『Earth』でのRokudou Hijiriは、人類を優秀かそうでないかで二つに分けた時、優秀な方に分けられるHumanだった。
成績優秀でスポーツもでき、友人も多く学Class委員長として頼りにされていた。しかし、『特別優秀』ではない。『普通の中では優秀』という程度だとRokudou HijiriはSelfを評価していた。
幼い頃は一番になろうとした。勉強でもスポーツでも図画工作でも、何でもだ。そして、実際に一番になる事ができた。
しかし、それは狭い社会……小学校の一学年の中だけの一番でしかない事に、次第に気がついた。
自分より頭の良いHumanは幾らでもいるし、自分より野球やサッカーが得意なHumanは沢山いる。芸術でも、何でもそうだ。
高校に入学する頃には、それを自覚しすっかり受け入れていた。人生とは自分が特別でない事を自覚し、『普通』の中でより優秀なHumanになる事を目指す事なのだろうとすら、考えていた。
certainly、『普通』の枠から外れる方法がある事も彼は分かっていた。普通の人はならない、もしくはなれない職業に就けばいい。
スポーツ選手やアーティスト、医師、警察官や自衛官、政治家。そうした職業につき、それぞれのworldでtopになれば特別に違いない。
そうした職業に就いているHumanは、自分達では「私も普通のHumanと何も変わらない」等と口では語るかもしれない。しかし、そうではないとRokudouは考えている。何故なら、それらの業界でtopに立つHumanの合計は人類全体の何percentなのか。アーティストは? Doctorは? 警察や自衛官(軍人)、政治家は? 普通というからには、それらの職業に就く人の合計は数十percentを超えるべきだろう。普通……つまり珍しくもなんともない人だと言うなら、街は有名選手やworld的なアーティストや医師、警視総監や幕僚長、大臣経験者で溢れているはずだ。
だが、Rokudouにはそれらの職業を目指す気にはなれなかった。何故なら、自分にそれ程の才覚があるとは考えられなかったし、環境もそこまで恵まれていなかったからだ。
目指したところで、目標を達成できる可能性は低い。彼は特別になりたいのであって、人生の落伍者になりたい訳ではない。
だから諦めて普通に甘んじたRokudouだったが、彼の人生は修学旅行中に乗ったferryがterroristによって占拠、爆破され沈没した事で思わぬ終わりを迎えてしまった。
そして、Rodcorteによって新たな人生が始まった。
magicが存在し、第二次world大戦が起こらず歴史に差異がある以外は『Earth』に似たworld、『Origin』。そのworldで彼は【Increased Learning Speed】と【Unlimited Development】というCheat Abilityを得て生まれ変わった。
二つのCheat Abilityは、客観的にはっきりと視認する事は出来ない。しかし、Rokudouが学べば学ぶほど大量の知識は貯め込まれ、body part Abilityは上がり続けた。
これならどんな分野でも特別になれると、Rokudou Hijiriは歓喜した。だが、すぐに自分と同じReincarnatorが九十九人いる事を思い出した。このworldのHumanならともかく、彼と同じCheat Abilityを持つReincarnatorの上に立つのは難しいのではないか。
Rodcorteが語っていた【Destiny】とやらのせいで、前世の友人や知人と再会していくなか、そんな考えが過ぎった。だが、彼はAmemiya Hirotoが【Bravers】の結成を言いだした時に率先して協力した。
他のReincarnatorを纏め、そのAbilityを知れば【Unlimited Development】の力を持つ自分なら越えられるかもしれない。それに、organizationを牛耳る立場になれば超人達をCommandingする特別なHumanになれるはずだ。そう考えたからだ。
そしてorganizationを結成させ全てのReincarnatorを所属させたが、前者の試みは不可能だと分かった。何故ならReincarnator達が与えられたCheat Abilityには、彼が考えていたよりも派手な超AbilityらしいAbilityが多かったからだ。
body part Abilityやセンスを磨いて模倣できるものではなく、magicの研鑽を積んでも再現は難しい。そんな特別な力ばかりだったのだ。
努力は欠かさなかったが、それでもなれたのは【Bravers】でもtop classのMageという称号だけだ。だが、Reincarnator全員が一流のMageになれる素質を持っている。Amemiya Hirotoはその筆頭だ。
そのため、幾らmagicの腕が優れていても一般受けしない。優れた技巧を、一般人は見ただけでは理解できない。出来るのは、やはり一定以上の技術を持つ者だけだ。
そのためRokudouは、【Bravers】を牛耳る方向にシフトした。Rodcorteの元に戻って他のCheat Abilityを貰う事が出来ない以上、そうするしかない。そう考えるのは『Origin』で死んでも他のanother worldにreincarnationする事を知らない彼にとって、自然な流れだった。
