旧Scylla Autonomous Territory奪還軍が撤退し終わり、今は亡き事にされたBrabatieuのscreechが響き渡った暫く後、Vandalieuのmain bodyはDarcia達と共に、Orbaum Elective Kingdomの首都Orbaumにあった。
人口約五百万。歴史はともかく、Orbaum Elective Kingdomの中で最も人口の多い大都市だ。人口約三万人のMoksiの百六十倍以上、約百万人のAlcremの約五倍である。
Amid Empireという大きな脅威に他行するため、十二の小国が集まってOrbaum Elective Kingdomを建国する際、Elective Kingdomの首都となった独立都市が元となっている。
「五百年前はＡClassやＢClassのDungeonが近く、それに挑戦する上位のadventurerの拠点としてdevelopmentしてきた、一万人規模の独立都市だったそうです。
それがOrbaum Elective Kingdomの首都になって、他のDuke 家から金と人が流れ込み、五百年かけてここまでdevelopmentするとは凄いですね」
「凄いねー、Van」
Pauvinaに両腕でがっちり持たれたVandalieuが解説すると、彼女も街を見回してnod。
Golem Architectureで日々進化(変化)しているTalosheimもloseいないが、やはり規模と活気では人口の多いOrbaumの方が上だ。
それに【Golem Creation】skillの使い手がいないのにここまでの大都市を造りあげるHuman社会の技術力は、Pauvinaの想像力を超えていた。
『ええ、全くです。当時は何処の国にも幾つかある程度の小都市だったのに。その小都市の名士でしかなかったTelkatanis 家やDolmad 家が、街の自治権を放棄する代わりにNoble位を与えられ、今やMarquisとは……ククク、奴らの語る青きbloodとやらも、たかが知れるというものですな』
『短い間に増えるHuman共の特性が、もっとも分かり易い場所と言えるでしょう』
『キヒヒヒッ！ この国の支配者をself-proclaimedする者達の何と滑稽な事か。自分達の治世が続いているのは、偉大なるVandalieu -samaの慈悲によるものだと気づきもしない……』
そして、Vandalieuの周囲で待機しているLight AttributeのGhost達。生前は数万年以上生きたVampireであり、Orbaum Elective Kingdomが建国された頃を知っているChipurasとDarock、Bellquertが皮肉や嘲笑を浮かべる。
「Chipuras、観光案内に皮肉はあまり混ぜないでください。Darock、何度も言いますが俺もkaa-sanもPauvinaも、皆Humanです。
Bellquert、今日は調子がいいですね」
『ははっ、申し訳ございません』
『はははっ、Vandalieu -samaはユーモアのセンスも一流ですな！』
『あお～ん！ 褒められた！ 光栄が！ 身に！ 余るぅぅ！』
素直に謝るChipurasに、何度言ってもVandalieu達をHumanだと認識しないDarock。そして喜びで言動が乱れるBellquert。
「……ところで、そろそろ自分の足で歩いてもいいですか？」
VandalieuがPauvinaに持ち歩かれているのは仲が良いからではなく、Tamed MonsterがTamer出来ているか確かめる審査でtroubleを起こした事に対する罰だった。
「ダメー」
Pauvinaに柔らかい声で拒絶されるVandalieu。声は柔らかいがその力は強い。掴まれているのが常人なら、たちまちboneを握り潰されていただろう。
「審査の時のあれは、-chanと事前に『抑えるのは無理っぽいので、力づくで止めてください』って頼んだじゃないですか」
「でもダメー」
しかし、掴まれているのは常人ではなくVandalieuなので、苦しそうな-sama子すら見せない。
そのせいか、Vandalieuに同情する意見はなかった。
「そうだよね？」
「ええ、そうね。門のGuardを隊長-san以外全員faintedさせちゃうのは、おkaa-sanもやり過ぎだと思うのよ」
「師Artisanを押さえ込むのに義手が嫌な音を立てて軋むし、そこまでしてもえらいbloodthirstを振り撒くし、胆が冷えましたぜ」
「faintedしたGuardの人達はすぐ気がついたから良かったけど、私達の後ろに並んでいた人達は迷惑だったと思いますよ」
Darciaが指で「めっ」と軽く叱り、SimonとMiriamが苦笑いを浮かべた。ただ、前回……Alcremに初めて入る時にした審査の時よりは、マシになったと思っているからだ。
