Ameliaに出された食事の代わりに【Body World】でCookingしたCookingを出すと、彼女はとても驚いたが、それ以上に喜んだ。
「あなたと二人っきりで食事をするのは、本当に久しぶりね」
実際には初めてである。
「そうでしたね。ここのclinicはfamilyで食事をする事を許してくれませんから」
「そんな事を言ってはダメよ、あなた。ここの人達も私のようなdiseaseの人達を治そうと、頑張ってくれているのだもの」
「……そうですね」
「あなた、焦らないで。おDoctor -samaも、Cleric -samaも、治療には根気が必要だって……私も少しでも良くなろうとしているけれど、何をすればいいのか分からなくて……」
「そうですね、Amelia。大丈夫、きっと良くなります」
そう会話と食事を続けながら、VandalieuはAmeliaが自分の置かれている状況をどう認識しているのか、聞き出す事に成功した。
Ameliaは、自分が非常に重いDiseaseにかかり、入院していると思い込んでいた。だが、Diseaseについては、具体的な事は何も語らなかった。「重いDisease」としか認識していないからだろう。
Elizabethは勉強のためにMaheriaと共に学校に通っており、夫である「あなた」はSauron Duchyを取り戻すために、仕事をしている。
具体的な事は殆ど何も語らず、細部が曖昧だ。まるで幼子に聞かせる物語のように。
「ご馳走-sama。ふふ、こんなに食べたのは久しぶりだわ。少し太ってしまうかも」
そう腹を摩るAmeliaは、abnormalに白くなっている肌のせいか太るどころか痩せているように見える。治療のためにも、適度な運動とSunlight浴が必要かもしれない。Vandalieuはそう思った。
「……Amelia。明日、ここを抜け出してピクニックに行きませんか?」
「まあ、sickroomを抜け出すなんていけないわ! ……でも、面白そう。おDoctor -samaに見つかったら怒られるけれど、窓や壁から出入りできるあなたと一緒なら、きっとバレないわね」
こうして明日の予定は決まったのだった。
そしてVandalieuは、このclinicが用意した昼食の、空になった皿だけを残してAmeliaのsickroomから去ったのだった。
自分のsickroomに戻ったVandalieuは、自分の姿に化けていたSlimeのKühlとGhostに話しかけた。
「何かありましたか?」
『ぶぐるる。職員の中に、不埒者が数名』
「その中でも危険な男がこいつだ。……今の内に始末しておくか?」
「今は止めておきましょう。証拠一つ残さず、偽の犯人をでっちあげたとしても、誰かが必ず俺と関連付けるでしょうから。
ただ、Amelia達に実害が及びそうなときは始末しましょう」
Ghostが描いた似顔絵を見て覚えたVandalieuは、心の中の要注意人物のlistにその職員を並べた。
「偉大なるVandalieuよ、Amelia Sauronの食事を調べたLucilianoより、結果が出たとの事です」
Gufadgarnの声がしたと思ったら、spaceに穴が開き、中からLucilianoが現れた。
「spaceを繋がなくても、書類を届けてくれるだけで良かったのだがね。
やあ、師Artisan。こちらに送られてきたCookingからは毒や薬は検出されなかったよ。念のために囚人に食べさせてみたが、泣きだされてしまった。美味いといってね」
囚人……Braga達が顔を剥いだ後拉致したAlcrem Duchyの犯罪者や、Vandalieu達がOrbaumで捕まえた犯罪者やmountain banditたちだ。
彼らの内まだ生かされている者は、Lucilianoの元で研究や実験に有効活用されている。
「確かに、そこそこの味だった」
『ぶぐるるる』
Vandalieuがいない間に運ばれてきた食事を代わりに食べたGhostとKühlがnod。どうやら、この施設では患者に美味い食事を提供しているようだ。
「その囚人が【Poison Resistance】などのresistance skillを持っていた可能性は?」
「それはないだろう。彼には何日か前も、薬の実験台になってもらったばかりだからね。ただ、薬を盛っていないのではなく、食事に混ぜる必要がないだけではないかな?
