Zohnaが【Vandalieu’s Divine Protection】を得た事から、もう彼女からAlda's Factionの神やRodcorteへ情報が流れることはないだろうと、Vandalieuは確信した。そのため、彼女が獲得した【Vandalieu’s Divine Protection】についてはcertainly、-sama々な事について打ち明けた。とはいえ、全て話すと日が暮れてしまうので、簡単な説明だけだが。
その間にPauvinaとも合流し、VandalieuはZohnaへの説明と同時にPauvinaへの事情の説明も行った。
「『っと、いう事なのです』」
Bodyの顔とSpirit Formの顔、同一人物の別々の口から語られる事情に、二人は異なる反応を見せた。
「分かった。じゃあ、今からAlex senpaiに、『めっ』てしてくる」
鋼鉄の塊も砕く拳を握って宣言するPauvina。その拳で「めっ」されるよりもいっそ石製の棍棒で殴られた方が、まだ生き残る可能性がありそうだ。
「……Vandalieu -kun、本当になんでここにいるの? Coup d'étatでも起こすの?」
そしてZohnaは光の消えた瞳でVandalieuを掴んで揺さぶっている。今日はよく彼女と触れる日だなと思いながら、Vandalieuは二人に「いいえ」と答えた。
「Pauvina、Alex senpaiは今日の出来事で心が折れているので、『めっ』は勘弁してあげてください。心だけではなく体が砕け散ってしまいます」
今、Pauvinaに「めっ」されたら、体以上に心が砕け散って再起不能になってしまうかもしれない。Vandalieuとしては、彼が田舎に帰って畑を耕して平和な一生を過ごしても別に困らない。契約が無意味になるが、別に損はしていない。しょせん、Vandalieuにとって彼らは他人なのだ。Statusを見ようとした結果、Pauvinaに小突かれたとしてそれは自業自得でしかない。
しかし、首席卒業を目標とするElizabeth達を磨くのに、Alexというライバルは丁度いいraspだ。なので、利用価値があるからしばらくは活かしておきたい。
「Zohna senpai、そんな物騒な目的はありません。ただ、Vidaの布教やTamer guildを利用してTamed Monster関係の常識を変えようと思っているだけです。後、ついでに【Demon King Fragment】を集めたり、犯罪organizationを壊滅させたり、色々するつもりですが」
【Demon King Fragment】はまだ一つも見つかっていないし、犯罪organizationもまだ幾つかしか潰していないが。
「む~。分かった、Alex senpaiが立ち直ったら、『めっ』ってしに行く」
「ううん、十分物騒な目的のような気がするけど」
「俺もそう思うぞ、Vandalieu」
Pauvinaは納得してくれたがZohnaと、さらにYuumaの同意は得られなかった。だが、考えてみれば確かにそうかもしれないとVandalieuは思い直した。
彼の目的の一つは布教だが、いくらOrbaumがElective Kingdomの首都でも、まだ特定の神を信仰していない人々が何千何万人といるわけがない。つまり、布教とは既にAlda教のbelieverだった人々をVidaのbelieverにする事だ。つまりAlda templeという既得権益を持つorganizationから、believerを奪う事になる。
他の目的も同-samaに考えると、物騒と言われても仕方がないだろう。
「correctionします。物騒な目的がありますが、Orbaum Elective Kingdomそのものをどうにかするつもりはありません。Coup d'étatや侵略する理由も必要性も皆無です」
「よく正直に言った。偉いぞ、Vandalieu」
「……正直に言われても、なんだかなぁって感じだけど、もういいや」
「緊張感とか、野望に燃えるとか、そんな感じじゃないもんね。でも、Orbaum Elective Kingdomを侵略する気がないのは本当だよ」
既にOrbaum Elective Kingdomを超える国土を持つMagic EmpireをVandalieuは治めている。Boundary Mountain Range内部だけではなく、Demon continent、Gartland等の飛び地も含めれば、『Lambda』worldの歴史でも類を見ない広大な領土を誇る。そのため、Orbaumを侵略する理由がないのだ。
資源も食料も十分あり、逆に領土的な野心は無い。新しい土地が欲しければ、Dungeonを創ればいいし、そうでなくても地上に利用していない土地はいくらでもある。……Demon continentはcertainly、Demon KingのContinentのDevil Nestsを農地や住宅街にするのは難しいが、先に述べたようにそれらの需要は高くない。
