OrbaumのTamer guild長Orlock・Twiceは、普段は好々爺らしい顔つきの老人だ。そして実際穏やかな人格者としてguildでは知られている。
若い頃はhot-bloodedで、Tamed Monsterと共に数々のAdventureを成し遂げた。だが、ageを重ね経験を積んだ事で落ち着きと貫録を手にし、何事にも動じないMental力を身に付けた。
そう思っていたが、それは錯覚だったらしい。彼は自分が今どんな顔をすればいいのか、そして何を言えばいいのかすら分からなかった。
『あ゛ぁぁ……』
目の前には、fangsを剥き出しにしたZombie……Blood Suckerが十匹ほど並んでいる。
その濁った瞳には知性が宿っているようには見えず、今にも襲い掛かって来そうだ。そうなれば、若い頃ならともかくすっかり勘の鈍った非武装でTamed Monsterも連れていない老Tamerは、瞬く間にbloodを搾り取られて殺されてしまうだろう。
だが、Blood Sucker達に襲い掛かってくる-sama子はない。彼らはまるで庭師のように帽子を被りベストを着て手袋をして、大人しく並んでいるだけだ。
「ご覧の通り、彼等は俺がTamerしています。これからは、普段はうちで庭師Apprenticeとして働いてもらう予定です」
そして、実際に庭師をさせるつもりのようだ。それを知ったOrlockは、混乱しすぎて逆に表情が抜け落ちてしまった顔のまま聞き返した。
「Vandalieu Zakkart -kun、だったね?」
どういう経緯なのかは不明だし、一部のChurch of Vidaからは認めないと声明が発表されているが、Champion Zakkartのnameを継いでいるDhampirの少年Tamer。彼もOrlockに仮面のような無表情で答えた。
「はい」
accurateには、今の彼のFull nameはVandalieu Ark Hillwillow Solder Zakkart。しかしそれを明らかにすると、Human社会のBotinやPeria、Ricklent templeが騒いで無用のtroubleにdevelopmentする可能性が考えられる。
だからOrbaum Elective Kingdomでは暫くVandalieu Zakkartのままで通す事にしていた。
「彼等は、Undeadだ。そうだね?」
「はい、Guild Masterが先程確認した通りです」
「ああ、たしかに脈も呼吸もしていなかった。体温も、まるで氷のようだった。それなのに動いている。つまり、彼等はUndeadだ。そうだね?」
「はい、彼らは全員Undeadです」
「それで、Undeadである彼等をTamerしているのだね?」
「はい、先程からご説明している通りです」
「そうか……それなら……素晴らしい快挙だ。-kunの名はTamer guildの歴史に……いや、人類の歴史に深く刻まれる事だろう。
お母上と同じHonorary Noble位を……いや、いっそ本物のNobleになるのも夢ではないのではないかな? Nineroadが没した後、初めてDragonをTamerしたTamerも時の為政者からNobleとして迎えられたそうだし。
いや、それは難しいかな。Undeadだし、きっとimageが悪いだろうから」
そんな事を口走りながら、Orlockは冷静さを維持しようと必死だった。彼が口にした事は、全て事実だ。UndeadをTamerしたと言う偉業は、大いに評価されるべきものだ。
珍しいmonstersをTamerする事が出来たから、というだけではない。戦力としての評価も、十匹のBlood Suckerは低くはない。しかし、veteranのDClass adventurer十人相当と考えれば決して高くはならない。
それなのにOrlockが偉業と評するのは、今まで誰もTamer出来なかったUndeadをTamerできた事だ。
【Life-Attribute Magic】で作るLife-deadという例外以外、Undeadを学術的に観察した事例は殆どない。Rankが低く、捕獲して閉じ込める事が出来るLiving-DeadやSkeleton、Zombie、Cursed Tool。
もしくは、特殊なUndeadとして扱われているGhoulやVampireのようにreasonと知能があるraceだが……その二raceは実際にはUndeadとは異なっている。あくまでも特殊な例外だ。
Undeadだけではなく、monstersの観察は難しい。それは観察対象であるmonstersが、多くの場合積極的にHumanを攻撃しeating preyしようとするからだ。更に、生息しているのが危険なDevil Nestsである事も観察を難しくしている。
だからmonstersを研究する学者は大金を払ってadventurerを雇ってmonstersを生け捕り、やはり大金を払って町の外にmonstersの飼育施設を建造するか、自身がadventurerになるしかない。
もしくは、adventurerから聞き取り調査をするぐらいだ。しかし、多くのadventurerは学術的な研究に興味はない。monstersと戦うため対象のbody part Abilityや特殊Abilityについては詳しいが、対象の詳しい習性や生態まで調べようとはしない。
