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Chapter 310: 旧Scylla Autonomous Territoryに、Knight of Flames堕つ

 新たにSauron DukeとなったRudelSauronにとって、自身を脅かす脅威の中で最も大きなものが旧Scylla Autonomous Territoryに巣食う、強大なUndeadの群れだった。

 Amid Empireから領土を奪還した。公peerageを巡って争う相手である、生き残っている二人の弟Imouto。弟はfangsを抜いて従えた。もし抜けきっていないfangsが残っていたとしても、弟に忠実な者は本国には一人も残っていない。


 妾腹のImoutoは反抗を続けているが、あまりに弱く脅威にはならない。放置して、彼女を利用しようと近づく者がいないか探るための餌にした方が良いと、Rudelも彼の側近達も判断するぐらいだ。


 領内の治安や財政、軍務は……問題だらけだ。治安については、『Face-Stripping Demon』にNobleまで殺され、なかなか捕縛できなかったAlcrem Duchyよりはマシだと、Rudelの側近の一人は主張する。しかし、一つの村の住人全てが行方不明になっても犯人を捕まえるどころか、何一つ手がかりを掴めずにいるのを忘れているのかと、Rudelはその側近を思わず叱責した。


 財政問題は、言うまでもない。Amid Empireから領地を奪還する際、そしてその後の復興事業で援助を受けている他のDuke 家と、Elected King領への借金返済だ。

 certainly、彼等もSauron Duchyに潰れられては困るし、借金苦で首が回らず防衛費まで切り詰める事になり、Amid Empireに再び占領されたら困るどころでは済まないのは分かっている。


 だから借金の取り立ては、とても緩やかだ。返済するまでの間、常に相手へ配慮しなければならないのが、政治的には厳しいが。

 防衛面で厳しいのも、Sauron Duchyが一度Amid Empireに占領されたからだ。その際の戦いで、強力な戦力……GeorgeBearheartのように、『Alcrem Five Knights』等と渡り合える存在は殆ど殺されてしまった。


 certainly、通常のKnightSoldierも大勢が犠牲になっている。占領されてから十年以上、奪還してまだ数年では、元の軍事力を取り戻すのは厳しい。これも、他のDuchyElected King領からの援助と派遣されている軍の力を借りてどうにかしている段階だ。


 それらの問題は、対処を間違えばRudelの統治を脅かすが、対処を間違えなければ解決できる問題だ。それに、他のDuchyも程度の差はあれ同じような問題を抱えている。


 だから、最も大きな脅威は旧Scylla Autonomous Territory問題だ。旧Scylla Autonomous Territoryに群れるUndeadは、今まではAutonomous Territoryの外にあふれ出る事はなかった。しかし、通常のDevil NestsDungeonならあり得ない事だ。

 間引く事が出来ず、monstersが増える一方ならDevil NestsでもDungeonでもいずれrunawayする。特に、知能の高いmonstersならともかく、生者に対する憎しみしか持たないUndeadなら、runawayした勢いのまま周囲の人里を襲撃し、同類を増やす事だろう。


 逆に、そのrunawayが起きないという事は、旧Scylla Autonomous Territoryが通常のDevil Nestsではない……何者かの意志によって統率された、強大なUndeadの軍勢によって守られているという事になる。


 前者なら、今は旧Autonomous Territoryの広さがmonstersの増殖を受け止めているだけ。しかし、数年後か数十年後かは不明だが、いつか確実に溢れ出て、人里を襲う。そう、『Reaper of the Former Scylla Autonomous Territory』も。


 後者なら、何らかのUndeadを統率……もしくは支配している存在の狙いが不明だ。不明だが、確実にRudel達現Sauron Duke側に対して友好的とは思えない。

 だが、Rudelにはその存在に対して、心当たりがあった。


 それが、彼がそのachievementを認めず歴史から抹殺しようとした『Liberating Princess Knight』率いるResistance。そして姿を消したまま確認できていない、Scylla達だ。

 それとAlcrem Duchyに現れた、歴史上おそらく初めて確認された、VidaFamiliar Spiritを降ろす事が出来るDark ElfDarcia。彼女の息子で、ScyllaTamerしている事が確認されているDhampirの少年、Vandalieu。この親子が、旧Scylla Autonomous TerritoryUndeadを操る何者かと関係しているのではないかと、Rudel達は考えた。


 『Evil God of Joyful LifeHihiryushukakaを奉じるVampire達の三人の長が、Undeadを操るのはlegendとして知られている。それを考えれば、Vampireとの混blood児であるVandalieuが関係しているのは自然のように思えた。


