他者の立ち入りを禁止したworldで、Vandalieuはcountlessの人型の生物と準備を進めていた。
『改良型甦生装置、並びにchunk of meatはこのspaceでも問題なく生存できるようです』
『magic陣の実験も完了しました。百percentの確率で成功です』
『医療施設と住居の準備も万端です』
『発電部隊の準備も整っています』
その【Body World】は、Vandalieuが進めた準備の結果最も異-samaなworldとなっていた。
Giantなdome状の建造物の中に、『Lambda』worldではまず見ないArchitecture -sama式の建物が並んでいる。天井は青く塗られ、温かな光を放つ球体が宙に浮かんでいる。
「衣類、消耗品、医療品、家具……当座の生活に必要な物は揃いましたね」
『向こうの食料は追加しますか?』
『とりあえずは必要ないでしょう。だいたいのCookingは再現できるようになりましたし』
「問題は娯楽ですね。向こうの本は俺がCopyできますが、gameはどうしましょうか?」
『しばらくenduranceしてもらうしかないのでは?』
「誠に遺憾ですが、仕方ありませんか……Mariの話ではもう時間が無いようですし」
人型の生物は、Demon King Familiar達だった。whole bodyをすっぽり覆う防護服のような物に、その異形のBodyを押し込めてHumanの演技をしている。
そしてOpen Plazaに刻まれたmagic陣の近くには、Talosheimの王城の地下にあったVidaの甦生装置、そして甦生装置で作られたchunk of meatの詰まったカプセルが安置されていた。
「これで全ての準備を完了した、という事にしましょう。後は、動くだけです」
Vandalieuが準備完了を宣言する一週間ほど前。『Origin』では【Avalon】のRokudou Hijiriが腹心の部下達と共に、【Metamorph】のShihouin Mariに施した実験の結果について技術者から報告を受けていた。
「彼女は素晴らしい結果を出してくれましたよ、mister Rokudou。彼女は、完全なdeath attributeの適性を手に入れた」
部下の男は興奮を隠せない-sama子でtablet端末を操作し、画面に表示されるShihouin Mariだった者を指して報告を続ける。
「『The 8th Guidance』や今までの実験体のような、不完全な適性ではありません。『Undead』と同じ、完全な適性です! 既に、幾つものDeath-Attribute Magicの再現に成功しています!」
画面に映し出されたShihouin Mariだった者は、鼻から上を覆うHelmet状の機械を付けられ、受信した命令通りに動いていた。
Death-Attribute Magicを用いてDeadly Poisonを無害な液体に、ただの水をDeadly Poisonに変えた。
小口径の銃の殺傷力をEnhanced (1)して、本来ならfurとmuscleで弾丸が止まって致命傷を負わせられないはずの熊を撃ち殺した。
逆に自分に向かって撃たれた弾丸は、運動energyをAbsorptionするBarrierを張って停止させた。
「この通りです。『Undead』を所有していた国が作り出していたmagic itemも、多少品質は劣りますが再現できています。ですが、それは【Metamorph】のMana量が『Undead』よりも圧倒的に少ない事が原因と考えられます。Death-Attribute Magicの使い手を量産してMana量を補い、Production体制が整えば解決すると思われます。
おめでとうございます、mister。研究は成功です」
技術者の男は、研究は成功したと本気で考えていた。彼を派遣したorganizationや、研究に-sama々な援助を行った政財界の大物達は、たしかに満足するかもしれない。
十年以上前、『Undead』の消滅によってProduction不能になった-sama々なmagic itemを作り出す事が出来るようになったのだから。
その利益は計り知れない。Rokudouの研究に対して行った援助を十二分に取り返す事が出来るだろう。……『Undead』と同じ量がProductionできるのならだが。
「そうか、報告ご苦労。下がってくれ」
「は……はいっ。失礼します!」
無感動にRokudouから退出を促された技術者の男は、一瞬呆然としながらも、彼の視線を受けて慌てて一礼して下がった。
そしてroomにRokudouと事情を知る者だけが残ると彼等は苦笑いを浮かべ、溜め息を吐いた。
「研究は成功です、か。幾らなんでも人員の質が低いのでは?」
「そう言うな。『The 8th Guidance』の犯行とRokudou -sanのtacticsで、death attributeの研究者は殆ど残っていないんだ。彼は検査機器を動かし、maintenanceを行うための作業員だよ」
「そう、Moriyaの言う通りだ。彼に多くを求めるのは、酷というものだろう。……Death-Attribute Magicの使い手の量産は不可能だと知らないのだからね」