彼らの仕事はmonstersを倒すのがFirstで、第二に素材を持ち帰る事なのでそれでいいのだが。それに、そのadventurerやmonstersから街を守るKnightやGuardが欲しがる情報はそれで十分なのだ。
そうした状況を変えるのがTamerだ。TamerにTamerされたmonstersなら、戦闘Abilityのない学者でも安全に観察する事が出来る。
野生本来の姿は観察できないが、そのmonstersが好むものや嫌うもの、Rank upした場合の上位種の有無、Devil Nestsの外でBreedingする事が出来るのか否か等を調べる事が出来るのだ。
こうした研究の積み重ねによって、monstersが嫌う臭いを発するmonsters避けの液体や逆に引き寄せる偽餌等が実用化されており、Tamerの重要な役目となっている。
Undeadの場合でも、そうした細々とした研究から重要な成果を上げる事が出来るかもしれない。
「それに、労働力としても魅力的だね。我々Tamer guildは、Tamed Monsterを労働力としても利用しているから」
monstersを牛馬の代わりに使った場合の価値は、かなり高い。peddlerの荷馬車を引くのが、もしBicorn等の馬のmonstersだった場合道中でmountain banditに襲われる可能性は激減する。それにBicornは馬車馬よりも馬力があり、持久力も倍以上。
普通の馬よりは金がかかるが、護衛にadventurerやmercenaryを雇う金額とBicornとそのTamerを雇う金額はそう変わらない。ただ、Tamerはadventurerやmercenaryよりも圧倒的に数が少ないという点を除けばだが。
そうした希少性を除いても、亜人型のTamed Monsterの需要は高い。何故なら亜人型のTamed MonsterはHumanと同じ道具が使えるからだ。GoblinやKoboldはともかく、OgreやTroll等は開墾や大規模工事でとても役に立つ。そうしたmonstersをTamerしているTamerが、戦闘力が高いmonstersをTamerしているTamerよりも高収入を得るのも珍しくない。
「Undeadは睡眠も食事も必要なく、Fatigueも覚えませんからね。night目も効くので警備員としても最適ですし」
「ああ、そうだね。image問題に関しても-kunがUndeadをTamerできた事を広めて、Knowkowを他のTamerに開放してくれれば改善できるかもしれない」
Orlockが口にしたUndeadのimageの悪さ、それはHumanにとってUndeadが他のmonstersよりも身近な存在であると同時に、危険な存在であるからだ。
Undeadは他のmonstersと違い、町中でも発生しうる身近なmonstersだ。このSilkie Zakkart Mansionのように。
しかも、他のmonstersと違い一度発生したら殺せるだけ生者を殺そうとする。reasonも何もないので、腹が満ちたり疲れたりする事もなく、飽きる事もなく殺戮を続ける。
凶暴なOgreでも腹が膨れればHumanを襲う意思が減退するし、眠っている間は殺さないのに。
「そうですが、受け入れられるようになるのは難しいでしょう。Undeadは、死者が正しく葬られる環境なら、Dungeon以外では発生しない存在ですし」
そのVandalieuの発言に、Orlockは感心した。彼が言ったように、Dungeon以外でUndeadが発生するのは死者が正しく葬られていないから……葬儀を行う余裕が無かったり、殺人鬼が野放しで惨たらしく殺された被害者の怨念が晴らされないままだったり、死者を冒涜したり、そうしたconditionだからだ。
つまり、Undeadの発生は『悪い』のだ。何もかも良好なら、Undeadなんて発生しない。
しっかりしたClergymanが取り仕切り、参列者がその死を悼み冥福を祈る荘厳な葬儀を行われた死者が、綺麗な墓石や供えられた花を脇に退けながらZombieとして這い出て来る事はない。
無Disease息災、家庭円満で人生を親類縁者に囲まれて終えた人物が、死後Ghostになる事もない。
そのため、人々はUndeadに悪い imageを持つのだ。
OrlockはそれをVandalieuが理解している事と、Tamed Monsterに対して友人やfamilyと同等のemotionsを持つ事が多いTamerの中で、そうした客観的なものの見方が出来る事に良い印象を持った。
……もし彼が冷静だったら、今日都の門でbloodthirstを振り撒きGuardをfaintedさせたTamerとVandalieuが同一人物である事を思い出しただろうが。
「そうだね。だが、それはUndead以外のTamed Monsterにも言える事だ。多くの人はTamed Monsterから距離を取りたがるし、中にはTamed Monsterもmonstersだから絶対に認めないなんて主張する人もいるからね。
はっきり言うと、imageの良いmonstersなんて存在しないのだよ」