 そして、Vandalieuとその母親であるDarciaを抱え込んでいるように見えるAlcrem Dukeは、実際には抱え込んでいるのではなく、彼等と手を組んでいるのではないか。そんな疑いをRudelSauron Duke側は持った。

 Alcrem DukeVandalieu達に公の立場を与え、表からVandalieu達を支援する。そして、Vandalieu達は旧Scylla Autonomous Territoryで力を蓄え、いずれSauron Duke 家を脅かす。


 そして、将来的にはSauron Duchy全体を乗っ取る。まず、Undead軍によってSauron Duke 家の武力を砕き、Amid Empire軍の攻撃を誘発させる。

 そのtimingで、Alcrem Duchyが「このようなconditionでは、Orbaum Elective Kingdomの守りたるSauron Duchyを任せる事は出来ない!」とでも声明を発表と同時に軍を派遣。Amid Empire軍を押し返し、そのままSauron Duchyを占領するのだ。


 そんな事が出来るのか? 内陸にありSauron Duke軍より脆弱と評されるAlcrem Duke軍の力で?

 出来るとRudel達は考えた。Undead軍をVandalieu達が支配しているのなら、Amid Empire軍と衝突させて消耗させ弱らせておけばいい。そしてUndead軍は退かせ、Alcrem Duke軍が「討伐した」事にすればいい。


 ただ、可能は可能だがかなりの暴挙だ。Alcrem Duke軍に占領されたSauron Duchyの民や、Alcrem Dukeが力を持つのを歓迎しない他のDuke 家Elected King領のTelkatanis Prime MinisterDolmad Marshallが許すとは思えない。

 普通ならSauron Duchyがそれなりに削られて、Alcrem Duchyの領地が何割か増える程度だろう。


 だが、そこで登場するのがDarciaZakkart Honorary Earlだ。彼女がAlcrem Duke軍の先頭にいれば、Sauron Duchyの民たちは、「Amid Empireに一度ならず二度までも占領されるところだった我々を、惰弱なSauron Duke 家に変わって、自分達を救いに来たGoddessだ」と諸手を上げて歓迎しかねない。


 そして他のNoble達に対しては、Alcrem DuchySauron Duke 家Absorptionするのではなく、新しいを立てるという名目で納得させる。

 Duke 家同士の政略結婚を繰り返した結果、Orbaum Elective Kingdomの十二のDuke 家Humanには他のDuke 家bloodも流れている。

 そこでTakkardAlcremの次男か三男を、新Sauron Dukeとして臣団と共に送り込むのだ。


 正妻としてElected King都にいるRudelの妾腹のImoutoを使えば、Sauron Duke 家は表向き継続する事になる。そして第二夫人としてDarciaZakkart Honorary Earlを娶れば、民もついていくだろう。他のDuke 家Elected King領のPrime Minister達も、表向きは認める可能性が高い。


 Darciaは第二夫人なので、Vandalieuは表向き領政に関わる事はない。しかし、実際にSauron Duchyで力を振るうのはあの母子と、Dark ElfGhoulの一族になるだろう。

 Alcrem Dukeは強力な同盟相手を作る事ができ、次期Elected King選挙での当選も狙えると考えているのかもしれない。


 そんな大陰謀が巡らされているのではないかと恐れたRudelは、VandalieuAlcrem Dukeに関する情報を収集させるとともに、旧Scylla Autonomous Territoryの調査を進めた。


 しかし、一向に情報は集まらなかった。そして、VandalieuAlcrem Duchyに現れてから九か月以上が過ぎた頃、状況が変わった。

 それは敵国の動きが見えたからでも、政敵が巡らせた陰謀のせいでもない。Rudelが治めるSauron Duchyの民と、事情を知らないtemple関係者や軍やcivil officialの中でも立場の低い者達の訴え……世論のせいだった。


 originallySauron DuchyVida信仰が盛んな国柄だ。そんな民に、VidaFamiliar SpiritAdventさせMoksiを救い、Alcremrevived Evil God (P)sealedした(そういう事になっている)、歴史に名が残る偉業を成した大聖人が現れたのだ。騒ぎにならないはずがない。


 人々DarciaZakkart Honorary Earlを、SaintessVida’s Incarnation、大Holy Motherと口々に称え、普段以上にChurch of Vidaに訪れ、祈りを捧げた。

 そしてChurch of Vidaの関係者は、DarciaにこのSauron Duchyへ訪問してもらえないかと考え、Alcrem Duchytempleへ書状や使者を送ろうとする。


