<- Previous | TOC | Next ->
Special thanks to MBA and the Users from the LBN #spoilers Discord. Without them this would not be possible.

Chapter 308: 増えるChampionと思い悩む……

 『God of Law and LifeAldaは、自身が創りあげたDungeonの最下層……誰もいなくなった階層に佇んでいた。

 この最下層は、眠りについたBellwoodを守るために創られたspaceであるため、半ばDivine Realmと化している。そのため、神である彼も存在する事が出来た。


『……』

 いや、accurateにはこの階層にはAlda以外にも神が存在しており、Aldaもただ佇んでいたのではない。

 彼は、憎々しげにその神を……Dungeonの壁にsealedされた『Evil God of Sinful ChainsJyarodeepsを睨みつけていたのだ。


『汚らわしき侵略者め……Bellwoodにいったい何を見せ、何を吹き込んだのだ?』

 自身が選んだChampionであり、『Heroic God』にまで至った、自らの勢力の最大戦力であり、象徴であり、誇りである存在。目覚めた彼と再会した時、AldaBotinPeriaVida側についた時に覚えた失望を掻き消す程の喜びと希望に満ち溢れた。


 BellwoodGodsを、HeinzHuman達を率い、力を結集して戦う事でVida's Factionとの……Vandalieuとの戦いに勝つ事が出来る。多大な困難と大きな犠牲を払う事になるだろうが、それでも希望は潰えない。

 Demon King Guduranisとその軍勢と、worldの滅亡を防ぐために戦った時のように。


 しかし、目覚めたBellwoodは以前の彼とは別人のようになっていた。

『あれだけ満ち溢れていた自信に、他者を引っ張る熱意、そしてどんな状況でも我々を奮い立たせてくれたcharisma性……それがまるで無くなっていた。あれでは己が無力である事を悟りきり……いや、自暴自棄になった敗北者か、全てを諦めた世捨て人のようだ』


 目覚めたBellwoodは、Alda達に自分が間違っていた事、そしてこれから自分はHeinzの意思に従う、彼のただの力となる事を宣言した。

 たしかにHeinzは優れたHumanであり、敬虔なbelieverであり、間違いなく今世最大のHeroの一人だろう。五万年以上眠っていたBellwoodを目覚めさせたその偉業は、歴史に刻み永遠に称えるべきものだ。


 しかし、だからといって、Bellwoodが自身の意志を放棄して全ての判断をHeinzに任せるとは、Aldaには考えられなかった。

Bellwoodは自信に満ち溢れ、自ら先頭に立つ事で皆を奮い立たせる事に優れていたが……思えば、どんな時でも自ら先頭に立ちたがることが、唯一の欠点だったのだから』


 まだこのworldに来たばかりの、immatureだった頃から、Bellwoodは皆の中心となり、周りを引っ張ろうとした。あの頃はAldaBellwoodに苦言を呈した。だが、彼はすぐに主張に見合う実力を身に付けたため、Aldaも自分が彼の実力を見誤ってしまったのだと思い、今まで忘れていた。


 だが、それが五万年前の『Evil God of Sinful Chains』への敗北……真実が伝わった時、人々の動揺の大きさを考慮し、相打ちとして広めたが……に繋がったと考えられる。

 Heroic GodとなったBellwoodは圧倒的な力を持っていたが、それでもHeroic spiritや、他のGodsが随伴していれば、彼が『Evil God of Sinful Chains』のDivine Authorityを受ける事はなかったかもしれない。


 そう考えれば、Bellwoodの短所が一つ減ったと言えるのかもしれない。

しかし、何故Vida's New Racesを邪悪と断じたのか我らに語り、それは間違いだったと言うのは……いったい何故なのだ?』

 今でこそ、Alda's FactionではStatusRankを持たないVida's New Racesの存続を認めているが、十万年前は全てを絶滅させる事が、このworldの秩序を守る、つまりこのworldのためだと考えていた。


 実際、今でもAldaは本音ではVida's New Racesは例外なく、最終的には絶滅させるべきだと考えている。Beast raceVampireも、Giant raceMajin Raceも、そして自身に祈りを捧げる者だったとしても、等しく根絶やしにしなければ、これまで犠牲になって来た者達が浮かばれない。