以前は物音もなくbloodthirstも発さず、背後からGuardに襲いかかろうとした。それを防ぐ事が出来たのは、Privelのfine playであって、それがなければ事態の隠蔽に一苦労していただろう。
だが、今回は事前に押さえるよう自発的に頼んでいる。それに、実は力やbloodthirstも抑えていた方だった。
Vandalieuが本気を出せば、全長百meterのTrue giantと接近戦をして、浅くないinjureを負わせる事が出来るbody part Abilityがある。Darciaならともかく、SimonやMiriamでは彼が本気を出したら木の葉のように翻弄されるだけだ。bloodthirstにしても【Demon King's Demon Eye】は使っていなかった。
だが、それよりも大きな理由は諦観である。
この先、この審査に対してVandalieuはもう少しましになるかもしれない。もっと上手く誤魔化す事が出来るようになるかもしれない。
しかし、完全には解決しないだろう。そんな諦めがあるからだ。
……門での騒ぎのお蔭で、一行から他の通行人が距離を取っているためスムーズに歩けるからという理由もあるが。
それでもPauvinaやEisenに多くの好奇の視線が向けられているので、何事もなく街に入っていればかなりの人だかりになっていただろう。
『あのBaronモドキでいっぱいだねぇ』
Pauvinaは気にしておらず、Eisenは通行人を美食狂いで自分のSapから作るsyrupに一家全員魅了されている、Cuoco Ragdew Baronと重ねているらしい。
Baron一家との付き合い(？)は、彼女の他人に対するResistanceを鍛えたらしい。
「後ろに並んでいた方々には、我々が謝っておきましたので大丈夫かと」
「皆……少し引きつっていた気がするけれど、Smiling Faceで許してくれたわ」
Vandalieuのbody partが小さいため、抑える場所がなかったので代わりに周囲への対応をしていたArthurとKariniaがそう言ってnod。
「クヒヒ。果たして、それはどうかのう……？」
だが、Bolzofoyが不安そうに言うように、Arthur達に謝られたVandalieu達の後ろに並んでいた者達は、"muscle and bones"隆々とした強面の男と、どこか不気味な雰囲気を纏った眼光鋭い美女に謝られても、Intimidationされたようにしか感じないかもしれない。
「まあ、大丈夫よ」
「そうですね」
Arthur達の人柄が知られるようになれば、小さな悪評も笑い話に変わるだろう。
それよりも、まずはAdventurer's School校への入学よりも早くOrbaumに来た目的を済ませなくてはならない。
その目的とは初めてMoksiの町に来た時と同-samaで、Orbaumで暮らすための家の購入である。
ただ今回はDarciaがHonorary Earlとなっている事と、交易都市ではなく王都であるため、戸建て住宅ではなくNoble用のmansionを購入する事になった。
一代限りのHonorary Nobleだが、それでもmansionを購入する者は少なくない。それに、Orbaumには-sama々な理由から売りに出されているmansionが幾つもある。
その内一軒を購入し、Moksiの町の家のように改築して拠点とするのだ。
そのため、Vandalieu達はOrbaumでも有名なSenorpa Chamber of Commerceを訪ねた。
訪ねられたSenorpa Chamber of Commerceは有名だったが、没落Nobleからmansionを仕入れて、顧客である金持ちNobleや成金に売りつける事でも有名な不動産屋だった。
どんないわくつきのmansionでも買い取り、改築し、買い主の要望通りのmansionにして高額な代金と引き換えに売る。
その商売の秘訣は、Alda templeと強力なpipeで結ばれている事だ。
Royal Nobilityは皆清廉潔白な聖人-kun子ではなく、そんな彼らが売る「いわくつきのmansion」は、怪談話に出てくる幽霊mansionも真っ青な、怨霊や悪霊の住処と化したものが少なくない。
いくら掃除しても滲み出てくる紅い手形や、食器が宙を飛びまわるどころではなく、怨霊が現れて侵入者を直接殺そうとするような物件に対処するには、対Undead用の訓練を受けたAlda templeのLight-Attribute MageやClergymanの集団が必要だ。
そして、Senorpa Chamber of CommerceはAlda templeの複数のCardinalに布施を支払い、神の使徒たるCleric達を派遣してもらい、禍々しいmansionをただの中古物件にするのである。
無論、都の中にUndeadが発生したなら、不動産屋から布施を貰わなくても浄化する事が神の信徒の務めだ。