 そして地方で領地を治めるNobleや、事情を知らないKnight、官僚もDarciaの訪問を求めた。Heroが来るだけで民が喜び、日頃の不満を解消できる。経済も動くし、将兵の士気も高まる事が期待できるので、彼等が知る知識では賛成する理由はあっても、反対する理由は存在しない。


 Rudelはこれまで、そうした動きに-sama々な理由を付けて待ったをかけ続けた。しかし、さすがにそれにも限界がある。しかしVandalieuに関する情報は一向に集まらず、旧Scylla Autonomous Territoryに関する調査も全く進まない。当然、彼等とAlcrem Dukeが組んでいるという証拠も見つかっていない。


 だが、逆にいえばVandalieuが現れてから数か月がたっても旧Scylla Autonomous Territoryには何の動きもなく、彼自身にも怪しい情報はないという事でもある。


 決断を迫られたRudelは、Alcrem Dukeを通じて前々から進めていた旧Scylla Autonomous Territory奪還tacticsDarciaVandalieuの参加を求める事にした。


 そして、求めた結果Alcrem Dukeによって断られたが、現在四名しかおらず貴重な戦力であるはずの『Alcrem Five Knights』から、『Knight of Roaring FlamesBrabatieuと『Thousand BladesKnightValdiriaの二名と、その直属の精鋭達を派遣してきた。


 その事から、Rudel達は「もしや、Alcrem Dukeは旧Scylla Autonomous Territoryとは何の関係もないのか?」と戸惑った。しかし、もしかしたら裏で繋がっており、この戦いで他のDuke 家の力……特にSauron Duke 家の戦力を削ぐつもりではないかと、警戒した。

 しかし、情報を流す現場や証拠を押さえられないまま、戦いが始まってしまった。




 一方、派遣されたBrabatieuValdiria、そして直属の部下達は、RudelSauron Dukeがそう疑っている事は察していた。

 だから、彼らは討伐軍の極秘情報を探ったり、tacticsを誘導したり、そうした怪しい事は一切しなかった。


 そもそも、そうしたspyらしい事を、同盟者であるVandalieu側が求めなかったのである。

「……ただただ、今知っている事を教えればそれで十分とは。相手が連中でなければ、儂等を切り捨てるつもりではないかと疑うところだった」

 そうBrabatieuが呟くほど、旧Scylla Autonomous Territory奪還軍に加わった彼等は何もしていない。


 Sauron Duke 家や奪還軍に協力している他のDuke 家の思惑を探ってもいない。tactics会議では、目立つような発言もしていない。

 精々、集まった各Duke 家Knightadventurerと模擬戦など、一緒に訓練をしたぐらいだ。


 そして分かった他のDuke 家から派遣されてきたKnightや、参加しているadventurerの実力や人柄、戦い方等をVandalieuSpy……『Neck-Hunting DemonSleygarに伝えたのである。

 生前はAmid Empireの『Fifteen Evil-Breaking Swords』の一人、『King Slayer』と呼ばれていたlegend的なAssassinは、Zombieとなり呼吸と鼓動が止まった事でその隠密の技をさらに深めていた。


 それに気づける者は、奪還軍には一人としていなかったのである。


 そして、戦いの……茶番劇の段取りを伝えられ、今に至る。

 この茶番劇の目的は、RudelSauronが疑っているものとは、全く違う。それは……「奪還軍を適度に痛めつけ、しばらく手出しして来ないようにする事」だ。決して、全滅させる事ではないし、その軍事力を大きく削ぐ事でもない。


 Vandalieu達が、今まで旧Scylla Autonomous Territoryに侵入してきた者達を皆殺しにしてきたのは、それがAmid Empire軍だったり、mercenary団やNobleの私兵だったり、失われてもOrbaum Elective Kingdomの防衛力に問題が生じない敵だったからだ。


 しかし、今回Sauron Duke 家organizationした奪還軍は、ほぼOrbaum Elective Kingdomの正規軍で構成されている。これを皆殺しにしてしまうと、Orbaum Elective Kingdomの軍事力は下がり、Emperorが代替わりしたAmid Empireが動き出してしまうかもしれない。


 Vandalieuとしては、Sauron DuchyHartner Duchyは既に諦めている。諦めてはいるが、Amid Empireと国境を接しているSauron Duchyや、その南にあるHartner Duchyが戦争にlose占領されてしまうのは避けたい。


 それに、Alcrem Duchyとの秘密同盟を将来公にした時、他のDuke 家から恨まれるのも具合が悪い。他のDuke 家全てと良好な関係を構築する必要はないが、半分ぐらいは友好寄りの関係でありたい。