Reincarnatorである【Metamorph】のManaは、数字にして一万を越えて三万に迫っている。Manaが一万あれば一流と言われるこのworldのHumanの中では、破格の数字だ。
しかし『Undead』……今は亡きAmamiya HirotoのManaは一億。桁が四つも違う。それを補うためには【Metamorph】が三千人以上必要になるが、それは不可能な話だった。
何故ならDeath-Attribute Magicの使い手は、最大でも百人を超えないのだから。
「Death-Attribute Magicの完全な適性を得る条件は、他のattributeの適性を持たないまま一度完全に死んだ者。心lungが停止した後蘇生した者ではなく、完全に死んでCircle of Reincarnationを果たした者。つまり、我々Reincarnatorでなければならない」
それがRokudouの割り出したDeath-Attribute Magicの適性を得る方法だ。
『The 8th Guidance』は、半ば死にかけていたconditionで『Undead』からdeath attributeのManaを植え付けられた事で、不完全にしかDeath-Attribute Magicの適性を得られなかった。
これまでの実験体も同じだ。このworldのHumanの被験体の心lungを完全に停止させ、後に甦生させてもそれは結局死んだ事にはならない。
しかし、『他のattributeの適性を持たない』事と『一度完全に死んでCircle of Reincarnationを経験した』という条件を満たす順番は、どちらからでも構わないようだ。Circle of Reincarnationを経験したReincarnatorである【Metamorph】は、後天的にattributeの適性を消してdeath attributeのManaを扱えるようになった。
十年以上Rokudouが『一度完全に死んでCircle of Reincarnationを経験した』という条件に気がつかなかったのは、彼にとってありふれたものであると同時に特殊な条件だったからだ。
Rokudou達Reincarnatorは、Circle of Reincarnationが存在する事を自らの体験で知っている。このworldのあらゆる人々には前世が在り、死ねば来世に生まれ変わる。
自分達Reincarnatorとの違いは、前世のMemoryや人格を現世でも有しているか否かというだけだ。
『The 8th Guidance』のmemberや今までRokudouが使い捨てて来た被検体も、前世からCircle of Reincarnationを経て現世に生まれ変わってきたのだ。
だから、『Circle of Reincarnationを経験している』という条件はRokudouにとって考慮するまでもないものだったのだ。
「まさか、前世のMemoryや人格をそのまま維持してCircle of Reincarnationを経験している事が条件だったとは……纏めると、Death-Attribute Magicは『完全な死の経験者』しか使えないattributeということか」
Rokudou達と同じReincarnatorであり、生まれつきattributeの素質を持っていなかったらしい『Undead』なら、諦めずにmagicを使おうとし続けるだけでDeath-Attribute Magicを扱えるようになっただろう。
「ですが、それではAmemiya Meiの場合はどうなるのでしょうか? 無論、彼女がDeath-Attribute Magicの適性を持っているというのはconjectureの段階ですが……」
「それは、やはり胎児と言えるかどうか微妙な時期に、『Pluto』に一度殺された後revivalさせられた事で条件を満たしたのだろう。
Circle of Reincarnationの仕組みがどうなっているのか我々はまだ観測出来ていないし、何をもってMemoryと人格と定義するのかも分かっていないのだから、そう考えるしかない」
Amemiya Meiは受精卵のまま死んで一度RodcorteのCircle of Reincarnation systemに戻ったが、revivedので再びsystemから同じ魂が受精卵に戻ったのかもしれない。RokudouがCircle of Reincarnationはsystemによって行われているという事を知れば、そうconjectureしたかもしれない。
Memoryと人格については、Rokudouにとってもお手上げだ。そもそも、どの程度ならMemoryと人格が残っていると判定されるのか分からないのだから。
Rokudouだって、『Earth』で経験した事を全て覚えている訳ではない。物心がつく前の事は忘れているし、親brothersやclassmateとの他愛のない会話を一言一句覚えている筈はない。