そう、牛耳る事が目的だった。裏切る事が目的ではなく、organizationのinfluenceを増すためにachievementを重ね実績を積む事を考えていた。
だが、彼は知ってしまった。Death-Attribute Magicの存在を。
worldでたった一人、後にReincarnatorだった事が判明する『Undead』しか使えないmagic。それを使えるようになれば、自分は特別になれる。そうRokudouは確信した。
そして、仲間に隠れて研究を進めるうちに自分の確信が正しい事が証明された。Death-Attribute Magicを使いこなせれば、自分は特別なHumanではなく神に至る事すら可能だと。
そこからは、【Bravers】はRokudouにとって自身が属するorganizationではなく、自分が特別になるために利用する踏み台でしかなくなった。裏切る際にminionsとして利用できる者を集め、利用するのが難しい者や障害となる者を排除していった。
それらは非常に上手くいった。誰かに企みを嗅ぎつけられる事もなく、Amemiya達に怪しまれる事もなかった。
【Inspector】や【Oracle】、【Urðr】や【Gazer】、【Clairvoyance】を潰し、排除する事に成功した事も大きかった。しょせんAmemiyaは特殊なAbilityを与えられただけの普通のHumanでしかないという事だろう。
自分のような、神に至るべきHumanとは格が違うのだ。
そうRokudouが考える程、全てが上手く進んだ。それがいけなかったのだろう。神の領域へいよいよ手を伸ばした段階になって、彼は窮地に陥る事になった。
予期せぬtroubleや計算外の事態が起きる事を、考えなかった訳ではない。特に、『Black Maria』のCodenameを与えた実験体、【Metamorph】はshadow武者として使っている時に一度変調を起こしている。
だからx2三重の策を練り、万全を期してtacticsを始動させた。
だが、待っていたのはAmemiya邸で出現した正体不明のmonsterがworld中を駆け巡り、彼のtacticsを潰して回るという悪夢だった。
そう、悪夢だ。そうとしか言い表しようがない理不尽さで、Rokudouの策は次々に失敗した。警察の中に息のかかった者をendureばせ、航空機や船舶等の移動手段を監視する等の事前の策は、全くの無駄に終わった。
そしてmonsterは【Bravers】と合流し、彼が裏切った同類達は仮装にしか見えない格好で攻め込んできた。報告を受けた時は、自分の頭と目が狂ったのかと愕然とした程の衝撃を受けた。
しかし、Amemiya達が身に付けているのはRokudouが知る最新技術を上回る超技術で創られたPowered Suitである事が分かり、彼はますます追い詰められる事になる。
そんな超技術のcrystalを装備したReincarnator達と、monster。これに同時に攻められては、勝てない事が理解出来てしまったからだ。
そうである以上、Rokudouにとれる行動は一つしかなかった。それは撤退でも降伏でもsuicideでもない。
Rokudou自身は、成功する可能性が高いと信じている。自分以外では……【Metamorph】は成功した。彼女に実験した時に得たdataを利用し、より完成度を高めている。
だが、成功したとしてもそれで完全なDeath-Attribute Mageになれるかは分からない。しかし、実行せずに諦める事は出来なかった。
引き金を引き、衝撃を感じたと思った時には意識は遠くなり……そしてAwakeningした。
(これは……成功したのか!)
瞼を開き、培養液とカプセル越しに自分だった肉の塊が頭部からbloodを流して倒れているのが見えた。
同時に、先程まで自分を構成していたものが欠けてしまった事を自覚する。だが、Lost感は覚えなかった。逆に、背筋が震えるほどの達成感に陶酔すら覚えた。
まるで余計なmuscleやblubber、雑念を削ぎ落とし、より洗練された自分に生まれ変わったかのような感覚……いや、確信があった。
今この瞬間、Rokudou Hijiriは完成したのだと。
『……ふっ、フハハハハハハハ! 私は、遂に死を、このworldを支配する力を手に入れたぞ!』
言葉と共にManaを発し、カプセルを内側から砕いてRokudouは自ら三度目の誕生を果たした。
彼の魂を掴み損ねたRodcorteは、今頃痛恨の極みだろうが……来世もanother world reincarnationする事に決まっていたとは夢にも思わないRokudouには、それを知る由もない。
「成功だ! Codename『Ark Avalon』から……新しいRokudou -sanから、death attributeの凄まじいMana反応がある!」
「これは一千万、二千万……八千万! 八千万に到達したぞ!」
「『Undead』の一億は超えなかったが、十分だ。新たな神の誕生だ!」
Rokudouの実験を見守っていたReincarnatorや技術者が、歓声をあげる。
