Vandalieuの魂がOrigin worldにAdventした。彼自身はその事を「周りに人の目もないから、大した問題にはならないだろう」と思い込んでいた。
実際、本拠地の内側では大した問題にはならなかった。
「なんだ!? この背筋が寒くなるような、気味の悪い signは!」
「なんだ!? この誰かに見守られているような、どこか胸が温かくなるようなsignは……?」
「「ん!?」」
【Bravers】のmemberはRokudouの本拠地の内部にいたので、その姿を直接見ることはなかった。しかし、Vandalieuから発せられている桁違いのManaを察知し、異変が起きたことを悟った。
悟った結果どう感じたのかは、DerrickとJosephのようにVandalieuに導かれblessingsを受けているか否かで異なったが。
「とにかく進むぞ! Rokudou達を止めなくてはならないことに違いはない!」
しかし、Amemiya達がしなくてはならないことは変わっていない。そのため、彼らはすぐに行動を再開することができた。
一方、これからAmemiya達を迎撃しようとしていたRokudou達は、異形の出現によって盛大に出鼻を挫かれていた。
「なんだ、あれは!?」
モニターに映る異形の姿はRokudouにとって、神に至ったと思いあがった事で生まれていた余裕が消し飛ぶほどの衝撃だった。
「sensorに反応なし! あれは物質でも生物でもありません! Materializationした……Materializationした何かです!」
「何がMaterializationしたんだ!? Manaか、霊か? それともAnimaか!? magicで作り出されたものなのか!?」
「Mana sensorが壊れたのでaccurateな数値は不明ですが……あの異形はdeath attributeのManaを発しています」
新たに現れた異形の正体がわからず狼狽えるMoriya達だが、Rokudouは彼らの報告から見当をつけることに成功した。
「私のDeath-Attribute Magicを抑え込む、Death-Attribute Magic……それは奴以外にはありえない。あの異形は『Undead』! Amamiya Hirotoだ!」
「なっ!? 奴は死んだはずでは!?」
「そうだ。だが、奴は死んだ後Undead Transformationしていた。死体になったBodyを破壊されて消滅したと我々は思い込んでいたが……何らかの形で残っていたのかもしれない。
もしくは、死後のworldから舞い戻ったか」
「そんな……あの醜いmonsterが私達と同じHumanだったなんて……しかし、何故このtimingで現れ、我々の邪魔を? 奴にNorthern Europe FederationやChinese Republic (not-URSS)はもちろん、このworldのHumanを守る理由はないはず!」
Rokudouのconjectureが正しいとMoriyaは理解していた。何の脈絡もなく正体不明のdeath attributeのManaを持ったmonsterが現れたと考えるよりは、ずっと納得しやすいからだ。
だが、Amamiya Hiroto(Vandalieu)の行動が分からなかった。自身の仇である自分達に復讐するためではなく、Rokudouからworldを守るために現れたとしか思えないが、それをする動機が分からなかった。
「奴が助けた『The 8th Guidance』も……まさかっ、あのAmemiya Meiについているmonster! あれもAmamiya Hiroto!?」
「その通りだ、Moriya。Amemiyaの娘についていた……そう、憑いていたmonsterの正体はAmamiya Hirotoだ。そして、彼をAmemiya Meiが無意識にDeath-Attribute Magicを使い操っているのだろう。死者の霊を召喚するSpirit Communication術の類で。
フッ、自分にとどめを刺した夫婦の娘の操り人形とは、滑稽だな」
そう笑うことで衝撃から立ち直ったRokudouは、改めて自身についてくることを選んだ者たちに向き直った。
「では、お前たちに今の私ができる全ての付与magicを施そう。そして、私とともに我々の前に立ち塞がるAmemiya親子を始末するのだ!」
そうしてRokudouの本拠地内でのimpactは、Amemiya達の行動が数秒、Rokudou達の迎撃の準備が数分遅れただけにとどまった。