 順序や、その時期に対しては柔軟に対応する事もやぶさかではないが。例えば、Heinzが保護しているDhampirShoujoは、寿命で死ぬのを待つとか。


 しかしbeliever達はVida's New Races-sama々な形で共存するようになってしまった。良き隣人として、都合のよいSlaveとして、労働力や戦力として、国によっては為政者や戦力としてVida's New Racesは必要とされている。


 だから、Nineroadの働きかけをきっかけに認め、RodcorteCircle of Reincarnation systemRankを持たないVida's New Racesを加えるよう、demandした。

 仕方のない事だった。Vida's New Racesとは共存せず、戦い続けるよう人々を正しく教え、正義にGuiding事が出来なかった自分自身の責任だと、無力感を覚えずにはいられなかった。


 Bellwoodが最も嫌うはずの、理想への妥協をしてしまったと。

 だが、そのBellwood本人がその事を知っても、何も言おうとしない。いや、反応すらしなかった。


『あれでは、主体性を失った、自失したまま動いているだけのconditionではないか。Jyarodeeps! 貴-samaは、Bellwoodにいったい何をしたのだ!?』

 再び込み上げてきた怒りと苛立ちのままに怒鳴るが、Jyarodeepsは当然答えない。完全にsealedされているのだから、Aldaがどれ程怒鳴りつけても、その声すら届かない。


 いや、sealedされていなくてもJyarodeepsAldaの問いに、素直に答えたとは限らないが。

(【Pile of Law】を打つ度に、screechではなく高笑いをあげるような狂った神だ。苛立ちをぶつけても、虚しいだけか)

 実際には、Jyarodeepsは狂っていた訳ではない。『LambdaworldGodsにしか効果がない【Pile of Law】を打たれる……つまり、Alda自身のDivine Authorityによって『Lambda』の神の一員であると証明されている事が滑稽だから嗤っていたのだ。


 しかしAldaはそれに思い至る事はなく、身を翻して、Jyarodeepsが封じられた壁に背を向けた。

Bellwoodは、まだpsychological傷が癒えていないのだ。Heinzbody partに降り、新たなDemon KingであるVandalieuを倒す事によって、かつての自分を取り戻すに違いない。

 そのためにも、Heinzに何故我等がVida's New Racesを認めなかったのか、説明しなければならないが……』


 今、Bellwoodが全ての判断を委ねているHeinzを教えGuiding事こそが、Bellwoodが自分を取り戻す事へ繋がるはずだ。

 しかしCircle of Reincarnation systemについてどう説明するかが難題だった。Circle of Reincarnationについては、Humanに教えてはならないと、Alda自身が定めていたからだ。


 これはDemon King Guduranisがこのworldに現れる前、全てのGreat Godで決めた事だ。

 何故Humanの知識を制限するのか。それは、知識を得たHumanはその知識を活かして、人のまま神の業を使えるまでに至ってしまうからだ。

 それまでに何百年、何千年という膨大な時間が必要になったとしても、いつか達してしまう。


 もっとも、既に知識を与えられるまでもなく、Vandalieuがその段階に至ってしまっているのだが。

『さて……』

 Heinzにどう説明するか思案しながら、Aldaは一旦Divine Realmに戻るためにDungeonから姿を消した。

 Dungeonには、Jyarodeepsshadowだけが残され、鎖の音がなくなった階層は沈黙に包まれた。




 Demon KingContinentVandalieuが創りあげた、まだnameの無いSClass Dungeon。そこには、Vidal Magic Empireが誇る精鋭が集まっていた。

 『Sword KingBorkusに、『Magical GirlZadiris、『Saintess of HealingJeena、『Tiny GeniusZandia、『Giant SplitterBasdiaBone Man、『Death Axe KingVigaro、『Loyal Dog of the Eclipse EmperorEleonora、『The Eclipse Emperor’s HoundIsla


 そして、最後尾にDungeonの制作責任者のVandalieu。今回は、Dungeonの難易度を確認するのが目的なので、非常事態以外では彼は戦闘に参加しない予定だ。


