Lucilianoは-sama々な薬品や薬草の名称や、それらのCompoundingする手順を書き記した紙を壁一面に張り出し、解説を始めた。
「いやはや、私としたことが渡された薬の解析に手間取ってしまったよ。この薬の凄いところは、材料を上手く揃えて巧みにCompoundingして狙った効能を発揮しつつも、その強さを抑えているところだ。そのせいで、この薬を飲んだ患者の体はこれを毒ではなく、薬と認識し続ける。
どんなにこの薬を飲み続けても、【Poison Resistance】skillを獲得して、薬が効かなくなることはない」
極論だが、薬と毒は同じものである。人体にとって有益な効果を発揮する物を薬、そして不利益な効果を発揮する物を毒と呼んでいるだけだ。
そして、このworldには【Poison Resistance】skillはあっても、【薬Resistance】skillはない。さらに、【Poison Resistance】skillの持ち主にも、potion……つまり体を回復させる薬は効果を発揮する。
以上の事から、このworldでは毒の効果を防ぐことはできるが、薬の効果は防ぎにくいという事が分かるだろう。
「もちろん、例外はある。【Poison Resistance】skillがあれば酒に酔いにくく……levelによっては全く酔わなくなる。睡眠薬や下剤も効きづらくなる。ただ、毒程ではない。
この薬はそうした事を理解した者が、高度な技術を用いてCompoundingしたものだ」
そう言いながらLucilianoは、手に持った丸薬をtableに並べた皿の内の一枚に乗せる。
「そして、薬であるが故に解毒剤は存在しない。少なくとも、飲めばすぐに弱まっていた脳の機能が回復して、失われたMemoryが蘇ったり、以前の人格を取り戻したり、そうした事が可能な薬は存在しないし作れない。
これで正解かな、Director sensei?」
Lucilianoが話しかけたのは、豪華なtable clothがかけられた長tableの周りに並ぶ椅子に座らされた、Directorだった。
「な、何のつもりだっ!? 誰だ、-kunは!?」
「我々を解放しろ! こんなことが許されると思っているのか!?」
「助けてくれっ! 嫌だっ、死にたくない!」
いや、Directorだけではない。他の医師やCleric、そして看護師や清掃係等も兼ねている職員達、ほぼ全員が椅子に拘束されていた。
彼らは仕事中、ふと気が遠くなって気がついたらこのroomにいた。壁や天井、そしてtableは全て白一色で、石や陶器とは異なる素材で作られている。その正体が分かった時、Director達は震えあがった。
「ここはいったい何なんだぁぁぁ! 助けてくれぇぇぇ!」
この建物と家具は、全てboneでできていたのだ。Director達を椅子に拘束している物も、beltではない。白boneの手である。
「難しいとは思うが、落ち着いてくれないかね? せっかく私がまともな研究者っぽい話をしているのだから、最後まで続けさせてほしい。まあ、-kun達も最期ぐらい自由に話したいだろうから、無理強いはしないが」
「さ、最期だと!? 私達を殺すのか!? ま、待ってくれ、そんな事をすればElective KingdomのNoble達が黙っていないぞ!」
「Noble達の秘密や弱みを知っている自分達を殺せば、俺達がそれを聞き出したと考えたNoble達が口封じに殺そうとする、そういう事ですか?」
そう尋ねながらwagonを押して現れたのは、コック帽をかぶった少年……Director達全員が顔を知っている、Vandalieu Zakkartだった。
「貴-samaは……! そうか、これは全て貴-samaの差し金か!?」
「そうです。全て俺が指図した事です。ところで、配膳を進めますね」
そう言いながらVandalieuはwagonを押しながら入ってくる。その背後には、同じようにwagonを押すSkeletonたちの姿があった。
「ところで、俺達の質問に答えるつもりはありますか?」
「断るっ! 我々を早く解放しろっ! そうすれば今回の事は我々の胸にしまっておく!」
「おや、それは困ったね、師Artisan。彼等はriceかbreadか、赤か白かも答えるつもりはないそうだよ」
「仕方ありません、両方並べましょう」
「っ!?」
VandalieuとSkeletonたちが押してきたwagonに乗っていたのは、いくつものCookingが乗った皿だった。湯気を立てるsoupに、新鮮な旬の野菜を使ったsalad、魚のpie、ゴロゴロと大きく食べ甲斐がありそうな肉団子が盛られた皿がDirector達の前に並べられていく。
