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Chapter 329: 実践Cookingと仕事の終わり

『これは……』

 【Magic Eye of Great Appraisal】というUnique skillを持つ少年が、VandalieuStatusを見ようと試みた。それを知ったRodcorteは、早速その少年……Alexrecordを覗いてみた。


『……何も読めん』

 しかしrecordに残されていたVandalieuStatusは、mosaicがかけられたものだけだった。


 現在はその役目を捨てるためなら、『Lambdaworldごと捨て去ってもいいとすら考えているRodcorteだが、彼は『LambdaworldCircle of Reincarnationを司っている。Vida's New Racesmonsters以外の生物のだが。

 そしてAlexHumanであるため、彼のCircle of Reincarnationも司っているRodcorteは彼のMemoryrecordとして読む事ができる。


 だが、それはAlexMemoryrecordしたものに過ぎない。だから、Alexの【Magic Eye of Great Appraisal】でmosaicだらけにしか見えなかったものは、Rodcorteにもmosaicだらけにしか見えないのだ。


『……これではAbility Valuesの桁や獲得しているskillの数しか分からん。一瞬期待したが、所詮Unique skillに恵まれただけのHumanか』

 AlexRodcorteの送り込んだ元【Bravers】のReincarnatorなら、VandalieuStatusも一部は見る事ができたかもしれない。


 そして、【Magic Eye of Great Appraisal】がただのUnique skillではなく、Cheat Abilityによるものだったら、Rodcorteは調整を施してVandalieuStatusを見られるようにできた可能性がある。

 しかし、【Magic Eye of Great Appraisal】はただのUnique skillだ。Rodcorteが干渉することはできない。


blessingsでも与えておけば良かったか?』

 Rodcorteが……そして彼以外の神がもっと以前からAlexに注目し、blessingsを与えていれば彼もVandalieuStatusを見る事ができるほど成長していたかもしれない。


 しかしReincarnatorでもHeroでも何でもないただのHumanchildRodcorteが関心を向けるのはあり得ない。他のGodsも、Alexが『Lambdaworld人々の平均よりもreligionが薄かったため、blessingsを与える対象とは見ていなかったのだろう。


 それがAlexにとって幸いした。

『いや、下手にblessingsを与えていたらあの場で魂を喰われていたか。Magic Eyeを跳ね返すMagic Eyeは嘘だとしても、VandalieuAlexStatusを見ていたのは確実なのだから』


 Vandalieuは【Root】によって、【Magic Eye of Great Appraisal】の効果を跳ね返しAlexStatusを見ている。AlexRodcorteAlda's FactionGods 's Divine Protectionを得ていたら、あの時にバレていただろう。

 そして、Rodcorteconjecture通り完全に敵と見なされ魂を喰われていたかもしれない。


 おそらく、今後もAlda's FactionGodsAlexblessingsを与えることはないだろう。何故なら、既にVandalieuに目をつけられている。今までVandalieuが【GuiderJobに就いているとしても異常すぎる数の人々を導いてきたことを知っているGodsには、Alexはいつ導かれてもおかしくないように見えているだろう。

 敵側に回るかもしれない人物を、成長させたいと考える神もいないだろうとRodcorteは思った。


 SClass adventurer、『TrueRandolphでさえ導かれかけているのだ。Unique skillを持っているだけの少年が、抵抗し続けられると思う神もいないだろう。


 それこそ、Vandalieuをどうにかしない限り。


『まあ、そんな事はどうでもいい。skillの数はともかく、VandalieuAbility Valuesの桁が分かっただけでも幸いだ。Telkatanisの動向にAldaが気づかないようにしなくては……』

 Rodcorteは思考を切り替え、Alexに対する関心を失った。


 AlexにとってのFortuneの一つは、Rodcorteに目を付けられなかった事だろう。




 AlexTowaをその場に残してきたRandolphは、すぐにVandalieuZohnaに追いついた。


「あれ、Dandolip sensei?」

「どうかしましたか、sensei?」

「いや、お前達に確認しておくことと、言っておくことが幾つかあってな。まず、俺の事は口止めしなくていいのか?」


 あの場に居合わせたRandolphだが、Vandalieuは彼に何の契約も持ち出さなかった。それが不思議で尋ねてみた彼だが、Vandalieuは暫く黙った後答えた。