それは『Metamorph』だって同じだろう。人格についても、前世と完全に同じとは限らない。死んだ時のhorrorと衝撃から、海や船が苦手になったReincarnatorも何人かいた。
当時の目や耳はcertainly、脳すらまだ育っていなかったAmemiya MeiにMemoryや人格があったのか科学的には疑問だ。しかし、魂というものが存在している事をRokudou達は知っている。
魂に思考Abilityはないのか? Memoryは出来ないのか? それとも自分達Reincarnatorが特別なだけで、普通の人々の魂にはそうしたAbilityはないのか? そうした検証はまだできていない。
そのため否定も出来ない。Amemiya Meiを手に入れ、彼女を調べ尽くした時に答えを知る事が出来るだろう。
そこまで考えたRokudouは、【Metamorph】に関する報告が書かれた書類を放り捨てて言い放った。
「しかし、今明らかなのは【Metamorph】は不完全だという事だ。Manaだけではない、彼女は『Undead』が使えたmagicの一部しか使えない。
GolemやUndeadを創り出す事が出来ない。そして、『Undead』がrunawayし研究所の科学者や警備員を虐殺したmagicも、『The 8th Guidance』を回復させ断片的なdeath attributeのManaを与えたmagicもだ」
作業員の男が語ったように、【Metamorph】は『Undead』が使っていたmagicを全て使える訳ではない。術の習熟を考慮しても、『Undead』が初期に創っていたGolemやUndeadが創れないのはおかしいのだ。
それをVandalieu……Amemiya Meiの背後に憑いているBandaが知ったら、当たり前だと呆れるだろう。
Rokudou達は機械と薬剤で【Metamorph】を操る事は出来ても、【Metamorph】には死者の霊を操る事は出来ないからだ。『Undead』だった当時の彼にそれが可能だったのは、死者の霊が自らの意思で彼に従った結果に過ぎない。
研究所での虐殺を行う時に使ったmagicも、霊の力を借りるものだった。そのため、死者を魅了する事が出来ない【Metamorph】には使えないのだ。
さらに、実はDeath-Attribute Magicを完全に使いこなすためにはRokudou達がまだ気がついていない条件が、もう一つある。しかし、魂の存在を確認しただけで魂のconditionを分析出来ない彼らには知る由もない事だった。
「これでは足りない。私がdeath attributeのmagicを手にしても、私の目標にはほど遠い」
それに気がつく事が出来ないRokudouはそう言うが、部下の一人は不安そうに顔を顰めた。
(death attributeの力を手に入れるとは、やはりRokudou -san自身がDeath-Attribute Magicを使えるようになる事を指していたのか。だが、それでは……)
彼は【Metamorph】のようにDeath-Attribute Magicを使う事が出来るminionsを作り、それをRokudouが操作して力を振るうというconditionを指して「death attributeの力を手に入れる」という事だと考えていた。
無論、Death-Attribute Magicの強力さは彼も理解している。だが、Rokudouが他のattribute magicを犠牲にして手に入れる程の価値があるのかと考えると疑問を覚える。
【Unlimited Development】のCheat Abilityを持つRokudouのManaは、彼が知る限り【Metamorph】の数倍以上。人類の限界を超えている。だが、それでも『Undead』の一億にはとてもかなわない。Death-Attribute Magicを『Undead』と同-samaに使いこなせるとは限らない。
「やはり、Amemiya Meiを分析する必要がある。私が唯一無二の存在に……永遠の力を手に入れ、頂点に立つには」
しかし、彼がその疑問を口にする事は出来なかった。Rokudouのその言葉に、強い執念を感じたからだ。そして、Moriya達他の腹心達が、そして彼自身もRokudouの言葉に熱に浮かされたような優越感を覚えているのが分かったからだ。
同じReincarnatorの仲間を裏切り、直接手を下してはいないものの殺し、そして【Metamorph】のように非人道的な人体実験の犠牲にしている。certainly、それ以上にReincarnator以外のこのworldのHumanも殺してきた。
自分の身を守るためではなく、正義のためでもなく、命令に従っただけでもない。自分達の意思で【Bravers】を裏切り、利用し、殺してきたのだ。
(俺達では無理だが、Rokudou -sanならHumanの限界を超え、神にだって至る事が出来る。death attributeの力を手に入れ、Rokudou -sanは神に、そして俺達は神に仕える新時代の特権階Classになる! そのためならこのworldのHumanやAmemiyaをleaderと仰ぐ連中がどうなろうが、知った事か!)