 総力を結集すれば、同じ数のDemi-Godにすら勝ってみせる彼等の顔には、一-samaに緊張が浮かんでいた。

『ぢゅ、もしかしてこの中でsecondary nameが無いのは私だけ……?』

『まずはTransformしとけ! 五階層の中ボスまで一気に駆け抜けるぞ!』

「うむ、時間との勝負じゃからな」


 Borkus達はTransformation EquipmentActivateし、そのまま駆け出しDungeonに入った。その途端、背後から重い音が響く。

「今のは?」

『このDungeonは、合計十人以上入ると入り口が閉まっちまうんだ。certainly、外のmonstersも込みで』

『閉まるって言っても、内側からは開くから閉じ込められた訳じゃないけど、普通なら援軍や救援を呼ぶのは無理ってこと』


 Vandalieuの質問に、JeenaZandiaが答える。その間にも、一行はDungeonの中を進んで行く。

 階層は、どれも造り自体はsimpleだった。草原、森、氷原、光が全くないDark night。環境的な厳しさはあるが、それはBClass以上のDungeonでは珍しくもなんともない。それに、Dungeonの外のDemon KingContinentの自然の方が、余程過酷だ。


 それに、『Trial of Zakkart』のような謎かけも設定されていない。

 出現するmonstersはどれもRank10の大物ばかりだが、それぐらいならAClass Dungeonでも出現する。


 今のところは、SClass Dungeonとして考えるなら難易度は低すぎるぐらいだ。実際、Borkus達は特に苦戦する事もなく、一方的にmonstersを倒して進んで行く。

 だが、そんな感想は五階層の中ボスが出現するroomを見た瞬間、掻き消えた。


「グオオオオオオオオオオオ!」

 正面に、Rank14相当のmonsters……炎とcold、そして電撃と首毎に異なるattributeManaを発しているDragon、仮名トリプルHead Dragon King


『『ウオオオオオオオン!』』

 その左右には、Rank12相当のAdamantiteGIANT Golem Knightや、miasmaに汚染されたManaの塊である狂えるAnima王、砦すら噛み砕く海の暴食王、Gigant Flying Shark


『…………!』

 それらのrearguardには、femaleの頭部に獅子のbody partを持つmonstersRank13相当の仮名、スフィンクスWizard Empressが呪文を唱えている。


 ちなみに、nameの前に仮名とついているのは、Demon KingContinentで発見されたためまだ正式な名称が定められていないmonstersだからである。


「……ここって、中ボスのroomですよね?」

「ああ、その通りなんだが……どうやら、侵入者を何らかの方法で感知したDungeonボスや、もっと下の階層にいるはずの中ボスが、階段を上って集合して、partyを組むようだ」

『それを防ぐために、急いでたんだが……間に合わなかったみたいだな』


 Vandalieuの質問にVigaroBorkusが、苦々しげに答える。それで、Vandalieuは自身が作ったDungeonの感想が、「Bugってる」だった意味が分かった。


「間に合わなかった以上、仕方がない! kaa-sanZandia、援護を!」

「おう! 何としても、あの女帝気取りのスフィンクスを倒すのじゃ!」

Zadiris、それはちょっと私怨入ってない?』


 Basdia達は雄々しく戦った。数では彼女達の方が上で、body partの大きさはともかく強さも互以上。そして、Vandalieuは直接戦闘には加わらないが、近くにいるだけで【Mass Strengthen Adherents】等のskillActivateし、Ability ValuesEnhanced (1)される。


 しかしDungeonボス達も仲間同士上手くCoordinationし、簡単にはやられない。本来なら同じ戦場にいれば、お互いに殺し合ってもおかしくない。知能は高くても仲間意識は存在せず、狂えるAnima王に至っては小指の爪の先ほどのreasonすらもたない。

 それなのに、高度なteam playで最後まで粘り強く戦い抜いた。


 致命傷を負うと、まだ傷の浅い仲間を守るために我が身を盾にしたり、かと思うと特攻を仕掛けてきてそのまま自爆したり、monstersとは思えない戦法を実行してきた。

 そうした激戦の後、Vandalieumonstersの残骸から素材を回収するのを手伝いながら言った。


「なるほど、これは確かに難易度がBugってますね」

 中ボスのroomに他の中ボスやDungeonボスが集まり、待ち構えているのもそうだが、熟練のteam play以上のCoordinationに、我が身を厭わぬSelf犠牲まで発揮する戦法を取るのも異常だ。