【Metamorph】に施した実験では、彼女を殺してCircle of Reincarnationさせるプロセスを踏まず、ただattributeの素質を消去する事でDeath-Attribute Magicを習得させた。
しかし、Rokudouは自分自身を殺し『Ark Avalon』と名付けた新たなBodyに魂を宿らせた。彼は、自らの技術でCircle of Reincarnationを……Circle of Reincarnation systemを創りだしたのだ。
その結果、attributeの素質を失ったことでVandalieuと同じように『空き枠』が生じ、そこに膨大なManaを蓄えるに至った。
これはVandalieuが死者の魂をManaで操り新たなBodyに宿らせたのと同じだが、systemとしての完成度が違う。
例えるなら、Vandalieuが行っているのは手工業。自分の手で糸を紡ぎ、布を織るようなものだ。だが、Rokudouが行ったのは工業。作業機械を作り、自分から独立した動力によって作動する機械によって糸を紡いで布を織り、服を仕立てたのだ。
Rodcorteが司る複数のworldのCircle of Reincarnationを運行するためのsystemと比べれば規模は極小であり、精密さも粗雑と言うしかない。だが、同じものである。
Rokudou Hijiriはこの瞬間、Circle of Reincarnationについてはたしかに『Undead』……Vandalieuを越え、神の御業に至ったのである。
『み、mister Rokudou、なのか?』
モニター越しに、United States大統領がRokudouへ声をかけてくる。『Ark Avalon』はRokudouの遺伝子をベースに培養したBodyであるため、顔立ちは同じだ。しかし、death attributeのManaとの親和性をincreaseさせるため-sama々な調整を行った結果、身長は三meter近くにまでGrowし、whole bodyの毛根が死滅した結果スキンHeadとなっている。
彼らがRokudouと『Ark Avalon』が同一人物だとすぐに理解できなくても、仕方がない。それに気がついて、Rokudouは微笑みかけた。
「ええ、私ですよ、プレジデント。あなたたちの見ている前で死に、そして生まれ変わった。真のDeath-Attribute Mage……いえ、神としてね」
口調は柔らかいまま、傲然とRokudouは言い放った。その態度にモニターの向こうの協力者の内何人かが顔を小さく顰めるが、不快感を表出す-sama子はなかった。
Originでは一流のMageの基準の一つが、機械でMana量を測定した時の数字が一万あるか否かだ。それを基準に考えれば、八千万のManaを持つ今のRokudouは神と評してもおかしくないからだ。
「whole bodyに力が漲っているのを感じる……私のバイタルはどうかな?」
「は、はいっ! 体温は約二十度、心拍数及び脳波は……計測不能!? い、生きているHumanとは思えません!」
研究員が驚くべき数値を報告するが、Rokudouは「ほう」と短く言うだけで特に何の反応も示さなかった。
バイタルの数字だけ見れば、脳死して心停止する寸前か直後のようだ。しかし新たなBodyに生まれ変わった彼の感覚は澄み渡り、意識は明瞭だった。寧ろ、以前よりも具合が良いとすら感じる。
今なら、【Balor】のように戦車と格闘戦も出来るかもしれない。いや、確実に出来る。そんな万能感のまま、Rokudouは誰もいない方向に向かって手を伸ばした。
「炎よ、力となって我が手より飛び発て、【火球】」
だが、Rokudouの手から球体状の炎が放たれる事はなかった。
「フッ、実験通り他のattributeの素質は消えているようだ。以前なら児戯に等しい簡単なmagicも、今は全く使える気がしない。だが……たしか、【Demon Fire】だったかな」
Rokudouが短く呪文を唱えると、今度は彼の手に青白い炎が灯った。それがdeath attributeの炎である事を知っている技術者やReincarnator達は、感嘆の声をあげる。
『mister Rokudou! 実験の成功には惜しみない賞賛を贈ろう! しかし、今はそれを悠長に祝っている時間も、検証している余裕もないはずだ!』
United States大統領の言葉に、Rokudouは視線をモニターに戻す。彼等はこの本拠地の置かれたaccurateな状況を知らないはずだが、Rokudouが危険な賭けに出た事から相当追い詰められているとconjectureしたようだ。
「ああ、そうでした。失敬、つい忘れていましたよ」
『随分な余裕だが、問題はないのかね?』
そして、Chinese Republic (not-URSS)とNorthern Europe Federationの代表が焦りを声と顔に滲ませて尋ねる。彼等はここを警備する部下から直接報告を受ける事が出来るため、自分達が窮地に居る事をaccurateに知る事が出来てしまった。
当人達にとってRokudouは、最後の希望だ。そんな彼らに、Rokudouは力強く頷いて答えた。
「ええ、問題はありません。私が直接対処しましょう。ですが、その前に――」