そのため、布教してVida's New Racesの権利が保証され、Undeadに対する認識が改められ、最終的にVidal Magic Empireと貿易を公にできるconditionになれば、それで十分なのだ。そこに至るまでの障害が多いし、既得権益を受けている側からすればとんでもない話だろうが。
「うーん、まあ、そこまで言うなら納得する。考えてみれば、Coup d'étatを起こすのにAdventurer's School校に入学するのは不自然だし」
Vidal Magic Empireを実際に見ていないZohnaにはピンとこない話だったが、Vandalieu達がそうした目的のために動いていないという主張は信じられる話だった。
「じゃあ、Van。そろそろLuvez出して」
「わかりました。Gufadgarn、手伝ってください」
「えっ? 誰かいるの? もしかしてDandolip senseiが言ってた、Space-Attribute Mage!?」
狼狽えるZohnaの前で、虚空に黒い穴が空き、中から一頭のWyvernが現れた。
「あれ、普通のワイバー……デカ!?」
一見すると、現れたのは普通のWyvernだった。scaleの色も普通で、背びれや角も生えておらず、頭部や翼の数も多くない。ただ、頭部や後ろ足に装飾品をつけているだけで。
しかし、その大きさは通常のWyvernの倍以上だった。……これだけで充分通常のWyvernではない。
「うわ~っ、凄い、大きさ以外は普通のWyvernみたい!」
「おお、本当だ。国でよく捕れたWyvernそっくりだ!」
「皆と作った幻で普通のWyvernに見えるようにするmagic itemは、予定通りの性能を発揮しています」
GiantなWyvernの正体は、当然だが『Raging Evil Dragon God』Luvezfolである。PeteやPainと違い、【Shrink】のskillを獲得できなかった彼を無事Tamer guildに登録するために考えた、「普通のWyvernよりちょっと体が大きなVariantです」と言い張るという苦肉の策である。
『屈辱だ……この我がWyvernの仮装をしなければならんとは!』
そして当人にとってこの変装は、屈辱の極みだった。
「しゃべったっ!?」
『うおっ!? どちら-samaだ!? Pauvina -sama、新しいお友達ですか!?』
Luvezfolと初めて会ったZohnaが驚愕の声をあげ、Luvezfolも初めて見るZohnaに驚いてPauvinaに問いかける。
「ううん」
『そうでしたか。聞くがいい、Dwarfの小娘よ、我こそは『暴――』
「Vanの友達で新しい仲間で、loverの一人になるかもしれないZohna senpaiだよ」
『Pauvina -samaの僕のLuvezfolと申します。以後よろしくお願いいたします』
胸を張って翼を広げた威厳も迫力もある姿勢から、流れるような動作で額を地面に擦り付けるLuvezfol。その一連の動作は、芸術的ですらあった。
「な、なんなのこいつ!?」
「Zohna、これくらいで怯えていては体がもたないぞ。頑張れ!」
「ええっ、これで『これくらい』なの!?」
腰を抜かしそうになったところをYuumaに支えられているZohnaは、驚きの声をあげるが……実際にはsealedされているconditionのLuvezfolより、EisenやEleonoraの方がずっと強い。それなのに彼女がLuvezfolに対して怯えたのは、Eisen達が実力を見せた事がないからだろう。
「頑張ってこれから慣れる。それにしても、Vandalieu -kunの秘密が次々に明らかに……ってまた何か出る!?」
Zohnaの見ている前で、再び虚空に黒い穴が出現した。しかし、穴から現れたのはLuvezfolの十分の一以下の小さな人shadowだった。
「『初めまして』、私は偉大なるVandalieuの崇拝者にして僕、Gufadgarn。以後お見知りおきを」
姿を現したGufadgarnをZohnaはまじまじと見つめた。銀をそのまま溶かしたような銀髪に、黒子一つ無い白い肌、尖った耳に、人形のように整った瞳に桜色のlips。金色の瞳が虚ろだが、最近そうした瞳には見慣れていたので欠点だとは思わなかった。
そのため、彼女には非の打ち所のないElfのBishoujoに見えた。
「……よしっ」
しかし、胸の大きさでは勝っている。そのためZohnaは大きな敗北感を覚えずに済んだ。
「こちらこそ初めまして。いくらElfでも、そのageでSpace-Attribute Magicを使いこなすなんて……ん? space Mageって事はもしかして……実習の時から、ずっとどこかにいたの?」
