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Chapter 325: Demon Kingの周囲とDemon Kingを狙う者達

 この一か月、senseiの厳しい指導を受け続けた成果か、ついにlevelが1上がった。

「上がった……levelが上がったぞ!」

 levelが1上がった程度で何を大袈裟なと、そう思うかもしれない。しかし、それは彼……Hero Preparatory Schoolの教官であるEisamにとっては大きな前進だった。


 Eisamは今まで、何度も成長の壁にぶつかってきた。しかし、その度に乗り越えてきた。地道な訓練と、自分の力量で無理せず倒せる程度のmonstersとの戦いを繰り返し続け、壁をよじ登り続けたのだ。

 しかし、最後にぶつかった壁は高すぎた。一年、二年、努力を続けても一向に超えられそうになかった。


 その時EisamはCClass adventurerだった。彼自身はsecondary nameを獲得していなかったが、人によっては『剛腕』や『氷剣』などのsecondary nameを獲得して地元でHero視される段階に至っている。

 guildでもCClass adventurerは、DClass以下のadventurerよりも優遇されている。


 努力してもDClassまでで終わるadventurerが過半数である事を考えれば、CClassにまで至ったEisamを笑う者はいないだろう。寧ろ、称えられるべきだ。

 Eisamもそう満足して引退した。そしてAdventurer’s Guildが彼の人格や今までの経歴を評価し、推薦状を書いてくれたため、Hero Preparatory Schoolに再就職する事ができた。


 そこでEisamは自分が培った技術を生徒達に伝えようと、情熱的に指導した。だが、生徒達が成長し卒業していく度に満足感だけではなく、寂しさも覚えていた。

 そして気が付いた。自分はまだ、諦めたくなかったのだと。


 だが、それはEisamにとって茨の道だった。確かに、諦めないで倒せるmonstersを倒し続けていれば、いつかは成長の壁を超える事ができるかもしれない。しかし、それはいつになるか分からない。もう壁にぶつかってから十年近く過ぎた。


 蓄えは十分ある。朝にDevil NestsDungeonに入り、九割以上勝てるとはいえ命の危険を冒して戦い、汗とmonstersと自分のbloodで汚れた体で帰る。そんな毎日を繰り返す人生よりも、このまま教官を続けてstabilityした毎日を過ごし、所帯でも持って安楽な人生を生きる方が良いのではないか。


 そんな事を思い悩んでいたEisamは、senseiに叩きのめされた。地道な訓練と確かな経験に裏打ちされた【Spear Technique】は全く通じず、childのように軽く捻られた。

 本気のEisaminjureをしないよう、優しく手加減され、「筋は良い」なんて慰めまでもらって。彼のprideは折られ……いや、raspで粉にされた。


 しかし、そんな扱いをされても仕方がないほど、senseiEisamの間には大きな実力の差があった。


 次の日からEisamsenseiに頼み込んで訓練をつけてもらった。senseiの課す訓練は、模擬戦とその反省点を活かしたTrainingを繰り返すだけで、毎日毎日Eisamsenseiや他にsenseiに訓練をつけてもらっている同僚、そして生徒と模擬戦を繰り返した。


 そして、自分に足りない部分のTrainingを行う。senseiはまるでいくつもの目を持っているかのようにEisam達をよく見ていて、その問題点や足りない部分を指摘してくれた。


 それを約一か月続けた結果、Eisamは成長の壁をついに乗り越えたのである。


senseiっ! 俺はっ、今期で卒業して、adventurer業に戻ります! ご指導、ありがとうございました!」

 そう涙を流しながら告げるEisamの手を取って、Vandalieuは大きく頷いた。


「今までよくついてきてくれましたね。全ては、あなたの努力による成果です。俺もEisam senseiの事を誇りに思います。

 ……しかし、何度も言っていますし、もうほとんど諦めていますが、生徒は俺でsenseiはあなたです」


 確かに訓練もしたし、口や態度に出さない事からmaybe blessingsはまだ獲得していないと思うが、導いてはいるのだろう。だが、それで何故senseiに卒業(転職)を告白され、更に礼を言われるのか。学校生活は充実しているのだが、何か違うのではないだろうか。

 そう思わずにはいられないVandalieuだった。




 デスクの上に三枚の書類を広げて、Meorilithは溜め息を吐いた。

「この程度で済んで良かったと言うべきか、それともまだまだ序の口なのか……いやまあ、個人的にはよくやったと思うし、Eisam達の再出発を祝福し、応援するつもりだが」