そして生地に何かが練り込まれているようだが柔らかそうなbreadと、同じく炊いたのではなく何かと一緒に炒められたriceが置かれ、三つのglassに赤と白、そして青紫色のwineが注がれる。
「これは……どういうつもりかね?」
最後に注がれたwineの色が気になるが、それ以外は見るからに美味そうなCookingだ。高Class restaurantのfull courseを取り寄せたと言われても、嘘とは思えない。
拉致し拘束しておいて豪華な食事を出す意図が分からず、Director達は困惑した。
「うーん、見ているだけで腹が空いてくるな。師Artisan、一皿私にもくれないかね? 丁度席が一つ空いているようだし」
「Luciliano、あなたにはAmeliaの分の食事を渡しているじゃないですか」
「……いや、ほぼないだろうと分かっていても、一服盛られているかもしれないCookingを食べる気にはなれなくてね」
「だったら、限界まで盛ったこのCookingは何故食べる気になるのですか?」
「私には【Poison Resistance】ではなく【Abnormal Condition Resistance】skillがあるからね。少しぐらいなら平気だと思ったまでだよ」
しかし、VandalieuとLucilianoの会話を聞いてDirectorは凍りついた。
「ああ、menuの説明がまだでしたね。
前菜は旬の野菜のsalad、砕いた丸薬とolive oilに香草を加えたdressingがけ。soupは固める前の丸薬に根野菜のポタージュを加えたもの。魚Cookingも同じく、丸薬の材料と白身魚のpie包み焼き。肉Cookingは、MinotaurとOrcの合い挽き肉と、刻んだ玉ねぎと丸薬を混ぜ合わせた肉団子に、wineをベースにし丸薬の粉末を加えたsauceをかけたものです。
飲み物は、丸薬を加えた赤と白、そしてブドウに丸薬を混ぜて発酵させた青を用意してありますので、好みにかかわらず全部どうぞ。
ああ、今までの話の流れで分かると思いますが、丸薬とはあなた達がAmelia Sauronに盛っていた薬の事です」
そう言ってVandalieuが皿に置かれた丸薬を指し示すと、Director達の顔からbloodの気が一気に引いた。丸薬をCompoundingしたDirector本人は当然だが、医師やCleric、そして末端の職員に至るまで、自分達の職場で出す薬がまともな物でない事は知っていたからだ。
「そ、そんなっ! その言葉が本当なら、このCookingを食べたら死んでしまう!」
そして丸薬をCompoundingしたDirector本人は、『過剰摂取』による死亡のhorrorに震えあがった。Compoundingする過程で効能を弱めたとはいえ、元は脳の機能を低下させる劇物だ。
そんな劇物を一度に大量に摂取したらどうなるのか、考えるまでもない。
「た、頼むっ! 殺さないでくれ! わ、私はRimsand Earlに依頼されただけなんだ! 私の立場では、彼に逆らう事は出来なかった!」
「Director sensei、嘘はいけません。penaltyとして、breadに丸薬の粉末入りButterもつけておきますね」
そう言いながら、VandalieuはDirectorのために皿にbreadを乗せ、Butterを追加する。
「う、嘘ではないっ!」
『それは嘘です』
「Amelia Sauronっ!?」
喚くDirectorの前に、前触れもなくAmelia Sauronが現れた。瞳に虚無を湛えた彼女は、emotionsが全く感じられない無表情のままDirector達を断罪していく。
『薬の材料を調達するのに費用がかかると嘘を言って、Rimsand Earlや他のNobleへの寄付金の増額を迫ったでしょう? 自分や部下のfamilyや親類の就職先の斡旋も受けていますね。
それにfemaleの患者に対する職員や医師の暴行を放置して調べようともしていない。無実を主張するには、越えてはいけない一線を越えすぎているルルルブグル』
そして、話している途中でAmelia Sauronに化けていたKühlが姿を現す。その-sama子は人が突然溶け崩れたようにしか見えず、Director達はscreechをあげた。
「待ってくれっ! 私は、我々は社会に貢献してきた! この国になくてはならない存在なんだ!」
だが、Self弁護の方向性を変える程度には頭が働いているようだ。
「-kunの眼には我々はさぞ邪悪な集団に見えたかもしれない! だが、患者だって罪もない哀れな子羊という訳じゃない! 中には無実の平民を殺したり、税金を横領して遊び回ったり、目に余る行いをしたが法で裁くと家名に傷がつくという理由で、ここに連れてこられたNobleの関係者もいるんだ!」