 普通のadventurer partyなら、対応できずにloseしまっていただろう。

「そうでしょう。それで、最初はVan -samaDungeonmonstersに、Demon KingContinentmonstersの魂が勝手に入っておかしくなったんじゃないかって話していたのだけど、どう?」

 EleonoraGolemの残骸からMagic Stoneを発掘しながら、そう尋ねる。Vandalieuは、辺りを見回してから、彼女に向かって首を横に振った。


「いえ、あのmonstersに魂は宿っていませんでした。……まあ、miasmaに汚染されたManaの塊である狂ったAnimaや自然発生したGolemには、魂は無いのが普通ですけど」

 中ボスのroomには、Vandalieuが連れて来た霊だけで新たに発生したmonstersの霊の姿はなかった。


 霊達がVandalieuに気がつかれる前に、Reincarnationの輪に還ったと言う事はないだろう。死んだ瞬間は殆どの場合、無防備なのだから。

『なるほど。魂が無いなら、逆に納得できるわ』

 Islaがそう言いながら、Vandalieuの近くにやってくる。


DungeonRefiningされただけで、同じ群れでもなんでもない別種のmonsters同士なのに、あれだけのCoordinationSelf犠牲を発揮できるなんて、egoInstinctがあったらまず不可能よ』

「人形のようなconditionだからこそ、と言う事ね。でも、何故その人形にそんな事が出来るのかしら?」

 EleonoraIslaに同意しながら、彼女よりもVandalieuに近寄ろうとする。


 そんな二人に加わるように、Vandalieuの背後にGufadgarnが出現する。彼女はspaceの歪みの中に潜む事で、Dungeonの人数制限をすり抜ける事に成功したのだ。

「おそらく、VandalieuがこのDungeonCreationする際に込めた思念、『難易度の高いDungeonであれ』というdemandが、Dungeonで発生するmonsters達への不可逆な命令として機能しているのではないかと。

 魂を持たぬ人形に、発生した瞬間から絶対の命令に従わせるとは……さすが、偉大なるVandalieu


 無表情のままなので分かり難いが、彼女をよく知るものには陶酔を瞳に浮かべている事が見て取れる。GufadgarnがそうしてVandalieuを称えていると、その彼から生えるようにして、銀髪で片目が蛇のように縦長の瞳をしたfemale Butlerが現れた。

しかし、既にDungeonボスを倒した今、このDungeonは将のいない砦も同然なのでは?」

「確かに、今は他の中ボスやボスroomはもぬけの空でしょうけど……それよりあなた、何処にいたの?」

Vandalieu -samashadowの中にいたのか?』


shadowの中に近いですが、accurateには旦那-samaの【Body World】の一つで待機しておりました」

 Vandalieuが【Qliphoth】に就いた事で獲得した【Body Worldskillの効果、それは文字通り体内にworldと評する程ではないが、特殊な十のspaceを持つ事が出来るようになるというものだった。


 一つ一つのspaceの広さはMoksiの数倍の広さがあり、space内部では外と同じように活動する事が可能。内部の用途も、Vandalieuの意思で決定できる。

 もっとも、今のところは十の内三つしか使っていないが。


「一つは私達には立ち入り禁止となっているので分かりませんが……後はDemon King Familiarをストックするためのspaceと私達が待機するためのspaceにしてくださいました。

 出入りは【Group Shadow Binding Technique】と同じように旦那-samashadowからとなるので、見た目は変わりませんが」


『俺は、Space-Attribute Magicは使えませんからね。残りの七つの用途は、現在検討中ですが、一つはもしもの時のShelterにしようかなと思っています』

「随分変わったskillを獲得したな。しかしShelterと言う事は、もしもの時は国ごとVanの中に避難する事も出来るのか」


『なるほどね。国とは民なのだって、昔の賢い王-samaは言っていたらしいけど、陛下-kunの場合は国とは陛下-kunなのだって感じになるんだね』

Demon King Familiarがいっぱいいるspace! 興味あるなー、Demon King Familiarって結構可愛いのが多いから』

 ZandiaVandalieuの体内の、あらゆる物がVandalieu、つまり【Demon King Fragment】で出来ている漆黒のVandalieu Kingdomを思い浮かべたが、Jeenaは多種多-samaな異形のDemon King Familiarで埋め尽くされているspaceを思い浮かべていた。