師Artisanの新しい奥方は、今まで出された薬を素直に飲んでいたのだろう?」
Ameliaが薬を飲むのを拒否していればともかく、出された薬を素直に飲んでいるのなら、態々食事に混ぜる必要はないという事らしい。
「もしくは、いきなり入院してきた師Artisanを警戒していて、暫くは薬も混ぜず息を潜めるつもりなのかもしれない。まあ、頑張って調べてくれ」
「それは分かりましたが、新しい奥方とは?」
「違うのかね? 中々の熱々ぶりだと聞いたが」
「否定はしませんが、広めないように。心のDiseaseが快方に向かい、認識Abilityが戻ったら俺の事など見向きもしなくなるかもしれません」
AmeliaがVandalieuに対して親密な態度で接するのは、Vandalieuを「夫」だと誤認しているからだ。正気に返れば、彼女にとってVandalieuは娘のparty member、友人や仲間でしかない。当然、これまでの態度とは一変するだろう。
そう心に予防線を張って、Lucilianoの冗談に応えるVandalieuだった。
「……今までのpatternを考えると、そうはならないと思うがねぇ。まあ、いいさ。それでは、手に入ったらこの施設で出している薬の実物を送ってくれ。解毒剤の類が作れる薬とは限らないが、やるだけやってみるから」
そう言ってLucilianoは再び【Teleportation Gate】をくぐって研究所に戻って行った。
「最近、俺の研究所兼作業場がLucilianoに乗っ取られている気がしますね。それはともかく、Ghost、薬のCompounding施設を探してきてくれませんか?」
「分かった、任せろ」
VandalieuがPsychiatric clinicに入院してから、三日が過ぎた。その間に、彼の入院はOrbaumに存在する権力者たちの間で衝撃と共に知れ渡った。
何故なら『Lambda』において心のDiseaseとは治療法の分からない、重症なら奇跡でも起きない限り完治しない不治のDiseaseと同-samaの認識をされている。
それに何かと噂になっているVandalieuがかかり、治療実績がdespair的である事が有名であるPsychiatric clinicに入院したのだ。話題にならない訳がない。
Prime MinisterのTelkatanisやDolmad Marshallは、Takkard・Alcrem Dukeと不仲になったか、DukeとDarciaが情を交わし、邪魔になった息子を闇に葬ろうとしているのではないかと、conjectureを重ねたが真実には辿り着けなかった。
商業guildの関係者はVandalieuが行っている商売に食い込む、もしくはAbsorptionするchanceではないかと不穏な動きを始め、Mage guildはVandalieuがUndeadを従えられたのはその特異なMental性に理由があるのではないかと議論をし、Adventurer’s GuildではArthur達の元に見舞いの言葉や品が集まったりした。
そしてただの噂好きや、Vandalieuの事を気に食わないと思っている者達は、「ついに気が触れたのだろう」「Undeadを使役する者が正気のはずがないと、前々から思っていた」等と陰口を囁いた。
そんな中、最も冷静なorganizationはMeorilithが校長を務めるHero Preparatory Schoolと、Orlockが長を務めるTamer guildだった。彼女達はそれぞれVandalieuから「七日程入院します」と書かれたletterを受け取っていた。
そう書かれている以上は、七日経ったら退院するつもりなのだろうと、周りが何を囁いていても静観の構えを崩さなかった。
二人がletterに書かれていた事をNobleに知らせれば、それなりの謝礼を受け取る事ができただろう。だが、二人はそれぞれ生徒や組合員の個人情報を売る気はなかったため、黙っていた。
逆に、この騒動で一二を争うほど動揺し、焦ったのはElizabeth Sauronの後見人のはずのドラッツェ・Rimsand Earl。そして、彼女の腹違いの兄の一人でありSauron Duke 家の別邸で暮らすVeedal・Sauronだった。
「あの欲の皮が突っ張った強欲タヌキめ! いったい幾ら貰って奴の入院を許可した!? 奴がsickのはずがないだろうが!」
多額の寄付をしている自分の意向を無視しやがってと、Rimsand EarlはclinicのDirectorを罵りながら、執務机を叩き、glassの中の酒を呷った。
荒々しい怒声と物音が響き、Rimsand Earlの頭に酒精が回る。彼の苛立ちは収まるどころか増すばかりだ。
「奴は何を企んでいる? やはりAmeliaをどうにかする事か? Ameliaをどうにかして、儂からElizabethを奪う気なのか?