『もういっそ、Sauron Duchyを全部、坊主が占領したらどうだ? Amid Empireとの国境は、Boundary Mountain RangeGolemにして動かして、Sauron DuchyBoundary Mountain Rangeの内側に囲い込んで、物理的に遮っちまえばいいだろ』

『……この後も同じような事を繰り返すなら、それも考えましょう』

 BorkusDemon King Familiarがそう会話をしている間に、戦いは始まっていた。


「進めっ! 今日で旧Scylla Autonomous TerritoryUndeadを一掃するのだ!」

「恐れるなっ! 今まで進軍した者達が全滅してきたのは、戦力が足りなかっただけだ! 我等奪還軍の前に、Undeadなど敵ではない!」


 勇ましい事を叫び、号令を出して兵を鼓舞するCommanderたち。そうでなければ、奪還軍の士気は極限まで低下していただろう。

『おおぉぉぉん』

『お゛お゛ぉおおおおお!』

『おおおおおおおおおおん!』

 彼らの前に立ちはだかったのは、Knochenただ一人。ただ、その形状は旧Scylla Autonomous Territoryの境界線を何重にも守る、Skeletonの大軍勢だ。


 そのaccurateな数を、奪還軍の将兵は数える事は出来ない。ただ、自軍の数十倍、もしかしたら数百倍の数がいるのではないかと戦いている。

 そして、それは間違いではない。この時のために、Knochenは百数十万体のFissionを用意していた。


Skeletonに、Bone Animal、あれはPhantom Birdか? どれもRank3以下だが……あれほどの群れは見た事がない」

「俺はUndeadばかり出現するDungeonrunawayを見た事があるが、それでもあれよりは少なかったぞ。幾らザコばかりでも……」

 名声やDuke 家への仕官、激戦等、-sama々な目的で奪還軍に参加したadventurer達の声にも緊張が混じる。


「雑魚ばかりだと? idiotめ、よく見ろ。あのbloodのように紅いSkeletonBlood Beast、あっちの毒を滴らせているのはRotten Beast。どれも、DClass以下じゃ相手できないUndeadだ」

「それに、後ろの方にいるのはChimera Skeletonに、Ogre Skeleton……それに、Living ArmorZombieも幾つかいる。油断するな!」


 そしてBrabatieuValdiriaが、警戒を促す。一万以上の奪還軍全体に二人の警告が直接届く事はないが、『Alcrem Five Knights』である二人の発言には説得力があり、周囲の将兵やadventurerが勝手に伝達してくれる。

 それに、Undeadに詳しいKnightadventurerも奪還軍には加わっているため、他の場所でも同-samaの警告が成されている。


 なお、Blood Beastは【Demon King's Ink Sacs】から分泌した紅い塗料を被ったKnochenFissionRotten Beastは、【Breath【Poison】】を小さく吐き続けているだけのKnochenFissioncertainlyChimera SkeletonOgre SkeletonKnochenFissionである。


 ただ、Living ArmorZombieは……

『お゛あー』

『おおおおーん』

 Demon King Familiarである。それぞれ、ただ鎧を【Demon King's Fur】を糸のように使って操っている小型Demon King Familiarと、【scent gland】や【ink sacs】でDecompositionしているように偽装したDemon King Familiarだ。


『ぢゅおぉ、主達、黙っていないとばれますぞ』

 ただ、Bone Manが思わず忠告するぐらい演技力に難があるが。


Zombieの数が少ないのは、戦力を集めるため半年以上旧Scylla Autonomous Territoryに挑む者がいなかったからか」

「……そうでしょうな」

「それに、まだ『Reaper of the Former Scylla Autonomous Territory』も姿を見せてはいない」


 Vandalieu達が実際にはdespair的な戦力差があるのを、「戦力差はあるが、despair的とまでは言えない」程度に偽装しているのは、訳がある。

 あまりにdespair的な戦力差を見せつけてしまうと、Orbaum Elective KingdomHumanが「旧Scylla Autonomous TerritoryUndeadの群れをどうにかしなければ、我が国に未来はない!」とまで思い詰めてしまうかもしれないと考えているからだ。


 RudelSauronも考えている通り、Undeadを含めた普通のDevil NestsDungeonmonstersは、数が増え過ぎるとrunawayして外に溢れ出る。それが旧Scylla Autonomous Territoryで起こり、Sauron Duchyだけではなく、他のDuchyまでUndeadの群れに飲み込まれるのを恐れたElective Kingdomが、総力戦を仕掛ける覚悟を固められると、Vandalieu達にとってはかなり迷惑なのだ。