「たしかに……とnodと、Lucilianoに、その感性はうちでしか通じないとかなんとか言われるのじゃろうな」

『おーい、そろそろ先にいかねぇか? あと、坊主って、-chanとお前等の間にいるんだよな?』

「先程から、Vandalieuの肉声が全く聞こえないぞ」

 ワイワイと雑談に興じるfemale陣に、残った右半分の顔を半眼にしたBorkusと、Vigaroが声をかけた。


 ちなみに、Vandalieuにもその声は聞こえていたが……female陣のCenterで圧迫されていたので声を出せず、Telepathyで『呼吸は出来ているので、大丈夫です』と返事をしていた。


「そんなに急がなくても良いのでは? Dungeonボスはもう倒してしまったのですから」

 Dungeon内のmonstersは、中ボスやボスも含めて倒されても再び発生する。しかし、それまでには時間がかかるのだ。再び発生するまでの時間は、weak monsters程短く、強いmonsters程長い。Dungeonボスとなれば、EClass Dungeonのボスでもなければ、一度倒せば数日間は発生しない。


 SClass Dungeonなら、数か月以上そのままでもおかしくはない。

 だから、Bellmondの意見も普通なら尤もなのだが……。


『ヂュオォ、いいえ、油断は出来ないのです』

『ああ、Bone Manの言う通りだ。このDungeonはな、中ボスもDungeonボスも半日くらいでrevivalしやがるんだ』

Demon KingContinentmiasmaが濃すぎるからか、それともやはりVandalieuが込めたManaが膨大だったからか、定かではないがこのDungeonはやはり特別らしい」


 しかし、やはりこのBugっているDungeonは例外だったようだ。

しかも、それを他のDungeonmonstersも分かっているのか、ボスがrevivalするまでの時間を稼ぐため、我達の足止めをするために立ちはだかるのだ」

『耐久力に優れたmonstersが徒党を組んで壁となり、遠距離攻撃が得意なmonstersは遠くから攻撃しては逃亡するHit & Runを繰り返す……』


『ともかく、今の内に出来るだけ急いで奥まで行かなきゃならねぇ。中途半端に時間をかけると、revivedボスと中ボスが、上下の階層から殺到して挟み撃ちにされるからな』

 口々にそう語るVigaroBone ManBorkusの言葉を聞いて、Vandalieuは自分が創ったDungeonが、『Trial of Zakkart』とは方向性は異なるが、難易度が高すぎると思い知った。


 しかし――。

『じゃあ、今回はこれで帰りましょうか。Dungeonボスまで倒せた事を考えれば、間引きは十分でしょう』

 Dungeonの攻略ではなく、monstersの間引きという点で考えれば既に十分な成果が出ている。ボスのrevivalが早いので、Dungeonrunawayするまでの時間も通常より短いだろうが……その分、Demon KingContinentmiasmaを消費しているはずだ。


 そう考えると、百階層近い階層を最下層まで進み、Dungeonボスを倒す手間をかけなくて良い分、手軽なDungeonなのかもしれない。……攻略者側に相応の実力と数がなければ、すぐに圧殺されてしまうが。


『まあ、そうするか。revived中ボスに追われながら、Dungeonを攻略するのもThrillがあって面白れぇが、総力戦も中々楽しめたしな』

 Borkusもそう同意したので、今回は五階で攻略を中断して帰還したのだった。




 まだ名noneのSClass Dungeonから帰ったVandalieuは、VigaroBasdiaから相談を受けていた。

「最近、Zadiris-sama子がおかしい」

「このところ、Job change roomの前で行ったり来たりを繰り返し、かと思えば何かを呟きながら座り込んだりする事が多くなった。おそらく、またJob change可能なJob Candidateが、姫とつくものしか出ないからだと思うが……」


「そこまで分かっているのなら、もう解決するのではないでしょうか?」

 Jobraceが姫ばかりである事に悩み、現状を打破しようと足掻く、Ghoulの最Elder Zadiris、三百age

 Vandalieuとしては、別に姫でもいいのではないかと思うが、彼女にとっては重大かつ諦め難い問題であるらしい。


「まあ、俺も彼女の気持ちは分からない訳ではありません。きっと、machoになりたくてもなれなかった時の、俺と同じなのでしょう」

 どんなに筋トレをしても、全く太くならない腕。どれだけ食べても、肋boneが浮き出そうな胸部。背筋や腹筋を繰り返しても、Arthropod Legsは生えても、一向にmuscleが盛り上がったり割れたりしないBody