「いいのかと言われても、俺がsenseiを口止めする理由がありません。あの場の事が明らかになって困るのは、俺ではなくAlex達の方ですから」


「いや、Magic Eyeを跳ね返すMagic Eyeを持っているとか、言っていただろ」

「……ああ。たしかに」

 【Rootskillを誤魔化すために言った出まかせだったので、そこまで考えが及ばなかったが、言われてみればたしかに口止めした方がいい情報になるだろう。


「まあ、でも他のMagic Eyeと比べたら大した事ないでしょうから、構わないかなと。それに、その情報が公になろうがなるまいが、俺の周囲の状況は変わらないでしょうし」

 Vandalieuは、既に多くの敵を作っている。Alda temple関係者に、Alda Reconciliation Factionに好意的なChurch of Vidaの関係者。Noble達の多くも、命のやり取りをするような直接的な対立には至っていないが、allyではない。


 そして極めつけが『God of Law and LifeAldaの勢力とRodcorteだ。これらの敵対勢力の中に、もしMagic Eyeを狙う有象無象が加わったとしても、誤差の範疇でしかない。


「そうか……。なら、一応尋ねるがSpace-Attribute Mageが仲間にいるのか?」

 Gufadgarnの事を尋ねられ、一瞬ピクリと肩が震えるVandalieu


「仲間にはいます」

「そうか。なら言っておくが、学校の生徒でもなくTamed MonsterSlaveでもない者が課題に協力した場合は減点になる。注意しろ」

 しかしRandolphVandalieuに深く追求せず、注意するだけにした。本来、生徒が部外者を連れ込んだ場合はもっと厳しく追及するのだが……彼も何が出るか分からない藪をthrustたくはない。


 今まで実習や訓練で部外者のSpace-Attribute Mageが手を貸した-sama子はないので、注意だけに留める事にした。


「それと、確認だが……お前ら、いつまで抱き合っているつもりだ?」

 Vandalieuは、まだZohnaを抱き上げたままだった。しかも、今はZohnaVandalieuの首に両腕を回して前より密着している。


「ごめんなさい、センセー。あたし、さっきのsensei達が怖くてまだ歩けないんですぅ」

「……とてもそうとは見えないが、nerveが図太いのは結構な事だ。だが、節度は考えろ。そういう事は放課後にやれ」


 Hero Preparatory Schoolには不純異性交遊を禁止する類の校則は無い。無いが、さすがに実習中ベタベタされては支障が出るので、Randolphが注意する。すると、Zohnaも渋々と言った-sama子だが降りようとした。

「まだいいでしょう」

 しかしVandalieuはまだZohnaを抱き続けるつもりらしい。


「まだ、安全とは言えません」

 それはZohnaと密着していたいからではなく、彼女の安全を考えての事だった。

「このDungeonでお前にとって危険なspaceが存在するのか? Alexだったらしばらく立ち直れそうになかったぞ」


「いえ、まだAlexの仲間が二人います」

RobinAnnabelか。お前の脅威になるとは思えないが……好きにしろ」

 Alexparty membernameを口にしたRandolphだが、やはりVandalieuの好きにさせる事にした。


「それとZohna、お前の判断は正解だ」

「えっ? あたしの判断って、もしかして――」

 まさかVandalieuを誘惑しようとしていたことを、senseiは最初から見抜いていたのかと驚くZohna


「俺が言っているのは、VandalieuTamed MonsterEisenFruitSap以外の食材を探すよう提案した事だ」

 しかしRandolphは生徒同士の色恋に全く関心がなかった。彼が評価していたのは、ZohnaVandalieuを誘惑しようと、二人きりになるため捻りだした提案についてだった。