彼らのブレーキはとっくに壊れていたのだった。
そうなるようにRokudouが仕向けていた……自身にとって都合の良い部下になるようにという事情もあるが、それは彼等にとっては些細な問題だっただろう。
Rokudouがtablet端末を操作すると、画面は【Metamorph】から何かの培養装置に切り替わった。円筒形のカプセルの中で、人型の生物が液体に浸かったまま眠り続けている。
「既に私がDeath-Attribute Magicの力を手に入れるために必要な『物』は揃っているが、やり直しがきかない以上慎重を期したい。それに、事がなった暁には【Bravers】は不要どころか邪魔でしかない」
「では……Amemiya Meiの確保と【Bravers】の壊滅、そして廃品の処理を同時に行うのですね」
Moriyaの言葉にRokudouはnodと、tacticsの始動を宣言した。
そして、自身を監視するのがsensor類だけになった事に気がついたMariは、小さく笑った。
『フフフ……もう少しだ……』
body partの自由は奪われているので、口元は全く動いていない。だから、魂だけで彼女は笑い続けた。
Rokudou達の会話から約一週間後、Bandaは冥の背後で彼女にmagicを教えていた。
「ん~! うん~!!」
『Me-kun、それは念じているのではなくて口の中で声を出しているだけですよ』
冥の前には、複数の霊が集まって苦笑いを浮かべていた。
冥が今挑戦しているのは、【Telepathy】だ。音を出さずに意志を霊やUndeadに伝える、術としてはかなり初歩的なものだ。
「むぅんん?」
『意識してTelepathyするのが、意外と難しいみたいですね。俺も教えられませんし』
口を閉じて頬を膨らませたまま自分を見上げる冥の髪を撫でながら、Bandaは困ったように六本のArthropod Legsで足踏みをした。
彼が【Telepathy】を編み出したのは、このworldで生きていた頃だ。body partの支配権を科学者達に奪われたconditionで、霊と会話するために必要だったのだ。
ただ、編み出したといっても口を動かしたくても動かせないconditionでした事だ。術を開発したというよりも、何とかできないかと足掻き続けた結果、気がついたら出来るようになっていたという経緯だ。そのため、具体的に習得法やコツを教える事が出来ない。
「夢の中で話している時と同じ感覚なんじゃないのか?」
そうNo-Attribute Magicの練習を中断したHiroshiが声をかけて来た。今年九ageになる彼だが、今は学校の春休みの時期で家にいた。
『その通りですが、夢の中の感覚を起きている時に再現するのは……』
『出来たー! Banda、兄-chan、出来た!』
『出来たみたいですね』
難しいと続けようとしたBandaだったが、冥にはその助言で十分だったようだ。
「うわ、スゲーじゃん!」
「何だ!? 頭の中に声が響いてくる!? わ、私は今夢を見ているのか!?」
しかし、冥は対象を絞らずTelepathyで意志を伝えたようで、roomの外にいた冥とHiroshiの護衛……今ではJosephと同-samaにBandaの存在を知っているReincarnator、【Echo】のUlrika Scaccioがpanicに陥ってしまったようだ。騒ぎながら、冥たちのいるroomに駆け込んでくる。
薬が手放せなかった彼女だが去年の秋に夢でBandaと冥、そしてVandalieuに遭遇した事で日常生活は問題なく送れるほど回復するに至った。……少しでも非日常を体験するとpanicに陥ってしまうが。
「あああっ! やっぱりだっ、冥-chanがいる。これは夢だっ、夢なら私は大丈夫、狂ってない、狂ってない……」
そして冥の姿を見つけてその場に崩れ落ち、そのままぶつぶつと呟き続ける。
「Ulrikaおば-san、大丈夫!?」
「大丈夫? おどろかせてごめんね、ウルおば-san」
