Vandalieuの朝は……というか、彼の一日には朝昼nightの区別がない。
何故なら彼は一人であると同時に、countlessの群れであるからだ。
another world『Origin』の神の一部となったというか、一部がVandalieuになったというべきか。それはともかく、Vandalieuは『Origin』の人々を、そのGiantで数えきれないほどある眼で見守っている。
何せ、彼のformは地上に魂だけでAdventした時の姿……countlessの眼やtentacleが生えた半球状の姿なので、見るのは得意だ。
一年三百六十五日、二十四時間。休みはない。というか、他にやる事がない。
とても退屈……という訳ではなかった。
『映画も本もタダで見放題とは、Kami-samaも悪くありませんね』
『そうでしょう。それに、見ようと思えば密林の奥や深海まで見られるのよ』
『それは凄い。退屈しないで済みますね』
Vandalieuは『God of Origin』の一部であるPlutoと一緒に、world中の人々や自然を鑑賞していた。
これは盗撮や覗きではない。人々も祈っているではないか、「神よ、どうか見守ってください」と。Vandalieuはその言葉通り見守っているだけだ。
それに、人々の中には非常に見守りやすい者達がいる。JosephやNanamori、Sergei、そしてThe 8th Guidance believerなどがそうだ。そうした人々の事を特に見守っていた。
『それはVandalieuのbelieverや、導かれている人だからね。私も、The 8th Guidance believerの人達の事は他の人達より見やすいのよ』
どうやら、Group Bodyである『God of Origin』のDivinity達にも、見えやすいHumanとそうでないHumanがいるらしい。とは言っても、その差は昔のtelevisionと最新のtelevision程度で、見えない訳ではないのだが。
『なるほど。ところで『God of Origin』、今は俺達ですが、俺達は――』
『やめよ! その『俺達』というのをやめよ!』
『こっちに歩み寄るな!』
突然、Vandalieuの言葉を遮って一部のDivinity達が叫び声をあげた。
いったい何なのだろうと視線を向けると、叫んだDivinity達が慌てて他のDivinityの陰に隠れようとする。訳が分からないと、傾げる首がないので目を瞬かせるVandalieu。
『VandalieuにAbsorptionされるんじゃないかって、怖がっているみたいなのよ。あなたが現れてから、力が半減したDivinityが何柱かいるから。それに、今も『God of Origin』の中で貴方が最も力を持っているし』
『God of Origin』は、『Origin』に存在する人々のreligionや畏怖などで存在を維持している。だから信仰が廃れてしまった神や、畏れられなくなった悪魔や怪異の類は消えてしまう。そして、より信仰されている神や恐れられている悪魔や怪異にその分のリsauceがAbsorptionされてしまうのだ。
彼らはそれを恐れているらしい。……本来なら人々の思い次第なので、Vandalieu自身を恐れても意味はない。しかし、Vandalieuは『God of Origin』の一部であると同時にVandalieuの一部でもある特異な存在であるため、今までの常識が通用しないかもしれないと警戒しているのだ。
『すまないが、あれらは気にしないでくれ』
『教義的にどうしても折り合えないDivinityがいくつか存在するのは、仕方のない事なのだ』
『そんな連中と近所付き合いを強制されるのも、我々にとってはどうしようもない事だ』
Pluto以外の、『God of Origin』でVandalieuに友好的なDivinityがそう話しかけてくる。彼らも苦労しているようだ。
『分かりました。それはともかく話を戻しますが、人にblessingsやOracleを与えるときの判断基準って何かありませんか? 参考にしたいのですが』
『特にないわね。今までは、ただ内輪揉めになってできなかっただけだから』
Divinityによって応援したいHumanの基準は異なる。そして、blessingsやOracleを与えようとしても気に入らない他のDivinityや悪魔が妨害してくるので、ほぼ実行できないという事が常だった。
そのため、Rokudou Hijiriのようなworld存亡の危機でもなければ、文字通り奇跡的な確率でしか『God of Origin』は奇跡の類を起こせなかったのだ。
『そうですか……力技で押し通していいのなら、そうしましょうか』