そうDirectorが訴えると、Vandalieuは手を止めた。それを見た他のDoctorやCleric達も、脈ありと見たのか次々に同じような主張を展開する。
「た、たしかにAmelia Sauron自身は何の罪も犯していないだろう! だが、Sauron Duchyのstabilityのためには、そしてこの国全体の平和のためには彼女と彼女の娘は早期にSuccessor争いから脱落するのが望ましかったんだ!」
「彼女がこのclinicを訪れたきっかけには、我々は何も関わっていない! 本当だ!」
「我々がやらなくても、きっとどこかのtempleが同じことをしていたはずだ! 世の中には、誰が悪い訳でもないのに不幸になる人がいる! 彼女達がそうなんだ!」
その訴えに対して、Vandalieuは問いを投げかけた。
「聞き忘れていましたが、dessertは食後に持ってきますか? それとも今すぐ並べましょうか?」
ただ、彼らの主張には全く関係ない問いかけだった。
「なっ、なななっ!?」
「師Artisan、彼らは食後に意識がないかもしれないから、今のうちに見せておいた方が良いんじゃないかね?」
「それもそうですね。ちなみに、dessertは季節の果物と丸薬のゼリーです」
『ブグルルルル』
驚きと困惑、そして無視された怒りで口が回らなくなっているDirectorに構わず、Vandalieuはdessertを準備するようにSkeletonたちに指示する。足元では、Kühlがゼリーのようにプルプル揺れているが、彼らからは見えない。
「ああ、何か勘違いしているようなので言っておきますが……俺は正義感からあなた達にこんなことをしている訳ではありません。お前らが善か悪か、社会に必要かどうかなんて、どうでもいい。
Amelia Sauronや新しい友人達に、お前達が毒同然の薬を盛って、彼女達をダシにして金をせびったり、彼女達を暴行したり、それを野放しにした事が、気に食わないからやっているのです」
そう言いながら、VandalieuはSkeletonが「おぉん」と並べるゼリーに、丸薬を溶かしたsyrupをかけていく。
「だから、あなた達が社会に貢献していようが、この国に必要だろうが、知った事ではありません。……世の中には、誰が悪いのでもないのに不幸になる人がいる。それが正しいのだとしたら、今のお前達がそうです」
そう語るVandalieuの瞳を見てしまったDirectorは、声が出せなくなった。紫紺と真紅の濁った瞳が、まるでAbyssの入り口のように感じ……瞳の向こうからMonstrosityがこちらを見ているような錯覚を覚えたからだ。
「……我々は、社会への貢献や存在価値を主張するには、道を違えすぎたという事でしょう」
そう言いながらSkeletonたちに交じってこのroomに入ってきたのは、sickroomに監禁されているはずのHoover・Tohn元医師だった。
自分達とは違い拘束されていない彼に向かって、かつての同僚たちが抗議の声をあげる。
「お前! まさかお前が我々を売ったのか!?」
「よくもっ、お前も俺達と同じ穴の狢の癖に!」
しかし、Hooverは彼らの罵倒に対して穏やかなSmiling Faceを浮かべた。
「たしかに、私もこのPsychiatric clinicの一員に違いはない。そんな事は分かっているとも」
そして、そう言いながら唯一誰も座っていない空席に向かうと、なんと自分から椅子に腰かけた。
「だからこそ、私も罰を受けなければならない」
そして、そう言いながらmannerを守ってnapkinを身につける。それを目にしたDirector達は目を剥いて叫んだ。
「そんな、正気なのか!?」
「ええ、私は正気ですとも。そして今、とても晴れやかな気分なのです。この晩餐を前にして、私は今までの人生の中で最も自由であると確信しています」
そう答えるHooverに、Director達はもう言葉も出ない-sama子だった。しかし、Vandalieuが一言告げると彼らは再び騒ぎ出した。
「召し上がれ」
KnochenのFissionは、いやだいやだと泣き叫ぶ者の口にCookingをねじ込み、首を左右に振って逃げようとする者の頭を握って締め上げ、口を閉じて開こうとしない者の鼻を塞いで口を開くのを待った。
そしてHooverは自身の意志で手を動かした。まずは前菜であるsaladからだ。丸薬を混ぜたとは思えない程爽やかな香りと酸味のdressingが、シャキシャキとした葉物野菜の歯応えと仄かな甘みによく合い、appetiteを増進させる。
そして、酒を飲んだ時に覚える酩酊感に近い感覚を覚えた。これがDirectorのCompoundingした物と同じ、丸薬の効果だろうか?