monstersは危険な人類の敵だ。monstersとの戦いで命を落とすadventurerは珍しくないし、monstersに滅ぼされた村や町は今まで数え切れない程存在する。
GoblinやOrcにloverや妻、娘が攫われて苗床にされた。旅の途中街道に現れたOgreに友人や同僚を貪り喰われた。畑をHuge Boarに踏み荒らされて収穫を失い、幼い弟Imoutoやchildが飢え死んだ。
そうした話は珍しくもなんともない。Undeadによる被害は、その中の一部でしかないのだ。
Tamer guildは、そうしたmonstersの被害者に対してorganizationとしては何もしない。troubleが起きないよう、大きな被害を受けた町や村へ組合員が同種のmonstersのTamed Monsterを連れて行かないように警告するぐらいだ。
monstersによる大きな被害が出る度に、「このraceのmonstersをTamed Monsterにするのは控えて欲しい」とか「このraceのTamed Monsterを持つTamerは、他のDuchyへ行くように」と要請していたら、Tamerが全て居なくなってしまう。
だから、Orbaumから遠く離れたSauron Duchyの旧Scylla Autonomous TerritoryがUndeadに占領されていようが、数年前にHartner Duchy南部のNiarkiの街で発生したDungeonがrunawayし、Undeadや蟲や植物のmonstersが街を襲っていようが、考慮する事はない。
それなのにUndeadのTamerに成功したachievementでNobleになるのが難しいかもしれないと言ったのは、政治や信仰でのimageの悪さを改善するのはTamer guildの領分を大きく越えるからだ。弁護はするし、後押しもするが、Tamer guildの力ではそれ以上は難しいのだ。
「MoksiやAlcremでは、俺のTamed MonsterがMascotとして受け入れられていますが?」
「……何事にも例外はあるが、Alcrem Duchyが特別なのか時代が変わりつつあるのかもしれないね。
それはともかく、こうした話も-kunが本当にUndeadをTamerしていればの話だ」
Orlockは急に口調を厳しくすると、好々爺っぽかった顔つきを引き締めてVandalieuを見つめる。
「それは俺が特殊なmagic itemや邪悪な神's Divine Protectionを使って、彼等を強制的に従えているのではないかと疑っているという意味ですね?」
ただ、VandalieuはOrlockに迫力を感じなかった。落ち着いた口調で話す彼は、Vandalieuにとって話す時緊張を覚える相手ではなかったのだ。
「う、うむ。悪いがそうだ。普通はそれでもTamed Monsterだと認めるのだが……Blood SuckerはHumanにとって特に危険なmonstersだ。そのmonstersを危ういconditionでTamerしているのだとしたら、見逃せない。そこで幾つか確認をしたい」
「Guild Masterの目の前で彼らに命令を出して、彼等がどんな反応をするかで見分けるとかでしょうか? それなら……踊れ」
自身の迫力や威厳が通じない十age少々の少年の態度に面食らうOrlockの前で、庭師姿のBlood Sucker達は素早く動き出した。
『あ゛、あ゛、あ゛』
手を叩きながら陽気なステップで、その場でぐるぐる回る者。
『う゛ぁぁ……』
ぐらぐらとbody partを揺らしながら、酔っぱらいのようにふらふら動く者。
『お゛ぉぉぉ……下手ぐぞぉ!』
『う゛ぎぃぃぃ!』
ペアを組んで意外なほどしっかりした社交danceを踊るBlood Suckerもいるが、どちらもmaleパートを踊ろうとして、途中でfangsを剥いて罵り合っている。……相手がfemaleパートを踊らないという致命的な問題に気がついていないらしい。
「如何でしょう?」
猛獣よりもbloodに飢えたUndeadに対するimageからは程遠い、どこか間抜けな-sama子を見せるBlood Sucker達を指して、VandalieuはOrlockに訊ねた。
「……見事なものだ」
当然だが、それはBlood Sucker達のdanceに対するものではない。VandalieuのTamerとしての腕に対してのものだ。
TamerがTamed MonsterをTamerする方法は、Tamerごとに違う。monstersの幼体を捕獲して、猟犬や軍馬のようにTrainingするもよし。同じ幼体を手に入れるのでも、自身もchildの頃から生活を共にし、自然と絆を育んでもよし。知能の高いmonstersと取引をしても構わない。
VandalieuがBlood Sucker達をどんな方法でTamerしたのかは、Orlockも分からなかった。
しかし、Blood Sucker達が強制されて嫌々従っているのではなく、自らの意思でVandalieuに従っている事は長年の経験から見てとる事が出来た。
(これなら、『guildの組合員のTamed Monster』として、私も胸を張って守る事が出来る!)