だが、『Origin』で監禁生活を約二十年、そして『Lambda』にreincarnationして十年以上過ぎており、科学文明に触れたMemoryが遠いVandalieuは忘れていた。人工Satelliteの存在を。
『Origin』にも人工Satelliteが存在し、それによって各先進国は地表に現れた異形の姿を捉えていた。
「あ、悪魔だっ! 悪魔が現れた!」
「聖書にある審判の日……それは今日だったのか!」
「待ってください! あれがそんなオカルティズムな存在とは限りません! 外space (UCHUU)から飛来した生命体かもしれません!」
Europe連合を形成する各国は、AdventしMaterializationしたVandalieuの魂を見て大panicに陥っていた。
「あのMonsterの正体なんてどうでもいい! 問題は奴が何をするか、そして我々に何ができるかだ!」
大panicに陥ったEurope連合では、そう訴えて同僚を我に返らせようとする者もいた。しかし、既に連合の代表だけではなく連合の中でも先進的な国家の大統領達も行方をくらませており、国家機能がマヒしていた。さらに、Vandalieuの魂が姿を現したのが自国の領土から遠く離れた、二大大国の国境線上であることもあって、具体的な行動に出ることはなかった。
だが、とんでもない暴挙に出た国もある。
「あれは神だ! 我々が夢で見た神の御姿そのものだ!」
Coup d'étatによってUnited Statesの大統領となったSergeiは、モニターに映るVandalieuの魂を見て歓喜の叫びをあげた。彼は夢で、冥と遊ぶVandalieuのGiantな魂を見ていたのだ。
「おお、なんとGodsしいお姿か……」
「あれは夢ではなかった。そう、夢ではなかったのだ!」
そしてSergeiが連れていた彼の支持者……彼と同じ隠れ『The 8th Guidance』believer達も、歓喜の涙を浮かべる。
「な、なんだあれは……!?」
「か、神よ……!」
それ以外の普通の人々は、Vandalieuの異形の魂を見て絶句し、思わず自身が信じる神に祈りを捧げていた。気のweak者は無言で失神している。
「は、はははははっ! 目標からdeath attributeのManaを感知! その数値は、数値はぁ! 計測不能! 我が国の技術力では、九十九億以上のManaを数値化出来ません!」
「大きさは……高さ三百meter、直径は一kilometer!? あっ、あはははははははははぁ!」
Vandalieuの魂のManaをある程度、そして大きさをaccurateに計測してしまったオペレーターたちが、気がふれたように笑いだした。
「Mana九十九億以上……に、Humanがどうこうできる存在じゃない!」
Sergeiによって捜査機関の長官に任命された男は、この異形のmonsterにworldは滅ぼされてしまうに違いないと思い、涙を浮かべた。
「……諸-kun、記者会見の準備だ。国民に発表する」
だがSergeiの言葉で、オペレーターと捜査機関の長官は現実に引き戻された。
「私が大統領に就任したことを、そして神がAdventされた事を! この御姿を知らしめるのだ!」
Vandalieuは夢でSergei達に会ったとき、あまり目立ちたくない事をよく言い含めるべきだったようだ。
そして国として、もしくは人として常識的な判断を下してしまった国もある。行政府を破壊され国家の中枢を担う者達の多くが安否不明となった、Chinese Republic (not-URSS)とNorthern Europe Federationだ。
二国は国としての機能はマヒしていた。しかし、地方政府は機能しており、彼らは国境に突然現れたmonsterに対して、偵察機とその護衛に戦闘機を数機緊急発進させた。
Vandalieuの異形の姿はどう見ても友好的な姿に見えない。しかも彼の下には彼らにとって国家機密である、Rokudouの研究所があるのだ。
その基地にいるはずの代表者からの連絡が途絶し、首都で大規模な爆発が起きた直後だ。何が起きたのか調べようとするのは、当然の事だ。
「death attributeのManaは観測できましたが、数値は計測不能!」
「首都で起きた爆発現場から計測されたdeath attributeのManaとは、波長が合いません。強さも桁違いです。それに……徐々にGrowしている!?」