そしてUlrikaに駆け寄って背を摩り、頭を撫でて心配するchild達。Ulrikaは三十代の北欧系のfemaleで、長身で大柄なのだが……Mentalは十年以上に渡る過酷な災害現場でのrescue活動や、terroristや犯罪organizationとの戦いによって、かなり傷ついていた。
だからこそ、【Druid】のJosephのように夢でVandalieuと冥に遭遇できたのだが。
それにJosephと同-samaに「まだ完全に立ち直っていないから」という理由で、比較的頻繁に冥とHiroshiの護衛のようなFirst線から離れたmissionを割り振られるので何かと都合が良い。
『Ulrika……しばらく休みますか?』
「大丈夫です、私は回復しましたから……体重は三十キロ落ちてメタボから回復したし、blood糖値もblood圧も正常……幻覚や幻聴もなくなりましたし、睡眠薬を飲まなくてもこの通り眠れるようになったんです。うふふふふ……」
「おば-san、ここは夢の中じゃなくてうちのlivingだよ」
「っ!? そ、そうなのか!? じゃあ、今のはまさか幻聴っ!?」
「ううん、さっきのは冥の【Telepathy】だよ。驚かせてごめんね」
「そうだったのか……なら問題ない」
それまでの危うさが嘘だったかのように、Ulrikaはしっかりした口調で言うと立ち上がった。
『それで、電話の内容はどうでしたか?』
「交代するはずだったJosephが、急なmissionで来られなくなった。代わりに、【Balor】のJohnny Yamaokaが来るそうです」
最近、各地で災害や事件が起きており【Bravers】が駆りだされる事も多くなった。冥の三ageのお披露目の時にRokudou Hijiri……実際には【Metamorph】のShihouin Mariだったわけだが、あの時の狂態を「過労のためMentalにimpactが出たため」として表舞台に立つ時間を大幅に減らしたのだ。
そのしわ寄せで、【Bravers】全体が忙しくなっている。もっとも、地震などの自然災害はともかく事件の幾つかはRokudouが協力者に起こさせている自作自演ではないかとBanda達はみていたが。
『【Balor】……nameは知っていますけど、会うのは初めてですね。Rokudouの仲間でしょうか?』
日系のUnited States人としてreincarnationしたJohnny Yamaokaは、【Balor】のCodenameとAbilityを持ち、主にterroristや犯罪者の鎮圧や大火災の消火などで活躍している人物だ。
Cheat Abilityは「対象のenergyを奪う事」と、「奪ったenergyを自身のManaに変換する事」ができる。火薬が爆発する時のenergyを奪って銃器をガラクタに変え、熱energyを奪って炎を消す事が出来る。certainly、magicのManaもenergyの一種なので、奪う事が可能だ。
そしてJohnny本人は一族代々軍人という両親の元に生まれたため、【Bravers】結成前から格闘技や銃器の訓練を受けており、高い戦闘Abilityを有する。
一度に奪えるenergy量に上限はあるが、Abilityで及ばない部分を自身の戦闘Abilityで補う優秀なSoldierである。attribute magicをNullification化する【Mage Masher】のAsagiと、戦闘styleは似ている。
「不明だ。『Earth』での彼はMaoと同じferryの乗務員だったそうだが、このworldにreincarnationした後は誰とも深くかかわろうとせず、会話をするのはmissionに関する事だけだ」
だが、性格はAsagiとは正反対で他人と必要以上には関わろうとしない人物のようだ。
「俺も会った事ない。本でもあんまり特集されないし」
「ああ、mass mediaは苦手なようだ。得意なReincarnatorは殆ど居なかったが……ともかく、彼が来る前にsensorのswitchは戻しておくから、magicの練習はNo-Attribute Magicだけにするように」
