息を吐いた。
「入院している間、何をしていたのか……間違っても聞くなよ」
「分かっている。昨日一日で、隠しきれない程Orbaum Elective Kingdomの勢力balanceが変わったのだ。その裏で何が起きたのかなんて真相は、学校長でしかない私の手に余る」
VandalieuやElizabethは何も言わないが、何も言わないからこそMeorilith達は-sama々な憶測をして頭を悩ませていた。
Elizabethの後ろ盾だったはずのRimsand Earl 家の代替わりと、先代当主の入院。そしてEarl 家とは何の縁も無かったはずのJahan Duke 家が、新たな後ろ盾として彼女の後見人になった。
そしてElizabeth本人はJahan Duke 家のmansionではなく、Zakkart Honorary Earl 家のmansionに母親とMaheriaを連れて転居。
「常識的に考えれば……常識では起きない事態なのは置いておくとしても、Jahan DukeがZakkart Honorary Earl 家を通じてAlcrem Duke 家と通じ、Sauron Duke 家に対して何か企んでいるという事になるだろう。ElizabethをSauron Duke 家の当主にして、JahanとAlcrem、両Duke 家の権勢を増し、influenceを強くすることを狙っているというところだろうか」
後、考えられるとすれば、Amid Empireとの戦争でEmpire軍を押し返し、逆侵攻で手に入れた領地の配分で有利になろうとしている、という事ぐらいだろうか。
「しかし、私にはどう考えてもZakkart Honorary Earl 家はAlcrem Duke 家とJahan Duke 家の前ではなく、後ろにいるとしか思えない。もっと言えば、黒幕はVandalieuだ」
「同感だが、あまり深く考えるな。いや、考えるのはいいが口に出すな。深みにはまるぞ。俺達には関係のない事……」
関係のない事だ。そう言い捨てようとして、Randolphはそこで言葉を止めた。
何故なら、無関係でいられるのか不安を覚えたからだ。
これまではSClass adventurerとして、大物Nobleとは依頼を通してだけの関係に留めてきた。政治にはできるだけ関わらないし、自分や自分の周りに火の粉が降らなければ関心を持たなかった。
しかし、ここ数年の間に起きた出来事は無関心でいるには大きすぎるものばかりだ。
実際、彼自身も依頼を受けた訳でもないのにBardのRudolfとして、Vandalieuを調べるために潜入までしている。
「関係のない話だが、嵐に巻き込まれる心構えぐらいはするべきかもしれないな。伝手を辿って、調べるとしよう」
現役時代の顔つきになってroomから出ていこうとするRandolphを、Meorilithは「待て!」と引き留めた。
「心配ない。普段は依頼をされるだけの相手に、こっちから話しかけるだけだ。危険な事はない」
「誰が心配なんてするか。お前の腕の良さを誰よりも知っているのは、この私だ。そうじゃなくて……今日はお前が担当する講義が昼まで詰まっているから、いなくなられると困るのだが」
「……そうだったな」
そういえば、今もInstructorとして雇われているのだったと、Randolphは自分の立場を思い出した。
Vandalieuの行動に振り回されているのは、Randolph達だけではない。Hero Preparatory Schoolの生徒達も同-samaだ。ただ、多くの生徒達は、Vandalieuに振り回されているとは気がついていないが。
「聞いたか? Jahan Duke 家があのElizabeth -samaの後ろ盾になったって話」
「ああ、聞いた。昨日Royal Palaceで急に開かれた会議で、Jahan Duke本人がSauron Duke 家のGeneral Officerに直接言ったらしい」
「本当か? General OfficerってたしかVeedal・Sauronだっけ? Elizabeth -samaの腹違いの兄の」
「いいや、違う。General Officerは当主の腹心で、腹違いの兄とは別の方だよ」
生徒達はadventurer志望の少年Shoujo達だが、彼らの中にはNobleのyoung childが少なくない。そのため、OrbaumのNoble社会に飛び交った大newsを、彼らも知っている。……さすがに【Demon King Fragment】に関係する事は、会議に出席した者達にかん口令が敷かれたので知らないが。
「どっちにしても、Jahan Duke 家が後ろ盾なんてもう滅多なことは言えないな」