だとしたらどうすればいい? ……いっそのこと殺し屋を雇うか?」
ふと口に出したideaが、妙案のようにRimsand Earlには思えた。clinicは堅牢だが、Vandalieuが普段暮らしている幽霊mansionとは違う。買収すれば簡単に殺し屋を内部に引き入れてくれる職員にも、あてがある。
「雇い主が儂だと分からんよう、人を間に挟めば万が一にもバレはしない。よし、幾つか伝手を当たってみるとしよう」
しかし、Rimsand Earlの企みは上手くいかなかった。何故なら、Orbaumの腕利きの殺し屋……つまり、実績を積んできた者達はVandalieuの手の者によって殺されるか、モルモットにされるか、彼を見た瞬間に導かれLoyaltyを誓い、殺し屋を引退したからである。
そのため、彼の伝手ではすぐに殺し屋を用意する事は出来なかったのだ。
そしてVeedal・Sauronはひたすら困惑していた。Vandalieu、そしてその背後にいるはずのAlcrem Dukeの狙いが分からなかったからだ。
「Elizabethに肩入れしているように見えたのは、Vandalieu Zakkart個人が友人になったからと思っていたが……まさかElizabethを利用して、こちらに対して政治的な工作を仕掛けるつもりなのか?
兄上から情報収集と同時に警戒せよと言われているが、これはどうすればいいのだ?」
Veedalの立場は、OrbaumでのSauron Duchyの大使に相当する。
法律上同じなのだが、実際はDuchyという国の集まりであるOrbaum Elective Kingdomは、Centerとも呼ばれるElected King領での外交と政治によって大勢を維持している。Successor争いをretireして現DukeであるRudelに恭順するふりをして手に入れた、重要な地位だ。
……実際には監視付きで、tailを出さないか見張られているのだが。最後までSuccessorの座を争い続けたVeedalは、現当主のRudelにとって目障りだが簡単には消せない存在である。家臣に忠実な者はいないが、ある程度のinfluenceを維持している。何よりSauron Duke 家で生き残った数少ない男子であるためだ。
Rudelとしては、Veedalに地位を与えて重用するふりをしつつ、彼が処分されても仕方のないmissをするか、自分のDukeとしての立場が強固になるのを待つつもりだったのだろう。今のところは、その思惑に反してVeedalはmissをせずtailも出さず、RudelのDukeとしての立場は不stabilityなままだ。
しかし、ここにきてVeedalは重要な案件に頭を悩ませていた。
「まさか、Alcrem DukeはElizabethを取り込んで、Sauron Duke 家のSuccessor争いを再燃させるつもりなのか? そんなBAKANA、Alcrem DukeにとってもSauron Duchyのstabilityは重要なはずだ。
それとも、Elizabethを取り込み、Sauron Duke 家のbloodを継ぐ身内を確保して、将来再びお家騒動が起こった時の保険にする気か? そうだ、そうに違いない!」
そうVeedalはconjectureし、本国へ送る書類に記した。Rudelの政治力が弱まるのは彼にとっても歓迎できる事態だが、conjecture通りの事態なら自分にとっても都合が悪くなる。そうである以上、Rudelの応援をしなければならない。
だが、彼も、まさかAlcrem Dukeの背後にVandalieuがいるとは夢にも思わなかった。
「ふぅ、しかし Elizabethも哀れな奴だ。勝ち目のないSuccessor争いに担ぎ出されたと思ったら、後ろ盾のはずのRimsand Earlが妾にしようと企み、今度はAlcrem Dukeにbloodlineと胎を狙われるとは。
私のように、表向きだけでも兄上に降っていればそれなりの地位についていただろうに」
Elizabethが政治の駒として扱われていると思い込んでいるVeedalは、そう腹違いのImoutoを哀れんだ。
ちなみに、彼は不Honoraryな噂を流してAmelia SauronをEmotionalに追い詰めた事に対して良心の呵責は覚えていない。それどころか、噂を流すよう指示した事すらMemoryに留めていなかった。
何故なら、彼は権力闘争として取れる手段を取っただけで、悪い事をしたという認識すらなかったからだ。AmeliaがEmotionalに追い詰められ、Diseaseんで入院したというのなら、それはDiseaseんでしまったweak彼女に責任がある。それがVeedalにとって、当たり前な価値観なのだ。