Rokudouはdeath attributeのmagicを、Space-Attribute Magicと同じ要領で使った。
「こ、これはっ!?」
「【Teleportation】か!? BAKANA、【Teleportation】はspace attributeの高等magicのはず! それを近距離とはいえ、これ程の大人数を一度に……!?」
次の瞬間、Rokudouは自身の周りに居たReincarnatorや技術者と共に、モニターに映っていた会議室……大統領の前に【Teleportation】していた。
「これは、『The 8th Guidance』の一人と同じDeath-Attribute Magicか!?」
「その通りです。もっとも、あの失敗作よりも高度なmagicですが。何れ死ぬDestinyの存在、つまりあなた方の元に【Teleportation】したのです」
「し、死ぬだと!?」
「何れ、ですよ。皆-sanは、まだUnaging不死ではないただのHumanなのですから、当然いつか死ぬDestinyにあるのは自覚しているでしょう?」
そのRokudouの言葉の意味を理解できた者達は、ぞっと背筋に寒気が走った。Rokudouは、死ぬDestinyの存在……つまり全人類の近くに、生まれたばかりの赤ん坊の真横にさえ【Teleportation】する事が可能だと語ったのだから。
危険度は、『The 8th Guidance』のJackの比ではない。world中の安全保障が意味をなさなくなる。
だが、そんな危機感は続くRokudouの言葉で彼らの頭の中からすぐに消えてしまった。
「では、皆-sanをUnaging不死にしましょう」
「な、何だって!? それは本当か!」
ここにいるのはChinese Republic (not-URSS)とNorthern Europe Federationの代表以外、Unaging不死欲しさに国も売った者達だ。夢にまで見たUnaging不死を与えると言われれば、飛び付かない訳がない。
「certainly。我々としても皆-sanがUnaging不死になれば、警護対象を減らす事が出来る。緊急時の正しい対応ですよ」
「だが、そんな簡単に我々をUnaging不死に出来るのか? 儀式の必要はないのかね?」
科学以外にもmagicが存在する『Origin』では、外科的なSurgeryだけではなくmagic的な儀式が行われている。大統領達は、Unaging不死になるには大掛かりな儀式が必要に違いないと思い込んでいた。
「いいえ。ただ、こうするだけでいい」
Rokudouは自分に聞き返してきたAfricaのある国の大統領に向かって、黒いManaを放った。Manaは驚く大統領を包むと、彼に吸い込まれるようにして消える。
「お、おおっ!? これは……うおおおおおおっ!?」
その途端Africaの大統領は苦しむように胸をかきむしり、かと思ったら右目を押さえて仰け反った。
「これはどういう事だ!?」
彼のSPも兼ねていたAfricaのある国のGeneralが、咄嗟に銃を抜いてRokudouに向ける。だが、大統領は次の瞬間歓声をあげて立ち上がった。
「おお! 見える、失明した右目が見えるぞ……義眼ではなく、本物の目が再生した! Surgeryで埋め込んだpaceメーカーも、もう必要ないという事か!」
彼の掌にはbody partから排出された義眼とpaceメーカーがあり、右の眼窩には再生したeyeballが収まっていた。
それを見た他の国の大統領や軍事関係者、world的な大企業の社長や裏社会の大物達がUnaging不死を手に入れようとRokudouへ殺到する。
彼はそれらに、分け隔てなくUnaging不死の力を与えた。
「言っておきますが、皆-sanは不死身の超人になった訳ではありません。body part Abilityは、健康体に等しくなり、脳のリミッターが外れた事で今は上がったように感じているかもしれませんが――」
Rokudouは野望の実現に歓声をあげる協力者達に、微笑みながら説明を続けた。彼は覚えたてのDeath-Attribute Magicで、協力者達のbody partから老いを司る遺伝子の働きと自然治癒力を制限する部分を止め、細胞が癌細胞化しないようにしただけなので、たいした手間でも労力でもない。
自分の目標のために、彼等自身の欲望を叶えるためとはいえ尽力してくれた彼等にそれぐらいしてやるのは、当然の事だと思った。彼らの協力がなければ、今日という日を迎える事は出来なかった。感謝するのは当然の事だ。
「所詮はHumanの範疇に納まるものです。無理は――私の話を無視するのかね、下等生物の分際で」
「ガッ!?」
当然の事で、それが正しい事は分かっている。間違っても、Rokudouを賞賛する大手新聞社の社長の首を掴んで、握り潰そうとしてはいけない。
「ぐげぇっ!?」
だが、Rokudouが気づいた時には周りのHumanが止める間もなく大手新聞社の社長の首を圧し折っていた。
「misterっ!? な、何のつもりだ!?」
「Rokudou -san!?」
ある者は怯えたように下がり、ある者は持ちこんだ銃やmagic媒体を構える協力者達。Moriya達は、何事かと狼狽えつつもRokudouの指示を待っている。