「そうだな。最近はなんて言うか、雰囲気が変わったし」
「ああ、前みたいに取り巻きを引き連れて歩くことが少なくなったし、Alexを勧誘するのもやめたし」
「いや、取り巻きを引き連れて歩いているだろ、顔触れが変わっただけで」
「えっ? あれって……取り巻きっていうのか?」
以前のElizabethは-sama付きで呼ばれても、慕われているというよりは、やや離れた位置から鑑賞されているか、媚を売られている人物だった。
今は、色々な意味で話題の中心である。
一方、彼女に関する話題の一部としてnameが出たAlexは、教室で頬杖をついていた。
「……」
彼は別にVandalieuが現れる前と、何も変わっていない。【Magic Eye of Great Appraisal】の使用に制限もかけられなかった。ただVandalieu、そしてElizabethやZohnaを含めた彼の仲間のStatusの情報を彼の仲間以外には話さない事を約束しただけだ。
だからそれまで通り……あの実践Cookingの実習以外では、優秀な成績を修め続けている。学校では変わらず仲間と共に優等生だ。
しかし、Elizabeth達に追い上げられている事は否定できない。
「なんだろうな。……たしかにVandalieuに弱みは握られたけれど、それだけ。脅迫も何もされていないのに、何故か追い詰められたような気がするのは」
「maybe、Elizabeth達に追い上げられているからだと思う。実際、あいつら恐ろしい勢いで強くなってるし」
「そうね。もし仮に戦ったとしても、maybe party単位ではもう勝つのは難しいと思う。もちろん、話に聞いたVandalieu抜きでも」
Alexの言葉に、彼のparty memberの二槍流のRobinとMageのAnnabelがそれぞれ意見を口にする。
Alex達はElizabeth達に追い上げられていた。まだ成績で抜かれていないが、それも長くは持たないだろうと、彼らは考えている。
Elizabeth達の成長がそれほど著しいからだ。
「『[Heart Warriors]』のコーチを受けながらの実戦訓練に……あれじゃあな」
Robinが言葉を濁したのは、Vandalieuとの約束のためだ。彼等はElizabeth達が【Vandalieu’s Divine Protection】を受けている事を、Alexから知らされていたが、それを学校で口にすることはできないのだ。
「ああ、急に成長しても納得だ。主席卒業は難しいかもな。certainly諦めるつもりはないけど」
Elizabeth達がこのままの勢いで成長し続ければ、Alex達は追い抜かれてしまうだろう。それこそ、どこかの神がAlex達にblessingsでも与えなければ、そしてElizabeth達がこれ以上blessingsを得たり、より厳しい特訓を受けたりしない限り。
Alexも卒業までに「CClass adventurerに匹敵する」から「CClass adventurerと同等以上」になる事を目指しているが、Elizabeth達はこのままのpaceならBClass adventurerに匹敵するか、同等以上の強さを手に入れそうだ。
そうなると、DungeonボスがRank5のmonstersである実習用Dungeonにしか潜れないAlex達では、太刀打ちできない。
もちろん、単純な戦闘力の強さだけで成績が決まる訳ではないが……その辺りもElizabeth達はみっちり『[Heart Warriors]』のsenpai adventurerや、VandalieuのTamed Monster達に教えられている。
Alex達が今のリードを保ったまま逃げ切るのは、やはり難しい。
ただ、諦めて二番手で満足する気はない。一番を目指さない者は、二番や三番にも成れないからだ。
「じゃあ、卒業後はもっと地道に、そしてじっくりと実績を積み上げていく方向に予定を変更しよう」
そして、adventurerとして大成する事を諦めるつもりもなかった。
「おー、ようやく吹っ切れたか」
「あれからずっと気が抜けたままだったものね。まあ、気持ちは分かるけど、Towa -chanをあまり心配させるんじゃないわよ」
「悪かったよ。これまで誰かを追い抜く事はあっても、誰かに追い抜かれそうになった事はなかったから、自分で思っていたよりshockを受けていたみたいだ」
そうAlexが立ち直った頃、Elizabethは勝手に会議室として使っている空き教室にいた。
生気の無い瞳で、Maheriaと一緒に並んで座っている。その前には、ZohnaやMact達party memberが並んでいる。