そして、そのAlcrem Duke 家では華々しい舞台が催されていた。
キラキラとしたmagicの演出に、今までにないmusic。そして形状を変える衣装を纏った、美女とBishoujoの歌とdance。
「素晴らしい。あのようなリズムの速いdanceをdanceながら、歌声を響かせるとは……」
「これは華々しい。私は伝統的なmusicを好んできましたが、彼女達の演奏と合唱は見ているだけで楽しくなってきますよ」
「でも少し肌を露にしすぎではありませんこと? 特にあのsistersは、鎧と言ってもまるで下着のような形ですし……」
「奥-sama、あれはZakkart countessのご子息のTamed MonsterのUndeadだそうです。ですので、厳密に言えば肌ではないそうです」
「まぁっ、そうなの!? どうりで肌が白すぎるはずだわ」
Alcrem Dukeに招待されたNoble達には、Idol live performanceはそれなりに好意的に受け止められたようだ。
「皆、お疲れ-sama。急なStageになっちゃったけど、皆のお陰で大成功よ」
「いやはや、ご迷惑をおかけしました」
Darciaの言葉に続いて、Alcrem Duke 家の別邸でGeneral Officerを務める男が繰り返し頭を下げる。彼が招待客から「Alcrem Duchyで広まっている面白いmusic」の公演を要望され、急遽Stageをやる事になったのである。
「いえいえ、Alcrem Dukeにはお世話になっていますし、日頃からlessonをしていますから、これぐらい余裕ですよ。
でもまあ、演出面では難がありますけど。……やっぱりDemon King Familiarを使った演出じゃないと、百percentのShowはまだ発揮できませんね」
「Kanako、外で滅多なことを言うでない。まあ、確かに坊やの力添えがあった方が頼もしいのは事実じゃが」
『お見舞いに行きたいんですけど、Tamed Monsterお断りなんですよね。あのclinic』
『姉-san、誰かに着て行ってもらうってのはどうでしょう? ねえ、Darcia -sama?』
StageのmemberはDarcia、そしてVandalieuの【Body World】にいたKanakoとZadiris、そしてSilkie Zakkart MansionにいたRitaとSalireである。
「あたしもdanceたかったー」
『たー』
PauvinaとEisenはStageの広さの問題で、今回はjuice作りに専念していた。
「もっと大きなStageなら、みんなでできるんですけどね。やっぱり許可は下りませんか?」
「申し訳ございません。どうやら、Alda templeと……Church of Vidaの一部が手を回しているようでして。それに、Nobleの中にはTamed Monsterの皆-samaを頑なに認めない者も少なくなく、公共の場所でTamed Monsterに芸をさせるのはみっともないと言い出す始末でして……」
General Officerが言っているような理由で、Kanakoが欲する広くて大勢の人々が見る事ができる舞台での公演はまだ実現していなかった。
「やはりReconciliation Factionの力はまだ強いですか……そう言えば、なんでReconciliation Factionは一つに纏まらないんでしょうか?」
ふとKanakoが疑問に感じたように、Orbaum Elective KingdomのAlda Reconciliation Factionと、それに好意的なVida believer達はorganizationとして纏まっていない。彼らはAlda templeの中のReconciliation Faction、Church of Vidaの中の親Reconciliation Factionとしてbelieverの中に混じって存在している。
彼らに比べれば、過激派のAlda believerの方がよほどorganizationとして纏まっている。……見習ってほしい訳ではないが。
「それは、Heinzが表に出てきていないからじゃないかしら。Dungeonの中からじゃ、派閥を纏めるのは難しいだろうから」
『たしかに、それじゃあReconciliation Factionのsymbol leaderじゃなくて、shadowの黒幕ですよね。誰もが存在を知っていますけど』
だが、DarciaとSalireの意見で疑問が氷解した。Reconciliation Factionはorganizationとして纏まっていないのではなく、纏まる事ができないconditionなのだ。