「いくらpartyを組んでいても、一人に頼り切るのは問題がある。実習の課題としても、adventurerとしてもだ。

 一生同じpartyで活動する訳でもなければ、Vandalieuと常に行動する訳でもないからな」


 学校は生徒にpartyを組む事を推奨している。そして、学生時代に組んだpartyで卒業後も活動する者も多い。

 しかし、何らかの理由でpartyを解散する事も少なくない。それに、一時的にparty memberが変わる事も多い。


 そうした時、特定の仲間に頼り切っていていては何もできなくなる可能性が高い。

「全部一人で、最高水準の仕事ができるようになれとは言わん。だが、それなりにできるようになっておいて損はない。せっかく学生なんてやっているのだからな。

 だから、自分達でも食材を探そうとしたお前の判断は正しい。もし、お前達がEisenFruitSapだけで課題を出してきたら、俺は減点していただろう」


「おお、さすがsenpai

「いや、まあ、あたしの方が年上だし、上Class生だからね」

 Randolphから評価され、Vandalieuから改めて感心され、照れるZohna。だが、Randolphは言葉にした以上に彼女を評価……感謝していた。


(俺が担任を代わった実習で、Alexが仕掛けられる状況を作ってくれて助かった)

 VandalieuEisenの近くから動かず、隙を見せなかったらAlexが【Magic Eye of Great Appraisal】でVandalieuStatusを見ようと試みるのは、他の機会になっただろう。


 その場合Randolphがその場に割って入る事ができるか分からず、彼以外のInstructorでは、割って入るどころかVandalieuの行動に気がつかない可能性が高い。

 そうなれば最悪の場合Alex達は殺され、実習中に行方不明。そのまま失踪した事にされていたかもしれない。


(腕利きのSpace-Attribute Mageがいるなら、死体の始末なんて簡単だからな。Vandalieuが疑われる事はあっても、証拠が何も無いなら、処罰も何も無く有耶無耶のまま済まされただろう)


 そうした後味の悪い事態を防いでくれたという点で、RandolphZohnaに感謝していた。それ以外にも、彼女やElizabeth達がRandolphの予想以上に、Vandalieuのブレーキ役として有効である事が分かったなど、今回の一件で彼が得たものは多い。


「俺からRobinAnnabelに直接話すのは、Alexと合流するよう言うだけだがな。俺はあの契約について何も知らないし、何も見ていない。そもそもあの場にいなかったという事にするから。

 以上だ」


 だが、口に出せないのでそう告げると、RandolphVandalieuから離れて、RobinAnnabelを探すために走り去った。


「行っちゃった。……ところでVandalieu -kunって、婚約者とかloverっているの?」

「公式にはいない事になっています」

「あー、Zadiris -sanとかEisen -sanとか、Eleonora -san達の事か」


 Vandalieuの意味ありげな言葉と、Tamed Monsterの人達の態度から色々と察するZohnaしかし、その程度で引くぐらいなら、「誘惑する」なんて手段は使わない。

(だったら、あたしも公式じゃないlover……Loverにでもなっちゃえばいいだけだしね)


 複雑な庭環境に育った彼女の貞操観念や結婚観は、かなり独特だ。母親は元Prostituteで、父親はNobleしかし、母はZohnaを身籠もった途端、実の父のに仕えるServantにあてがわれ、彼女はServantの娘として誕生した。

 だが、実はその経緯自体にはZohnaは不満を持っていない。何も知らないchildだった頃ならともかく、今ならただのProstituteだった母では、Nobleである父の正妻どころか妾になる事も難しいのは理解できる。


 そして母ごと捨てられるよりは、Servantの娘にされた方がずっとマシだ。Nobleの令嬢として育つことはできなかったが、生活に困ったことはない。

 母もProstituteを続けるよりずっと楽な生活ができたし、ZohnaNobleの令嬢より伸び伸びと育つことができた。Servantの父だって、母と自分のお陰で他のServantよりも高い給料を受け取れるようになった。family三人万々ageである。


 ……実の父の、自分に利用価値があると分かった途端養女として引き取った、身勝手なやり方には若干反感を覚えるが。


 総じて述べると、母は上手くやったとZohnaは思っている。だから、自分も正妻どころか妾にもなれなくても、Loverとして上手くやれればそれでいいと考えている。

 もっとも、ライバルがただの同Class生なら正妻の座を狙ったかもしれないが――。


(それに、あの人達には勝てないし)