「「はーい」」
Amemiya 家には現在death attributeのManaも感知可能なsensorが設置されている。しかし JosephやUlrika等Bandaの存在を知っているmemberが冥達の護衛をしている間は、sensorのswitchを切っていた。
その間だけ、冥はDeath-Attribute Magicの練習が出来るのだ。
その時、インターホンのアラームが響いた。
「では……ん? 来たか。随分早いな」
同時に、Bandaと冥は危険を察知した。
「おば-san、反射!」
「っ!?」
Ulrikaは冥の言葉に反射的に従い、AbilityをActivateした。壁を貫通して飛来し、彼女の眉間に風穴を開けようとした銃弾は【Echo】のAbilityによって反射された。
百八十度向きを変えて戻っていった銃弾に打たれたのか、家の外で何かが倒れる音がした。
「兄-chan、こっち!」
「お、おう!」
冥がHiroshiをBandaの足元に呼び寄せ、Hiroshiが素早く駆け寄る。これでMissileを撃ち込まれても、二人は安全だ。
「なんなんだ!?」
『敵です。【Detect Life】によると、十数人。両隣とどうやら包囲されているようですね。ご近所-sanを殺していないのは、霊になって俺達に警告する事や、Undead Transformationして敵が増えるのを避けるためでしょう』
「――! ……【Echo】の結果も同-samaです。ですが、軍用Golemが幾つか配置されています。先ほど私を狙撃したのもGolemです。反射した弾丸のせいで、使い物にならなくなっていますが」
Ulrikaの【Echo】は、攻撃を反射するだけのAbilityではない。反射という現象を起こすAbilityだ。
音の反射……反響を感知して周囲の状況を探るsonarや、光の反射を起こして鏡のように使いBlind Spotを補う事も可能だ。
さすがに光を反射収束させてlaserを撃つような事は、滅多に出来ないが。
『【Detect Life】で気が付けない軍用Golemまで持ち出して来るとは……『Balor』は本気でUlrikaと、Amemiya邸にいる謎の存在である俺を排除するつもりのようですね』
「その通りだろう。私は【Balor】と相性が悪い……戦えばまず負ける」
あらゆる攻撃を反射できるUlrikaの【Echo】だが、彼女はEreshkigalの『Counter』と違い受けたDamageを返す事は出来ない。
【Balor】のJohnnyが接近戦を挑み、彼女の腕や脚から運動energyを奪いながら攻めれば一方的にloseしまう。
それ程Johnnyの戦闘技術は高い。
「いったいどうすれば……」
追い詰められ悔しげに奥歯を噛みしめるUlrikaに、Bandaは平然と言った。
『とりあえず、応対に出ましょうか』
【Balor】のJohnny Yamaokaは、このtacticsの勝利を確信していた。
「何年もRokudouの旦那の部下だった事を隠し続けた結果のミッションとしては、大雑把が過ぎる気もするが……」
元軍属のmercenaryで編成した腕利きの部下が十七名。軍事Demon Path技術のcrystalであるmagic媒体に重火器、自立型軍用Golemが十機。
特に軍用Golemは在日United States軍基地に配備されていた最新式だ。動力がManaで、sensorの一部とOSがmagic itemで創られているだけで、appearanceは完全にrobotだ。
その戦闘力は戦車を上回る。
もっとも、その内一機は【Echo】によって反射された弾丸によって中破しているが。戻ってきた弾丸が銃口から内部に入り、内蔵火器が暴発したのだ。
「だが、【Echo】もやるものだな。まさか不意打ちに気がつくとは……それとも、Moriyaの報告にあった正体不明の存在によるものか?