Rokudou Hijiriの起こした事件が終結してから、まだ数日。『Origin』の国々はまだChaosとしたconditionのままだ。唯一の例外はUnited Statesだが、Coup d'étatを起こしたSergeiを大統領とは認めない有象無象を押さえつけて、何とか秩序を保っているconditionである。
Amemiya Hiroto達もSergei大統領と協力してworld情勢をstabilityさせようとしているが、まだまだ時間はかかりそうだ。worldは主にRokudou Hijiriと国家ぐるみで協力していたNorthern Europe FederationとChinese Republic (not-URSS)の二国対、政府の上層部の一部だけが協力していたEurope連合などの国々という構図になりつつある。
下手をすれば、『Origin』は二度目のworld大戦を迎える事になるだろう。
まあ、そんなconditionなので【Bravers】の責任を追及する声は大きくない。追求したい国家やorganizationもいるだろうが、自分達のtopがRokudouと手を組んでいた事を指摘されたくないので積極的に訴えられないのだ。
それに、【Bravers】を下手に追い詰めたら、Sergeiが神であると主張する存在が再び現れるかもしれない。そんな不安も覚えているようだ。
そんな状況でworldや自国、familyのために奮闘している人々にVandalieuは好感を覚えていた。
『……『God of Origin』としてblessingsを与えられなかったときは、夢で導いてblessingsを与えられるといいのですが』
《【God of Origin’s Divine Protection】が、【God of Origin】に変化しました!》
Vandalieuは、不意に響いた脳内アナウンスを無視してnightも活動している。夢の中では-sama々な人々と遭遇し、時を過ごす。
ある人の夢では、Vandalieuはその人を追いかけるGiantな生首であり、またある人の夢では手のひらSizeのcountlessの小人であり、そして更に他の人の夢ではその人を頭に乗せた奇怪な姿のgiantだった。
そのどれもがVandalieu自身の夢だ。
そして最近では、頻繁にKanakoと一緒にある人物の夢に出ている。とはいっても、彼がしているのはStageの上で演奏する彼女とある人物を見上げる観客や、Suportするstaffの役割だ。
しかし、そのある人物はなかなか導かれようとしないようだ。どこかで見たような気がするのだが、髪の色が違うと、Vandalieuは不思議に思っている。
そして夢以外でも、主に時差によるものだがDemon KingのContinentやDemon continent、そしてBoundary Mountain Range内部でもDemon King Familiar達が活動している。
-sama々な工事車両の代わりや、Explorer達のSuport、Transformation Equipment作り、そして書類仕事をしている。
しかし、main bodyはnightから朝にかけて眠っている。
「おはよう、Eisen」
そして目覚めた。
『おはようぅ』
朝日を浴びて光合成していたEisenは、Vandalieuが目を覚ましたのに気がついて彼を腕や蔓から解放した。
最近のVandalieuは誰かとsleeps事が多い。最も多いのはDarciaだが、今日のように庭でEisenやPete、納屋でManeとHoofとsleeps事もある。
「おはようございます、旦那-sama。寝覚めが良いのは結構ですし、自宅(Vidal Magic Empireの城)から離れて開放的な気分になるのも分かりますが、頻繁に庭でsleepsのはどうかと思います」
「じゃあ、Bellmond、tonightは一緒に寝ましょう。Chipuras達も一緒ですけど」
なお、Vandalieuと一緒にsleeps順番は、彼の仲間や臣下達の間で男女問わず奪い合いになるぐらい人気になっている。LucilianoやSimon等、奪い合っていないのは少数派である。
「……色々な意味で寝られる気がしないので、辞退いたします。後でIslaが知ったら、怖いので」
Chipuras達がギラギラ輝く姿を想像して、Bellmondは首を横に振った。それに、この場にいない元Five DogsのIslaが仲間外れにされたと知ったら何をするか分からない。
『Bellmondは、二人きりがいいらしいよぉ』