そして、Vandalieuは両者の間で一人正座していた。
「そういう訳で、俺がMact senpai達の夢に出たり、blessingsを与えたりした張本人です。ただ、どんな夢を見せたのかは、意識してやった訳ではないので覚えていません」
「Vandalieu、-kun? でまだいいのかな? blessingsはありがとう。でも夢はとても怖かった。Giantな-kunが、-kunを崇める沢山の人達から逃げるためにこっちに歩いてきて踏み潰された時は、私は本当に死んだかと思った」
「僕も、-kunの生首を拾い集めて首の無い-kunの体にくっつけて回る夢だったけど、気が変になったかと思った」
「僕はまあ平気だよ。どんな夢を見たのか覚えてないから。でも、maybe怖い夢だったと思う」
Mact、Taurus、Jozéfが控えめに抗議する。
本来の予定では、Elizabethが隠していた事情……母親が入院していた事や、経済的に無理をしていたことなどをZohnaやMact達に告白し、結束を新たにするはずだった。そして、その後Vandalieuが色々隠していた事を話す予定だったのだが……何故か途中で怖い夢を見せてしまった事を謝る流れになっていた。
無意識にやったことで、【blessings】を与えるためにはある程度仕方ないとは言え、多感な年頃のMact達に悪い事をしたと思わない訳ではないので、謝る事には特に抵抗を覚えない。
……かつて、夢でVandalieuのGiantな生首から逃げ回る事になった元Majin KingのGodwinには、彼はまだ一言も謝っていないが。
「あたしは、まあ、うん、ぐっすり眠れたから良いんだけど……あの夢を見てもぐっすり快眠できる自分に違和感が拭えないんだよね。良いおDoctor -san、introductionしてくれない?」
「心当たりはありますが、そのsenseiは今体調不良で療養中です」
「ダメじゃん!?」
「俺に対する診察以外はとても優秀で熱心なsenseiですが、色々stressが溜まっていたみたいで……あと、食べすぎで」
自分に対してHoover医師が下した診察は認めないが、彼の腕は認めているVandalieuだった。
「なので、気になるのなら俺が診ましょうか? clinicで経験と実績を積みましたから、気休め程度にはなりますよ」
「うーん、Vandalieu -kunに診てもらってもこの場合解決しない気がするから、今回はいいや」
「それよりも、これでVandalieuが普通じゃない事が、改めて分かったわね!?」
Elizabethがそう言いながら強引に話の流れを修正する。
瞳に生気と輝きを取り戻した彼女はZohna達に対して、熱弁を振るった。
「これまであなた達に私が置かれた状況を黙っていたことは謝るわ。それでも私とpartyを組んでくれるなら、それは嬉しい。でも、Vandalieuと一生付き合う覚悟を決めてもらう事になる!
だって、私のお母さまはVandalieuを夫だと思い込んでいるし、誰もそれを否定しないし、私はStatusに彼の娘ってsecondary nameを獲得しちゃうし! もう一生離れられないと思う!
それでもいいなら、私についてきて!」
「……あのー、別に毎晩夢に出るとか、そんな事はないのですが」
「Vandalieu -san、少し黙ってください。あなたと付き合っていくのは、中々覚悟のいる事なのです」
「はい」
昨日、色々と真実を知らされたElizabethとMaheriaが受けた衝撃は、彼女達に『自分の人生はVandalieuと出会う前とは大きく変化し、もう戻る事はない』と覚悟を固めさせるほど凄まじかった。
もちろんElizabethとMaheriaも、Vandalieuに感謝はしている。感謝はしているのだが、Vandalieuが実は魔Emperorで、文字通り山のように大きな息子がいて、当人はHumanだと強固に主張しているがblessingsを与えたりCloneを派遣したり、「それは神しかできない事なのでは?」という事をやってしまう人物だとは思わなかった。
(そりゃあ、私もVandalieuがただのHonorary Nobleのyoung childだとは思っていなかったわ。明らかに実力を隠していたし、明らかにHuman業じゃない事をしていたし、そもそもお母-samaを治療したり、あのclinicを一週間で牛耳ったり、あのEarlを洗脳したり、普通ならできるはずがない事は分かっていたわ。
……昨日、Bakunawaに遭った時、それまでの自分に『そんな甘いもんじゃないのよ!』って怒鳴りたくなったけど)