しかし、mansionで発生した怨霊は多くの場合mansionの敷地から外に出る事はない。いわゆる地縛霊であるため、敷地の外にmiasmaが広がったり、外から霊が入り込んでUndead Transformationしたり、そうした事態を防ぐために門や塀に護符を貼ってsealedすれば、悪impactが広がる事が防げてしまう。
そのため、多くの場合「緊急性が低い案件」と判断され、後回しにされる。
それに、場所柄どうしてもNobleと接触しなくてはならないため、布施の在るnoneに関わらず神の教えを実践する熱意あるCleric程、cursed mansionには関わろうとしない傾向にある。……実際、高額の布施を払えない市井の人々にとっては、関係のない事だ。
無論、だからといって放置し続ければ問題が生じる。護符の効果は永遠でもなければ絶対でもないので、数十年から数百年の間にmansion内部のUndeadが力や数を増し、sealedを破ってしまうかもしれない。
そのため、Elective Kingdom政府がtempleに依頼して古いcursed mansionの浄化を頼むのだが……逆に、「Elective Kingdom政府が依頼するまでは放置しても構わない」とtempleが重い腰を上げない風潮を作っている。
中には、Cardinalのyoung childの実績作りのために、故意に浄化を遅らせる場合もあると囁かれている。
ちなみに、templeに属していない、adventurerのMageでも同じように浄化は出来る。出来るのだが、怨霊の口からmansionの前の持ち主の醜聞を聞いて、良からぬことを考えないとも限らない。
そのため、こういった案件はadventurerではなく口の堅いtemple関係者が対処する事が、暗黙の了解となっている。
だからこそSenorpa Chamber of Commerceの強力なコネが、商売上のWeapon Equipmentになり得るのだ。
そのため、Senorpa Chamber of Commerceの従業員たちはDarcia・Zakkart Honorary Earlが客として現れた時、驚いた。Vida's New Racesで、Vidaの聖人である彼女がAlda templeと深い関係にあるこの店に来るなんて、思ってもいなかったからだ。
彼等は商人同士のnet workから、Darciaの息子のVandalieuと、そのImoutoのPauvinaというShoujoがAdventurer's School校に入学するためにElected King都Orbaumに来る事は知っていた。
その際、高Class宿ではなくmansionを購入するかもしれない。もしそうなら、彼女達を客にした不動産屋はFortuneだと話していたのだが……。
「こちらが、ご要望の条件を満たす、唯一の物件です」
まだ若いSenorpa Chamber of Commerceの従業員は、冷や汗が浮かんだ顔に張り付いたような営業スマイルを浮かべて、物件を手で指した。
「身長三meter以上の方でも余裕を持ってご利用できる間取りに、Giant raceの方が集団で飛び跳ねてもビクともしない頑丈な床や壁。三階建て以上でroom数多数、大浴場に屋根裏roomと地下室、広い庭もございます。
ただ……ご覧の通りでして」
従業員が手で指したのは、立派なmansionだった。BaronやViscountではとうてい住めない、大Nobleの住まいに相応しい大きさと設備を誇っている。
しかし、明らかに呪われていた。
壁には蔦が伸び放題で、覆われていない壁も不気味に変色している。それに、今日のOrbaumは快晴のはずなのに、mansionの周りだけ不自然に薄暗く感じる。
そして高価なglassの窓の向こうには、いるはずのない人shadowが見える。
ここまで揃っていると、逆に笑いがこみあげてくる。mansionに入らなくてよいのなら、だが。
「しかし、Alda templeのClergyman達でも浄化できなかった悪霊や怨霊の巣になっています。しかも、前の所有者に問題がありまして……」
「問題ですか？」
「ええ、nameは言えないのですが、百年ほど前までさるDuke -samaの弟がここに住んでいたのですが……あまり高貴とは言えないご趣味をお持ちだったようでして」
未成年だろうVandalieuや、彼個人としてはchildとは思えないがPauvinaに聞こえないよう、DarciaやSimon達にだけ聞こえるよう、説明を続ける。
「犯罪Slaveだけではなく違法に買い集めたSlaveや、Slumから攫って来た浮浪児、街娼をmansionに連れ込み、地下室でTortureして殺していたそうです。
犯行は権力でもみ消していたそうですが、ついには他のNoble 家の子女に手を出してしまい、実家からは勘当されてNobleから平民に堕ち、そのまま断頭台で首を刎ねられたのですが……残ったmansionはいつの間にかUndeadが湧くようになってしまって」