 EleonoraBellmondZadirisEisenがライバルでは分が悪すぎる。諦めの良いZohnaは、Vandalieuの耳をくすぐるように囁いた。


「あたしも婚約者とかloverとかはいないんだけど……仮にも、未婚の令嬢が異性と二人っきりでこんなことしてるのは拙いよね」

 自分のでの立場や、出生の経緯を棚の上に向かって全力投球したZohnaの言葉に、Vandalieuは凍り付いたように動きを止めた。


しかもAlexsenseiにも見られちゃったしぃ。誤解されちゃうかも」


 Royal Nobilityの貞操観念とは不思議なもので、結婚後の浮気や不倫に関しては寛容すぎるほど寛容だ。しかし、結婚前の浮気や不倫には厳しい。

 Zohnaの言う通り、彼女とVandalieuが関係を持ったという噂が広がれば、Zohnaが将来結婚するときにimpactが出るかもしれない。彼女の実familyとの関係も悪くなるはず(と、Vandalieuは思い込んだ)だ。


『これが禁じられた恋っ!? わあ、なんだかドキドキしますね!』

『……今から戻ってあの小僧共の口を封じてまいりましょうか?』

『口を慎むべきだ。偉大なるVandalieuの裁定が下るまで』


 そして今Vandalieuの周りには……Vandalieuの置かれている状況を知っているのは、昼ドラを見ているような気分で楽しんでいるPrincess Levia、物騒な意見しか言わないDarockworldVandalieuを中心に回っていると確信しているGufadgarnだけだ。


 そのためVandalieuは脳内で、countlessの自分と会議を行った。

「でも、あたしVandalieu -kunとだったら、誤解されてもいいかも……」

 そしてこのZohnaのこの一言で、まずは彼女の意思確認を行い、それでも彼女の気持ちが変わらなければ責任をとる方向で意見が纏まる。


 ……なお、この場に別の誰かがいたとしても、ほとんどの場合「一人増えるだけなら、別にいいんじゃない?」という意見しか出なかっただろう。


Zohna senpai、知っての通り俺には(Orbaum Elective Kingdomでは)非公式の婚約者が複数います」

「うん」

「あなたが知っているよりも、大勢います」


「う、うん? Alcrem Duchyで連れていたって言うTamed Monsterの人達の事?」

「いえ、それ以外にももっと大勢います」

 具体的には、【Body World】とSilkie Zakkart Mansion、そしてMagic Empire……そしてZohnaの真後ろでこちらを覗き込んでいるPrincess Leviaとか。


「え、そんなに多いの? でもまあ、それぐらいなら……」

 しかし、想定していたより人数が大幅に多くてもZohnaは驚いてもすぐ受け入れた。十人が二十人になっても変わらないという思い込みである。


 それに、Loverになろうとしている今もVandalieuの事は謎だらけなのだ。それぐらいでは驚かない。……さすがに実は女だと言われたら驚くが、それはないようだし。


「更に言うなら、マザコンです」

「あ、それは知ってる。あたしは大丈夫だと思うよ、Vandalieu -kunはまだ大丈夫なマザコンっぽいから」

「そうですか?」


「うん、kaa-sanの受け売りだけど、近づかない方が良いのは、相手に母親を重ね合わせて、それから外れると怒りだすTypeのマザコンなんだって。余程の上客じゃなきゃやめとけって」


「上客とは?」

「ああ、そこは気にしないで。それで、他にはまだ何かある?」

「あります。今は言えませんが、俺はあなたの想像を絶する状況にあります」


 具体的にはまずGuiderである事、そして領土の広さではOrbaum Elective Kingdomを軽く超えるEmpireEmperorである事。そしてGods相手に戦っていることや、既に城より大きなFirst子がいる事などである。


「ですが、今は打ち明ける事ができません。なので、真実を知るまでその判断は保留する事をお勧めします。ただ、どちらにしても責任は取ろうと思います」

 Zohnaが今の判断を覆さないのならcertainlyだが、覆した場合でもできるだけの事を……その場合はAlcrem Dukeに頼み込むことになるだろうが、するつもりだ。