 なので、奪還軍には目的である旧Scylla Autonomous Territoryは取り戻せなかったが、Undeadにはかなりの痛手を与えた。だから暫くは大丈夫だろうと、暫くの間……出来れば数年間は安心してもらうのがVandalieu達の目的である。


 戦いが終わった後、またadventurermercenaryなど少数の侵入者が出るかもしれないが、そうした者達にはKnochenFissionの群れに相手をしてもらい、適当に追い返す予定である。


 だから、いきなり逃げられると困る。

「だが、このまま戦いもせず逃げ帰る事は出来ん。全軍前進! かかれー!」

 そんなVandalieu達の願いが叶ったのか、奪還軍のCommanderSauron DuchyPolbork Generalは意を決し開戦の号令を下した。


 掛け声を上げながら、対Undead戦に備えて用意してきたMagic SwordMagic Spearを構える将兵に、付与magicActivateさせるMageBrabatieuもその名の由来になった炎のMagic Swordを、ValdiriaMagic Axeを持って、Knight達を率いて前線に出た。


『おおおおーん!?』

 奪還軍のSoldierKnightWeapon Equipmentを振るうたび、ただのSkeletonなど下Class Undeadの擬装をしているKnochenFissionが切断され、バラバラになって飛び散る。


「おお! -chanと倒せるぞ!」

「当たり前だ! 相手は雑魚だぞ、いちいち喜ぶな!」

 奪還軍の将兵達は、一兵卒であってもRank4を一人で倒せるDClass adventurer相当の精鋭によって、構成されている。SkeletonBone Animal程度では、ひとたまりもない。


 実際には、Knochenweak boneで作ったFissionを砕いているだけなのだが。weak犯罪者のboneや、Vidal Magic EmpireMoksiの歓楽街で食料として消費された動物や低Rankmonstersboneが、主な材料だ。


『おおおお』

Zombieには火だ! 火で燃やせ!」

 Zombieの擬装をしているDemon King Familiarは、【Demon King's Blubber】から作った油を塗っているのでよく燃える。それで燃えたら倒れてじっとする事で、死んだ演技をしたまま待機。


 Living Armorに偽装しているDemon King Familiarは、鎧が適当に傷ついたら内部の小型Demon King Familiarだけ撤退し、金属鎧の残骸だけを残す予定だ。

 こうして、「それなりにUndeadを間引く事が出来た」と奪還軍の将兵に認識させる。


『ぢゅおおおおお!』

 だが、舐められてはいけないので、それなりの被害は与える。

「こ、このSkeleton強ぇ! 俺の剣が通用しない!?」

「CClass以下じゃ足止めにもならない! BClass adventurer以上の奴で囲んで倒すぞ!」


 それがKnochenの中に混じっていたBone Manの役割である。

『ヂュオオオオオオオ!』

 雄叫びを上げ、剣を振るい、奪還軍の中でも強い上Class adventurerを複数相手にしながらも、一方的に攻め続ける。


(ヂュオォォ、思えば私も、強くなったものだ)

 上Class adventurer達の剣が、槍が、あまりに遅い。振り降ろされる槌が、あまりに脆い。AClass adventurer未満とは、戦いらしい戦いをするのは難しい程、Bone Manは強くなっていた。


 だが、Bone Manは上Class adventurer達を故意に殺しはしない。死んでもおかしくない程の重傷は負わせるが、彼等も歴戦の猛者だ。そのbody partは見た目より頑丈でVitalityも豊富だ。heartや頭部を貫き、首を切断するような事をしなければ、すぐには死なない。

 そして重傷を負えば仲間がfollowし、後ろに下げて回復させる。Bone Manの周りに居るのは、それが可能な者達だ。


『おおおおおおおん!』

『ヂュオオオオオ!』

 そしてcertainly、死者や重傷者が一人も出ないよう、赤子をあやすように優しくして、それを隠せるほどの演技力はない。Knochenは雑魚にCamouflageしているFission以外は、ちょっとしか手加減しない。当たれば盾の上からでも腕のboneを砕くような強力な攻撃を放つ。

 Bone Manも、相手の腹や胸を貫き、四肢を切断するつもりで剣を振るっている。


 それで死者や再起不能者が出過ぎないように調整するのが、死んだふりを続けているDemon King Familiarの役割である。

 Slash飛ばされた手足を回収できるよう、飛ぶ方向を【Telekinesis】で調整し、致命傷を負った者に【Death Delay】のmagicをかけて治療が間に合うようにしている。