OrlockはTamer guildのMasterとして、Undeadに良くないemotionsを持つtemple関係者やNobleからの苦情を受ける立場だ。「UndeadをTamed Monsterだなんてふざけているのか! そんな事は許されない! もしUndeadが暴れ出したらどうするつもりだ!?」と怒鳴り込まれた時、「その時は我々guildが責任を取る!」と怒鳴り返し、追い散らさなければならない。
だからこそ、もしVandalieuのTamerに問題があれば、他の組合員を守るためにUndeadのTamed Monsterを認める事は出来なかった。しかし、この-sama子なら大丈夫だとOrlockは確信し、安堵した。
「ありがとう、よく分かった。このBlood Sucker達を-kunのTamed Monsterとして認めよう、手間をかけさせて悪かったね」
「いえ、前例のない事でしょうから。こちらこそnight遅くまで審査してもらい、助かりました」
実際、VandalieuはOrlockの対応に満足し、感謝していた。行動は迅速で、審査は中立。Moksiの町のguild長Bellardと同じように信用できる人物だと感じる。
「最後に一つ質問だが……Undeadは食事の必要はないとは言え、Zombieはappetiteそのものはあるのだろう? その辺りはどうなっているのかね?」
「ええ、それも対応済みです」
Orlockに訊ねられたVandalieuは、懐から出したハンドベルを鳴らした。すると、待機していたSalireとRita、そしてMaid姿の美女やBishoujo、美少年達が、ガラガラとwagonを押して現れた。
『Blood Sucker達の食事をお持ちしました、Bocchan!』
そしてテキパキといつの間にか用意された木製のtableに皿を並べ、食事のセッティングを始める。
「か、彼女達は何だね!?」
先頭のsistersらしい二人は顔色がVandalieuと同じく屍蠟のようである事以外は、HumanのようにOrlockには見えた。しかし、それに続いていたMaid達はよく見れば目がglass玉に置き換わっている者や足の無いGhostだった。
「このmansionにいたLiving ArmorやUndead TransformationしたHumanの標本、Ghost達です。館の前の持ち主の被害者達ですね。当然ですが、俺がTamerしています」
「まだいたのかっ!?」
「certainlyです。cursed mansionにBlood Suckerが十人だけなんてそんなはずがないでしょう?」
Vandalieuはそう言うが、SalireとRitaはこのmansionのUndeadではなく、彼がOrbaumの外から連れて来たUndeadだ。しかし、面倒なのでこの機会に一度にTamed Monsterとして登録してしまう事にしたのだ。
「た、たしかにこのmansionの広さを考えれば……不自然でないか」
それに、Orlockが言うように数十年以上sealedされていたDukeの弟のmansionだ。多少Undeadが増えても、不自然には思われない。
mansionを管理していたSenorpa Chamber of Commerceにしても、敷地内に足を踏み入れた者は生きて帰らないcursed mansionの内部まで、詳細に管理していたはずがない。彼等はmansionのsealedが維持できているか管理していただけで、中に入ってはいない。
だから、「あんな下着みたいな鎧がmansionにあったのか?」とか、「あんなLiving Armorがmansionにはいたのか?」と追及されても、Senorpa Chamber of Commerceは答えられないのだ。
もしかしたら、Jahan Duke 家にはmansionに存在した物品について詳細なlistがあるかもしれない。だが、listがあってそこにHigh-leg ArmorやBikini Armorが載っていなかったとしても、「cursed mansionと化した後に、誰かが外から持ち込んだのだろう」と言われれば否定できない。
Jahan Duke 家としてはmansionの存在自体無かった事にしたいだろうから、listが存在しても既に処分しているかもしれないが。
そうこうしている内に、Blood Sucker達の食事の準備が終わった。
『前菜はBloodsucking樹のbloodのdressing和えに、bloodのsoup。主食はbreadとbloodのCream。main dishはHuge Boarのliverにbloodのsauce添えです』
「うぷっ」
bloodの香ばしい匂いが広がり、Blood Sucker達が目をギラギラと輝かせ涎を垂らし、Orlockが口元を抑えてよろめく。
「召し上がれ」