そんな彼らの視線を一身に浴びるRokudouは、耳元で飛び回るfeather虫を叩き潰した後のような爽快感と共に、大手新聞社の社長だった男をその場に捨てた。そして、穏やかな口調で答えた。
「何のつもりか、か。当初の予定では、お前達にはこのまま私を頂点とした新worldで各地を統治して貰うはずだった。数の多い人類を治めるには、それが最も効率がいいからね。
Unaging不死欲しさに国を売るような元為政者だったとしても」
Rokudouが神を名乗っても、人類の多くは認めない。彼等が信じる宗教の聖典には、Rokudou Hijiriが神であるとは書かれていない。それに、Rokudou自身も各宗教の神らしい事は何もしていない。寧ろ、Unaging不死を餌に人を惑わす悪魔の類だろう。
だから、協力者達の存在は計画成功の後も重要だった。Amemiya達を無事抹殺し、Death-Attribute Magicを手に入れたとしてもworldを敵に回したら勝ち目は薄いと以前は考えていたからだ。
「だが、事情が変わった。始末に失敗したせいでAmemiya達は仮装のようなPowered Suitを着て押し寄せて来るし、正体不明のmonsterに【Copy】まで殺されるし、United StatesではCoup d'étatが成功しSergei Generalが大統領に就任した。他の国の内幾つかでも、同じような事が起きている」
「Coup d'étatだと!? そんなBAKANA……!」
United States大統領……元United States大統領が膝から崩れ落ちる。そんな彼を慰めるように、Rokudouは手を向けた。
「そして何より、今の私にはUnaging不死になった-kun達が醜いwormにしか見えない。嫌悪感のあまりつい、叩き潰してしまいたくなる」
そして、手からManaの塊を放ち、元大統領の頭部を熟した果物のように叩き潰した。これでは、幾ら自然治癒力の制限を無くしたといっても、どうしようもない。
「そ、そんな! 我々は-kunに尽くして来たじゃないか! そうだろう!?」
「その通りだ。だから、悪いと思うべきなのだろうね」
そう返事をしながら放ったcoldが、麻薬organizationのボスを氷像へ変える。
「しかし、折角こうしてUnaging不死にした-kun達を殺して生体energyを奪っても、蚊を叩き潰した時と同じような感慨しか湧かない。ふむ、何故だろうか? 新しいbody partにreincarnationした事で、Mentalに変調が出たのか?」
「生体energyを奪うだとっ!? 貴-sama、最初からそのつもりで……おのれぇ!」
何処かの国のGeneralだかなんだかが、Rokudouに向かってFlame Bladeを放つ。他の元協力者達も、銃の引き金を引き、magicを放ってRokudouに攻撃を加えた。
「勘違いしないでくれ。生体energyを奪っているのは、あくまでもついでだ。そのために-kun達を殺している訳じゃない」
しかし、それらはRokudouが張ったBarrierによって防がれてしまった。
「ただ、-kun達が目障りで仕方ないから駆除しているだけなのだよ」
そして、Barrierをそのまま衝撃波のような形で放ち、元協力者達を吹き飛ばす。老いを克服したはずの彼等は、次々にその力を与えた男によって命を奪われていった。
今のRokudouは一気に膨れ上がったdeath attributeのManaに、Mentalが飲み込まれてしまっている。彼はRokudou Hijiriという名の、死の化身と化してしまったのだ。だから、死から遠くなってしまった大統領達が目障りで仕方がないのだ。legendの中でVampireや悪魔が十字架や聖書を嫌うのと同じように。
同時に、Rokudouは酔っていた。圧倒的な力をふるう万能感に。自身のAbilityと似たAbilityの持ち主である【Chiron】のDerrickを遠ざけていた過去の自分がidiotらしく思える。
「何ということだっ! 貴-samaは悪魔だ、神ではなく悪魔になったのだ!」
そう叫ぶEurope連合の代表も、次の瞬間には断末魔の叫びと共にバラバラにされた。彼らは気がつかなかったが、神と悪魔は同じような存在なのだ。自分たちに理解できる悪魔を神と呼ぶか、理解できない神を悪魔と呼ぶかの違いだ。
「貴-sama、こんなことをして我が国がただで済ますと思っているのか!?」
Chinese Republic (not-URSS)の代表が、顔に飛び散ったEurope連合の代表の破片を拭いながらそう叫ぶと、懐からRemote Controlを取り出した。見ると、Northern Europe Federationの代表も万年筆のような短杖を取り出していた。彼らはUnited States大統領のように国を裏切ったのではなく、Rokudouに協力することを選んだ国から派遣されている。祖国とRokudouのpipe役であると同時に、監視者でもある。
Chinese Republic (not-URSS)とNorthern Europe Federationは、Unaging不死となったHumanがそうでないHumanを支配する新worldにおいて自分達が主導的な立場になるため秘密裏に準備をしていた。