appearanceからは想像もできないほど広かったSamのcarriageでSilkie Zakkart Mansionに移動したElizabethは、妙にややこしい仕掛けに戸惑いながら荷物を運びこんだ。そして、夕食の後に姿を現したGufadgarnによって、どこかへ【Teleportation】し、Bakunawaと面会したのである。……実際には、その場にTiamatもいたのだが、彼女のMemoryには残っていない。すぐfaintedしたから。
正直、寝込まず学校に登校できた自分を褒めてやりたい。そう思うElizabethとMaheriaだった。
「Vandalieu -san、お嬢-samaのStepfatherとなるあなたに対して、侍女の身で言ってよい事ではないかもしれませんが……心の準備ぐらいさせてください!」
「Maheria -san、身分とか立場は気にしないでください。学校では同じ生徒で、party memberですし、Ameliaが娘も同然と思っているあなたは、俺にとってもfamily同然です」
「この話の流れでは素直に感謝しづらいのですが、ありがとうございます!」
Vandalieuと涙目のMaheriaとの会話を聞いているMact達は、Elizabethの言葉にどう答えたものかと顔を見合わせ、しばらくしてから口を開いた。
「Elizabeth -sama、それについてはなんて言えばいいのか……」
「その、覚悟以前の問題になっていまして……」
「はっきり言うと……僕達、もう手遅れっぽいです」
「手遅れって……もしかして、あなた達もう知ってたの!?」
「いえ、そうではなくて……私達もVandalieu -sanは普通じゃないというか、尋常ではないというか、この世の物とは思えないというか、そんな感じなのは、薄々分かっていました」
「でも、はっきり知ったのはこの一週間の事で、maybe Elizabeth -samaと同じ頃だと思います」
「ただ……外堀を埋められたというか、もう親brothersも僕達がAlcrem側、accurateにはVandalieu側だとみなしているので、選択肢がない感じになっています」
Nobleのyoung childであるMact達の実家は、Elected King領の下Class Nobleで、Rimsand Earl 家から強いimpactを受ける立場にあった。
それがAlcrem Duke 家のinfluenceや、Hartner Duke 家の長女KatieとVandalieuの遭遇(表向きにはそれだけなのに)、そして先日のRimsand Earl 家の突然の代替わりに、やはり突然関わってくるJahan Duke 家。
さらに殺し屋や暗殺organizationに金を払って依頼すると、その殺し屋やorganizationそのものと連絡がつかなくなる。それはまだいい方で、場合によっては雇ったはずの殺し屋やAssassinが、雇い主に対して「これ以上関わるな」と警告したり、場合によっては逆に殺しに来ると、噂が流れた。
実際、ここ一週間で行方不明になったNobleや商人、犯罪organizationの関係者が何人もいる。
そうした事にNobleであっても小物ばかりであるMact達の親達は震えあがり、originally familyとして色々とbarelyだったのに更に距離を取るようになった。自分達は巻き込まれたくないというように。
「ああ、Alcrem Duke 家やJahan Duke 家の関係者が、気を利かせ過ぎたのかもしれませんね。ご迷惑をお掛けしました。良ければ誤解を解くために説明に伺いますが?」
「いや、気にしないでくれ。私達はoriginally family仲がそれほど良くはないから」
「originally、跡取りの長男の予備の予備だからね。愛情が無い、とまでは思いたくないけれど」
「まあ、maybeこれから僕達がadventurerとして大成すれば、実家のfamilyとも和解できると思うし。……僕達の感覚だと、一方的に距離を取られただけだしね」
普通なら距離を取られたのではなく、切り捨てられたと感じ、恨みを覚えても仕方のない状況だ。
しかし、Mact達は以前からVandalieuの特訓を受けた事で、adventurerとしてもやっていけそうになった事でpsychological余裕を持てるようになっていた。そのため、familyから距離を取られた事で追い詰められる事はなかった。
「へぇ、中々言うようになったじゃん」
「Zohna、そういうお前の家はどうなんだ?」
「あたしは、距離を取られる前に逆に脅しておいたから大丈夫。あんまりうるさいと、Vandalieu -kunに言いつけちゃおうかなって」
「……たった今、脅しじゃなくなったぞ、それ」