「どういうことだ!?」
「このmonsterは徐々にですが、Growしています! 毎秒直径一meter程ですが、成長し続けています!」
偵察機の乗員はGrowや成長と評したが、そうではない。VandalieuはRokudouが放っているVitalityを奪うmagicを抑え込み続けるために、内側から押されているだけだ。
本来なら、VandalieuとRokudouのDeath-Attribute Magicの力量には雲泥の差がある。Rokudouはたしかに、洗練された制御力の持ち主で、その緻密さはVandalieuを上回っている。しかし、それ以外の全てがVandalieuの足元にも及ばない。
Rokudouが「莫大な量」だと誇っているManaも、今のVandalieuからすれば【Death Cannon】一発分にも満たない少量でしかない。
もしこれが『Lambda』worldなら、VandalieuはRokudouが放ったShockwave of Deathを一瞬で蹴散らしてしまっただろう。
しかし、ここは『Lambda』とは物理法則が違う『Origin』worldで、Vandalieuは魂を【Realization】させただけの不stabilityなconditionだ。Bandaにとっての冥のように、核となるmain bodyも存在しない。
そのため、Rokudouのmagicを抑え込むのにも苦労していた。
(なるほど。神が地上に干渉するのはenergyを使うと聞いていましたが、これよりもつらいconditionだとしたら、軽々しくはできないはずですね。
ああ、俺はまだHumanでよかった)
そんなことを考えながら、Amemiya達が早くRokudouを倒してくれないかと内心で急かす。
だが、そんな事情を知らないChinese Republic (not-URSS)とNorthern Europe Federationの軍関係者は、誤った判断を下してしまった。
『あのmonsterは、裏切り者のRokudouが作り出した存在に違いない! 奴が諸悪の元凶だ! 攻撃せよ!』
正体の分からない、醜いものは攻撃する。短絡的だが人としては無理のない判断だ。しかし……この場合は、自分たちにとっての盾を敵と見誤るという、致命的なものだった。
偵察機の護衛missionを解かれた戦闘機が、Vandalieuの魂に向かってMissileを発射する。
『おや?』
自分の周辺でジェット機が飛んでいるのは気が付いていたが、まさか攻撃を受けると思わなかったVandalieuは、驚きとともに【Impact-Negating Barrier】を張り、Missileのenergyを吸い取って不発にする。
【Impact-Negating Barrier】の使用そのものは、このworldで『Undead』だった時にも使っているので支障はない。
『おおぉ?』
しかし、Barrierを張ったために抑えきれていなかったShockwave of Deathに内側から押され、dome状に広がった魂の一部が歪に膨らんでしまう。
「目標が変形しました!」
「反撃するつもりか!? 再度攻撃の許可を求む!」
そして、それを戦闘機側は敵対的な反応だと解釈して、Missile攻撃を繰り返そうとする。
『ふーむ……面倒な』
Vandalieuにとって、彼らが放つMissileは受けたところで本来なら脅威ではない。Bodyがあるconditionなら、直撃しても火傷で済む。『Lightning Giant』Blateoの拳の直撃よりも、はるかに軟な攻撃だ。
しかし、今の【Realization】した魂がdome状に広がっただけのconditionで受けるのはよろしくない。直撃したら、衝撃で穴が開いてしまい、内側に閉じ込めたShockwave of Deathが外に漏れてしまう。
つまりこのMissile攻撃をしている者達や彼らを送り込んだ国自身にとって、この攻撃は脅威なのだ。
『どうしましょうか?』
二度目のMissile攻撃を同じようにBarrierで防ぎ、その結果再び形を歪めながら、Vandalieuは考えた。
戦闘機というのが厄介だ。距離が離れていて、High-Speedで素早く飛び回っている。それに対して彼はこの場を動くことができない。
Bandaが自由だったら墜としてきてもらうのだが、BandaはBandaで忙しい。被害者全員に配れるほど汎用Transformation Equipmentは用意していない。安全地帯に連れて行かないといけないのだが、その安全地帯がRokudouの本拠地内には存在しない。