「はい。私は偉大なるVandalieuの背後に、常に控える栄誉を受けています」
「じゃ、じゃあ、あたしがVandalieu -kunを……」
「あの実習の出来事なら、最初から終わりまで、全て見ていました。あの者の狼藉、およびDandolipというInstructorの接近を止められなかった責任は――」
ZohnaはGufadgarnの言葉の最初以外は聞いていなかった。bloodが一気に頭に上り、頬が燃えるように熱くなる。
「いやあああああっ! お願いだから忘れてぇ!」
『恥ずかしがることなんてないですよ、Zohna -sanっ! とっても面白かったです! 私なんて見ているだけでドキドキ――』
「いやああああっ! おっぱいお化けぇぇぇぇ!」
『おっぱ!?』
「Zohna senpai、落ちつふぃふぇふゅらはい」
『この娘っ! Vandalieu -samaのlipsを物理的に奪おうとするとは、大胆な……!』
突然現れたPrincess Leviaに驚き、声をあげて手を振り回すZohna。彼女の言葉にshockを受けて固まるPrincess Leviaと、頬を掴まれて振り回されるVandalieu。そして、戦慄しているらしいDarock。
「……Zohnaが落ち着くまでしばらく待とう」
「そうだね。ところでYuuma -chan、その髪飾りってなんのDragonのbone?」
「Demon continentで発見した新種のDragonのfangs製だ。Zod師Artisanがくれた素材から作ってもらったんだ」
「へー、いいなぁ。今度Vanに連れて行ってもらおうかなぁ」
『ところで、我はもう許されたのでしょうか?』
そしてVandalieu達はZohnaが落ち着くのを待って、共にYuumaを連れてOrbaumに戻った。門番もこの頃になるとVandalieuの事を覚えており、しかも誰かが「下手に関わるな」と指示しているのか、審査で揉めることはなかった。
むしろ、そのでかいWyvernを連れて早く入れと急かされたぐらいだ。
Orbaumを頻繁に出入りしているadventurerや、近くの村や町から何度も往復している村人やpeddlerはもうVandalieu達に慣れているので、少し怯えるぐらいで済んでいる。しかし、初めてVandalieu達と遭遇した隊商の商人は腰を抜かし、mercenary団は思わず剣や槍に手を伸ばしている。
長く時間をかけて審査をすれば、troubleが起こるのは目に見えていた。一刻も早くTamer guildに押し付けなければならない。
押し付けられたTamer guildはたまったものではなかったが、それが仕事なので拒否はできない。
たださすがに通常のWyvernの倍以上の大きさを誇るLuvezfolを、屋内に入れる事はできない。そのためGuild MasterであるOrlockの方が外に出て審査する事となった。
「……WyvernのVariantだが、体が大きいだけ。そう言ってはいたが、もしかして言葉を理解しておらんかな、こいつ?」
「そりゃあ、言う事を聞いてくれるから、分かると思うけど」
Luvezfolに触れたり話しかけたりして、彼の-sama子を見ていたOrlockの鋭い言葉に、Pauvinaが内心焦りながら、事前に考えていたセリフを口にする。しかし、彼は誤魔化されなかった。
「いやいや、Pauvina -kunが言っているのはよく仕込まれた犬と同じ意味の『言葉が分かる』じゃろう。儂が言っているのは、言語の意味を理解しているという意味だ。のう、Wyvern -kun?」
『…………』
不意に尋ねられたLuvezfolだが、彼はOrlockを無視して沈黙を維持した。しかし、その瞳には、『Human風情が、この我をWyvern呼ばわりだとぉぉぉ!?』という怒りの炎が燃えている。まさに、目は口よりも語るconditionだ。
「しかし……これ以上儂がゴネてもどうしようもないか。Tamer guildとしては、TamerがTamed Monsterを制御、つまりTamerしていればそれでいい。Variantだろうが、言語を理解するAbilityがあろうがなかろうが、Tamed MonsterのRankが申告しているRankより高かろうが、それは審査そのものにとっては問題ではない。……これは儂を納得させるための独り言だが。
よかろう、Tamed Monsterとして認める。ただ、竜Knight連中やBachemから問い合わせがあるのは覚悟するように」
Wyvernは龍の劣った子孫である竜種の中で、最も人に飼い慣らされているraceだ。WyvernにMountする竜Knightや、Wyvernに吊り下げた籠に乗って移動する竜籠等、需要は高い。
それだけにWyvernをTamerしているTamerの需要も高く、その実力と技術を求めて-sama々なところから声がかかる。