「言いつけられましたが、どうにかしましょうか? そういえばご挨拶もまだでしたし、便宜上『おStepfather -san、娘-sanをください』と言いに行くべきでしょうか?」
言いつけられたVandalieuがそう尋ねると、Zohnaは笑いながら首を横に振った。
「実の父親の方はお互いに親子だと思ってないから気にしないで! kaa-san達の方には、もう話してあるし」
「そうですか、それは良かった」
「それよりもElizabeth -samaが娘になるってどういう事? そっちの方が気になるんだけど?」
「実をいうと、私達も自分の進退よりそっちの方が気になるのだが……」
「Zohna、Mact、詳しい説明は後よ。それより、確認するけど、このまま私についてきてくれるのね?」
そうElizabethは重ねて問うた。彼等には他に選択肢が無いからではなく、自分の意志でついてきてほしかったからだ。
重ねて問われたMact達とZohnaは頷きあうと、Elizabethに向かって頭を下げた。
「Elizabeth -sama、申し訳ありません。我々は、全員目的があってあなたに近づきました」
「薄々察しているとは思いますが、familyを通じて前Rimsand Earlの指図に従っていました」
「あたしも、陥れようとかそう言うつもりはなかったし、実習で手を抜いたり、Alex -kunの勧誘で失敗するよう誘導したりはしてないけど……」
「こんな僕達が言うのも厚かましいですが、これからもElizabeth -samaについて行かせてください!」
「お願いします」
そう言う五人に、Elizabethは躊躇わず頷いた。
「当たり前よ。あなた達は私が選んだparty memberなんだから!」
「ありがとうございます、Elizabeth -samaっ!」
「これからは二心なく付いて行きます!」
「憑いて行きます」
仲間としての絆をより強くするElizabeth達を見つめながら、Maheriaはsisters同然に育ったお嬢-samaが短い期間に成長した事を確信して、思わず目頭が熱くなった。
「でも……あんたまで何でそっちに並ぶのよっ!?」
Elizabethは五人目……いつの間にかJozéfの隣に並んでいたVandalieuの両肩を掴んで揺さぶった。
「もちろん、これからもElizabeth -samaのwaist purse、もしくは取り巻きとして憑いていくからですが」
「おStepfatherさま!? 娘のwaist purseや取り巻きは卒業してくださらないかしら!?」
「そう言われても……Elizabeth -samaのwaist purseを辞めたら、俺はこの学校でどんなpositionにつけばいいのかわからなくなるのですが」
「なんでよっ!?」
Elizabethにそう叫ばれても、Vandalieuは彼女のwaist purseでいる事を止めるつもりがなかった。何故なら、waist purseである事をやめると学校で何をすればいいのか、party memberのElizabeth達とどんな距離にいればいいのか、分からなくなるからである。
最近では、自分に憑いているGufadgarnに親近感を覚えるようになったほどだ。
「まあまあ、Elizabeth -sama、まだ彼の事をよく知らない者には、camouflageになりますし」
「後、そろそろ、おStepfather -samaとか娘とかの説明も聞かせてもらえると、あたし嬉しいなーって思うんだけど」
「お嬢-sama、諦めましょう。Vandalieu -sanは話を聞いてくれる時と、聞いてくれない時があります。今は、聞いてくれない時です」
「くっ、仕方ないわね。今は諦めてあげるわ! それにZohna達にお母-samaの事を説明しないといけないし……次の講義の時間に間に合うかしら?」
「ああ、それといつになるか分かりませんが、Orbaum Elective Kingdomの将来に関わる大事件が起きるので、覚悟してください」
「な、なんだって!?」
「どういうことなのですか、Elizabeth -sama!?」
「私も知らないわっ! どどどどういうことなの!?」
「はぁ、まだどれほどの大事件になるかは分からないのですが……Urgen・Telkatanis Prime Ministerが良からぬ事を企んでいるようでして」
Orbaum Elective Kingdomの政治を動かす、実質的なnumberワンが陰謀の首謀者。そう聞いたElizabeth達は、それはたしかに国の将来に関わる、最悪の場合国が二つ以上に割れる事になると、納得した。