「んー……分かった。話すつもりはあるみたいだから、それで納得する。でも、Mact達の事はどうしようか?」

「まさか、Mact senpai達も……?」

「いやいやいや、そうじゃない。さすがにそうじゃない。食材を探しながら説明するから、そろそろ降ろして。……もう言質は取れたし」


 その後、VandalieuZohnaと約三十分かけて食材を集め、Zohna達の事情と彼女達が知っているElizabethの事情を聞いた。

 そして、残りの約一時間でCookingを行い、結果この実習で一番の成績を取った。なお、Alexの成績は生徒ではないTowaはまだしも、Alexが実習中に何もしていなかったので減点され、実習を受けたpartyの内下から二番目にまで成績を落としていた。


 ……Vandalieuとの間に起こった非常事態は、Dandolipが何も無かった事にしたためだ。あの後立ち直る事ができなかったAlexは、本当に何もしていない事にされている。


「よくやってくれた!」

「我々の勝利だ!」

「正直無理じゃないかと思っていたけど、成功するなんて……!」

「ま、まあね」


「皆、そんなにAlexに勝ちたかったのね」

「お嬢-sama、もしかして私達が知らない間に何かあったのではないでしょうか?」

 実習の課題に関する事だけではなく、Vandalieuを誘惑する事に成功(?)した事になっているZohnaMact達が称賛し、ElizabethがそれをAlexに勝てたが故だと勘違いしていた。


 そして実習後、人の目の無い場所に集まった後VandalieuからAlexが【Magic Eye of Great Appraisal】を持っている事と、交わした契約の内容を聞くとElizabeth達は驚いていた。


Magic Eyeを跳ね返すMagic Eyeなんてものがあるなんて……【Magic Eye of Great Appraisal】よりもレアなのでは?」

「他のMagic Eyeskillを持っている奴と遭遇しないと、何の意味もないな……」

 主に、VandalieuがでっちあげたMagic Eyeを跳ね返すMagic Eyeについて。特にMactJozéfが興味深そうにVandalieuのオッドアイを覗き込んでいる。


「そうじゃなくて、あんた達は気にならないの!? Alexの奴、きっと私達のStatusを見てるはずなのよ!? それであいつ、私の誘いを蹴り続けてたのよ!? 思いっきり下に見られてたのよ!?」

 ElizabethAlexStatusを見られていただろうことに思い至り、激怒したがMact達は逆に落ち着いていた。


「いや、まあ、でも、納得したと言いますか。私達、Unique skillとか持ってないですし」

「そりゃあ、Vandalieuの特訓を受ける前の私のStatusでは、そう見られても仕方ないかなと……」

「以前だったら、『平民風情が』って激怒していたでしょうけれど……最近、Abilityの高さに生まれついたの地位は関係ないと知りましたから」


 最近実力をつけた、具体的にはそれまで3levelだった【Spear Technique】や【Shield Technique】が4levelに上がるなどしたMact達は、自覚しているよりもEmotionalに成長していた。


「えっ……まあ、確かに、私もUnique skillは持ってないけど……」

「でも、Elizabeth -samaが怒るのは当然だと思います」

 Mact達の成長に戸惑い、思わず怒りを忘れるElizabethだったが、Vandalieuはそう言って彼女を肯定する。


 VandalieuAlexに対して、「気に入らない」と今も感じているが敵意までは持っていない。ただ、Elizabeth達の成績を上げるための目標として都合が良いから利用するだけだ。

「まだ実習一回の成績で勝っただけです。これから二回、三回と勝利を重ねていき、確実にAlex達を超えましょう」


「そうですよ、Elizabeth -sama! Unique skillが無いから見下されて当然なんて、あたしも納得できません!」

「そ、そうよね。どの道、成績であいつを超えるのは目標だったし……これからの実習でも、Alexに勝ち続けるわよ!」

 Zohnaにもそう言われ、立ち直ったElizabethは拳を天に向かってthrust上げて号令をかけるのだった。




「あなたがZohna -sanですネ。あなたの事はついさっきですが、旦那-samaから聞き及んでいますワ」

「ヨロシクオ願イシマス」


 放課後、ZohnaVandalieuに「全部じゃありませんが、秘密を少し見せましょう」と言って連れ出されたOrbaumの街の外でfemaleと対面していた。


 femaleとしてはかなりの長身で背が高く、黒い艶やかな髪を腰まで伸ばしている。意志の強そうな太めの眉が特徴的な、整った顔立ちのShoujo……なのだろう。

 この辺りでは珍しい-sama式の服を着ているが、その服をBodyの膨らみが盛り上げ、布の隙間から所々肌が露になっている。


 胸や臀部の豊かな曲線に、balanceを崩さない限界ぎりぎりまで鍛えられた首や腕、割れた腹筋、そしてしなやかな鋼を束ねたような太もも。明らかに女WarriorBodyである。