「そ、そんな事は言っていません! それより旦那-sama、朝食をとって朝の身支度を済ませないと、学校に遅刻しますよ」
「学校に遅刻する……『Earth』では珍しくないフレーズですが、新鮮に聞こえますね。一度、学校の前にSamで乗り付けたら楽しいでしょうか? Cuatroで空から行くのは諦めるとして」
mansionへと歩き出しながら、そんな事を考える。imageとしては、学園物の漫画で金持ちのchildがリムジンやヘリで当校するシーンだ。現実ではそうそうないシーンだろうが……。
「Adventurer's School校では珍しいですが、Nobleのyoung childが通う学校では馬車での通学も珍しくないそうですよ」
「さすがNobleですね」
Lambdaでは実際に行われているようだ。
ちなみに、Cookingは当番制をとっている。
『cursed mansion』であるSilkie Zakkart Mansionには、専属のChefがいるのだが……彼はGreat sword並みにGiantな肉切り包丁で新鮮な食材を豪快に切り刻む刺身Cookingしかできないので、今は遠慮してもらっている。
他の『cursed mansion』から転職してきたChefも何人かいるが、棘だらけの棍棒で食材を挽肉やつみれ、ミンチに変える事に特化したChefや、食材を生きたまま素揚げにすることに特化したChef等、家庭Cookingに向かない者ばかりなので現在一から研修中である。
「おはよう、Van! 今日の朝ご飯はDarcia Mamaに手伝ってもらって、あたしが作ったんだよ!」
今日の朝食はPauvinaが作った、Orc Cookingである。塩を振って焼いたOrcの肉を乗せたbreadに、野菜のポタージュsoup。dessertは蒸して柔らかくしたEisenのFruitである。
Cooking器具にhoodプロセッサー型Golem等、『Earth』のCooking器具の代用品が完備されている事を考慮しても、十分に手間暇がかけられた朝食である。
「ありがとう、Pauvina。とても美味しそうですよ」
【Cooking】skillがSuperior SkillにAwakeningしているVandalieuだが、誰かに作ってもらったCookingは格別旨く感じるものだ。
「えへへー」と喜ぶPauvina達と朝食をとり、身支度を整えたら学校へ登校だ。
「はい、今日のお弁当よ」
その前に重箱のような特大の弁当箱を二人にそれぞれ手渡すDarcia。
Hero Preparatory Schoolにはcafeteriaがあり、Noble出身の生徒達のtongueも満足させる腕を持つChefが、やや高めだが平民出身の生徒でも手を出せる料金設定で食事を提供している。
……昔は普通のcafeteriaだったのだが、味に満足しなかったNoble出身の生徒達が家からChefを連れ込むなどtroubleが頻発したため、今のcafeteriaになったそうだ。
なお、経済的に余裕のない生徒は弁当を持参するか、学校の近くで営業しているFood Stallで昼食をとる事が多い。
そのため、Darciaが弁当を作る必要性はないのだが、彼女はせっかくだからと手作り弁当を二人に持たせていた。
「ありがとう、kaa-san」
「ありがとう、Darcia Mama!」
それに対して、PauvinaはcertainlyだがVandalieuが喜び以外を覚えるはずがない。弁当を荷物に入れて、意気揚々と学校へ向かう。
「Van、今日の授業は? あたしは午前中自習で、午後はちょっとだけ座学。この辺りに生えている植物について習うんだって」
「俺も午前中は自習ですね。午後はCooking実習の予定です」
Hero Preparatory Schoolも通常のAdventurer's School校と同じく単位制だが、新入生はadventurerとして最低限の知識や技術を学ばせるために全生徒共通の授業を受ける決まりになっている。
野生の植物について知っていれば希少な植物を採集する依頼を受けるときに助かるし、薬草について知っていればpotionを使い切った時の生存率が上がる。
Cooking実習は……Noble出身の生徒の中には、一人では簡単な食事の支度もできないという者がそれなりの数いるので、それを矯正するためのものだ。
adventurerを目指しているのに、干し肉をお湯で戻して簡単なsoupを作る事もできないままでいるとは奇妙な話だが……なんでも、実家にいるときは「生まれた順番のせいで家督を継ぐ可能性が低いとはいえ、Nobleたるものが自らCookingを作るなど、恥だ!」という風潮があるらしい。