 これは努力や食生活でどうにかできる問題ではなく、生まれついての限界ではないか。そう、頭のどこかでは考えつつも、諦める事は出来なかった。【Demon King's Muscles】を獲得するまでは。

「いや、それとはちょっと違うような気がする。解決方法も含めて」

「……そうですか」

 しかしBasdiaにあっさり否定されて、肩を落とすVandalieu


「ともかく、新しいJobを出すためだけに、変な事をし出す前に、諦めさせてJob changeをさせたい」

 Job change可能なJobは、常に新しいものが出続けるとは限らない。Joblevelが百に到達しても、skilllevelが低いままで、新しいJobが出現する条件を満たせなかった場合は、何も出ない事もある。


 そこで、新しい武術やmagic等のskillの獲得を目指して、それまでとは異なるJobを出そうと試みる者は多い。

 このworldでは新しいJobに就かないと、Ability Valuesの成長やskill補正の面で不利になる。だから、当初の希望とは異なっても、とにかくJobに就こうとするのだ。


 一説には、そうした試みの結果、magicと剣や詩を同時に扱う【magic Knight】や【吟遊Mage】、【Unarmed Fighting Technique】に優れた【Thief】の【闘賊】等のJobが発見されたとされている。


「……まあ、変な事といっても、Zadirisなら大丈夫だと思いますが、ちょっと声をかけてきましょうか」

「ヴァァァァン!」

 Vandalieuが頷いて、今頃Zadirisが奇行を繰り返しているだろうJob change roomに向かおうとしたら、そこにKanakoが駆け込んで来た。


「聞いてくださいよ、Van! あたし、『Champion』になりました!」

「おー、それは凄いですねー」

 駆け込んで来た勢いそのままに、Vandalieuを持ち上げて、クルクル回るKanako。余程、『Champion』のsecondary nameを獲得したのが、嬉しいらしい。


Kanakoも『Champion』になったのか! 凄いな!」

「ああ、全くだ! 今度手合せしてくれ!」

 このworldの『Champion』とは、ZakkartHillwillowのようにanother worldから来た存在で、相応しいものに与えられるsecondary nameだ。SchneiderRandolph等、このworldで生まれたHeroがどれだけ望んでも手に入れる事は出来ない。


 だからこそ、Vandalieuと同じReincarnatorであり、Guiderにまで至り、最近Tsuchiyaという彼女のname繋がりか、【Botin’s Divine Protection】まで得たKanakoが、『Champion』になる事を不思議とは思わない。その喜びようにも、Basdia達は驚かなかった。


「これで、Vidal Magic EmpireGartlandでの新しい話題が出来ました! Van、あたしのTransformation Equipmentdesignの改良をお願いします! Championっぽく!

 あとVigaro -san、手合せは遠慮します!」


 しかしKanakoHonoraryとかそうしたことは、あまり感じていなかった。いや、accurateには考えてはいるが……それを自身のEntertainment活動にどう活かすかの方が、彼女にとっては重要である。

「ですよねー」

 Vandalieuもそれは分かっているので、彼女の新costumeを考えている。


Kanakoの事なので、性能はそのままでいいから、designを変えて欲しいと言うでしょうが……俺はdesignerではないですからね。性能も上げなければ)

 見かけだけの改良では、『Patron Saint of Transforming Equipment』の名に関わる。そのため、必ず性能は向上させようと考えていた。


 ……DianaTransformation Equipmentも製作中なので、手が足りないかも知れない。いっそ、残り七つの【Body World】のspaceの内一つを、Transformation Equipment工房にしてしまおうか? そんな事を考えた。


「ところで、何か相談していたみたいですけど?」

「ええ。実は、ZadirisJobの事で思い悩んでいるようです」

「それはいつもの事のような気がしますが……そうですね、思い当たる事があります」


 そう言うと、Kanakoは数日前、Zadiris-sama子が変だった事を語りだした。何か思いつめたような表情で、Kanakoに何らかの相談を持ちかけようとし、結局何も言わないまま立ち去ったらしい。