Vandalieuがそう告げると、Blood Sucker達は「いただきます」の代わりに濁った咆哮を上げてから、forkやspoonを使って食事を始める。
その-sama子はがっついてはいるが、reasonの無い獣ではなくHumanらしいものだった。
「こうしてbloodに対する欲求を満足させる予定です。ちなみに、bloodは特殊な方法で保存したmonstersのbloodを利用する予定です」
「な、なるほど。それなら……ん? 予定?」
「ええ、今日は在庫が無かったので俺のbloodを使いました」
Blood Suckerを含めたcursed mansionとUndeadをTamerしたのは、不測の事態だった。そのため最近DarciaやBellmond達のbloodばかり飲んでいるVandalieuは、Blood Sucker達に飲ませるmonstersや動物のbloodを持っていなかった。
だから、自分のbloodを使うのはVandalieuにとっては当然の事だった。
「-kunのbloodを!?」
そのためOrlockが驚いた理由が理解できず、困惑してしまう。
「ええ、俺はDhampirなのでinjureの治りも早いですから」
咄嗟にそう説明していると、Blood Sucker達が食事の手を止めて痙攣を始めた。
『ぐる゛る゛あ゛あ゛あ゛!』
みしみしとboneを軋ませて仰け反り、目を限界まで見開く。そのeyeball全体がbloodの色に変色し、口は耳まで裂け、fangsとclawsが太く長く発達する。
「こ、これは……!?」
「Rank upしたみたいですね。Guild Masterは、Blood Suckerの上位種はご存知ですか?」
「ああ、たしかDeep Blood Suckerというraceのはずだ。Blood Sucker以上の凶暴性と狡猾な知能を併せ持つ危険なUndeadと……!?」
OrlockはMemoryを辿る途中で、Deep Blood Suckerと化したUndead達がVandalieuのTamerから抜け出し……masterとの絆を忘れ、ただのmonstersに戻るのではないかと危惧した。
「Deep Blood Sucker、新種ではありませんが妥当なRank upみたいですね。では、お祝いにbloodのプティングをdessertに付けましょう」
『あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ~!』
Vandalieuの決定に、歓声を上げて喜ぶDeep Blood Sucker達。それを見たOrlockは自身の危惧は、的外れだった事を悟った。
「では、他のTamed Monsterの確認もよろしくお願いします」
「ん? ああ、彼女達の事か」
食事を持ってきたSalire達の事かと、Orlockは彼女達に向き直った。危険性と存在感の大きさからDeep Blood Suckerばかり注目していたが、彼女達もUndeadだ。やはり早急に審査する必要があるだろう。
……食事を準備していた時の-sama子から考えると心配いらないように思えるが、templeやNobleに突かれるかもしれない粗は少ない方が良い。
「それもありますが、まだ庭のBloodsucking樹やliving Statue、Zombie犬がいまして」
「まだ居るのかね!?」
「はい。Eisen、連れて来てください」
Vandalieuがそう声をかけると、Eisenが歩いてくる。
『こっちだよぅ』
その後ろには、何体ものBloodsucking樹や動く石像、頭がいboneや肋boneの一部が剥き出しになっている犬が一列に並んでいる。
ちなみに、蟲型のmonstersはVandalieuの【Body World】に収納されている。一度に審査してもらうには、数が多すぎると判断したからだ。
蟲型のmonstersは後日、日を改めてPeteやQuinnと一緒に審査すればいい。
「…………」
「それが終わったらmansionの中のUndeadも審査して頂けたら、幸いです。後、Undeadの衛生問題の対処についても確認をお願いしたいのですが、もし良ければ夕食とroomを用意しましょうか?」
「…………頼めるかね」
tonightは残業だ。そうOrlockは覚悟した。
そして、Orlockは翌日から暫くEmotional Fatigueを理由に休暇を取ってしまったので、Vandalieu達はPete達蟲型のmonstersの審査をAdventurer's School校に入学した後に伸ばす事にしたのだった。
Orbaum Elective Kingdomの首都、Orbaumにある特別なAdventurer's School校……生まれた順が遅くて家督を継げないNobleのyoung childや有力な商人のyoung child、上Class adventurerのchild等が入学する、通称Hero Preparatory Schoolの入学試験が行われる日になった。