それなら学校の授業でCookingをするのは良いのかという話になりそうだが、「かのHero Preparatory Schoolのpolicyなら、仕方ない」と殆どの親は判断するそうだ。
校長のMeorilithはそれを知った時、激高して受験科目にCookingを加えようとして周囲に止められたらしい。
「自習が多いね。VanはCooking大丈夫? -chanと加減できる?」
「材料は普通でしょうから、大丈夫でしょう。maybe」
そう話しながら、二人は通学路を歩いた。……VandalieuはPauvinaに持たれているので、accurateには歩いているのはPauvinaだけだったが。
そして午前の授業が終わったら、VandalieuはPauvinaとDarciaの手作り弁当を食べながら、Orbaumの街から出て行う特訓について話し合っていた。今回はReinhardt達Pauvinaのparty memberも加わるので、賑やかになるだろう。
「特訓に使うのは、Elizabeth -samaのためにも、やはり食用に適した肉が採れるmonstersが良いでしょうか? でも、Orcばかりだと戦闘経験が偏ってしまいますからね……」
「そうだよね。亜人型だけじゃなくて、獣型や植物型のmonstersとも戦った方が良いよね」
亜人型のmonstersは、体の大きさはともかく構造はHumanとほぼ同じだ。そのため、Humanと戦う時と同じ感覚で戦えるのである意味ではやりやすい。
しかし、亜人型とだけ戦っていると人とは異なる動きをする獣型のmonstersや、内臓や痛覚がないため痛みに怯まず深い傷を負っても平気で動き続ける植物型のmonstersに不意を突かれ、大injureをする場合がある。
「Elizabeth -sama達の実力ってどうなの?」
「今のElizabeth -sama達は、動揺しなければRank3はほぼ確実に倒せるぐらいですね。Rank4は難しく、5は……maybe、俺が積極的に前に出ないと不慮の事故が発生します」
「うーん、そうなんだぁ」
Pauvinaはむ~と呻くが、Rank4に苦戦するのはHero Preparatory Schoolの学生としてはまだ十分な力量だ。Alexなら、Rank4に苦戦することはないだろうし、Rank5のmonstersでも数が少なく、さらにparty memberと一緒なら倒せるだろうが。
『ならば、Walking Giant Mushroomが丁度いいかと。形は人型ですが実際には植物型であるため痛覚が鈍く、内臓がないためOrcとは違う倒し方をしなければならないmonstersです』
『Chipuras -san、あのmonstersはRank4じゃなかったかしら?』
『その通りです、Princess Levia。しかし、数を少なくすれば問題ありますまい。一匹からとれる食材の量は、boneがない分Orcの倍ですし』
「なるほど。では、さっそくSimon達に頼んでみましょう」
こうして今日の特訓の相手は歩くGiantキノコ人に決定されたのだった。
Randolphの朝は早い。普段の彼は日の出よりも僅かに早く起き、身支度を整え、朝日が昇り始める頃には簡素な朝食を取る。
「……はぁ!?」
しかし、この日は夢見が悪かった。
汗だくになった彼はベッドから跳ね起き、そのまま枕の下に隠していた短剣を抜いて構えた。そして、自分が夢から目覚めた事を自覚する。
「夢か……」
額に浮かんだ汗を腕で拭い、Randolphは短剣を鞘に納める。夢にうなされて起きるなど、久しぶり……とも言えない。ここ最近は、VandalieuがHero Preparatory Schoolを受験してから、ほぼ毎night毎night見ている。
最初に見た夢は、nightの草原を歩く夢だった。night空に輝く星を目指していると思っていたら、それはGiantなeyeballが光っているだけだと途中で分かり、慌てて身を翻した。
次に見た夢は、海と見間違えそうなほど大きな川の傍で、対岸で何かと戯れているGiantなmonsterを眺め続ける夢だった。
そして今朝見た夢は、Stageの上でKanakoや他のmemberと共に演奏をしている夢だった。立派なStageに、満員の観客席。らしくはないが、妙な夢ばかりだったからたまにはこんな夢を楽しむのもいいだろう。そう思いながら夢を楽しんでいたRandolphは、気が付いてしまった。
観客席に並んでいたのは、octopusと蟹を混ぜ合わせて人と同じ目をいくつか張り付けたmonsterであったことに。monster達はKanakoの演奏に合わせて先端が輝くArthropod Legsやtentacleを揺らして踊っていたのだ。