Reconciliation FactionにはtempleでもHigh PriestやCardinalなど高い地位にある者はいるが、他のDuchyのtempleにまで強いinfluenceを発揮できる者がいない。親Alda Reconciliation FactionのVida believerも同-samaだ。
「それに、一纏めになったら儂らに狙われやすくなるとでも思っているのかもしれん」
『たしかに、纏まってくれた方が分かりやすいですよね。過激派よりもずっと数が多いので、隠れて集まるのも難しいでしょうし』
そして、ZadirisとRitaが「Vandalieuに危機感を覚えている立場からの見方」として意見を述べる。今やVandalieu達はVida Fundamentalismという名称で知られ、Human社会でも警戒されている。
organizationとして纏まる事で衝突が起こる事を警戒しているとしても、おかしくはない。……特に、Heinz達は。
「あの、皆さま……物騒な話題はpartyが終わった後にしていただけないでしょうか?」
「「「すみませんでした」」」
ただ、それ以上の議論はGeneral Officerによって中断させられてしまった。Alcrem Dukeに招待された者しかいないが、身内だけを招いたわけではないので、滅多なことは話さない方が望ましいのだ。
「失礼、Darcia・Zakkart Honorary Countess。舞台でお疲れのところすまないが、お話を伺っても構わないだろうか?」
たとえば、たった今話しかけてきたJahan Dukeのように。
「これは、これは、Hadros・Jahan Duke閣下」
General OfficerがDarcia達の前に出て、一礼する。Giant raceとしては平均的だが、二meter半ばを超える威容を誇る彼は、Alda templeのHigh Priest位を持つAlda believerだ。
PriestやHigh Priestの位を持つNobleは珍しくない。特にDukeのような大Nobleにとっては、称号のようなものだ。実際にはtempleの業務に口を出さない、関わらない者が圧倒的に多い。
しかし、Jahan Dukeは例外で彼は自領のAlda templeのorganization改革を行うほどの敬虔なbelieverである事が知られている。……Jahan DuchyがOrbaum Elective Kingdomの中でも北東にあるため、Amid Empireでは「Giant raceのDuke」としか知られていないが。
「まだOrbaumに留まっておられるとは思いませんでした。ご挨拶に伺うのが遅れて申し訳ありません」
「なに、我が領は雪国なのでね。春が来るのが遅いのだよ。Alcrem Duchyは、冬の寒さを忘れるほど春が続いているようだが。結構な事だ」
そして、Alcrem Duchyとの関係は悪い。隣り合っている訳でもないため普段はお互いに無関心だが、Alcrem DukeがAlda Reconciliation Factionに転向した時は非難するletterを送り付けられた。……そして、Vidaに転向してからは静かな敵対姿勢を取られている。
とはいっても同じOrbaum Elective Kingdomを構成するDuke同士なので、Bloodshedは起きていない。配下のNoble 家同士の政略結婚が破談になったり、社交界で嫌味を言いあったり、partyを開いたときお互いに相手を招待しなかったり、Vandalieu達からすると敵同士というより、ただ仲が悪いだけに見える程度の敵対関係だ。
だから、今回のpartyでAlcrem DukeのGeneral OfficerがJahan Duke 家に招待状を送ったのも、「我々は邪険にしていませんよ」というalibi作りのためだった。そのため、まさか本人が、しかも partyが開催されてから暫く経ってから乗り込んでくるとは思わず、対応が遅れてしまったのだ。
「ところで、私はZakkart Honorary Countessと話をしたいのだが?」
「申し訳ありませんが、Honorary Earl達は舞台を終えたばかりで疲れておりますので、お話があれば私が承ります」
「長い話ではない。ただ、ご子息の事が気がかりでね。心をDiseaseみ、入院してしまったそうじゃないか。UndeadをTamerするなど、稀有なaptitudeの持ち主だと聞いているから心配でね」
表面上は穏やかに見えるwar of wordsを繰り広げるJahan DukeとGeneral Officer。