「うん。でも、Luvezを最初にTamerしてくれたのはVanだから、あたしは普通のWyvernをTamerするのは無理だよ」
「そういう訳で、何かあったらPauvinaではなく俺に話を通してくれると助かります」
それはVandalieu達も知っていたので、事前に決めていた話をする。
「分かった、分かった。それで、-kunの要件はそっちのお嬢-san達に首輪を嵌める事かね?」
Orlockはそう言いながら、YuumaとZohnaに視線を向ける。その眼差しには、すっかり諦観が宿っていた。
「違う違うっ、あたしは付き添い! Dwarf、ただのDwarfだから!」
Zohnaは慌ててOrlockが首輪を二つ用意しようとするのを止めた。loverやLoverになるのは構わない彼女だが、衆人環視の中首輪をされるのは、さすがに避けたいらしい。
「ただのDwarf……たしかにそう見える」
「そうでしょっ!? それはそうよね、それ以外に見える訳ないんだから!」
「――して、その正体は?」
「そう、あたしの正体はって、だからただのDwarfだって言ってるでしょ!」
「そうなのかね?」
「Zohna senpai、あなたはただのDwarfで終わる人ではありません」
「そうだ、もっと自信を持て。お前のmuscleを見れば、今までたゆまぬ努力を続けてきた事は分かる!」
「ありがとう! でもそういう事じゃないから!」
このままだとDwarf出身のVampireとか、そんな誤解をされかねないと必死に声を張り上げるZohna。普通に考えれば、Vampireなのに昼間外を出歩けるわけがないのだが……EleonoraやBellmondがSunlightを浴びても平気な顔をしていたのを思い出し、口に出すのをやめた。
「はっはっはっは! いや、ventをしてしまってすまんなお嬢-san。もう察していると思うが、このBocchanには散々好き勝手されていてな、少しばかり意趣返しがしたかったのじゃよ。……本人はこうして動揺した-sama子もないが」
「ご迷惑をおかけしています」
無表情のまま頭を下げるVandalieuに、Orlockは「まあ、気にせんでいい」と答えた。
「お前-sanは、蟲型やUndeadのmonstersをTamerできている。それで十分じゃ。guildは組合員に利用されてこそじゃし、組合員を守ってこそguildじゃ……しかし、最近ちいと煩くなってきてな」
そう言いながら、Orlockは職員に持ってこさせた書類の束をVandalieuに手渡す。
「お前-sanところのTamed Monsterに対して問い合わせてきた連中だ。Mage guildは研究のために見せてほしいとか、抜けた毛や唾液、できればblood液も提供してほしいとか、常識的だったが……Nobleの中にはTamed Monsterを『寄こせ』とdemandしてくる者もいて参ったわい」
「Tamed Monsterを寄こせ……Peteじゃなくて、EisenやZadirisやEleonora達が目的ですか」
「そういう事じゃな。どうせ言葉が通じるなら、Tamerでなくても従えられる……自由にできるとでも考えたのだろう」
Orlockに言わせれば、愚かな浅wisdomだ。言葉が通じる、つまりHumanと同等の知能のある存在が何故Tamed MonsterとしてTamerに従っているのか、その理由を全く考えていない。
「直接demandするのは、Alcrem Dukeの権威やHeroであるご母堂の実力が恐ろしい。Adventurer’s Guildを通すと、Meorilith校長の耳に入る。だからTamer guildにdemandしてきたのだろう。
もちろん、全部追い返しているが」
「お手間をおかけしています」
Vandalieuが受け取った書類を見てみると、見覚えのないnameの家名が並んでいた。見聞きしたものを忘れず脳内にrecordする事ができる、【Perfect Recording】skillを持つVandalieuに覚えがないという事は、余程無名のNobleなのだろう。
しかし、無名でもこの書類に並んだNobleばかり剥ぎ取られた顔だけ残して行方不明になったら怪しまれるので、警告のletterを出すだけに留めようとVandalieuは思った。
このNoble達がそれで報復を考えて、Vandalieuの仲間を狙う事も考えられる。しかし、Zohna達はこの書類にnameが並んでいるNobleと同じNobleだ。家の格も、それほど変わらない。
Simon達を狙った場合は、放たれた刺客が返り討ちに遭うだけだろう。
そして常識的らしい研究目的の問い合わせには、研究内容によって応えればいい。VampireやGhoul等、Vida's New Racesの正しい認識を広めるのに使えるだろう。