(あ、あいつは別にいいか。あれも、どうでもいい。あっちは……特に見殺す理由はないので死なせなくていいかな)

 そして、BrabatieuValdiriaの情報から、Vida's New Races狩りに熱心なadventurerKnight、素行の悪い mercenaryを選んで見捨てる。


 Vandalieu達はOrbaum Elective Kingdomの防衛力を弱めたくないから、余計な恨みを買いたくないから、茶番劇を演じているのであって、死んでも防衛力にさほどimpactがなく、恨みを買っても構わないと判断した相手まで助けるつもりはない。


 今行われているのは、Vandalieu達が圧倒的に強いから彼らの都合で勝手に手加減をしているだけの、殺し合いである。そのため、遠慮なく見殺しにする。

 とはいえ、積極的に殺す訳ではない。Vandalieu達は何もしないだけだ。運が良ければ、本人に窮地を切り抜ける才覚があれば、生き延びるだろう。


「質もそうだが、これ程の数の差はどうにもできないか……まさかこれ程の数のUndeadが旧Scylla Autonomous Territoryに巣食っていたとは!」

 Bone Manだけではなく、KnochenFissionに囲まれて袋叩きにあい、必死に後退する将兵が出始めている事を伝令から知らされ、Polbork Generalはそう情報不足を嘆いた。


「ですが、Polbork General、奪還軍の働きにより我々の数倍の数のUndeadを倒す事に成功しました!」

 そこで、Alcrem Duchyから派遣されたMage……『Knight of the InsightRalmeiaの部下がそう進言する。

「たしかに……ここはUndeadの間引きに成功した事と、この情報を戦果にし、戦略的撤退を図るべきではないかと」

 そして、それに他のDuchyから派遣された参謀やCommanderなども同調した。


 彼等はSauron Dukeの求めに応じた各Dukeから派遣されたが、死ぬまで奪還軍に付き合うつもりはない。勝ち目があるなら命をかけて戦うが、勝ち目のない戦いで犬死する気はなかった。

 そして、Polbork Generalが撤退するか迷う数秒の間に、三人と少々の最後の一人が動き出す。


『ウオオオオオオ! 死にたい奴から、かかってきやがれ!』

 Boundary Mountain Rangeに轟くような咆哮をあげ、怖いもの知らずの猛者も震え上がらずにはいられないbloodthirstを発しながら、『Reaper of the Former Scylla Autonomous Territory』が現れたのだ。


「し、死神だ! 『Reaper of the Former Scylla Autonomous Territory』が出たぞ!」

「狼狽えるな! 隊列を維持し、重装Knightが押さえている間に、矢とmagicによる遠距離攻撃で対応しろ!」

「ダメです! 奴の黒い鎧は、生半可なmagicでは貫けません!」


 Rank13以上のDemi-GodTrue giantとの戦いに勝利したBorkusにとって、BClass adventurer相当以下の敵は、既に敵ではない。適当に手足を振り回していれば、小石のように吹き飛ぶ脆弱な存在だ。

 【Demon King Fragment】製の鎧に生半可な矢や攻撃magicは通じず、運よく鎧の隙間を貫いたとしてもBorkusにとってはneedleの先で、ツンツンと軽く突かれたのと変わらない。痛みどころか、痒いだけだ。


 そして走り込むだけで、重装備のKnight達はBallか何かのように弾かれて転がっていく。


「伝令! 『Knight of Roaring FlamesBrabatieu -donoが討たれました!」

「何だと!?」

 奪還軍に追い打ちをかけたのが、『Alcrem Five Knights』の一人、AClass adventurer相当の実力者であるBrabatieuが、戦死したとの知らせだった。


「あの特に強いSkeletonから、adventurer達が撤退する時間を稼ぐために一人で-donoを……最後は胸の中心を貫かれ、壮絶な最期を遂げられました!」

「そんな……『Knight of Roaring Flames』が……!」

 Ralmeiaの部下のMageは、己の演技力を最大限に発揮して悲痛と怒りが混じった表情を浮かべる。


「死神は、今Valdiria -donoTransformation EquipmentActivateさせ、何とか抑えこんでいます!」

「……General、どうかご決断を!」

 次に駆け込んで来た伝令の報告と、Ralmeiaの部下のMageの進言に、Polbork Generalはようやく決断を下した。


「全軍撤退! -donoは犯罪Slaveの決死部隊と、我がSauron Duke軍で行う! Valdiria -donoの救援に向かえ!」

 こうして旧Scylla Autonomous Territory奪還軍の戦いは終わった。死者行方不明者は百数十名と、一万人以上の軍が敗退したにしては信じられない程少ない被害だったが、重傷者が数千人。手足を切断され、高価なpotionや難しい回復magicで繋ぎ合わせなければ再起不能になっていた者達が、何百人といた。