そして、今施設の外にも無くなった。今、戦闘機からMissile攻撃を受けている状況では、いつ流れ弾が被害者達に当たるか分からない。
……いっそ、Shockwave of Deathを戦闘機とそれを派遣してきただろう国に向かって解放するか? 敵になりうるものが死に絶えれば、ひとまず安全だろう。そんな考えが頭を過ぎる。
『これほど素早く戦闘機を派遣して、攻撃を仕掛けてくるとしたらNorthern Europe FederationかChinese Republic (not-URSS)。それらの方向に対してだけ穴をあけて衝撃波を逃がせば、被害は限られる。そして、被害者達を避難させる安全地帯を確保でき、俺の負担も減る』
そう考えると、悪くない考えのような気がしてきた。
こうして『Origin』の人々を守っているのは、Vandalieuの勝手だ。請われたからでも何でもない。だから、その自分に攻撃してくることについて、特に何も思わないし感じない。
ただ、そんな者達を守り続ける気が失せるだけで。
そもそも、VandalieuをMissile攻撃するということは、彼の内側にあるRokudouの本拠地を攻撃するのと同じ事。それは施設の中にいる冥達の安否に対して一切考慮していないということだ。
つまり、Vandalieuにとってこの戦闘機とそれを派遣した国家は敵である。何も知らない一般国民は、まだともかくとしても。
『よし、Rokudouより先に滅っしましょう』
戦闘機のいる上空にだけ衝撃波が発せられるように、調整して穴を開けようとする。
『待ってくれ~!』
そのVandalieuに対して、彼の内側から制止の声をかける者達がいた。
『どちら-samaですか?』
『我々はRokudouに殺された各国の大統領です! 偉大なる存在よ!』
それは、Rokudouによって殺された者達の霊であった。彼らはVandalieuを止めるために駆けつけてきたのである。
『奴は自身のmagicで生物を殺せば殺すほどenergyをAbsorptionし、Manaを蓄えていきます!』
『なので、奴のmagicを利用してHumanを大量に殺すのはよくありません!』
『だから、大勢のHumanを殺したいのであれば我々をお使いください!』
前United States大統領の霊達の頭の中には、無辜の人々を守ろうとか、そうした考えは全くなかった。彼らに残っているのは、冥とVandalieuの役に立つためならどんなことでもするというInsanityのみである。
『なるほど。たしかに、Rokudouに力をつけさせるのはidiotみたいですね。でも、あなたたちを使うとしても……ああ、ちょうどいいのがありましたね。
でも、墜とすのはとりあえず戦闘機だけにしましょうか』
そう言いながら、一万ほどのManaを不発弾となったMissileに注ぎ、大統領達の魂を込める。
『お任せください、神よ!』
悪霊の宿ったCurse Missileと化した大統領達は、戦闘機に向かって突進した。
「なんだ、Rockされている!? Northern Europe Federationの戦闘機がこちらを狙っているのか!?」
「Rockされた!? まさかChinese Republic (not-URSS)の……いや、違う! 我々が撃ったMissileだ! Missileが返ってくる!?」
まさかMissileがUndead Transformationして返ってくるとは思わなかった戦闘機のpilot達は慌てて回避行動をとりながら、デコイをばら撒き逃げようとする。
『逃げても無駄だぁ!』
『そんなものに惑わされるものか!』
だが、Missileに宿った霊達はpilotの生命反応を感知し、回避行動やデコイに惑わされることなく追い続け、見事命中。戦闘機ごと爆発した。
Vandalieuが戦闘機と偵察機の見分けがつかず、逆に大統領達は見分けがついたため、両国が派遣した偵察機は残った。
「本国へ連絡! 敵は我々が放ったMissileを何らかの方法で利用して反撃しています! さらなる攻撃は中止! 攻撃は中止!」
だが、そう報告しながら慌てて退避した。
『あとは、Hiroshiに手伝ってもらって安全地帯を作りましょう。そうすれば、もう一人の俺もHiroshiも自由に動ける』