「でも、それは百年も前からなんだろ？ templeに頼んで浄化しようとしなかったのか？」
PauvinaからVandalieu番を代わってもらったNataniaが、従業員に訊ねる。驚くべき事に、彼女は怪談話など怖いものが苦手なのだ。
「はい。我々Senorpa Chamber of Commerceがこの物件を買い取ったのは三十年程前になりますが、それまで何度となくAldaやPeria、Ricklent templeのClericやPriest -samaが浄化しようと試みたそうです。しかし、前の持ち主がmansionの中に隠しroomや隠し通路を幾つも造り、しかも Trapまで仕掛けたそうで……mansionの中は本物のDungeonのように危険なconditionでして。
お蔭で、浄化作業は大変難しく……悪霊や怨霊が発生する核のようなものが未だに見つかっていないそうです」
「ああ、それは厄介ですね。DungeonのTrapは単純なものが多いですけど、人が仕掛けたものは……特に何かを隠すためのTrapを見抜くのは発見も解除も難しいですから」
Miriamが同意するように、Dungeonに仕掛けられるTrapは侵入者の妨害、もしくは抹殺というsimpleな目的のために仕掛けられる、単純なTrapである事が多い。
いわゆるブービーtrapや、落とし穴、比較的手の込んでいるもので開けると毒ガスが発生するTreasure Chestぐらいだ。
侵入者に見つからない事を目的にした隠しroomや、roomの中の家具の装飾や壁の一部を操作しないと扉が開かない隠し通路等は普通のDungeonにはほぼ無い。
そうした仕掛けを見破るのに、adventurerやClergymanは慣れていない。それこそ泥棒の技だろう。
だが、ただの泥棒ではmansionのUndead相手に生き延びるのは不可能だ。adventurerやClericが護衛するにしても、近くで仲間が戦っているのを無視してmansionを調べる事が出来る胆力がなければ意味がない。
「ええ、しかも、revivalする度にUndeadも強力になってしまい、今では並みのLight-Attribute Magicでは何の効果もないのだとか」
「そうなの……Vandalieu、だいたいあってる？」
「ええ、だいたいあっていますよ、kaa-san」
従業員は困惑した顔を向けるが、Vandalieuにとって彼の説明は既に聞いた話だった。
誰から聞いたのかと言うと、certainly悪霊や怨霊本人からである。
『ここは恐ろしいmansionなんだぁ～、ただ盗みに入っただけの俺も、悪霊に殺されたぁ……！ 階段に気をつけろぉ』
『私なんて、庭に死体を埋めに来ただけで殺されたんですぅ。ここに埋めれば、死体が見つかってもmansionの悪霊の仕業だと思わせられると思ったのにぃぃ！ 庭の井戸の中に潜んでいたぁ、monstersに食い殺されてしまいましたぁぁぁああああはははは！』
『その埋められた死体でぇっす！ もうすぐぅっ、monstersになれそうなのぉ！ 庭の木に乗り移ってぇ！ あなたのぉ、あなたのbloodを頂戴ぃ！ 少しで、少しでいいのぉ！』
『ヒヒヒ、コイツらに騙されるなよぉ、この不動産屋は、生きていると都合の悪い奴を殺しては、このmansionに捨てているんだ。気を付けろ、ポミャデルChamber of Commerceの連中には！ ……えっ？ こいつはSenorpa Chamber of Commerce？ あ、そういえばポミャデルChamber of Commerceの会長は十年前に死んだんだっけ。 え？ 三十年前からこのmansionはSenorpa Chamber of Commerceが取り扱っているって？』
護符が張られた鉄の門の前に、まだUndeadになっていない霊が大集合している。その殆どは、まだUndead Transformationするまえの、死んで数年経った程度の霊だが、中には百年前から漂っている霊もいて、Vandalieuへ己の身の上を話してくれた。
Senorpa Chamber of Commerceの従業員が口にしなかった、そして実は彼自身は知らされていない、このmansionが呪われる原因になった男が、どのDuke 家当主の弟だったのかも。
従業員は恐ろしげな顔を門の向こうのmansionへ向けるが、Vandalieuの耳には門の内側から押し寄せている霊達の声が聞こえている。
さらに言うなら、Orbaumに近づいた時からOrbaum中の霊がVandalieuの周囲に殺到し、話しかけている。