「考えてみれば、患者に出したことはあっても自分で飲んだことはなかったな」
そう言いながら、Hooverが次に手を伸ばしたのはsoupとbreadだ。soupは根菜の滋味と丸薬の苦みが奇跡のような調和を生み出しており、生地に丸薬が練り込んであるbreadとよく合う。
「ああ、美味い。美味いなぁ」
そう言いながら白身魚と丸薬が材料のpie包み焼きに手を伸ばした時には、視界が歪んできた。苦労しながらサクサクのpieをforkで崩し、白身魚と一緒に食べると全く苦みを感じなかった。ほろほろと口の中で崩れる魚の身と、薬効成分のある薬草やmonstersの内臓をDryingさせた物の粉の風味、塩や香草、pie生地のButter……そしておそらく牛乳で味が調えられて、不快な苦みが旨味へと変えられている。
それとも、もう味覚がおかしくなっているのだろうか? それを確かめるために、spicyな香りのする肉Cookingに手を伸ばす。大きな肉団子に、ガクガクと震える手でknifeをthrust刺し、苦労しながら口に運ぶ。
肉団子は驚くほど柔らかく崩れ、Hooverの口の中を肉汁で満たした。やはり、丸薬の苦さは全く感じない。そうか、Cooking工程で上手く苦みを消しているのか。
「にゃんふぇ……美味ひんひゃ……」
whole bodyから寒気に包まれ、もう腕が上手く動かない。Hooverはまるで犬がするように顔をriceに突っ込み、口の中に入れ……咀嚼する前に彼の意識は途切れた。
静かになったroomでは、惨憺たる光景が広がっていた。
口からCookingの汁やsauceと一緒に自身のbloodを垂れ流す者、一目で深刻なconditionだと分かる顔つきで痙攣を繰り返す者、白目を剥いたまま何故か小さな鼻歌を歌い続ける者。
『おおーん』
そんなconditionのDirector達に、KnochenのFissionは食事をさせ続ける。切り分けたCookingを口の中に流し込んで、飲み込ませる。それを前菜からdessertまで、全てのCookingが空になるまで続けた。
「そんなところでいいでしょう」
『おおん?』
「ええ、まだ誰も死んでいませんが、それでいいです。彼等は……少なくとも、彼らのBodyは明日からも働いてもらうので」
Director達は全員まだ生きている。そう、Vandalieuのmagicによって生命活動が維持されているのだ。
「【Death Delay】のmagicで命を保ち続けるのと、そのまま死ぬのと、どちらがいいのか分からん光景だね、師Artisan」
「この場合は、死ぬ方が楽だと思いますよ。こいつらに【Death Delay】のmagicをかけた目的は、楽にさせない事ですから」
VandalieuのDeath-Attribute Magicである【Death Delay】は、文字通り死亡するのを遅延させるmagicだ。magicをかけられた対象は傷が回復するわけでもなく、毒が消えるわけでもない。ただただ死なないだけだ。
heartの鼓動が止まっていようが、大量のbloodを失っていようが、lungの中に酸素が無くなり水で満ちていようが、脳に致命的な損傷があろうが、死ぬまでの時間を引き延ばされて生きている事を強制される。
本来は患者が死ぬのを先送りにし、その間に治療を施すための術だ。しかし、このように苦しみを長引かせることもできる。
「後は洗脳しながら一晩おけば、それでいい。Elizabeth -samaも彼らの事は俺に任せてくれましたし」
「……相変わらず、Mrs Ameliaの前でない時は-samaをつけて呼ぶのだね。彼女、師Artisanの本来の立場は知っているのかね?」
「まだ話してはいないですね。何か隠しているとは思っているでしょうし、隠している事は正直に言ってありますが」
『……あの言い方はないと思う』
Kühlにも苦言を呈された、ElizabethとMaheriaへの言い方とは――
『俺はあなた達に重大な真実を隠しています。何故なら、まだ知らない方が色々な事が上手くいくと俺は考えているからです。知ってしまったら後戻りできませんし。
しかし、知りたくなったら気軽に言ってください。全てを打ち明けますので』
というものだった。
この時点で、VandalieuはElizabeth達が自分から離れるとは思っていない。Boundary Mountain Range内部にあるVidal Magic Empireに来ないとか、Hero Preparatory Schoolを卒業したらVandalieu以外のmemberとAdventureに出るとか、そうした事はあり得るだろう。だが、Vandalieuにとってそれは「離れた」事を意味しない。