上空でそんな事が起きているとは気が付かないまま、RokudouとAmemiyaはそれぞれの仲間を引き連れてついに対峙した。
「ずいぶんと変わったな、Rokudou」
「それは見た目のことかな? それとも、私が-kun達を裏切ったことか?」
顔つきは以前と同じだが、背が伸び、蒼白の肌にfurが一本もない今のRokudouは非生物的な雰囲気を纒っていた。
精巧に作られた人形ですと言われたら、信じてしまうかもしれない。そんな-sama子だ。
「もちろん、見た目とManaの事だ。裏切っていたことに関しては……ずっと前からなんだろう? だが、いつからだ? あの研究所での一件からか、それとも【Bravers】を結成する前から裏切るつもりだったのか?」
「-kunを利用しようとしたという意味では、結成前からだ。-kunやAsagi、Endouを上手く使ってorganizationを牛耳るつもりだった。だが、本当の意味で裏切ることを決めたのは-kunが言う通り、『Undead』……Amamiya HirotoとDeath-Attribute Magicの存在を知った時からだ」
「そうか……僕は、自分で思っていたよりもleaderには向いていなかったらしい」
「そう卑下されると悲しいな。それは、私の手腕が優れていたということなのだからね。
どうかな? -kunさえよければ再び私の掌の上で踊ってみないか?」
Rokudouの突然の提案に、DerrickやNarumiが驚いた顔をする。彼がAmemiyaを今更勧誘しようとするとは思わなかったようだ。
「状況が変わってね。この施設の外に、悪霊と化したAmamiya Hirotoが現れた。彼は忌々しいことに、今の私以上のManaの持ち主だ。
……おそらく、-kunの娘に操られているか、それとも-kunの娘を操っているのだろう。このままにしておくと、このworldはAmamiya Hirotoによって生命体の存在しない、死のworldになってしまうだろう。death attributeを否定していた-kunとしても、彼は歓迎できないはずだ」
生命体の存在しない死のworldを作ろうとしたのは自分であることを黙ったまま、Rokudouはそう提案するとAmemiyaに尋ねた。
「どうかな。-kunがleaderという象徴で、私が実務を担当する裏方。元の鞘に納まるというのは?」
それに対して、Amemiyaは自嘲的に笑った。
「どうやら、僕は-kunにとってとんでもないidiot者だったらしい。Rokudou、さすがにその誘いには乗るつもりはないよ。
それに、Amamiya Hirotoが死のworldを作るだって? 歴史に残りかねないほど、的外れな意見だよ。それは」
「……どうやら、今度はAmamiya Hirotoに利用されることを選んだようだな。-kunは生粋の愚か者のようだ。
仕方がない。どちらも私が殺すことにしよう!」
そうRokudouが叫ぶと同時に、彼のwhole bodyから禍々しいManaが放出される。その一億に近いHumanを超えたManaの多さにNarumiとDerrickはたじろぎかける。
「あはっははははははは! その程度のManaで、あの方を殺す!?」
「あなたは、研究者よりもコmediaンに向いていますよ!」
だが、それに恐れることなく哄笑をあげ、攻撃を仕掛けたYuki JoroとBokorの言葉で思い出した。
「……たしかに、彼ほどではないわね」
「まあ、どちらがmonsterかと言われたら、Bandaだな」
「当人に聞こえるところで言うなよ、結構気にするTypeだから」
Josephが植物の種を芽吹かせ、Youdoが回復役のNanamoriの護衛に回る。それに一拍遅れてDerrickも護衛に回り、Narumiが【Angel】でリアルタイムでのCoordinationを図る。
「貴-samaのAbilityについては、もう知り尽くしている!」
【Shaman】のMoriyaは、そんなAmemiya達に向かって、Abilityで作り出したArtificial Spiritを放った。業火のlower bodyを持つ"muscle and bones"隆々としたgiantをJosephに。氷の鎧を纏ったcoldのgiantをYuki Joroに。そしてAmemiya達も初めて見る大鎌を構えたSkeletonを、Nanamoriに向かって解放する。
「行け、Ifrit、Ymir、そしてRokudou -sanのManaから作り出したdeath attributeのAnima、Charonよ!」