「それで、本題の審査だが……合格でいいじゃろ」
そう言ってOrlockは首輪を一つVandalieuに渡し、新たなTamed MonsterとしてYuumaは登録されたのだった。
この後、idiot Nobleからの「Tamed Monsterを寄こせ」というdemandはさらに過熱したが、Zakkart Honorary Earl 家の名で出されたletterが各Nobleに届けられるとすぐに鎮静化した。
そしてletterは、ZohnaやMact達の実家やRimsand Earl 家にも届けられた。内容は異なっていたが。その結果、ZohnaやMact達はOrbaumのNoble達からVandalieuの仲間……Alcrem Duke派と見られるようになったが、「情報を集めろ」という圧力を受けることはなくなったのだった。
ただ、後日ある人物からletterを受け取ったVandalieuは、その場で地面に崩れ落ちたらしい。
ぐしゃりとletterを握り潰し、壁に向かって投げつけたDraze Rimsand Earlは「クソが!」と吐き捨てた。
「Honorary Noble風情が生意気な事を! 薄気味悪い Undead Userめ! 何-samaのつもりだ! Alcrem DukeもDukeだっ! Evil God SlayerのHeroだか何だか知らないが、いいように使われるとは情けない! Dark ElfのAllureにでも迷って色ボケたか!?」
離れで夕飯の支度をしているElizabethやMaheriaが聞いたら、ツッコミどころが多すぎて困る言葉を吐いて、Rimsand Earlは乱暴に椅子に腰かけ、wineで満たされたglassを一気に呷った。しかし、それで苛立ちが鎮まることはなく、むしろ酒精で怒りが増したような気がする。
「ええいっ! 全てあの不気味なDhampirのせいだ! 奴のせいでElizabethは追い詰められるどころか、メキメキと実力をつけているというではないか! 既に我が家のKnight達でも一対一では敵わない程らしい! このままでは儂が出した援助を続ける条件を、首席卒業を成し遂げてしまいかねんのだぞ! ぐっ!?」
激しくなった怒りのままに拳を高Classな執務机に叩きつけ、その痛みでRimsand Earlはやっと冷静さを取り戻した。
投げ捨てたletterをServantが片付けるのを視界の端に見ながら、痛む拳をさすりながら荒い息を繰り返す。
「落ち着け……Elizabethが成績を上げるのは、儂にとって……Rimsand Earl 家にとって悪い話ではない。letterにも、Elizabethを渡せとまでは書いていない」
VandalieuはZohnaから彼女達の事情や知っている事を聞いた。しかし、ElizabethはZohna達にも自分がRimsand Earl 家の敷地内の離れ(と呼称されている小屋)に住んでいる事や、母親であるAmeliaがpsychological Diseaseで入院している事は話していなかった。
更に、彼がElizabethを妾にしようと狙っているとはZohnaも夢にも思っていなかった。そのため、Vandalieuも知らなかったためletterにその手の事は書かれていなかった。
「Ameliaさえ押さえておけば、Elizabethは儂に逆らえん。このままでは妾にすることはできないかもしれんが……そうだな、体をdemandする事はできる。
ふ、ふははははっ! なんだ、むしろ都合が良い事ばかりではないか!」
adventurerとしてElizabethが名を上げれば、後見人であるRimsand Earl 家の名も上がる。そして、彼女の母親が自分の手の中にいる以上、彼女は自分のdemandを飲むしかない。
いや、いっそAmeliaの方を妾として囲うか?
「心のDiseaseんだ未亡人を妾として囲って、生活の面倒を生涯見てやるのだ。中々の美談になるではないか。それに、Elizabethが名を上げた後も母親を抑えておける。それに……Ameliaもageの割には若く見えるからな」
未亡人との婚姻は、『Lambda』worldでもある事だ。戦争で夫を亡くした未亡人とその子の面倒を見るために、夫のbrothersや友人が婚姻を結ぶか、妾という名目で囲うのだ。
それは美談として語られる事もあるが……「ぐふっ、ぐふふっ」と笑っているRimsand Earlの姿を見れば、彼の場合は誰も美談だとは思わないだろう。
「そうと決まれば、Ameliaに飲ませる薬を増やすよう、言っておかねばな。いや、囲うなら壊しすぎない方がいいか?
いや、その前にclinicにVandalieuが近づかないよう、Ameliaと接触させないように言っておくべきか」
そう言いながら、Servantによって再び満たされたglassを、今度はゆっくりと呷った。