「まあ、それはありがとうございます。きっとあの子も喜びますわ」
しかし、そこにDarcia本人が加わってしまった。General Officerは一瞬驚いた顔をするが、仕方がないとDukeの前から一歩引く。
「……良ければ、一度お見舞いに行きたいのだが、構わないかね?」
「息子の治療はclinicの方々にお任せしていますので、clinicのsenseiから許可を頂いたのなら構いませんわ。でも、話は短めに切り上げてくださいね。今、息子はとてもdelicateなconditionなので」
そう、delicateなconditionなのである。学校の友達の母親の夫役をしながら治療し、clinicの怪しい部分を調べている。幽閉する予定のEmperor自身に、自分を幽閉するための施設を作らせる計画を真面目に進めるぐらい、扱いに注意が必要な時期だ。
「分かった。希望にできるだけ添えるようにしよう。それと、先ほどの舞台は見事だった。素晴らしい聖歌に、思わず聞き惚れてしまった。
機会があれば、是非我が領でも公演してほしい」
「ええ、機会があれば」
Darciaはにこやかに見送ったが、Hadros・Jahan Dukeはどこか困惑したような雰囲気を漂わせたまま去って行った。おそらく、息子が入院した事に対してDarciaが平然としており、見舞いも簡単に許したからだろう。
「Darcia -sama……普通のNobleならご子息が心のDiseaseで入院している事はできる限り隠そうとするものなのですよ。今回はJahan Dukeも毒気が抜けたのかあっさり引いたので良かったですが」
「ごめんなさい。普通のNobleがどうするのかは聞いたけれど、今更隠そうとしたところで意味があるとは思えなかったものだから、つい」
何せ、関係者には全員知らせたし、関係者以外も知っている。このconditionで面倒なwar of wordsを繰り広げてまで隠そうとする意義を、Darciaは感じなかったのだ。
「それに、あのDukeがすぐ帰ったのには、DarciaとAlcrem Duke 家との上下関係が逆である事に気がついたからかもしれんぞ」
「General Officer -sanとDarcia -sanの-sama子を見れば、どちらの立場が上か察するのは難しくないでしょうからね」
ZadirisとKanakoの言葉に、うっと呻くGeneral Officer。対外的にはVandalieuは魔Emperorではなく、Alcrem Duke 家に仕えるHonorary Earlのyoung childという事でまだ通す予定のため、実際の力関係は隠すよう彼は命じられていたのだ。
「ご、ごめんなさい、しゃしゃり出てしまったせいで」
『大丈夫ですよ、Darcia -sama。ばれたところでどうにもなりませんから』
『せいぜい、Luciliano -sanの所に送られる人が増えるくらいですか。そう言えば、Jahan Dukeから公演のお誘いがありましたけど?』
「あれはただの社交辞令です。本気にしたらidiotを見ます。Alcrem Dukeのnameを使って良いなら、『あの時言いましたよね?』ってごり押しする事もできそうですけど……」
「どうかご勘弁ください」
「General Officer -sanもこう言っていますし、暫くは-sama子を見ます。さっきも言いましたけど、大分お世話になっていますし」
Kanakoが言うように、Alcrem DukeのGeneral Officerは見えないところで色々なものを守っている。たとえば、一人息子がMentalをDiseaseんで入院……Noble社会では再起不能と同じ意味のconditionになったため、コブが無くなったと解釈してDarciaに近づこうとするNobleや、Eisenを狙ってTamed Monsterを引き取ろうとするNobleなどがVenueに入らないようにするなどしているのだ。
「General Officer -sanも大変だね」
『そうだねぇ。お飲みぃ』
「ありがとうございます」
PauvinaとEisenの労いとjuiceの差し入れに、思わずほろりとしたGeneral Officerだった。
そして、nightが明けてVandalieuが入院して四日目の朝。clinicのPharmacistが動いた。
「さすがに、そろそろ薬を飲ませなければならんな。しかし、例の患者……Vandalieu Zakkartが入院して来てから、異変ばかり起きている。Amelia Sauronが急に快方に向かっているのもその一つ。
Amelia Sauronに薬を飲ませる際には、慎重にならなくては」