「Charonだとっ!? それのどこが船頭だ!?」
渡し賃を受け取って死者を川の向こうへ渡すだけの存在には思えない凶悪さのSkeletonが振るう大鎌を、Derrickがmagicを纏った拳で弾く。
「なにぃ!?」
その瞬間、拳に施していた付与magicが掻き消えてしまった。
「Animaにもdeath attributeの付与magicがかけられているんだ。触れられたらmagicは消えると思ったほうが良い。Equipmentは大丈夫なようだが」
「厄介な……原典だけではなく、常識も無視か!」
「くそっ、なんて頑丈なPowered Suitなんだ! Charonの鎌に触れて無傷なんて!」
付与magicでbody part Abilityを上げての格闘戦ができないと知ったDerrickが唸るが、Moriyaも彼らが着ているSuitの高性能さにclicking tongueをしていた。
彼のAbilityで作り出した戦闘用のArtificial Spiritの、それもRokudouによって殺傷力をEnhanced (1)されている一撃を受けてもSuitもその下のBodyも無傷とは、Moriyaにとって信じがたい頑丈さだ。
これはCharonだけで回復役のNanamoriを殺すのは難しそうだ。かといって……。
「炎に植物がweakっていうのは、思い違いだ」
increaseした殺傷力によって容易く植物を焼き散らすはずだったIfritは、Josephが水分を多く含む植物を操っているため、想定より苦戦している。
「僕が戦えないとでも思いましたか!?」
そしてYuki Joroを狙うYmirに対しては、自身の細胞を活性化させ熱を自力で作り出したBokorが接近戦を挑んでいる。
「その通りっ! 僕は格闘技の素人! だが、この神から賜ったEquipmentがあれば時間を稼ぐことができるのです!」
……Ymirの負けはなさそうだが、勝つまでには時間がかかりそうだ。
「うおおおおおっ!」
「がああああああ!」
そのMoriyaの横を、技術者たちが獣のような叫び声をあげながらNanamoriを狙って駆けていく。
彼らは技術者としても、研究者としても、Rokudouから期待されておらず、ただその場に居合わせRokudouにLoyaltyを誓ったために生き延びた者達だ。
彼らもDeath-Attribute MagicでEnhanced (1)されている。殺傷力をEnhanced (1)させられ、痛覚を遮断されhorror心がマヒしているのだ。
使い捨ての戦力として使うために。
「あんたらも被害者かもしれないが、同情はしないぜ! それどころじゃないからな!」
だが、所詮は急造の戦力。【Titan】のIwaoが操る重力によって押しつぶされ、Nanamoriに辿り着く前に全員倒れ伏す。
「もう【Bravers】は終わりだぞ! それでも抵抗するつもりか!?」
「Amemiyaを見限ったら? こっちにつく方が、ずっと賢明だと思うけど!?」
Manaを鎧としてRealizationさせることができる【Knight】のKatouが、space attributeの不可視の鎧を纏い、物品の大きさを操作する【Issun-bōshi】のShizakiが数十倍にGrowさせた銃弾を放っている。
「終わりなのは【Bravers】だけじゃすまなそうだが!? それに、後の事は後で考える!」
「あなたたちの方が、追い詰められているようにしか見えないわ!」
KatouをYoudoがあしらい、直径一meterほどにGrowした銃弾をよけたNarumiがそう切り返す。
「Rokudou、終わりだ! -kunは自らworldの敵になってしまった!」
Amemiyaが、【Ignore Defense】を乗せたmagicを同時にいくつも放つ。
「いや、これから始まるのだ!」
だが、Rokudouは防ぐことが不可能なはずのAmemiyaのmagicを、Barrierで容易く防いでしまった。
「何っ!?」
「-kunの【Ignore Defense】はたしかに驚異的だ。だが、防御ではなく攻撃で迎え撃てばそのAbilityは効果を発揮できないことは分かっていただろう?」
たとえるなら、剣を盾で受け止めて防御するのではなく、自分に振るわれる剣を剣で攻撃して弾くようなものだ。だが、Amemiyaが放ったのは剣ではなく、High-Speedで飛来する矢や球の形をしたmagicである。攻撃を当てるのは、銃弾を銃弾で撃ち落とすのと同じくらい難しい。