 また、死者の中に『Knight of Roaring FlamesBrabatieuがいた事が、大きな衝撃を持って各Duke 家に伝わった。

 Commandingを執っていたPolbork Generalを死者を抑え、旧Scylla Autonomous Territoryの貴重な情報を持ち帰った事で評価する者がいる一方、「戦果は将兵が有能だったからで、Polbork Generalの有能さによるものではない」と評する者も少なくなかった。


 結果的にこの戦いでSauron Dukeは旧Scylla Autonomous Territoryの僅かな(その上偽装された)情報を手にし、Undeadを数万匹間引く事が(意味はないが)出来たという戦果を得た。その代償に、各Duke 家への借りがさらに膨らみ、Polbork Generalの評価を落とした。


 Alcrem Duke 家Brabatieuを失い、Valdiriaも両腕を切断され復帰までに長期の療養を余儀なくされたが、その勇猛な戦いは奪還軍に参加していた将兵によって称えられ、「金勘定ばかりが得意な弱兵の集まり」と揶揄されていたAlcrem Duke軍の評価を一新させた。


 また、Valdiriaが死神との戦いで使っていたTransformation Equipmentの性能も各Duchyに伝わった。




「……heartを貫かれるというのは、死ぬほど痛いものだな」

 Bone Manの剣に胸を貫かれていたBrabatieuは、鎧に空いたままの穴に手を当てながら、そう感想を口にした。

『首を刎ねた方が痛みは少ないが、それだと主のmagicでも一時間ぐらいしかもたないので、heartにした』

「【Death Delay】のmagicか……下手な治癒magicより凄まじい。しかし、儂を貫いた後、そのまま掲げるのはいかがなものだろうか? boneが削れた気がするし、あの時が最も痛かったぞ」


『ぢゅう、お前を殺した事をappealするためだ。文句を言わないでくれ』


 討死にした事になっているBrabatieuは、当然だが、死んではいなかった。足元に転がっていたDemon King Familiarが彼に【Death Delay】のmagicをかけ、そのconditionBone Manが剣でheartを貫いた。

 傍から見れば致命傷で、動かなくなったBrabatieuは討ち死にしたとしか思えなかっただろう。だが、実際はこの通りだ。


 後は奪還軍が撤退するのを待ってBlood potionで治療すれば、元通りだ。


「これで我がAlcrem Dukeは、Sauron Dukeからの援軍の要請を断る口実が出来た。感謝する。しかしValdiriaがあのような珍妙な格好をするとは……」


『その珍妙な格好になるEquipmentdesignした俺が、これからあなたに術を施すのですが?』

「うっ! 失礼した! しかしValdiriaも『若い子女がするような格好を自分が、それも部下のKnightの前でするのは』と抵抗していたはず!」

kaa-sanが勧めたら、掌を返したじゃないですか』


 そう言いながらBrabatieuに迫るDemon King Familiar。その足元に広がるshadowから、Vandalieu main bodyが這い出す。

 さらに、midairに浮かぶchunk of meat……Legionが出現した。


「さあ、【Youth Transformation】と整形Surgeryのお時間です」

『これからあなたは、事前の打ち合わせ通りBrabatieuの隠し子の、Brabatieu Juniorとして生まれ変わるのよ』


 表向きは死んだ事になったBrabatieuだが、それではAlcrem Duchyで緊急事態が起こった時主-kunの国のために動けない。そのため、六十代の壮年から二十ageの青年に若返り、「先代Knight of Roaring Flamesの隠し子」としてAlcrem Duchyに戻るつもりなのだ。


 この事はTakkardAlcrem Dukeや他のFive Knightsとその直属の部下、そして彼のfamilyも知っている。

しかし、本当に若返る事が出来るのか? まさか儂を騙すつもりで……ア゛ァー!?」

「はいはい、審査の時間が迫っているので手早く済ませますからね」

『あんまり疑うようなら、目や鼻を増やしちゃうわよ?』


 こうしてBrabatieuは、VandalieuLegionIsisによって、二十ageの若いBodyを取り戻したのだった。


『生きてるって、思ったより大変なもんだな』

『ヂュウ。我々は死んでいて良かったですな』

『おおーん』




 旧Scylla Autonomous Territoryでの戦いとBrabatieuへの施術が終わって暫く経った頃、Orbaum Elective KingdomElected King領。首都Orbaumの門では審査が行われていた。