Hartner Duchyを訪れた七ageの頃と違い、【Super High-speed Thought Processing】や【Group Thought Processing】、【Perfect Recording】等のskillがあるため、時間をかければcountlessの霊達からの情報を纏め、分析する事も可能だ。
（このmansionの前の所有者は、Jahan Dukeの弟か。……Alcremじゃなくて良かった）
当主がGiant raceである事で知られる、Jahan Duke 家のmansionだったようだ。
Jahan Duke 家はGiant raceのbloodlineが入っている家で、現当主はatavismで完全なGiant raceだが、百年前の当主は大柄で比較的長寿なだけのHumanだったため、既に他界している。
だが、弟の所業を隠すことなく罰し、斬首刑に処した後はDuke 家の墓に入れなかった等、十分に罪を償わせているので、Vandalieuとしては今の当主に何かするつもりはない。
Senorpa Chamber of CommerceがJahan Duke 家の名を口にしなかったのも、自主的に口をつぐんだ結果だ。Amid EmpireもOrbaum Elective Kingdomも、Royal Nobilityと平民は別の生き物であり、「全ての人々は平等である」なんて思想を持つのは、世俗から離れて修行と信仰に人生を捧げるClergymanぐらいなのが実情だ。
（俺の国もNoble制を取っていますが……身分の格差は、もっと穏やかにしていきたいものですね）
自分自身が絶対的なMonarchであるため、完全に平等にするのは難しいのがなんとも複雑だ。そんな事を考えながら、Vandalieuは自分を抱き上げているNataniaに言って、門に近づいてもらった。
「「「ひぇぇっ！？」」」
その途端、庭の奥に見えるmansionの窓や扉が激しく音を立て、手入れがされておらず茂り放題になっている庭木や草が動物のように蠢き、sealedされているはずの門が震えて耳障りな金属音を響かせる。
思わずNataniaとMiriam、従業員がscreechをあげ、SimonやArthurが反射的に身構え、Darciaが微笑む。
「Vandalieuが近づいただけであんなに喜ぶなんて、可愛らしいわね」
「ええ、悪い気はしません」
『日当たりが悪そうなわりに、元気だねぇ』
ただ、DarciaとVandalieuには、それがcursed mansionの喜びと歓迎を表す意思表示に見えたようだ。……Vandalieuが言うからには、事実その通りなのだろうが。
Eisenに至っては、庭の禍々しい植物達の動きに感心している。
「あー、なるほど、そういう事なら……」
「あの激しく開け閉めを繰り返している扉や窓も、人懐っこい犬のtailの動きに似ているかもしれません」
「たしかにそうね、兄-san。犬は、喜んでいる時はtailをあんな風に速く振るものだわ」
ほっとした表情で構えを解き、反射的にWeapon Equipmentへ伸ばした手を戻すSimonやArthur達。特にArthurとKariniaは、cursed mansionを人懐っこい犬の姿と重ねあわせているのか、頬を緩めて和んでいる。
「何だぁ、喜んでるだけか」
「ああ、驚いた」
NataniaとMiriamも、ほっと安堵の溜め息を吐いている。
「何故、そんな事を思えるんですか！？ どう見ても恐ろしいcursed mansionじゃないですか！？」
納得も安堵もできないのは、Senorpa Chamber of Commerceの従業員である。顔は真っ青になり、膝はガクガクと初めて立つ生まれたての小鹿のように震えている。
「ここは危険です今すぐfrom here離れましょうそうしましょうそれしかない！」
「おお、素晴らしい滑tongueとlung活量ですね」
Vandalieuが従業員の滑tongueとlung活量に感心した次の瞬間、sealedされているはずの門が弾かれるように開いた。
そして、蛇のように伸びて来た蔦がVandalieuを抱えているNataniaに絡まり、彼女ごと彼を引きずり込んでしまう。
「ぎゃああああああああ！？」
「Natania、こういう時は、もっとそれっぽいscreechをあげた方が盛りあがると思いますよー」
そして、そのままmansionの扉の奥に引きこまれていった。
「た、大変だ！」
その光景を見送る事しか出来なかった従業員は、気が遠くなるのを何とか耐えていた。
彼等Senorpa Chamber of Commerceは、たしかにAlda templeと太いpipeを持つ。高額の布施をAlda templeに払っているし、説法を聞きに行く事も多い。
しかし、Chamber of Commerce長であるSenorpaを含めChamber of Commerceの者達の多くは熱心なAlda believerと言う訳ではない。商売に役立つのがAlda templeだから、Alda templeと深いpipeを持っているだけだ。