だからAmemiyaは今までその方法で対抗してくる敵と、遭遇したことはほとんどなかった。
「そのBarrierは……そうか、僕のmagicを攻撃し、Manaを奪うBarrierか」
「そう、これがdeath attributeの力だ」
Amemiyaの【Ignore Defense】にとって、初歩的なDeath-Attribute MagicであるBarrierは最大の脅威だったのだ。そして、Originには【Demon King Fragment】やOrichalcumのようなBarrierをNullificationにする物質は存在しない。
「さあ、今度は私の番だ! 死の炎よ、迸れ!」
Rokudouが放つ青白い炎の奔流を、Amemiyaは「くっ」とうめいて回避する。AmemiyaもManaは常人と比べものにはならない量を誇るが、今のRokudouにはとてもかなわない。
Barrierを張って足を止めれば、即座にBarrierごと叩き潰されてしまうだろう。
かといって格闘戦に持ち込むのは下策だ。Rokudouは【Increased Learning Speed】のCheatによって、格闘やknifeの腕前はAmemiya以上だからだ。しかも、今のRokudouはDeath-Attribute Magicを習得するために創りだした特別なBodyを使っている。body part Abilityは【Unlimited Development】によって、Humanの限界を超えて成長し続けている。
「ふふっ、-kunは所詮Ability頼りの男だった。それがよく分かるな。さあ、死ぬがいい!」
RokudouはAmemiyaの動きを読んで壁際に追い詰めた。そして、数百万のManaを込めたmagicで避ける余地のないほどの広範囲を攻撃することで、息の根を止めようと試みる。
それは口では嘲笑いながらも、RokudouがAmemiyaを警戒している事の表れだった。彼とBandaを同時に相手取ったら、勝てないかもしれないという警戒心のためだ。
「しまった!」
AmemiyaはRokudouの狙いに気が付くが、もう遅い。自力で逃げるには壁が邪魔をしている。
だが、その壁から現れた援軍が彼の命を救った。
「死ぬがいい、偽りのChampion!」
Rokudouが放った青白い炎がAmemiyaを包むかに見えた。その瞬間、壁が砕け散りその向こうからmetallicな光沢を放つ三meterほどのMonstrosity……Transformation Equipmentを纏ったHiroshiが現れた。
『うわああああああああ!』
「っ!? ひ、Hiroshiか!?」
『父-sanをいじめるな、このハゲ! 【Mana Bullet】!』
Defense Power特化型Transformation Equipmentは、Defense Powerに特化している。そのため、death attributeかNo-Attribute Magicしか使えなくなる。だから、Death-Attribute Magicが使えないHiroshiは無attributeの【Mana Bullet】を放った。
「誰かと思ったらHiroshi -kunじゃないか、ずいぶん頑丈な鎧を着ているようだが、防御だけでは――何ぃ!?」
そしてHiroshiが着ているTransformation Equipmentは、Defense Power特化型にも関わらずmagicを補助するmagic媒体としての性能も高かった。
通常のTransformation Equipmentに使われる素材の数百倍分の素材を使ったDefense Power特化型Transformation Equipment。そのmagic媒体としての性能は、通常のTransformation Equipmentの数百倍。
そして、通常のTransformation Equipmentはこのworldのmagic媒体と比べて倍以上の性能がある。そのため……Vandalieu’s Divine Protectionを得ているHiroshiの放った【Mana Bullet】は、数百倍以上のAttack Powerを発揮した。
「ば、BAKANAぁ!?」
黒いGiantな塊の直撃を受けたRokudouは、とっさにBarrierを張ったものの防ぎきることはできず、衝撃に弾き飛ばされて壁に激突した。