 Dandolipこと『TrueRandolphは、校長とMeorilith個人の板挟みで笑みとも渋面ともとれる微妙な顔をしている彼女に、「まだよかったじゃないか」と言った。

「まだ四月の終わりだ。Eisam達が辞めるのは、今期の終わり……九月末まで五か月ある。それまでに新しい教官を探せばいい。

 俺が想定していた事態よりは、だいぶマシだ」


 生徒と一緒にVandalieuの訓練を受けるようになった教官五人のうち、Eisamを含む三人が退職を希望した。ただ、adventurerとしてやり直したいという理由での退職なので悪い話ではない。……三人とも、ぶつかっていた成長の壁を越えられたそうであるし。


 ちなみに、Randolphが想定していた最悪の事態は、教官もclassmateも心を折られて全員学校を去ってしまう事だった。


「模擬戦だけで元CClass adventurerの教官がぶつかっていた成長の壁を越えさせたというのは、正直信じがたい。一人だけなら、成長の壁を越えかけていた時期に偶然Vandalieuが入学してきただけと考えられるが……三人だからな。Vandalieuは、他人の成長を促進する事ができるskillを持っていると考えるべきだろう」


「そうか……しかし、上Class生のAlexとは違うTypeのようだな。彼は他人の眠っているaptitudeを見抜いて、それを開花させた。だが、Vandalieuは眠っているaptitudeなど無いはずのveteran教官まで成長させている。

 これは、もしや【Guider】か?」


 【GuiderJobについて、元AClass adventurerであり百年以上生きている経験豊かなElfであるMeorilithは、多少知識があった。

 実際に会った事はないが、【Guider】本人やその仲間が書き残した文献から、人の身でありながらGods 's Divine Protectionのようなものを仲間に与える事ができる存在である事が分かっている。


「あり得るかもな。……むしろ、違ったら驚きだ」

 Randolphも否定しなかった。彼はHeinzに一度だけ会っているので、Vandalieu以外の【Guider】と会っている。……それよりも長い間、Kanakoの指導を受け、同じStageに立っていた訳だが。


「母親も含めて、奴の周囲には猛者が多すぎる。奴が本当にAlcrem Duchyに仕えているなら、Takkardがその気になれば、Orbaum Elective KingdomAlcrem Kingdomに変えられるだろう。

 だから、奴が【Guider】である事に俺は疑問を持たない。【Guider】につきものの思想も、納得のいくものがあるからな」


「例の改革か……。それは私も納得できるのだが、Eisamがその改革に共感し、Vandalieuの仲間になったというのは納得できないのだが」

「その点は同意する」


 【Guider】の力が及ぶのは、仲間だ。同じpartymember同士よりも対象はずっと広いが、それでも範囲に制限がある。ただ武術の手ほどきを受けただけで、その範囲内に入れるとは思えない。

 文献の記述通りなら、EisamVandalieuに尊敬や信頼を向けるだけではなくAlcrem Dukeが唱える改革の支持者になっていなければおかしい。


 退職理由も、adventurerになるのではなく「少しでもVandalieuの力になりたくて!」という類になるはずだ。実際には、そこまであからさまなものではないかもしれないが。


「まあ、【Guider】だろうとそうでなかろうと構わんさ。教職員が退職するのは困るが、どうにかできる。だが、【Guider】をどうにかするのは不可能だからな」


 【Guider】のGuidanceは、思想だ。だから導かれないようにするには、Vandalieucommunicationを取らなければいい。言葉を交わさず、目も合わせず、書いた物を読まない。それを徹底すれば、Meorilithの知識によれば導かれないはずだ。


 ……実際には、Vandalieuは夢からでも人をGuidingことができるので、そこまで徹底しても完全ではないが、一定の効果はあるだろう。


 しかし、ここが学校であってVandalieuが生徒である以上……最近、Vandalieuを生徒扱いしない教職員が増えているが、だからこそ徹底させることは不可能だ。