そのため、DarciaとVandalieuに敵対するつもりは毛頭ない。ただ、Alda templeに対するポーズとして、持っている物件の中でも、最も厄介なcursed mansionをintroductionしただけに過ぎない。
そして、物件の購入を断られた後は、他のChamber of Commerceをintroductionするなど丁寧に対応して、穏便に済ませようとしただけである。
(このままでは、うちの……いや、私の将来が！)
それなのに、introductionした物件のせいでHonorary Earlの一人息子がinjureを……死んだなんて事になれば重大な責任問題だ。
過激な思想を持つAlda believerは喝采をあげるかもしれないが、だからといって不注意でNobleのyoung childを傷つけたSenorpa Chamber of Commerceやその従業員を、彼等が庇ってくれるわけではない。
Chamber of Commerce長は庇ってくれるだろうが、結局は自分を解雇する事になるだろう。
従業員は、Chamber of Commerce長が解雇する際に渡してくれた幾ばくかの現金とintroduction状を頼りに、familyと共に逃げるようにOrbaumを後にする自分の未来を見た気がした。
「今まで一度もsealedが破られた事はなかったのに、いったい何故……？」
『maybeだけど、cursed mansionが本気になれば、あのsealedはいつでも破る事が出来たんじゃないかねぇ？ 今までそれをしなかったのは、する理由がなかっただけで』
「で、でも、sealedを破って外に出ようとする悪霊の姿が何度も確認されて……」
『それはmansionに挑戦して返り討ちに遭ったClericや、stealth込んだ泥棒がUndead Transformationした悪霊だろうねぇ。自分を殺したmansionから、逃げたかったんだと思うよぉ。
でも、そいつらはmansionに統率されている訳じゃないから、mansionの意志とは無関係なのさ』
「や、mansionの意志、ですか。Undeadに詳しいんで……す……ね……」
振り向いた従業員は、今まで自分が会話をしてきた相手がDarciaやKariniaではなく、Tamed Monsterの首輪をしたEisenである事に気がつき、言葉をなくした。見た目からして知能の高いmonstersだと思っていたが、まさか自分よりも見識があったとは思わず、驚愕したのだ。
「たしかに、sealedの有無にかかわらずmansionは動く事が出来ない。しかも、sealedされていても泥棒や犯罪者の類がstealth込んでくるから、犠牲者には困らない」
「フフフ、それならsealedを破る理由はmansionにはないわね。寧ろ、sealedされていた方が強すぎて手におえない侵入者……外からmansionを更地に出来る上位のadventurerの介入を防ぐ事が出来るという事ね」
「そ、そんな！ では、私達はまんまと利用されていたのですか！？」
「ククク、まんまと騙されていたようじゃな。なぁに、お前-sanは何も悪くはない。これはちょっとした事故のようなものじゃ」
「あ、ああっ、ああああっ！」
「そんな顔しなくても大丈夫ですぜ、従業員の兄-san。ArthurとKariniaはEisenの姉-sanのconjectureを補足しただけだし、Bolzofoyはshockを受けているあんたを安心させようとしただけで、罪悪感を煽ろうとした訳じゃねぇから」
despair的な顔で叫び声をあげ始めた従業員を、慌てて宥めるSimon。ちなみに、Arthur達と一緒にいると忘れがちになるが、Simon自身もそれなりに強面である。約一年前から意識と生活を改善し、髭を剃っているのでだいぶマシになっているが。
「でも、mansionもVandalieuを気にいってくれたようだし、ここにしましょう。従業員-san、契約書を見せてもらえる？ お支払いは今ここでいいかしら？」
「Darcia -san、一度Senorpa Chamber of Commerceに戻って払った方が良いと思いますよ。maybe、何百万Baumもするでしょうから、一人では持って帰れない重さになるはずです」
そして、DarciaとMiriamがsealedを破る恐ろしいcursed mansionの購入を、しかも息子やNataniaの安否を心配する-sama子もなく、進めようとする。
色々とEmotionalに振り切れた従業員は、壊れた人形のように首を横に振った。originally断られる予定だった、売るつもりのない物件だ。契約書を持っているはずがない。
「そうなの？ じゃあ、仕方ないわね。私はサ……Simon -sanとSenorpa Chamber of Commerceに行って、このmansionを買ってきます。