 これは初めて街に入るTamerが、きちんとTamed Monsterを躾けているか確かめるためのもので、たとえ他のDuchyでは実績のある名高いTamerだとしても、親がHonorary Nobleであっても免除する事は出来ない。


「ほ、本当に大丈夫なんだな?」

 Guardが今その審査のため、軽く殴ろうとしているのは一見すると半裸の美女としか思えないmonstersだった。

 三十代になってすぐか数年か。年増と感じる者もいるだろうが、Guardとしてはむしろ好みのageだった。十代の娘にはない艶があり、体つきも豊満。しかし、太っている訳でも垂れ下がっている訳でもない。そして顔つきは、彼が今まで見た事がある女達の中でも、top classの美貌。


 見かけたのが娼館だったら、生活費を切り詰めても通ったかもしれない。

『おやりよぉ』

 しかし、その肌は白でも黒でもなく緑色で、body partを隠しているのは服ではなく植物の葉。そして、背中から木の枝が生えている。


 Eisenという名の、植物型のmonstersらしい。

 植物型のmonstersといえば、虫型やUndeadmonstersとは違いTamerは可能だが、難易度は他のmonstersより格段に高いはずだ。特に、知能が高いracemonstersは。

 しかし、あのTamerは「Tamerしている」と言い張っている。そして、実際Eisenは大人しく彼の指示に従っている。


 審査を待つ列に並んでいる間も、troubleは起こしていない。他の商人や旅人を怯えさせることもなかった。……単に、商人や旅人がEisenmonstersではなく、変わった格好をしているHumanだと思い込んでいただけだとしても。

 それに、Honorary Nobleyoung childTamerでも審査はしなくてはならないが、逆に「Tamerが難しいのが常識とされている植物型のmonstersだから、審査しない!」と審査を拒否していいとも、法律には記されていない。


 そもそも、常識とされている事が絶対正しいとは限らないのだ。Alcrem Duchyでは、monstersである事が常識だったGhoulを、Vida's New Racesであるとする改革が進んでいるらしいし。

 なので、この審査を行う事にGuardである彼は異論を持ってはいない。


 しかし、問題なのは……。

「本当に、大丈夫なんですね!?」

 彼の背後で、凄まじいbloodthirstを放っているTamerの少年である。


「大丈夫です! 私達が抑えている間に、早く!」

「うおおおおっ、持ってくれっ、俺の腕力ぅぅぅっ!」

「わたし達の心配はいりません! それよりも、早く!」

 その少年、Vandalieuを抑えつけているDarciaSimonMiriamの必死の叫びに応えるように、Guardは軽い、本当に軽いjabEisenに放った。


 なお、彼以外のGuardVandalieuが放つbloodthirstのせいで、faintedしている。自分もfaintedしたかったと思う彼の拳は、Eisenに何の痛みを与える事はなく、審査は無事終了した。




Name: Bone Man

Rank: 14

Race: Skeleton Blade High Kaizer

Level: 85

Title: Roaring Flame Slayer】(NEW!)


Passive skills

Dark Vision

Monstrous Strength:5Lv(UP!)

Augmented Attribute Values: Loyalty:5Lv(UP!)

Spirit Form:10Lv

Strengthened Attribute Values: Mounted:8Lv(UP!)

Self-Enhancement: Creator:10Lv(UP!)

Self-Enhancement: Guidance:10Lv(UP!)

Physical Resistance:4Lv(UP!)

Murder Healing:5Lv(UP!)

Strengthened Attribute Values: Ruling:5Lv(UP!)

Enhanced Body Part : Bone:7Lv(UP!)


Active skills

Hollow Bone Swordsmanship:7Lv(UP!)

Bone Shield Technique:1Lv(Shield Technique awakened into!)

Archery:9Lv(UP!)

Silent Steps:4Lv(UP!)

Coordination:10Lv

Commanding:7Lv(UP!)

Bone Armor Technique:2Lv(Armor Technique awakened into!)

Mount:7Lv

Long-distance Control:10Lv

Aura of Fear:8Lv(UP!)

Parallel Thought Processing:7Lv(UP!)

-Surpass Limits-:10Lv(UP!)

Familiar Spirit Demonic Advent:3Lv(UP!)

Surpass Limits: Magic Sword:3Lv(NEW!)


Unique skill

Bone Blades

Xerx’s Divine Protection

Vandalieu’s Divine Protection

Rojefifi’s Divine Protection(NEW!)


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