 そんな事をするなら最初から強引に受験を不合格にしていた方が、まだマシだ。


「最近では職員会議に混じっている事がある程、一部の教職員と打ち解けているからな。Eisam達に連れ込まれただけで、Vandalieu本人は困惑していたらしいが」

「ああ、しかも EisamなんかはVandalieuがいる事に何の不自然さも感じないらしい。……あいつ、辞めて良かったんじゃないか?」


「そうだな。教職員としては問題のある態度だったな。私も、不自然過ぎてつい対応するのが遅れたが」

 今からでも強権を振るって、Vandalieuは教職員用の施設には基本出禁とし、彼を一生徒として扱うよう改めて徹底しよう。これは構わないはずだとMeorilithは思った。


「さて、とりあえず入学一か月目を乗り切った。これからVandalieuは宣言していた通り、Elizabethpartyに正式に加入するだろうが……大丈夫だと思うか?」


 Hero Preparatory Schoolでは、入学後一か月が経つまで新入生は同じ教室の生徒同士でしかpartyを組めない決まりになっている。

 そのため、Vandalieuは書類を提出し、明日から正式にElizabethpartyに加入する事になる。


 ちなみに、これまでのVandalieuは勝手にElizabethpartyに入る事を宣言していただけで、学校側に何の書類も提出していないソロ生徒、どのpartyにも参加していないフリーなconditionだった。

 そのため、VandalieuElizabethも学校の規則に反してはいない。……普通ならVandalieuは一人で実習に耐えられるはずがないだろうと教官から説得され、Elizabethは青田買いがあからさま過ぎると非難される事になる。


 しかしVandalieuに手ほどきを受ける程度の実力しかない教官が「一人で実習に耐えられるはずがない」等と言えるはずがなく、Elizabethの方も非難されるどころか「あのZakkart Honorary countessの息子を引き入れた」と感心されたほどだった。


troubleは起きないだろう。これまでのVandalieuの言動を見る限り、奴は基本的に冷静だ。上Class生に絡まれるようなことがあっても、無難に流すだろう。……idiotが母親の弁当をidiotにし、義理のImoutoPauvinaTamed Monsterに手を出そうとしたとしても、狡猾な手口でtroubledevelopmentしないようにするだろう」


「後半は問題な気がするな。だが、まあその程度なら何とかなるだろう。我が校の行事は少ないし……これから奴を抑えるのはpartyleaderであるElizabethの役目だ」


 Hero Preparatory Schoolには『Earth』の学校にあったような林間学校や文化祭、体育祭と言った学校行事は無い。Devil NestsDungeonに泊りがけで行う実習や、実際に一週間ほど大人のadventurerと合同で商隊の護衛を行う実習などもあるが、あくまでも実習。必修ではないので、やるかどうかは本人達の意志に任せられている。


「できれば、優秀な成績を修めてとっとと卒業して欲しいものだ」




 その頃、Alexは学校の寮のroomで書き物をしていた。roomは学生が住む寮とは思えない程広く、具や調度品も上等だ。故郷の村にあるがすっぽり入る程ではないが、彼の感覚としては二人で住むにはluxury過ぎるように思える。


 だが、この寮には他のDuchyNoble出身の生徒が入る事もあり、普通のAdventurer's School校の寮……ギシギシ軋む二段ベッドを二つ詰め込んだだけの木賃宿より多少マシ程度のroomと同じようにすると、troubleの種になるらしい。

 そのため、上等なベッドと専用の書き物机、収納spaceに照明用のmagic itemまで完備したroomが用意されたらしい。


 これで賃はタダなのだからありがたい。


「今月の収支も、黒字だな」

 Alexが書いているのは、計簿である。何故なら、学校が自身の計簿をつける事を推奨しているからだ。

 adventurerはいつ死ぬか分からない危険な仕事だ。そのためか、昔は宵越しの銭は持たないと言わんばかりに刹那的な生き方をする者も多かった。


 しかし、それではadventurerを引退しなければならなくなった時に生きていけない。また、酒やgamblingで所持金を使い果たし、新しい武具を買い替える事ができずにそれが原因で死ぬ者もいた。


 そうした状況を変えるために、各Adventurer's School校では学生に計簿をつける事を推奨するようになったそうだ。Alexも先人に倣って、計簿をつけている。


「だが……PauvinaVandalieuに対しての失点は大赤字だな」

 ルームメイトがすっかり寝入っている事を確認してから、そう言って重苦しい溜め息を吐いた。

 どうもあの一件以来、彼女達の中で自分は変質者の代名詞か何かになったのか、近づくだけでVandalieuTamed Monsterや彼をsenseiと慕う生徒や教官に警戒されるのだ。