EisenはTamed Monster扱いだから、TamerのVandalieuとmansionで待っていてね。Miriam -san達は、門の前で待機して、人が来たらsealedが解けている事について説明して騒ぎにならないようにして」
『はぁい……』
「お任せください！」
それぞれ別れて動き出す一同。従業員は、気がつけば馬車のCouch Driving台にSimonと並んで座って、Senorpa Chamber of Commerceに戻っていた。
そして、Senorpa Chamber of Commerceでは「あんな危険な物件は売れない」とChamber of Commerce長がごねたが、Darciaが「大丈夫です、もう危険はありません。Goddess VidaとChampion Zakkartに誓って」という言葉と、よくそんなに馬車に乗せられたなと思う程、大量の白金貨が詰まった革袋や、金塊、宝石類、およそ一千万Baumはありそうな財宝を見せて押し切った。
そして広い庭と歴史ある絵画や家具付きの三階建てのmansionとしては、破格の三十万Baumでmansionを購入したのだった。
こうしてOrbaumのNobleや御用商人、そしてtemple関係者の間に、「Alcrem DuchyのDarcia・Zakkart Honorary Earlが、あのcursed mansionを購入した」という情報が駆け巡ったのだった。
○Monster explanation:：cursed mansion Adventurer’s Guild資料室の文献より
accurateにはUndeadが棲みつき、扉や階段、家具を操っているだけで建造物自体はmonstersではないが、便宜上monstersとされている存在。
多くの場合Nobleや大商人の邸宅で、所有者が一家皆殺しにされた事件や、逆に所有者がServantやLoverをTortureして殺してしまうなど、陰惨な事件の舞台となると発生する。
mansionの敷地内にはcountlessのUndeadが存在し、mansionを中心に集合体と化しているため、一匹二匹と数えず「cursed mansion」と一纏めにする。
その討伐難易度は、mansionの規模と施された仕掛け、そして発生したUndeadの強さによる。
商人のmansionは隠しpropertyを守る隠しroomがある程度だが、Nobleの場合はいざという時に逃げ込む脱出路等、仕掛けが多い。中には、日常生活ではどう考えても使わないだろう仕掛けを幾つもmansionに仕掛けるNobleもいる。
mansionで発生するmonstersは、ServantやProstitute、攫われてきたchild等がUndead Transformationしたものが多いので、Lichのようなmagicを使うUndeadは少ない。
しかし、物理的な攻撃が効き難いGhostや、mansionに飾ってある鎧や絵画がmonsters化したliving Mailや呪われた絵画、Cursed Weapon等が、Blind Spotから襲ってくるので油断は禁物である。
さらに数百年以上放置され、miasmaによる汚染が深刻になったmansionは本物のDevil Nestsとほぼ同じになり、庭の植物やmansionに棲みついている虫やmouseがmonsters化して、危険度が一層高まる。
Baron等の下Class Nobleのmansionだった場合は、mansionも小さく仕掛けも少ない。ＤClass adventurer相当のClericが五人もいれば浄化する事は可能だ。しかし、Dukeのmansionの場合はＡClass adventurer相当のHigh Priestが必要とされることも少なくない。
なお、Orbaumではcursed mansionの討伐はAdventurer’s Guildに依頼されない事が多いが、他のDuchyの都ではtempleではなくadventurerが対処する事もある。
その際は、monsters化した美術品は壊しても弁償をdemandしないか、討伐の際壁や扉を壊しても構わないか等、依頼主とよく話を詰めておくことを勧める。
ちなみに、敷地の外からmansionに向かって攻撃magicを倒壊するまでBarrageする事や、油を撒いてmansionごと燃やしても構わないのなら、討伐難易度は格段に下がる。
ただ、多くの場合依頼主から許可は出ないので諦めるように。もし許可が出たとしても、流れ弾が隣のNobleのmansionに当たったり、炎が延焼したりすれば、最悪の場合依頼主と一緒に縛り首にされる。良くても、多額の賠償金を支払う事になるので、十分注意する事。
Champion Farmoun Gold曰く、「生きているHumanの方が、怖い」との事である。