「ウザがられるまで引き止めて聞き出そうとしましたけど、話してくれなかったんですよねー」

kaa-sanKanakoに……Stageの事ではないだろうし、気になるな」

「思っていたよりも、深く思い悩んでいるようですね。では、話を聞きに行きましょうか」


 Zadirisが自分から打ち明けてくれるまで、待とう。そんな事は考えず、積極的に悩みを聞きに行く一同だった。




―――――――――――――――――――――――――




Name: Kanako Tsuchiya

Race: Chaos Elf

Age: age(appearance age15age程)

Title: Reincarnator】 【Magical Girl】 【Evangelist】 【Champion】(NEW!)

Job: Magical Singer

Level: 75

Job History: Apprentice ThiefMageArcherThiefEarth-Attribute MageFireworksMagical GirlMagical IdolMagical Dancer Entertainer Guider



Passive skills

Dark Vision

Mental Corruption:2Lv

Intuition:8Lv(UP!)

Death Attribute Resistance:6Lv(UP!)

Enhanced Agility:6Lv(UP!)

Detect Presence:6Lv(UP!)

Bow weapon equipped, then Attack Power Enhanced (1) : Large(UP!)

Rapid Regeneration:4Lv(UP!)

Mysterious Strength:3Lv(UP!)

Magic Resistance:4Lv(UP!)

Allure:5Lv(UP!)

Self-Reinforcement: Ancestor:7Lv(UP!)

Self-Enhancement: Guidance:6Lv(UP!)

Self-Reinforcement: Henshin / Transformation:5Lv(UP!)

Guidance: Entertainment Path:3Lv(UP!)

Enticement Entertainment Path:3Lv(UP!)


Active skills

Earth-Attribute Magic:10Lv(UP!)

Water-Attribute Magic:10Lv(UP!)

Life-Attribute Magic:9Lv(UP!)

Mana Control:9Lv(UP!)

Singing:10Lv(UP!)

Dancing:10Lv(UP!)

Dagger Technique:5Lv

Unarmed Fighting Technique:5Lv

Archery:6Lv

Silent Steps:5Lv

Lockpicking:3Lv

Trap:3Lv

Throwing Technique:3Lv

Compounding:3Lv

Artillery Technique:1Lv

Fireworks Creation:3Lv

-Surpass Limits-:5Lv(UP!)

Familiar Spirit Demonic Advent:4Lv(UP!)

Song Chant:2Lv(NEW!)


Unique skill

Venus:10Lv

Chaos

Diana’s Divine Protection

Vandalieu’s Divine Protection

Botin’s Divine Protection(NEW!)




Job解説:Entertainer Guider Luciliano


 恐らく、芸術、若しくはEntertainmentによって……特にKanako -kunの場合は、musicdanceによって及ぼすimpactによって他者をGuiding Jobであると思われる。

 歌いながら呪文を詠唱する【Song Chant】というskillを独自に獲得しているが、これはJobによるものというより、彼女の高いSinging Abilitymagicの技量が合わさったものだろう。


 originallyいたworldでは役者志望だったHillwillowに近いGuidanceかもしれないが……残っているrecordによると、かのChampionanother worldの芸や文化について書き残していても、直接芸で人を導いてはいないらしい。やはり、Demon King Armyとの激しい戦いの際中に、本格的なEntertainment活動を行う事は出来なかったのだろう。


 もしくは、Hillwillowが役者の卵でしかなかった事に対して、another worldIdolとして本格的な活動を行い、【Venus】という、他者のMemoryCopyする事が出来るAbilityによって、Entertainment関係の知識を多くAbsorptionしていたKanako -kunは、このworldanother worldEntertainmentを持ちこむ事が可能だった。それがimpactしていたのかもしれない。


 まあ、師Artisanと違ってKanako -kunは既存のJobに就けない訳ではないし、このworldにも過去に同じ【Entertainer Guider】が出現していた可能性はあるが。ただ単に、忘れ去られているだけで。


<- Previous | TOC | Next ->
Special thanks to MBA and the Users from the LBN #spoilers Discord. Without them this would not be possible.