 とてもStatusを見るどころではない。……VandalieuTamed MonsterStatusは見る事ができたが、やはりmosaicだらけで何も分からなかった。そのmosaicの量から、多数のskillを獲得している事は分かったが。


 もちろん、仲間に誘うどころではない。彼女達はこの一か月、放課後になると街の外で実戦的な訓練をしているため、接触できないのだ。

 この分では彼らを仲間にするのは諦めた方が良いかもしれない。


 それに、前期まで興味がなかったElizabeth Sauron達も気になる。

 Vandalieu達がしている特訓に興味を持ったAlexは、その効果の参考にするためにElizabeth達のStatusを改めて【Magic Eye of Great Appraisal】で確認したのだ。


 すると、Elizabethはぶつかっていたはずの成長の壁を越えており、MaheriaZohna達もlevelAbility Valuesが上がっていたのだ。

 もちろん、Alexも一か月前よりは成長しているが……彼女達の成長は明らかに異常なハイpaceだ。

 噂では特訓の内容は、adventurerに追い立てさせたmonstersと戦うというものらしいが、本当だろうか?


(それと同じことを毎日のようにしているはずのadventurerだって、そんなpacelevelは上がらない。adventurerが追い立てて来るだけじゃなく、monstersを弱らせて止めを刺すだけで大量のExperience Pointを得ている……という訳ではないのは、skilllevelも上がっているのを見ればわかる。

 彼女達が強くなれた秘密はいったい何なんだ? 何年か前からGods 's Divine Protectionを得る人が多くなったらしいけど、彼女達は得てはいないし……)


 【Guider】の事をlegendでしか知らないAlexは、Elizabeth達が短期間で強くなったことに困惑していた。特に、【Magic Eye of Great Appraisal】でStatusを確認した時に成長の壁……それもかなり高そうな壁にぶつかっていたはずのElizabethlevelが上がっている事に、驚いていた。


 だがElizabeth達はまだ【Vandalieu’s Divine Protection】を獲得していなかった。導かれているだけだったため、【Magic Eye of Great Appraisal】で確認できる原因は無かった。


(やはりVandalieuか? 彼が他者の成長を促進させるUnique skillか何かを持っているのか? だとしたら……Tamed Monsterはともかく、教官の邪魔が入らない実習中に彼のStatusを確認するしかないか。いや、でも……彼のStatusmosaicだったら、無駄なんじゃないか?)




 Orbaumの城で、UrgenTelkatanis Prime Ministerは賜った使命の進捗状況を報告していた。


「【Demon King Fragment】はRoyal Palaceの聖域に、既に十個集める事ができました。我がTelkatanis 家が守ってきた【fragment】を含めて」

 彼が頭を垂れている先には、見慣れない聖印らしきものが刻印された紙が置かれている。どうやら、即席の祭壇のつもりらしい。


「すり替えるために必要なsealedの偽物も既に揃っております。……あと五つ必要なのですか? それにはもう少しお時間を頂かねばなりません」


 しばらく前、TelkatanisRokudou Hijiriと名乗る神からOracleを受け取り、神が求める【Demon King Fragment】を集め始めた。

 originally Alda templeTemple Headから、【Demon King Fragment】の管理を厳重にするようにとOracleを受けたと聞いていたため、「Royal Palaceの聖域に安置し、管理する」と各templeに触れを出せば、実行は容易かった。



 そのRoyal Palaceの聖域は、実は各templeの聖域……ClericPriestが総出で儀式を行い、聖別してmagicによる外部からの侵入や干渉が難しくなったspace……と、あまり違いはないのだが。


 Orbaum Elective Kingdomが誇る『Orbaum Six Phalanx』が守っている等、防衛力的な意味ではRoyal Palaceの方が上だが、それでも【Demon King Fragment】を移送する際のriskを考えれば、移動させる意味はないだろう。


「はっ、お任せください」

 どうにか神に猶予をもらったTelkatanisは立ち上がると、即席の祭壇に見立てた執務机から聖印を刻印した紙を手に取ると、懐にしまった。


「他のDuchytempleが守っているfragmentを集めるには時間がかかる。情報が洩れる危険性も高い。やはり、Royal Palaceの宝物庫の奥にsealedされている【Demon King Fragment】を動かすしかないか? だが、それにはカギの一つであるElected Kingの王冠が必要だが、どうするか」