まあ、いい。既に我々は動き出した、こそこそと隠れ潜む時は終わったのだ。Amemiya Meiと、ついでにAmemiya Hiroshiを確保する。俺が【Echo】を始末するまでの間、貴-sama等は正体不明のMonstrosityをあぶり出し、足を止めろ!」
本来なら警察や軍が殺到してもおかしくない事件を起こしているJohnny達だが、構うつもりはなかった。何故なら既に事は動き出している。
今頃警察や軍はRokudouの協力者達から得た情報による攪乱や破壊工作によって、麻痺conditionにある。そして麻痺していない力を持っているorganizationは、全てRokudouが掌握している。
【Bravers】もworld中に散らしてorganization力を奪い、Amemiya Hirotoのように厄介な敵は各個撃破する予定だ。
部下達の了解の言葉を聞きながら、JohnnyはGolemと共に動き出した。
その途端、Amemiya邸の玄関が爆発した。
「っ!? ちっ、打って出て来たか! 【Echo】め、想像していたより思い切りが……あぁ?」
飛んでくる破片からGolemを盾にして身を守ったJohnnyは、玄関を破壊して現れた存在を見て目を瞠った。
四つの目に耳まで裂けた口を持つ白い顔に、黒いexoskeletonに覆われclawsが生えた四本の腕。body partは黒いfurのコートでもHaoriっているように膨らみ、裾から覗くのは六本の蟲を思わせるArthropod Legs。
『ここまでおおっぴらに攻めて来たのですから、もう俺が姿を隠す意味はないでしょう』
そして異形とは不似合いに甲高く、しかし平坦で落ち着いた口調の声。
Johnnyもmercenary達も『正体不明の何か』がいるとは聞いていたが、Bandaの異形は予想外だった。反射的にhorrorや嫌悪感を覚えるが、しかし彼等は訓練されたSoldierだった。
狼狽える前に引き金を引き、Golemに攻撃命令を入力する。
放たれた銃弾やmagic弾、grenade、攻撃magicにBandaは晒された。しかし、彼にとってはちょっと激しい雨に打たれているようなもので、小指の爪の先程の傷もつける事は出来ない。
装甲車にも穴を開ける銃弾? 鉄も溶かす高熱? 電撃に風の刃にcold? そんなかweak攻撃でVandalieuの魂から創られたCloneがDamageを負うなら、Alda's FactionのGodsはとっくにVandalieuの抹殺を遂げていただろう。
『こそこそと隠れ潜む時は終わりました。後は、ただただ思うままに力を振るうのみです、Ulrika』
「了解!」
Bandaの胴体の内側から声がしたかと思うと、mercenaryやGolemが射ち続けている銃弾や攻撃magicが向きを百八十度変えて戻っていった。
重火器が暴発し、mercenary達のscreechがあがりGolemが次々に機能を停止する。
「胴体の中に【Echo】が隠れていたのか! だが俺の【Balor】なら……!?」
horrorと嫌悪感で思考力が麻痺し、【Echo】の存在を数秒の間忘れたためにJohnnyの部下とGolemはほぼ全滅した。
だが、自分の戦闘技術とCheat Abilityがあれば、あのmonsterにも勝つ事が出来るはずだと、Johnnyは自分を叱咤した。
その彼に向かって、Bandaが恐ろしい勢いで直進してくる。Golemの残骸を木の葉のように薙ぎ払って。
「【Muscular Strength超increase】! 【全Defense Power increase】!」
咄嗟にmagicを唱え、さらに服の下に着ていたmagic式Powered Suitを起動させたのはさすがだった。後は、Bandaから各種energyを奪って自身のManaに還元し、Self Enhanced (1)のmagicを唱えながらphysical battleを行うのがJohnnyの必勝patternだ。
「っ!?」
だが、Bandaのclawsは彼が防御のために出した腕を切断した。あまりに速くて痛みを感じられなかったJohnnyの顔が、驚愕に固まる。
しかし、意識は必死に【Balor】をActivateして運動energyを奪ってBandaの動きを封じようとする。
だが、不可能だった。
(ダメだ! こいつの動きは速く……強すぎる! 俺の力ではenergyを奪いつくせない!)
Johnnyが想定する最大値を、Bandaのbody part Abilityは圧倒的に凌駕していたのだ。
「お、俺は……physical battleで戦車に勝った……男だぞ……」
片腕を切断された後、数度の打撃を受けて瀕死のconditionになったJohnnyの耳元にBandaは口を近づけて囁いた。
『俺のmain bodyは、体長百meterの龍やTrue giantとphysical battleをして勝ちましたよ』
「……? な、にを……」
『忠告です。これからあなたが行く場所で、誤った選択をしないように。……でも、その前に色々情報を吐いてもらいますけどね』
そう言うと、Bandaの口から蛇のようなtongueが伸び、Johnnyの耳の穴から奥に侵入していく。
「っ!!!!?」
『大丈夫、痛みは感じないでしょう? 口に出して話す必要もありません。脳nerveをJackして直接Memoryを引き抜きますから。
情報料は、魂です。【Laplaceの魔】や【Inspector】、【Oracle】を頼ると良いですよ』
furの内側に隠れている冥達に聞こえないようにしながら、Bandaは【Balor】のJohnny Yamaokaの脳から、情報を収集するのだった。
その-sama子は、幼児のimaginary friendにしてはあまりにも禍々しかった。