この学校を卒業できればKnight団に入るにしても、そのままadventurerとして活動するにしても箔が付く。また、単純に普通のAdventurer's School校よりもcurriculumがしっかりしており、卒業生の生存率が高い。aptitudeを持つ一般人のyoung childにとっては、入学出来ればコネも技術も手に入れられる立身出世の登竜門。
そうした魅力ある学校へ入学するために、半年に一度多くのchildや若者が集まるのだ。
certainly、『Earth』のJapanの受験戦争程ではない。精々数百人ぐらいだ。
「思ったより少ないね、Van」
「普通のAdventurer's School校と違い、入学資格を二十五ageまでに限っているそうですから、そのせいかもしれませんね」
その中でPauvinaは物理的に頭一つ分以上抜きんでており、視線を集めていた。Giant raceの入学志願者もいるが、さすがに身長が三meterに達しているのは彼女だけだ。
「あれが、Darcia・Zakkartの養女か……本当にBeast raceなのか? 豚系Beast raceなんて聞いた事がないぞ」
「Giant raceのbloodが混じっているらしいから、大きいのはそのせいだな。聞いた事がないのは……希少な種なんじゃないか? Dark Elfの隠れ里で一緒に暮らしていたらしいし」
「ふん、raceが希少だろうと審査されるのは実力だ。あの図体ならPowerはあるだろうが、他はどうかな」
他のchild達がひそひそとPauvinaについて囁くが、彼女はあまり気にしない。
「じゃあ、Dhampirは何処にいるの? 噂では、一緒に受験するんでしょう? まさか、彼女が抱えている人形がそれ?」
「あれ人形か? 結構大きいぞ」
「うわっ、動いた!?」
そしてVandalieuの存在は、注目されていたがsignが薄かったので中々気付かれなかった。
そうしていると試験を開始するベルが鳴り、受験生は学校の敷地内に入り、まず全員が共通して受ける試験に挑む。
それはadventurerに必要な基本的なAbility……Enduranceや基本的な学力があるか否かの試験だ。
皮鎧や荷物を想定した重りを背負ってのマラソン。その後、自身のVitalityやManaの配分を計算するのに必要な算数、ついでに依頼書を読むのに必要な読み書きのtest。
運動の直後にペーパーtestとは意地が悪いが、激しい運動と緊張を伴う戦闘中でも自身のVitalityとManaを把握できなければならないので、これくらいは基本である。出来なければ、普通のAdventurer's School校に入ればいいのだ。
「Van、(目立たないようにするのが)大変だね」
「練習はしてきたのですけどねー」
certainly、PauvinaとVandalieuにとっては楽勝な試験だった。楽勝過ぎて、ちょっとしたジョギング感覚で走っても他のchild達をごぼう抜きにしてしまうので、かなり加減するしかなかった。
その余裕を試験官はある程度見抜いた。
(なるほど、Enduranceを温存して次のペーパーtestを受ける時、頭が回るようにするtacticsか。この試験は速さを競うものではなく、完走出来れば合格だからな。良いtacticsだ)
そして、そう考えて感心していた。
そしてペーパーtestの後は、午後まで休憩。昼食を挟んだ後、受験生は持っているskillや志望ごとに別々の試験を受ける事になる。武術skillを持つ前衛志望とmagicが使えるrearguard志望、scout職志望ではそれぞれ必要な素質が異なるからだ。
「注目!」
Darcia手作りのお弁当を食べ終えたVandalieuとPauvinaは、Venueに現れた一人の男に視線を向けた。
その男は赤毛のElfで、精悍な顔つきに鍛えられ引き締まった体つきで歴戦の猛者を連想させた。実際、その挙動には隙がない。Vandalieuの目から見てもただ者ではないのは明らかだ。
だが、どこか疲れたような雰囲気を放っている。特に、瞳には生気がなく死んだ魚のようだ。
「後半の試験総監督を任された、Dandolipだ。お前達が入学出来れば、俺が教える事もあるだろう。Nobleだろうがなんだろうが、俺は差別も区別もしないのでそのつもりで試験に臨むように」
しかしそう厳しい口調で告げると、後半の試験を開始する旨を発表した。
「Van、どうしたの?」
立ち上がって歩き出す受験生の中で、立ち止まって首を傾げているVandalieuにPauvinaが訝しげに尋ねた。
「いえ、あのDandolipというElfの人の声が、Rudolf -sanと似ていた気がして」
Moksiの町でKanakoからlessonを受けた青い髪のElfのBardを、Vandalieuは思いだしていた。
「もしかしたら、brothersかもしれませんね」