だがもしRokudouが使い物にならない、もしくは裏切るようなことになれば、この本拠地の土地や防衛戦力を提供している二大大国は緊急手段に訴えることを躊躇わない。
「我が国に栄光あれ!」
Northern Europe Federationの代表者がキーワードを唱え、Chinese Republic (not-URSS)の代表がRemote Controlのボタンを押す。その五秒後に、この地下に建造された本拠地は爆破されDecayするはずだった。
建造から関わっていた両国だからこそ出来たのだが、建材に爆薬や爆発するmagicを仕込んだmagic itemを仕掛けていたのだ。
この本拠地は崩落し、Rokudouや自分たちだけではなく攻め込んでいる【Bravers】やmonster、そして研究recordや実験体も瓦礫に飲み込まれ闇に葬られる……はずだった。
「私が、-kun達の仕掛けた爆弾に気がついていないとでも思ったのかね?」
だが、Rokudouはそういうと【Teleportation】し……そして再び現れた。彼の横には、黒いManaに覆われたコンクリートや金属の塊がいくつも浮かんでいる。
そして、五秒が過ぎても爆発が起こる-sama子はない。それから考えられる結論は一つだった。
「まさか、それは我々が仕掛けた……Death-Attribute Magicで死をもたらす爆弾の元へ【Teleportation】し、この短時間で集めて戻ってきたのか!?」
「くっ、magic itemが作動しない!? これもDeath-Attribute Magicだというのか!?」
狼狽し、繰り返しRemote Controlや短杖を操作する二人にRokudouは微笑んだまま告げた。
「originally裏切るつもりはなく、必ず結果を出せるという確信があったので放置していたのだが……Amemiyaやあのmonsterを倒すのに横槍を入れられるのも面倒だ。
お引き取り願おうか」
そして二人に手を向けると、呪文を唱えた。そして、二人の姿とそれぞれの国が仕掛けた爆弾が同時に消える。
「ろ、Rokudou -san……?」
「たいした事はしていないよ、Moriya。それぞれの国に返してやっただけだ。国の中枢にね。さすがに、ここまで爆音は届かないか」
development途上国ならともかく、大国の中枢ともなればSpace-Attribute Magicで【Teleportation】されないように-sama々な仕掛けが施されているのが常識だ。Rokudouはそれを無視して、代表者と爆弾を送りつけたといったのだ。
「さすがRokudou -sanだ。ほかのattribute magicは使えなくなっても、既にDeath-Attribute Magicを極めつつある!」
「ああ、素質は失ってもMemoryを失ったわけではないからね。技をDeath-Attribute Magicに応用しているだけさ」
attribute magicの使い方は、それぞれのattribute毎に異なった部分もあるが、実は共通している部分も多い。特に【Demon Fire】は熱がないだけで形状は炎そのものだし、【Teleportation】はほぼSpace-Attribute Magicだ。
そのため、Rokudouのattribute magicの技と制御技術を応用すれば短い時間で習得する事ができる。
今の行動はRokudouにとって自分で作ってしまった目障りな存在を駆除するためのものでもあったが、それを確かめるための腕慣らしでもあった。
だが、殺戮はRokudouにさらなる力を与えていた。
「Rokudou -sanっ! Mana計の数値がさらにincrease! Manaが八千万を超えています!」
RokudouのManaは、消耗するどころかEnlarged (3)していたのだ。
「ほう、どうやら【Unlimited Development】のAbilityはまだ有効のようだ。magicを使えば使うほど、Manaがincreaseしていく……! Moriya、そして-kunたちはそれを知っても私についてくるつもりかね?」
突然尋ねられたMoriyaたちは、ハッとした。Rokudouは今目の前で協力者たちを虐殺したばかりだ。それも、裏切られたからではなく、彼のほうから裏切ったのだ。
しかも、それによってRokudouの力はincreaseしている。Moriya達に同じことをしないとは限らない。
「御冗談を、Rokudou -san……いや、神よ。私達はあなたに命を賭けたんだ。Unaging不死は魅力だが、それだけが目的だったわけじゃない」
Moriya達はそれぞれ、理由があって【Bravers】を裏切りRokudouに付いた者達だ。Amemiyaに対する不満や、ただThrillを求めていただけの者もいるが、Rokudouが支配する新worldの到来を望む者もいる。
「それに、今更あんたから逃げても、どうしようもない。とっくに梯子は外されているのに聞かれても困りますよ」
そうMoriyaが言うと、同感だとほかのReincarnatorもnod。ただ居合わせただけの研究者達は迷っていたが、ほかに選択肢がない事はわかっていたので、結局後に続いた。