「なお、Elective KingdomのHeroである『Five-colored blades』と俺は敵対しており、将来殺し合う事になりますが――」
「それは薄々気がついていたわよ。特訓で『Five-colored blades』のnameを出したら、Eisen -sanやZadiris -sanが不機嫌になるから」
「Reconciliation Factionと積極的に距離を取っている事も、聞いていましたから」
「まあ、さすがに、直接殺し合う程とは思っていなかったけれど……」
「「「でも、それより、Prime Ministerの企みについてもっと詳しく!」」」
どうやら、Heinzとの敵対関係についてElizabeth達は大体察していたらしい。彼女達が言っているように、Vandalieu達の日頃の言動や宗教的な活動を観察してれば、Heinzが属しているAlda Reconciliation Factionと関係が悪い事は誰でも気がつくだろうけれど。
それに、Elizabeth達にとっては、遠くのHeroと将来Vandalieuが殺し合う事よりも、国をどうにかしかねないPrime Ministerの企みの方が身近な脅威であるため、強い関心を持ったようだ。
「今はまだ探っている途中で確かな根拠はないのですが、timing的にどう考えても俺達に無関係とは思えないのです」
OrbaumのRoyal Palaceのshadowに、音も無く黒装束を着た者達が潜んでいた。
彼らは全員が元Assassin……Vandalieuやその関係者を殺すか、誘拐しようとした者達だ。
彼らはNobleや大商人に雇われるだけあって経験が豊富で、本来なら入り込めないはずのRoyal Palaceに侵入するためのルートを知っていた。
だが、彼らもRoyal Palaceの全ての場所に出入りできる訳ではない。寧ろ、彼らが確実に侵入できるのは限られた一部だけで、その一部では特に異常は起きていなかった。
『申し訳ありません。我々では、これ以上の侵入は危険を犯さなければなりません』
「外のBarrierの一部を偽物に変え、気がつかれぬように破りましたが、Royal Palace内部にx2三重に仕掛けられているようです」
Vandalieu達に殺されUndeadになった者や、生きたままLoyaltyを誓った者が、口々に報告する。
「そうか、ご苦労」
報告を受けた存在は、耳に心地の良い、しかしどこか不機嫌そうにも聞こえる平坦な声で彼らを労った。
「……命じてくだされば、必ずや成果を挙げて御覧にいれます」
『たとえPrime Ministerの首でも……!』
それを自分達の無能によるものだと解釈したAssassin達は、己のLoyaltyを証明しようと口々に主張する。
「愚かな事を口にするな」
しかし、彼らの主張を受けた存在はきっぱりと言い捨てた。
「お前達の価値は、偉大なるVandalieuによって既に定められている。お前達はここで捨てるには惜しい、それが偉大なるVandalieuの意志。
偉大なるVandalieuの意志に従うのだ」
Gufadgarnは、Vandalieuの意志を伝えた。実際、Assassin達の働きは十分なものだ。
外側のBarrierの一部を破り、それによってspace attributeの【Teleportation】を含め一定以上のManaを消費するmagicのActivateや、霊やUndeadやDemon等の侵入を知らせるBarrierが張られたRoyal Palaceへ、一部とはいえ潜入する事ができる。
そして自分が内部に入る事で、【Teleportation Gate】を開きallyの出入りを可能にする事ができる。十分な働きである。
彼らがいなくてもAlcrem DukeやJahan Dukeが潜入工作に協力してくれれば、同じ事ができた。だが、彼らのお陰で両DukeがTelkatanis Prime Ministerやその一派以外のNobleに怪しまれる危険を犯すことなく、事を進める事ができる。
……Gufadgarnが不機嫌だったのは、Vandalieu(main body)の背後から一時的とはいえ離れなければならなかったからだ。
「では、引継ぎを行う」
そしてGufadgarnの、銀髪のElfのBishoujoに見える体が真っ二つに裂けた。そしてその断面から、蜘蛛に似た蟲の脚が伸びる。
『あとは、任せろぉ』
「ninjaの出番だ」
『フフフフ、今日は皆でお仕事よ』
そしてGufadgarnの中から、『King Slayer』、そして『Neck-Hunting Demon』のSleygar、Black GoblinのninjaのBraga、そしてLegionが姿を見せた。