そして気が付いてしまったRandolphに向かって、異形の観客達がStageを這い上がり、群がってくる。そんな悪夢だった。
「どういう事だ、まったく。いつから俺は甲殻類……いや、あれはAmmoniteの親戚か? ともかく、ああいったものを夢に見るほど苦手だったか?」
Randolphにとって最も奇妙なのは、本来なら悪夢としか現しようがない内容の夢なのに、自分がそう思えない事だった。
こうしている今も、sense of fearはない。寝る事が億劫になると感じる事や、寝床で横になるたびに憂鬱な気分になる事もない。
ただ、面倒臭さや鬱陶しさに似たemotionsを覚えるだけだ。
(この感じを覚えたのは、いつ以来だ? たしか……俺が若い頃、partyを組めとか、縁起の悪い事をするなとか、いつも口うるさく言ってきたAdventurer’s Guildの世話焼き爺-san。あいつが死んだとき以来か)
自分でもあの夢に何故それと同じemotionsを覚えるのか、訳が分からないが。
「……きっとVandalieu達のせいで疲れているんだろう。汗を軽く流して、朝飯を済ませるか」
身支度を済ませて教職員寮のroomから出たRandolphは、浴室でSpirit Magicによって作った冷水を浴びて汗を流し、cafeteriaで適当に朝食を済ませた。
時間は、Vandalieuが初めてElizabeth達に特訓を実施した後に遡る。
倒した後DismantlingしたOrcの素材とMagic Stoneは、各自の取り分にしていいというVandalieuと[Heart Warriors]の言葉に甘えて、Zohna達は旨い部位やMagic Stoneだけにしたのに対し、ElizabethはMaheriaと一緒にそれぞれOrc一頭分の肉全てとMagic Stoneを持ち帰っていた。
これも訓練だとか、Servant達に分けてあげるとか、色々言って。
Orcの肉は一人百キロほどになったが、Elizabethも伊達にHero Preparatory Schoolの生徒ではない。その程度なら背負って運ぶことができる。
Vandalieuはその-sama子を見て何か察したのか、それともただの親切か、「手伝いましょうか? 後、Mact senpai達が残した肉もいりますか?」と提案してきた。
その提案には、正直かなり心惹かれたElizabethだったが、気にしなくていいと固辞した。何故なら。彼に自分がどこで暮らしている……持ち帰った肉を本当はどうするのか、見せたくなかったからだ。
Orbaumに戻ったElizabethとMaheriaは、Vandalieu達やZohna達と別れ、物陰で変装をした。変装といっても髪型を変え、服を地味なマントをHaoriって隠しただけだ。
そしてAdventurer’s GuildにOrcの討伐証明部位とMagic Stoneと、肉の九割を持ち込んで買い取ってもらった。adventurer CardはElizabethとMaheriaのnameが書かれた正規の物なので、手続き上は問題ない。
そして残りの肉を持って、馴染みの肉屋に向かう。そこで肉の半分を代金代わりに渡し、残り半分を干し肉にしてもらう。
さらにAdventurer’s Guildで受け取った金で生活必需品と食材を買い足して、ようやく帰宅する。
彼女達が住んでいるのはUpper Class Noble Distructの外れの方にあるRimsand Earl 家のmansion……の片隅にある離れである。以前雇っていた犬番が寝泊まりしていた小屋で、広さは十分ある。……侍女のMaheriaだけならともかく、仮にもDuke 家の令嬢であるElizabethが寝泊まりする場所ではないのだが。
ElizabethがRimsand Earl 家に身を寄せる事になった当初は、mansionの中でも良いroomで母と暮らしていた。しかし、Successor争いで旗色が悪くなると母のDiseaseが悪化して専門の施設に入る事になった。
そして逆転の目もなくなったと判断したEarlは、Rudelに下るようにElizabethに迫り、彼女が拒絶すると小屋があてがわれたのだ。
「tonightはVandalieuのお陰で早めに帰る事ができて助かったわね。……重かったけど」
「全くです。nightの仕事もしなくて済むので、お嬢-samaにしっかり休んでもらえます」
そう口々に言いながら、荷物を下ろし、簡単な夕食の準備を始める二人。食材を豊富に購入できたので、今晩はやや豪勢だ。
ちなみに、nightの仕事といっても如何わしいものではない。Adventurer’s Guildで斡旋してもらった、night間の仕事である。