「いいだろう。-kun達にはUnaging不死の力は与えられないが、私とともに最後まで戦ってもらおう。……だが、その前にお客-sanのようだ」
Rokudouはここの上空に、死のsign……爆撃機が近づいている事を【Danger Sense: Death】によって察知していた。どうやらNorthern Europe FederationかChinese Republic (not-URSS)の代表者が、死ぬ前にここを爆撃するよう最寄りの基地に連絡していたらしい。
ずいぶんと用意周到なことだが、爆弾でここを崩落させようとするだけでは足りなかったらしい。
「もっとも、感じる死のsignはAmemiyaとmonsterのものよりも小さいが……いいだろう。望み通り、ここを死のworldにしてやろう。ただし、私がReignする死のworldに!」
Rokudouはdeath attributeのManaを衝撃波のように放射した。それは建造物を透過して、彼が目標から外した生命以外の全てに襲い掛かった。
「な、なんだ、これは!?」
突然浴びせられた黒いManaの波に驚愕したが、Amemiya達は余裕で耐えていた。Damageどころか、衝撃すらほとんど覚えない。
しかし、先ほどまで彼らが戦っていた獣が次々に倒れていく。
「私にはわかる。これはdeath attributeのManaだ。だが、神でもSaintessのものでもない」
「なんと悍ましい事か。生を啜るだけ啜って、安らぎを一切与えようとしない!」
Yuki JoroとBokorがそう叫んだことで、Amemiya達はこれがdeath attributeの攻撃magicであることを知った。
「まさかRokudouの仕業か!? くそっ、間に合わなかった!」
「だが、僕達はなぜ無事なんだ。防御magicを張ってもいないのに……まさか、このSuitのおかげなのか」
自分のマントの端をつかんでそういったAmemiyaの言葉通り、彼らが無事なのはTransformation Equipmentの性能によるものだ。このworldの通常のPowered SuitはDeath-Attribute Magicを受けることは考慮されていないが、Transformation Equipmentの制作者はそのDeath-Attribute Mage本人だ。
当然、Death-Attribute Magicに対しても防御するよう作られている。……寧ろ、Death-Attribute Magicだけ防御しないように作る事は出来ない。そんな方法は知らないので。
「なら、冥とHiroshiは無事だな。先に進むぞ! もう一刻の猶予もない!」
緊急事態を告げる連絡を受けて緊急発進したChinese Republic (not-URSS)の爆撃機のpilotは、怒りと緊張が混じった顔つきで目標地点を目指していた。
彼が怒りを覚えているのは、自国の首都が何者かの攻撃を受け、最高執行機関がDecayしたという情報が入っていたからだ。
pilotは自国が裏で何をしているのか知る立場になかったが、timing的に考えて爆撃目標が無関係とは思えなかった。
「なんだ!?」
しかし、目標地点に到達する前に黒いdomeのようなものが地上から急速に広がりつつあるのが見えた。それは見る見るうちにGrowし、上空数千meterをFlightする爆撃機に到達する。
「本部、何らかの攻撃を受け……うあああああああああああ!?」
黒いdomeのようなもの……Rokudouが放ったdeath attributeの衝撃波を浴びたpilotは、Vitalityを奪われ数秒でミイラのようになって死んでしまった。
pilotを失い墜落する爆撃機の周りでは同じように死んだ鳥達が墜落していた。
Shockwave of Deathが放たれる数秒前、冥が「オジサン達が危ないって言ってる」と突然言い出した。Hiroshi達は何のことか分からなかったが、Bandaはすぐさま動き出した。
『みんな、Hiroshi以外は俺の近くに! Ulrikaは【Echo】をActivateしてみてください』
『えぇ!?』
驚くHiroshi達を無視して、Bandaはtentacleを伸ばしepidermisの翼を広げ、Transformation Equipmentを装備していない実験体達を庇った。
「ぬるぬるして気持ち悪いよぉぉぉ!?」
「Mamaぁぁぁ!」
「神よっ! ああ神よっ! ついに私は神の贄となるのですね!」
「すべてを、すべてを捧げます!」
夢でBanda達に会っていない被害者と、会っている被害者が正反対のemotionsがこもった叫びをあげる。
「みんな心配しないで! Bandaはみんなを守っているだけだからねー! 贄にならないし、捧げられても困るからねー!」
Mariが被害者達をなだめるが、彼女の言うことを聞くのは彼女同-sama Vandalieuに導かれた被害者だけだ。だが、全体の半分近くが言うことを聞くので、残り半分もつられて幾分落ち着きを取り戻した。
「跳ね返せたが、手応えがない。これはDeath-Attribute Magicなのか!? だとしたら、誰が?」
「Rokudouだろうって、Amemiya達が。こっちの無事を伝えたら、このまま先を急ぐって返事してきたわ」