彼女達が【Vandalieu’s Divine Protection】を受けていれば、それだけで、何処で何をしていてもVandalieuの仲間である。
Vandalieuは、昔は自分の他者への態度を「来る者拒まず、去る者追わず」だと思っていたが、今では「去る者には憑いていく」なのかもしれない。
「ところで、Hoover医師はどうですか?」
「見ての通りfaintedしているが、それ以外は平気だろう。彼がfaintedした時点で、師Artisanが【Disinfect】で致死量を超える成分は消したからね」
DirectorがCompoundingした薬は、継続的に摂取して初めて本来の効果を発揮する。一度だけの摂取では、致死量を超えない限り重篤な障害が残る事はない。
何故Hooverだけ助けたのか? 助けるつもりなら何故Director達と同じく食事を取らせたのか? それは、彼自身が罰を求めたからだった。
Hooverは自分でも言った通り、Director達と同じ穴のムジナだと自分を断じていた。だからVandalieu達に同じ罰を求めた。しかし、Vandalieuは彼をDirector達と同じように処理するつもりはなかった。
そのためHooverはKnochenに拘束させず、Director達と違い自分で自由にCookingを食べられるようにした。意識を失った後、もうCookingを口にすることがないように。
……もちろん、致死量は超えていないが用法用量を守っていないので、健康に多少のimpactは出る。彼は一週間から一か月ほどの間、酩酊conditionと重い二日酔いの症状を繰り返す事になるだろう。
「それで、彼はTalosheimに送って療養させるのかね?」
「ええ、ここにいるよりは良いでしょう。familyや親類もいないようですし。では、俺はDirector達を洗脳するためのDemon King Familiarを作ったら、clinicに戻ってAmeliaに薬湯を飲ませに行くので、各自行動を」
「了解したよ、師Artisan」
『おおーん』
clinicの中庭に作られたKnochen製のcafeteriaでの作業は、midnightまで続いた。
そしてVandalieuが入院して六日目の午前中。Hero Preparatory Schoolに登校していたElizabethは、不機嫌そうな顔でPauvinaに尋ねていた。
「それで、なんでまだVandalieuもお母-samaも入院しているのよ。clinicの連……あいつらは、もうやったんでしょ?」
彼女とMaheriaはDirector達がAmeliaに何をしていたのか、それが誰の依頼によるものなのか、Vandalieuから説明されている。
その上で、ElizabethはDirector達の処理をVandalieuに依頼した。よりaccurateに言うなら、丸投げした。何故ならElizabethに思い付くのはボコボコにすることぐらいだったし、Director達より何年も自分を騙してきたRimsand Earlの方がずっと憎い。そして、Vandalieuに任せた方が彼らはより残酷な末路を迎えるだろうという確信があったからだ。
……ちなみに、Hoover医師は助ける事も知っている。彼が自分から罰を受けることを望んだ事も。
「まさか、あいつ私に隠れてお母さまとイチャイチャするつもりじゃ……!?」
「それなんだけど、七日間入院するってletterに書いたから今日と明日はまだ入院するって」
「それでも、別にclinicの外に出てもいいじゃない」
「あたしもそう思うけど、Jahan Dukeがお見舞いに来るからダメだって」
「……なんでDukeがお見舞いに行くのよ!? 普通は使いかお見舞いの品とletterを送るだけでしょ!?」
好んで寄り付くHumanはいないはずの施設を、Dukeが訪ねる。別に禁止されていないが、噂になる事請け合いの行動だ。入院しているのがよほど親密な相手でなければあり得ない。
「なんでだろうねー? Darcia Mamaに、お見舞いに行きたいってDuke -sanが言ったんだって。それより、今日の放課後の特訓だけど、そろそろRank6でいい?」
「他にも昨日のnight、『Great Demon King's Daughter』ってsecondary nameとか、正体不明's Divine Protectionとかを色々獲得した事とか、護衛にってつけられた私には見えないLegionって人達の事とか問い詰めたかったんだけど……全部やめるから、Rank6のmonstersと戦わせるのは勘弁して。死んじゃうから」
「賢明な判断です、お嬢-sama」
そしてこの日の昼下がり、Jahan DukeはVandalieuを見舞うためにPsychiatric clinicへと足を踏み入れた。