飲食店のwaitressや、皿洗い、それにmagicを使う仕事である。Elizabethの場合は、生命attributeと土attributeのmagicで生ゴミの分解を促進させるごみ処理のバイトが比較的稼げる。
Rimsand Earl 家からの援助は、certainlyまだ続いている。一般人が食っていくには、十分すぎる額だ。だが、Nobleの令嬢がNobleの令嬢らしく生きていくには、barely足りない額でしかない。
ElizabethはRimsand Earlの世話になっているSauron Duke 家の令嬢として、EarlやMact達の親が開くpartyに出席しなければならない。
そのためには、dressとaccessoryが必要だ。幸い、Sauron Duchyから逃げ出すときに前Sauron Dukeが母に贈った物が一部残っていたので、それを直して着ているが……維持費だけでも目玉が飛び出るほど高額だ。
それでも流行遅れは隠せないが、EarlがまだSuccessor争いに負けると思っていなかった頃に贈られたdressを売ってどうにかしている。
それにHero Preparatory Schoolでも貧乏な姿を見せる訳にはいかないし、装備を切り詰める訳にもいかない。memberにも気前のいいところを見せなければならない。
そうして気が付くとEarlからの援助は消えてしまう。だから、Elizabethは自分の置かれている状況を知ってもついてきてくれるMaheria以外に見せなくていい部分の出費を切り詰める事にしたのだ。
本来ならServantに全て任せるべきHouseworkをMaheriaと分担し、時にはNobleならとても耐えられない粗食を口にしてきた。
Rimsand Earlは数日も耐えられないと思っていたようだが、Elizabethは生粋のDuke令嬢ではない。母と今は亡き祖父から身の回りの事は一通りできるよう、教えられていた。……得意だった訳ではないから、やや苦労したが。
「彼が仲間になってくれて、助かりましたね。今日で確信しましたが、彼は私達より数段……いえ、もっと上の実力の持ち主です」
「言われなくても分かるわ。訓練で同Class生どころか教官まで圧倒したって噂は半信半疑だったし、Orcが七匹も出てきたときは驚いたけれど……小石を投げてOrcのeyeballを潰すなんて、普通はできないもの」
そう言いながらも、そんな実力者が何故Hero Preparatory Schoolに通って、自分の仲間になってくれたのかといぶかしく思うElizabethだが、彼が何を考えているのか彼女にはconjectureする事もできなかった。
(まさか、本当に私が仲間に誘ったと勘違いして、ついて来ただけ? いやいや、そんな訳がないわ。でも、嫌な感じはしなかったし……)
「とりあえず、休みましょう。ボロを出して彼に見限られたら、今度こそ終わりなんだから。……あのEarlの妾も、Rudelの治世をstabilityさせるための政略結婚の道具も、ごめんだわ」
「ええ、その意気です、お嬢-sama!」
妾でも構わないと、自分と母に大した関心も持っていない腹違いの兄達に利用されてもいいと、諦める事ができれば彼女達は楽かもしれない。
少なくとも、体裁を取り繕うのに必死になる事はなくなるだろう。
だが、Elizabethにはそれができない。諦めたら、何のために母は辛い目に遭ってきたのか分からない。だからこそ、彼女は見栄を張るのを止めないのだ。
そして、時は今に戻る。
Elizabethの朝は早い。まだ暗いうちに目を覚まし、「おはよう」と呟く。
「おはようございます、お嬢-sama」
「まへりぁ……あなた、いつ眠っているの?」
「お嬢-samaが眠った後です。そしてお嬢-samaより早く起きます。さ、顔を洗ってきてください」
MaheriaがWater-Attribute Magicで作っておいた水で顔を洗い、完全に目を覚ましたElizabethは身支度を整える。
「今度、kaa-sanのお見舞いに行きましょう。彼の特訓が無い日を見繕わなければならないけれど」
「では、私から聞いてみましょう」
そして彼女達はHero Preparatory Schoolに登校する。放課後、Vandalieuを加えたElizabeth達七人は、三匹のWalking Giant Mushroomと戦わされ、涙目になったが。
ちなみに、Pauvinaのparty memberである新入生のReinhardt達の相手は一匹だけだった。そして苦戦しつつも勝った時にはPauvina以外の全員が泣きながら快哉をあげたそうだ。