 TelkatanisRokudou Hijiriが神である事を疑っていなかった。magicによる通信をOracleと偽られている可能性や、薬物による洗脳を受けていないか調べたが、Rokudou Hijiriの言葉はmagicや薬物によるものではなかった。……当然、彼の近くに誰かが隠れ潜んで囁いている訳でもない。


 そしてRokudou Hijiriは神以外では知りえない情報をTelkatanisに語った。Vandalieuの来歴とその正体。Boundary Mountain Rangeの向こうでfangsを剥くVida's New RacesUndeadの国、そして『Blue-flame Sword』のHeinzの敗北。


 一度は、対応を誤らなければOrbaum Elective Kingdomの秩序を維持しつつAlcrem Dukeが訴える改革や、Vandalieuの存在を乗り切れる。Ghoulを人の一種だと認めること等、Alda Reconciliation Factionの主張よりも広くVida's New Racesの権利を認めなければならないが、逆に言えばそれで済むと考えていた。


 だが、真実は違った。Alcrem DukeVandalieuが支配する国の走狗となり、Orbaum Elective Kingdomを奴に売り渡そうとしていたのだ。

 その方が、Elective KingdomVida's New RacesVida believerにとっては幸せかもしれない。貧民共の何割かは、それで人生を変えるchanceを得るかもしれない。


 だが、Alda templeと太いpipeを持つUrgenTelkatanisとその一族は、その地位と権力を失うだろう。propertyや、命も危ない。

 冗談ではない。このOrbaum Elective Kingdomを支え、秩序を守ってきたのは自分達だ。その自分達が無残な最期を迎えるなど、許される事ではない。


「少数の貧しい者達を救うために、大多数の国民とそれを治めGuiding我々が犠牲になるような不条理は防がねばならんのだ」

 既に一度敗退している若造に任せられん。神に選ばれた、この儂こそが救国のため力を振るうのだ。




 RodcorteDivine Realmに留まっているRokudou Hijiriは、UrgenTelkatanis-sama子を満足げに眺めていた。

『ダー、お前の【Sahadeva】のお陰で彼を上手く操縦できた』


『恐縮です』

 ReincarnatorでありRokudouの配下の一人である【Sahadeva】のダーは、そう言って一礼した。Telkatanis Prime MinisterOracleだと思い込んでいたのは、magicや薬物ではない。Cheat Abilityによるものだった。


 ダーの【Sahadeva】は対象の内部に憑りつかせることで、対象のconditionを常に把握し、Telepathyによる意思疎通を可能とするAbilityだ。

 彼はTelkatanisを対象にしてそのAbilityを使い、Rokudouの意志を中継していたのである。


 だからTelkatanisは、通常の会話と同じようにRokudouの声を聴くことができたのだ。それに気がつけと彼にdemandするのは酷だろう。何しろ、彼はmagicや薬物、そしてskillでもないCheat Abilityの存在を知らないのだから。

 それに、Telkatanisは『Lambdaworldの多くの人々-samaOracleを受けた経験は無い。そのため、通常のOracleと【Sahadeva】によるRokudouとの会話の違いが分からないのだ。


 certainly、書き残された過去のrecordpipeを持つAlda templeの長に聞くなどすれば分かっただろうが、Rokudouが「神でなければ知りえない情報」を教えた事で、Telkatanisの疑心は無くなった。その情報元はRodcorteなのだが。


 nameについても、こことは異なるworldの神であり、Adventに【Demon King Fragment】が必要であると告げる事で納得させている。

 このAbilityActivateには対象のすぐ近く、約一meter以内にいなければならないのだが――。


『彼のAbilityDivine Realmでも、そして対象と直接会わなくてもActivateできるよう強めたのは私なのだがね? ああ、感謝を求めているのではなく、-kun達が増長しないよう確認しているだけだが』

 Cheat Abilityを授けたRodcorteの助力によって、Activateが可能になっていた。


『分かっている。お前の助力が必要不可欠なことは、忘れていない』

 ダーがそう答えるとRodcorteは満足したのか視線を別の方向に向けた。Rokudouは彼に構わず、【Demon King Fragment】が集まるのを今か今かと待っていた。


Demi-Godに至った私に相応しい、Bodyを持つ神……GuduranisBodyfragment。十分な数が集まった時、私はrevivalし忌々しい『Undead』を倒し、真に神へと至るのだ』

 その胸にはCrystalのような物が……Guduranissoul fragmentが埋め込まれていた。



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