Emotionalに不stabilityで度々panicに陥るため、【Angel】に悪impactが出るのが懸念されたため接続していないUlrikaに、Mariがそう教える。
『Rokudouのおじ-sanが!? 悪い奴なのは分かってたけど、本当に悪い奴だったのか!』
「……分かってたのか分かっていなかったのか、どっちなんだ?」
『だってっ! ここに来るまでピンと来なかったんだからしょうがないだろ!』
それまでBanda達から言葉でRokudouやMoriyaが悪い人だと教わっていたHiroshiだが、これまではBandaによって凄惨な光景が彼の目に映らないようにされていた。そのため、実感がわかなかった。
だが、捕まっていた実験体達や、Bandaが凄惨な光景だと思わなかったUndead達の姿を見たことで、ようやく実感を覚えた直後にこの展開である。
ようやくHiroshiの中で理解が追いついたようだ。
「なるほど、そうなのか」
GabrielもMariも、そんなHiroshiをchildだとidiotにはしない。Gabriel自身まだ未成年であることを自覚しているし、彼は最初からRokudouが首謀者だと身をもって知っていただけで見抜いたわけではないと分かっていた。
Mariにしても、shadow武者にされる前はRokudouを全く疑っていなかった。
『絶対許さないぞ!』
「気持ちは同じだけど、その格好で大きな声を出さないでくれ。私は平気だが、小さなchildが怖がる」
今のHiroshiの姿は、Bandaが渡したTransformation Equipmentによって体長約三meter、"muscle and bones"隆々とした体形で頭部や肩、背中に複数のGiantなeyeballがあるMonsterである。
『うっ!? でも、なんでこんな怖い格好になるんだよ。父-san達のは格好よかったのに!』
『いや、あれは三分の一ぐらいは嫌がらせが入っているだけの、粗製装備ですから』
【Bravers】のnameが描かれているAmemiya HirotoのTransformation Equipmentは、この事件を起こしたのが【Bravers】の裏切り者だとしても、解決に尽力したのも【Bravers】であることを宣伝する目的もあった。だが、『Undead』の正体がAmamiya Hirotoである事を暴露した彼に対する、嫌がらせも含まれていたのである。
『それに、それはDefense Power特化でmagic媒体としても通常のTransformation Equipmentの数倍は優れている逸品ですよ。普通のEquipmentに使う数百倍の金属を使っていますし』
最も、death attributeの魔導金属を多用した結果、着るとdeath attributeとNo-Attribute Magic以外使えなくなるという大きな欠点があった。しかも、Defense Powerも【Demon King Fragment】を多用できるVandalieuは着ないほうが良い程度でしかない。
VandalieuがHiroshiを守るためにただひたすらDefense Powerを高めた結果できた、着ぐるみ型Transformation Equipmentである。
「カッコいいよ?」
『うーん、冥はそう言うけど……うわっ、また来た!』
そう話していると、Rokudouが再びDeath-Attribute Magicの衝撃波を放った。どうやら今度はBarrier状に衝撃波を広げて、このあたり一帯を入っただけでVitalityを奪われるspaceにするつもりのようだ。
『想定していたより、RokudouのManaが多い? 俺が考えていたよりも、彼の成長が早いということでしょうか? これは下手をするとこの施設の周りだけではなく、近くの町……いや、海の向こうまで届くかも』
そうconjectureしつつも、Bandaは危機感を覚えなかった。Rokudouのこのmagicの結果、数万人から数億人が死ぬだろうが、それは彼にとって他人だ。
(God of OriginがRokudouを警戒するはずですね。RokudouのManaが増え続ければ、このContinentと周辺の海は数日もかからずバクテリアも生存できない死のworldと化すかもしれない)
そのうえ、彼はこのworldのHumanの生命を守る責任はない。税金を払っているわけでもなく、法律で守られているわけでもなく、社会的立場もない。権利がないのだから、義務もない。
そういうことは、事後の処理も含めてAmemiya達に任せればいい。
「Banda?」
『でもまあ、televisionや公園で一方的に知っている顔もいますし……Pluto達のfanもいますからね。仕方ない』
『少し、boneを折りましょうか』
そんな声がどこからともなく響いた次の瞬間、虚空に亀裂が走り、その内側から名状しがたい何かが溢れ出した。
countlessのtentacleにでたらめに曲がりくねった手足、countlessのeyeballが詰まった眼窩、scaleやfurに覆われたskin、枯れ木のごとく伸びた角やbone。
それがRokudouの本拠地のある場所を中心に、dome状に広がって彼のDeath-Attribute Magicを抑え込んだ。