 そして頭部にはまっすぐ伸びた二本のと、艶やかだが赤い肌をしている。


 ……そんなShoujoが、不自然なほど慎ましい仕草と言葉遣いで、しかし、尋常ではない緊張感を漂わせながら挨拶してくるのだ。Zohnaとしては緊張するしかない。


「あの、Majin Raceの人ですか?」

 緊張に引きつる声を何とか普段の調子に戻して尋ねるZohnaに、彼女はぎこちないSmiling Faceを浮かべて答えた。


「本当にワタクシ達はMajin Raceと同一視されているのですネ。……ワタクシはYuumaMajin RaceではなくKijin raceでス」

「オニワ……Yuuma、無理をしなくていいですよ」

 Kijin raceShoujo、幼名Oniwaka。そしてreal nameYuumaという彼女はVandalieuの言葉に一瞬固まると、静かに聞き返した。


「本当にでございますカ、旦那-sama?」

「本当にでございますよ」

「……後で、母上に告げ口いたしませぬカ?」

「いたしませぬ。Zohna senpaiもしませんよね?」


「しないっ! 絶対にしないから!」

 Yuumaに視線を向けられたZohnaが慌ててnodのを確認してから、彼女はやっと肩から力を抜き、安堵の溜め息を吐いた。


「助かったぁ~。もう大変だったんだ。留学が終わって国に帰ったら母上が急にetiquetteを身につけろって言いだして……逃げようとしたら捕まって尻を叩かれるし、練習している俺を見て噴き出した連中も母上に捕まって尻を叩かれるし、それを諫めようとした父上も母上に捕まって殴られるしで、大変だったんだ」


「……スパルタですね、Yura -san

「留学とか国とか、後で纏めて説明してね」

 少しは大人になって帰ってくるだろうとDemon continentへの留学へ送り出したYuumaの母のYuraだったが、娘が強くなったが言動はchildのまま帰って来たので、急遽スパルタでetiquetteを教え込んだらしい。


 だが、その付け焼き刃は以前の彼女を知っている者には違和感しか覚えなかった。そもそも、口調も仕草も全てがぎこちなかった。


「でも、Demon continentKanakoから歌もdanceもしっかり習った! ソロパートを任せられているから、この国の宴でも恥ずかしくないShowができるはずだ!」

「今、Demon continentって言った!?」

Yuuma、とりあえずTamer guildで登録してからにしましょう。後、Demon continentとか言ってはいけない言葉を説明したはずですが?」


「……すまん、忘れてた」

 頭を下げるYuuma。そして逆に驚いたように顔を上げるZohna

「今、【Vandalieu’s Divine Protection】を獲得しましたって、聞こえた!? 【Status】……ほんとにある。Vandalieu -kunKami-samaだったの?」


「……ついに伏字が仕事を放棄しましたか」




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Name: ZohnaChinos

Race: Dwarf

Age: 14

Title:

Job: Magic Axe User

Level: 34

Job History: Servant Apprentice Warrior Warrior Axe Warrior 


Passive skills

Night Vision

Enhanced Muscular Strength:5Lv

Allure:1Lv

Enhanced Attack Power when Equipped with Axe: small


Active skills

Housework:2Lv

Seduction:1Lv

Love-making:1Lv

Unarmed Fighting Technique:1Lv

Axe Technique:4Lv

Throwing Technique:2Lv

Armor Technique:3Lv

Silent Steps:1Lv

Dismantling:1Lv

Detect Presence:1Lv

-Surpass Limits-:1Lv

Surpass Limits – Magic Axe:1Lv


Unique skill

Vandalieu’s Divine Protection(NEW!)




 元Prostituteである母親と、実の父親という事になっているbloodの繋がらないServantの父に育てられた。AllureSeductionは、母親の英才教育の結果である。



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